JP4216122B2 - エンジン測定装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両のエンジン出力を自動測定するエンジン測定装置に関し、特に2輪車両用オートマッピングシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、4輪車両等における空燃比制御において、燃料噴射量(Ti)は、吸気管内圧/エンジン回転数マップに基づいて決定されている(特許文献1を参照)。
この吸気管内圧/エンジン回転数マップは、特定の給排気系において最適化されるものであり、給排気系が交換された場合、再度最適化作業が必要となる。
このため、この給排気系交換などに伴う最適化作業を効率化・高速化するために、以下のようなオートマッピング方式が採用されている。
すなわち、まずベースとなる基本燃料噴射量のマップ(以下、ベースマップという)を決定し、給排気系交換時には、このベースマップとは別に、測定値に基づく補正項のみを記録するマップ(以下,補正マップという)を作成する。そして、このベースマップと補正マップによって、給排気系交換後の新燃料噴射量マップを作成する。
このようなオートマッピング方式を採用することにより、マッピング工数時間の大幅な短縮が可能となる。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−97101号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、近年、2輪車両においては、各ギアポジションごとに微妙に異なるエンジン特性をフラットに制御することで、どのギアポジションからでも違和感のない加速を実現し、かつ、燃焼効率の最適化を図るために、4輪車両とは異なる空燃比制御を行っている。
【0005】
従来のオートマッピング方式による補正制御では、ストイキマップ(空燃比マップ)のみしか作成することが出来ないという問題点がある。
また、従来のオートマッピング方式においては,ダイナモデータロガーに測定データを一旦ストックしておくため、ダイナモデータロガーの記憶容量等の設備に大きな制約がある。このため、様々なデータの測定を実施するためには、特殊なデータロガーが必要となり、コストアップにつながるという問題点がある。
【0006】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、車両のエンジン出力を自動測定することで、マッピング工数を短縮し、給排気系等の仕様決定に伴う最適化作業の効率化ことができるエンジン測定装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明は上記の課題を解決すべくなされたもので、車両(例えば、実施の形態における2輪車両2)のエンジン出力を測定するエンジン測定装置(例えば、実施の形態におけるエンジン測定装置1)において、前記エンジンのエンジン回転数、吸気管内圧、スロットル開度とを複数のマップに記録することを特徴とする。
【0008】
このように構成することで、車両のエンジン出力の自動測定において、2輪車両特有の吸気管内圧/エンジン回転数マップ、スロットル開度/エンジン回転数マップを作成することができる。
【0009】
また、この発明は、前記エンジンは、複数の気筒を有する多気筒型エンジンであって、各気筒毎に、前記エンジン回転数と、前記吸気管内圧と、前記スロットル開度とを複数のマップに記録することを特徴とする。
【0010】
このように構成することで、複数の気筒を有する多気筒型エンジンにおいて、各気筒毎に、車両のエンジン出力の自動測定において、2輪車両特有の吸気管内圧/エンジン回転数マップ、スロットル開度/エンジン回転数マップを作成することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明のエンジン測定装置1の一実施形態について説明する。図1は、本実施形態のエンジン測定装置1の構成を示す構成図である。
本実施形態のエンジン測定装置1は、シャーシダイナモ11及びECU(エンジン制御装置)データ計測器12と直接接続するデータ入力インターフェイスを備えており、図2に示すように、シャーシダイナモ11及びECUデータ計測器12の各種計測データを記録する(後述する)。
シャーシダイナモ11は、測定対象車両(本実施形態においては、2輪車両2)の車輪(図1に示す例では後輪)と接触するローターを有しており、ローターとの間で発生する摩擦力によって、車輪とローターが連動して回転することによって、車輪出力を測定し、エンジン測定装置1に出力する。
ECUデータ計測器12は、測定対象車両において設けられたECU20から出力される吸気管内圧(PB)、スロットル開度(TH)、エンジン回転数(NE)、燃料噴射量(Ti)、及び、A/F(空燃比)センサ21から増幅器13を介して出力されるA/F(空燃比)値の入力を受けて、エンジン測定装置1に出力するためのデータ入出力インターフェイスである。
【0012】
図2に示すように、ECU20は、複数の気筒(本実施形態においては4気筒)を有する多気筒型エンジン22の吸気管内圧センサ30、スロットル開度センサ31、エンジン回転数センサ32において、各気筒毎に測定されるセンサ出力値の入力を受けて、A/D変換して吸気管内圧(PB)、スロットル開度(TH)、エンジン回転数(NE)を得るとともに、予めECU20内の記憶部に格納された燃料噴射量の吸気管内圧/エンジン回転数マップ、スロットル開度/エンジン回転数マップに基づいて燃料噴射量を算出する。そして、上述したように、吸気管内圧(PB)、スロットル開度(TH)、エンジン回転数(NE)及び燃料噴射量(Ti)をECUデータ計測器12に出力する。
【0013】
吸気管内圧センサ30は、測定対象車両のエンジン22(図示せず)の吸気管を開閉するスロットルバルブ(図示せず)より下流側(エンジン側)に設けられ、当該吸気管内の圧力を測定し、ECU20に出力する。また、スロットル開度センサ31は、測定対象車両のエンジン22のスロットルバルブにおけるスロットル開度を測定し、ECU20に出力する。また、エンジン回転数センサ32は、測定対象車両のエンジンに設けられ、エンジン回転数を測定し、ECU20に出力する。また、A/Fセンサ21は、上述したスロットルバルブより下流側に設けられ、空燃比を測定し、増幅器13に出力する。増幅器13は、入力される空燃比の測定値を増幅してECU20に出力する。
【0014】
次に、図面を参照して、本実施形態のエンジン測定装置の動作について説明する。図3は、本実施形態のエンジン測定装置によるオートマッピング処理の過程を示すフローチャートである。
今、給排気系等の仕様を決定するために、給排気系の交換毎にマッピングを繰り返す作業において、まず特定の給排気系と対応する1組の燃料噴射量の吸気管内圧/エンジン回転数マップ、スロットル開度/エンジン回転数マップをベースマップに設定する。
図4は、一例として、スロットル開度/エンジン回転数のベースマップを示す。
図4に示すように、ベースマップとなるスロットル開度/エンジン回転数マップには、予めスロットル開度(TH)とエンジン回転数(NE)との各格子点における基本燃料噴射量の値がマッピングされる。なお、ベースマップとなる吸気管内圧/エンジン回転数マップについても、同様に、予め吸気管内圧(PB)とエンジン回転数(NE)との各格子点における基本燃料噴射量の値がマッピングされる。
【0015】
次に、このベースマップに対する補正値をマッピングした補正マップと、ベースマップと補正マップから作成される新燃料噴射量マップとを作成する場合、エンジン測定装置1は、スロットル開度(TH)が予め設定された閾値より低い領域においては(図3のステップS1でYes)、吸気管内圧/エンジン回転数の基本燃料噴射量マップをベースマップとし(ステップS2)、当該吸気管内圧/エンジン回転数の格子点における基本燃料噴射量に対する補正値をECUデータ計測器12から入力される燃料噴射量Tiに基づいて測定する(ステップS3)。このときエンジン測定装置1は、同時に空燃比、後輪出力の測定を行う。
なお、基本燃料噴射量に対する補正値は、基本燃料噴射量に対する燃料噴射量Tiの比として表される。
次に、エンジン測定装置1は、測定した補正値を当該吸気管内圧/エンジン回転数の補正マップに書き込み(ステップS4)、ベースマップの基本燃料噴射量と測定した補正値とを乗算して当該吸気管内圧/エンジン回転数の新燃料噴射量マップにマッピングする(ステップS5)。また、このときエンジン測定装置1は、同時に空燃比(A/F)/エンジン回転数(NE)マップ、後輪出力/エンジン回転数(NE)マップに測定した空燃比値、後輪出力値をマッピングする。
【0016】
一方、スロットル開度(TH)が予め設定された閾値より高い領域においては(ステップS1でNo)、エンジン測定装置1は、スロットル開度/エンジン回転数の基本燃料噴射量マップをベースマップとし(ステップS2)、当該スロットル開度/エンジン回転数の格子点における基本燃料噴射量に対する補正値を測定する(ステップS3)。
そして、エンジン測定装置1は、測定した補正値を当該スロットル開度/エンジン回転数の補正マップに書き込み(ステップS4)、ベースマップの基本燃料噴射量と測定した補正値とを乗算して当該スロットル開度/エンジン回転数の新燃料噴射量マップにマッピングする(ステップS5)。また、このときエンジン測定装置1は、同時に空燃比(A/F)/エンジン回転数(NE)マップ、後輪出力/エンジン回転数(NE)マップに測定した空燃比値、後輪出力値をマッピングする。
【0017】
具体例として、今、スロットル開度(TH)が予め設定された閾値より高い場合、エンジン測定装置1は、スロットル開度/エンジン回転数の基本燃料噴射量マップをベースマップとする。このベースマップ(図4を参照)において、エンジン測定装置1は、格子点TH4/NE2にマッピングされている基本燃料噴射量2.336に対する補正量をECUデータ計測器12から入力される燃料噴射量Tiに基づいて測定する。
そして、図5に示すように、エンジン測定装置1は、測定結果に基づいて基本燃料噴射量に対する補正値0.98を、補正マップの格子点TH4/NE2にマッピングし、基本燃料噴射量(2.336)と補正値(0.98)とを乗算した値(2.289)を新燃料噴射量マップの格子点TH4/NE2にマッピングする。
【0018】
以上により、エンジン測定装置1は、1の格子点における補正マップ、新新燃料噴射量マップのそれぞれ値をマッピングする。そして、第1気筒におけるマッピング処理が完了するまで(ステップS6でNo)、エンジン測定装置1は、ステップS1〜S7のマッピング処理のルーチンを繰り返し実行する。
【0019】
第1気筒におけるマッピング処理が完了すると(ステップS6でYes)、エンジン測定装置1は、第1気筒の吸気管内圧/エンジン回転数マップ、スロットル開度/エンジン回転数マップそれぞれの補正マップをそれぞれベースマップとして、4点補完マッピングにより、第2〜第4気筒の新燃料噴射量マップを作成する。
具体的には、第2〜第4気筒の基本燃料噴射量をベースマップとして、すべての格子点について、第1気筒の吸気管内圧/エンジン回転数マップ、スロットル開度/エンジン回転数マップそれぞれの補正マップを用いて、第2〜第4気筒の基本燃料噴射量と補正値とを乗算した値を第2〜第4気筒の新燃料噴射量マップにマッピングする。
【0020】
以上により、エンジン測定装置1は、第2〜第4気筒の新燃料噴射量マップを作成し、交換後の給排気系と対応する1組の燃料噴射量の吸気管内圧/エンジン回転数マップ、スロットル開度/エンジン回転数マップが得られる。
このため、例えば、不等間隔爆発型のエンジンにおいても、同時に全気筒の新燃料噴射量マップを作成することができる。
したがって、このようにして作成した吸気管内圧/エンジン回転数マップと、スロットル開度/エンジン回転数マップとを併用することで燃料噴射量(Ti)を決定することができる。
したがって、給排気系等の交換前後におけるエンジン特性の変化に基づいて、給排気系等の仕様を決定することができるとともに、このような仕様決定に伴う給排気系の交換毎のマッピング作業を効率化することが出来る効果が得られる。
【0021】
なお、給排気系等の交換前後におけるマッピング作業の必要に応じて、エンジン測定装置1は、スロットル開度(TH)の全開/全閉を検出するようにし、スロットル開度が全開、あるいは、全閉である場合のみECUデータ計測器から測定データを入力するようにしてもよい。
【0022】
また、上述した実施形態においては、完成車ベースでのマッピング作業の例を示したが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば、エンジン単体でマッピング作業を行うようにしてもよい。この場合、テスト準備工数等を考慮すれば、エンジン単体でマッピングを行う方がより効率化を図ることが出来るとともに、設定項目の削減を図ることが出来る効果が得られる。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明は、車両のエンジン出力の自動測定において、2輪車両特有の吸気管内圧/エンジン回転数マップ、スロットル開度/エンジン回転数マップを作成することができるため、マッピング工数を短縮し、給排気系等の仕様決定に伴う最適化作業を効率化することができる。
【0024】
また、この発明は、複数の気筒を有する多気筒型エンジンにおいて、各気筒毎に、車両のエンジン出力の自動測定において、2輪車両特有の吸気管内圧/エンジン回転数マップ、スロットル開度/エンジン回転数マップを作成することができるため、マッピング工数が多い複数の気筒を有する多気筒型エンジンにおいても、マッピング工数を短縮し、給排気系等の仕様決定に伴う最適化作業を効率化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 主としてエンジン測定装置構成図。
【図2】 主としてエンジン測定装置への信号線図。
【図3】 オートマッピング処理の過程を示すフローチャート。
【図4】 スロットル開度/エンジン回転数の燃料噴射量ベースマップ。
【図5】 スロットル開度/エンジン回転数の燃料噴射量補正マップ。
【図6】 スロットル開度/エンジン回転数の新燃料噴射量マップ。
【符号の説明】
1…エンジン測定装置
Claims (4)
- 車両に設けられたECUから出力されるエンジン回転数、吸気管内圧及びスロットル開度の入力を受けるECUデータ計測器が接続され、該ECUデータ計測器から計測データを受けて燃料噴射量マップを記録するエンジン測定装置であって、
前記スロットル開度が予め設定された閾値よりも低い領域においては、
吸気管内圧/エンジン回転数の基本燃料噴射量マップを第一ベースマップとして第一補正値を測定して吸気管内圧/エンジン回転数補正マップに書き込み、
前記第一ベースマップの基本燃料噴射量と前記第一補正値とから新燃料噴射量を算出して吸気管内圧/エンジン回転数新燃料噴射マップに書き込む一方、
前記スロットル開度が予め設定された閾値よりも高い領域においては、
スロットル開度/エンジン回転数の基本燃料噴射量を第二ベースマップとして第二補正値を測定してスロットル開度/エンジン回転数補正マップに書き込み、
前記第二ベースマップの基本燃料噴射量と前記第二補正値とから新燃料噴射量を算出してスロットル開度/エンジン回転数新燃料噴射マップに書き込む
ことを特徴とするエンジン測定装置。 - 前記エンジンは、複数の気筒を有する多気筒型エンジンであって、
一の気筒におけるマッピング処理が完了すると、前記吸気管内圧/エンジン回転数補正マップ、及びスロットル開度/エンジン回転数の補正マップを用いて、他の気筒の基本燃料噴射量と補正値とを乗算し、この値を他の気筒の新燃料噴射量マップに記録する
ことを特徴とする請求項1に記載のエンジン測定装置。 - 測定車両の車輪出力を測定するシャーシダイナモ、及び空燃比を測定するA/Fセンサがさらに接続され、車輪出力/エンジン回転数マップ、及び空燃比/エンジン回転数マップが前記新燃料噴射量マップ書き込み時に同時に記録されることを特徴とする請求項1又は2に記載のエンジン測定装置。
- スロットル開度の全開/全閉を検出する機構をさらに備え、スロットル開度が全開又は全閉である場合のみ前記ECUデータ測定器からの計測データを入力することを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のエンジン測定装置。
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