JP4215552B2 - 電動撮像装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は電動撮像装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の電動撮像装置においては、CCDカメラやビデオカメラ等の小型カメラを電動雲台に支持して、当該小型カメラの撮影方向を変化させるように電動雲台をコンピュータにより制御するようにしたものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記電動撮像装置では、電動雲台の制御にあたり、フィードバック制御方式を採用し、角度センサにより小型カメラの実際の撮影方向を角度として検出してコンピュータに入力し、このコンピュータによりサーボモータを介し当該入力角度に基づき小型カメラを所望の撮影方向に向けるようにフィードバック制御する。このため、当該電動撮像装置には、角度センサやサーボモータが必須の構成素子として余分に必要となる。その結果、電動撮像装置の構成が複雑になり当該電装撮影装置の小型化や軽量化の妨げとなるという不具合を生ずる。
【0004】
そこで、本発明は、以上のようなことに対処するため、フィードバック制御に依ることなく、小型カメラの撮影方向を制御するようにした電動撮像装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題の解決にあたり、本発明に係る電動撮像装置は、請求項1の記載によれば、ハウジング(20)と、
このハウジング内にてジンバル機構(30、40、50、60、70、80)により傾動中心にて傾動可能に支持される小型カメラであってその前部(C2)にてハウジングの開口部から外方を臨む小型カメラ(C)と、
この小型カメラの後部(C1)とハウジングの底壁(20b)との間にて当該小型カメラの後部と同軸的に位置するように支持された永久磁石であってその両逆極性磁極部(N、S)を小型カメラと同軸的に位置させる永久磁石(90)と、
小型カメラの傾動中心に向くようにハウジングの底壁に互いに角度を異にして放射状に嵌着された複数のアクチュエータであって直流ソレノイド(220)、この直流ソレノイド内に上記両逆極性磁極部のうち小型カメラの後部とは反対側の磁極部(S)に対向するように軸動可能に嵌装されるプランジャー(250)及びこのプランジャーを上記反対側の磁極部に向けて付勢するバネ(200b)を同軸的に有する複数のアクチュエータ(A1〜A5)と、
当該複数のアクチュエータのうちの一アクチュエータの直流ソレノイドを所定極性にて直流駆動する第1直流駆動手段(PS、320〜360、420、520、620、720、820)と、
複数のアクチュエータのうち上記一アクチュエータを除く残りの各アクチュエータの直流ソレノイドを上記所定極性とは逆極性にて直流駆動する第2直流駆動手段(PS、320〜360、430、530、630、730、830)とを備えて、
上記一アクチュエータの直流ソレノイドは、上記所定極性による直流駆動に伴い、上記一アクチュエータのプランジャーを吸引するとともに当該プランジャーの外端部を上記反対側の磁極部とは異なる極性に着磁させ、上記残りの各アクチュエータの直流ソレノイドは、それぞれ、当該残りの各アクチュエータのプランジャーを吸引するとともに当該各プランジャーの外端部を上記反対側の磁極部と同一極性に着磁させ、
小型カメラは、上記反対側の磁極部と上記残りの各アクチュエータのプランジャーの外端部との間の反発力のもと、上記反対側の磁極部と上記一アクチュエータのプランジャーの外端部との間の吸引に基づき、上記ジンバル機構の作動に応じて、上記一アクチュエータと同軸的に位置するように上記傾動中心を基準に傾動するようにした。
【0006】
このように、第1直流駆動手段により複数のアクチュエータのうちの一アクチュエータの直流ソレノイドを所定極性にて直流駆動するとともに、第2直流駆動手段により上記一アクチュエータを除く残りの各アクチュエータの直流ソレノイドを上記所定極性とは逆極性にて直流駆動すると、上記一アクチュエータの直流ソレノイドは上記一アクチュエータのプランジャーを吸引するとともに当該プランジャーの外端部を上記反対側の磁極部とは異なる極性に着磁させ、上記残りの各アクチュエータの直流ソレノイドは、それぞれ、当該残りの各アクチュエータのプランジャーを吸引するとともに当該各プランジャーの外端部を上記反対側の磁極部と同一極性に着磁させる。
【0007】
これに伴い、小型カメラは、上記反対側の磁極部と上記残りの各アクチュエータのプランジャーの外端部との間の反発力のもと、上記反対側の磁極部と上記一アクチュエータのプランジャーの外端部との間の吸引に基づき、上記ジンバル機構の作動に応じて、上記傾動中心を基準に傾動して上記一アクチュエータと同軸的に位置する。
【0008】
従って、小型カメラの撮影方向を上記一アクチュエータと同軸的に一致させる制御にあたり、直流ソレノイド及びプランジャーを有する上記一アクチュエータ、永久磁石及び上記ジンバル機構という簡単な構成ですみ、その結果、小型カメラの傾動角度を利用して行うフィードバック制御を採用する必要がなく、小型カメラの傾動角度を検出する角度センサや小型カメラを傾動するサーボモータ等の余分な構成素子も不要となる。よって、小型かつ軽量な電動撮像装置の提供が可能となる。
【0009】
また、本発明は、請求項2の記載によれば、請求項1に記載の電動撮像装置において、複数のアクチュエータの各々において、プランジャーの外端部を上記反対側の磁極部側に露呈させるように当該外端部と同軸的に嵌着された係合部材であって当該プランジャーに対応するバネにより上記反対側の磁極部に向け付勢される係合部材(200c)と、
永久磁石の上記反対側の磁極部に同軸的に設けられた非磁性材料からなる位置決め部材であって上記反対側の磁極部よりもハウジングの底壁側にて同軸的に形成されて各係合部材のいずれかにより係合される凹状ボス部(100b)を有する位置決め部材(100)と、
小型カメラが上記一アクチュエータと同軸的に位置するように傾動した状態にて、当該一アクチュエータの係合部材がこれに対応するプランジャーと共に対応のバネにより付勢されて位置決め部材の凹状ボス部に同軸的に係合するように複数のアクチュエータのうち少なくとも一アクチュエータの直流ソレノイドの直流駆動を停止する直流駆動停止手段(320〜360、460、560、660、760、860)とを備えることを特徴とする。
【0010】
これにより、小型カメラを、上記一アクチュエータと同軸的に位置決め保持するにあたり、直流駆動停止手段により当該一アクチュエータの直流ソレノイドへの直流電流を遮断することで、上記一アクチュエータのプランジャーの外端部を、永久磁石に同軸的に支持した位置決め部材のボス部に同軸的に係合させる。従って、消費電力の節減を確保しつつ、小型カメラの上記一アクチュエータとの同軸的な位置決めがより一層確実に精度よく行える。その結果、請求項1に記載の発明の作用効果をより一層向上させ得る。
【0011】
また、本発明は、請求項3の記載によれば、請求項1或いは2に記載の電動撮像装置において、第1直流駆動手段により直流駆動する一直流ソレノイド及び第2直流駆動手段により直流駆動する残りの各直流ソレノイドを順次切り替えるように制御する制御手段(400〜800)と、
小型カメラが複数のアクチュエータのいずれかと順次同軸的に位置するように傾動するごとに、小型カメラによりその各傾動位置にて各前方の像を撮影し順次画像として入力する画像入力手段(400a、500a、600a、700a、800a)と、
この画像入力手段に入力した各画像をパノラマ画像として合成する画像合成手段(900)とを備えることを特徴とする。
【0012】
このように、第1直流駆動手段により直流駆動する一直流ソレノイド及び第2直流駆動手段により直流駆動する残りの各直流ソレノイドを順次切り替えるように制御することで、小型カメラの撮影方向が順次切り替えられ、そして、小型カメラが複数のアクチュエータのいずれかと順次同軸的に位置するように傾動するごとに、小型カメラによりその各傾動位置にて各前方の像を撮影する。従って、電動撮像装置に人間の眼球の断続性運動に相当する機能を与えつつ、広範囲の画像を高速にて撮影することができる。
【0013】
また、上述のような小型カメラの各アクチュエータとの同軸的な精度のよい位置決めは、小型カメラの傾動中心を中心とする小型カメラの傾動のもとに行われる。従って、上述のように合成したパノラマ画像には、撮影位置の角度ずれによる各画像配置の矛盾が発生することがない。
【0014】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係る電動撮像装置の一実施形態を示している。この電動撮像装置は、図1〜図3から分かるように、電動雲台Sと、小型カメラCとを備えている。電動雲台Sは、支持体10を備えており、この支持体10は、設置面P(図1及び図2参照)上に設置される平板状脚部11と、環状支持部12とにより構成されている。環状支持部12は、平板状脚部11の上面中央から上方に向け鉛直状に延出している。
【0016】
また、当該電動雲台Sは、図1〜図3にて示すごとく、ハウジング20を備えている。このハウジング20は、図1にて示すごとく、支持体10の環状支持部12内に同軸的に嵌装されて、その円筒状周壁20aの軸方向中間部位にて、当該環状支持部12により支持されている。
【0017】
また、当該電動雲台Sは、図2及び図3にて示すごとく、環状回動部材30を備えており、この環状回動部材30は、ハウジング20の周壁20aの開口部21内にてこの開口部21に上下両側支持軸40、50によりその軸周りに回動可能に支持されている。
【0018】
ここで、上側支持軸40は、その外端部41にて、ハウジング20の開口部21の近傍にて周壁20aの上端部に形成した支持穴部21aに回動可能に嵌装支持されており、この支持軸40は、その外端部41からハウジング20の軸芯に向け半径方向に延出し、その内端部42にて、環状回動部材30の上端部に形成した支持穴部31に嵌着支持されている。一方、下側支持軸50は、その外端部51にて、ハウジング20の周壁20aの下端部に支持穴部21aに対向して形成した支持穴部21b内に回動可能に嵌装支持されており、この支持軸50は、その外端部51からハウジング20の軸芯に向け半径方向に延出し、その内端部52にて、環状回動部材30の下端部に形成した支持穴部32に嵌着支持されている。
【0019】
これにより、両支持軸40、50は、その各軸芯にて、ハウジング20の開口部21の近傍にて周壁20aの上下方向に沿う直径線(以下、上下方向直径線という)上に位置するように周壁20aと環状回動部材30との間に支持される。このことは、環状回動部材30は、上記上下方向直径線を軸として回動するように支持されることを意味する。
【0020】
ケーシング60は、図2及び図3にて示すごとく、環状回動部材30内に嵌装されており、このケーシング60は、図3にて示すごとく、筒体60aと、底体60bとを備えている。筒体60aは、その円筒部61の周壁の軸方向中間部位にて、左右両側支持軸70、80を介し環状回動部材30に同軸的に支持されており、この筒体60aは、開口部62を、円筒部61から断面末広がり状に開口するように延出して形成されている。底体60bは、筒体60aの底側開口部に着脱可能に組み付けられて、当該筒体60aの底側開口部を閉じている。なお、底体60bが筒体60aに対し着脱可能になっているのは、筒体60aと底体60bとの組み付け前に、小型カメラCの底体60bへの組み付けを行うためである。
【0021】
ここで、左側支持軸70は、その外端部71にて、環状回動部材30の図2にて図示左端部に形成した支持穴部33内に回動可能に嵌装支持されており、この支持軸70は、その外端部71からハウジング20の軸芯に向け半径方向に延出し、その内端部72にて、円筒部61の周壁の上記軸方向中間部位の左端部に形成した支持穴部61aに嵌着支持されている。一方、右側支持軸80は、その外端部81にて、環状回動部材30の図2にて図示右端部に形成した支持穴部34に回動可能に嵌装支持されており、この支持軸80は、その外端部81からハウジング20の軸芯に向け半径方向に延出し、その内端部82にて、円筒部61の周壁の上記軸方向中間部位の左端部に形成した支持穴部61bに嵌着支持されている。
【0022】
これにより、両支持軸70、80は、その各軸芯にて、環状回動部材30の左右方向に沿う直径線(以下、左右方向直径線という)上に位置するように環状回動部材30と円筒部61との間に支持される。このことは、ケーシング60は、上記左右方向直径線を軸として回動するように支持されることを意味する。ここで、環状回動部材30、ケーシング60、上下両側支持部材40、50及び左右両側支持部材70、80が、いわゆるジンバル機構を構成する。
【0023】
小型カメラCは、図3にて示すごとく、ケーシング60内に組み付けられている。この小型カメラCは、そのカメラ本体部C1にて、ケーシング60の底体60bに形成した段付き貫通穴部63の内側大径部63a内に同軸的に嵌装されており、この小型カメラCのカメラレンズ部C2は、ケーシング60の開口部62を通し外方に対向している。これにより、小型カメラCは、その前方の像を撮影して二次元の撮像データとして出力する。
【0024】
なお、本実施形態では、小型カメラCとして、サンメカトロニクス社製CMOS二次元カメラが採用されている。また、小型カメラCとしては、当該CMOS二次元カメラに限ることなく、例えば、CCD二次元カメラを採用してもよく、一般的には、像を撮影して電子的な二次元撮像データとして出力する小型カメラを採用すればよい。
【0025】
ここで、上記ジンバル機構により回動される小型カメラCの傾動中心Co(図3参照)は、カメラレンズ部C2の光軸上にあって小型カメラCの撮像面からカメラレンズ部C2の焦点距離だけ前方(図3にて図示左方)に位置する。また、小型カメラCが図3にて図示位置にあるとき、カメラレンズ部C2の光軸とハウジング20及びケーシング60の各軸に相当する中心線L1とは一致する。なお、貫通穴部63は、ケーシング60に対し同軸的に形成されている。また、ケーシング60は、ハウジング20と共に非磁性材料で形成されている。
【0026】
柱状永久磁石90は、その軸方向に着磁されているもので、この永久磁石90は、そのS磁極部にて、底体60bの貫通穴部63のうち外側大径部63b内に同軸的に嵌着されている。このため、永久磁石90のN磁極部は、底体60bから図3に図示右方へ突出している。本実施形態では、永久磁石90として、二六製作所製ネオジウム磁石を採用した。
【0027】
位置決め部材100は、非磁性金属材料により、図3及び図4にて示すごとく、断面略コ字状の嵌め合い部100aと、環状ボス部100bとを有するように形成されており、この位置決め部材100は、嵌め合い部100aにて、永久磁石100のN磁極部に同軸的に嵌着されている。環状ボス部100bは、嵌め合い部100aの上壁101の中央に外方に突出するように同軸的に形成されており、この環状ボス部100bの内周面102は、図3にて示すごとく、図示左側から右側に向け広がるように断面テーパ状に形成されている。なお、ボス部100bは、環状に限ることなく、凹状であってもよい。
【0028】
各アクチュエータA1〜A5は、図1及び図3にて示すごとく、ハウジング20の球面状底壁20bに組み付けられている。以下、この組み付け構成を、各アクチュエータA1〜A5の構成と共に説明する。なお、球面状底壁20bは、ハウジング20において、周壁20aと同軸的に外方へ向け凸となるように形成されている。
【0029】
アクチュエータA1は、図1、図3及び図4にて示すごとく、アクチュエータ本体200aと、コイルスプリング200bと、係合部材200cとを備えている。アクチュエータ本体200aは、図3にて示すごとく、その軸方向中間部位にて、ハウジング20の底壁20bの中央に形成した支持穴部22内に同軸的に嵌装支持されている。なお、支持穴部22は、中心線L1と同軸的に位置している。
【0030】
アクチュエータ本体200aは、図5にて示すごとく、ヨーク210を備えており、このヨーク210は、U字状ヨーク部210aと、平板状ヨーク部210bとにより構成されている。ここで、ヨーク部210bは、その両端部にて、ヨーク部210aにおいて底部211の両端から平行に延出する両脚部212の各先端部に、底部211と平行となるように固着されている。
【0031】
直流ソレノイド220は、ヨーク210の両脚部212間にて、これら両脚部によりボビン230を介し同軸的に挟支されている。ここで、直流ソレノイド220は、ボビン230に同軸的に巻装されている。なお、図5にて符号230aは、案内筒を示す。本実施形態では、直流ソレノイド220として、タカハ機工社製T2808型直流ソレノイドを採用した。
【0032】
中空状固定鉄芯240は、そのボス部241にて、ヨーク210の底部211の中央穴部211aに嵌着されており、当該固定鉄芯240は、案内筒230aのうちヨーク210の先端側部位内にボス部241から図5にて図示左方へ同軸的に延出している。柱状プランジャー250は、ヨーク210のヨーク部212bの中央孔部213を通り案内筒230a内に軸動可能に挿入されて、その断面V字状内端部251にて、固定鉄芯240の断面テーパ状凹部242内に係合可能に対向しており、当該プランジャー250は、その外端部252にて、図4(a)にて示すごとく、永久磁石90のN磁極部に同軸的に対向している。
【0033】
また、プランジャー250は、環状ストッパ部(図示しない)を有しており、このストッパ部は、プランジャー250の外周面(内端部251の外周面を除く)軸方向中間部位のうち内端部251の図5にて図示左端近傍部分から半径方向に外方へ突出形成されている。なお、当該環状ストッパ部の外径は案内筒230aの内径よりも幾分小さいが、図5では、便宜上、プランジャー250の外周面(内端部251の外周面を除く)と接触するように記載されている。また、プランジャー250は、ヨーク210と共に磁性金属材料で形成されている。
【0034】
係合部材200cは、図4(a)にて示すごとく、その貫通状軸穴部260にて、プランジャー250の外端部252に外方から同軸的に嵌着支持されており、この係合部材200cは、板状基部260aと、円錐台形状係合部260bとを一体に有するように非磁性金属材料により構成されている。ここで、係合部260bは、位置決め部材100の環状ボス100b内に同軸的に係合し得るように、図4(a)にて図示左方へ向けボス100bの内周面102と同様に末すぼまり状に形成されている。
【0035】
コイルスプリング200bは、係合部材200cとアクチュエータ本体200aとの間にて、プランジャー250の中間部位を外方から覆うように当該中間部位に同軸的に介装されており、このコイルスプリング200bは、係合部材200cをアクチュエータ本体200aに対し図4(a)にて図示左方へ付勢している。
【0036】
このように構成したアクチュエータA1においては、直流ソレノイド220が後述する直流電流の流入により励磁されると、磁束がヨーク210、プランジャー250及び固定鉄芯240を通り流れて、電磁力が、磁気的吸引力として、プランジャー250をコイルスプリング200bの付勢力に抗し固定鉄心240に向け吸引させるように発生する。
【0037】
ここで、上記直流電流が、プランジャー250の内端部251をN極に着磁させる方向に上記電磁力を発生させるように流れると、プランジャー250の外端部252は、S極に着磁されて、永久磁石90のN磁極部との間に磁気的吸引力を発生する。但し、この磁気的吸引力は、プランジャー250に対する固定鉄心240への磁気的吸引力としての上記電磁力とコイルスプリング200bの付勢力との差よりも小さい。一方、上記直流電流が、プランジャー250の内端部251をS極に着磁させる方向に上記電磁力を発生させるように流れると、プランジャー250の外端部252は、N極に着磁されて、永久磁石90のN磁極部との間に磁気的反発力を発生する。
【0038】
また、直流ソレノイド220が消磁されると、上記電磁力が消滅し、コイルスプリング200bがその係合部材200cに対する付勢力によりプランジャー250を固定鉄心240から解離する方向に軸動させる。なお、この軸動に伴い、プランジャー250は、その上記環状ストッパ部にて、ヨーク部210bの中央穴部213にその内側から係止してプランジャー250のヨーク210からの抜け止めをする。
【0039】
残りの各アクチュエータA2〜A5は、アクチュエータA1と同様の構成を有しているが、当該各アクチュエータA2〜A5のハウジング20への組み付け位置は、アクチュエータA1とは次のように異なっている。
【0040】
アクチュエータA2は、図1及び図3にて示すごとく、アクチュエータA1の直下に位置するもので、このアクチュエータA2は、そのアクチュエータ本体200aの軸方向中間部位にて、ハウジング20の底壁20bに形成した支持穴部23に同軸的に嵌装支持されている。ここで、支持穴部23は、その軸にて、小型カメラCの傾動中心Coを通り中心線L1に対しその30°下方へ傾斜する中心線L2上に沿って位置するように、ハウジング20の底壁20bに形成されている。
【0041】
アクチュエータA3は、図1及び図3にて示すごとく、アクチュエータA1の直上に位置するもので、このアクチュエータA3は、そのアクチュエータ本体200aの軸方向中間部位にて、ハウジング20の底壁20bに形成した支持穴部24に同軸的に嵌装支持されている。ここで、支持穴部24は、その軸にて、小型カメラCの傾動中心Coを通り中心線L1に対しその30°上方へ傾斜する中心線L3(図3参照)上に沿って位置するように、ハウジング20の底壁20bに形成されている。
【0042】
アクチュエータA4は、図1から分かるように、アクチュエータA1の左方に位置するもので、このアクチュエータA4は、そのアクチュエータ本体200aの軸方向中間部位にて、ハウジング20の底壁20bに形成した支持穴部25に同軸的に嵌装支持されている。ここで、支持穴部25は、その軸にて、小型カメラCの傾動中心Coを通り中心線L1に対しその30°左方へ傾斜する中心線L4上に沿って位置するように、ハウジング20の底壁20bに形成されている。
【0043】
アクチュエータA5は、図1から分かるように、アクチュエータA1の右方に位置するもので、このアクチュエータA5は、そのアクチュエータ本体200aの軸方向中間部位にて、ハウジング20の底壁20bに形成した支持穴部(図示しない)に同軸的に嵌装支持されている。ここで、当該支持穴部は、その軸にて、小型カメラCの傾動中心Coを通り中心線L1に対しその30°右方へ傾斜する中心線L5上に沿って位置するように、ハウジング20の底壁20bに形成されている。なお、各中心線L2、L3は中心線L1と同一鉛直面内にあり、各中心線L4、L5は中心線L1と同一水平面内にある。また、アクチュエータA1〜A5の各係合部材200bは、小型カメラCの傾動中心Coに対し同一の距離をおいて当該傾動中心Coに対向している。
【0044】
次に、当該電動撮像装置の電気回路構成について説明すると、画像処理回路300は、図6にて示すごとく、小型カメラCの出力を画像処理して撮像信号としてマイクロコンピュータ310に出力する。マイクロコンピュータ310は、図7〜図12にて示すフローチャートに従い、コンピュータプログラムを実行し、この実行中において、各駆動回路320〜360を介する各アクチュエータA1〜A5の駆動処理、画像出力回路300の出力に基づく画像入力処理、画像合成処理や出力装置370の駆動処理等の各種処理を行う。なお、上記コンピュータプログラムはマイクロコンピュータ310のROMに予め記憶されている。
【0045】
駆動回路320は、マイクロコンピュータ310による制御のもと、直流電源PSからの直流電圧Vc(20(V))を、正極性或いは負極性にてアクチュエータA1の直流ソレノイド220の両端子に印加し、または直流ソレノイド220から遮断するように切り替える。
【0046】
残りの各駆動回路330〜360は、駆動回路320と同様の構成を有しているが、駆動回路330は、マイクロコンピュータ310による制御のもと、直流電源PSからの直流電圧Vcを、正極性或いは負極性にてアクチュエータA2の直流ソレノイド220の両端子に印加し、またはアクチュエータA2の直流ソレノイド220から遮断するように切り替える。駆動回路340は、マイクロコンピュータ310による制御のもと、直流電源PSからの直流電圧Vcを正極性或いは負極性にてアクチュエータA3の直流ソレノイド220の両端子に印加し、またはアクチュエータA3の直流ソレノイド220から遮断するように切り替える。
【0047】
駆動回路350は、マイクロコンピュータ310による制御のもと、直流電源PSからの直流電圧Vcを、正極性或いは負極性にてアクチュエータA4の直流ソレノイド220の両端子に印加し、またはアクチュエータA4の直流ソレノイド220から遮断するように切り替える。また、駆動回路360は、マイクロコンピュータ310による制御のもと、直流電源PSからの直流電圧Vcを、正極性或いは負極性にてアクチュエータA5の直流ソレノイド220の両端子に印加し、またはアクチュエータA5の直流ソレノイド220から遮断するように切り替える。
【0048】
但し、本実施形態では、直流電圧Vcの上記正極性印加は、上記直流電流がプランジャー250の内端部251をN極に着磁させる方向に上記電磁力を発生させるように各アクチュエータA1〜A5のいずれかの直流ソレノイド220に流れる場合に対応する。また、直流電圧Vcの上記負極性印加は、上記直流電流がプランジャー250の内端部251をS極に着磁させる方向に上記電磁力を発生させるように各アクチュエータA1〜A5のいずれかの直流ソレノイド220に流れる場合に対応する。また、本実施形態では、各駆動回路320〜360として、東芝製TA8428K型フルブリッジ駆動回路が採用されている。出力装置370は、マイクロコンピュータ310による制御のもと、合成画像の印刷を行う。
【0049】
以上のように構成した本実施形態において、マイクロコンピュータ310が図7のフローチャートに従いコンピュータプログラムの実行を開始すると、第1駆動処理ルーチン400(図8参照)において、小型カメラCを中心線L1と同軸的に位置させる処理が次のようになされる。
【0050】
即ち、図8のステップ410において、計時データDがD=0と初期化される。ついで、ステップ420において、駆動回路320への第1正極性駆動信号の出力処理がなされる。この第1正極性駆動信号は、直流電源PSからの直流電圧VcをアクチュエータA1の直流ソレノイド220の両端子に正極性にて印加するように駆動回路320を駆動する信号である。
【0051】
このステップ420での処理後、次のステップ430において、駆動回路330〜360への第2〜第5の負極性駆動信号の出力処理がなされる。これら第2〜第5の負極性駆動信号は、それぞれ、直流電源PSからの直流電圧VcをアクチュエータA2〜A5の各直流ソレノイド220の両端子に負極性にて印加するように各駆動回路330〜360を駆動する信号である。
【0052】
ステップ430の処理後、ステップ440において、計時データDがD=(D+1)と加算更新される。ここで、D=(D+1)における「1」は、0.1(秒)よりも短い時間に対応する値である。また、0.1(秒)は、ステップ430の処理後、後述のように位置決め部材100のボス部100bをアクチュエータA1の係合部材200cの係合部260bと中心線L1上にて同軸的に対向させるに要する時間に相当する。なお、現段階では、D<0.1(秒)故、次のステップ450での判定はNOとなる。
【0053】
しかして、ステップ450でのNOとの判定及びステップ440での計時データの加算更新処理が繰り返されている間において、上述の第1正極性駆動信号に基づき駆動回路320が、直流電源PSからの直流電圧Vcを正極性に切り替えてアクチュエータA1の直流ソレノイド220の両端子に印加すると、直流電源PSからの直流電流が、アクチュエータA1のプランジャー250の内端部251をN極に着磁させる方向に電磁力を発生させるように、アクチュエータA1の直流ソレノイド220に流れる。これに伴い、アクチュエータA1のプランジャー250の外端部252はS極に着磁されると共に、当該プランジャー250が当該電磁力を磁気的吸引力として受けてアクチュエータA1の案内筒230a内を軸動してアクチュエータA1の固定鉄心240に吸引される。
【0054】
また、上述の第2〜第5の負極性駆動信号に基づき、駆動回路330〜360が、それぞれ、直流電源PSからの直流電圧Vcを負極性に切り替えて、アクチュエータA2〜A5の各直流ソレノイド220の両端子に印加すると、アクチュエータA2〜A5の各々においては、直流電源PSからの直流電流が、プランジャー250の内端部251をS極に着磁させる方向に電磁力を発生させるように、直流ソレノイド220に流れる。これに伴い、プランジャー250の外端部252はN極に着磁されると共に、当該プランジャー250が当該電磁力を磁気的吸引力として受けて案内筒230a内を軸動して固定鉄心240に吸引される。
【0055】
また、上述のようにアクチュエータA1のプランジャー250の外端部252がS極に着磁されるとともにアクチュエータA2〜A5の各プランジャー250の外端部252が共にN極に着磁されると、アクチュエータA1のプランジャー250の外端部252は永久磁石90のN磁極部との間で磁気的吸引力を発生するとともに、残りのアクチュエータA2〜A5の各プランジャー250の外端部252は永久磁石90のN磁極部との間で磁気的反発力を発生する。
【0056】
このため、永久磁石90は、そのN磁極部にて、アクチュエータA2〜A5の各プランジャー250の外端部252により磁気的に反発されながらアクチュエータA1のプランジャー250の外端部252により磁気的に吸引される。これに伴い、上記ジンバル機構の作動のもと、位置決め部材100は、そのボス部100bにて、アクチュエータA1の係合部材200cの係合部260bと中心線L1上にて同軸的に対向する(図4(a)参照)。従って、ケーシング60及び小型カメラCのうち傾動中心Coよりも図3にて図示右側部位、永久磁石90及び位置決め部材100の各重力等の外力に影響されることなく、小型カメラCは、ケーシング60、永久磁石90及び位置決め部材100と共に、図3にて示すごとく、中心線L1上にてアクチュエータA1と同軸的に維持される。
【0057】
然る後、計時データDが0.1(秒)に達すると、ステップ450での判定がYESとなり、ステップ460において、第1正極性駆動信号及び第2〜第5の負極性駆動信号の出力停止処理がなされる。これに伴い、アクチュエータA1においては、直流ソレノイド220が駆動回路320により直流電源PSから遮断されて消磁し、係合部材200cが、コイルスプリング200bにより付勢されてプランジャー250と共に軸動して、係合部260bにて、位置決め部材100のボス部100b内に中心線L1上にて同軸的に係合する(図4(b)参照)。これにより、小型カメラCは、ケーシング60及び永久磁石90と共に、位置決め部材100によって中心線L1上に同軸的に位置決め保持され得る。なお、アクチュエータ1のプランジャー250は、その環状ストッパ部にて、ヨーク部210bの中央穴部213とは非係止状態にある。
【0058】
そして、このような位置決め保持状態において、小型カメラCにより、前方の像として、例えば、図14にて示す中央画像を撮影すれば、この撮像画像は、中央撮像データとして小型カメラCから画像処理回路300に出力される。これに伴い、当該中央撮像データは画像処理回路300によりデータ処理されて中央画像信号として出力される。
【0059】
また、上述のような第2〜第5の負極性駆動信号の出力停止処理に伴い、アクチュエータA2〜A5においては、各直流ソレノイド220が各駆動回路330〜360により直流電源PSから遮断されて消磁する。このため、各プランジャー250は、対応の係合部材200cに対する対応のコイルスプリング200bの付勢力のもと、対応の案内筒230aに沿い対応の固定鉄心240から解離する方向に軸動する。なお、アクチュエータA2〜A5の各々において、プランジャー250は、その環状ストッパ部にて、対応のヨーク部210bの中央穴部213との係止により、対応のヨーク部210から抜け止めされる。
【0060】
第1駆動処理ルーチン400の処理が以上のようにして終了すると、次のステップ400a(図7参照)において、画像入力処理がなされる。この画像入力処理では、上述した中央画像信号がマイクロコンピュータ310に中央画像データとして入力される。
【0061】
このようにしてステップ400aの処理が終了すると、次の第2駆動処理ルーチン500(図9参照)の処理がなされる。この第2駆動処理ルーチンでは、ステップ510において、計時データDがD=0と初期化される。ついで、ステップ520において、駆動回路330への第2正極性駆動信号の出力処理がなされる。この第2正極性駆動信号は、直流電源PSからの直流電圧VcをアクチュエータA2の直流ソレノイド220の両端子に正極性にて印加するように駆動回路330を駆動する信号である。
【0062】
このステップ520での処理後、次のステップ530において、駆動回路320及び340〜360への第1及び第3〜第5の負極性駆動信号の出力処理がなされる。これら第1及び第3〜第5の負極性駆動信号は、それぞれ、直流電源PSからの直流電圧VcをアクチュエータA1及びA3〜A5の各直流ソレノイド220の両端子に負極性にて印加するように各駆動回路320及び340〜360を駆動する信号である。
【0063】
ステップ530の処理後、ステップ540において、ステップ440での処理と同様に計時データDがD=(D+1)と加算更新される。なお、現段階では、D<0.1(秒)故、次のステップ550での判定はNOとなる。
【0064】
しかして、ステップ550でのNOとの判定及びステップ540での計時データの加算更新処理が繰り返されている間において、上述の第2正極性駆動信号に基づき駆動回路330が、直流電源PSからの直流電圧Vcを正極性に切り替えてアクチュエータA2の直流ソレノイド220の両端子に印加すると、直流電源PSからの直流電流が、アクチュエータA2のプランジャー250の内端部251をN極に着磁させる方向に電磁力を発生させるように、アクチュエータA2の直流ソレノイド220に流れる。これに伴い、アクチュエータA2のプランジャー250の外端部252はS極に着磁されると共に、当該プランジャー250が当該電磁力を磁気的吸引力として受けてアクチュエータA2の案内筒230a内を軸動してアクチュエータA2の固定鉄心240に吸引される。
【0065】
また、上述の第1及び第3〜第5の負極性駆動信号に基づき、駆動回路320及び340〜360が、それぞれ、直流電源PSからの直流電圧Vcを負極性に切り替えて、アクチュエータA1及びA3〜A5の各直流ソレノイド220の両端子に印加すると、アクチュエータA1及びA3〜A5の各々においては、直流電源PSからの直流電流が、プランジャー250の内端部251をS極に着磁させる方向に電磁力を発生させるように、直流ソレノイド220に流れる。これに伴い、プランジャー250の外端部252はN極に着磁されると共に、当該プランジャー250が当該電磁力を磁気的吸引力として受けて案内筒230a内を軸動して固定鉄心240に吸引される。
【0066】
また、上述のようにアクチュエータA2のプランジャー250の外端部252がS極に着磁されるとともにアクチュエータA1及びA3〜A5の各プランジャー250の外端部252が共にN極に着磁されると、アクチュエータA2のプランジャー250の外端部252は永久磁石90のN磁極部との間で磁気的吸引力を発生するとともに、残りのアクチュエータA1及びA3〜A5の各プランジャー250の外端部252は永久磁石90のN磁極部との間で磁気的反発力を発生する。
【0067】
このため、永久磁石90は、そのN磁極部にて、アクチュエータA1及びA3〜A5の各プランジャー250の外端部252により磁気的に反発されながらアクチュエータA2のプランジャー250の外端部252により磁気的に吸引される。これに伴い、上記ジンバル機構の作動のもと、永久磁石90は、ケーシング60、小型カメラC及び位置決め部材100と共に、図3にて図示下方へ傾動し、位置決め部材100は、そのボス部100bにて、アクチュエータA2の係合部材200cの係合部260bと中心線L2上にて同軸的に対向する。従って、ケーシング60及び小型カメラCのうち傾動中心Coよりも図3にて図示右側部位、永久磁石90及び位置決め部材100の各重力等の外力に影響されることなく、小型カメラCは、ケーシング60、永久磁石90及び位置決め部材100と共に、図13にて示すごとく、中心線L2上にてアクチュエータA2と同軸的に維持される。
【0068】
然る後、計時データDが0.1(秒)に達すると、ステップ550での判定がYESとなり、ステップ560において、第2正極性駆動信号並びに第1及び第3〜第5の負極性駆動信号の出力停止処理がなされる。これに伴い、アクチュエータA2においては、直流ソレノイド220が駆動回路330により直流電源PSから遮断されて消磁し、係合部材200cが、コイルスプリング200bにより付勢されてプランジャー250と共に軸動して、係合部260bにて、位置決め部材100のボス部100b内に中心線L2上にて同軸的に係合する。これにより、小型カメラCは、ケーシング60及び永久磁石90と共に、位置決め部材100によって中心線L2上に同軸的に位置決め保持され得る。なお、アクチュエータA2のプランジャー250は、その環状ストッパ部にて、ヨーク部210bの中央穴部213とは非係止状態にある。
【0069】
そして、このような位置決め保持状態において、小型カメラCにより、前方の像として、例えば、図15にて示す上側画像を撮影すれば、この撮像画像は、上側撮像データとして小型カメラCから画像処理回路300に出力される。これに伴い、当該上側撮像データは画像処理回路300によりデータ処理されて上側画像信号として出力される。
【0070】
また、上述のような第1及び第3〜第5の負極性駆動信号の出力停止処理に伴い、アクチュエータA1及びA3〜A5においては、各直流ソレノイド220が各駆動回路320及び340〜360により直流電源PSから遮断されて消磁する。このため、各プランジャー250は、対応の係合部材200cに対する対応のコイルスプリング200bの付勢力のもと、対応の案内筒230aに沿い対応の固定鉄心240から解離する方向に軸動する。なお、アクチュエータA1及びA3〜A5の各々において、プランジャー250は、その環状ストッパ部にて、対応のヨーク部210bの中央穴部213に係止して、対応のヨーク210から抜け止めされる。
【0071】
第2駆動処理ルーチン500の処理が以上のようにして終了すると、次のステップ500a(図7参照)において、画像入力処理がなされる。この画像入力処理では、上述した上側画像信号がマイクロコンピュータ310に上側画像データとして入力される。
【0072】
このようにしてステップ500aの処理が終了すると、次の第3駆動処理ルーチン600(図10参照)の処理がなされる。この第3駆動処理ルーチンでは、ステップ610において、計時データDがD=0と初期化される。ついで、ステップ620において、駆動回路340への第3正極性駆動信号の出力処理がなされる。この第3正極性駆動信号は、直流電源PSからの直流電圧VcをアクチュエータA3の直流ソレノイド220の両端子に正極性にて印加するように駆動回路340を駆動する信号である。
【0073】
このステップ620での処理後、次のステップ630において、駆動回路320、330、350及び360への第1、第2、第4及び第5の負極性駆動信号の出力処理がなされる。これら第1、第2、第4及び第5の負極性駆動信号は、それぞれ、直流電源PSからの直流電圧VcをアクチュエータA1、A2、A4及びA5の各直流ソレノイド220の両端子に負極性にて印加するように各駆動回路320、330、350及び360を駆動する信号である。
【0074】
ステップ630の処理後、ステップ640において、ステップ540での処理と同様に計時データDがD=(D+1)と加算更新される。なお、現段階では、D<0.1(秒)故、次のステップ650での判定はNOとなる。
【0075】
しかして、ステップ650でのNOとの判定及びステップ640での計時データの加算更新処理が繰り返されている間において、上述の第3正極性駆動信号に基づき駆動回路340が、直流電源PSからの直流電圧Vcを正極性に切り替えてアクチュエータA3の直流ソレノイド220の両端子に印加すると、直流電源PSからの直流電流が、アクチュエータA3のプランジャー250の内端部251をN極に着磁させる方向に電磁力を発生させるように、アクチュエータA3の直流ソレノイド220に流れる。これに伴い、アクチュエータA3のプランジャー250の外端部252はS極に着磁されると共に、当該プランジャー250が当該電磁力を磁気的吸引力として受けてアクチュエータA3の案内筒230a内を軸動してアクチュエータA3の固定鉄心240に吸引される。
【0076】
また、上述の第1、第2、第4及び第5の負極性駆動信号に基づき、駆動回路320、330、350及び360が、それぞれ、直流電源PSからの直流電圧Vcを負極性に切り替えて、アクチュエータA1、A2、A4及びA5の各直流ソレノイド220の両端子に印加すると、アクチュエータA1、A2、A4及びA5の各々においては、直流電源PSからの直流電流が、プランジャー250の内端部251をS極に着磁させる方向に電磁力を発生させるように、直流ソレノイド220に流れる。これに伴い、プランジャー250の外端部252はN極に着磁されると共に、当該プランジャー250が当該電磁力を磁気的吸引力として受けて案内筒230a内を軸動して固定鉄心240に吸引される。
【0077】
また、上述のようにアクチュエータA3のプランジャー250の外端部252がS極に着磁されるとともにアクチュエータA1、A2、A4及びA5の各プランジャー250の外端部252が共にN極に着磁されると、アクチュエータA3のプランジャー250の外端部252は永久磁石90のN磁極部との間で磁気的吸引力を発生するとともに、残りのアクチュエータA1、A2、A4及びA5の各プランジャー250の外端部252は永久磁石90のN磁極部との間で磁気的反発力を発生する。
【0078】
このため、永久磁石90は、そのN磁極部にて、アクチュエータA1、A2、A4及びA5の各プランジャー250の外端部252により磁気的に反発されながらアクチュエータA3のプランジャー250の外端部252により磁気的に吸引される。これに伴い、上記ジンバル機構の作動のもと、永久磁石90は、ケーシング60、小型カメラC及び位置決め部材100と共に、図13にて図示上方へ傾動し、位置決め部材100は、そのボス部100bにて、アクチュエータA3の係合部材200cの係合部260bと中心線L3上にて同軸的に対向する。従って、ケーシング60及び小型カメラCのうち傾動中心Coよりも図13にて図示右側部位、永久磁石90及び位置決め部材100の各重力等の外力に影響されることなく、小型カメラCは、ケーシング60、永久磁石90及び位置決め部材100と共に、中心線L3上にてアクチュエータA3と同軸的に維持される。
【0079】
然る後、計時データDが0.1(秒)に達すると、ステップ650での判定がYESとなり、ステップ660において、第3正極性駆動信号並びに第1、第2、第4及び第5の負極性駆動信号の出力停止処理がなされる。これに伴い、アクチュエータA3においては、直流ソレノイド220が駆動回路340により直流電源PSから遮断されて消磁し、係合部材200cが、コイルスプリング200bにより付勢されてプランジャー250と共に軸動して、係合部260bにて、位置決め部材100のボス部100b内に中心線L3上にて同軸的に係合する。これにより、小型カメラCは、ケーシング60及び永久磁石90と共に、位置決め部材100によって中心線L3上に同軸的に位置決め保持され得る。なお、アクチュエータA3のプランジャー250は、その環状ストッパ部にて、ヨーク部210bの中央穴部213とは非係止状態にある。
【0080】
そして、このような位置決め保持状態において、小型カメラCにより、前方の像として、例えば、図16にて示す下側画像を撮影すれば、この撮像画像は、下側撮像データとして小型カメラCから画像処理回路300に出力される。これに伴い、当該下側撮像データは画像処理回路300によりデータ処理されて下側画像信号として出力される。
【0081】
また、上述のような第1、第2、第4及び第5の負極性駆動信号の出力停止処理に伴い、アクチュエータA1、A2、A4及びA5においては、各直流ソレノイド220が各駆動回路320、330、350及び360により直流電源PSから遮断されて消磁する。このため、各プランジャー250は、対応の係合部材200cに対する対応のコイルスプリング200bの付勢力のもと、対応の案内筒230aに沿い対応の固定鉄心240から解離する方向に軸動する。なお、アクチュエータA1、A2、A4及びA5の各々において、プランジャー250は、その環状ストッパ部にて、対応のヨーク部210bの中央穴部213に係止して、対応のヨーク210から抜け止めされる。
【0082】
第3駆動処理ルーチン600の処理が以上のようにして終了すると、次のステップ600a(図7参照)において、画像入力処理がなされる。この画像入力処理では、上述した下側画像信号がマイクロコンピュータ310に下側画像データとして入力される。
【0083】
このようにしてステップ600aの処理が終了すると、次の第4駆動処理ルーチン700(図11参照)の処理がなされる。この第4駆動処理ルーチンでは、ステップ710において、計時データDがD=0と初期化される。ついで、ステップ720において、駆動回路350への第4正極性駆動信号の出力処理がなされる。この第4正極性駆動信号は、直流電源PSからの直流電圧VcをアクチュエータA4の直流ソレノイド220の両端子に正極性にて印加するように駆動回路350を駆動する信号である。
【0084】
このステップ720での処理後、次のステップ730において、駆動回路320〜340及び360への第1〜第3及び第5の負極性駆動信号の出力処理がなされる。これら第1〜第3及び第5の負極性駆動信号は、それぞれ、直流電源PSからの直流電圧VcをアクチュエータA1〜A3及びA5の各直流ソレノイド220の両端子に負極性にて印加するように各駆動回路320〜340及び360を駆動する信号である。
【0085】
ステップ730の処理後、ステップ740において、ステップ640での処理と同様に計時データDがD=(D+1)と加算更新される。なお、現段階では、D<0.1(秒)故、次のステップ750での判定はNOとなる。
【0086】
しかして、ステップ750でのNOとの判定及びステップ740での計時データの加算更新処理が繰り返されている間において、上述の第4正極性駆動信号に基づき駆動回路350が、直流電源PSからの直流電圧Vcを正極性に切り替えてアクチュエータA4の直流ソレノイド220の両端子に印加すると、直流電源PSからの直流電流が、アクチュエータA4のプランジャー250の内端部251をN極に着磁させる方向に電磁力を発生させるように、アクチュエータA4の直流ソレノイド220に流れる。これに伴い、アクチュエータA4のプランジャー250の外端部252はS極に着磁されると共に、当該プランジャー250が当該電磁力を磁気的吸引力として受けてアクチュエータA4の案内筒230a内を軸動してアクチュエータA4の固定鉄心240に吸引される。
【0087】
また、上述の第1〜第3及び第5の負極性駆動信号に基づき、駆動回路320〜340及び360が、それぞれ、直流電源PSからの直流電圧Vcを負極性に切り替えて、アクチュエータA1〜A3及びA5の各直流ソレノイド220の両端子に印加すると、アクチュエータA1〜A3及びA5の各々においては、直流電源PSからの直流電流が、プランジャー250の内端部251をS極に着磁させる方向に電磁力を発生させるように、直流ソレノイド220に流れる。これに伴い、プランジャー250の外端部252はN極に着磁されると共に、当該プランジャー250が当該電磁力を磁気的吸引力として受けて案内筒230a内を軸動して固定鉄心240に吸引される。
【0088】
また、上述のようにアクチュエータA4のプランジャー250の外端部252がS極に着磁されるとともにアクチュエータA1〜A3及びA5の各プランジャー250の外端部252が共にN極に着磁されると、アクチュエータA4のプランジャー250の外端部252は永久磁石90のN磁極部との間で磁気的吸引力を発生するとともに、残りのアクチュエータA1〜A3及びA5の各プランジャー250の外端部252は永久磁石90のN磁極部との間で磁気的反発力を発生する。
【0089】
このため、永久磁石90は、そのN磁極部にて、アクチュエータA1〜A3及びA5の各プランジャー250の外端部252により磁気的に反発されながらアクチュエータA4のプランジャー250の外端部252により磁気的に吸引される。これに伴い、上記ジンバル機構の作動のもと、永久磁石90は、ケーシング60、小型カメラC及び位置決め部材100と共に、図13にて図示上方から下方左側へ傾動し、位置決め部材100は、そのボス部100bにて、アクチュエータA4の係合部材200cの係合部260bと中心線L4上にて同軸的に対向する。従って、ケーシング60及び小型カメラCのうち傾動中心Coよりも図13にて図示右側部位、永久磁石90及び位置決め部材100の各重力等の外力に影響されることなく、小型カメラCは、ケーシング60、永久磁石90及び位置決め部材100と共に、中心線L4上にてアクチュエータA4と同軸的に維持される。
【0090】
然る後、計時データDが0.1(秒)に達すると、ステップ750での判定がYESとなり、ステップ760において、第4正極性駆動信号並びに第1〜第3及び第5の負極性駆動信号の出力停止処理がなされる。これに伴い、アクチュエータA4においては、直流ソレノイド220が駆動回路350により直流電源PSから遮断されて消磁し、係合部材200cが、コイルスプリング200bにより付勢されてプランジャー250と共に軸動して、係合部260bにて、位置決め部材100のボス部100b内に中心線L4上にて同軸的に係合する。これにより、小型カメラCは、ケーシング60及び永久磁石90と共に、位置決め部材100によって中心線L4上に同軸的に位置決め保持され得る。なお、アクチュエータA4のプランジャー250は、その環状ストッパ部にて、ヨーク部210bの中央穴部213とは非係止状態にある。
【0091】
そして、このような位置決め保持状態において、小型カメラCにより、前方の像として、例えば、図17にて示す右側画像を撮影すれば、この撮像画像は、右側撮像データとして小型カメラCから画像処理回路300に出力される。これに伴い、当該右側撮像データは画像処理回路300によりデータ処理されて右側画像信号として出力される。
【0092】
また、上述のような第1〜第3及び第5の負極性駆動信号の出力停止処理に伴い、アクチュエータA1〜A3及びA5においては、各直流ソレノイド220が各駆動回路320〜340及び360により直流電源PSから遮断されて消磁する。このため、各プランジャー250は、対応の係合部材200cに対する対応のコイルスプリング200bの付勢力のもと、対応の案内筒230aに沿い対応の固定鉄心240から解離する方向に軸動する。なお、アクチュエータA1〜A3及びA5の各々において、プランジャー250は、その環状ストッパ部にて、対応のヨーク部210bの中央穴部213に係止して、対応のヨーク210から抜け止めされる。
【0093】
第4駆動処理ルーチン700の処理が以上のようにして終了すると、次のステップ700a(図7参照)において、画像入力処理がなされる。この画像入力処理では、上述した右側画像信号がマイクロコンピュータ310に右側画像データとして入力される。
【0094】
このようにしてステップ700aの処理が終了すると、次の第5駆動処理ルーチン800(図12参照)の処理がなされる。この第5駆動処理ルーチンでは、ステップ810において、計時データDがD=0と初期化される。ついで、ステップ820において、駆動回路360への第5正極性駆動信号の出力処理がなされる。この第5正極性駆動信号は、直流電源PSからの直流電圧VcをアクチュエータA5の直流ソレノイド220の両端子に正極性にて印加するように駆動回路360を駆動する信号である。
【0095】
このステップ820での処理後、次のステップ830において、駆動回路320〜350への第1〜第4の負極性駆動信号の出力処理がなされる。これら第1〜第4の負極性駆動信号は、それぞれ、直流電源PSからの直流電圧VcをアクチュエータA1〜A4の各直流ソレノイド220の両端子に負極性にて印加するように各駆動回路320〜350を駆動する信号である。
【0096】
ステップ830の処理後、ステップ840において、ステップ740での処理と同様に計時データDがD=(D+1)と加算更新される。なお、現段階では、D<0.1(秒)故、次のステップ850での判定はNOとなる。
【0097】
しかして、ステップ850でのNOとの判定及びステップ840での計時データの加算更新処理が繰り返されている間において、上述の第5正極性駆動信号に基づき駆動回路360が、直流電源PSからの直流電圧Vcを正極性に切り替えてアクチュエータA5の直流ソレノイド220の両端子に印加すると、直流電源PSからの直流電流が、アクチュエータA5のプランジャー250の内端部251をN極に着磁させる方向に電磁力を発生させるように、アクチュエータA5の直流ソレノイド220に流れる。これに伴い、アクチュエータA5のプランジャー250の外端部252はS極に着磁されると共に、当該プランジャー250が当該電磁力を磁気的吸引力として受けてアクチュエータA5の案内筒230a内を軸動してアクチュエータA5の固定鉄心240に吸引される。
【0098】
また、上述の第1〜第4の負極性駆動信号に基づき、駆動回路320〜350が、それぞれ、直流電源PSからの直流電圧Vcを負極性に切り替えて、アクチュエータA1〜A4の各直流ソレノイド220の両端子に印加すると、アクチュエータA1〜A4の各々においては、直流電源PSからの直流電流が、プランジャー250の内端部251をS極に着磁させる方向に電磁力を発生させるように、直流ソレノイド220に流れる。これに伴い、プランジャー250の外端部252はN極に着磁されると共に、当該プランジャー250が当該電磁力を磁気的吸引力として受けて案内筒230a内を軸動して固定鉄心240に吸引される。
【0099】
また、上述のようにアクチュエータA5のプランジャー250の外端部252がS極に着磁されるとともにアクチュエータA1〜A4の各プランジャー250の外端部252が共にN極に着磁されると、アクチュエータA5のプランジャー250の外端部252は永久磁石90のN磁極部との間で磁気的吸引力を発生するとともに、残りのアクチュエータA1〜A4の各プランジャー250の外端部252は永久磁石90のN磁極部との間で磁気的反発力を発生する。
【0100】
このため、永久磁石90は、そのN磁極部にて、アクチュエータA1〜A4の各プランジャー250の外端部252により磁気的に反発されながらアクチュエータA5のプランジャー250の外端部252により磁気的に吸引される。これに伴い、上記ジンバル機構の作動のもと、永久磁石90は、ケーシング60、小型カメラC及び位置決め部材100と共に、図13にて図示左方から右方へ傾動し、位置決め部材100は、そのボス部100bにて、アクチュエータA5の係合部材200cの係合部260bと中心線L5上にて同軸的に対向する。従って、ケーシング60及び小型カメラCのうち傾動中心Coよりも図13にて図示右側部位、永久磁石90及び位置決め部材100の各重力等の外力に影響されることなく、小型カメラCは、ケーシング60、永久磁石90及び位置決め部材100と共に、中心線L5上にてアクチュエータA5と同軸的に維持される。
【0101】
然る後、計時データDが0.1(秒)に達すると、ステップ850での判定がYESとなり、ステップ860において、第5正極性駆動信号及び第1〜第4の負極性駆動信号の出力停止処理がなされる。これに伴い、アクチュエータA5においては、直流ソレノイド220が駆動回路350により直流電源PSから遮断されて消磁し、係合部材200cが、コイルスプリング200bにより付勢されてプランジャー250と共に軸動して、係合部260bにて、位置決め部材100のボス部100b内に中心線L5上にて同軸的に係合する。これにより、小型カメラCは、ケーシング60及び永久磁石90と共に、位置決め部材100によって中心線L5上に同軸的に位置決め保持され得る。なお、アクチュエータA5のプランジャー250は、その環状ストッパ部にて、ヨーク部210bの中央穴部213とは非係止状態にある。
【0102】
そして、このような位置決め保持状態において、小型カメラCにより、前方の像として、例えば、図18にて示す左側画像を撮影すれば、この撮像画像は、左側撮像データとして小型カメラCから画像処理回路300に出力される。これに伴い、当該左側撮像データは画像処理回路300によりデータ処理されて左側画像信号として出力される。
【0103】
また、上述のような第1〜第4の負極性駆動信号の出力停止処理に伴い、アクチュエータA1〜A4においては、各直流ソレノイド220が各駆動回路320〜350により直流電源PSから遮断されて消磁する。このため、各プランジャー250は、対応の係合部材200cに対する対応のコイルスプリング200bの付勢力のもと、対応の案内筒230aに沿い対応の固定鉄心240から解離する方向に軸動する。なお、アクチュエータA1〜A4の各々において、プランジャー250は、その環状ストッパ部にて、対応のヨーク部210bの中央穴部213に係止して、対応のヨーク210から抜け止めされる。
【0104】
第5駆動処理ルーチン800の処理が以上のようにして終了すると、次のステップ800a(図7参照)において、画像入力処理がなされる。この画像入力処理では、上述した左側画像信号がマイクロコンピュータ310に左側画像データとして入力される。
【0105】
このようにしてステップ800aの処理が終了すると、ステップ900において、画像合成処理がなされる。即ち、各ステップ400a、500a、600a、700a及び800aにて画像入力処理された中央画像データ、上側画像データ、下側画像データ、右側画像データ及び左側画像データが、図19にて示すパノラマ合成画像となるように合成処理される。そして、この合成画像がデータとして出力装置370に出力されて図19にて示すパノラマ合成画像として印刷される。
【0106】
以上説明したように、本実施形態では、小型カメラCをハウジング20内にて上記ジンバル機構でもって傾動可能に支持する構成を採用し、ハウジング20内において、永久磁石90を、小型カメラCの光軸上にてカメラ本体部C1と同軸的に支持し、各アクチュエータA1〜A5を、永久磁石90のN磁極部と対向し得るように、相互に所定角度(30°)だけ異にしてハウジング20の底壁20bに支持し、かつ、各アクチュエータA1〜A5に、直流ソレノイド220及びプランジャー250を採用した。
【0107】
しかして、例えば、小型カメラCの光軸を中心線L1上に一致させるように小型カメラCの撮影方向を制御するにあたり、アクチュエータA1の直流ソレノイド220に直流電圧を正極性にて印加して直流電流を流すことで、プランジャー250が、直流ソレノイド220内に吸引されるとともに、その外端部252にてS極に着磁されて永久磁石90のN磁極部を吸引して、小型カメラCの光軸を中心線L1上に一致させるようにした。
【0108】
従って、小型カメラCの撮影方向を中心線L1上に合わせる制御にあたり、直流ソレノイド220及びプランジャー250を有するアクチュエータA1、永久磁石90及び上記ジンバル機構という簡単な構成ですみ、その結果、小型カメラCの傾動角度を用いて行うフィードバック制御を採用する必要がなく、小型カメラCの傾動角度を検出する角度センサや小型カメラCを傾動するサーボモータ等の余分な構成素子も不要となるのは勿論のこと、マイクロコンピュータ310の作業負担が激減しかつ駆動回路320も簡単な構成ですむ。
【0109】
また、小型カメラCの撮影方向を中心線L1上に合わせる制御にあたり、残りのアクチュエータA2〜A5の直流ソレノイド220に直流電圧を負極性にて印加して直流電流を流すことで、プランジャー250が、直流ソレノイド220内に吸引されるとともに、その外端部252にてN極に着磁されて永久磁石90のN磁極部を磁気的に反発する。従って、アクチュエータA1のプランジャー250の外端部252による永久磁石90のN磁極部の吸引がより一層容易にかつ確実になされ得る。
【0110】
以上のようなことが小型カメラCの撮影方向を中心線L1以外の中心線上に合わせる制御においても実質的に同様に成立することは、上記実施形態の説明から容易に理解され得る。従って、上述のような構成のもと、フィードバック制御に依ることなく、小型かつ軽量な電動撮像装置の提供が可能となる。なお、本実施形態にて、各アクチュエータA1〜A5において、上述のように直流ソレノイド220に直流電流を流入させることを、直流ソレノイド220を直流駆動するともいう。
【0111】
また、例えば、小型カメラCを、中心線L1上に同軸的に位置決め保持するにあたり、上述のように、アクチュエータA1の直流ソレノイドへの直流電流を遮断することで、アクチュエータA1のプランジャー250の外端部を、永久磁石90に同軸的に支持した位置決め部材100のボス部に係合させるようにしたので、小型カメラCの中心線L1上での同軸的な位置決めがより一層確実に精度よく行える。このことは、小型カメラCを中心線L1以外の中心線上に同軸的に位置決め保持するにあたっても、実質的に同様に成立することは、上記実施形態の説明から容易に理解され得る。
【0112】
また、上述のように、小型カメラCが、ケーシング60及び永久磁石90と共に、位置決め部材100によって、中心線L1上、中心線L2上、中心線L3上、中心線L4上及び中心線L5上に同軸的に位置決め保持されている間は、各アクチュエータA1〜A5の直流ソレノイド220が共に直流電源PSから遮断されていることから、各アクチュエータA1〜A5での電力消費の節減にも役立つ。
【0113】
また、上述のように、小型カメラCの撮影方向制御が、所定角度間隔でハウジング20に支持した各アクチュエータA1〜A5相互間のプランジャー250の外端部をS極として着磁切り替えすることで行われるので、電動撮像装置に人間の眼球の断続性運動に相当する機能を与えつつ、広範囲の画像を高速にて撮影することができる。
【0114】
また、上述のような小型カメラCの各中心線上での精度のよい位置決めは、小型カメラCの傾動中心Coを中心とする小型カメラCの傾動のもとに行われる。従って、上述のように合成したパノラマ画像には、撮影位置の角度ずれによる各画像配置の矛盾が発生することがない。
【0115】
なお、本発明の実施にあたり、上記実施形態に限ることなく、次のような種々の変形例が挙げられる。
(1)位置決め部材100は、係合部材200cをも含めて、位置決め機構を構成するものとしてもよい。
(2)アクチュエータA1〜A5に限ることなく、アクチュエータの数は適宜変更してもよい。
(3)アクチュエータA1〜A5の配置角度は30°に限ることなく、適宜変更してもよい。
(4)永久磁石90のS磁極部とN磁極部をいれかえるとともに、アクチュエータのプランジャー250の外端部252の着磁をS極とN極でいれかえるように、直流ソレノイド220への直流電流の流れ方向を入れかえてもよい。
(5)コイルスプリング200bに限らず、螺旋状バネ等のコイルスプリングと同様の付勢機能を有するバネをコイルスプリング200bに代えて採用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電動撮像装置の一実施形態を示す側面図である。
【図2】図1にて2−2線に沿う断面図である。
【図3】上記電動撮像装置の概略縦断面図である。
【図4】(a)は、永久磁石及び位置決め部材とアクチュエータとの直流ソレノイドの励磁時における部分断面側面図であり、(b)は、永久磁石及び位置決め部材とアクチュエータとの直流ソレノイドの消磁時における部分断面側面図である。
【図5】アクチュエータ本体の半断面側面図である。
【図6】電動撮像装置の電気回路構成図である。
【図7】図6のマイクロコンピュータの作用を示すフローチャートである。
【図8】図6のマイクロコンピュータにより実行される第1駆動処理ルーチンの詳細フローチャートである。
【図9】図6のマイクロコンピュータにより実行される第2駆動処理ルーチンの詳細フローチャートである。
【図10】図6のマイクロコンピュータにより実行される第3駆動処理ルーチンの詳細フローチャートである。
【図11】図6のマイクロコンピュータにより実行される第4駆動処理ルーチンの詳細フローチャートである。
【図12】図6のマイクロコンピュータにより実行される第5駆動処理ルーチンの詳細フローチャートである。
【図13】上記電動撮像装置の作動例を示す概略縦断面図である。
【図14】中央画像の例示図である。
【図15】上側画像の例示図である。
【図16】下側画像の例示図である。
【図17】右側画像の例示図である。
【図18】左側画像の例示図である。
【図19】パノラマ合成画像を示す図である。
【符号の説明】
20…ハウジング、20b…底壁、30…回動部材、
40、50、70、80…支持軸、60…ケーシング、90…永久磁石、
100…位置決め部材、200b…コイルスプリング、
220…直流ソレノイド、250…プランジャー、
310…マイクロコンピュータ、320〜360…駆動回路、
A1〜A5…アクチュエータ、C…小型カメラ、C1…カメラ本体、
C2…カメラレンズ部、N、S…磁極部、PS…直流電源。
Claims (3)
- ハウジングと、
このハウジング内にてジンバル機構により傾動中心にて傾動可能に支持される小型カメラであってその前部にて前記ハウジングの開口部から外方を臨む小型カメラと、
この小型カメラの後部と前記ハウジングの底壁との間にて当該小型カメラの後部と同軸的に位置するように支持された永久磁石であってその両逆極性磁極部を前記小型カメラと同軸的に位置させる永久磁石と、
前記小型カメラの傾動中心に向くように前記ハウジングの底壁に互いに角度を異にして放射状に嵌着された複数のアクチュエータであって直流ソレノイド、この直流ソレノイド内に前記両逆極性磁極部のうち前記小型カメラの後部とは反対側の磁極部に対向するように軸動可能に嵌装されるプランジャー及びこのプランジャーを前記反対側の磁極部に向けて付勢するバネを同軸的に有する複数のアクチュエータと、
当該複数のアクチュエータのうちの一アクチュエータの直流ソレノイドを所定極性にて直流駆動する第1直流駆動手段と、
前記複数のアクチュエータのうち前記一アクチュエータを除く残りの各アクチュエータの直流ソレノイドを前記所定極性とは逆極性にて直流駆動する第2直流駆動手段とを備えて、
前記一アクチュエータの直流ソレノイドは、前記所定極性による直流駆動に伴い、前記一アクチュエータのプランジャーを吸引するとともに当該プランジャーの外端部を前記反対側の磁極部とは異なる極性に着磁させ、前記残りの各アクチュエータの直流ソレノイドは、それぞれ、当該残りの各アクチュエータのプランジャーを吸引するとともに当該各プランジャーの外端部を前記反対側の磁極部と同一極性に着磁させ、
前記小型カメラは、前記反対側の磁極部と前記残りの各アクチュエータのプランジャーの外端部との間の反発力のもと、前記反対側の磁極部と前記一アクチュエータのプランジャーの外端部との間の吸引に基づき、前記ジンバル機構の作動に応じて、前記一アクチュエータと同軸的に位置するように前記傾動中心を基準に傾動するようにした電動撮像装置。 - 前記複数のアクチュエータの各々において、前記プランジャーの外端部を前記反対側の磁極部側に露呈させるように当該外端部と同軸的に嵌着された係合部材であって当該プランジャーに対応する前記バネにより前記反対側の磁極部に向け付勢される係合部材と、
前記永久磁石の前記反対側の磁極部に同軸的に設けられた非磁性材料からなる位置決め部材であって前記反対側の磁極部よりも前記ハウジングの底壁側にて同軸的に形成されて前記各係合部材のいずれかにより係合される凹状ボス部を有する位置決め部材と、
前記小型カメラが前記一アクチュエータと同軸的に位置するように傾動した状態にて、当該一アクチュエータの係合部材がこれに対応する前記プランジャーと共に対応の前記バネにより付勢されて前記位置決め部材の凹状ボス部に同軸的に係合するように前記複数のアクチュエータのうち少なくとも一アクチュエータの直流ソレノイドの直流駆動を停止する直流駆動停止手段とを備えることを特徴とする請求項1に記載の電動撮像装置。 - 前記第1直流駆動手段により直流駆動する一直流ソレノイド及び前記第2直流駆動手段により直流駆動する残りの各直流ソレノイドを順次切り替えるように制御する制御手段と、
前記小型カメラが前記複数のアクチュエータのいずれかと順次同軸的に位置するように傾動するごとに、前記小型カメラによりその各傾動位置にて各前方の像を撮影し順次画像として入力する画像入力手段と、
この画像入力手段に入力した各画像をパノラマ画像として合成する画像合成手段とを備えることを特徴とする請求項1或いは2に記載の電動撮像装置。
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