JP4215257B2 - 光ファイバ余長収納部の構造 - Google Patents

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Description

本発明は、指定の光ファイバコード(以下、単に「光ファイバ」という)を自動的に接続・抜去を行う光ファイバ自動接続切替装置などに使用される光ファイバ余長収納部の構造に関する。
従来、光ファイバのアクセス網や光ファイバが配線されているインテリジェントビルディングなどにおいては、光ファイバの配線の保守・運用を自動化するために、入力側光ファイバと、出力側光ファイバとを接続・抜去する光ファイバ自動接続切替装置が使用されている。この光ファイバ自動接続切替装置は、出力側光ファイバが挿通される整列孔を複数穿設した整列盤と、その整列孔に挿通された光ファイバの端部に設置されたプラグを挿入・抜去可能にしたアダプタを複数設けた接続盤と、この接続盤と整列盤との間に移動自在に設けられるとともに、前記プラグを把持するフィンガを備えて出力側光ファイバを引き出し、そのプラグをアダプタに対して接続・抜去を行うロボットのハンド機構とから構成されている(例えば、特許文献1参照)。
光ファイバ自動接続切替装置では、複数の光ファイバが互いに干渉したり、装置内部と干渉したりすることを防止するために、余剰となる光ファイバの余長部を作業空間から撤去して、別に設けられた収納部に収納している。また、光ファイバの接続の切り替えによって光ファイバ自動接続切替装置の入力側および出力側光ファイバの接続関係が変更されると、各回線の光ファイバの配線長が変化して、配線に必要な長さに対して過不足が生じることがある。
この場合には、収納部に収納してあった余長の光ファイバを引き出す必要がある。したがって、光ファイバの余長部は、不要時に収納部に収納しておいて、必要時に引き出すため、引き出しおよび引き込みを円滑に行えるようにしておく必要がある。このような観点から、従来、光ファイバの余長部を収納するための収納空間が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
図5は、従来の光ファイバ自動接続切替装置に設置されている光ファイバ余長収納ケースを示す図で、表側の側板を外した状態を示す側面図である。図6は、従来の光ファイバ自動接続切替装置に設置されている光ファイバ余長収納ケースを示す要部分解正面図である。
従来から光ファイバ自動接続切替装置には、図5に示すように、光ファイバ500の余長部510を収納する収納部240を有する光ファイバ余長収納ケース(以下、単に「ケース」という)100が複数個並べて設置されている。そのケース100は、縦方向に扁平な収納部240を有する薄い箱型形状のケース本体200と、収納部240を閉塞するために配置された蓋部材300(図6参照)とから構成されている。
光ファイバ500の余長部510は、通路空間210から収納部240内に引き込まれて、略半円状に収納部240内に突出した島部230の周囲をUターンして、通路空間220から収納部240外に配線されている。
収納部240には、図6に示すように、縦方向に沿って中央に分割板400が配置されており、収納部240がその分割板400によって両側2つに分割されて、蓋部材300によって閉塞されている。
その蓋部材300は、ケース本体200に設けられた突起250に、外周縁部の近傍に穿設した係止孔310を嵌合することによって、ケース本体200に取り付けられている。
特開平7−318820号公報(段落0010〜0012、図1〜図2) 特開2003−255144号公報(段落0022〜0025、図1、図3)
しかしながら、図5および図6に示すようなケース100にあっては、収納部240を分割板400で2つに分割して、分割された収納空間にそれぞれ1本づつ光ファイバ500の余長部510を収納している。このため、多数の光ファイバ500の余長部510を収納する場合には、ケース100を複数並べて設けなければならないため、全体的に横方向に大きくなるという問題点がある。
そして、光ファイバの収納本数を増加すべくケース100を複数並べて設けた場合、光ファイバ500は、曲げ剛性が弱いので、光ファイバを高密度に配置できないため、光ファイバ自動接続切替装置のハンド機構の移動距離を大きくして、装置全体を水平方向に大きくする必要がある。しかしながら、光ファイバ自動接続切替装置は、装置全体が大型化すると、装置のコストも増大するという問題点がある。
また、ケース100の厚さを薄くする場合は、ケース100が薄くなることによって剛性が低下して、外力などでケース100が変形し易くなり、安定した均一の剛性を備えた収納部240を維持することができなくなる。ケース100が変形した場合には、光ファイバ500の余長部510が収納部240の内壁に圧接して、余長部510と内壁との間に摩擦が発生する。この摩擦によって余長部510は、所定値の曲率半径未満に湾曲して光ファイバ500の光伝送性が損なわれたり、また、光ファイバ500の途中の箇所が歪んだ箇所に引っ掛かり収納部240内に収納できないという問題が発生することがある。
このような問題点があるため、従来のケース100の厚さを薄くすることは、限界状態にある。
本発明の課題は、光ファイバの光伝送性を損なうことなく、確実に複数の光ファイバの余長部を高密度に収納でき、作業性がよく、かつ、収納された光ファイバの引き出し・引き込みが円滑に行える低コストの光ファイバ余長収納部の構造を提供することにある。
前記課題を解決するために、請求項1に記載の光ファイバ余長収納部の構造は、複数の光ファイバの余長部を収納する光ファイバ余長収納ケースを備えた光ファイバ余長収納部の構造において、前記光ファイバ余長収納ケースは、前記複数の光ファイバの余長部を略U字状に湾曲した状態で収納する収納部と、前記複数の光ファイバの余長部が前記収納部に出入りする出入口と、この出入口から前記収納部に収納される前記複数の光ファイバの余長部をそれぞれ整列させるガイド溝と、を備え、前記ガイド溝は、前記複数の光ファイバの余長部がそれぞれ配線方向に進退自在に支持されるC字状の溝からなるとともに、前記出入口の開口部に配置されたことを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、光ファイバ余長収納ケースは、光ファイバの余長部が収納される収納部を備えて、この収納部に出入りする光ファイバの余長部をガイド溝によって整列させる。収納部に収納された光ファイバの余長部は、ガイド溝に案内されて整列された状態で収納される。このため、収納部は、1つの収納空間に複数の光ファイバの余長部が収納されても、余長部同士が互いに絡み合うことが防止されるため、複数の余長部が高密度に収納される。
さらに請求項に記載の発明によれば、ガイド溝は、光ファイバが着脱可能に係合される溝からなることにより、光ファイバを配線方向に移動自在に支持することができる。このため、光ファイバに外力が負荷されたときに、光ファイバが移動してその外力を吸収し、外力で折れて破断することが防止される。
また、出入口の開口部にガイド溝を設けたことにより、光ファイバが出入口に引っ掛からなくなるため、光ファイバの余長部の引き出しおよび引き込みが無理なくスムーズに行える。さらに、光ファイバの余長部は、ガイド溝にワンタッチで着脱できるため、余長部をガイド溝に係合させる作業が容易である。
請求項に記載の光ファイバ余長収納部の構造は、請求項に記載の光ファイバ余長収納部の構造であって、前記ガイド溝は、前記出入口から前記収納部に収納される前記複数の光ファイバの余長部における手前の部分をガイドすべく前記出入口の外側に配置されていることを特徴とする。
請求項に記載の発明によれば、ガイド溝は、出入口の外側に配置されていることにより、出入口から収納部に収納される光ファイバの手前の部分を所望値以上の曲率半径で湾曲するように配置して、良好な光伝送性を維持させるようにガイドすることが可能である。
請求項に記載の光ファイバ余長収納部の構造は、請求項1または請求項に記載の光ファイバ余長収納部の構造であって、前記ガイド溝は、このガイド溝を設置するための箇所に着脱自在に設置されるガイド部材に形成されたことを特徴とする。
請求項に記載の発明によれば、ガイド溝は、このガイド溝が設置される箇所に着脱自在に設置されるガイド部材に形成されることにより、複数の光ファイバの余長部をガイド溝に嵌合した状態で設置することができるため、余長部を収納部に収納させる際の作業性を向上させる。
請求項に記載の光ファイバ余長収納部の構造は、請求項2または請求項3に記載の光ファイバ余長収納部の構造であって、前記開口部には、前記複数の光ファイバの余長部をガイドする蓋部材が設置されていることを特徴とする。
請求項に記載の発明によれば、開口部には、ガイド溝によって整列された複数の光ファイバの収納部に収納される途中部分をガイドする蓋部材が設置される。これにより、光ファイバを収納部に出し入れするときに、光ファイバの弾性力によってこの光ファイバはガイド溝から離脱することが防止される。特に、光ファイバを曲げる箇所においては、その蓋部材を設けたことにより、蓋部材によって光ファイバを保持できるため、ガイド溝が短くても、ガイド溝に光ファイバを嵌め込む作業を効率的にできる。
なお、前記蓋部材には、前記開口部に嵌合してこの開口部の内壁とで前記出入口を形成するとともに、前記光ファイバの余長部が所定値未満の曲率半径で湾曲することを防止する半円状凸部を形成することが望ましい。
このようにすることで、余長部は、引っ張れたときに、常に所定値以上の曲率半径で湾曲するようになり、折れて破断することが防止される。
請求項に記載の光ファイバ余長収納部の構造は、請求項2ないし請求項のいずれか1項に記載の光ファイバ余長収納部の構造であって、前記開口部の外側には、前記収納部に収納される前記複数の光ファイバの余長部を湾曲した状態に支持する固定部材が隣設されていることを特徴とする。
請求項に記載の発明によれば、開口部の外側に、固定部材が隣設されることにより、光ファイバは固定部材によって湾曲した状態に支持されて、開口部にガイドされる。
請求項に記載の光ファイバ余長収納部の構造は、請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載の光ファイバ余長収納部の構造であって、前記収納部内には、この収納部に挿入された前記複数の光ファイバの余長部の湾曲を規制するガイドピンを複数配置したことを特徴とする。
請求項に記載の発明によれば、収納部内には、この収納部に挿入された光ファイバの余長部の湾曲を規制するガイドピンが複数配置されている。このため、光ファイバの余長部を収納部内に収納したときに、例えば、光ファイバがヘアピンカーブのように鋭く湾曲変形して、曲率半径が所定値未満に短くなることが抑制される。このため、光ファイバの余長部は、収納部内で、曲率半径が短く滑らかな曲線を描くように湾曲変形することにより、光ファイバが折れて破断することを防止できるため、光ファイバを高密度に収納することができる。
また、光ファイバ余長収納ケースは、収納部内にガイドピンを設けたことにより、このガイドピンを光ファイバ余長収納ケースの支柱としても設けることができるため、光ファイバ余長収納ケースを補強して、ケース全体を薄肉構造にすることも可能となる。
請求項に記載の光ファイバ余長収納部の構造は、請求項に記載の光ファイバ余長収納部の構造であって、前記光ファイバ余長収納ケースは、前記収納部の内側壁を形成するケース本体と、前記収納部の表裏面を形成するとともに、前記ガイドピンが設けられた側板と、から形成されていることを特徴とする。
請求項に記載の発明によれば、光ファイバ余長収納ケースは、光ファイバをガイドピンで点によって支持して、光ファイバを所望値以上の曲率半径に湾曲変形させるようにすることができる。ガイドピンの周囲に配置されるケース本体を肉厚の薄いもので形成することが可能となるため、材料費を削減してコストの低減を図るとともに、光ファイバ余長収納ケースの軽量化を図ることができる。また、各ガイドピンが側板の支柱の役目もするため、光ファイバ余長収納ケース全体の剛性を向上させることができる。
以上説明したように、本発明の請求項1に記載の光ファイバ余長収納部の構造によれば、収納部に収納される光ファイバの余長部をガイド溝に案内させて整列された状態で収納させることができるため、高密度に収納することができる。これにより、1つの収納空間からなる収納部に多数の光ファイバの余長部を収納した場合でも、余長部同士が互いに絡み合うことが防止されるため、光ファイバが外力などで折れて破断することを防止することができるとともに、狭いスペースに多数の光ファイバの余長部を収納できる。
さらに、本発明の請求項1の発明は、ガイド溝によって光ファイバを着脱可能に、かつ、移動自在に支持することができるため、光ファイバが外力で折れて破断することを防止することができる。さらに、光ファイバは、ガイド溝にワンタッチで着脱して支持させることができるため、光ファイバの余長部を収納部に配線させる作業を容易にするができる。また、そのガイド溝は、光ファイバが出入口に引っ掛かることを防止して、光ファイバの余長部の引き出しおよび引き込みを無理なくスムーズに行うことができる。
本発明の請求項に記載の光ファイバ余長収納部の構造によれば、ガイド溝によって、出入口から収納部に収納される光ファイバの手前の部分を所望値以上の曲率半径で湾曲するように配置して、良好な光伝送性を維持させるようにガイドすることができる。
本発明の請求項に記載の光ファイバ余長収納部の構造によれば、複数の光ファイバの余長部をガイド溝に嵌合した状態で設置することができるため、余長部を収納部に収納させる作業性を向上させることができる。
本発明の請求項に記載の光ファイバ余長収納部の構造によれば、光ファイバを収納部に出し入れするときに、光ファイバの弾性力によって光ファイバがガイド溝から離脱することを防止することができる。特に、光ファイバを曲げる箇所においては、蓋部材によって光ファイバを保持できるため、ガイド溝が短くても、ガイド溝に光ファイバを嵌め込む作業を効率的に行えるようにすることができる。
本発明の請求項に記載の光ファイバ余長収納部の構造によれば、開口部の外側には、固定部材が隣設されることにより、光ファイバが固定部材によって所定値以上の曲率半径で湾曲するように支持して開口部にガイドすることができる。
本発明の請求項に記載の光ファイバ余長収納部の構造によれば、ガイドピンは、光ファイバの余長部を収納部内に収納したときに、光ファイバが所定値未満の曲率半径で湾曲することを抑制することができる。このため、光ファイバが折れて破断することを防止でき、光ファイバを高密度に収納することができる。また、光ファイバ余長収納ケースは、収納部内にガイドピンを設けたことにより、
本発明の請求項に記載の光ファイバ余長収納部の構造によれば、光ファイバ余長収納ケースは、光ファイバをガイドピンで点によって支持して、光ファイバを所望値以上の曲率半径に湾曲変形させるようにすることができる。また、ガイドピンが収納部の表裏面を形成する側板に設けられることにより、ガイドピンの周囲に配置されるケース本体を肉厚の薄いもので形成することが可能となるため、材料費を削減してコストの低減を図るとともに、光ファイバ余長収納ケースの軽量化を図ることができる。
以下、図1〜図4を参照して、本発明の実施の形態に係る光ファイバ余長収納部の構造を説明する。
以下、光ファイバ余長収納部の構造の一例として、光ファイバ2の接続・抜去をする接続切替作業を自動的に行う光ファイバ自動接続切替装置1に使用される光ファイバ余長収納ケース(以下、単に「ケース」という)3を挙げて本発明の実施の形態を説明する。
図1は、光ファイバ余長収納ケースの設置状態を示す光ファイバ自動接続切替装置の側面図である。
≪光ファイバ自動接続切替装置≫
図1に示すように、光ファイバ自動接続切替装置1は、水平面の一直線方向であるX軸方向と、このX軸方向に直交するY軸方向と、垂直方向であるZ軸方向とに移動自在な移動機構(図示せず)を備えて、ロボットのハンド機構6が自在に移動して光ファイバ2の接続・抜去をする接続切替作業を自動的に行う装置である。この光ファイバ自動接続切替装置1は、入力側光ファイバ2aと、出力側光ファイバ2bと、プラグP1,P2と、アダプタAと、接続盤4と、整列盤5と、ロボットのハンド機構6と、巻き取り機構7と、光ファイバ余長収納ケース3とを備えて構成されている。
≪光ファイバ≫
光ファイバ2は、単心の光ファイバコードであって、入力側光ファイバ2aと、余長部2cを有する出力側光ファイバ2bと、外部配線側光ファイバ2dとからなる。この光ファイバ2は、2本以上を横方向に1列に並べて配線されている。以下、光ファイバ2を8本配設した場合を例に挙げて説明する。
<入力側光ファイバ>
入力側光ファイバ2aの端末には、アダプタAに接続される接続用のプラグP1が設置されている。
<出力側光ファイバ>
出力側光ファイバ2bの端末には、アダプタAに接続される接続用のプラグP2が設置されている。この出力側光ファイバ2bは、ハンド機構6による接続の切替作業をスムーズに行えるようにするために、余長部2cを有する。出力側光ファイバ2bは、整列盤5の整列孔(図示せず)、巻き取り機構7の巻き取りローラ間、ケース3およびコネクタCを介して光ファイバ自動接続切替装置1の外部に引き出されている。
<余長部>
余長部2cは、開口部3bの上側から下側に向けて略U字状に湾曲した状態でケース3の収納部3aに収納されている。この余長部2cは、例えば、出力側光ファイバ2bを進退させると、それに連動して収納部3a内で拡がるように湾曲したり、縮むように湾曲する。余長部2cは、後記する固定部材8と蓋部材9とで挟持されるようにしてケース3に導かれるとともに、後記するケース3の開口部3bに設けられたガイド溝Dによってケース3内に導かれている。
≪接続盤≫
図1に示すように、接続盤4は、アダプタAを横1列に8個並べて保持し、入力側光ファイバ2aと出力側光ファイバ2bとを接続させる前記アダプタAが設置される部材からなる。
アダプタAは、その入力側光ファイバ2aのプラグP1と、出力側光ファイバ2bのプラグP2とが接続・抜去される光コネクタプラグからなる。
≪整列盤≫
整列盤5は、出力側光ファイバ2bのプラグP2を整列・保持する整列孔(図示せず)を1列に並べて穿設して、出力側光ファイバ2bを保持する部材であり、例えば、接続盤4と対称的な後側に寄った位置に配置されている。
≪ハンド機構≫
図1に示すように、ハンド機構6は、開閉可能のフィンガ(図示せず)でプラグP2を把持して引き出し、そのプラグP2をアダプタAに自動的に接続・抜去を行うロボットからなる。ハンド機構6は、接続盤4と整列盤5とが対向する間の空間内において、X軸駆動機構とY軸駆動機構とによりX軸およびY軸方向に進退して、指定の位置に移動できるように配置されるとともに、このハンド機構6に設置されたZ軸駆動機構によりZ軸方向にも移動できるように構成されている。
<巻き取り機構>
巻き取り機構7は、アダプタAからプラグP2を抜き去った出力側光ファイバ2bを巻き取る装置であり、例えば、巻き取りプーリと巻き取り用のローラとによって構成されている。
≪固定部材≫
図1に示すように、固定部材8は、巻き上げ機構7によって巻き取った光ファイバ2の余長部2cをケース3にUターンさせるように湾曲させて入口3cに案内するための部材であり、合成樹脂によって形成されている。この固定部材8は、側面視して略半円状の部材であり、上端部が前記巻き取りプーリと巻き取り用のローラとの前方に配置され、下端部がケース3の開口部3bの上側に配置されている。固定部材8の蓋部材9側の外周部には、光ファイバ2を挿通するための通路8aが形成され、この通路8aの上端部と中央部には、後記するガイド溝Dが形成されたガイド部材10,10を取り付けるための設置溝8b,8bが設けられている。
なお、固定部材8は、後記するケース3と一体に形成しても、分離して取り付け可能な状態に形成してもどちらでもよい。
≪蓋部材≫
蓋部材9は、固定部材8の通路8aに配線された光ファイバ2を覆って保護するとともに、ケース3の収納部3a内に配線された余長部2cが所定値未満の曲率半径に湾曲して折れることを防止するための部材であり、合成樹脂によって形成されている。また、この蓋部材9は、光ファイバ2が配線された固定部材8の外側に配置されることにより、光ファイバ2をUターンするように支持し、かつ、ガイドすることができる。この蓋部材9には、固定部材8の対向する位置に形成されて、この固定部材8が合致する半円状凹部9aと、ケース3の開口部3bに嵌合する半円状凸部9bと、この蓋部材9を固定部材8に係止させるための係止突起9cとが形成されている。
図2は、一方の側板を取り外した状態のケースの分解側面図である。
図2に示すように、蓋部材9は、ガイド部材10を固定部材8の上端部(設置溝8b)および中央部(設置溝8b)と、開口部3bの上端部(設置溝31c)および下端部(設置溝31c)とにそれぞれガイド部材10を取り付けて、さらに、各ガイド部材10に光ファイバ2を係合させるとともに、固定部材8の通路8aおよびケース3の収納部3aに光ファイバ2を配線した状態で、固定部材8を半円状凹部9aで覆い、開口部3bを半円状凸部9bで閉塞するようにして、係止突起9cを固定部材8の係止部(図示せず)に係止して取り付けられている。
なお、開口部3bに嵌合された半円状凸部9bは、この開口部3bの内壁とで入口3cおよび出口3dを形成するとともに、余長部2cが引っ張られたときに所定値未満の曲率半径で湾曲することを防止する従来の島部230(図5参照)の機能を有する。
≪ケース≫
ケース3は、巻き取り機構7(図1参照)によって巻き取った光ファイバ2の余長部2cを湾曲させた状態に収納するための薄型の箱体であり、光ファイバ2の配線方向に長い長方形をしている。このケース3は、例えば、接続盤4、整列盤5、ハンド機構6および巻き取り機構7の下側に設置されている(図1参照)。このケース3は、収納部3aを有するケース本体31と、このケース本体31の左右に設置されて収納部3aを両側から閉塞する側板32,33(図3参照)とを主に構成されている。このケース3には、前記収納部3aと、光ファイバ2が収納部3aに出入りする入口3cおよび出口3dと、この入口3cおよび出口3dから収納部3aに収納される光ファイバ2を整列させるガイド溝D,Dとが備えられている。
なお、ケース3は、光ファイバ2の数が8本以上である場合には、このケース3を厚さ方向に複数並べて設ければ、多数の光ファイバ2を収納することができる。
<ケース本体>
図2に示すように、ケース本体31は、収納部3aの周縁と開口部3bの周縁とを形成するための骨格となる部材であり、例えば、合成樹脂によって形成されている。このケース本体31の開口部3bの周辺部位には、側板32,33(図3参照)に穿設された孔(図示せず)に着脱自在に嵌合される突起31aが複数形成されている。
<収納部>
収納部3aは、巻き取り機構7(図1参照)によって巻き取った光ファイバ2の余長部2cを湾曲させた状態に収納する長方形状の空間からなる。この収納部3aは、枠状のケース本体31と、このケース本体31の前面および裏面全体に配置される側板32,33(図3参照)と、後記するガイドピンGと、開口部3bとによって構成されている。この収納部3a内には、複数(例えば、13個)のガイドピンGが開口部3bから奥壁31b側に向かって適宜な間隔を介してU字状に曲線を描くように配置させて、側板32,33(図3参照)間に架設されている。
<開口部>
開口部3bには、後記するガイド部材10,10が設置されるとともに、蓋部材9の半円状凸部9bが挿入される。この開口部3bには、半円状凸部9bが挿入されることにより、開口部3bと半円状凸部9bとの間に、光ファイバ2が収納部3aに出入りする入口3cと出口3dとが形成される(図1参照)。
なお、入口3cおよび出口3dは、特許請求の範囲に記載の「出入口」に相当する。
<側板>
図3は、光ファイバを取り外した状態のケースの側面図である。
図3に示す側板32,33は、収納部3aおよび開口部3b(図2参照)を両側面から閉塞するための平板部材であり、収納部3aの前後方向の2つの平面を形成する部材である。側板32,33は、例えば、ケース本体31の両側面に設置される平らな薄板状の樹脂部材からなる。図3に示すように、一方の側板32には、中空状のガイドピンGを支持するための突棒32aが一体形成されている。他方の側板33には、その突棒32aの先端が挿入される孔(図示せず)が突棒32aに対応して穿設されている。
≪ガイドピン≫
図2に示すように、ガイドピンGは、余長部2cが外側に膨れるように湾曲したときに、奥壁31bの上下端部に圧接して、その湾曲変形が所定値(例えば、数十mm程度)未満の曲率半径値にならないように規制するとともに、入口3cから収納部3a内に入った余長部2cが出口3dに向かって湾曲するように規制するための部材である。このガイドピンGは、例えば、突棒32aに回動自在に挿入された筒状の部材からなり、収納部3aの内壁の近傍に、所定値以上の曲率半径を描くように、所望間隔で略U字状に配置されている(図3参照)。こうすることで、ガイドピンGは、収納部3aに収納された光ファイバ2の余長部2cが前記曲率半径未満で湾曲して、光伝送性が低下したり、折れて破断することを防止している。
≪ガイド部材≫
図4は、ガイド部材の拡大斜視図である。
図2に示すように、ガイド部材10は、光ファイバ2を進退自在に支持するための8つのガイド溝D(図4参照)を形成して、固定部材8の上端部および外側中央部と、ケース本体31の開口部3bの内側上端部および内側下端部とにそれぞれ着脱自在に設置される。このガイド部材10は、例えば、合成樹脂によって形成されている。
図3に示すように、固定部材8の上端部および外側中央部と、ケース本体31の開口部3bの内側上端部および内側下端部には、ガイド部材10を設置するための設置溝8b,31cがそれぞれ形成され、その設置溝8b,31cには、ガイド部材10に設けられて係止爪10aが係止する係止部8c,31dがそれぞれ形成されている。
<ガイド溝>
ガイド溝Dは、入口3c(図1参照)から収納部3aに引き込まれる8本の光ファイバ2が交差して絡み合わないように等間隔に整列させるためのC字状の8つの溝であり、光ファイバ2が配線方向に進退でき、かつ、このガイド溝Dの開口から光ファイバ2を着脱できるように形成されている。ガイド溝Dは、光ファイバ2を着脱する際に、弾性変形して開くように形成されている。ガイド溝Dは、固定部材8の上端部および中央部と、開口部3bの入口3cおよび出口3dに配設されている(図1参照)。固定部材8の上端部および中央部に配置されたガイド溝Dは、入口3cから収納部3aに収納される光ファイバ2の手前の部分をガイドすべく、入口3cの外側に配置したものである(図1参照)。ガイド溝Dは、例えば、直径が0.9mmの8本の光ファイバ2を保持する場合、ガイド部材10の幅が12mmで、溝径が0.95mm、溝ピッチが1.25mmで、各光ファイバ2を高密度に整列させてガイドできるように形成されている。
なお、ガイド溝Dは、固定部材8とケース本体31に直接形成しても、光ファイバ2を整列させる機能を有する。
≪作用≫
次に、図1〜図4を参照して、ケース3に収納される光ファイバ2の余長部2cの作用を配線手順とともに説明する。
図1に示すように、光ファイバ2の出力側光ファイバ2bは、光ファイバ自動接続切替装置1内において、一方のプラグP2側が接続盤4のアダプタAに接続され、他方側が整列盤5、巻き取り機構7を介して、固定部材8の通路8aでUターンするように湾曲され、入口3cからケース3の収納部3a内に引き込まれて、さらに、Uターンするように湾曲されて、出口3dを通ってコネクタCに接続されている。すなわち、出力側光ファイバ2bは、略S字状に曲げて余長部2cを配線している。
そして、光ファイバ2の余長部2cを収納部3aに収納する場合には、まず、8本の光ファイバ2を各ガイド部材10の各ガイド溝Dにそれぞれ挿入する(図4参照)。そうすると、8本の光ファイバ2は、等間隔に整列される。
続いて、図2に示すように、光ファイバ2に嵌合したガイド部材10を配線方向にずらしながらケース本体31の設置溝31cに挿入して、係止爪10aを係止部31dに係止することにより、ガイド部材10を開口部3bに取り付ける(図3参照)。
同じようにして、光ファイバ2に嵌合したガイド部材10を配線方向にずらしながら固定部材8の設置溝8bに挿入して、係止爪10aを係止部8cに係止することにより、ガイド部材10を固定部材8に取り付ける(図3参照)。これにより、固定部材8の半円状の周囲に配線された光ファイバ2は、固定部材8の通路8aに沿って半円状にUターンするように湾曲する。このため、固定部材8に配置された光ファイバ2は、半円形の通路8aによって曲率半径が大きい曲線にしか変形しないため、曲げ応力によって折れて破断することが防止される。
なお、ガイド部材10は、8本のガイド溝Dを有して光ファイバ2を整列させるため、光ファイバ2を収納部3aに収納させる際の作業性を向上させることができる。また、ガイド部材10は、係止爪10aによってワンタッチで着脱できるため、ガイド溝Dが破損した場合、容易に交換することができる。
次に、蓋部材9の半円状凹部9aを固定部材8に合致させ、半円状凸部9bを開口部3bに挿入させ、係止突起9cを固定部材8の係止部(図示せず)に係止して、蓋部材9を固定部材8に取り付ける。そうすると、固定部材8の外周部およびケース3内に配線された光ファイバ2は、蓋部材9によって覆われることにより、外力を受けないため、外力などによって光ファイバ2が損傷することを防止することができる。
また、蓋部材9を固定部材8に取り付けたことにより、光ファイバ2は、連続して形成された半円状凹部9aと半円状凸部9bとによって略S字状に湾曲されて、蓋部材9内に収納される。これにより、光ファイバ2は、収納部3aから出し入れされる際に、通路8aから離脱することが防止される。
光ファイバ2は、固定部材8の円弧状の周囲において、蓋部材9によって覆われていることによって、ガイド溝Dの長さを短く形成することが可能となる。さらに、光ファイバ2は、その蓋部材9の半円状凹部9aと固定部材8との間に介在されることによって、常に、緩やかに湾曲した状態にあるため、光ファイバ2を収納部3aから出し入れする際の摩擦を低減して、より円滑な光ファイバ2の出し入れを実現できる。
このようにして組み付けられて配線された光ファイバ2は、図1に示すように、余長部2cが収納される収納部3a内に横方向にのみ移動できるように、左右の側板32,33(図3参照)間に介在されている。このため、余長部2cは、出力側光ファイバ2bがハンド機構6によって移動されたとき、収納部3aの左右の側板32,33(図3参照)によって、水平方向に振れずに湾曲変形する。
また、余長部2cが収納部3aの奥壁31b側に押し込まれたときには、余長部2cが膨れるように湾曲してガイドピンGに当接することにより、曲面状に配置されたガイドピンGによって、余長部2cが所定値未満の曲率半径で湾曲して、光伝送性が低下したり、折れて破断することが防止される。
一方、余長部2cが収納部3aから外側に引っ張られたときには、余長部2cが縮むように湾曲して半円状凸部9bに当接することにより、余長部2cが所定値未満の曲率半径に湾曲して、光伝送性が低下したり、折れて破断することが防止される。
このように、余長部2cは、収納部3a内で、略U字状の滑らかな曲線を描くように変形するようになり、その曲線が所定値の曲率半径よりも短くなって、光ファイバ2が折れて破断することを防止することができる。その収納部3aを有するケース3は、樹脂成型品として容易に製造することができるため、光ファイバ自動接続切替装置1のように、1台に複数のケース3を必要とする場合、低コスト化を図ることができる。
また、図1に示すように、光ファイバ自動接続切替装置1における各出力側光ファイバ2bは、ハンド機構6によって移動されたとしても、ガイド部材10のガイド溝D内を配線方向にガイドされながら移動するので、スムーズに収納部3aから引張り出したり、引き込ますことができる。これにより、光ファイバ自動接続切替装置1は、光ファイバ2が損傷することを防止するとともに、光ファイバ2の接続・抜去動作の信頼性を向上させることができる。
なお、本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、その技術思想の範囲内で種々の改造および変更が可能であり、本発明はこれら改造および変更された発明にも及ぶことは勿論である。
例えば、図3に示すケース3は、ケース本体31と、このケース本体31の両側に設置された側板32,33とで構成されているが、側板32,33のどちらか一方をケース本体31に一体形成して、ケース3の底面部を構成するようにしてもよい。そうすることで、部品点数および組み付け工数を削減して、さらに、コストの低減を図ることができる。
また、ガイドピンGは、ケース3において、略U字状に配置されたガイドピンG内の光ファイバ2の余長部2cが所定値の曲率半径以上で湾曲するように形成した内壁の役目を有し、かつ、そのガイドピンGが側板32,33を支持する支柱の役目も有している。このため、収納部3aは、ガイドピンGと側板32,33によって形成して、収納部3aの周囲を形成しているケース本体31のガイドピンGの外側に位置する奥壁31bなどの箇所はなくてもよい。このようにすることで、ケース3の構造をさらにシンプルにすることができる。
光ファイバ余長収納ケースの設置状態を示す光ファイバ自動接続切替装置の側面図である。 一方の側板を取り外した状態のケースの分解側面図である。 光ファイバを取り外した状態のケースの正面図である。 ガイド部材の拡大斜視図である。 従来の光ファイバ自動接続切替装置に設置されている光ファイバ余長収納ケースを示す図で、側板を外した状態を示す側面図である。 従来の光ファイバ自動接続切替装置に設置されている光ファイバ余長収納ケースを示す要部分解正面図である。
符号の説明
1 光ファイバ自動接続切替装置
2 光ファイバ
2c 余長部
3 ケース(光ファイバ余長収納ケース)
3a 収納部
3b 開口部
3c 入口(出入口)
3d 出口(出入口)
8 固定部材
9 蓋部材
10 ガイド部材
31 ケース本体
32,33 側板
D ガイド溝
G ガイドピン

Claims (7)

  1. 複数の光ファイバの余長部を収納する光ファイバ余長収納ケースを備えた光ファイバ余長収納部の構造において、
    前記光ファイバ余長収納ケースは、前記複数の光ファイバの余長部を略U字状に湾曲した状態で収納する収納部と、
    前記複数の光ファイバの余長部が前記収納部に出入りする出入口と、
    この出入口から前記収納部に収納される前記複数の光ファイバの余長部をそれぞれ整列させるガイド溝と、を備え、
    前記ガイド溝は、前記複数の光ファイバの余長部がそれぞれ配線方向に進退自在に支持されるC字状の溝からなるとともに、前記出入口の開口部に配置されたこと
    を特徴とする光ファイバ余長収納部の構造。
  2. 前記ガイド溝は、前記出入口から前記収納部に収納される前記複数の光ファイバの余長部における手前の部分をガイドすべく前記出入口の外側に配置されていること
    を特徴とする請求項に記載の光ファイバ余長収納部の構造。
  3. 前記ガイド溝は、このガイド溝を設置するための箇所に着脱自在に設置されるガイド部材に形成されたこと
    を特徴とする請求項1または請求項2に記載の光ファイバ余長収納部の構造。
  4. 前記開口部には、前記複数の光ファイバの余長部をガイドする蓋部材が設置されていること
    を特徴とする請求項2または請求項3に記載の光ファイバ余長収納部の構造。
  5. 前記開口部の外側には、前記収納部に収納される前記複数の光ファイバの余長部を湾曲した状態に支持する固定部材が隣設されていること
    を特徴とする請求項2ないし請求項のいずれか1項に記載の光ファイバ余長収納部の構造。
  6. 前記収納部内には、この収納部に挿入された前記複数の光ファイバの余長部の湾曲を規制するガイドピンを複数配置したこと
    を特徴とする請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載の光ファイバ余長収納部の構造。
  7. 前記光ファイバ余長収納ケースは、前記収納部の内側壁を形成するケース本体と、
    前記収納部の表裏面を形成するとともに、前記ガイドピンが設けられた側板と、から形成されていること
    を特徴とする請求項に記載の光ファイバ余長収納部の構造。
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