JP4215205B2 - 感光体ドラムの製造方法 - Google Patents
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Description
上記の感光体ドラムは次の工程を経て製造されている。
[機械加工]
まず、アルミビュレットといわれるアルミ製の中実丸棒を熱間押出加工により筒状に成形する。
次に、冷間引き抜き加工により、引き抜き油をかけながら所定内径および所定外径の筒体に成形する。
次に、ノコなどを用い油をかけながら筒体を所定長さに切断する。
次に、切削油をかけながら切削加工を行ない、内径、外径、端面の加工や、歯車などを嵌合するためのインロー加工を行ない、さらに、研磨加工を施すことで、内径、外径、長さ、振れなどについてそれぞれ高い精度を持った筒状の支持体を得る。
[脱脂工程(洗浄工程)]
次に、洗浄剤(脱脂剤)を用いて支持体を洗浄し、支持体の外周面に付着している切削油などの油分や、アルミ粉、塵埃などの異物を取り除き、また、支持体の内周面に付着している引き抜き油や切削油などの油分や、アルミ粉、塵埃などの異物を取り除く。なお、この脱脂工程では、支持体に付着している油分や異物は完全には取り除かれない。
次に、支持体の外周面および内周面に対してブラシを用いてブラシ洗浄を行なう。
なお、ブラシ洗浄を行なっても、支持体の外周面および内周面に付着している油分や異物は、分離しやすい状態になるのみであり、支持体の外周面および内周面には依然として油分や異物が付着している。より詳細には、支持体の外周面については、充分な洗浄水をかけつつブラシ洗浄が行なえるため、支持体の外周面から油分や異物は分離しやすい。しかしながら、支持体の外周面には、外周面から分離せずに分離しやすい状態になった油分や異物が依然として残存している。また、支持体の内周面については、充分な洗浄水をかけられないことから油分や異物の大半は支持体の内周面から分離せずに、分離しやすい状態になるのみであり、したがって、支持体の内周面に付着している油分や異物の量は、外周面に付着している油分や異物の量よりも多い。
[水洗い工程(最終洗浄工程)]
次に、純水を用いて洗浄剤や油分や異物を取り除く。この場合、水槽中の純水に支持体を浸漬することで行なわれ、浸漬する際の支持体と水との摩擦力により、分離しやすい状態となって付着している油分や異物が支持体から分離する。また、水槽中に超音波器を設置しておき、支持体に超音波を掛けることでこの分離がより促進される。
[加熱工程]
次に、支持体に熱風を当てて乾燥させる予備乾燥が行なわれ、さらに、支持体に熱風を当てて加熱させる加熱工程が行なわれ、支持体の内外表面に付着された、あるいは吸着された水分を除去する。
[感光層製造工程]
次に、支持体の外周面に必要に応じてアンダーコート液を塗布した後、ディッピング法などの公知の塗布方法により感光層となる塗液を塗布する。
[乾燥工程]
次に、支持体に熱風を当てて乾燥し、この乾燥により支持体の外周面に感光層が形成された感光体ドラムが得られる。
[組立工程]
つぎに、支持体の両端にそれぞれ歯車やフランジを嵌合固定して感光体ドラムユニットが組み立てられ、包装されて出荷される。
そして、感光層を均一に形成するための種々の重要な要件のうちの一つに、加熱工程で行なわれる予備乾燥工程や乾燥工程において、支持体をその外周面全域にわたり均一に乾燥させることが挙げられる。
例えば、加熱工程で行なわれる予備乾燥工程において支持体の外周面全域が均一に乾燥されないと、支持体の表面の性状が均一ではなくなり、その後の塗布工程において、塗布ムラが生じてしまう。また、乾燥工程において支持体の外周面全域が均一に乾燥されないと、乾燥パターンが変わり、感光体ドラムの電気特性が変ってしまう。
従来、このような乾燥は、支持体を鉛直方向に向けて支持し、上方から熱風を当てることで行なわれている(例えば、特許文献1参照)。
そのため、予備乾燥工程では、支持体の表面の性状が均一ではなくなり、その結果、塗布工程において塗布ムラが生じ、また、乾燥工程では、乾燥パターンが変わり電気特性が変わってしまう不具合が生じる。
また、上方から熱風を当てる方式の従来技術では、支持体の上端から下端に向けて熱風を流すので、すなわち、支持体の長手方向に沿って熱風を流すので、熱風は下方に至るにつれてその温度が下がり、支持体全体を乾燥させるのに時間が掛かる不具合もあった。
本発明は前記事情に鑑み案出されたものであって、本発明の目的は、支持体をその外周面全域にわたり均一に乾燥させることができ、しかも、短時間で乾燥させることができる感光体ドラムの製造方法を提供することにある。
また、本発明は、筒状の支持体上に感光層を有する感光体ドラムを製造するに際して、前記支持体を乾燥させる乾燥工程を含む感光体ドラムの製造方法において、前記支持体の長手方向と交叉する方向から該支持体の長手方向の全長にわたって熱風を流通させる熱風供給手段が設けられ、前記乾燥工程は、前記熱風供給手段を前記支持体の外周面の周方向に移動させつつ前記熱風を前記支持体に流通させることで行なわれることを特徴とする。
また、従来の上方から熱風を当てる方式のように、熱風が下方に至るにつれてその温度が下がり、支持体全体を乾燥させるのに時間が掛かる不具合も解消でき、短時間で乾燥させることができる。
以下、本発明について詳細に説明するが、以下の説明における例示はあくまでも例として挙げたものであり、本発明はこれらの例示に何ら制限されるものではなく、任意に変更して実施することができる。
図2に示すように、電子写真装置に用いられる感光体ドラム10は、筒状の支持体12と、支持体12の外周面に形成された感光層14などで構成されている。そして、支持体12の両端に歯車16Aやフランジ16Bが取着されことで感光体ドラムユニット10Aが組み立てられる。
感光体ドラム10を製造するに際しては、機械加工された支持体12について、従来と同様に脱脂工程(洗浄工程)、ブラシ洗浄工程、水洗い工程(最終洗浄工程)、加熱工程、感光層製造工程、乾燥工程、組立工程がなされ、加熱工程における支持体12の予備乾燥や、乾燥工程における支持体12の乾燥に本実施例が適用される。
乾燥装置20は8本の支持体12(あるいは4本ずつの支持体)を同時に乾燥させるようにしたものであり、乾燥装置20のフレーム22内には、2つの熱風供給室24と、2つの支持体収容室26と、1つの排気室28とが設けられている。
フレーム22は平面視した場合に、幅と、幅よりも寸法の大きい長さを有する長方形に設けられている。
2つの熱風供給室24と、2つの支持体収容室26と、1つの排気室28はフレーム22の長さ方向の全長にわたってそれぞれ延在し、平面視した場合に、前記長方形の各長辺に沿ってそれぞれ熱風供給室24が設けられ、各熱風供給室24の内側にそれぞれ支持体収容室26が設けられ、これら2つの支持体収容室26の間に排気室28が設けられ、これら熱風供給室24、支持体収容室26、排気室28はそれぞれ幅と、幅よりも寸法の大きい長さを有する長方形に形成されている。
各熱風供給室24には、例えば、フィルターなどにより塵埃が取り除かれた清浄な空気がポンプにより管路2402を経て送り込まれ、この空気は熱風供給室24に設けられた不図示のヒータを通過し温度が高められて熱風となる。そして、この熱風は、整流部材2404を経て支持体収容室26の側面の全域にわたり均一の速さ、流量で吹き出される。
チャック機構32の下部からはチャック機構32を回転させるための筒体34が下方に突設され、この筒体34の内部にはチャック機構32を拡縮させるためのロッド36が配設されている。
チャック機構32はロッド36の回転により、あるいは、ロッド36のその長手方向に沿った往復移動により拡縮するように構成され、チャック機構32が拡径されると支持体12の長手方向を鉛直方向に向けた状態で支持体12の内周面が保持され、また、縮径されると支持体12の内周面の保持が解除されるように構成されている。このようなチャック機構32として従来公知の様々な構造を用いることができ、各支持体収容室26の4つのチャック機構32のロッド36は、歯車機構などを含む連結機構により連結され、各支持体収容室26の4つのチャック機構32は連結機構を介して同時に拡縮するように構成されている。
また、筒体34の下端には、例えば、歯車3402が取着され、この歯車3402の回転により筒体34が回転され、これによりチャック機構32が回転されるように構成されている。各支持体収容室26の4つのチャック機構32の筒体34の歯車3402は、歯車機構などを含む連結機構により連結され、各支持体収容室26の4つのチャック機構32は連結機構を介して同時に同一の方向に同速度で回転されるように構成されている。
支持体収容室26から排気された熱風は排気室28内に導かれた後、本実施例では、管路2802を介して排気室28の下方に導かれ、その後、フィルターなどにより塵埃が取り除かれ、清浄な空気としてポンプにより再度管路2402を経て支持体収容室26へ送り込まれ、このようにして乾燥装置20内で循環して用いられ、あるいは、管路2802を介して乾燥装置20の外部に排出される。
まず、チャック機構32を縮径しておき、蓋板2602を開いて各支持体収容室26に上方から支持体12を挿入し、支持体12の下部にチャック機構32を挿入する。なお、この支持体12の支持体収容室26への挿入は、例えば、支持体12の上部内周部を保持したチャック機構などを用いて行なわれる。
支持体12の下部にチャック機構32が挿入されたならば、ロッド36を介してチャック機構32を拡径して支持体12の下部内周部を保持し、支持体12の上部内周部を保持していたチャック機構を縮径し、支持体収容室26の上方へ移動させ、蓋板2602を閉じ、支持体収容室26を閉塞する。
次に、不図示のヒータ、ポンプを作動させ、熱風供給室24から熱風を支持体収容室26に吹き出させる。
熱風は整流部材30を経て支持体収容室26の側面の全域から均一の速さ、流量で水平に吹き出されることから、熱風が支持体12の長手方向と直交する方向からその長手方向の全長にわたって流通される。そして、各支持体12は、その軸心の周りに回転しつつ、支持体12の長手方向と直交する方向から全ての支持体12の長手方向の全長にわたって同時に均一に熱風が当てられることになる。
熱風供給室24から支持体収容室26に吹き出された熱風は、支持体12に当たったのち整流部材38に至り、あるいは、隣り合う支持体12の間を通過して整流部材38に至り、整流部材38から排気室28に排出され、管路2802を経て排気室28外に導かれる。
したがって、本発明の製造方法は、支持体12の全長が大きくなった場合でも、支持体12の上端と下端との間に温度差が生じることはなく、支持体12の長手方向の全長にわたり均一に乾燥させることができ、通常、300mmを超えるような支持体12を乾燥させる場合に好適であり、より好ましくは、400mmを超えるような支持体12を乾燥させる場合に適用され、特に好ましくは、700mmを超えるような支持体12を乾燥させる場合に用いられる。
これにより、予備乾燥工程において、支持体の表面の性状が均一ではなくなり、その結果、塗布工程において塗布ムラが生じるなどの不具合や、また、乾燥工程において、乾燥パターンが変わり電気特性が変わってしまうなどの不具合を防止でき、支持体12の表面に感光層14を均一に高い精度で形成する上で極めて有利となる。
また、熱風が、その軸心の周りに回転する支持体12の長手方向と直交する方向からその長手方向の全長にわたって均一に当てられることから、従来の上方から熱風を当てる方式のように、熱風が下方に至るにつれてその温度が下がり、支持体全体を乾燥させるのに時間が掛かる不具合も解消でき、短時間で乾燥させることが可能となる。
また、支持体12に熱風を当てる角度は直角に限定されず、支持体12の長手方向と交叉する方向からであればよいが、乾燥効率を高める上では直角の場合が、すなわち、支持体12の長手方向と直交する方向から支持体12に熱風を当てる場合が最も有利である。
また、乾燥時の支持体12の向きは、その長手方向が鉛直方向に向いている場合に限定されず、水平方向などその他の方向を向いていてもよい。
Claims (5)
- 筒状の支持体上に感光層を有する感光体ドラムを製造するに際して、前記支持体を乾燥させる乾燥工程を含む感光体ドラムの製造方法において、
前記乾燥工程は、
前記支持体をその軸心の周りに回転させつつ、該支持体の長手方向と交叉する方向から該支持体の長手方向の全長にわたって熱風を流通させることで行なわれ、
前記複数の支持体が、互いに対向する箇所において互いに平行する列をなすように並べられ、
各列において支持体はその長手方向を鉛直方向に向けて支持され、
前記熱風は前記列が互いに向かい合う箇所とは反対に位置する箇所から、各列の支持体の長手方向と直交する方向から全ての支持体に同時に当てられ、
前記列の間の箇所において前記熱風を該箇所の外側に排出するようにした、
ことを特徴とする感光体ドラムの製造方法。 - 筒状の支持体上に感光層を有する感光体ドラムを製造するに際して、前記支持体を乾燥させる乾燥工程を含む感光体ドラムの製造方法において、
前記支持体の長手方向と交叉する方向から該支持体の長手方向の全長にわたって熱風を流通させる熱風供給手段が設けられ、
前記乾燥工程は、前記熱風供給手段を前記支持体の外周面の周方向に移動させつつ前記熱風を前記支持体に流通させることで行なわれる、
ことを特徴とする感光体ドラムの製造方法。 - 前記支持体はその長手方向が鉛直方向に向けて支持され、前記熱風は前記支持体の長手方向と直交する方向から該支持体に当てられることを特徴とする請求項2記載の感光体ドラムの製造方法。
- 前記複数の支持体がその長手方向を鉛直方向に向けて支持され、前記熱風は前記各支持体の長手方向と直交する方向から全ての支持体に同時に当てられることを特徴とする請求項2記載の感光体ドラムの製造方法。
- 前記支持体の支持は、その内周部が保持されることでなされることを特徴とする請求項1、3、4に何れか1項記載の感光体ドラムの製造方法。
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