JP4215156B2 - 液吹付け具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は液吹付け具に関し、特にアスファルト舗装時の乳剤等の吹き付けに好適に使用できる液吹付け具に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば特許文献1には、台車上に充填容器を設けてこれにアスファルト乳剤を満たすとともに、充填容器に付設したポンプを台車の車軸にチェーンで連結した吹付け装置が示されている。当該吹付け装置においては、台車を移動させると車軸の回転に連動してポンプが作動させられ、充填容器内の乳剤が液体送りパイプを経て吹付けガンに供給され散布される。
【特許文献1】
特開平11−100810号公報
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記吹付け装置では、ごく小規模の舗装工事や、既設舗装の継ぎ目の施工、マンホール蓋周囲等の細部の施工、あるいは挟所での施工等において手軽に携行してアスファルト乳剤を吹き付ける等の作業ができないという問題があった。
【0004】
そこで本発明はこのような課題を解決するもので、小規模の舗装工事等に携行して簡易にアスファルト乳剤等の吹付け作業を行うことができる液吹付け具を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本第1発明では、着脱可能な蓋体(28)により閉鎖される液注入口(21)を備え、液体(L)を収容するタンク(2)と、タンク(2)内の液体(L)上方の空間(S)に加圧空気を送給する圧空供給手段(3)と、タンク(2)の底部に近い周壁に突設され、液体(L)を吹き付けるノズル部(221)および当該ノズル部(221)への液体(L)の供給を制御する弁体(24)を備える液吹付け管(22)と、液吹付け管(22)とは略対称位置のタンク(2)周壁に設けられてタンク(2)を吊り下げ状態で携行するための吊下げ取手(4)とを具備し、圧空供給手段(3)はタンク(2)の周壁に起立姿勢で取り付けられたシリンダ(31)と、当該シリンダ(31)内に摺動可能に設けられて空気を圧縮するピストン(32)と、ピストン(32)からシリンダ(31)上端を貫通して上方へ延びるピストンロッド(33)と、ピストンロッド(33)の上端に水平姿勢で旋回可能かつ長手方向へスライド可能に結合され、その長手方向の各半部を掴んでピストンロッド(33)を上下動させる棒状の取手部(42)とを備え、一方、蓋体(28)には起倒可能に支持部材(41)を設けて、起立させた支持部材(41)の先端とピストンロッド(33)の上端との間に、スライド移動させた取手部(42)を架設して上記吊下げ取手(4)を構成する。
【0006】
本第1発明においては、吊下げ取手を掴んで所定の施工個所へ吹付け具を携行した後、弁体を開くとタンク内の液体が空間の背圧に押されてノズル部から散布される。したがって、小規模の舗装工事等において、吊下げ取手でタンクを吊った状態で持ち運びつつ、ノズル部を近接させて必要箇所のみへアスファルト乳剤等を手軽に吹き付け散布することができる。なお、上記液体は特に限定されないが、本液吹き付け具は、アスファルト乳剤や、塗料、接着剤等の粘性液体の吹き付け作業に好適に使用できる。また、圧空供給手段たる圧空供給機構のピストンロッドの上端と支持部材間に取手部を架設して吊下げ取手としたから、部品点数の削減と液吹付け具全体のコンパクト化が実現される。そして、圧空供給時には支持部材への架設状態を解消するように取手部を旋回させて、ピストンロッドを介してピストンを上下動させることにより空気を圧縮する。
【0009】
本第2発明では、上記蓋体(28)は板状体で、その外周の複数箇所に第1の係止部(281)が形成されており、一方、上記タンク(2)の頂壁には第2の係止部(29)が設けられて、蓋体(28)をその置かれた平面内で正逆旋回させることにより、上記第1および第2の係止部(281,29)が互いに係合しないし係合を解消するようにする。
【0010】
本第2発明において、蓋体を開ける場合には、蓋体をその置かれた平面内で旋回させて両係止部の係合を解消することにより行う。このように、蓋体を捩じ込み式としていないから、粘性液体が付着して、開放が困難になり、あるいは蓋体が完全に閉まらないために空間の密閉性が損なわれるという問題は生じない。そして、蓋体を開ける際には、取手部の架設状態を解消し支持部材を倒して、当該支持部材を梃子にして蓋体を回転させることができるから、液注入口と蓋体の間に粘性液体が付着しても容易に蓋体を開けることができる。
【0011】
なお、上記カッコ内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1には液吹付け具の垂直断面図を示し、図2にはその平面図を示す。液吹付け具1は円筒形のタンク2を備えており、その頂壁は中央部へ絞られた後、上方へ立ち上げられて円形の液注入口21となっている。タンク2内には液体Lとしてアスファルト乳剤等が収容されている。タンク2の周壁には一個所に液吹付け管22が突設してある。液吹付け管22は基端がタンク2内の底壁23上に位置し、タンク2外で斜め上方へ延びて、先端の斜め下方を向く側面にノズル部221が形成されている。液吹付け管22には途中にレバー241によって開閉操作される弁体24が設けられている。
【0013】
このように、タンク2から比較的短い液吹付け管22を直接突出させ、ホース等を使用していないから、他の作業者や通行人の妨げにならないとともに、塗料等の粘性液体を散布する際に液詰りを生じることがない。また、たとえ液詰りを生じても、ノズル部221を外して鉄線等で管内の詰りを解消し、あるいはバーナ等で直接液吹付け管22を加熱して管内の詰りを溶融除去することができる。さらに、液吹付け管22をタンク2外で斜め上方へ突出させ、その先端側面に斜め下方へ向けてノズル部221を形成したから、散布された液体が作業者の足に直接かからないようにできるとともに、タンク2を後方へある程度傾ければ、垂直壁等への液吹付けも容易に行うことができる。。
【0014】
タンク2の周壁の、液吹付け管22とは径方向のほぼ対称位置に吊下げ取手4を兼ねる圧空供給機構3が設けられている。圧空供給機構3は「空気入れ」式のもので、上下方向へ延びるシリンダ31を備えている。シリンダ31内には上下に摺動可能にピストン32が配設されて、これから延びるピストンロッド33がシリンダ31の頂壁を上方へ貫通している。
【0015】
シリンダ31の下端は、虫ゴム251を内設した偏平な圧空供給管25によってタンク2に連結されており、タンク2内の底壁23上に至った圧空供給管25の先端には、タンク2内をその周壁に沿って上方へ延びる圧空供給管26の下端が連結されている。圧空供給管26の上端はタンク2内の液体L上方の空間Sに至っている。当該空間Sの圧力は、タンク2の頂壁に設けられた圧力ゲージ27によって確認することができる。
【0016】
タンク2の液注入口21には蓋体28が覆着してある。蓋体28は液注入口21の外周に沿う部分を下方へ屈曲させた円板形状のもので、蓋体28には径方向の対称位置に外方へ水平に突出する係止部281(図2)が形成されている。これら係止部281には蓋体28の周方向の同一方向から一定幅の切り込み282が形成してあり、各切り込み282内には、タンク2の頂壁に捩じ込まれた係止部としてのネジ部材29が位置している。本実施形態ではネジ部材として蝶ネジ29を使用してる。この蝶ネジ29を捩じ込むことによって液注入口21に蓋体28が固定されている。
【0017】
蓋体28の板面にはこれに基端をヒンジ412で起倒可能に結合されて、吊下げ取手4を構成する長板状の支持板41が設けられている。支持板41の先端部411はリング状に成形されており(図5参照)、支持板41を起立させた状態で上記先端部411は、下降させたピストンロッド33の上端331とほぼ等しい位置にある。ピストンロッド33の上端331にはリング状の保持部34が取着されており、当該保持部34内に棒状の取手部42が挿通保持させてある。取手部42の外径はその両端を除いて保持部34の内径より小さくしてあり、保持部34によって略水平姿勢に保持された状態で取手部4をその長手方向へスライドさせることができる。
【0018】
図1、図2に示す状態では、起立させた支持板41へ向けて取手部42をスライドさせてその一端を支持板41の上端部411内へ挿入し、取手部42を支持板上端部411とピストンロッド上端331の保持部34との間に架け渡してある。そして、支持板41、取手部42およびピストンロッド33を含む圧空供給機構3によって略逆U字形をなす吊下げ取手4が形成されている。このように、圧空供給機構3のシリンダ31、ピストンロッド33、取手部42を利用して、これらと支持板41とで吊下げ取手4を形成するようにしたから、部品点数の削減と液吹付け具1全体のコンパクト化が実現される。
【0019】
吹付け具1を使用する場合には、タンク2内の液体L上方の空間Sが充分に昇圧(3Kg/cm2程度)されていることを圧力ゲージ27で確認し、取手部42を掴んで所定の施工個所へ吹付け具1を携行した後、図3に示すようにレバー241を液吹付け管22に沿う方向へ回動させて弁体24を開く。これにより、タンク2内の液体Lが空間Sの背圧に押されて液吹付け管22のノズル部221から散布される。取手部42の長手方向で掴む位置を変更することにより、タンク2の姿勢はその自重によって垂直ないし図3に示すような所望の前傾姿勢へと変わり、ノズル部221から散布される液体Lを施工個所へ向けて容易かつ確実に吹き付け散布することができる。このようにして、吊下げ取手4でタンク2を吊った状態で持ち運びつつ、ノズル部221を近接させて必要箇所のみへアスファルト乳剤等を手軽に散布することができる。
【0020】
タンク2内の空間Sへ圧空を供給するには、レバー241を液吹付け管22と直交するように回動させて(図2の状態)弁体24を閉じる。そして、支持板41の上端部411内から取手部42を引き出した後(図4の矢印)、保持部34と共に90度旋回させて(図5)保持部34の左右に取手部42の各半部が同程度の長さで位置するようにする。この状態で、取手部42を掴んでピストンロッド33(およびピストン32)を上下動させると、ピストン32によって圧縮された空気(圧空)が圧空供給管25,26を経て空間S内へ供給される。
【0021】
タンク2内へ液体を注入する場合には、蝶ネジ29を緩めた後、倒した支持板41(図5)を掴んで、蓋体28を、係止部281の切り込み282の形成方向(図5では反時計方向)へ回転させる。これにより、蝶ネジ29が各切り込み282から相対的に脱出させられて、図6に示すように、蓋体28を液注入口21から取り去ることができる。
【0022】
このように、蓋体28を捩じ込み式としていないから、粘性液体が付着して、開放が困難になり、あるいは蓋体28が完全に閉まらないために空間Sの密閉性が損なわれるという問題は生じない。そして、支持板41を梃子にして蓋体28を回転させているから、液注入口21と蓋体28の間に粘性液体が付着しても容易に蓋体28を開けることができる。また、液体を追加注入する場合等には上記空間Sの内圧が高いため、捩じ込み式では蓋体28を開けにくい場合があるが、本実施形態では蝶ネジ29を緩めれば蓋体28が空間Sの内圧に押されて浮き上がり、圧空を逃がすから、この場合も蓋体28の開放を容易に行うことができる。
【0023】
【発明の効果】
以上のように、本発明の液吹付け具によれば、小規模の舗装工事等に携行して簡易にアスファルト乳剤等の吹付け作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す、液吹付け具の垂直断面図である。
【図2】液吹付け具の平面図である。
【図3】使用時の液吹付け具の垂直断面図である。
【図4】圧空供給時の液吹付け具の垂直断面図である。
【図5】圧空供給時の液吹付け具の平面図である。
【図6】液注入口から蓋を取り去った状態の液吹付け具の平面図である。
【符号の説明】
1…液吹付け具、2…タンク、21…液注入口、22…液吹付け管、221…ノズル部、24…弁体、28…蓋体、281…係止部、29…蝶ネジ、3…圧空供給機構、31…シリンダ、32…ピストン、33…ピストンロッド、331…上端、4…吊下げ取手、41…支持板、42…取手部、L…液体、S…空間。
Claims (2)
- 着脱可能な蓋体により閉鎖される液注入口を備え、液体を収容するタンクと、タンク内の液体上方の空間に加圧空気を送給する圧空供給手段と、タンクの底部に近い周壁に突設され、液体を吹き付けるノズル部および当該ノズル部への液体の供給を制御する弁体を備える液吹付け管と、液吹付け管とは略対称位置のタンク周壁に設けられてタンクを吊り下げ状態で携行するための吊下げ取手とを具備し、前記圧空供給手段は前記タンクの周壁に起立姿勢で取り付けられたシリンダと、当該シリンダ内に摺動可能に設けられて空気を圧縮するピストンと、ピストンからシリンダ上端を貫通して上方へ延びるピストンロッドと、ピストンロッドの上端に水平姿勢で旋回可能かつ長手方向へスライド可能に結合され、その長手方向の各半部を掴んで前記ピストンロッドを上下動させる棒状の取手部とを備え、一方、前記蓋体には起倒可能に支持部材を設けて、起立させた前記支持部材の先端と前記ピストンロッドの上端との間に、スライド移動させた前記取手部を架設して前記吊下げ取手を構成した液吹付け具。
- 前記蓋体は板状体で、その外周の複数箇所に第1の係止部が形成されており、一方、前記タンクの頂壁に第2の係止部が設けられて、蓋体をその置かれた平面内で正逆旋回させることにより、上記第1および第2の係止部が互いに係合しないし係合を解消するようにした請求項1に記載の液吹付け具。
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