JP4214100B2 - 無段自動変速機の変速制御装置 - Google Patents
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Description
このような無段変速機においては、車速やエンジンスロットル開度などの車両運転状態に応じて求めた到達変速比(最終的な目標変速比)へ一気に変速させると、変速ショックが大きくなるなど変速フィーリングの悪化が生じるため、当該変速フィーリングの悪化が生じない程度の速度で変速が進行するよう、到達変速比i*と所定の変速時定数Tとに基づいて過渡的な時々刻々の目標変速比RTOを求め、無段変速機をこの目標変速比RTOとなるよう変速制御するのが一般的である。
そして、到達変速比i*が設定されると、上述したように目標変速比RTOが設定される。すなわち、この場合には、最初に所定の時定数と到達変速比i*とから目標変速比RTOを設定する。そして、上記到達変速比i*と上記目標変速比RTOとの偏差eipに応じて基本時定数Tcを求め、この基本時定数Tcと車速に応じて設定される車速係数K2との積を時定数Tとして設定し、この時定数Tと到達変速比i*とから新たな目標変速比RTOを設定する。
つまり、基本時定数Tcを図6に示すようなマップから求めるようにした場合、同じ回転変化量を伴う変速では低車速域ほどダウンシフト量(変速比の変化量)が大きく、高車速域になるほどダウンシフト量が小さくなるため、同じ回転変化量を伴うダウンシフトでは、高車速域のほうが変速制御開始時の偏差eip(=i*−RTO)が小さくなる。
しかしながら、上述のように、高車速域のほうが早く偏差eipが微小となるため、基本時定数Tcも早い段階で一定となる。そして、このように基本時定数Tcが早い段階で一定値となると、目標変速比RTOの変化特性も早い段階で滑らかなものとなる。この場合、具体的には、図7(a),(b)に示すように、変速時の目標変速比RTOの到達変速比i*への追従性が鈍化するとともに、目標変速比RTOが到達変速比i*に近づいた際の変化率(折れ方)も滑らかになる。
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、低車速域でのダウンシフト時の応答性に影響を与えることなく高車速域でのダウンシフト時の応答性を改善するようにした、無段自動変速機の変速制御装置を提供することを目的とする。
また、該下限値設定手段は、高車速域では該基本時定数の下限値を小さく設定し、低車速域では該基本時定数の下限値を大きく設定する(請求項3)。
図1に示すように、パワートレーンはエンジン1と無段自動変速機(以下、単に無段変速機という)2とで構成されている。また、エンジン1には、ドライバによるアクセルペダル操作に基づいて開度が決定されるスロットルバルブ3が付設されている。
また、車両には自動変速機の変速状態を制御するコントローラ13が設けられており、コントローラ13に上記各センサ16,18,19,20が電気的に接続されている。したがって、コントローラ13には、スロットル開度TVO,変速機出力回転数No,車速VSP,アイドルオン信号が入力される。
一方、リミッタ134では車速VSPに応じて基本時定数Tcの下限値TLMT(図4参照)が設定される。具体的には、図5に示すように、リミッタ134には車速VSPと下限値TLMTとの関係が規定されたマップ(図5参照)が記憶されており、このマップに基づいて下限値TLMTが設定されるようになっている。また、この下限値TLMTは車速VSPが上昇するほど小さい値に設定されるようになっており、逆に車速が低下するほど大きい値に設定されるようになっている。
そして、アクセル踏み込み時と判定されると、スイッチ139がオフからオンに切り替えられることにより、リミッタ134で設定された下限値TLMTがコンパレータ135に出力されるようになっている。なお、本実施形態においては、上記アクセル踏み込み判定手段133,リミッタ134及びスイッチ139により下限値設定手段が構成されている。
そして、基本時定数Tcと車速係数K2とが設定されると、時定数設定部137ではこれらの値Tc,K2から変速制御のための時定数Tを設定する。具体的には、本実施形態では時定数T=Tc×K2として時定数を設定する。
以上のようにして時定数Tが設定されると、目標変速比設定部138において時定数Tと偏差算出部131で算出された偏差eipとに基づいて目標変速比RTOが設定される。なお、この目標変速比設定部138においても時定数Tと偏差eipとから目標変速比RTOを求めるマップが記憶されており、このマップから目標変速比RTOが設定されるようになっている。また、時定数Tが大きいほど目標変速比RTOが到達変速比i*に近い値に設定されるようになっている。
すなわち、一般に変速機において、同じ回転変化量を伴う変速では、高車速域になるほどダウンシフト量(変速比の変化量)が小さくなるため、高車速域のほうが偏差算出部131で算出される偏差eip(=i*−RTO)が小さくなる。ここで、偏差eipが微小となると、基本時定数Tcを一定値とし、変速終了時の目標変速比RTOの特性を滑らかにするのが好ましいが、高車速域のほうが早く偏差eipが微小となるため、基本時定数Tcも早い段階で一定となってしまう。基本時定数Tcが一定値となると、目標変速比RTOの変化特性が滑らかなものとなるが、この場合は加速感が損なわれてしまいドライバビリティが低下する
これに対して、本実施形態に係る無段自動変速機の制御装置では、アクセル踏み込みによるダウンシフト時には車速に応じて基本時定数Tcの下限値TLMTを設定するので、高車速時に早期に基本時定数Tcが一定となしまうような事態が回避され、これにより加速感不足が解消されて、ドライバビリティを向上させることができる利点がある。
さらには、下限値TLMTを車速VSPに応じて最適な値に設定することができる利点があるほか、アクセル開放時には下限値TLMTが設定されないので、加速が必要とされない場合の制御内容を簡素化することができるという利点がある。
2 無段自動変速機(無段変速機)
3 スロットルバルブ
6 トルクコンバータ
7 プライマリプーリ
8 セカンダリプーリ
9 Vベルト
10 ファイナルドライブギヤ
11 ディファレンシャルギヤ
12 油圧アクチュエータ
13 コントローラ
130 変速比設定部(到達変速比設定手段)
131 偏差算出部(偏差算出手段)
132 基本時定数設定部(基本時定数設定手段)
133 アクセル踏み込み判定手段
134 リミッタ
135 コンパレータ(比較手段)
136 車速係数設定部(車速係数設定手段)
137 時定数設定部(時定数設定手段)
138 目標変速比設定部(目標変速比設定手段)
139 スイッチ
16 スロットル開度センサ
18 変速機出力回転センサ
19 車速センサ
20 アクセル開度センサ
Claims (3)
- 車両の運転状態に応じて求めた到達変速比に対して過渡的な目標変速比を逐次求め、この目標変速比に向けて変速制御を実行するようにした無段自動変速機の変速制御装置であって、
該到達変速比と前回求めた目標変速比との偏差に基づき基本時定数を設定する基本時定数設定手段と、
該無段自動変速機のダウンシフト時に該車両の速度に応じて該基本時定数の下限値を設定する下限値設定手段と、
該基本時定数設定手段で設定された基本時定数と該下限値設定手段で設定された下限値とを比較して大きいほうの値をあらためて基本時定数として出力する比較手段と、
該比較手段から出力された基本時定数と該到達変速比とに基づき今回の目標変速比を設定する目標変速比設定手段とをそなえる
ことを特徴とする、無段自動変速機の変速制御装置 - 該下限値設定手段は、該車両のアクセル踏み込みによるダウンシフト時にのみ該下限値を設定する
ことを特徴とする、請求項1記載の無段自動変速機の変速制御装置。 - 該下限値設定手段は、高車速域では該基本時定数の下限値を小さく設定し、低車速域では該基本時定数の下限値を大きく設定する
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の無段自動変速機の変速制御装置。
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JP2004274001A JP4214100B2 (ja) | 2004-09-21 | 2004-09-21 | 無段自動変速機の変速制御装置 |
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