JP4213277B2 - Afカメラのフォーカスリミッタ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は自動焦点調整機能を備えたAFカメラのフォーカスリミッタ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
焦点調整を自動的に行うAFカメラにおいては、例えばレリーズボタンを半押しすることによって測距動作が起動され、測距結果に基づいて撮影レンズを移動させるAF用モータが駆動され撮影レンズの合焦動作が行われる。撮影レンズの合焦動作が完了した時点でレリーズボタンを全押しすることでシャッタが切られて撮影動作が完了する。
このようなAFカメラにおいては、例えば、撮影しようとする被写体がファインダの中央部に設定されている測距エリアにない場合、不用意にレリーズボタンを半押ししてしまうと、ファインダの中央部にある上記被写体以外の物体に対して測距動作が実行されてしまい、撮影しようとする被写体に対する合焦動作をすばやく行うことができないという問題が生じる。
このような撮影者の意図しない物体に対して測距動作が行われてしまうという問題を解消するため、従来は、フォーカスリミッタ装置によって撮影レンズの焦点距離の調整範囲を無限大距離端と中間箇所(近距離端と無限大距離端の間の所定箇所)の間、または近距離端と中間箇所の間に限定している。このようにフォーカスリミッタ装置によって撮影レンズの焦点距離の調整範囲を限定することで、撮影レンズの移動時間を短縮して意図する被写体に対する合焦動作を短時間で行うことが可能となる。
上記フォーカスリミッタ装置は、例えば、撮影レンズを移動させるためのAF用モータによって回転駆動される移動環にストッパ部を設け、このストッパ部の移動軌跡と直交する方向に移動可能に設けられた作動板を設け、作動板を、作動板がストッパ部の移動軌跡上に位置する規制位置と、移動軌跡から離れた非規制位置との間を移動可能に設けて構成されている。そして、作動板が規制位置に位置した状態でストッパ部が作動板に当接したことを検知すると、AF用モータを停止させて距離環の回転を停止させている。すなわち、駆動環の回転限界位置を規制することで撮影レンズの焦点距離の調整範囲を限定するように構成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述した合焦動作に伴って回転駆動される距離環に設けられたストッパ部が作動板に当接することで撮影レンズの移動範囲を限定する従来のフォーカスリミッタ装置では次のような問題があった。
作動板の移動方向は、ストッパ部の移動軌跡と直交する方向であり、ストッパ部は作動板の長手方向に沿った側縁に当接する。
このため、ストッパ部が作動板に当接して距離環の回転が停止した状態では、ストッパ部と作動板との間に強い摩擦力が作用したままとなる。したがって、作動板を規制位置から非規制位置に移動させるときには上記摩擦力に抗した力が必要となり、フォーカスリミッタ装置の操作を円滑に行うことができなくなるおそれがある。
本発明は前記事情に鑑み案出されたものであって、本発明の目的は、操作性を改善したカメラのフォーカスリミッタ装置を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明は、カメラ本体に取り付けられる固定部材と、前記固定部材上において撮影レンズを保持した状態で前記撮影レンズの光軸方向に移動可能に設けられた移動枠と、前記固定部材によって前記光軸を中心にして回転可能に保持され、回転することで前記移動枠を前記光軸方向に移動させる駆動環と、前記駆動環を回転駆動する駆動手段と、前記駆動環に設けられたストッパ部と、前記ストッパ部の移動軌跡上に位置する規制位置と前記移動軌跡から離れた非規制位置との間を移動可能に設けられた作動板とを備え、前記作動板が前記規制位置に位置した状態で前記駆動環が回転されたときに前記ストッパ部が前記作動板に当接して前記駆動環の回転限界位置を規制することで前記撮影レンズの焦点距離の調整範囲を限定するように構成されたAFカメラのフォーカスリミッタ装置において、前記ストッパ部に前記作動板が当接した状態で前記作動板を前記規制位置から前記非規制位置に移動させる際に、前記当接箇所と前記ストッパ部の間に作用する摩擦力を軽減する摩擦力軽減手段を設け、前記作動板がストッパ部に当接する当接箇所に、前記規制位置側に位置する作動板部分が前記非規制位置側に位置する作動板部分よりも前記駆動環の回転限界位置を大きく取れるように傾斜した傾斜部が形成され、前記摩擦力軽減手段は前記傾斜部から構成されていることを特徴とする。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は本実施の形態のカメラのフォーカスリミッタ装置を光軸に沿った断面から見た状態を示す説明図であり、図3のDD線断面からみた状態を示している。図2は図1を矢視A方向からみた状態を示す要部説明図、図3は図2をBB線断面からみた状態とCC線断面からみた状態を併せて示す説明図、図4は制御系の構成を示すブロック図、図5は実施の形態におけるフォーカスリミッタ装置の動作フローチャートである。
【0006】
まず、図1乃至図3を参照して全体構成について説明する。
フォーカスリミッタ装置1000は、バヨネット環100、継環110、直進環120、駆動環130、距離環140、移動枠150、駆動ギア160、作動板170、操作部材180、アイドルギア190、撮影レンズ群200などを備えて構成されている。
バヨネット環100、継環110、直進環120、駆動環130、距離環140、移動枠150は、撮影レンズ群300の光軸Lを中心にして同心状に配設されている。
【0007】
バヨネット環100(特許請求の範囲の固定部材に相当)は、円筒壁部101を有してなり、円筒壁部101の一端部に取付部102が設けられている。取付部102は、図略のカメラ本体の前面ほぼ中央部に配設されているマウント部に差し込まれた状態で、バヨネット環100を後述する撮影レンズ群200の光軸Lの周方向に回すことで上記マウント部と着脱可能となるように構成されている。
バヨネット環100の円筒壁部101には、バヨネット環100の軸方向の中央からやや他端部寄りの箇所に、後述する作動板170をその長手方向に移動可能に案内するための長孔103が光軸Lと平行方向に延在するように設けられている。
【0008】
継環110(特許請求の範囲の固定部材に相当)は、バヨネット環100の内側に配設された円筒壁部111を有してなり、円筒壁部111の一端部の外周面112がバヨネット環100の円筒壁部101の一端部の内周面104に固定されており、円筒壁部111の他端部から光軸Lに向かって延在する環状壁部113には、駆動ギア160の支軸を構成するジョイント軸161を回転可能に支持する軸受114が形成されている。ジョイント軸161の駆動ギア160と反対側の端部に設けられた連結部162は、図略の伝動機構と連結され、この伝動機構を介してAF用モータ320(図4に示す)の駆動軸からの回転駆動力が伝達されるように構成されている。
継環110の環状壁部113には取付部113Aが設けられている。
【0009】
直進環120は、バヨネット環100の内側に配設された円筒壁部121を有してなり、円筒壁部121の一端部から光軸Lに向かって延在する環状壁部122には取付部122Aが設けられている。この取付部122Aが継環110の取付部113Aに取り付けられることで直進環120は継環110に固定される。すなわち、バヨネット軸100、継環110、直進環120はカメラ本体のマウント部に対して一体的に保持されている。
直進環120の円筒壁部121には、その長手方向に光軸Lと平行方向に延在する第1ガイド溝123が円筒壁部121を貫通して形成されている。
【0010】
駆動環130は、バヨネット環100と直進環120との間に配設された円筒壁部131を有してなり、この円筒壁部131は、その内周面が直進環120の円筒壁部121の外周面によって支持されることで、光軸Lを中心にして回転可能に構成されている。
駆動環130の円筒壁部131の一端部から光軸Lに向かって延在する環状壁部132の内周部には、駆動ギア160と噛合するラック132Aが形成されており、駆動ギア160の回転駆動力が駆動環130に伝動されるように構成されている。
駆動環130の円筒壁部131の内周面には、光軸Lを中心としたらせん状を呈する第2ガイド溝133が形成されている。
【0011】
距離環140は、バヨネット環100の外側に配設された円筒壁部141を有してなり、円筒壁部141の一端部の内側の箇所から光軸Lに向かって延在する環状壁部142が設けられている。
この環状壁部142が駆動環130の円筒壁部131の他端部の外側に設けられた環状壁部134に取り付けられることで、距離環140は駆動環130に対して一体的に固定されている。
この距離環140は、その外周面に焦点距離を示す数字や記号などの指標が表示されており、手動モードの場合には、この距離環140を手動で回転操作することによって焦点調整を行うことができるようになっている。
【0012】
移動枠150は、直進環120の内側に配設された円筒壁部151を有してなり、円筒壁部151の内側には、別の円筒壁部152が配設され、円筒壁部151の内側と円筒壁部152の一端部の間は環状の接続壁部153によって接続されている。そして、移動枠150の円筒壁部151の内側面154と、接続壁部153と、円筒壁部152とによって撮影レンズ群(特許請求の範囲の撮影レンズに相当)200が保持されている。
また、移動枠150の円筒壁部151の一端部の外側には、光軸Lと直交する方向に延在するローラ軸155が設けられ、このローラ軸155によってローラ156が円筒壁部151の一端部の外側の箇所において回転可能に支持されている。
【0013】
ローラ156は、直進環120の第1ガイド溝123と駆動環130の第2ガイド溝133とに挿通された状態で配設されている。したがって、ローラ156は、光軸Lと平行方向に直線状に形成された第1ガイド溝123と光軸Lを中心にしてらせん状に形成された第2ガイド溝133の双方に同時に案内されて移動するようになっている。
すなわち、ローラ156は、駆動枠130が光軸Lの周方向に回転駆動されると、ローラ156は、第2ガイド溝133から力を受けることによって第1ガイド溝123に沿って移動する。換言すれば、駆動環130の回転により第1、第2ガイド溝123、133が光軸Lを中心にして相対的に移動することで移動枠150が光軸L方向に移動するように構成されている。
この結果、ローラ軸155を固定する移動枠150は、光軸Lの周方向には回転せず光軸Lに沿って移動されるようになっている。
【0014】
また、駆動環130の円筒壁部131の外側には、円盤状のストッパ部135が突設されている。
駆動環130の円筒壁部131とバヨネット枠100の円筒壁部101との間には、平面視短冊状の作動板170が光軸Lと平行方向に延在して配設されている。
作動板170には、その中間部とカメラ本体から遠い方の一端部との間にガイドピン171がバヨネット環100に設けられた長孔103に挿通されるように突設されている。
したがって、作動板170は、ガイドピン171が長孔103によって長孔103の長手方向、すなわち光軸Lと平行方向に移動可能に案内されている。
また、長孔103には、カメラ本体に近い側の第1縁部103Aと遠い側の第2縁部103Bが設けられている。
作動板170の一端部には、駆動環130のストッパ部135に当接する当接箇所172、173が形成されている。
【0015】
図2において、作動板170が左方向に移動してガイドピン171が第2縁部103Bに当接したとき、すなわち作動板170が規制位置に位置したとき、作動板170の当接箇所172、173がストッパ部135の移動軌跡上に位置するように構成されている。
また、作動板170が右方向に移動してガイドピン171が第1縁部103Aに当接したとき、すなわち作動板170が非規制位置に位置したとき、作動板170の当接箇所172、173がストッパ部135の移動軌跡上から離れるように構成されている。
また、図2では、当接箇所172、173がストッパ部135の移動軌跡に対して傾斜するように構成された例を示している。すなわち、作動板170がストッパ部135に当接する当接箇所172、173には、規制位置側に位置する作動板170の部分が非規制位置側に位置する作動板170の部分よりも駆動環130の回転限界位置を大きく取れるように傾斜した傾斜部172A、173Aが形成されている。
【0016】
なお、図2に示す例では、ストッパ部135が同図で上向きに回転移動することが撮影レンズ群200が近距離側に移動する状態に対応し、ストッパ部135が同図で下向きに回転移動することが撮影レンズ群200が無限大距離側に移動する状態に対応している。
また、駆動環130の回転範囲は、撮影レンズ群200の焦点距離の近距離端から無限大距離端までに対応しており、作動板170の当接箇所172、173は、上記駆動環130の回転範囲の中間箇所、すなわち撮影レンズ群200の焦点距離の近距離端から無限大距離端までの中間箇所に対応した位置に設定されている。
【0017】
操作部材180は、作動板170の非規制位置側の他端部の近傍において、バヨネット環100に設けられたガイド溝105(図3にのみ示す)よって該ガイド溝105を介してバヨネット環100の円筒壁部101の外側に臨んだ状態で光軸Lと平行方向に移動可能に支持されている。
操作部材180には、ラック板181が固定され、ラック板181の作動板170に臨む側縁部にはラック182(特許請求の範囲の第1ラック)が形成されている。一方、作動板170のラック板181に臨む側縁部にはラック174(特許請求の範囲の第2ラックに相当)が形成されている。そして、これら2つのラック174、182に噛合するアイドルギア190(特許請求の範囲の伝動部材に相当)がバヨネット環100の円筒壁部101に回転可能に支持されている。
したがって、操作部材180を光軸Lに沿ってスライド移動させると、アイドルギア190が回転し、その回転が作動板170に伝達されることで、作動板170は操作部材180のスライド方向と反対方向にスライド移動するように構成されている。
【0018】
次に、図4を参照して制御系の構成について説明する。
制御系は、制御部300、モータ駆動部310、AF用モータ320(特許請求の範囲の駆動手段に相当)、回転検知部330(特許請求の範囲の検知信号生成部に相当)などを備えて構成されている。
モータ駆動部310は、AF用モータ320に駆動信号を供給することでAF用モータ320を回転させるように構成されている。
AF用モータ320は、前述したように図略の伝動機構を介してジョイント軸161に回転駆動力を与えるものである。
【0019】
回転検知部330は、AF用モータ320の回転状態を検知するためのものであり、例えばAF用モータ320の駆動軸に設けられスリットが開設された円板状のスリット板と、上記スリットの有無を検知する光検知器とを備えて構成されている。
AF用モータ320が回転している場合には、スリット板の回転に応じて光検知器がスリットの通過を検知してパルス状の検知信号を出力するが、AF用モータ320が停止している場合には、光検知器はスリットの通過を検知しないので、検知信号を出力しない。すなわち、回転検知部330は、AF用モータ320の回転、停止の状態に対応して検知信号を出力するように構成されている。
【0020】
制御部300は、マイクロコンピュータなどによって構成されており、モータ駆動部310を制御してAF用モータ320の回転を制御するように構成されている。また、制御部300は、回転検知部330から入力される検知信号によってAF用モータ320の回転、停止の状態を判断するように構成されている。
【0021】
次に、上述の構成による動作について図1乃至図4と図5のフローチャートを参照して説明する。
まず、操作部材180がガイド溝105に沿ってカメラ本体側から離間する方向に移動され作動板170が非規制位置に位置した状態で撮影を行う場合について説明する。
この際、撮影レンズ群200は、初期位置としての近距離端に位置しているものとする。
【0022】
この状態で、図略のレリーズボタンが半押しされ測距動作が起動されると、制御部300は、モータ駆動部310に制御信号を与えてAF用モータ320を駆動する。AF用モータ320の駆動軸から伝動機構に伝達された回転駆動力は、ジョイント軸161、駆動ギア160、駆動環130のラック132Aという経路で伝達され、駆動環130が回転することにより撮影レンズ群300を保持する移動枠150が光軸Lに沿って移動され、被写体に対する合焦動作が行われる(S1)。
そして、制御部300は、回転検知部330から入力される検知信号(パルス状の信号)が一定時間以内に入力したか否かに基いてAF用モータ320の回転が停止したか否かを判定する(S2)。
ステップS2の判定結果が否定であれば、ステップS1の処理が繰り返して行われ、被写体に対する合焦動作が行われる。
次いで、レリーズボタンが全押しされてシャッターが切られると撮影が行われる。
【0023】
一方、ステップS2の判定結果が肯定であれば、撮影レンズ群200が近距離端または無限大距離端の何れかに到達して駆動環130と移動枠150の移動が停止したことを示している。
【0024】
ここで、制御部300は、AF用モータ320の駆動をいったん停止し(S3)、次いでAF用モータ320をそれまでの回転方向と逆方向に所定量だけ回転させて停止する(S4)。これにより、駆動環130と移動枠150は、近距離端または無限大距離端から所定量離間した位置で停止されることによって、AF用モータ320の回転駆動力を伝達する伝動機構に含まれているクラッチを切りやすくなるという効果が生じるが、本発明と直接関わらないため、詳細な説明は割愛する。
【0025】
上述の動作では、作動板170が非規制位置にあるため、駆動環130のストッパ部135は、作動板170の当接箇所172、173に当接することがない。したがって、駆動枠130の回転限界位置は近距離端または無限大距離端で規制されることになり、移動枠150は、撮影レンズ群200の焦点距離が近距離端または無限大距離端に到達するまで移動可能である。
【0026】
次に、操作部材180がガイド溝105に沿ってカメラ本体側に近接する方向に移動され作動板170が規制位置にある状態で撮影を行う場合について説明する。
この際も、撮影レンズ群200は、初期位置としての近距離端に位置しているものとする。
ステップS1、S2の動作は上述したのと同様である。
【0027】
ここで、図2に示されているように、駆動環130のストッパ部135が作動板170の当接箇所173に当接することで、駆動環130が停止すると、ステップS2の判定結果が肯定となり、AF用モータの駆動がいったん停止される(S3)。
次いでAF用モータ320をそれまでの回転方向と逆方向に所定量だけ回転させて停止する(S4)。これにより、駆動環130のストッパ部135は、作動板170の当接箇所173から所定量離間した位置で停止されるようになっている。
ここでは、ステップS3、S4の動作によって、ストッパ部135と当接箇所173との間が離間するため、ストッパ部135と当接箇所173との間に作用する摩擦力がなくなり、作動板170を非規制位置に移動させるために必要な操作力が少なくて済むという効果がある。
【0028】
上述の動作では、作動板170が規制位置にあるため、駆動環130のストッパ部135が作動板170の当接箇所173に当接する。したがって、駆動環130の回転限界位置が規制され、移動枠150の移動可能範囲、すなわち撮影レンズ群200の焦点距離の調整範囲は、近距離端から駆動環130の回転限界位置位置までの間に限定される。
なお、上述の動作では、移動枠150の移動範囲を近距離端から駆動環130の回転限界位置までの間としたが、移動枠150の移動範囲を無限大距離端から駆動環130の回転限界位置までとすることもできる。この場合には、撮影レンズ群200は、初期位置としての無限大距離端に位置するようにすると共に、駆動環130のストッパ部135が作動板170の当接箇所172に当接することで、駆動環130の回転限界位置が規制されるように構成すればよい。
【0029】
なお、本実施の形態では、ストッパ部135が作動板170の当接箇所172、173に当接してからストッパ部135を当接箇所172、173から離間させるようにAF用モータ320を駆動制御するため、ストッパ部135と当接箇所173との間に作用する摩擦力がなくなり、作動板170を非規制位置に移動させるために必要な操作力が少なくて済むという効果がある。
【0030】
また、前述したように、作動板170がストッパ部135に当接する当接箇所172、173には、規制位置側に位置する作動板170の部分が非規制位置側に位置する作動板170の部分よりも駆動環130の回転限界位置を大きく取れるように傾斜した傾斜部172A、173Aが形成されている(図2)。
したがって、作動板170が規制位置に位置しているときに、ストッパ部135が傾斜部172A、173Aに当接し、その状態で駆動環130が停止したとしても、作動板170の当接箇所172、173には傾斜部172A、173Aが形成されているので、ストッパ部135と作動板170の当接箇所172、173との間に作用する摩擦力はほとんど発生することがない。したがって、作動板170を非規制位置に移動させるために必要な操作力が少なくて済むという効果がある。
すなわち、上記作動板170の当接箇所172、173の傾斜部172A、173Aによって特許請求の範囲の摩擦力軽減手段が構成されている。
【0031】
したがって、作動板170の当接箇所172、173に傾斜部172A、173Aを形成した場合には、ストッパ部135が作動板170に当接した後、AF用モータ320を駆動制御してストッパ部135を作動板170から離間する方向に移動させなくてもかまわない。
また、ストッパ部135が作動板170に当接した後、AF用モータ320を駆動制御してストッパ部135を作動板170から離間する方向に移動させるように構成した場合には、作動板170の当接箇所172、173に傾斜部172A、173Aを形成しなくてもかまわない。
【0032】
また、本実施の形態では、制御部300によって停止判定部が構成され、制御部300と回転検知部330によって検知手段が構成されている。また、制御部300とモータ駆動部310によって制御手段が構成されている。
【0033】
また、本実施の形態では、操作部材180をスライド移動させた場合に反対方向に作動板170を移動させることができるため、操作部材180の操作方向と作動板170の移動方向とを反対方向に設定する必要がある場合に便利である。
また、操作部材180と作動板170の間に伝動部材としてのアイドルギア190を設け、このアイドルギア190によって操作部材180の操作方向の力を作動板170に伝達するようにしている。したがって、操作部材180のラック182、アイドルギア190、作動板170のラック174のそれぞれの間に摩擦抵抗力が発生する。この摩擦抵抗力によって操作部材180の位置がずれることが防止できるという効果がある。なお、この摩擦抵抗力は、操作部材180の操作性を阻害するほど大きなものではないことはもちろんである。
また、操作部材180と作動板170の間に設ける伝動部材としては、アイドルギアに限定されるものではなく、例えば、操作部材180と作動板170に両端が連結され、中間部が回動可能に支持されたリンクレバーなどによって構成することもできる。
【0034】
なお、本実施の形態では、作動板170をストッパ部135の移動軌跡に対して直交する方向で交差させたが、本発明はこれに限定されるものではなく、作動板170はストッパ部135の移動軌跡に対して交差するように構成されていればよい。
また、ストッパ部135が作動板170に当接して駆動環130の回転が停止したことを検知する検知手段は、スリット板と光検知器によって構成されるものに限定されない。例えば、AF用モータ320の過負荷を検知することで駆動環の回転が停止したことを検知するようにしてもよいし、ストッパ部135が作動板170に当接したときに作動するスイッチを設け、このスイッチの動作によって駆動環の回転が停止したことを検知するようにしてもよい。
【0035】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように本発明は、カメラ本体に取り付けられる固定部材と、前記固定部材上において撮影レンズを保持した状態で前記撮影レンズの光軸方向に移動可能に設けられた移動枠と、前記固定部材によって前記光軸を中心にして回転可能に保持され、回転することで前記移動枠を前記光軸方向に移動させる駆動環と、前記駆動環を回転駆動する駆動手段と、前記駆動環に設けられたストッパ部と、前記ストッパ部の移動軌跡上に位置する規制位置と前記移動軌跡から離れた非規制位置との間を移動可能に設けられた作動板とを備え、前記作動板が前記規制位置に位置した状態で前記駆動環が回転されたときに前記ストッパ部が前記作動板に当接して前記駆動環の回転限界位置を規制することで前記撮影レンズの焦点距離の調整範囲を限定するように構成されたAFカメラのフォーカスリミッタ装置において、前記ストッパ部に前記作動板が当接した状態で前記作動板を前記規制位置から前記非規制位置に移動させる際に、前記当接箇所と前記ストッパ部の間に作用する摩擦力を軽減する摩擦力軽減手段を設けた構成とした。そのため、前記ストッパ部に前記作動板が当接した状態で前記作動板を前記規制位置から前記非規制位置に移動させる際に、摩擦力軽減手段によって前記当接箇所と前記ストッパ部の間に作用する摩擦力が軽減されるので、従来と違って作動板を規制位置から非規制位置に移動させる場合の操作性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態のカメラのフォーカスリミッタ装置を光軸に沿った断面から見た状態を示す説明図である。
【図2】図1を矢視A方向からみた状態を示す要部説明図である。
【図3】図2をBB線断面からみた状態とCC線断面からみた状態を併せて示す説明図である。
【図4】制御系の構成を示すブロック図である。
【図5】実施の形態におけるフォーカスリミッタ装置の動作フローチャートである。
【符号の説明】
1000 フォーカスリミッタ装置
100 バヨネット環(固定部材)
110 継環(固定部材)
120 直進環(固定部材)
130 駆動環
135 ストッパ部
150 移動枠
170 作動板
172、173 当接箇所
172A、173A 傾斜部
180 操作部材
190 アイドルギア(伝動部材)
200 撮影レンズ群
300 制御部
310 モータ駆動部
320 AF用モータ(駆動手段)
330 回転検知部(検知信号生成部)

Claims (5)

  1. カメラ本体に取り付けられる固定部材と、
    前記固定部材上において撮影レンズを保持した状態で前記撮影レンズの光軸方向に移動可能に設けられた移動枠と、
    前記固定部材によって前記光軸を中心にして回転可能に保持され、回転することで前記移動枠を前記光軸方向に移動させる駆動環と、
    前記駆動環を回転駆動する駆動手段と、
    前記駆動環に設けられたストッパ部と、
    前記ストッパ部の移動軌跡上に位置する規制位置と前記移動軌跡から離れた非規制位置との間を移動可能に設けられた作動板とを備え、
    前記作動板が前記規制位置に位置した状態で前記駆動環が回転されたときに前記ストッパ部が前記作動板に当接して前記駆動環の回転限界位置を規制することで前記撮影レンズの焦点距離の調整範囲を限定するように構成されたAFカメラのフォーカスリミッタ装置において、
    前記ストッパ部に前記作動板が当接した状態で前記作動板を前記規制位置から前記非規制位置に移動させる際に、前記当接箇所と前記ストッパ部の間に作用する摩擦力を軽減する摩擦力軽減手段を設け、
    前記作動板がストッパ部に当接する当接箇所に、前記規制位置側に位置する作動板部分が前記非規制位置側に位置する作動板部分よりも前記駆動環の回転限界位置を大きく取れるように傾斜した傾斜部が形成され、
    前記摩擦力軽減手段は前記傾斜部から構成されている、
    ことを特徴とするAFカメラのフォーカスリミッタ装置。
  2. 前記固定部材に保持された直進環を有し、前記移動枠の外周面には前記光軸と直交する方向に延在する軸回りに回転可能に設けられたローラが固定され、前記直進環には、前記光軸と平行方向に延在する第1ガイド溝が形成され、前記駆動環には、前記光軸を中心にしてらせん状に形成された第2ガイド溝が形成され、前記ローラは前記第1、第2ガイド溝に挿通され、前記移動枠の保持は前記直進環によって行われ、前記駆動環の回転により前記第1、第2ガイド溝が前記光軸を中心にして相対的に移動することで前記移動枠が前記光軸方向に移動するように構成されていることを特徴とする請求項記載のAFカメラのフォーカスリミッタ装置。
  3. 前記固定部材は、前記作動板の移動方向に延在する長孔を有し、前記長孔には、前記作動板に設けられたガイドピンが挿通され、前記作動板は、前記ガイドピンが前記長孔の長手方向の2つの縁部に当接することで前記規制位置と前記非規制位置に位置決めされるように構成されていることを特徴とする請求項1または2記載のAFカメラのフォーカスリミッタ装置。
  4. 操作部材と伝動部材を有し、前記操作部材は、前記作動板の移動方向と平行方向に移動可能に設けられ、前記伝動部材は、前記操作部材が移動されたときに、前記作動板を前記操作部材の移動方向と反対方向に移動させるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至に何れか1項記載のAFカメラのフォーカスリミッタ装置。
  5. 前記伝動部材は、回転可能に設けられたアイドルギアから構成され、前記操作部材には第1ラックが設けられ、前記作動板には第2ラックが設けられ、前記アイドルギアは前記第1、第2ラックと噛合するように構成されていることを特徴とする請求項記載のAFカメラのフォーカスリミッタ装置。
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