JP4212672B2 - 記憶媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、記憶媒体に関し、特に、セキュリティを高めるための改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在において広く使用されているCD−ROMは、記憶容量が大きく、動画像やゲームプログラムなどの記憶媒体として好適であり、しかも、安価に製造できるという利点がある反面、複製が容易であるため、違法なコピー製品が市場へ流出し易いという問題点があった。CD−ROMに限らず、DVD(デジタル・ビデオ・ディスク)などの記憶媒体においても、同様の問題が存在する。
【0003】
違法複製を防止し、セキュリティを確保するための技術として、ディスクの表面に特殊な凹凸を設ける方法、あるいは、ディスクの表面に磁性体を塗布しておき、これに対してデータの読み書きを行う方法などが、従来より知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来周知のこれらの技術は、単にセキュリティコードを記憶しておくものであるため、比較的容易にコピーを許してしまい、セキュリティを確保する上で、不十分であるという問題点があった。
【0005】
この発明は、従来の技術における上記した問題点を解消するためになされたもので、複製を困難にし、セキュリティを高めることのできる記憶媒体を得ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明の記憶媒体は、回転しつつ非接触で記憶データの読出しが可能な記憶媒体において、アンテナコイルと集積回路素子とを備え、前記アンテナコイルは、電磁誘導によって非接触で、外部から送信される電源信号とデータ信号とを受信可能であり、受信した前記電源信号および前記データ信号を前記集積回路素子へと供給し、当該集積回路素子は、前記記憶データの解読手順を規定するキー情報を記憶しており、前記電源信号から電源電圧を得るとともに、前記データ信号に応答して、前記キー情報を前記アンテナコイルへと送り出し、前記アンテナコイルは、さらに、前記キー情報を電磁誘導によって非接触で外部へと送信し、前記集積回路素子は、前記アンテナコイルから前記データ信号及び前記電源信号を受信する受信回路と、前記キー情報を前記アンテナコイルに送信する送信回路とを含み、前記アンテナコイルは、互いに独立し、かつ前記集積回路素子を挟んで形成される受信用アンテナコイルと送信用アンテナコイルとを含み、前記受信用アンテナコイルは前記受信回路に接続され、前記送信用アンテナコイルは前記送信回路に接続される。
【0007】
この発明の記憶媒体駆動装置は、この発明の記憶媒体を回転させつつ非接触で前記記憶データの読出しを行う記憶媒体駆動装置であって、前記アンテナコイルを第1アンテナコイルとして、当該第1アンテナコイルとの間で、電磁誘導により非接触で信号の授受が可能な第2アンテナコイルと、前記第2アンテナコイルを通じて、前記第1アンテナコイルへと前記電源信号および前記データ信号を送信するとともに、前記第2アンテナコイルを通じて前記キー情報を受信し、当該キー情報にもとづいて、前記記憶データの解読を行う回路と、を備える。
【0008】
【発明の実施の形態】
<1.記憶媒体の概略>
図1は、本発明の実施の形態の記憶媒体の平面図である。また、図2は、図1の上で垂直な中心線に沿った断面図である。図1および図2に示される記憶媒体1は、CD−ROMとして構成されている。そして、記憶媒体1の円盤状の本体部、すなわちディスク本体の中には、集積回路素子(IC)2と、これに接続されたアンテナコイル3とが、埋め込まれている。ディスク本体は、従来周知のCD−ROMと同様に、樹脂で構成されている。
【0010】
集積回路素子2は、アンテナコイル3を媒介することによって、CD−ROMドライバなどの記憶媒体駆動装置から、非接触で電力の供給を受ける。このため、記憶媒体1は、電源を内蔵する必要がない。電力が常時供給されるように、アンテナコイル3は、望ましくは図1に示すように、ディスク本体の回転中心と、中心を同一にする円状に埋設される。
【0011】
また、集積回路素子2は、記憶媒体駆動装置との間で、データの授受、すなわち通信を行うことによって、その役割を果たすが、この通信も、アンテナコイル3を媒介することによって、非接触で行われる。さらに、ディスク本体に書き込まれたデータであるディスクデータ(記憶データ)が、記憶媒体駆動装置によって読み取られる最中においても、同時並行的に、集積回路素子2と記憶媒体駆動装置との間での通信を行うことが可能である。
【0012】
記憶媒体駆動装置は、記憶媒体1を回転駆動しつつ、レーザ光を媒介してディスクデータを非接触で読み取る従来周知の装置部に加えて、集積回路素子2との通信を行う装置部を、別途備えている。その内部構成については、後述する。望ましくは、記憶媒体1の二つの主面の中で、記憶媒体駆動装置がディスクデータにアクセスする側と、集積回路素子2にアクセスする側とは、互いに反対側となるように、記憶媒体1は構成される。これにより、記憶媒体駆動装置の中のデータ通信を行う二つの装置部が、互いに干渉することを防止することができる。
【0013】
記憶媒体1の中で、少なくともアンテナコイル3が配設される部分については、アンテナコイル3の機能を阻害しないように、電磁誘導に影響を与えない材質で形成される。また、図1に示すように、集積回路素子2とアンテナコイル3は、ディスク本体の中心付近、すなわち、ディスクデータが書き込まれない領域に、配置される。これにより、記憶媒体1の本来の機能にかかわるデータであるディスクデータに対する記憶容量、および、ディスクデータへのアクセス機能に影響を与えることなく、集積回路素子2およびアンテナコイル3の搭載が可能となる。
【0014】
集積回路素子2は、ディスクデータに対するセキュリティを確保するための素子として構成される。すなわち、集積回路素子2には、セキュリティ確保を目的として、ディスクデータの解読手順を規定するキー情報が書き込まれる。しかも、キー情報は、ディスクデータの内容ごと、すなわち、ディスク本体に記憶されるソフトウェアごとに、変更される。あるいは、同一のソフトウェアにおいても、複数種類のキー情報が使い分けられる。
【0015】
ソフトウェアごと、あるいは、同一ソフトウェアの中でも、ある種のグループごとに、キー情報が異なるために、不正コピーが困難となる。なぜなら、ディスクデータを複製しても、キー情報がコピーできなければ、記憶媒体駆動装置は、ディスクデータを解読できず、ディスクデータを利用することができないからである。集積回路素子2は、例えば、ROMなどの読出し専用記憶素子、あるいは、フラッシュメモリなどの不揮発性の読み書き可能な記憶素子を備え、その記憶空間にキー情報が書き込まれる。
【0016】
<2.集積回路素子および記憶媒体駆動装置>
図4は、集積回路素子2の内部構成、および、記憶媒体駆動装置の内部構成の一部を示すブロック図である。記憶媒体1と記憶媒体駆動装置とは、組み合わされて、一つのシステム101を構成する。既述のように、記憶媒体駆動装置には、集積回路素子2との通信および集積回路素子2への電力の供給を実行するための装置部が備わっており、この装置部には、図4に示すように、例えば集積回路素子10とマイクロプロセッサ12とが備わっている。
【0017】
マイクロプロセッサ12は、集積回路素子10との間でキー情報をやり取りし、セキュリティチェックを行う。すなわち、キー情報にもとづいて、ディスクデータの解読が行われる。したがって、正常なキー情報が得られなければ、ディスクデータの正常な解読は行われない。
【0018】
この際、集積回路素子10とマイクロプロセッサ12との間での通信データは暗号化される。暗号化は、キー情報を用いて、マイクロプロセッサ12が暗号化の方法を、ダイナミックに決定することによって遂行される。例えば、PN系列等のランダム信号が用られ、この初期値がマイクロプロセッサ12で随時、変更される。
【0019】
なお、マイクロプロセッサ12は、集積回路素子10に付随した専用のマイクロプロセッサであってもよいが、記憶媒体駆動装置に従来から備わり、ディスクデータの読出し等の動作を制御するためのマイクロプロセッサが、その役割を兼ねるものであってもよい。
【0020】
つぎに、図4に沿って、装置の各要素について個別に説明する。集積回路素子2と集積回路素子10との間の通信、および、電力の供給は、記憶媒体1に備わるアンテナコイル3と記憶媒体駆動装置に備わるアンテナコイル11との間で、電磁誘導によって、非接触で行われる。アンテナコイル3とアンテナコイル11との間の距離Dは、望ましくは、20mm以下に設定される。これにより、供給電力、信号強度ともに小さく抑えることが可能となる。また、距離を小さく抑えることで、やり取りするデータの外部への漏洩、あるいは、解析を困難にすることができる。さらに、不要輻射の発生を抑えることが可能となる。
【0021】
アンテナコイル3に接続された整流回路23は、アンテナコイル3で受けた信号、すなわち、電源信号およびデータ信号の双方を含む信号から、電源信号を抽出し、電源電圧を生成する。生成された電源電圧は、集積回路素子2の各要素へ供給される。整流回路23には、図示を略するが、アンテナコイル3から送られる電源信号(正弦波など)を整流する回路、整流された信号を平滑化する回路、および、平滑化された電圧信号を所定の高さに低電圧化する回路が備わっている。
【0022】
アンテナコイル3には、さらに、受信回路25が接続されている。受信回路25は、アンテナコイル3で受信された信号から、変調されたデータ信号を抽出し、デジタルデータへと変換する。受信回路25には、マイクロプロセッサ22が接続されており、受信回路25で変換されたデジタルデータは、このマイクロプロセッサ22へと入力される。
【0023】
マイクロプロセッサ22は、受信回路25から送られる受信データとしてのデジタルデータに対するデータ処理、および、送信データの作成を実行する。マイクロプロセッサ22には、メモリ21が接続されており、マイクロプロセッサ22の処理は、メモリ21に記憶されるデータにもとづいて実行される。キー情報も、このメモリ21に記憶される。メモリ21は、例えば、フラッシュメモリ、ROMなどによって構成される。あるいは、電池等の微小な電源とともにSRAMを備えてもよい。
【0024】
マイクロプロセッサ22には、さらに、送信回路24が接続されている。送信回路24は、アンテナコイル3にも接続されており、マイクロプロセッサ22で生成されたデジタルデータとしての送信データに変調を加えた上で、アンテナコイル3へと送り出す。変調の方式として、例えば、周波数変調、振幅変調、あるいは、位相変調などが用いられる。マイクロプロセッサ22で生成される送信データには、メモリ21から読み出されたキー情報が含まれる。
【0025】
マイクロプロセッサ22には、さらに、リセット回路26およびクロック発生回路27が接続されている。リセット回路26は、整流回路23からの電力の供給が開始されたときに、マイクロプロセッサ22を初期化する働きをなす。クロック発生回路27は、マイクロプロセッサ22の動作に必要なクロック信号を生成する。
【0026】
アンテナコイル11にはドライバ回路31が接続されている。ドライバ回路31は、電力を供給するための信号を生成するとともに、送信回路33から送られる送信データを重畳した上で、アンテナコイル11へと送り出す。ドライバ回路31は、さらに、アンテナコイル3から送信されアンテナコイル11で受信された受信データを取り込み、受信回路34へと入力する。
【0027】
送信回路33および受信回路34は、スクランブラ・デスクランブラ32へ接続されている。スクランブラ・デスクランブラ32は、送信回路33および受信回路34と、マイクロプロセッサ12との間のインタフェースとして機能する要素であり、受信回路34から受け取った受信データを暗号化した上で、マイクロプロセッサ12へと送出するともに、マイクロプロセッサ12から送られる暗号化されたデータを受け取り、暗号を解いた上で、送信回路33へと送り出す。
【0028】
スクランブラ・デスクランブラ32とマイクロプロセッサ12との間のデータの授受は、配線13を通じて行われる。配線13を流れるデータは、暗号化されているので、第三者による解読を防止することができる。
【0029】
<3.変形例>
(1) 図5は、記憶媒体1の変形例を示す平面図である。この例では、アンテナコイル3は、ディスク本体の回転中心と中心を同一にする円状の同心円状部分3aと、例えば、その外側に非同心円状に設置される非同心円状部分3bとを備えている。集積回路素子2への電力の供給が継続的に行われるように、同心円状部分3aは受信用のアンテナコイルとして機能し、非同心円状部分3bは送信用のアンテナコイルとして機能する。したがって、整流回路23と受信回路25は、同心円状部分3aに接続され、送信回路24は非同心円状部分3bに接続される。
【0030】
このように、アンテナコイル3として、受信用と送信用とが別個に設置されるので、受信データと送信データとの間の干渉を防ぐことが容易となる。
【0031】
(2) 以上の説明では、記憶媒体1として、CD−ROMとして構成された例を取り上げたが、この発明は、DVDROM、DVDRAM、その他の円盤状で回転を加えつつ、光あるいは磁気等を媒介することによって非接触でデータの読出し、あるいは読み書きが可能な記憶媒体一般に適用が可能である。また、この発明は、記憶媒体駆動装置として、CD−ROMだけでなく、これらの一般の記憶媒体を駆動する記憶媒体駆動装置一般に適用が可能である。
【0032】
【発明の効果】
この発明の記憶媒体では、記憶データの解読手順を規定するキー情報を記憶する集積回路素子を備えており、受信したデータ信号に応答してキー情報を送信するので、正常なキー情報を受信すれば記憶データを利用することが可能であるが、不正に記憶データが複製された記憶媒体からは、正常なキー情報を得ることができないので、記憶データを利用することができない。
【0033】
すなわち、複製が困難な集積回路素子に書き込まれたキー情報によって、複製が容易な記憶データの不正利用が阻止され、その結果、不正コピーに対するセキュリティが高められる。また、アンテナコイルを通じて、電力の供給、データ信号の受信、および、キー情報の送信が行われるので、通常の記憶データの読出しにおける非接触性を損なわず、しかも、電源を内蔵する必要がないという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態の記憶媒体の平面図である。
【図2】 図1の記憶媒体の断面図である。
【図3】 別の例の記憶媒体の断面図である。
【図4】 実施の形態の記憶媒体および記憶媒体駆動装置のブロック図である。
【図5】 記憶媒体1の変形例を示す平面図である。
【符号の説明】
1 記憶媒体
2 集積回路素子
3 アンテナコイル(第1アンテナコイル)
10 集積回路素子(回路)
11 アンテナコイル(第2アンテナコイル)
12 マイクロプロセッサ(回路)
Claims (1)
- 回転しつつ非接触で記憶データの読出しが可能な記憶媒体において、
アンテナコイルと集積回路素子とを備え、
前記アンテナコイルは、電磁誘導によって非接触で、外部から送信される電源信号とデータ信号とを受信可能であり、受信した前記電源信号および前記データ信号を前記集積回路素子へと供給し、
当該集積回路素子は、前記記憶データの解読手順を規定するキー情報を記憶しており、前記電源信号から電源電圧を得るとともに、前記データ信号に応答して、前記キー情報を前記アンテナコイルへと送り出し、
前記アンテナコイルは、さらに、前記キー情報を電磁誘導によって非接触で外部へと送信し、
前記集積回路素子は、前記アンテナコイルから前記データ信号及び前記電源信号を受信する受信回路と、前記キー情報を前記アンテナコイルに送信する送信回路とを含み、
前記アンテナコイルは、互いに独立し、かつ前記集積回路素子を挟んで形成される受信用アンテナコイルと送信用アンテナコイルとを含み、前記受信用アンテナコイルは前記受信回路に接続され、前記送信用アンテナコイルは前記送信回路に接続される、
記憶媒体。
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