JP4211628B2 - 可変動弁機構 - Google Patents

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Description

この発明は、可変動弁機構に係り、特に、カムシャフトの回転と同期して開閉する弁の作用角と開弁位相を変化させることのできる内燃機関の可変動弁機構に関する。
従来、例えば特開平7−63023号公報には、カムシャフトの回転と同期して開閉する弁体を備える内燃機関において、その弁体のリフト量を変化させる可変動弁機構が開示されている。この可変動弁機構は、カムと弁体との間に、カムの動作と同期して揺動する揺動アームを備えている。揺動アームは、弁体に対する基本の相対角度を変化させることができるように、自由度をもって内燃機関に組み付けられている。そして、この機構は、揺動アームをカムに向けて付勢することで揺動アームの動きを規制するロストモーションスプリングと、制御軸の回転に伴って、揺動アームと弁体との相対角度を変化させる可変機構とを備えている。
上述した可変動弁機構によれば、ロストモーションスプリングの作用により、常に、カムと揺動アームとが機械的に接した状態を維持することができる。このため、この機構によれば、カムの発する機械的な力を、常にロス無く弁体に伝えることができる。更に、この可変動弁機構によれば、制御軸を回転させることにより、揺動アームと弁体の基準の相対角度を変化させることができる。この相対角度が変化すると、カムの押圧力が揺動アームに伝達され始めた後、つまり、カムの作用により揺動アームが揺動し始めた後、揺動アームが実際に弁体を押し下げ始めるまでの期間(クランク角)を変化させることができる。
揺動アームが実際に弁体を押し下げ始めるまでの期間が変化すると、弁体が非閉弁状態とされるクランク角の幅(以下、その幅を「作用角」と称する)が変化し、また、弁体に生ずるリフト量のプロファイルが変化する。このため、上記従来の機構によれば、弁体の作用角およびリフト量を、高い自由度で変化させることが可能である。
特開平7−63023号公報 特開平7−293216号公報
しかしながら、可変動弁機構の周辺温度は、内燃機関の運転状態などに応じて大きく変化する。このため、上記従来の機構において、制御軸やカムシャフトの周辺では、温度変化に起因する大きな膨張或いは収縮が頻繁に生ずる。このような熱変形は、制御軸とカムの間に介在している揺動アームや、その揺動アームの角度を変化させるための可変機構の状態を変化させる。
より具体的には、上記従来の機構においては、その機構の周辺温度が上昇すると、制御軸とカムシャフトの間隔が長くなるような熱変形が生じ、その結果、揺動アームの状態が作用角を小さくする方向に変化する。反対に、可変動弁機構の周辺温度が下降する際には、制御軸とカムシャフトの間隔が短くなり、揺動アームの状態が作用角を大きくする方向に変化する。
温度変化に起因して揺動アームの状態が変化する過程で、弁体の開弁位相には大きな変化が生じない。つまり、その過程において、弁体のリフト量が最大となるクランク角には大きな変化が生じない。開弁位相が変化することなく作用角が変化すれば、弁体の開弁時期には進角が生じ、他方、その閉弁時期には遅角が生ずる。この変化が例えば吸気弁において生ずると、排気弁と吸気弁とが共に開く期間、つまり、バルブオーバーラップに変化が生ずる。
内燃機関を安定作動させるためには、バルブオーバーラップを運転状態に応じた適切な値とすることが必要である。この点、上記従来の可変動弁機構は、内燃機関の温度変化に応じて、バルブオーバーラップに意図しない変化が生ずるという点において、内燃機関の作動状態を不安定にし易いという側面を有するものであった。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、可変動弁機構の周辺温度の変化に合わせて、弁体の開弁位相を補正することにより、その温度変化の影響がバルブオーバーラップにおよぶのを防ぐことのできる可変動弁機構を提供することを目的とする。
第1の発明は、上記の目的を達成するため、内燃機関の弁体の作用角と開弁位相を変化させる機能を有する可変動弁機構であって、
前記開弁位相を変化させるための位相可変機構と、
前記作用角を変化させるべくその状態が制御される制御軸と、
カムと弁体との間に介在しカムの回転と同期して揺動することにより当該カムの押圧力を前記弁体に伝達する揺動アームと、
前記制御軸の状態に応じて、前記弁体に対する前記揺動アームの基本相対角を変化させる可変機構と、
前記制御軸および前記カムの近傍温度を検出または推定する温度検出手段と、
前記制御軸の状態を検知する状態検知センサと、
前記弁体の開弁位相を検知する位相検知手段と、
内燃機関の停止時における前記近傍温度を停止時温度として取得する停止時温度取得手段と、
内燃機関の停止時における作用角を、前記制御軸の状態に基づいて、停止時作用角として検知する停止時作用角検知手段と、
内燃機関の停止時における前記開弁位相を、停止時位相として検知する停止時位相検知手段と、
内燃機関の再始動想定温度と前記停止時温度との差、前記停止時作用角、および前記停止時位相に基づいて、補正前再始動時バルブオーバーラップを算出する補正前VOL算出手段と、
前記補正前再始動時バルブオーバーラップを、前記再始動想定温度に適した値とするために前記弁体の開弁位相に施すべき位相補正量を算出する位相補正量算出手段と、
内燃機関の再始動に先立って、前記開弁位相に前記位相補正量の変化が生ずるように、前記位相可変機構の状態補正を行う位相補正手段と、
を備えることを特徴とする。
また、第2の発明は、第1の発明において、前記位相補正手段は、前記状態補正を、内燃機関の停止時に行うことを特徴とする。
また、第3の発明は、第1または第2の発明において、前記再始動想定温度は、内燃機関の使用温度範囲の最低温度であることを特徴とする。
また、第4の発明は、内燃機関の弁体の作用角と開弁位相を変化させる機能を有する可変動弁機構であって、
前記開弁位相を変化させるための位相可変機構と、
前記作用角を変化させるべくその状態が制御される制御軸と、
カムと弁体との間に介在しカムの回転と同期して揺動することにより当該カムの押圧力を前記弁体に伝達する揺動アームと、
前記制御軸の状態に応じて、前記弁体に対する前記揺動アームの基本相対角を変化させる可変機構と、
前記制御軸および前記カムの近傍温度を検出または推定する温度検出手段と、
前記制御軸の状態を検知する状態検知センサと、
前記弁体の開弁位相を検知する位相検知手段と、
所定時点での前記近傍温度を所定時温度として取得する所定時温度取得手段と、
前記所定時での作用角を、前記制御軸の状態に基づいて、所定時作用角として検知する所定時作用角検知手段と、
前記所定時点の後に取得した前記近傍温度の現実値と前記所定時温度との温度差、および前記所定時作用角に基づいて、実作用角を推定する実作用角推定手段と、
前記実作用角と前記弁体の開弁位相とに基づいてバルブオーバーラップを推定するバルブオーバーラップ推定手段と、
前記バルブオーバーラップが目標値となるように、前記位相可変機構の状態補正を行う位相補正手段と、
を備えることを特徴とする。
また、第5の発明は、第4の発明において、前記位相補正手段は、
前記バルブオーバーラップが前記目標値に対して適正な値であるか否かを判断する判断手段と、
前記バルブオーバーラップが前記目標値に対して適正でないと判断された場合に、そのバルブオーバーラップを前記目標値とするために前記開弁位相に施すべき位相補正量を算出する位相補正量算出手段と、
前記開弁位相に前記位相補正量の変化が生ずるように、前記位相可変機構の状態補正を行う位相補正手段と、
を含むことを特徴とする。
また、第6の発明は、第4または第5の発明において、
前記所定時点は、内燃機関の停止時であり、
前記近傍温度の現実値は、内燃機関の停止中に取得された前記近傍温度の値であり、
前記位相補正手段は、内燃機関の停止中に前記状態補正を繰り返し実行することを特徴とする。
また、第7の発明は、内燃機関の弁体の作用角と開弁位相を変化させる機能を有する可変動弁機構であって、
前記開弁位相を変化させるための位相可変機構と、
前記作用角を変化させるべくその状態が制御される制御軸と、
カムと弁体との間に介在しカムの回転と同期して揺動することにより当該カムの押圧力を前記弁体に伝達する揺動アームと、
前記制御軸の状態に応じて、前記弁体に対する前記揺動アームの基本相対角を変化させる可変機構と、
前記制御軸および前記カムの近傍温度を検出または推定する温度検出手段と、
前記制御軸の状態を検知する状態検知センサと、
前記弁体の開弁位相を検知する位相検知手段と、
内燃機関の停止時における前記近傍温度を停止時温度として取得する停止時温度取得手段と、
内燃機関の停止時における作用角を、前記制御軸の状態に基づいて、停止時作用角として検知する停止時作用角検知手段と、
内燃機関の停止時における前記開弁位相を、停止時位相として検知する停止時位相検知手段と、
内燃機関の再始動要求時における前記近傍温度を再始動要求時温度として取得する再始動要求時温度取得手段と、
前記再始動要求時温度と前記停止時温度との差、前記停止時作用角、および前記停止時位相に基づいて、補正前再始動要求時バルブオーバーラップを算出する補正前VOL算出手段と、
前記補正前再始動要求時バルブオーバーラップを、再始動に適した値とするために前記弁体の開弁位相に施すべき位相補正量を算出する位相補正量算出手段と、
内燃機関の再始動に先立って、前記開弁位相に前記位相補正量の変化が生ずるように、前記位相可変機構の状態補正を行う位相補正手段と、
を備えることを特徴とする。
また、第8の発明は、第6または第7の発明において、前記内燃機関は、運転者の操作に依らずに自動停止および自動始動する機能を有するものであることを特徴とする。
第1の発明によれば、制御軸を回転させることにより、制御軸とカムとの間に介在する可変機構と揺動アームの状態を変化させ、その結果として弁体の開弁特性を変化させることができる。そして、本発明によれば、内燃機関の停止時における温度(停止時温度)と内燃機関の再始動想定温度との差と、内燃機関の停止時における作用角(停止時作用角)と、内燃機関の停止時における開弁位相(停止時位相)に基づいて、制御軸の状態が補正されずに再始動想定温度下での再始動がなされた場合に生ずるバルブオーバーラップ(補正前再始動時バルブオーバーラップ)を算出し、更に、その補正前再始動時バルブオーバーラップを再始動想定温度下での再始動に適した値に変換するための位相補正量を算出することができる。その後、内燃機関の再始動に先立ってその位相補正量分だけ開弁位相が補正されるため、内燃機関の停止後の温度変化に関わらず、その再始動時には、常に想定温度下で最適とされるバルブオーバーラップを弁体に与えることができる。
第2の発明によれば、想定温度下で最適とされるバルブオーバーラップを実現するための開弁位相の補正を、内燃機関の停止時に行うことができる。このため、本発明によれば、再始動の要求が生じた後に、内燃機関を迅速に再始動させることができる。
第3の発明によれば、内燃機関の始動時に、使用温度範囲の最低温度下での最適なバルブオーバーラップを弁体に与えることができる。このため、本発明によれば、全ての使用温度範囲内で内燃機関を良好に始動させることができる。
第4の発明によれば、制御軸を回転させることにより、制御軸とカムとの間に介在する可変機構と揺動アームの状態を変化させ、その結果として弁体の開弁特性を変化させることができる。そして、本発明によれば、所定時点の温度(所定時温度)と、その後の実温度(近傍温度の現実値)と、所定時点における作用角(所定時作用角)とに基づいて、所定時点の後に生じた温度変化の影響を加味した実作用角を算出することができる。更に、本発明によれば、その実作用角と開弁位相とに基づき、現実のバルブオーバーラップを推定し、その値が目標値となるように開弁位相を補正することができる。このため、本発明によれば、内燃機関の温度変化に関わらず、現実のバルブオーバーラップを常に目標値の近傍値に制御することができる。
第5の発明によれば、算出されたバルブオーバーラップが目標値に対して適正でない場合に、開弁位相を修正してその値を適正値に補正することができる。以後、修正後の開弁位置を基礎としてバルブオーバーラップの算出が継続されることにより、バルブオーバーラップは、常時適正な値に維持される。
第6の発明によれば、内燃機関の停止時に所定時温度および所定時作用角を検出し、その後、内燃機関の停止中に実作用角を予測し続けることができる。そして、内燃機関が停止している間中、その実作用角に対して適正なバルブオーバーラップが得られるように、開弁位相を補正し続けることができる。このため、本発明によれば、内燃機関の停止後の温度変化に関わらず、常に最適なバルブオーバーラップで内燃機関を再始動させることができる。
第7の発明によれば、制御軸を回転させることにより、制御軸とカムとの間に介在する可変機構と揺動アームの状態を変化させ、その結果として弁体の開弁特性を変化させることができる。そして、本発明によれば、内燃機関の停止時における温度(停止時温度)と内燃機関の再始動が要求された際の温度(再始動要求時温度)との差と、内燃機関の停止時における作用角(停止時作用角)と、内燃機関の停止時における開弁位相(停止時位相)に基づいて、制御軸の状態が補正されずに再始動がなされた場合に生ずるバルブオーバーラップ(補正前再始動要求時バルブオーバーラップ)を算出し、更に、その補正前再始動要求時バルブオーバーラップを再始動に適した値に変換するための位相補正量を算出することができる。その後、内燃機関の再始動に先立ってその位相補正量分だけ開弁位相が補正されるため、内燃機関の停止後の温度変化に関わらず、再始動時には、常に最適なバルブオーバーラップを弁体に与えることができる。
第8の発明によれば、自動停止および自動始動する機能を有する内燃機関において、再始動時に常に最適なバルブオーバーラップを弁体に与えることができる。このような機能を有する内燃機関においては、始動と停止が数多く繰り返されるため、本発明により始動性が改善されると、内燃機関の状態を著しく良好なものにすることができる。
実施の形態1.
[可変動弁機構の全体構成]
図1は、本発明の実施の形態1の可変動弁機構の全体構成を説明するための図である。より具体的には、図1(A)は、可変動弁機構の全体を表した平面図であり、図1(B)はその機構を図1(A)に示すB矢視で表した側面図である。
図1に示す構成は、内燃機関のシリンダヘッド10を含んでいる。シリンダヘッド10は、各気筒の両側に位置するように配置された複数の制御軸軸受け11を有しており、それらの制御軸軸受け11により、制御軸12を回転可能に保持している。シリンダヘッド10には、また、制御軸軸受け11と同様に配置された複数のカムシャフト軸受け13を備えており、それらのカムシャフト軸受け13により、カムシャフト14を回転可能に保持している。本実施形態における内燃機関は、4つの気筒を直列に備えたものであり、制御軸12およびカムシャフト14は、それら4つの気筒の上方を縦断するように設けられている。
内燃機関における個々の気筒は、それぞれカムの回転と同期して開閉する吸気弁および排気弁を備えている(何れも図1への表示は省略)。本実施形態における可変動弁機構は、少なくとも各気筒の吸気弁について、作用角およびリフト量、並びに開弁位相を可変とするための機構である。
カムシャフト14の端部には、位相可変機構15が配置されている。位相可変機構15は、例えば、特開2000−87769号公報に開示されるような構成を有しており、油圧等を動力源として、クランクシャフト(図示せず)とカムシャフト14の相対回転角を変化させることができる。クランクシャフトに対するカムシャフト14の相対回転角が変化すると、弁体がカムに押圧される時期とクランク角との関係が変化し、その結果、弁体の開弁位相が変化する。本発明の可変動弁機構は、このようにして弁体の開弁位相を変化させる。
上述した制御軸12は、弁体の作用角およびリフト量を変化させるために、その回転位置が制御される部材である。吸気弁の作用角およびリフト量を自由に変更することができると、それらを制御することにより、スロットルバルブを用いずに吸入空気量を制御することが可能となる。そして、吸入空気量をそのようにして制御することとすると、吸気管圧力が負圧となるのを避けることができ、内燃機関におけるポンピングロスを無くすことができる。本実施形態における内燃機関は、そのような効果を得るべく、スロットルバルブを用いずに可変動弁機構により吸入空気量を制御するいわゆるスロットルレスタイプの内燃機関であるものとする。尚、可変動弁機構の詳細については、後に図2乃至図5を参照して詳細に説明する。
制御軸12の端部には、平歯状の第1ギヤ16が固定されている。第1ギヤ16には、同じく平歯状の第2ギヤ17が噛み合わされている。第2ギヤ17の中心には、回転軸18が固定されている。また、回転軸18には、図1(B)に示すように、第2ギヤ17と重なるように半円状のウォームホイル19が固定されている。更に、ウォームホイル19には、モータ20の回転軸に固定されたウォームギヤ21が噛み合わされている。このような構成によれば、モータ20の回転を制御することで、制御軸12の回転位置を制御することができる。
制御軸12の端部には、また、制御軸12の回転位置を検出するための回転角センサ22が配置されている。回転角センサ22の出力は、ECU(Electronic Control Unit)24に供給されている。ECU24には、更に、内燃機関の冷却水温THWを検出する水温センサ25、クランクシャフトの回転位置を検出するクランク角センサ26、およびカムシャフト14の回転位置を検出するカム角センサ27が接続されている。ECU24は、それらのセンサの出力を検出すると共に、それらの検出値に基づいて、位相可変機構15やモータ20の状態を制御することができる。
ところで、回転角センサ22の出力と、制御軸12の現実の回転位置との関係は、センサの個体差や、機械的なバラツキ、更にはそれらの経時変化などの影響で、必ずしも全ての場合において一定にはならない。このような前提の下、ECU24は、例えば内燃機関の始動直後などに、制御軸12を一方の制御端まで回転させ(以下、この処理を「突き当て処理」と称す)、その際のセンサ出力に基づいて、その出力を較正する機能を有している。このため、ECU24は、経時変化等の影響を受けることなく、回転角センサ22の出力に基づいて、制御軸12の回転位置を正確に検知することができる。
[可変動弁機構の詳細構成]
次に、本実施形態の可変動弁機構が、個々の気筒に対応して備える機械的機構の構成と動作を説明する。尚、以下の説明においては、説明の便宜上、その機械的機構も、符号30を付したうえで「可変動弁機構」と称することとする。また、内燃機関の個々の気筒には、2つの吸気弁が配設されており、それぞれの可変動弁機構30は、2つの吸気弁を駆動するものとする。
図2は、一の気筒に対応して設けられる可変動弁機構30の主要部の斜視図である。この可変動弁機構30は、駆動すべき2つの弁体32(ここでは吸気弁)を備えている。弁体32には、それぞれ弁軸34が固定されている。弁軸34の端部は、ロッカーアーム36の一端に設けられたピボットに接している。弁軸34には、バルブスプリング(図2への表示は省略)の付勢力が作用しており、ロッカーアーム36は、その付勢力を受けた弁軸34により上方に付勢されている。ロッカーアーム36の他端は、油圧ラッシュアジャスタ38により回動可能に支持されている。油圧ラッシュアジャスタ38によれば、ロッカーアームの高さ方向の位置を油圧により自動調整することにより、タペットクリアランスを自動調整することができる。
ロッカーアーム36の中央部には、ローラ40が配設されている。ローラ40の上部には、揺動アーム42が配置されている。以下、揺動アーム42の周辺の構造を、図3を参照して説明する。
図3は、第1アーム部材44と第2アーム部材46の分解斜視図である。第1アーム部材44および第2アーム部材46は、何れも図2に示す可変動弁機構30の主要な構成部材である。既述した揺動アーム42は、図3に示すように、第1アーム部材44の一部である。
すなわち、第1アーム部材44は、図3に示すように、2つの揺動アーム42と、それらに挟まれたローラ当接面48とを一体に備える部材である。2つの揺動アーム42は、2つの弁体32のそれぞれに対応して設けられたものであり、それぞれ既述したローラ40(図2参照)に接している。
第1アーム部材44には、2つの揺動アーム42を貫通するように開口した軸受け部50が設けられている。また、揺動アーム42には、それぞれ、ローラ40と接する面に同心円部52と押圧部54とが設けられている。同心円部52は、ローラ40との接触面が軸受け部50と同心円を構成するように設けられている。一方、押圧部54は、その先端側の部分ほど軸受け部50の中心からの距離が遠くなるように設けられている。
第2アーム部材46は、非揺動部56と揺動ローラ部58を備えている。非揺動部56には貫通孔が設けられており、その貫通孔には、図1を参照して説明した制御軸12が挿入される。更に、非揺動部56および制御軸12には、両者の相対位置を固定するための固定ピン62が挿入されている。このため、非揺動部56と制御軸12とは、一体の構造物として機能する。
揺動ローラ部58は、2つの側壁64を備えている。これらの側壁64は、回転軸66を介して回動自在に非揺動部56に連結されている。また、2つの側壁64の間には、カム当接ローラ68と、スライドローラ70が配設されている。カム当接ローラ68およびスライドローラ70は、それぞれ側壁64に挟まれた状態で自由に回動することができる。
上述した制御軸12は、第1アーム部材44の軸受け部50により回転可能に保持される部材である。つまり、制御軸12は、軸受け部50に保持された状態で非揺動部56と一体化されるべき部材である。この要求を満たすべく、非揺動部56(つまり第2アーム部材46)は、制御軸12と固定される前に、第1アーム部材44の2つの揺動アーム42の間に位置合わせされる。制御軸12は、この位置合わせがなされた状態で、2つの軸受け部50および非揺動部56を貫通するように挿入される。その後、制御軸12と非揺動部56とを固定すべく固定ピン62が装着される。その結果、第1アーム部材44が制御軸12回りを自由に回動することができ、非揺動部56が制御軸12と一体化され、かつ、揺動ローラ部58が非揺動部56に対して揺動し得る機構が実現される。
第1アーム部材44と第2アーム部材46とが、以上のように組み付けられた場合、第1アーム部材44と制御軸12との相対角、つまり、第1アーム部材44と非揺動部56との相対角が所定の条件を満たす範囲では、揺動ローラ部58のスライドローラ70が、第1アーム部材44のローラ当接面48と接することができる。そして、それら両者の接触を維持しながら、上記の所定の条件を満たす範囲で第1アーム部材44を制御軸12回りで回動させると、スライドローラ70は、ローラ当接面48に沿って転動することができる。本実施形態の可変動弁機構は、その転動を伴いながら弁体32を開閉動作させる。尚、その動作については、後に図4および図5を参照して詳細に説明する。
図2は、第1アーム部材44、第2アーム部材46、および制御軸12が、上記の手順で組み付けられた状態を示している。この状態において、第1アーム部材44および第2アーム部材46の位置は制御軸12の回転位置により規制される。制御軸12には、上述した通りギヤ機構を介してモータ20が連結されている(図1参照)。図2に示す状態は、そのモータ20により、スライドローラ70がローラ当接面48に当接するように、制御軸12の回転角を調整した状態を示している。
図2に示すように、可変動弁機構30は、カムシャフト14の近傍に配置されている。より具体的には、可変動弁機構30は、揺動ローラ部58のカム当接ローラ68が、カムシャフト14に固定されているカム74と接するように配置されている。このような配置において、カム当接ローラ68の上方への移動はカム74により規制されている。このため、カム74の回転に伴い、カムノーズがカム当接ローラ68と接し始めると、カム当接ローラ68は、その結果生ずる押圧力により下方へ押圧される。このようにして生ずる押圧力は、スライドローラ70を介して第1アーム部材44のローラ当接面48に伝達される。
つまり、図2に示す状態においては、カム74が、揺動ローラ部58を介して第1アーム部材44と機械的に接触し続ける状態が形成されている。スライドローラ70は、ローラ当接面48の上を転動しながらカム74の発する押圧力を第1アーム部材44に伝え続けることができる。その結果、第1アーム部材44に、制御軸12を中心とする回転が生じ、揺動アーム42によりロッカーアーム36が押し下げられ、弁体32に開弁方向の動きが与えられる。可変動弁機構30は、以上説明したように動作することにより、カム74の回転と同期して、弁体32を開閉動作させる。
[可変動弁機構の動作]
次に、図4および図5を参照して、可変動弁機構30の動作を説明する。ここで、図4および図5には、既述した構成要素に加えて、ロストモーションスプリング76と、バルブスプリング78とが図示されている。バルブスプリング78は、弁軸34およびロッカーアーム36を閉弁方向に付勢するためのスプリングである。一方、ロストモーションスプリング76は、ローラ当接面48とカム74との機械的接触を維持するためのスプリングである。
すなわち、可変動弁機構30は、上述した通り、カム74の作用力を機械的にローラ当接面48に伝えることで弁体32を駆動する。このため、可変動弁機構30が適正に作動するためには、カム74とローラ当接面48とが、カム当接ローラ68およびスライドローラ70を介して常に機械的に連結されていることが必要である。そして、この要求を満たすためには、ローラ当接面48を、つまり、第1アーム部材44を、カム74の方向に付勢することが必要である。
本実施形態において用いられるロストモーションスプリング76は、その上端がシリンダヘッド等に固定され、かつ、その下端がローラ当接面48の後端部を付勢するように組み付けられている。この場合、その付勢力は、ローラ当接面48がスライドローラ70を押し上げる方向に作用し、更には、カム当接ローラ68をカム74に押し当てる力として作用する。その結果、可変動弁機構30は、カム74とローラ当接面48とが機械的に連結された状態を維持することができる。
図4は、可変動弁機構30が弁体32に対して小さなリフトを与えるように動作している様子を示す。以下、この動作を「小リフト動作」と称す。より具体的には、図4(A)は、小リフト動作の過程で弁体32が閉弁している様子を、また、図4(B)は小リフト動作の過程で弁体32が開弁している様子を、それぞれ表している。
図4(A)において、符号θは、制御軸12の回転位置を表すパラメータである。以下、そのパラメータを「制御軸回転角θ」とする。ここでは、便宜上、制御軸12と非揺動部56とを固定する固定ピン62の軸方向と鉛直方向とのなす角を制御軸回転角θと定義することとする。また、図4(A)において、符号θは、揺動アーム42の回転位置を表すパラメータである。以下、そのパラメータを「アーム回転角θ」とする。ここでは、便宜上、揺動アーム42の先端部と制御軸12の中心とを結ぶ直線と水平方向とのなす角をアーム回転角θと定義することとする。
可変動弁機構30において、揺動アーム42の回転位置、つまり、アーム回転角θは、スライドローラ70の位置により決定される。また、スライドローラ70の位置は、揺動ローラ部58の回転軸66の位置と、カム当接ローラ68の位置とで決定される。そして、カム当接ローラ68とカム74との接触が維持される範囲では、回転軸66が図4における左回り方向に回転するほど、つまり、制御軸回転角θcが大きくなるほど、スライドローラ70の位置は上方に変化する。このため、可変動弁機構30においては、制御軸回転角θが大きくなるほど、アーム回転角θが小さくなるという現象が生ずる。
図4(A)に示す状態において、制御軸回転角θは、カム当接ローラ68がカム74との接触を保てる範囲で、つまり、カム74がカム当接ローラ68の上方への移動を規制し得る範囲でほぼ最大の値とされている。従って、図4(A)に示す状態において、アーム回転角θは、ほぼ最小の値となっている。可変動弁機構30は、この場合において、揺動アーム42の同心円部52のほぼ中央がロッカーアーム36のローラ40に接し、その結果、弁体32が閉弁状態となるように構成されている。以下、この場合のアーム回転角θを、「小リフト時の基準アーム回転角θA0」と称す。
図4(A)に示す状態からカム74が回転すると、カム当接ローラ68がカムノーズにより押圧されて制御軸12方向に移動する。揺動ローラ部58の回転軸66からスライドローラ70までの距離は変化しないため、カム当接ローラ68が制御軸12に近づく際には、ローラ当接面48が、その面上を転動するスライドローラ70により押し下げられる。その結果、アーム回転角θが大きくなる方向に揺動アーム42が回転し、揺動アーム42とローラ40との接触点が、同心円部52の中央付近から押圧部54に向かって移行する。
揺動アーム42の回転に伴い、押圧部54がローラ40に接するようになると、バルブスプリング78の付勢力に抗って弁体32が開弁方向に移動する。そして、図4(B)に示すように、カムノーズの頂点がカム当接ローラ68と接するタイミングにおいて、アーム回転角θが最大値(以下、「最大アーム回転角θAMAX」とする)となり、弁体32のリフト量が最大となる。その後、カム74の回転に伴い、アーム回転角θが小さくなるに連れて弁体32のリフト量は減少し、ローラ40と揺動アーム42との接触点が同心円部52に戻った時点で弁体32は閉弁状態となる。
小リフト動作の際には、基準アーム回転角θA0が小さな値とされているため、カムノーズがカム当接ローラ68に接し始めた後、しばらくの間は、弁体32が閉弁状態に維持される。そして、最大リフト量が生じた後は、カムノーズによるカム当接ローラ68の押圧が終わる以前に、比較的早期に弁体32が閉弁状態に復帰する。その結果、小リフト動作の際には、弁体32が非閉弁状態とされる期間、つまり、弁体32の作用角が小さな値となり、また、弁体32の最大リフト量も小さな値となる。
図5は、可変動弁機構30が弁体32に対して大きなリフトを与えるように動作している様子を示す。以下、この動作を「大リフト動作」と称す。より具体的には、図5(A)は、大リフト動作の過程で弁体32が閉弁している様子を、また、図5(B)は大リフト動作の過程で弁体32が開弁している様子を、それぞれ表している。
大リフト動作を行う場合は、図5(A)に示すように、制御軸回転角θが十分に小さな値に調整される。その結果、非リフト時におけるアーム回転角θ、つまり、基準アーム回転角θA0は、スライドローラ70がローラ当接部28から脱落しない範囲で十分に大きな値とされる。可変動弁機構30は、このような基準アーム回転角θA0において、揺動アーム42とローラ40との接触点が、同心円部52の端部に位置するように構成されている。このため、その状態において、弁体32は閉弁状態に維持される。
図5(A)に示す状態からカム74が回転すると、カム当接ローラ68がカムノーズに押圧され始めた後、即座に、ローラ40と揺動アーム42との接触点は同心円部52から押圧部54に移行する。そして、カム当接ローラ68がカムノーズのピーク部に押圧されるまで、弁体32は大きく開弁方向に押し出される。更に、図5(B)に示すように弁体32のリフトが最大量となった後も、カムノーズがカム当接ローラ68を押圧している間は、弁体32の開弁が長期に渡って維持される。このため、可変動弁機構30によれば、上述した大リフト動作の実行中は、弁体32に対して、大きな作用角と大きなリフト量を与えることができる。
[本実施形態の可変動弁機構の課題]
以上説明した通り、本実施形態の可変動弁機構は、制御軸12を回転させることにより、弁体32の作用角およびリフト量を変化させることができる。そして、本実施形態における内燃機関は、その作用角およびリフト量を適正な値とすることにより所望の吸入空気量を実現し、所望の運転状態を実現することができる。
ところで、本実施形態において、制御軸12およびカムシャフト14は、何れもシリンダヘッド10により保持されている。図4(A)中に符号Lを付して示す距離は、それら両者間の寸法である。このL寸法は、シリンダヘッド10の周辺温度が変化し、シリンダヘッド10に熱変形が生ずることにより伸縮する。一方、シリンダヘッド10の周辺に温度変化が生じれば、制御軸12とカムシャフト14の間に介在している部材、つまり、第1アーム部材44や第2アーム部材46にも熱膨張或いは熱収縮が生ずる。
ここで、本実施形態におけるシリンダヘッド10は、アルミを主成分とする材質で構成されており、他方、第1アーム部材44や第2アーム部材46は鉄系の材質で構成されている。それらの材質は、それぞれ異なる線膨張係数を示すため、シリンダヘッド10の周辺温度に変化が生ずると、実質的にL寸法に増減が生じたのと同じ事態が生ずる。
より具体的には、本実施形態の構成によれば、シリンダヘッド10の周辺温度が上昇した場合には、第1アーム部材44および第2アーム部材46の膨張量を越える膨張がL寸法に生じ、実質的にL寸法が増す事態が生ずる。この場合、基準アーム回転角θA0が減少し、その結果、実作用角が減少するという傾向が生ずる。反対に、シリンダヘッド10周辺の温度が下降方向に変化した場合には、第1アーム部材44および第2アーム部材46の収縮量を越える収縮がL寸法に生じ、実質的にL寸法が減る事態が生ずる。この場合、基準アーム回転角θA0が増大し、その結果、実作用角が増加するという傾向が生ずる。
図6は、上述した実作用角の温度特性をまとめたものである。この図に示すように、本実施形態の可変動弁機構によれば、弁体32の実作用角は、シリンダヘッド10の周辺温度に対して、負の温度特性を示す。このため、制御軸12の回転位置が固定されていても、その温度が低下すれば、吸気弁の作用角が大きくなり、他方、その温度が上昇すれば吸気弁の作用角が小さくなるという現象が生ずる。
図7は、実作用角の温度特性とバルブオーバーラップとの関係を説明するための図である。図7において、波形80は排気弁のリフトプロファイルである。また、高温時リフト82は高温環境化での吸気弁(弁体32)のリフトプロファイルである。更に、低温時補正前リフト84は、高温時リフト82が実現される位相条件(位相可変機構15の状態)のまま、環境温度だけが低温となった場合に得られる吸気弁のリフトプロファイルである。そして、低温時補正後リフト86は、低温環境下で、適正なバルブオーバーラップを得るために、位相条件を補正した場合に得られる吸気弁のリフトプロファイルである。
本実施形態の可変動弁機構は、上述した通り、環境温度の変化に追従して、制御軸12の回転位置が一定であっても弁体32の実作用角を変化させる。この際、位相可変機構15の状態が変更されない限り、カム74とクランクシャフトの相対回転角に大きな変化は生じない。このため、高温時リフト82と低温時補正前リフト84は、ほぼ同一のクランク角において最大リフトを示している。
換言すると、本実施形態の可変動弁機構においては、制御軸12の回転角および位相可変機構15の状態が変更されないまま、環境温度のみが高温から低温に変化した場合、最大リフトの生ずるクランク角に大きな変化が生じないまま、つまり、弁体32の開弁位相に大きな変化が生じないまま、作用角だけが大きくなる事態が生ずる。その結果、内燃機関の温度が低下する過程においては、弁体32の開弁時期に進角が生じ、また、その閉弁時期に遅角が生ずる。
排気弁と吸気弁とが共に開弁する期間、つまり、バルブオーバーラップは、吸気弁の開弁時期が進角するに連れて大きくなる。このため、本実施形態の可変動弁機構においては、制御軸12の回転位置や位相可変機構15の状態が変化しなくても、機関温度が低下することによりバルブオーバーラップが徐々に大きくなるという現象が生ずる。
このようなバルブオーバーラップの拡大は、特に、内燃機関が停止された後、その再始動が図られるまでの間に顕著に表れる。このため、内燃機関の停止時に、再始動に適したバルブオーバーラップが実現されていたとしても、現実にその再始動が行われる際には、過大なバルブオーバーラップが発生し易い。
バルブオーバーラップの期間中は、所謂内部EGR(排気ガスの還流)が生ずる。そして、内部EGR量は、バルブオーバーラップが大きくなるほど多量となる。内燃機関の低温始動時に多量の内部EGRが生ずると、混合気中に既燃ガスが占める割合が大きくなり、内燃機関の安定性が損なわれる。このため、低温始動時に良好な始動性を得るためには、過大なバルブオーバーラップの発生を防ぐことが必要である。
バルブオーバーラップは、弁体32の開弁位相を遅角させることにより小さくすることができる。このため、内燃機関の始動に先だって位相可変機構15を適切に調整すれば、バルブオーバーラップが過大なまま始動が開始されるのを防ぐことができる。ところで、バルブオーバーラップは、内燃機関の停止後に生じた温度の低下量が大きいほど大きな値となる。このため、全ての使用温度領域において過大なバルブオーバーラップの発生を防ぐためには、内燃機関の始動が、使用温度領域の最低温度(ここでは、−35℃とする)で要求されることを想定して位相可変機構15を調整することが妥当である。
停止時における内燃機関の温度t0(以下、「停止時温度t0」と称す)が判れば、その温度が再始動想定温度(−35℃)に低下する過程で生ずる温度変化量Δtは、Δt=t0−(−35℃)として求めることができる。実作用角の温度特性は、図6に示すように、予め把握しておくことが可能であるため、上記の温度変化量Δtが判れば、内燃機関の停止後、再始動想定温度で始動が要求されるまでに実作用角に表れる変化量ΔAを推定することは可能である。
更に、内燃機関の停止時における実作用角A(以下、「停止時作用角A」と称す)が判れば、機関温度が再始動想定温度に低下した場合に実現される実作用角は、A+ΔAとして求めることができる。そして、内燃機関の停止時における開弁位相VT(以下、「停止時位相VT」と称す)と、再始動想定温度での実作用角A+ΔAが判れば、その想定温度下での補正前のバルブオーバーラップVOLを推定することができる(排気弁のリフトプロファイルは既知であるものとする)。
つまり、本実施形態の可変動弁機構においては、内燃機関の停止時温度t0と、停止時作用角Aと、停止時位相VTとが判れば、再始動想定温度(−35℃)下での発生が予想される補正前のバルブオーバーラップを推定することができる。そして、その値が推定できれば、バルブオーバーラップを適正値とするための位相補正量を算出し、その算出値に基づいた補正を位相可変機構15に施すことが可能である。
[実施の形態1における具体的処理]
図8は、上述した原理に従ってバルブオーバーラップの補正を行うべく本実施形態において実行されるルーチンのフローチャートである。図8に示すルーチンは、内燃機関の始動時に起動される。このルーチンが起動されると、先ず、実作用角A、機関温度t0、および開弁位相VTが検出される(ステップ100)。
実作用角Aは回転角センサ22の出力に基づいて検出される。機関温度t0は水温センサ25の出力に基づいて検出される。ここでは、冷却水温THWが機関温度t0としてそのまま扱われるものとする。開弁位相VTは、厳密にはクランク角とカム角との相対回転位置を表す物理量であり、クランク角センサ26により検出されるクランク角と、カム角センサ27により検出されるカム角との相対関係に基づいて検知される。尚、開弁位相VTは、近似的には、弁体32に最大リフトが生ずるクランク角の特性値として取り扱うことができる。
次に、内燃機関の停止が要求されたか否かが判別される(ステップ102)。具体的には、車両のイグニッションスイッチがONからOFFに切り替えられたか否かが判別される。その結果、停止要求が生じていないと判別された場合は、再び上記ステップ100の処理が実行される。
一方、停止要求が生じたと判別された場合は、以後、ステップ104以降の処理が開始される。その結果、最後に検出されたA、t0および、VTが、それぞれ停止時作用角A、停止時温度t0、および停止時位相VTとして確定される。ここでは、先ず、再始動想定温度である極低温(−35℃)と、停止時温度t0との温度差Δt=t0−(−35℃)が算出される(ステップ104)。
次に、補正前再始動時作用角が算出される。具体的には、制御軸12の回転位置が固定されたまま、可変動弁機構30の周辺温度が再始動想定温度(−35℃)にまで低下した場合に実現されると予想される作用角が算出される(ステップ106)。ECU24は、図6に示すような温度と実作用角との関係に対応するマップ或いは演算式(例えば、y=ax+bのような一次式)を記憶している。本ステップ106では、その関係に、停止時作用角Aと、温度差Δt=t0−(−35℃)とを当てはめることにより、補正前再始動時作用角が予測される。
次に、補正前のバルブオーバーラップVOLが算出される(ステップ108)。ここでは、具体的には、先ず、停止時位相VTと補正前再始動時作用角とに基づいて、再始動想定温度下での弁体32、つまり吸気弁の開弁時期が予測される。ECU24は、始動時における排気弁の閉弁時期を記憶している。そして、予測した吸気弁の開弁時期と、記憶している排気弁の閉弁時期とに基づいて、補正前のバルブオーバーラップVOLを算出する。
次いで、補正前のバルブオーバーラップVOLが、内燃機関の始動に適した値、つまり、始動時の目標値に照らして適正であるか否かが判別される(ステップ110)。より具体的には、その補正前のVOLが、予め設定されている始動時VOLの目標範囲に収まっているか否かが判別される(ステップ110)。
その結果、補正前のバルブオーバーラップVOLが適正であると判別された場合は、その値を補正する必要がないことから、速やかに今回の処理サイクルが終了される。一方、補正前のバルブオーバーラップVOLが適正値でないと判別された場合は、補正前のバルブオーバーラップVOLと、始動時におけるバルブオーバーラップVOLの目標値との差が、位相補正量ΔVTとして算出される(ステップ112)。
位相補正量ΔVTが算出されると、その補正量ΔVT分だけ位相可変機構15が遅角方向に駆動される(ステップ114)。その結果、吸気弁の開弁時期が位相補正量ΔVT分だけ遅角され、バルブオーバーラップVOLが始動時の目標値に補正される。以上の処理が終わると、再始動に備えるための制御が終了し、図8に示すルーチンが終了される。
以上説明した通り、図8に示すルーチンによれば、内燃機関の停止が要求された場合に、停止時作用角A、停止時温度t0、および停止時位相VTに基づいて、極低温(−35℃)での再始動を想定したバルブオーバーラップVOLを算出することができる。そして、極低温での再始動時に適正なVOLが実現されるように、内燃機関の停止の時点で弁体32(吸気弁)の開弁位相を補正しておくことができる。
極低温での再始動を想定して開弁位相を補正しておけば、内燃機関の再始動が極低温下で要求された場合に良好な始動性を実現することができる。そして、内燃機関の始動性は、始動時の温度が高いほど良好になることから、本実施形態の可変動弁機構によれば、使用温度領域の全域で内燃機関に対して良好な始動性を与えることができる。
更に、本実施形態の可変動弁機構は、内燃機関の停止時に上記の補正を実行するため、再始動の際には何らの補正も行わずに即座にクランキングを開始することができる。このため、本実施形態の可変動弁機構は、内燃機関に対して、良好な始動性と共に、優れた始動応答性をも付与することができる。
但し、再始動に備えたバルブオーバーラップVOLの補正は、内燃機関の停止時に行うことに限定されるものではない。つまり、VOLの補正は、内燃機関の再始動が要求された時点で実行することとしてもよい。VOLを補正するために位相可変機構15を駆動するタイミングが内燃機関の停止時であっても始動時であっても、停止時温度t0、停止時作用角A、および停止時位相VTが検出されていれば、上記の手法により、位相補正量ΔVTを算出することが可能である。このため、内燃機関の停止時或いは始動時に、その手法によって位相補正量ΔVTを算出し、更に、内燃機関の始動時に、その補正量ΔVT分だけ位相可変機構15を駆動すれば、始動要求の発生後速やかに、適正なバルブオーバーラップを実現することができる。そして、その状況が形成された後にクランキングを開始することとすれば、実施の形態1の場合と同様に、全ての温度環境下で内燃機関に対して良好な始動性を与えることができる。
ところで、上述した実施の形態1において、可変動弁機構30は、制御軸12を回転させることにより弁体32の作用角およびリフト量を変化させるものとされているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、可変動弁機構30は、制御軸12を軸方向に移動させることにより弁体32の作用角およびリフト量を変化させるものであってもよい。
また、上述した実施の形態1においては、可変動弁機構30が、制御軸12の状態に応じて、作用角およびリフト量の双方を変化させることとしているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、可変動弁機構30は、作用角だけを変化させるものであってもよい。
尚、上述した実施の形態1においては、第1アーム部材44および第2アーム部材46が前記第1の発明における「可変機構」に、水温センサ25が前記第1の発明における「温度検出手段」に、回転角センサ22が前記第1の発明における「状態検知センサ」に、クランク角センサ26およびカム角センサ27が前記第1の発明における「位相検知手段」に、それぞれ相当している。また、ここでは、ECU24が、上記ステップ100において機関温度t0を検出することにより前記第1の発明における「停止時温度取得手段」が、実作用角Aを検出することにより前記第1の発明における「停止時作用角検知手段」が、開弁位相VTを検出することにより前記第1の発明における「停止時位相検知手段」が、上記ステップ108の処理を実行することにより前記第1の発明における「補正前VOL算出手段」が、上記ステップ112の処理を実行することにより前記第1の発明における「位相補正量算出手段」が、上記ステップ114の処理を実行することにより前記第1の発明における「位相補正手段」が、それぞれ実現されている。
実施の形態2.
次に、図9を参照して、本発明の実施の形態2について説明する。本実施形態の可変動弁機構は、実施の形態1の可変動弁機構と同様のハードウェア構成を有している。本実施形態の可変動弁機構は、所謂アイドリングストップ機能を有するエコラン車両や、ハイブリッド自動車など、自動停止・自動始動の機能を有する内燃機関と組み合わせて用いるのに好適な特性を有している。以下、本実施形態の可変動弁機構が、自動停止・自動始動の機能を有する車両との組み合わせで用いられる場合について説明する。
本実施形態の可変動弁機構においては、実施の形態1の場合と同様に、弁体32の実作用角に温度特性が表れる。このため、内燃機関の停止後は、制御軸12の回転位置が固定されていても、機関温度の低下に伴って弁体32の実作用角に変化が生ずる。その結果、内燃機関の再始動時には、バルブオーバーラップが過大な値となり易い。
エコラン車両やハイブリッド車両においては、内燃機関の自動停止と自動始動とが頻繁に繰り返される。また、これらの車両においては、内燃機関を、違和感なく自動始動させることが要求される。そして、このような要求を満たすためには、内燃機関の始動時に、バルブオーバーラップを適正値にしておくことが必要である。
内燃機関が通常の運転を行っている場合は、バルブオーバーラップの値が始動に適した値から外れるのが通常である。このため、内燃機関は、多くの場合、始動に適さないバルブオーバーラップを生じさせる状態で停止される。そして、良好な始動性を得るためには、その停止の後、再始動が図られるまでの間に、バルブオーバーラップを始動に適した幅の中に収めることが必要である。
始動要求に対する内燃機関の応答性は良好であるほど好ましい。特に、始動と停止が頻繁に繰り返されるエコラン車両やハイブリッド車両では、良好な応答性が特に望まれる。始動に対する応答性を高めるためには、バルブオーバーラップを始動に適した値とするための補正作業が、始動要求の発生に先立って終了していることが望ましい。このため、本実施形態では、内燃機関の停止後に、バルブオーバーラップが即座に再始動に適した値に補正され、その後、内燃機関が停止している間中、温度変化に関わらず、バルブオーバーラップが始動に適した幅の内に収まり続けるように、位相可変機構15の状態を調整することとした。この場合、如何なるタイミングで内燃機関の自動始動が要求されても、バルブオーバーラップが常に始動に適した値となっているため、即座にクランキングを開始するだけで、速やかにその自動始動を実現することが可能である。
図9は、上記の機能を実現するために本実施形態においてECU24が実行するルーチンのフローチャートである。図9に示すルーチンは、エコラン車両やハイブリッド車両のシステムが始動されることにより起動される。このルーチンが起動されると、先ず、図8に示すステップ100の場合と同じように、実作用角A、機関温度t0、および開弁位相VTが検出される(ステップ120)。
次に、内燃機関の停止が要求されたか否かが判別される(ステップ122)。その結果、機関の停止は要求されていないと判別された場合は、再び上記ステップ120の処理が実行される。一方、機関の停止が要求されていると判別された場合は、更に、車両システム自体の停止が要求されているか否かが判別される(ステップ124)。そして、車両システム自体の停止が要求されていると判別された場合は、その後速やかに今回の処理サイクルが終了される。一方、車両システム自体の停止は要求されていないと判別された場合は、次に、内燃機関の再始動が要求されているか否かが判別される(ステップ126)。
本実施形態のシステムは、内燃機関の停止が要求されると、内燃機関を自動的に停止させ、その後、内燃機関の再始動が要求されると内燃機関を自動的に始動させる。従って、上記ステップ122において機関停止の要求が認められた後、上記ステップ126において再始動の要求が認められるまでの間は、内燃機関が停止状態に維持される。この間、可変動弁機構30の周辺温度は時々刻々と低下し、一方、ECU24の内部では、以下に説明するステップ128以降の処理が実行される。
すなわち、この場合、ECU24は、先ず、現在の冷却水温度THWを、内燃機関の停止中温度t1として検出する(ステップ128)。次に、上記ステップ120において検出された機関温度t0(停止時温度t0)と上記の停止中温度t1との差、つまり、内燃機関の停止後に可変動弁機構30の周辺温度に生じた温度差Δt=t0−t1が算出される(ステップ130)。
次いで、その温度差Δtに起因して、内燃機関の停止後に実作用角に生じたと予想される作用角変化量ΔAが算出される(ステップ132)。ECU24は、図6に示すような温度と実作用角との関係に対応するマップ或いは演算式(例えば、y=ax+bのような一次式)を記憶している。本ステップ132では、その関係に温度差Δt=t0−t1を当てはめることにより、作用角変化量ΔAが算出される。
次に、上記ステップ120において検出された実作用角A(停止時作用角A)に、作用角変化量ΔAを加えることにより、現在の実作用角A´=A+ΔAが算出される(ステップ134)。次いで、その実作用角A´と、上記ステップ120において検出された開弁位相VT(停止時位相VT)とに基づいて、現時点で生じているバルブオーバーラップVOLが算出される(ステップ136)。
ECU24は、次に、そのバルブオーバーラップVOLが始動時における目標値に照らして適正であるか、より具体的には、そのVOLが始動時VOLの目標範囲に収まっているかを判別する(ステップ138)。
その結果、現在のバルブオーバーラップVOLが適正であると判別された場合は、その値を補正する必要がないと判断できる。この場合は、以後、再び上記ステップ124以降の処理が実行される。一方、現在のバルブオーバーラップVOLが始動に適した値でないと判別された場合は、そのVOLと、始動時VOLの目標値との差が、位相補正量ΔVTとして算出される(ステップ140)。
位相補正量ΔVTが算出されると、開弁位相VTがその位相補正量ΔVTだけ遅角されるように位相可変機構15が駆動される(ステップ142)。その結果、吸気弁の開弁時期が位相補正量ΔVT分だけ遅角され、バルブオーバーラップVOLが始動時の目標値に補正される。
次いで、補正後の状態に適合する開弁位相VTを取得する処理、つまり、現在の開弁位相VTより位相補正量ΔVTだけ大きな値VT+ΔVTを最新の開弁位相VTとして取得する更新処理が実行される(ステップ144)。その後、ECU24は、再び上記ステップ124以降の処理を実行する。
以上の処理によれば、内燃機関が自動的に停止された直後に、バルブオーバーラップVOLを始動に適した値とすべく、速やかに開弁位相VTを補正することができる。そして、その補正が行われた直後に、最新の状態に適合させるべく開弁位相VTを更新することができる。
エコラン車両やハイブリッド車両のシステム自体が停止されず、かつ、内燃機関の再始動が要求されない限りは、以後、上述したステップ128〜144の処理が繰り返し実行される。開弁位相VTが補正された直後は、バルブオーバーラップVOLが始動に適した範囲に収まっているため、ステップ138の条件が成立する。この場合は、開弁位相VTの補正が行われずにステップ128〜138の処理が繰り返される。そして、十分な時間の経過に伴い、再びバルブオーバーラップVOLが始動に適した範囲から外れると、ステップ138の条件が不成立となり、再び開弁位相VTの補正が行われる(ステップ140〜144)。
以上の処理が繰り返される結果、内燃機関の自動停止中は、常にバルブオーバーラップVOLが始動に適した範囲に収められる。このため、本実施形態の可変動弁機構によれば、内燃機関が自動停止した後、その再始動が要求された際に、優れた応答性を伴って良好な再始動を実現することができる。尚、図9に示すルーチンによれば、内燃機関の再始動が要求された後は、ステップ126の条件成立が判別され、以後、再びステップ120以降の処理が繰り返されることとなる。
ところで、上述した実施の形態2では、再始動時における応答性を優先する観点から、内燃機関の停止中に、常にバルブオーバーラップVOLを始動に適した範囲に収めることとしているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、バルブオーバーラップVOLは、再始動が要求された時点で始動に適した値に補正することとしてもよい。つまり、内燃機関の停止中には、停止中温度t1を基礎とする位相補正量ΔVTの算出処理のみを繰り返し実行しておき、再始動の要求時に、その位相補正量ΔVTを実現すべく位相可変機構15を駆動した後にクランキングを開始することとしてもよい。
更に、位相補正量ΔVTの演算に要する時間が、始動時の応答性にさほど影響しない程度であれば、内燃機関の停止中には何ら処理を行わず、内燃機関の再始動が要求された時点で、その時点における温度t1に基づく位相補正量ΔVTの演算と、その位相補正量ΔVTに基づく位相可変機構15の駆動とを順次実行し、その後にクランキングを開始することとしてもよい。このような手法によっても、適切なバルブオーバーラップVOLでの再始動を図ることが可能であり、内燃機関に対して良好な始動性を付与することができる。
また、上述した実施の形態2においては、可変動弁機構が、エコラン車両やハイブリッド車両など、自動停止および自動始動の機能を有する内燃機関と組み合わされるものとされているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、内燃機関の始動が要求された際に、その時点における現実の機関温度t1の下で最適なバルブオーバーラップを発生させることは、エコラン車両やハイブリッド車両に限らず、通常の車両においても始動性を改善するうえで有効である。このため、本実施形態の可変動弁機構は、通常の車両との組み合わせにおいて用いることとしてもよい。
更に、上述した実施の形態2においては、内燃機関の停止中に、バルブオーバーラップを最適な値に維持すべく、開弁位相VTの補正を繰り返し実行することとしているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、内燃機関の運転中においても、温度変化が生ずる以上は実作用角Aに変化が生ずる。そして、実作用角Aが変化する以上は、位相可変機構15の状態変化に起因しない変化がバルブオーバーラップに発生する。このため、バルブオーバーラップから温度変化の影響を排除することは、内燃機関の停止中に限らず、その運転中においても有効である。このため、温度変化に起因するバルブオーバーラップの変化分を、開弁位相VTの補正で相殺する処理は、内燃機関の運転中に実行することとしてもよい。
尚、上述した実施の形態2においては、第1アーム部材44および第2アーム部材46が前記第4の発明における「可変機構」に、水温センサ25が前記第4の発明における「温度検出手段」に、回転角センサ22が前記第4の発明における「状態検知センサ」に、クランク角センサ26およびカム角センサ27が前記第4の発明における「位相検知手段」に、それぞれ相当している。また、ここでは、ECU24が、上記ステップ120において実作用角Aおよび機関温度t0を検知することにより前記第4の発明における「所定時作用角検知手段」および「所定時温度取得手段」が、上記ステップ134において実作用角A´を算出することにより前記第4の発明における「実作用角推定手段」が、上記ステップ136の処理を実行することにより前記第4の発明における「バルブオーバーラップ推定手段」が、上記ステップ138〜144の処理を実行することにより前記第4の発明における「位相補正手段」が、それぞれ実現されている。
また、上述した実施の形態2においては、ECU24が、上記ステップ138の処理を実行することにより前記第5の発明における「判断手段」が、上記ステップ140の処理を実行することにより前記第5の発明における「位相補正量算出手段」が、上記ステップ142の処理を実行することにより前記第5の発明における「位相補正手段」が、それぞれ実現されている。
また、上述した実施の形態2においては、第1アーム部材44および第2アーム部材46が前記第7の発明における「可変機構」に、水温センサ25が前記第7の発明における「温度検出手段」に、回転角センサ22が前記第7の発明における「状態検知センサ」に、クランク角センサ26およびカム角センサ27が前記第7の発明における「位相検知手段」に、それぞれ相当している。また、ここでは、ECU24に、上記ステップ120において機関温度t0、実作用角A、および開弁位相VTを検出させることにより前記第7の発明における「停止時温度取得手段」、「停止時作用角検知手段」、および「停止時位相検知手段」をそれぞれ実現することができる。また、ECU24に、再始動要求の発生時に機関温度を検出させることにより前記第7の発明における「再始動要求時温度取得手段」を、その再始動時の機関温度をt1として上記ステップ128〜136の処理を実行させることにより前記第7の発明における「補正前VOL算出手段」を、その結果ステップ136で算出されたVOLを基礎として上記ステップ140の処理を実行させることにより前記第7の発明における「位相補正量算出手段」を、次いで、上記ステップ142の処理を実行させることにより前記第7の発明における「位相補正手段」を、それぞれ実現することができる。
本発明の実施の形態1の可変動弁機構の全体構成を説明するための図である。 本発明の実施の形態1の可変動弁機構が一の気筒に対応して備える機械的機構(可変動弁機構)の斜視図である。 図2に示す可変動弁機構の構成要素である第1アーム部材と第2アーム部材の分解斜視図である。 本発明の実施の形態1の可変動弁機構が小リフト動作を行う場合の様子を示す図である。 本発明の実施の形態1の可変動弁機構が大リフト動作を行う場合の様子を示す図である。 本発明の実施の形態1において実作用角に表れる温度特性を説明するための図である。 本発明の実施の形態1の動作を説明するための排気弁と吸気弁のリフトプロファイルである。 本発明の実施の形態1において実行されるルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の形態2において実行されるルーチンのフローチャートである。
符号の説明
12 制御軸
14 カムシャフト
20 モータ
32 弁体
32 揺動アーム
44 第1アーム部材
46 第2アーム部材
74 カム
θ 制御軸回転角
θ アーム回転角

Claims (8)

  1. 内燃機関の弁体の作用角と開弁位相を変化させる機能を有する可変動弁機構であって、
    前記開弁位相を変化させるための位相可変機構と、
    前記作用角を変化させるべくその状態が制御される制御軸と、
    カムと弁体との間に介在しカムの回転と同期して揺動することにより当該カムの押圧力を前記弁体に伝達する揺動アームと、
    前記制御軸の状態に応じて、前記弁体に対する前記揺動アームの基本相対角を変化させる可変機構と、
    前記制御軸および前記カムの近傍温度を検出または推定する温度検出手段と、
    前記制御軸の状態を検知する状態検知センサと、
    前記弁体の開弁位相を検知する位相検知手段と、
    内燃機関の停止時における前記近傍温度を停止時温度として取得する停止時温度取得手段と、
    内燃機関の停止時における作用角を、前記制御軸の状態に基づいて、停止時作用角として検知する停止時作用角検知手段と、
    内燃機関の停止時における前記開弁位相を、停止時位相として検知する停止時位相検知手段と、
    内燃機関の再始動想定温度と前記停止時温度との差、前記停止時作用角、および前記停止時位相に基づいて、補正前再始動時バルブオーバーラップを算出する補正前VOL算出手段と、
    前記補正前再始動時バルブオーバーラップを、前記再始動想定温度に適した値とするために前記弁体の開弁位相に施すべき位相補正量を算出する位相補正量算出手段と、
    内燃機関の再始動に先立って、前記開弁位相に前記位相補正量の変化が生ずるように、前記位相可変機構の状態補正を行う位相補正手段と、
    を備えることを特徴とする可変動弁機構。
  2. 前記位相補正手段は、前記状態補正を、内燃機関の停止時に行うことを特徴とする請求項1記載の可変動弁機構。
  3. 前記再始動想定温度は、内燃機関の使用温度範囲の最低温度であることを特徴とする請求項1または2記載の可変動弁機構。
  4. 内燃機関の弁体の作用角と開弁位相を変化させる機能を有する可変動弁機構であって、
    前記開弁位相を変化させるための位相可変機構と、
    前記作用角を変化させるべくその状態が制御される制御軸と、
    カムと弁体との間に介在しカムの回転と同期して揺動することにより当該カムの押圧力を前記弁体に伝達する揺動アームと、
    前記制御軸の状態に応じて、前記弁体に対する前記揺動アームの基本相対角を変化させる可変機構と、
    前記制御軸および前記カムの近傍温度を検出または推定する温度検出手段と、
    前記制御軸の状態を検知する状態検知センサと、
    前記弁体の開弁位相を検知する位相検知手段と、
    所定時点での前記近傍温度を所定時温度として取得する所定時温度取得手段と、
    前記所定時での作用角を、前記制御軸の状態に基づいて、所定時作用角として検知する所定時作用角検知手段と、
    前記所定時点の後に取得した前記近傍温度の現実値と前記所定時温度との温度差、および前記所定時作用角に基づいて、実作用角を推定する実作用角推定手段と、
    前記実作用角と前記弁体の開弁位相とに基づいてバルブオーバーラップを推定するバルブオーバーラップ推定手段と、
    前記バルブオーバーラップが目標値となるように、前記位相可変機構の状態補正を行う位相補正手段と、
    を備えることを特徴とする可変動弁機構。
  5. 前記位相補正手段は、
    前記バルブオーバーラップが前記目標値に対して適正な値であるか否かを判断する判断手段と、
    前記バルブオーバーラップが前記目標値に対して適正でないと判断された場合に、そのバルブオーバーラップを前記目標値とするために前記開弁位相に施すべき位相補正量を算出する位相補正量算出手段と、
    前記開弁位相に前記位相補正量の変化が生ずるように、前記位相可変機構の状態補正を行う位相補正手段と、
    を含むことを特徴とする請求項4記載の可変動弁機構。
  6. 前記所定時点は、内燃機関の停止時であり、
    前記近傍温度の現実値は、内燃機関の停止中に取得された前記近傍温度の値であり、
    前記位相補正手段は、内燃機関の停止中に前記状態補正を繰り返し実行することを特徴とする請求項4または5記載の可変動弁機構。
  7. 内燃機関の弁体の作用角と開弁位相を変化させる機能を有する可変動弁機構であって、
    前記開弁位相を変化させるための位相可変機構と、
    前記作用角を変化させるべくその状態が制御される制御軸と、
    カムと弁体との間に介在しカムの回転と同期して揺動することにより当該カムの押圧力を前記弁体に伝達する揺動アームと、
    前記制御軸の状態に応じて、前記弁体に対する前記揺動アームの基本相対角を変化させる可変機構と、
    前記制御軸および前記カムの近傍温度を検出または推定する温度検出手段と、
    前記制御軸の状態を検知する状態検知センサと、
    前記弁体の開弁位相を検知する位相検知手段と、
    内燃機関の停止時における前記近傍温度を停止時温度として取得する停止時温度取得手段と、
    内燃機関の停止時における作用角を、前記制御軸の状態に基づいて、停止時作用角として検知する停止時作用角検知手段と、
    内燃機関の停止時における前記開弁位相を、停止時位相として検知する停止時位相検知手段と、
    内燃機関の再始動要求時における前記近傍温度を再始動要求時温度として取得する再始動要求時温度取得手段と、
    前記再始動要求時温度と前記停止時温度との差、前記停止時作用角、および前記停止時位相に基づいて、補正前再始動要求時バルブオーバーラップを算出する補正前VOL算出手段と、
    前記補正前再始動要求時バルブオーバーラップを、再始動に適した値とするために前記弁体の開弁位相に施すべき位相補正量を算出する位相補正量算出手段と、
    内燃機関の再始動に先立って、前記開弁位相に前記位相補正量の変化が生ずるように、前記位相可変機構の状態補正を行う位相補正手段と、
    を備えることを特徴とする可変動弁機構。
  8. 前記内燃機関は、運転者の操作に依らずに自動停止および自動始動する機能を有するものであることを特徴とする請求項6または7記載の可変動弁機構。
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