JP4211079B2 - 光学フィルムの作製方法及び作製装置 - Google Patents

光学フィルムの作製方法及び作製装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学素子に用いられる光学フィルムの作製方法および光学フィルムの作製装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の光学フィルムは、例えば液晶表示素子補償板、液晶表示素子用視野角改良板、光学位相差板、旋光子、λ/4板、λ/2板などの光学素子に用いられるものである。光学フィルムの材料としては、特に、比較的弱い光を吸収して屈折率変化を生ずる光誘起複屈折性を有する高分子化合物あるいは高分子液晶が注目されている。この系の材料は、光照射によって偏光の制御が可能であるため、複数の光学特性を有する光学フィルムの作製が可能である。また、高分子液晶については、そのねじれ角を画素単位で制御することによって、液晶ディスプレイのカラーフィルタ、あるいは偏光角度を記録単位とした光記録媒体としての応用も提案されている。
【0003】
光誘起複屈折性を有する高分子化合物あるいは高分子液晶に所望の偏光角情報を書き込む装置は、通常、光源と、この光源から発せられた光束を所望の偏光方向に制御するための偏光回転素子と、偏光光を収束するための対物レンズなどから構成される。偏光回転素子としては、λ/2板、液晶バルブ、ポッケルス素子、ファラデー素子などが用いられる。この装置を用いて、例えば液晶ディスプレイの各画素領域の配置に一致するように、高分子液晶上に偏光角情報を書き込むことによって、液晶表示素子補償板、液晶表示素子用視野角改良板、光学位相差板、あるいはカラーフィルタとして利用することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
光誘起複屈折性を有する高分子化合物あるいは高分子液晶は高機能である反面、一つの光学フィルム面内に複数の光学特性を有するよう構成される。そこで通常は、書き込み装置を用いて光学フィルム一枚一枚に偏光角情報を書き込んでゆく操作が必要である。そのため生産効率が悪いという問題点があった。
【0005】
従って本発明の目的は、同一機能を有する光学フィルムを効率よく作製するための光学フィルムの作製方法及び作製装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、光源からの光を偏光回転素子に入射し、この入射された光の偏光を偏光回転素子により回転制御し、偏光が回転制御された光を光学フィルムに照射し、これによってマスターフィルムを作製することにより、達成される。このマスターフィルムを用いることで、同様の機能を有する多数の光学フィルムを容易に作製することができる。
【0007】
具体的には、少なくとも1層の光誘起複屈折性のある光材料層を含む光学フィルムをマスターフィルムとして用い、その光材料層を光照射により1/2波長板として機能させる。1/2波長板の方位は、照射する光の偏光面の方位(偏光角と称す)を回転することにより回転される。従って、光の偏光角を多値化することにより、同一面内に複数のねじれ光学特性をもつマスターフィルムを作製することができる。
【0008】
このようにして作製したマスターフィルムから、所望の光学フィルムを作製する。すなわち、このマスターフィルムには特定方位に1/2波長板が記録されており、これに任意の偏光角の光を照射して、その透過光を用いて別の少なくとも1層の光誘起複屈折性のある光記録材料を含む光学フィルムに偏光記録情報を転写する。このときの偏光角の変化は、2倍となるため、マスターフィルムに書き込んでおく偏光角情報は、できあがりの光学フィルムの半分の偏光角情報となるように作製する。
【0009】
本発明に係るマスターフィルムの作製装置は、コヒーレント光を発する光源と、光源からの光の偏光を回転制御する偏光回転素子と、偏光が回転制御された光を光学フィルムに照射する結像光学系とから構成される。光の偏光の回転は、偏光回転素子に電圧を印加することにより行うことができる。本装置には、光学フィルムに照射する光の結像位置を移動させる機構が備えられる。
【0010】
また、本発明に係る光学フィルムの作製装置は、コヒーレント光を発する光源と、光源からの光を通過させる偏光回転素子と、偏光回転素子を通過した光をマスターフィルムに照射する第1の機構と、マスターフィルムの透過光を光学フィルムに照射する第2の機構とから構成される。ここで偏光回転素子は、光源から入射された光の通過光がs偏光となるよう構成される。
【0011】
このように、1/2波長板の方位を多値変調して記録しているマスターフィルムに光を照射することにより、マスターフィルムの偏光角情報を別の光学フィルムに容易に転写できる。従ってマスターフィルムを作製しておけば、あとは直線偏光光による露光によって、同じ偏光情報を持つ光学フィルムを連続的に作製することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明に係る光学フィルムの作製方法を説明する前に、そのもととなる偏光角情報の記録原理について説明する。
【0013】
まず、直線偏光した光の偏光角を任意の角度で回転させる方法について説明する。光は電磁波の一種であるからマックスウェルの方程式で表すことができる。z軸(光の進行方向)を固定すれば、光の電場ベクトルEは(数1)で表すことができる。
【0014】
【数1】
Figure 0004211079
【0015】
ここで、φx及びφyはそれぞれx軸とy軸に対する初期位相を表す。この電場ベクトルEの先端は、x軸とy軸の位相差(φx−φy)の値によっていろいろな軌道を描く。
【0016】
図1(a)〜(i)は、x軸とy軸の位相差(φx−φy)が変化したときの光の偏光状態を模式的に表したものである。同図(a)、(e)、(i)から分かるように、位相差(φx−φy)=0=π=2πのときは、電場ベクトルEとx−y座標軸とのなす角は時間に関係なく常に一定であり、いわゆる直線偏光となる。いま同図(a)の位相差(φx−φy)=0の直線偏光に対して、位相差(φx−φy)がπだけ増加するような作用を加えると、位相差(φx−φy)=πとなり、同図(e)のような直線偏光となる。このことは、位相差(φx−φy)がπだけ変化するような作用を加えることにより、直線偏光した光の偏光角が回転したことを意味する。
【0017】
図2は、このような作用を与える光学素子として1/2波長板の例を示すものである。この素子は、進相軸と遅相軸の光路差Δが次の(数2)のようにされている。
【0018】
【数2】
Δ=(m+1/2)*λ (数2)
【0019】
ここでmは整数、λは波長である。光はこの素子を通過すると、前述の位相差(φx−φy)においてπの変化を生じる。図2に示すように、進相軸に対して角度θ(但し0度<θ<90度)の偏光角を持つ直線偏光の光Aを1/2波長板に照射し通過させると、その透過光Bは進相軸に対して反対側で角度θの偏光角を持つ直線偏光の光となる。このことから、1/2波長板の働きを利用すれば、進相軸と入射直線偏光光のなす角度θを制御することで、入射直線偏光光と2θの角度をなす透過光を得ることができる。
【0020】
このような光学素子の材料としては、光誘起複屈折性を示し、かつその複屈折性が記録・保持される材料であればどのようなものであってもよい。ここで、光誘起複屈折性とは、もともと等方的な媒体に光を照射することによって屈折率の異方性(複屈折性)が生じる事を言う。光誘起複屈折性を示す材料としては、例えば光異性化する基を側鎖に持つ高分子化合物または高分子液晶、あるいは光異性化する分子を分散させた高分子材料があげられる。この種の材料はマクロで見ると等方的であるが、直線偏光を照射すると光異性化が誘起されて、それにより屈折率の異方性が生じる。
【0021】
光異性化する基または分子としては、異性化により大きな複屈折性を示すものが望まれ、例えば、アゾベンゼン骨格を含むものが好適である。光異性化基あるいは分子を保持する高分子材料としては、光異性化基の誘起された異方性が高分子化合物あるいは高分子液晶に伝達され、結果として高分子化合物あるいは高分子液晶全体に大きな複屈折性が生じ、かつ、その複屈折性が記録されるものが望ましい。例えば、ポリエステル群から選ばれた少なくとも一種のモノマー重合体である高分子化合物または高分子液晶、具体的には、ポリメチルメタクリレートやポリビニルアルコールが好適である。
【0022】
次に、光異性化基としてアゾベンゼンを例にとって説明する。アゾベンゼンは、光照射によりトランス−シスの光異性化を示す。トランス型になると分子構造が図3(a)に示すようになり、一方シス型になると、分子構造が図3(b)に示すようになる。
【0023】
アゾベンゼンは単体では異方性を示すが、図4(a)のように記録材料中でランダムに分散されている場合は、記録材料全体として等方性を示す。また記録材料中では、光励起される前はトランス型が多く存在する。これに対して光励起されることによりトランス型がシス型に変化し、材料中にはシス型が多く存在するようになる。特にこの材料にある偏光方向をもつ直線偏光のポンプ光を照射すると、図4(b)のように、その偏光方向と同方向のアゾベンゼンのみが光を吸収しシス型へと変化する。この場合、アゾベンゼンの異性化により生じるアゾベンゼン自身の複屈折と、アゾベンゼンの異性化によって誘起される高分子化合物または高分子液晶の複屈折とが組み合わさって、光記録媒体中にポンプ光の偏光方向を軸とした複屈折が生じる。この複屈折性を利用して、高分子膜を先に説明した波長板として機能させることができる。
【0024】
ここで、高分子膜を例えば1/2波長板として用いる場合を考える。高分子膜の厚さをdとし、光誘起屈折率変化をΔnとすれば、高分子膜中を波長λの光が通過する時に起こる光路差は、Δn・dとなる。従って、これがちょうどλ/2になれば、高分子膜は1/2波長板として機能する。すなわち次の(数3)の条件を満たすように複屈折を誘起すればよい。
【0025】
【数3】
Δn・d=λ/2 (数3)
【0026】
つぎに本発明で使用した材料の光学特性について説明する。位相差板の材料として、図3(c)に示す側鎖にシアノアゾベンゼンを持つポリエステルを原料とし、これをクロロホルムに溶解させて溶液を作製し、この溶液をガラス基板に塗布して乾燥させ、厚さ2μmのフィルムを得た。この材料の光誘起屈折率変化の測定を、図5に示す測定系で行った結果を図6に示す。
【0027】
図5において、光記録材料に異方性を誘起するのに使用するポンプ光4の光源2bとしては、側鎖にシアノアゾベンゼンを持つポリエステルに感度のある515nmのアルゴンイオンレーザが用いられる。光源2bから出た光の偏光はs偏光(紙面に垂直)であり、そのレーザ光を1/2波長板6を通し、光学フィルム1に照射する。この1/2波長板6でポンプ光4の偏光角をs偏光から45度だけ変化させた。このポンプ光4で誘起される複屈折性の方位は、ポンプ光とは別の光源2aで発生されるプローブ光3で測定する。この光源2aには、光学フィルム1に誘起される異方性に影響を与えない波長をもつ633nmのヘリウムネオンレーザを使用した。このレーザ光を偏光子5に透過させて、s偏光(紙面に垂直)の光とする。この光を光学フィルム1に照射し、その透過光を偏光ビームスプリッター(PBS)7に導く。この偏光ビームスプリッター7により、透過してきたプローブ光5のs偏光成分とp偏光成分を分離する。分離後の各成分を光パワーメータI1とI2で測定することによって、光学フィルム1を透過したプローブ光3の偏光方向を調べることができる。そしてこの測定された偏光角の大きさから屈折率変化Δnを求める。
【0028】
測定方法としては、まず初期化した光学フィルム1にポンプ光4を照射し複屈折性を誘起していく。このポンプ光4の光強度は1W/cm2とした。これと同時にプローブ光3を照射しておき、15秒間隔で光パワーメータI1とI2で光学フィルム1を透過したプローブ光3の偏光方向を測定した。
【0029】
図6に、測定されたプローブ光3の偏光方向から換算した屈折率変化Δnの結果を示す。ここでは光誘起二色性Δαは無視できるものと仮定した。横軸はポンプ光照射量(強度と時間の積)Eであり、縦軸は測定により求めた屈折率変化Δnの大きさを示している。この図から、ポンプ光4で誘起される複屈折による屈折率変化Δnはポンプ光照射量の増大とともに増加し飽和することがわかる。この図から飽和屈折率変化Δnsを求めると、約0.033となる。
【0030】
以上の結果から、側鎖にシアノアゾベンゼンを持つポリエステルでは、複屈折性を誘起して位相差板として機能させることができる。記録された光誘起複屈折性は室温で長時間記録が保持されていることも確認できた。さらにポンプ光4の偏光角を変えて同じ領域に記録することにより、偏光情報を上書きして更新することも可能である。
【0031】
先に説明したように、この光記録材料を1/2波長板として利用するには(数3)を満足するようにすればよい。また特性が安定した1/2波長板を作製するには(数3)から、光記録材料の厚みと屈折率変化Δnが一定であることが望ましいことが分かる。そこで本実施例の光記録媒体では、屈折率変化Δnに関してはある光照射量以上で安定した値となる飽和屈折率変化Δnsを使用することとした。これにより飽和屈折率変化Δnsの値と(数3)とから、1/2波長板の厚みが決まる。その厚みで位相差板を作製すれば、飽和屈折率変化Δnsを与える光量以上の露光量であれば、一定の屈折率変化Δnsを誘起できるため、光強度の変動に依存せず安定した位相差補償を行うことができる。
【0032】
本発明において用いられる基板としては、プラスチックフィルム基板、アルカリガラス、ホウ珪酸ガラス、プリントガラスなどのガラス基板、アルミ、鉄、銅などの金属箔基板、ポリイミド膜、ポリビニルアルコール膜などの有機薄膜などを有するガラス基板、プラスチックフィルム基板または金属箔基板などを挙げることができる。上記プラスチックフィルムとしては、例えばポリメチルメタクリレートなどのアクリル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリオレフィン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリケトンサルファイド、ポリスルフォン、ポリフェニレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール、ポリアセタール、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などが挙げられる。
【0033】
高分子化合物または高分子液晶の膜を形成する方法としては、例えば溶液塗布、溶融塗布などの方法を用いることができる。膜厚などの品質の点から、高分子化合物または高分子液晶を適当な溶媒に溶解し、塗布設備を用いて塗布し、乾燥して高分子化合物または高分子液晶膜を形成する方法が適当である。
【0034】
高分子化合物または高分子液晶を調整する場合、用いることのできる溶媒は用いられる高分子化合物または高分子液晶の種類によって異なるが、通常はクロロホルム、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、オルソジクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素、ハロゲン化炭化水素とフェノール、パラクロロフェノールなどのフェノール類との混合溶媒、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドンなどが用いられる。
【0035】
また塗布方法には、スピンコート法、スクリーン印刷法、浸漬引き上げ法、ロールコート法、ドクターブレード法、スプレー法、ワイヤーバー法などを採用することができる。スピンコート法を行う場合には、溶液の濃度やスピン回転数等の条件を適宜設定して、形成される薄膜の膜厚が可視光領域でλ/2の位相差を生じさせるようにする。
【0036】
次に作製された高分子化合物または高分子液晶膜に所望の偏光角度を持たせる方法について説明する。高分子化合物または高分子液晶膜に照射する光は、例えば太陽光、紫外線、レーザ光、ハロゲンランプ、キセノンランプなど、光誘起複屈折を生じせしめることができるものであれば特に限定されないが、好ましくはレーザ光が用いられる。
【0037】
この光源から発せられた光束は偏光回転素子に入射する。偏光回転素子としては、λ/2板、液晶バルブ、ポッケルス素子、ファラデー素子などを利用することができる。この偏光回転素子を通過した記録光は、高分子化合物または高分子液晶膜に照射する。これにより先に説明したように、光誘起複屈折性を高分子化合物または高分子液晶膜に記録することができる。部分的に光を照射する方法は特に制限はなく、レーザ光のように絞り込まれた光束をそのまま利用しても構わないし、対物レンズによって集光させてもよい。また、同一面内で複数の位相差の偏光角を記録する方法としては、面内配置を精密に制御できるような駆動系を備えたものであれば特に制限はなく、例えばステッパーのような装置を用いることができる。
【0038】
次に本発明の光学フィルムのマスタリング方法について説明する。まず、光異性化を起こす材料として図3に示すような側鎖にシアノアゾベンゼンを持つポリエステルを用いた。また、基板にはバリウムホウ珪酸ガラスを用いることにした。ここでは波長0.515μmに合わせて1/2波長板を作製することにする。その膜厚は次の(数4)から求められる。
【0039】
【数4】
d=λ/2/Δn (数4)
【0040】
ここでΔnとして飽和屈折率変化Δnsを用いることとし、Δn=0.033から厚みdは7.8μmとなるように設計した。
【0041】
側鎖にシアノアゾベンゼンを持つポリエステルをクロロホルムに溶解して溶液とし、これをスピンコート法によってガラス基板上に塗布した。その後、70℃のオーブン中で10分間乾燥させてクロロホルムを完全にとばしてフィルムを得た。このときの溶液の濃度やスピンコートの回転数は、あらかじめ設計値の膜厚となるように条件出しが行われている。また、一回の着膜プロセスで所望の膜厚が得られない場合には着膜プロセスを複数回繰り返して多層化することによって、目的の膜厚を得ることも可能である。
【0042】
こうして得られた高分子膜はそのままではポリマーの偏析のために白濁している。ここでこの高分子膜を相転移温度より高い温度(約100℃)以上のオーブン中で10分間加熱することによって、高分子をすべてランダムな状態にする。そののち、相転移温度よりはるかに低い温度(0℃以下)のエタノール中に浸漬し、高分子を急冷凝固させることによって偏析のないガラス状態の透明な高分子膜を得ることができた。
【0043】
次に、こうして作製された高分子膜を有する光学フィルムに偏光情報を記録してマスターフィルムを作製する方法について説明する。
【0044】
図7は、本発明に係るマスターフィルム作製装置の一実施例を示す図である。図のように、マスターフィルム作製装置11は、光源2c、コリメーターレンズ8、偏光回転素子9、および対物レンズ10を備える。また本装置には、光学フィルム1aに照射する光の結像位置を移動させる図示しない機構が備えられている。
【0045】
本装置において、まず光源2cからの記録レーザ光は、コリメーターレンズ8によって平行光とされ、偏光回転素子9に入射する。ここで偏光回転素子9としては、λ/2板、液晶バルブ、ポッケルス素子、ファラデー素子などが使用可能である。例えば偏光回転素子9として液晶バルブを用いる場合、液晶は1/2波長板として機能し、電圧が印加されない状態では、入射光の偏光方向と1/2波長板の軸とが平行となるようにしておく。入射光がs偏光であるため、透過光はs偏光となる。一方、最大電圧が印加されたときには1/2波長板の軸が22.5度回転し、入射光の偏光を45度回転するようにしておく。さらに最小電圧と最大電圧の間の中間的な電圧では、その電圧の大きさに応して1/2波長板の軸が22.5度まで増加するようにしておく。これにより偏光回転素子9を通過した光は、偏光回転素子9に供給する電圧に応じて、偏光角を0度から45度まで変化できる。ここではs偏光の偏光角を0度とした。
【0046】
偏光回転素子9を通過した記録光は、対物レンズ10に入射する。対物レンズ10は記録光を集光し、光学フィルム1に照射する。これにより光誘起複屈折性を光学フィルム1aに記録し、マスターフィルムを得る。この時偏光回転素子9に加える電圧を制御することにより、記録光の偏光角θを0度から45度まで変化できる。結果として図8に示すように、記録光で誘起された複屈折性で作製される光学フィルム1aの微小1/2波長板の方位をθ(0≦θ<45)度とすることができる。
【0047】
図9は、本発明により作製したマスターフィルムを用いて光学フィルムを作製する装置を示す図である。本装置は、偏光情報が記録されたマスターフィルムを用いて、同じ偏光情報を記録した光学フィルムを複数作製するものである。図示のように、偏光角θ(0≦θ<45)度の情報が記録された光学フィルム1aをマスターフィルムとする。
【0048】
本装置は、コヒーレント光を発する光源2cと、コリメーターレンズ8と、偏光回転素子9と、偏光回転素子を通過した光を光学フィルム1aに照射する機構と、光学フィルム1aの透過光を光学フィルム1に照射する機構とを備える。このような装置において、まず光源2cから発せられたレーザ光はコリメーターレンズ8によって平行光とされ、偏光回転素子9に入射する。このときの光強度は、記録されている光誘起異方性を破壊しないように、記録時に比べて減少させておく。また、偏光回転素子9には電圧を印加せず、透過光がs偏光となるようにしておく。偏光回転素子9を通過した光は、マスターフィルムである光学フィルム1aに照射される。この光学フィルム1aを透過した光は、微小1/2波長板の方位θに従ってs偏光の軸から2θずれて出てくる。この透過光は、光学フィルム1aと平行に設置された光学フィルム1に入射される。
【0049】
ここで用いられる光学フィルム1はマスターフィルムとして用いる光学フィルム1aよりも感度の高い光誘起複屈折性の材料であることが望ましいが、それと同一の材料であってもよい。光学フィルム1と光学フィルム1aの材料を同じにする場合は、光学フィルム1に加熱手段を設けて、偏光データを転写するときに転移点以上に加熱しておき、少ない光量でも容易に分子配向ができるようにしておく。所定の時間のあいだ、光学フィルム1aからの透過光を光学フィルム1に照射した後、常温に冷却すると面内の各微小領域において偏光角の異なった光学フィルム1が作製される。
【0050】
この光学フィルム1の作製は、マスターフィルムを用いて露光プロセスのみによって行われるので、生産効率がよく量産化に優れ、かつ生産コストの低減に有効である。
【0051】
本発明に係る光学フィルムのマスタリング方法は、偏光特性を利用する光学フィルム、例えばディスプレイ、光エレクトロニクス、光学分野で有用な液晶表示素子補償板、液晶表示素子用視野角改良板、光学位相差板、旋光子、λ/4板、λ/2板などの光学素子に用いられる光学フィルムを、多数作製するのに好適である。
【0052】
【発明の効果】
本発明によれば、同一機能を有する光学フィルムを効率よく作製するための光学フィルムの作製方法及び作製装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(i)はx軸とy軸の位相差(φx−φy)が変化したときの光の偏光状態を模式的に表した図である。
【図2】光学素子としての1/2波長板の例を示す図である。
【図3】(a)〜(c)はアゾベンゼンのトランス構造、シス構造及び側鎖にシアノアゾベンゼンを有するポリエステルの化学構造の化学式をそれぞれ示す図である。
【図4】(a)はアゾベンゼンの等方性状態を示す図、(b)は光誘起異方性発現を示す図である。
【図5】屈折率変化を測定するのに用いた光学系を説明するための図である。
【図6】屈折率変化の飽和特性を説明する図である。
【図7】本発明に係るマスターフィルム作製装置の一実施例を示す図である。
【図8】微小領域で複数の偏光角をもつ光学フィルムを示す図である。
【図9】マスターフィルムを用いて光学フィルムを作製する方法を示す図である。
【符号の説明】
1 光学フィルム
1a 光学フィルム
2a,2b,2c 光源
3 プローブ光
4 ポンプ光
5 偏光子
6 1/2波長板
7 偏光ビームスプリッター
8 コリメーターレンズ
9 偏光回転素子
10 対物レンズ
11 マスターフィルム作製装置

Claims (20)

  1. 光源からの光を偏光回転素子に入射する工程と、前記入射された光の偏光を前記偏光回転素子により回転制御する工程と、前記偏光回転素子により偏光が回転制御された光を光学フィルムに照射して別の光学フィルムに偏光角の情報を転写するためのマスターフィルムを作製する工程とを有することを特徴とするマスターフィルムの作製方法。
  2. 前記光学フィルムは、光の照射により光誘起複屈折性を示す光材料層を含むことを特徴とする請求項1記載のマスターフィルムの作製方法。
  3. 前記光材料層の厚さdは、mを0以上の整数、λを光の波長、Δnを光で誘起される屈折率変化としたとき、Δn・d=(m+1/2)・λの関係を満たすことを特徴とする請求項2記載のマスターフィルムの作製方法。
  4. 前記屈折率変化Δnは、ある光照射量以上で飽和する飽和屈折率変化値であることを特徴とする請求項3記載のマスターフィルムの作製方法。
  5. 前記光材料層が、側鎖に光異性化する基を有する高分子化合物または高分子液晶から構成されたことを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載のマスターフィルムの作製方法。
  6. 前記高分子化合物または高分子液晶が、ポリエステル群から選ばれた少なくとも1種のモノマー重合体であることを特徴とする請求項5記載のマスターフィルムの作製方法。
  7. 前記光材料層が、光異性化する分子を分散させた高分子化合物から構成されたことを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載のマスターフィルムの作製方法。
  8. 前記光異性化する基または分子がアゾベンゼン骨格を含むことを特徴とする請求項5又は7記載のマスターフィルムの作製方法。
  9. 前記光学フィルムに1/2波長板が形成されるよう偏光の回転制御された光が照射されることを特徴とする請求項1記載のマスターフィルムの作製方法。
  10. 直線偏光の光の偏光角を偏光回転素子によって回転制御して光学フィルムに照射し、前記回転制御された偏光角に対応した方位の1/2波長板を光学フィルムに記録して別の光学フィルムに偏光角の情報を転写するためのマスターフィルムを作製することを特徴とするマスターフィルムの作製方法。
  11. 前記偏光回転素子によって回転制御される偏光角が0度以上、22.5度未満であることを特徴とする請求項10記載のマスターフィルムの作製方法。
  12. 直線偏光した記録光の偏光角を回転可能な偏光回転素子によって制御して光学フィルムに照射し、この制御された偏光角に対応した方位の1/2波長板を前記光学フィルムに記録してマスターフィルムとし、前記マスターフィルムの透過光を用いて別の光学フィルムに偏光角の情報を転写することを特徴とする光学フィルムの作製方法。
  13. 前記別の光学フィルムに転写される偏光角が、前記マスターフィルムに記録される偏光角の2倍の角度であることを特徴とする請求項12記載の光学フィルムの作製方法。
  14. 前記偏光角の転写前に前記別の光学フィルムを加熱することを特徴とする請求項12記載の光学フィルムの作製方法。
  15. 前記加熱温度が転移点以上であることを特徴とする請求項14記載の光学フィルムの作製方法。
  16. コヒーレント光を発する光源と、前記光源からの光の偏光を回転制御する偏光回転素子と、前記偏光の回転制御された光を光学フィルムに照射して別の光学フィルムに偏光角の情報を転写するためのマスターフィルムを作製するための結像光学系とを備えたことを特徴とするマスターフィルムの作製装置。
  17. 前記光の偏光を回転制御するために前記偏光回転素子に電圧を印加する手段を備えたことを特徴とする請求項16記載のマスターフィルムの作製装置。
  18. 前記光学フィルムに照射する光の結像位置を移動させる機構を備えたことを特徴とする請求項16記載のマスターフィルムの作製装置。
  19. コヒーレント光を発する光源と、前記光源からの光を通過させる偏光回転素子と、前記偏光回転素子を通過した光をマスターフィルムに照射する第1の機構と、前記マスターフィルムの透過光を光学フィルムに照射する第2の機構とを備えたことを特徴とする光学フィルムの作製装置。
  20. 前記偏光回転素子は、前記光源から入射された光の通過光がs偏光となるよう構成されたことを特徴とする請求項19記載の光学フィルムの作製装置。
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