JP4210547B2 - 植物残枝の堆肥化システム - Google Patents

植物残枝の堆肥化システム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、都市の公園樹木、街路樹などの剪定枝や刈草などの植物残枝を破砕後、熟成工程を経て堆肥化する、植物残枝の堆肥化システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来都市の公園樹木や街路樹などの剪定枝は、
▲1▼産業廃棄物として埋め立て処理あるいは焼却処理する。(たとえば、非特許文献1参照)
▲2▼チップ化して生木チップをそのまま再利用する(たとえば、非特許文献1参照)
▲3▼粉砕後、発酵して堆肥化処理する(たとえば、特許文献2参照)。
などの技術手段が採用されている。
【0003】
【非特許文献1】
建設工業新聞 1998年1月18日発行 「企業」欄
【特許文献2】
特開2000−169271号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前記▲1▼の手段では、剪定枝を細分化して軽量化するという面倒な作業を伴うばかりでなく、埋め立て地を確保したり、焼却設備を必要としてコスト高になるという問題があり、また前記▲2▼に手段では、生木チップの腐敗による悪臭の発散や風による飛散により周囲の環境を悪化させ、環境衛生上好ましくないという問題があり、さらに前記▲3▼の手法では、堆肥化するのに、被堆肥化物を、複数のヤードに堆肥化し易い条件の下に堆積するのが難しく、そのため、広いスペースと、長い時間(半年程度)、大がかりな設備などを必要として非能率的であり、その上に塵埃や悪臭を発散するという問題があり、いずれの手法も満足のいくものではなかった。
【0005】
本発明はかかる実情に鑑みてなされたものであり、前記▲3▼の剪定枝の堆肥化処理を改良したものであり、特に、破砕処理した植物残枝すなわち剪定枝の破砕物を複数の熟成ヤードにそれぞれに均等に分配すると共にそこにソフトに堆積させて、その後の熟成による堆肥化処理を能率よく的確に行なうと共に塵埃、悪臭の発生を低減した、新規な植物残枝の堆肥化システムを提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的達成のため、本請求項1記載の発明は、剪定枝などの植物残枝を、破砕後、熟成して堆肥にする堆肥化システムであって、
前記植物残枝を破砕し、解繊、膨潤処理する破砕設備と、
破砕済の植物残枝を堆肥化する複数の熟成ヤードと、
前記破砕設備と、前記熟成ヤードとの間に設けられる搬送設備および切り返し設備とを備え、
前記搬送設備は、一つの熟成ヤード上に設けられた搬送コンベアと、該搬送コンベア上の、破砕済の植物残枝を受けとり、それを一つの熟成ヤードに均等に払い落す払い落し装置を有し、また、前記切り返し設備は、複数の熟成ヤード上に往復移動可能に設けられており、一つの熟成ヤード内に払い落とされた破砕済の植物残枝を掴み上げて、該植物残枝を他の複数の熟成ヤード間で順次に移動させる、バケット付の天井クレーンを有していることを特徴としている。
【0007】
かかる特徴によれば、払い落し装置および切り返し設備の協働により、複数の熟成ヤード内に、破砕済の植物残枝を、払い落としてそれらの熟成ヤードに均等にしかもソフトに堆積して、それらの熟成ヤード内の被熟成物(破砕済の植物残枝)の気孔率を高め、その後の熟成による堆肥化処理を効率よく行なうことができる。
【0008】
また、前記目的達成のため、本請求項2記載の発明は、前記請求項1記載のものにおいて、前記複数の熟成ヤードの少なくとも一部には、そこに貯留される被熟成物にエアを通過させるエアレーション設備が設けられていることを特徴としている。
【0009】
かかる特徴によれば、熟成ヤード内に堆積される被熟成物にエアレートを強制的に実行して、その堆肥化処理を一層効率よく行なうことができる。
【0010】
さらに、前記目的達成のため、本請求項3記載の発明は、前記請求項1また2記載のものにおいて、少なくとも前記破砕設備および前記熟成ヤードには、そこから発生する塵埃、臭気を回収するための集塵、脱臭設備が配置されることを特徴としている。
【0011】
かかる特徴によれば、熟成ヤードから発生する塵埃、臭気を強制的に回収し、除塵、脱臭効果を高めることができる。
【0012】
さらにまた、前記目的達成のため、本請求項4記載の発明は、前記請求項1,2または3記載のものにおいて、前記熟成ヤードには、臭気回収・供給回路を配設し、該臭気回収・供給回路は、ブロアと、該ブロアの吸込側および吐出側にそれぞれ接続される吸込回路および吐出側回路を備え、前記吸込回路の吸込口を、前記熟成ヤードのうちの前期側の熟成ヤードに開口し、また前記吐出回路の吐出口を、前記熟成ヤードのうちの後期側の熟成ヤードに開口し、前記前期側の熟成ヤードより発散する臭気を回収して後期側の熟成ヤードに供給するようにしたことを特徴としている。
【0013】
かかる特徴によれば、被熟成物の分解、熟成の進行(熟成初期)に伴い、前期側の熟成ヤードの被熟成物から発散する臭気の強い熟成ガスの少なくとも一部を回収して、この臭気ガスを、むしろ臭気の吸着、消臭作用(熟成後期)のある、後期側の熟成ヤード内の被熟成物に導くことができる。したがって、被熟成物の熟成後期の、臭気の吸着、消臭作用を有効に利用して、被熟成物の消臭を効果的に行なうことができ、全体としての消臭機能を高めると共に本来の集塵・脱臭設備の小容量化に寄与することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の第1実施例について説明する。
【0015】
この第1実施例は、本発明を公園樹木、街路樹などの剪定枝の堆肥化に実施した場合であって、図1は、本発明剪定枝の堆肥化システムの全体系統図、図2は、剪定枝の破砕および集塵・脱臭設備の概略全体側面図、図3は、破砕済剪定枝の搬送、切り返し、エアレーションおよび集塵・脱臭設備の概略全体側面図、図4は、図3の4−4線に沿う拡大平面図、図5は、図4の5矢視仮想円部の拡大図、図6は、図5の6−6線に沿う部分断面図、図7は、堆肥化物の搬出、選別・袋詰および集塵・脱臭設備の概略全体側面図である。
【0016】
剪定枝の堆肥化システムは、機器設備、重機設備および一連の熟成ヤードを備えている。
【0017】
本発明にかかる機器設備は、後に詳述する、破砕設備E1、搬送設備E2、エアレーション設備E3、切り返し設備E4、搬出設備E5、選別・袋詰設備E6、集塵・脱臭設備E7、およびその他の付随設備よりなり、また重機設備は、バックホー5、ホイルローダー6およびフォークリフト7などの従来公知の車両群であり、さらに一連の熟成ヤードは、並列される第1ないし第NヤードY1,Y2,Y3…YNよりなり、従来公知の構造のものである。
【0018】
図2に示すように、都市の公園樹木や街路樹などの剪定枝は、ダンプトラック、カーゴトラックなどのトラック1に積載されて、剪定枝の堆肥化システムの入口まで搬送される。前記トラック1は、その入口に入る手前で、トラックスケール2により、剪定枝の重量が計量される(総重量−トラック重量)。計量された剪定枝は、トラック1から搬入品貯留場3に降ろされて、そこに貯留される。
【0019】
搬入品貯留場3の近くには、薪割り機4が設置されており、降ろされた剪定枝の内、大き過ぎるものは、この薪割り機4により以後の作業に支障のない大きさに割られる。
【0020】
搬入品貯留場3に貯留された剪定枝は、重機設備であるバックホー5により破砕設備E1へと搬送され、以下に述べる堆肥化システムにより、能率よく、確実に堆肥化されて、該システムから搬出される。
【0021】
次に、本発明に従う剪定枝の堆肥化システムを構成する各設備について説明する。
【0022】
〔破砕設備E1〕
図2に示すように、この破砕設備E1は、一次破砕機10、第1搬送コンベア11、二次破砕機12、第1分配コンベア13、第1排出コンベア14、第2搬送コンベア15、第2分配コンベア16、定量供給装置17,17、第2排出コンベア18,18、植繊機19,19(登録商標)、第3排出コンベア20,20とを備えている。
【0023】
前記一次破砕機10は、重機設備であるバックホー5により搬送された剪定枝を受け入れてこれを一次破砕する。前記二次破砕機12は、一次破砕機10の前方に間隔をあけてそれよりも高い位置に配置されており、一次、二次破砕機10,12間には、前記第1搬送コンベア11が配置されている。一次破砕機10により一次破砕された剪定枝は、この第1搬送コンベア11により二次破砕機12へと搬送されて、該二次破砕機12に投入されて二次破砕される。
【0024】
第1搬送コンベア11の搬出端には、磁選機21が設けられ、第1搬送コンベア11により搬送された破砕物中に混入する磁性物は、その磁選機21により選別されて、その下に配置されるコンテナ22に貯留される。
【0025】
二次破砕機12の下方には、二次破砕された剪定枝を受ける前記第1分配コンベア13が略水平に配置されている。この第1分配コンベア13は、ベルトコンベアよりなり正逆運転できるようになっており、その選択的正逆運転により、その上の搬送物を前後に選択的に分配搬送することが可能である。第1分配コンベア13の一方の搬出端(図2左端)下には、前記第1排出コンベア14の搬入端が、また、その他方の搬出端(図2右端)下には、第2搬送コンベア15の搬入端がそれぞれ臨んでおり、第1分配コンベア13上の搬送物は、該コンベア13の選択的な正逆運転により、第1排出コンベア14、あるいは第2搬送コンベア15に分配搬送される。
【0026】
第1排出コンベア14の搬出端下には、粉砕品貯留場23が設置されており、二次破砕された剪定枝の一部は、第1排出コンベア14により搬送されて粉砕品貯留場23に貯留される。而して、この粉砕品貯留場23では、二次破砕された剪定枝は、堆肥化されずにそのままチップ材として貯留され、適宜の用途に供される。
【0027】
一方、第2搬送コンベア15の搬出端下には、第2分配コンベア16が略水平に配置されている。この第2分配コンベアも前記第1分配コンベア13と同じくベルトコンベアよりなり正逆運転することにより、その上の搬送物(二次破砕済の剪定枝)を前後に分配搬送することが可能である。
【0028】
第2分配コンベア16の左右の搬出端下には、一対の定量供給装置17,17が、それぞれ並列して対称的に配置される。各定量供給装置17は、貯留槽17aおよび定量搬送コンベア17bとより構成されている。一対の定量供給装置17の出口には、対をなす第2排出コンベア18,18の搬入端がそれぞれ配置されている。第2分配コンベア16上の搬送物は、該コンベア16の選択的な正逆運転により、2つの第2排出コンベア18,18に分配供給される。
【0029】
各第2排出コンベア18,18の搬出端下には、対をなして並列配置される2つの植繊機(登録商標)19,19がそれぞれ配置される。これらの植繊機19,19は、搬送物、すなわち二次破砕された剪定枝を、圧縮・混練しながら繊維を解繊・膨潤処理する。
【0030】
各植繊機19,19の出口には、対をなす第3排出コンベア20,20の搬入端がそれぞれ配置されており、これらの第3排出コンベア20,20の搬出端は、以下に述べる搬送設備E2の入口に臨んでいる。そして前述の前記破砕設備E1により、剪定枝を一次、二次破砕し、解繊、膨潤処理されたものは、搬送設備E2へと送られる。
【0031】
なお、第2搬送コンベア15により搬送される搬送物を第2分配コンベア16により、各対の、定量供給装置17,17、第2排出コンベア18,18、植繊機19,19および第3排出コンベア20,20に振り分けて供給するようにしたのは、前記搬送物が滞ることなく植繊機19,19により圧縮・混練・解繊・膨潤処理できるようにし、また前記各対の機械に故障が発生した場合にも堆肥化システムを停止することなく、このシステムの継続稼働を可能にするためである。
【0032】
〔搬送設備E2〕
図3〜6に示すように、この搬送設備E2は、第3搬送コンベア30と、そこに設けられる払い落し装置31とを備えている。
【0033】
前記第3搬送コンベア30は、略水平に配置されていて通常のベルトコンベアから構成されており、前記第3排出コンベア20,20からの搬送物(剪定枝を一次、二次破砕し、圧縮・混練しながら繊維を解繊・膨潤処理したもの)を受けるようになっており、該第3搬送コンベア30の下に、一連の熟成ヤードY1,Y2,Y3…YNのうちの入口側の第1熟成ヤードY1が配置される。前記第3搬送コンベア30には、払い落し装置31が、該第3搬送コンベアの搬送方向に沿って往復移動可能に設けられる。この払い落し装置31は、図5,6に示すように、自走式の台車32を備えており、この台車32は、モータ33により駆動される複数の走行車輪34…を有し、これらの走行車輪34…は第3搬送コンベア30に沿って設けた走行レール28,28上を転動可能である。また、台車32の荷受面35上には、平面V字状の案内部材36と、その案内部材36の末広状の基部に対向して立設される受板37が設けられ、さらに台車32の左右両側には、モータ39,39により図6矢印方向に回転駆動される回転羽根38,38が設けられる。搬送コンベア30が図5矢印a方向に移送するのに対して、前記台車32を走行レール28,28に沿って図5矢印b方向に走行させることにより、第3搬送コンベア30上の搬送物を、台車32の荷受面35上に受け取り、案内部材36により左右に均等に振り分け、左右の回転羽根38,38の回転により払い落とすことができる。したがって、第3搬送コンベア30を一方向に作動させると共に台車31aをこれと対向する方向に走行させれば、第3搬送コンベア30上の搬送物をその下の、第1熟成ヤードY1内に均等に払い落とすことができ、これにより、該熟成ヤードY1内には、搬送物(剪定枝を一次、二次破砕し、圧縮・混練しながら繊維を解繊・膨潤処理したもの)を、その全域にわたり均等に、しかもソフトに堆積させることができる。以後の熟成処理を能率良く行なうことができる。
【0034】
前記払い落し装置31の下方には、その払い落し方向と直交する方向に沿って一連の第1、第2…第N熟成ヤードY1,Y…YNが並設されており、そのうちの第1ヤードY1上に、前述のように払い落し装置31が配設されている。
【0035】
〔切り返し設備E4〕
図2,4に示すように、前記一連の熟成ヤードY1,Y…YN上には、切り返し設備E4が配設されている。この切り返し設備E4は、クラブバケット41付の天井クレーン40を備えていて、前記払い落し装置31上に設けられている。前記一連の熟成ヤードY1,Y2,Y3…YN上には、それらの配列方向に沿って延長される、互いに平行な2条のガイドレール42,42が架設されており、これらのガイドレール42,42上に走行レール43が往復走行可能に跨架されており、その走行レール43上にはトロリ44が往復走行可能に載架されている。トロリ44には、荷役索条45を介して前記クラブバケット41が昇降可能に吊下されており、このクラブバケット41は、トロリ44と共に一連の熟成ヤードY1,Y…YNの幅方向に移動可能である。したがって、この天井クレーン40は走行レール43およびトロリ44の走行制御により、一連の熟成ヤードY1,Y…YN上を、縦横に移動可能であり、クラブバケット41の昇降制御により、第1の熟成ヤードY1に貯留されている被熟成物を掴んで、第2以下の熟成ヤードY2,Y3…YNに順に均等に分配して堆積することができる。
【0036】
具体的には、第1熟成ヤードY1内の被熟成物を掴んで、第2熟成ヤードY2に投下して均等に貯留させ、所定期間(約2週間)経過後に、第2熟成ヤードY2内の被熟成物を掴んで、第3熟成ヤードY3に投下して均等に貯留させ、以下同じ要領にて、それ以後の第4〜第NヤードYNに被熟成物を順に均等に貯留させ、第1熟成ヤード1から第N熟成ヤードNに至る間、被熟成物の熟成処理が順に進行して、最終的に堆肥化が完了する。
【0037】
しかして、第2以下の熟成ヤードY2,Y3…YNには、天井クレーン40を備えた切り返し設備E4により、被熟成物を均等にソフトに堆積することができるので、その後の熟成処理を能率良く、確実に行なうことができる。
【0038】
〔エアレーション設備E3〕
図3に示すように、第1、第2以下の一連の熟成ヤードY1,Y2,Y3…YNには、それぞれエアレーション設備E3が設けられる。このエアレーション設備E3は、各熟成ヤードY1,Y2,Y3…YNに対応した複数のブロア50…と、その吸込側に接続される吸込回路51…と、その吐出側に接続される吐出回路52…とよりなり、各吸込回路51の開口端は、各熟成ヤードY1,Y2,Y3…YNの上部にそれぞれ開口され、またその吐出回路52の吐出口は各熟成ヤードY1,Y2,Y3…YNの底面にそれぞれ開口されている。そして、各ブロア50…の駆動によれば、各熟成ヤードY1,Y2,Y3…YN内に貯留される被熟成物を、その下方から上方に向けてエアレートすることができ、被熟成物内に好気性微生物の繁殖を促して、その熟成を促進することができる。
【0039】
〔搬出設備E5〕
一連の熟成ヤードY1,Y2,Y3…YNでの熟成が終了した堆肥化物は、該熟成ヤードY1,Y2,Y3…YNより搬出設備E5に送られる。図7に示すように、この搬出設備E5は、第4、第5および第6搬送コンベア60,61,62により構成されており、これらのコンベア60,61,62は、このシステムの出口に向かって順次配列されている。
【0040】
堆肥化された堆肥化物は、熟成ヤードY1,Y2,Y3…YNから重機設備であるホイルローダー6により第4搬送コンベア60へと送られる。この第4搬送コンベア60は、ホッパ60aと、その下方のスクリュウコンベア60bとより構成されており、このホッパ61a内に投入、貯留された堆肥化物は、第4、第5および第6搬送コンベア60,61,62を順次に経て選別・袋詰設備E6へと送られる。
【0041】
〔選別・袋詰設備E6〕
図7に示すように、選別装置70は、前記第6搬送コンベア62により搬送された堆肥化物を貯留するホッパ71と、篩機72と、ホッパ71内の堆肥化物を篩機72に搬送するコンベア73a,73bと、その篩機72の下方に配設される、正逆駆動可能な第3分配コンベア74と、該第3分配コンベア74の前後搬出端下に配設される2個所のバラ置き場75,75とより構成されており、篩機72は、そこに投入された堆肥化物から不純物を分離したのち、第3分配コンベア74の選択的正逆運転により2個所のバラ置き場75,75に分配貯留される。また分離された不純物は、コンテナ76に収容される。
【0042】
また、前記袋詰装置80は、コンベア81と、袋詰機82とからなり、バラ置場75,75から袋詰装置80に搬送された堆肥化物は、コンベア81により袋詰機82に送られ、ここで自動的に袋詰めされる。
【0043】
袋詰め堆肥は、ストックヤード83にストックされ、重機設備であるフォークリフト7によりトラック85に積載されて処理場から搬出される。
【0044】
〔集塵・脱臭装置E7〕
前記堆肥化システムには、集塵・脱臭設備E7が設けられる。この集塵・脱臭設備E7は、図2,3および7に示すように、前記システムより発する塵埃、臭気を回収するものであり、その集塵・脱臭チャンバ90の入口には、ブロア92の吐出回路93が接続され、またそのブロア92の吸込回路94は複数に分岐されており、それらの吸込ポートは、前記搬入品貯留場3、前記破砕設備E1の各コンベア、投入ホッパ、一連の熟成ヤードY1,Y2…YN、選別装置70などの上方に開口されている。そして、ブロア92の駆動によれば、それらから発する塵埃、悪臭を回収して、堆肥化システムを清浄、無臭化するようにしている。
【0045】
つぎに、本発明の第2実施例について説明する。
【0046】
図8は、第2実施例の、破砕済剪定枝の搬送、切り返し、エアレーションおよび集塵・脱臭設備の概略全体側面図であり、図中、前記第1実施例と同じ要素には同じ符号が付されている。
【0047】
この第2実施例は、エアレーション設備E3および集塵・脱臭設備E7が、前記第1実施例と若干相違しており、さらに一連の熟成ヤードY1,Y2、Y3…Ynに臭気回収・供給回路100が設けられる。
【0048】
エアレーション設備E3は、前記第1実施例と同じ構成のものが、前期側の熟成ヤードに相当する第1〜第5熟成ヤードY1〜Y5に設けられ、また、後期側の熟成ヤードに相当する熟成ヤードY6〜YNに設けられていない。また、集塵・脱臭設備E7は、前記第1実施例と同じ構成のものが、後期側の熟成ヤードY6〜YNに設けられ、前期側の熟成ヤードY1〜Y5に設けられていない。
【0049】
前記臭気回収・供給回路100は、ブロア101と、その吸込側に接続される吸込回路102と、その吐出側に接続される吐出回路103とよりなり、前記吸込回路102の吸込口は、前期側の熟成ヤードY1〜Y5の上部に開口され、また、前記吐出回路103の吐出口は、後期側の熟成ヤードY6〜YNの底部に開口される。
【0050】
ブロア101の運転によれば、前期側の熟成ヤードY1〜Y5から発散する臭気の強い熟成ガスの少なくとも一部をを吸込回路102を経て吸込み回収し、その熟成ガスを吐出回路103を経て、後期側の熟成ヤードY6〜YNにその底部から供給する。これにより、臭気の強い熟成ガスは、既に堆肥化の後期にあってむしろ臭気の吸着、消臭作用のある後期側の熟成ヤードY6〜YN内の被堆肥化物に導くことができ、その結果、臭気の強い熟成ガスを熟成後期の被堆肥化物を利用して消臭することができる。
【0051】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明はその実施例に限定されることなく、本発明の範囲内で種々の実施例が可能である。
【0052】
たとえば、前記実施例では、植物残枝の堆肥化システムを、剪定枝の堆肥化に実施した場合を説明したが、これを刈草などの他の植物残枝の堆肥化にも実施できることは勿論である。
【0053】
【発明の効果】
以上のように、本請求項1記載の発明によれば、剪定枝などの植物残枝を、破砕後、熟成して堆肥にする堆肥化システムにおいて、払い落し装置および切り返し設備の協働により、複数の熟成ヤード内に破砕済の植物残枝を、払い落としてそれらの熟成ヤードに均等にしかもソフトに堆積して、それらの熟成ヤード内の被熟成物(破砕済の植物残枝)の気孔率を高め、その後の熟成による堆肥化処理を効率よく行なうことができる。
【0054】
また、本請求項2記載の発明によれば、熟成ヤード内に堆積される被熟成物にエアレートを強制的に実行して、その堆肥化処理を一層効率よく行なうことができる。
【0055】
さらに、本請求項3記載の発明によれば、熟成ヤードから発生する塵埃、臭気を強制的に回収し、除塵、脱臭効果を高めることができる。
【0056】
さらにまた、本請求項4記載の発明によれば、被熟成物の分解、熟成の進行(熟成初期)に伴い、前期側の熟成ヤードの被熟成物から発散する臭気の強い熟成ガスの少なくとも一部を回収して、この臭気ガスを、むしろ臭気の吸着、消臭作用(熟成後期)のある、後期側の熟成ヤード内の被熟成物に導くことができるので、被熟成物の熟成後期の、臭気の吸着、消臭作用を有効に利用して、被熟成物の消臭を効果的に行なうことができ、全体としての消臭機能を高めると共に本来の集塵・脱臭設備の小容量化に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】剪定枝の堆肥化システムの全体系統図
【図2】剪定枝の破砕および集塵・脱臭設備の概略全体側面図
【図3】破砕済剪定枝の搬送、切り返し、エアレーションおよび集塵・脱臭設備の概略全体側面図
【図4】図3の4−4線に沿う拡大平面図
【図5】図4の5矢視仮想円部の拡大図
【図6】図5の6−6線に沿う部分断面図
【図7】堆肥化物の搬出、選別・袋詰および集塵・脱臭設備の概略全体側面図
【図8】破砕済剪定枝の搬送、切り返し、エアレーションおよび集塵・脱臭設備の概略全体側面図(第2実施例)
【符号の説明】
E1・・・・・・・・・・・破砕設備
E2・・・・・・・・・・・搬送設備
E3・・・・・・・・・・・エアレーション装置
E4・・・・・・・・・・・切り返し設備
E7・・・・・・・・・・・集塵、脱臭設備
30・・・・・・・・・・・搬送コンベア(第3搬送コンベア)
31・・・・・・・・・・・払い落し設備
40・・・・・・・・・・・天井クレーン
41・・・・・・・・・・・バケット(クラブバッケット)
100・・・・・・・・・・臭気回収・供給回路
101・・・・・・・・・・ブロア
102・・・・・・・・・・吸込回路
103・・・・・・・・・・吐出回路
Y1,Y2,Y3…YN・・熟成ヤード

Claims (4)

  1. 剪定枝などの植物残枝を、破砕後、熟成して堆肥にする堆肥化システムであって、
    前記植物残枝を破砕し、解繊、膨潤処理する破砕設備(E1)と、
    破砕済の植物残枝を堆肥化する複数の熟成ヤード(Y1 ,Y2,Y3…YN)と、
    前記破砕設備(E1)と、前記熟成ヤード(Y1 ,Y2,Y3…YN)との間に設けられる搬送設備(E2)および切り返し設備(E4)と、
    を備え、前記搬送設備(E2)は、一つの熟成ヤード(Y1)上に設けられた搬送コンベア(30)と、該搬送コンベア(30)上の、破砕済の植物残枝を受けとり、それを一つの熟成ヤード(Y1)に均等に払い落す払い落し装置(31)を有し、また、前記切り返し設備(E4)は、複数の熟成ヤード(Y1 ,Y2,Y3…YN)上に往復移動可能に設けられており、一つの熟成ヤード(Y1)内に払い落とされた破砕済の植物残枝を掴み上げて、該植物残枝を他の複数の熟成ヤード(Y2,Y3…YN)間で順次に移動させる、バケット(41)付の天井クレーン(40)を有していることを特徴とする、植物残枝の堆肥化システム。
  2. 前記複数の熟成ヤード(Y1 ,Y2,Y3…YN)の少なくとも一部には、そこに貯留される被熟成物にエアを通過させるエアレーション設備(E3)が設けられていることを特徴とする、前記請求項1記載の、植物残枝の堆肥化システム。
  3. 少なくとも前記破砕設備(E1)および前記熟成ヤード(Y1 ,Y2,Y3…YN)には、そこから発生する塵埃、臭気を回収するための集塵、脱臭設備(E7)が配置されることを特徴とする、前記請求項1または2記載の植物残枝の堆肥化システム。
  4. 前記熟成ヤード(Y1,Y2,Y3…Yn)には、臭気回収・供給回路(100)を配設し、該臭気回収・供給回路(100)は、ブロア(101)と、該ブロア(101)の吸込側および吐出側にそれぞれ接続される吸込回路(102)および吐出側回路(103)を備え、
    前記吸込回路(102)の吸込口を、前記熟成ヤード(Y1,Y2,Y3…Yn)のうちの前期側の熟成ヤード(Y1〜Y5)に開口し、また前記吐出回路(103)の吐出口を、前記熟成ヤード(Y1,Y2,Y3…Yn)のうちの後期側の熟成ヤード(Y6〜YN)に開口し、前期側の熟成ヤード(Y1〜Y5)より発散する臭気を回収して後期側の熟成ヤード(Y6〜YN)に供給するようにしたことを特徴とする、前記請求項1,2または3記載の植物残枝の堆肥化システム。
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