JP4210055B2 - 燃料電池システムの診断装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば自動車等の駆動源として用いられ、燃料ガスとして水素ガス、酸化剤ガスとして空気が供給されて発電をして発電電圧を負荷に供給する燃料電池システムの異常状態を診断するための燃料電池システムの診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、燃料電池スタックにアノードガスとして水素ガスを供給すると共に、カソードガスとして空気を供給し、燃料電池スタックの化学反応を発生させることで発電させる燃料電池システムが知られている。この燃料電池システムでは、燃料電池スタックを発電させると化学反応により純水が発生するために、この純水を積極的に燃料電池スタック内から排除する必要がある。
【0003】
燃料電池スタック内に発生する純水を積極的に排除しないと、燃料電池スタック内に純水が滞留する水詰まりが発生し、燃料電池スタックの発電効率の低下を発生させてしまう。また、水詰まりが発生すると、発電効率の低下のみならず、燃料電池スタック内で水詰まりが発生した部分と発生していない部分とで発電電流の偏りが発生する。このように水詰まり部分に偏りが発生した状態で燃料電池スタックの発電を継続すると、水詰まりが発生していない部分における発熱の集中が発生し、燃料電池スタックの著しい機能低下の原因となってしまう。
【0004】
これに対し、従来において水詰まりを検出する手法として、通常運転中においては燃料電池スタック内の各発電モジュール(セル)の発電電圧を検出し、燃料電池スタックから発電電力(又は発電電流)を出力した際の電圧低下を検出することで水詰まりを検出していた。
【0005】
また、水詰まりを検出する他の手法としては、特開平7−235324号公報で開示されている燃料電池システムのように、交流インピーダンスメータを使用し、燃料電池スタック内の抵抗値を検出して水詰まりの発生を直接検出していた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の燃料電池システムでは、燃料電池スタック内の水詰まりの検出のみを目的としており、燃料電池スタックの経時劣化等による発電効率低下、燃料電池スタックの水詰まり以上に圧損が大きくなる異常、水素ガス調整系装置の不具合等の検出はできなかった。すなわち、従来の水詰まりに対応する燃料電池システムでは、水詰まりを検出するために水詰まり検出専用の部品を設ける必要があった。具体的には、特開平7−235324号公報に開示された燃料電池システムでは、通常運転の制御では必要ない交流インピーダンスメータを水詰まり検出のために設けるために、システムを高価なものにしているという問題点がある。
【0007】
また、従来の燃料電池システムでは、水詰まりに対する処理として、起動時に燃料電池スタック内で水詰まりが発生していても運転することができるように、水詰まり除去用弁を水素ガス流路に設け、水詰まり除去用弁を開状態にして外部に放出する水詰まり除去動作をしていた。しかし、この燃料電池システムでは、起動時に水詰まり状態の診断を行わずに水詰まり除去動作を行っていたため、必要以上に水詰まり除去動作を行っていた。したがって、従来の燃料電池システムでは、起動するのに多くの時間を要すると共に、水素ガスを余分に消費するという問題点があった。
【0008】
更にまた、従来の燃料電池システムにおいて、経時劣化等による燃料電池スタックの発電効率低下を診断するためには、定期的に発電効率を測定して燃料電池スタックの運転続行の可否判断を行う手法や、燃料電池スタックの運転時間を計測する積算タイマを設け、積算タイマの値に応じて定期的に部品交換をする手法が存在した。すなわち、従来の燃料電池システムにおいて、経時劣化を検出するためには、経時劣化を検出する専用の処理を行ったり、専用の部品を設ける必要があった。
【0009】
そこで、本発明は、上述した実情に鑑みて提案されたものであり、専用の構成を設けることなく燃料電池システムを診断することができる燃料電池システムの診断装置を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る燃料電池システムの診断装置では、電解質膜を酸化剤極と燃料極とにより挟んで構成されたセル構造体を複数積層し、上記酸化剤極側に酸化剤ガスが供給されると共に、上記燃料極側に燃料ガスが供給されて発電する燃料電池と、上記燃料電池に要求される発電電力に応じて上記燃料電池に酸化剤ガス及び燃料ガスを供給するガス供給手段と、上記ガス供給手段により上記燃料電池に供給する燃料ガス圧力を検出する燃料ガス圧力検出手段と、上記燃料電池が実際に発電した発電電圧を検出する発電状態検出手段とを有する燃料電池システムの上記燃料電池の経時劣化及び上記ガス供給手段の異常を診断するものである。
【0011】
この燃料電池システムの診断装置は、上記発電状態検出手段で検出された実際の発電電圧及び上記燃料電池に要求された発電電力に基づいて算出された発電電流の時間微分値を演算する微分値演算手段と、予め記憶した上記燃料電池の経時劣化及び上記ガス供給手段を診断するための発電電流時間微分値である第1しきい値と、上記微分値演算手段で演算された時間微分値とを比較して、上記燃料電池システムの複数の運転状態から、上記燃料電池システムの運転状態を診断する診断手段とを備え、記検出された実際の発電電圧が上記燃料電池に要求された発電電力に対応付けられた上記燃料電池システムの異常を診断するための所定の発電電圧である第2しきい値よりも低い場合に上記算出された発電電流を用いて上記微分値演算手段により発電電流の時間微分値を演算し、上記診断手段により、この時間微分値が上記第1しきい値以下である場合には、上記燃料電池の経時劣化であると診断し、上記第1しきい値より高い場合には、上記ガス供給手段の異常であると診断することを特徴とする。
【0012】
請求項2に係る燃料電池システムの診断装置では、上記ガス供給手段は、上記燃料電池の発電を開始させる場合に、酸化剤ガス及び燃料ガスを上記燃料電池に供給開始して上記燃料電池に供給する燃料ガス圧力を所定の通常運転可能範囲の圧力まで上昇させるものであり、上記診断装置は、上記ガス供給手段によって酸化剤ガス及び燃料ガスを上記燃料電池に供給開始した場合に、上記燃料ガス圧力検出手段で検出された燃料ガス圧力の時間微分値を演算する圧力時間微分値演算手段と、予め記憶した上記燃料電池の圧損異常を診断するための燃料ガス圧力の時間微分値である第3しきい値と、上記圧力時間微分値演算手段で演算された時間微分値とを比較して、上記圧力時間微分値演算手段によって演算された時間微分値が上記第3しきい値よりも大きい場合には、上記燃料電池の圧損異常であると診断する診断手段とを、さらに備えることを特徴とする。
【0014】
請求項3に係る燃料電池システムの診断装置では、上記燃料電池システムは、上記燃料電池の燃料ガス出口と水詰まり除去用弁とが燃料ガス排出流路で挿通されており、上記水詰まり除去用弁を開状態にすることによって上記燃料電池の水詰まりを除去する水詰まり除去手段をさらに有し、上記診断装置は、上記診断手段により上記ガス供給手段の異常であると診断した場合に、上記水詰まり除去用弁を開閉作動させる制御信号を出力し、上記発電状態検出手段で検出した実際の発電電圧が上下変動していない場合に、上記水詰まり除去用弁の異常であると診断する診断手段をさらに備えることを特徴とする。
【0016】
【発明の効果】
請求項1に係る燃料電池システムの診断装置によれば、発電状態検出手段で検出された実際の発電電圧及び上記燃料電池に要求された発電電力に基づいて算出された発電電流の微分値を演算し、演算した微分値と、予め記憶した燃料電池の経時劣化及びガス供給手段を診断するための発電電流時間微分値である第1しきい値とを比較して、燃料電池システムの複数の運転状態から、燃料電池システムの運転状態を診断するので、通常燃料電池システムに設けられている燃料電池の状態を検出する発電状態検出手段を利用して、専用の構成を設けることなく燃料電池システムに発生する種々の状態を診断することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0022】
本発明は、例えば図1に示すように構成された第1実施形態に係る燃料電池システム、図9に示すように構成された第2実施形態に係る燃料電池システムに適用される。
【0023】
[第1実施形態に係る燃料電池システムの構成]
第1実施形態に係る燃料電池システムに備えられる燃料電池スタック1は、固体高分子電解質膜を酸化剤極(カソード極)と燃料極(アノード極)とにより挟んで構成されたセル構造体が、セパレータを介して複数積層されてなるスタック構造となっている。また、この燃料電池スタック1では、内部に酸化剤ガスを通過させる酸化剤ガス流路、燃料ガスを通過させる燃料ガス流路、冷却水を通過させる冷却水流路が設けられている。そして、燃料電池スタック1は、上記酸化剤極側に酸化剤ガスとしての空気が供給されると共に、上記燃料極側に燃料ガスとしての水素ガスが供給される。これにより、燃料電池スタック1は、水分を媒体として膜中をそれぞれのイオンが移動して接触して発電する。なお、この燃料電池システムでは、カソード極に関する構成の図示を省略している。
【0024】
この燃料電池システムは、水素を貯蔵している図示しない水素タンクと接続された水素ガス供給調圧弁2が水素ガス供給流路L1で挿通されて燃料電池スタック1の水素ガス入口に接続し、燃料電池スタック1の水素ガス出口と水詰まり除去用弁3とが水素ガス排出流路L2で挿通されている。これにより、燃料電池システムは水素ガス系を構成する。
【0025】
また、この燃料電池システムにおいて、水素ガス供給流路L1の燃料電池スタック1の水素ガス入口には、水素ガス供給調圧弁2から燃料電池スタック1に供給する水素ガス圧力を検出する圧力センサ4が設けられている。圧力センサ4は、水素ガス入口における水素ガス圧力値を検出してセンサ信号として制御部8に出力する。
【0026】
水素ガス供給調圧弁2及び水詰まり除去用弁3は、図示しないアクチュエータと接続され、制御部8からの制御信号に従ってアクチュエータが駆動することで開閉動作や開度が制御される。水素ガス供給調圧弁2は、開度が調整されることにより燃料電池スタック1に供給する水素ガス圧力及び水素ガス流量を調整する。水詰まり除去用弁3は、制御部8からの制御信号に従って開閉制御され、開状態にされることで、水素ガス排出流路L2中及び燃料電池スタック1内の水素ガスを外部に排出する。
【0027】
また、この燃料電池システムでは、燃料電池スタック1と接続した電力消費負荷5を備える。この電力消費負荷5は、燃料電池スタック1と電力用ハーネス6を介して接続され、燃料電池スタック1から発電電力が供給される。この電力消費負荷5は、供給された発電電力を利用して駆動する。また、電力消費負荷5は、駆動するのに必要な発電電力量を要求する電力供給要求を制御部8に出力する。この電力消費負荷5は、例えば燃料電池システムが車両に設けられた場合には車両駆動用モータ等である。
【0028】
電力用ハーネス6には、発電電圧センサ7が接続されている。発電電圧センサ7は、燃料電池スタック1から電力消費負荷5に供給される発電電力の発電電圧を検出してセンサ信号を制御部8に出力する。
【0029】
制御部8は、水素ガス供給調圧弁2、水詰まり除去用弁3、圧力センサ4、電力消費負荷5、発電電圧センサ7とハーネス9を介して接続されている。この制御部8は、図示しない記憶部を備え、記憶部に記憶したプログラムを起動し、圧力センサ4及び発電電圧センサ7からのセンサ信号及び電力消費負荷5からの発電電力要求、記憶部に記憶したテーブルを用いて少なくとも水素ガス供給調圧弁2及び水詰まり除去用弁3を制御する処理をする。
【0030】
これにより、制御部8は、燃料電池スタック1を起動させると共に燃料電池スタック1の診断を行う起動時診断処理、燃料電池スタック1を運転させる前処理である通常運転前処理、燃料電池スタック1を通常運転させると共に通常運転時における燃料電池スタック1の診断を行う通常運転診断処理を行う。なお、制御部8が行う各種処理の処理内容については後述する。
【0031】
[第1実施形態に係る燃料電池システムの動作手順]
つぎに、上述したように構成された第1実施形態に係る燃料電池システムの動作手順について説明する。
【0032】
「燃料電池システムの起動時診断処理
燃料電池システムを起動するに際して、例えば車両運転者からの指示操作により電力消費負荷5が起動すると、電力消費負荷5により電力供給要求を生成して制御部8に出力する。これに応じて、制御部8では、図2のステップS1の処理に移行し、制御部8により、水詰まり除去用弁3を開状態に制御すると共に(ステップS1)、燃料電池システムの起動時の所定開度θ0に水素ガス供給調圧弁2を設定することを決定し(ステップS2)、所定開度θ0とする制御信号を出力する(ステップS3)。このような動作により、水素ガス供給流路L1を介して水素ガスを燃料電池スタック1に供給して、燃料電池スタック1の発電を開始させる。
【0033】
次に、制御部8は、ステップS3の水素ガス供給開始時刻から任意の時刻t1に達すると、圧力センサ4のセンサ信号を入力して燃料電池スタック1の水素ガス入口における水素ガス圧力Pin[MPa]を取り込む(ステップS4)。そして、制御部8は、取り込んだ水素ガス圧力Pinと、図3に示す圧力値診断テーブルとの照合を行う(ステップS5)。
【0034】
この圧力値診断テーブルは、予め図示しない制御部8内の記憶部に記憶されている。圧力値診断テーブルは、ステップS3での水素ガス供給開始時刻からの時刻と、この時刻に対応する水素ガス圧力Pinとが対応づけられてなる。この圧力値診断テーブルは、燃料電池システムに異常が無く、燃料電池システムを通常運転診断処理に移行させることを、時刻t1及び時刻t1より後の時刻t2において判定する水素ガス圧力Pinの範囲を示す通常運転移行可能範囲P1,P2が少なくとも格納されている。
【0035】
通常運転移行可能範囲P1は、燃料電池システムの運転可能範囲の上限圧力値を上限値とした所定水素ガス圧力範囲である。この通常運転移行可能範囲P1は、水素ガス供給開始時刻t0から徐々に水素ガスを燃料電池スタック1に供給して、徐々に水素ガス圧力Pinが上昇することを考慮して設定されている。
【0036】
通常運転移行可能範囲P2は、運転可能範囲の下限圧力値を下限値とした所定水素ガス圧力範囲である。この通常運転移行可能範囲P2は、燃料電池スタック1の起動時に水詰まりが発生していたときに、図3中の一点鎖線で示すように水素ガス供給調圧弁2及び水詰まり除去用弁3を開状態にして水詰まりが解消するときに徐々に水素ガス圧力Pinが下降すること、及び燃料電池スタック1に圧損が発生していたときの水素ガス圧力Pinの経時変化を考慮して設定されている。
【0037】
制御部8は、ステップS5において、ステップS4で取り込んだ時刻t1での水素ガス圧力Pinと、通常運転移行可能範囲P1とを照合する。次に、水素ガス圧力Pinと通常運転移行可能範囲P1との照合結果により、通常運転移行可能範囲P1よりも水素ガス圧力Pinが高いか否かを判定し(ステップS6)、通常運転移行可能範囲P1よりも水素ガス圧力Pinが高くないと判定したときには時刻t0から通常運転前処理に移行すると判定して処理を終了する(ステップS7)。一方、通常運転移行可能範囲P1よりも水素ガス圧力Pinが高いと判定したときには、燃料電池スタック1内に水詰まりが発生している可能性があり、水詰まり除去用弁3の開状態とする時間を延長するように制御信号を出力し(ステップS8)、更に水素ガス供給調圧弁2を所定開度θ0にする時間を延長するように制御信号を出力して(ステップS9)、起動延長フローに移行する。
【0038】
水素ガス供給調圧弁2及び水詰まり除去用弁3の状態を延長した後の時刻t2において、制御部8により圧力センサ4のセンサ信号を入力して燃料電池スタック1の水素ガス入口における水素ガス圧力Pin[MPa]を取り込む(ステップS10)。この時刻t2は、時刻t0から水詰まり除去用弁3を開状態にすることで、燃料電池スタック1内の水詰まりが解消されているはずである時刻に設定されている。
【0039】
次に、制御部8により、時刻t2における水素ガス圧力Pinと、図3に示す圧力値診断テーブルとの照合を行う(ステップS11)。水素ガス圧力Pinと圧力値診断テーブルとの照合を行った結果、ステップS12において、水素ガス圧力P in が通常運転移行可能範囲P2の範囲内であるか否かを判定し、水素ガス圧力P in が図3に示す圧損上限値以上か否かを判定する。水素ガス圧力Pinが圧損上限以上でないと判定したときには、図3の時刻t0’において通常運転前処理に移行すると判定して処理を終了する(ステップS13)。一方、水素ガス圧力Pinが圧損上限値以上であると判定したときには、水詰まり以外の異常が発生していると判断し、この場合においては燃料電池スタック1の圧損異常と判断する。そして、制御部8は、圧損異常に対応するために、一部のシステム停止や機能制限等の所定の異常処理に移行して処理を終了する(ステップS14)。
【0040】
「通常運転前処理」
つぎに、上述のステップS7又はステップS13の次に行う通常運転診断処理の前に行う通常運転前処理について図4のフローチャートを参照して説明する。
【0041】
この通常運転前処理において、制御部8は、先ず、燃料電池スタック1内の水を除去している最中か否かを判定する(ステップS21)。すなわち、制御部8は、通常運転前処理に移行した段階で水詰まり除去用弁3を開状態にしているか否かを判定する。制御部8は、水詰まり除去用弁3が閉状態であって水詰まりの除去を終了していると判定したときには、第1通常運転診断処理に移行して処理を終了する(ステップS22)。一方、制御部8は、水詰まり除去用弁3が開状態であって水詰まりを除去している最中であると判定したときには、第2通常運転診断処理に移行して処理を終了する(ステップS23)。
【0042】
このような運転前処理を行うのは、水詰まり除去用弁3の開閉状態により燃料電池スタック1の水素ガス入口圧力と水素ガス出口圧力との圧力差が異なり、水詰まり除去用弁3の開閉状態に応じて燃料電池スタック1の水素ガス入口圧力を制御する必要があることによる。
【0043】
なお、以下に説明する通常運転診断処理における水詰まり除去のタイミングは、制御部8内の図示しないタイマを使用し、一定間隔にて水詰まり除去用弁3を開状態にする。
【0044】
「第1通常運転診断処理」
つぎに、上述のステップS21にて水詰まりを除去している最中でないと判定した後に移行する第1通常運転診断処理について図5のフローチャートを参照して説明する。
【0045】
この第1通常運転診断処理では、先ず、制御部8は、電力消費負荷5からの電力供給要求に応じて燃料電池スタック1で発電させる発電電力値を決定する。そして、制御部8は、決定した発電電力値に応じて燃料電池スタック1の水素ガス入口における水素ガス圧力値を演算して(ステップS31)、水素ガス供給調圧弁2の開度θを演算する(ステップS32)。これにより、制御部8は、演算した開度θとする制御信号を出力して水素ガス供給調圧弁2を動作させる(ステップS33)。
【0046】
そして、水素ガス供給調圧弁2が開度θにて安定すると、燃料電池スタック1から電力供給要求に応じた発電電力Pを出力させる(ステップS34)。次に、制御部8は、発電電圧センサ7からのセンサ信号を取り込んで発電電圧E[V]を取得する(ステップS35)。これにより、燃料電池スタック1から電力供給要求に応じた発電電力P[W]を得ていることを認識する。そして、制御部8は、取得した発電電力Eから発電電流I[A]を算出し(ステップS36)、算出した発電電流Iを図示しない記憶部に記憶して一時保管する(ステップS37)。
【0047】
次に、水素ガス供給調圧弁2の状態を開度θにて一定にした状態において、ステップS34で出力させている発電電力P及びステップS35で取り込んだ発電電圧Eと、図6に示す発電電力値−発電電圧値診断テーブルとを照合する(ステップS38)。
【0048】
この発電電力値−発電電圧値診断テーブルは、予め図示しない制御部8内の記憶部に記憶されている。発電電力値−発電電圧値診断テーブルは、燃料電池スタック1で発電している発電電力Pと、燃料電池システムの異常を診断するための発電電圧Eであるしきい値とが対応づけられてなる。この発電電力値−発電電圧値診断テーブルによれば、燃料電池システムが正常に運転しているときの発電電力Pに対応した発電電圧Eの取りうる正常運転域と、燃料電池システムが正常に運転していないときの発電電力Pに対応した発電電圧Eの取りうる異常運転域とを区別する。この発電電圧Eのしきい値は、水素ガス供給調圧弁2を所定開度θとした状態における発電電力Pに対する理論上の発電電圧E(理論値)から、所定電圧低下させた値が実験等の結果に基づいて設定されて格納されている。
【0049】
ここで、水素ガス供給調圧弁2の開度が一定の状態において、発電電力Pに対する発電電圧Eが低下するということは、燃料電池スタック1の発電電力出力抵抗値が上昇していることを示し、燃料電池スタック1の電力出力端子での電圧降下が発生しており、何等かの異常が燃料電池スタック1に発生していることによって電力消費負荷5が要求する電力が供給できていない状態となる。したがって、発電電力Pに対する発電電圧Eがしきい値以下であるときには正常運転域外であることが判定できる。
【0050】
このような発電電力値−発電電圧値診断テーブルを用いて、制御部8により発電電圧Eが正常運転域内か否かを判定する(ステップS39)。ステップS35で検出した発電電圧Eがしきい値よりも高い、すなわち燃料電池スタック1が通常動作をしていると判定可能な発電電圧Eの範囲(正常運転域)と判定したときには処理を終了する。
【0051】
一方、制御部8は、ステップS35で検出した発電電圧Eがしきい値よりも低い、すなわち発電電圧Eの範囲が正常運転域外であると判定したときには燃料電池スタック1を診断する診断処理に移行する。
【0052】
診断処理において、先ず、制御部8は、ステップS37にて一時保管した発電電流Iを読み出し(ステップS40)、読み出した発電電流Iを微小時間tにて一階微分して、各微小時間tごとの発電電流微分値dI/dtを算出する(ステップS41)。このとき、制御部8は、図7に示すように、ある一定期間に亘って保管された発電電流Iを用いて一定期間内における発電電流微分値dI/dtを算出する。
【0053】
次に、制御部8は、算出した発電電流微分値dI/dtと、発電電流微分値診断テーブルとを照合して(ステップS42)、算出した発電電流微分値dI/dtが燃料電池スタック1の異常と認められる異常範囲であるか否かを判定する(ステップS43)。
【0054】
この発電電流微分値診断テーブルは、予め図示しない制御部8内の記憶部に記憶されている。発電電流微分値診断テーブルは、図7に示すように、燃料電池システムの異常を診断するための発電電流微分値dI/dtであるしきい値が格納されてなる。
【0055】
制御部8は、算出した発電電流微分値dI/dtがしきい値を超えず異常範囲でないと判定したときには、時刻tに依存せずにゆっくりと変化する異常状態であると判定する。これに応じて制御部8は、燃料電池スタック1の電力端子の経時劣化による発電効率低下状態と判定し、一部のシステム停止や機能制御等、所定の異常処理の制御を行う(ステップS44)。
【0056】
また、制御部8は、算出した発電電流微分値dI/dtが上昇し、発電電流微分値dI/dtがしきい値を超えたと判定したときは異常範囲であると判定する。これにより、制御部8は、刻々と発電状態の低下を引き起こしている状態であって、水素ガスが十分に発電電力に変換されていない状態であり、水素ガス系の不具合と判定する。
【0057】
これに応じ、制御部8は、水詰まり除去用弁3を繰り返し開閉作動させる制御信号を出力し(ステップS45)、このときの発電電圧センサ7からの発電電圧Eを取り込む(ステップS46)。これにより、制御部8は、水素ガス供給圧力を一定とした状態において水詰まり除去用弁3が開閉作動したことによる発電電圧Eの変動を確認する(ステップS47)。
【0058】
次に、制御部8は、水詰まり除去用弁3を開閉作動させたことに応じて発電電圧Eが上下変動するか否かを判定することにより、水詰まり除去用弁3の異常が発生しているか否かを判定する(ステップS48)。
【0059】
発電電圧Eが上下変動したと判定したときには水詰まり除去用弁3が正常に開閉作動して水詰まり除去用弁3の異常が発生していないと判定し、水詰まり除去用弁3以外の水素ガス系の異常と判定する。これに応じ、制御部8は、燃料電池システムの停止、水素ガス供給系、燃料電池システムを搭載した移動装置等のサブシステムの停止等、所定の異常時処理をして処理を終了する(ステップS50)。
【0060】
一方、発電電圧Eが上下変動しないと判定したときには水詰まり除去用弁3が正常に開閉作動しておらず、水詰まり除去用弁3の異常が発生していると判定する。これに応じ、制御部8は、水詰まり除去用弁3を開状態のままにする制御をし、その他のシステムをフェールセーフ側に制御する等の異常時処理をして処理を終了する(ステップS49)。
【0061】
「第2通常運転診断処理」
つぎに、上述のステップS21にて水詰まりを除去している最中であると判定した後に移行する第2通常運転診断処理について図8のフローチャートを参照して説明する。なお、第2通常運転診断処理の説明において、上述の第1通常運転診断処理と同じ部分についての説明を省略する。
【0062】
第2通常運転処理においては、水詰まりを除去している最中であることから、水詰まり除去用弁3が開状態にあるので、この状態に応じて水素ガス供給調圧弁2の開度をステップS32とは異なる開度θpに設定する(ステップS32’、ステップS33’)。これに応じて、以下の処理(ステップS34’〜ステップS38’、ステップS41’、ステップS42’、ステップS46’、ステップS47’)では、発電電力Pとは異なる発電電力Pp、発電電圧Eとは異なる発電電圧Ep、発電電流Iとは異なる発電電流Ip、発電電圧Ep、発電電力Ppに応じた発電電力値−発電電圧値診断テーブル、発電電流微分値dI/dtとは異なる発電電流微分値dIp/dtを使用する。
【0063】
これにより、第2通常運転診断処理では、上述の第1通常運転診断処理と同様の動作、処理を行う。
【0064】
[第1実施形態に係る燃料電池システムの効果]
以上、詳細に説明したように、第1実施形態に係る燃料電池システムによれば、水素ガス圧力Pinが通常運転移行可能範囲P1よりも高い場合(ステップS5、ステップS6)に起動時の診断処理に移行して、燃料電池スタック1の圧損を検出することができる。
【0065】
また、この燃料電池システムによれば、通常運転診断処理において発電電流微分値dI/dtの変化により、発電効率低下(ステップS44)、水詰まり除去用弁3の異常(ステップS49)、水素ガス調整系の異常(ステップS50)等、複数種類の異常状態を分別して検出して異常時処理を行うことができる。
【0066】
したがって、この燃料電池システムによれば、燃料電池スタック1の圧損、発電効率低下、水詰まり除去用弁3の異常、水素ガス調整系異常を検出するための専用の検出装置等を追加する必要がない。
【0067】
具体的には、この燃料電池システムによれば、通常運転診断処理中に、発電電圧Eを発電電力値−発電電圧値診断テーブルと照合し、異常運転域にある場合に発電電流Iを微分して発電電流微分値dI/dtを算出して(ステップS41)、発電電流微分値診断テーブルと照合をすることにより、その後に燃料電池スタック1の発電効率低下、水詰まり除去用弁3の異常、水素ガス供給系の異常の何れかの状態を選別することができる。
【0068】
また、この燃料電池システムによれば、通常運転診断処理中に、発電電流微分値dI/dtと発電電流微分値診断テーブルとの照合の結果、発電電流微分値dI/dtがしきい値以上である場合に(ステップS43)、水素ガス系の異常の可能性を診断することができる。
【0069】
更に、この燃料電池システムによれば、通常運転中に、発電電流微分値dI/dtと発電電流微分値診断テーブルとの照合の結果、異常が発生していると判定した場合に(ステップS43)、水詰まり除去用弁3を開閉作動させたことによる発電電圧Eの変動を照合することにより、水詰まり除去用弁3の異常又は水素ガス供給系の異常を診断することができる。
【0070】
[第2実施形態に係る燃料電池システムの構成]
つぎに、第2実施形態に係る燃料電池システムについて説明する。なお、上述した第1実施形態と同一の部分については同一符号を付することによりその詳細な説明を省略する。
【0071】
この燃料電池システムは、図9に示すように、電力用ハーネス6に回路抵抗11を設け、電力消費負荷5内の電力消費側内部抵抗5aを備える点で第1実施形態に係る燃料電池システムとは異なる。
【0072】
この燃料電池システムにおいて、制御部8は、電力消費側内部抵抗5aの抵抗値及び回路抵抗11の抵抗値を予め記憶しており、これらの抵抗値、及び電力消費負荷5からの電力供給要求に基づいて発電電圧を推定する。また、この制御部8は、燃料電池システムの起動時の診断処理において、水素ガス圧力Pinの微分値を演算し、演算した水素ガス圧力Pinの微分値を用いて水詰まりの判定をする。更に、この制御部8は、通常運転診断処理において、発電電圧の微分値を用いて診断処理を行う。なお、この制御部8の詳細な処理手順については後述する。
【0073】
[第2実施形態に係る燃料電池システムの動作手順]
つぎに、上述したように構成された第2実施形態に係る燃料電池システムの動作手順について説明する。なお、上述した第1実施形態に係る燃料電池システムの動作と同一の処理ステップについては同一のステップ番号を付することによりその詳細な説明を省略する。
【0074】
「燃料電池システム起動時の診断処理」
起動時において、第2実施形態に係る燃料電池システムは、図10に示すように、ステップS4において時刻t1での水素ガス圧力Pinを圧力センサ4からのセンサ信号により取り込むと、取り込んだ水素ガス圧力Pinを時間tにて微分して水素ガス微分値dPin/dtを算出する。そして、制御部8は、算出した水素ガス微分値dPin/dtと、図11に示す圧力微分値診断テーブルとの照合を行う(ステップS61)。
【0075】
この圧力微分値診断テーブルは、予め図示しない制御部8内の記憶部に記憶されている。圧力微分値診断テーブルは、ステップS3での水素ガス供給開始時刻からの時刻と、この時刻に対応する水素ガス微分値dPin/dtとが対応づけられてなる。この圧力微分値診断テーブルは、燃料電池システムに異常が無く、燃料電池システムを通常運転診断処理に移行させることを判定する水素ガス微分値dPin/dtの範囲を示す通常運転移行可能範囲P11,P12が少なくとも格納されている。
【0076】
通常運転移行可能範囲P11は、水素ガス供給開始時刻t0から徐々に水素ガスを燃料電池スタック1に供給して、徐々に水素ガス微分値dPin/dtが上昇することを考慮して設定されている。
【0077】
通常運転移行可能範囲P12は、運転可能範囲の下限圧力微分値を下限値とした所定水素ガス圧力範囲である。この通常運転移行可能範囲P12は、燃料電池スタック1の起動時に水詰まりが発生していたときに、図11中の一点鎖線で示すように水素ガス供給調圧弁2及び水詰まり除去用弁3を開状態にして水詰まりが解消するときに徐々に水素ガス微分値dPin/dtが下降すること、及び燃料電池スタック1に圧損が発生していたときの水素ガス微分値dPin/dtの経時変化を考慮して設定されている。
【0078】
制御部8は、ステップS61において、ステップS4で取り込んだ時刻t1での水素ガス圧力Pinから算出した水素ガス微分値dPin/dtと、通常運転移行可能範囲P11とを照合する。水素ガス微分値dPin/dtと通常運転移行可能範囲P11との照合結果により、通常運転移行可能範囲P11よりも水素ガス微分値dPin/dtが大きいか否かを判定し(ステップS62)、通常運転移行可能範囲P11よりも水素ガス微分値dPin/dtが大きくないと判定したときには時刻t0から通常運転診断処理に移行すると判定して処理を終了する(ステップS7)。一方、通常運転移行可能範囲P11よりも水素ガス微分値dPin/dtが高いと判定したときには、燃料電池スタック1内に水詰まりが発生している可能性があり、ステップS8以降の起動延長フローに移行する。
【0079】
そして、起動延長フローにおけるステップS10において、時刻t2での水素ガス圧力Pinを微分して水素ガス微分値dPin/dtを算出し、算出した水素ガス微分値dPin/dtと圧力微分値診断テーブルの通常運転移行可能範囲P12とを照合する(ステップS63)。
【0080】
水素ガス微分値dPin/dtと圧力微分値診断テーブルとの照合を行った結果、水素ガス微分値dPin/dtが図11に示す圧損上限値以上か否かを判定することで、水素ガス微分値dPin/dtが通常運転移行可能範囲P12の範囲内であるか否かを判定する。水素ガス微分値dPin/dtが圧損上限以上でないと判定したときには、図11の時刻t0’において通常運転診断処理に移行すると判定して処理を終了する(ステップS13)。一方、水素ガス微分値dPin/dtが圧損上限値以上であると判定したときには、水詰まり以外の異常が発生していると判断し、この場合においては燃料電池スタック1の圧損異常と判断する。そして、制御部8は、圧損異常に対応するために、一部のシステム停止や機能制限等の所定の異常処理に移行して処理を終了する(ステップS14)。
【0081】
「通常運転前処理」
つぎに、上述のステップS7又はステップS13の次に行う通常運転診断処理の前に行う通常運転前処理について図12のフローチャートを参照して説明する。
【0082】
この通常運転前処理において、第1実施形態と同様にステップS21での判定を行い、水詰まり除去用弁3を開状態にしているか否かを判定する。制御部8は、水詰まり除去用弁3が閉状態であって水詰まりの除去を終了していると判定したときには、第3通常運転診断処理に移行して処理を終了する(ステップS71)。一方、制御部8は、水詰まり除去用弁3が開状態であって水詰まりを除去している最中であると判定したときには、第4通常運転診断処理に移行して処理を終了する(ステップS72)。
【0083】
「第3通常運転診断処理」
つぎに、上述のステップS21にて水詰まりを除去している最中でないと判定した後に移行する第3通常運転診断処理について図13のフローチャートを参照して説明する。
【0084】
この第3通常運転診断処理では、ステップS34にて燃料電池スタック1から電力供給要求に応じた発電電力Pを出力させた後に、電力消費負荷5での消費電圧を取り込み(ステップS81)、回路抵抗11の抵抗値、電力消費側内部抵抗5aの抵抗値及び取り込んだ消費電圧から消費電流を算出して(ステップS82)、発電電圧Eを推定して記憶部に記憶することで一時保管する(ステップS83)。
【0085】
次に、水素ガス供給調圧弁2の状態を開度θにて一定にした状態において、一時保管した発電電圧Eと、図14に示す発電電流値−発電電圧値診断テーブルとを照合する(ステップS84)。
【0086】
この発電電流値−発電電圧値診断テーブルは、予め図示しない制御部8内の記憶部に記憶されている。発電電流値−発電電圧値診断テーブルは、燃料電池スタック1で発電している発電電流Iと、燃料電池システムの異常を診断するための推定した発電電圧Eであるしきい値とが対応づけられてなる。
【0087】
ここで、水素ガス供給調圧弁2の開度が一定の状態において、発電電流Iに対する発電電圧Eが低下するということは、燃料電池スタック1の発電電力出力抵抗値が上昇していることを示し、燃料電池スタック1の電力出力端子での電圧降下が発生している状態となる。したがって、発電電力Pに対する発電電圧Eがしきい値以下であるときには正常運転域外であることが判定できる。
【0088】
このような発電電流値−発電電圧値診断テーブルを用いて、制御部8により発電電圧Eが正常運転域内か否かを判定する(ステップS85)。発電電圧Eがしきい値よりも高い、すなわち燃料電池スタック1が通常動作をしていると判定可能な発電電圧Eの範囲(正常運転域)と判定したときには処理を終了して通常運転診断処理を継続する。
【0089】
一方、制御部8は、発電電圧Eがしきい値よりも低い、すなわち発電電圧Eの範囲が正常運転域外であると判定したときには燃料電池スタック1を診断する診断処理に移行する。
【0090】
診断処理において、先ず、制御部8は、ステップS83にて一時保管した発電電圧Eを読み出し(ステップS86)、読み出した発電電圧Eを微小時間tにて一階微分して、各微小時間tごとの発電電圧微分値dE/dtを算出する(ステップS87)。このとき、制御部8は、図15に示すように、ある一定期間に亘って保管された発電電圧Eを用いて一定期間内における発電電圧微分値dE/dtを算出する。
【0091】
次に、制御部8は、算出した発電電圧微分値dE/dtと、発電電圧微分値診断テーブルとを照合して(ステップS88)、算出した発電電圧微分値dE/dtが燃料電池スタック1の異常と認められる異常範囲であるか否かを判定する(ステップS89)。
【0092】
この発電電圧微分値診断テーブルは、予め図示しない制御部8内の記憶部に記憶されている。発電電圧微分値診断テーブルは、図15に示すように、燃料電池システムの異常を診断するための発電電圧微分値dE/dtであるしきい値が格納されてなる。
【0093】
制御部8は、算出した発電電圧微分値dE/dtがしきい値を下回らず異常範囲でないと判定したときには、時刻tに依存せずにゆっくりと変化する異常状態であると判定する。これに応じて制御部8は、燃料電池スタック1の電力端子の経時劣化による発電効率低下状態と判定して所定の異常処理の制御を行う(ステップS44)。
【0094】
また、制御部8は、算出した発電電圧微分値dE/dtが下降し、発電電圧微分値dE/dtがしきい値以下となると判定したときは異常範囲であると判定する。これにより、制御部8は、刻々と発電状態の低下を引き起こしている状態であって、水素ガスが十分に発電電力に変換されていない状態であり、水素ガス系の不具合と判定する。これに応じ、制御部8は、ステップS45〜ステップS50の処理を行う。
【0095】
「第4通常運転診断処理」
つぎに、上述のステップS21にて水詰まりを除去している最中であると判定した後に移行する第4通常運転診断処理について図16のフローチャートを参照して説明する。なお、第4通常運転診断処理の説明において、上述の通常運転診断処理と同じ部分についての説明を省略する。
【0096】
第4通常運転診断処理においては、水詰まりを除去している最中であることから、水詰まり除去用弁3が開状態にあるので、この状態に応じて水素ガス供給調圧弁2の開度を開度θpに設定する(ステップS32’、ステップS33’)。これに応じて、発電電力Pとは異なる発電電力Pp、発電電圧Eとは異なる発電電圧Ep、発電電流Iとは異なる発電電流Ip、発電電圧Ep、発電電力Ppに応じた発電電力値−発電電圧値診断テーブル、発電電圧微分値dE/dtとは異なる発電電圧微分値dEp/dtを使用する。これにより、第4通常運転診断処理では、上述の第3通常運転診断処理と同様の動作、処理を行う。
【0097】
[第2実施形態に係る燃料電池システムの効果]
以上、詳細に説明したように、第2実施形態に係る燃料電池システムによれば、燃料電池スタック1の発電電圧を計測する電圧センサを設けなくても、回路抵抗11及び電力消費側内部抵抗5aの抵抗値、消費電圧及び消費電流を用いて発電電圧Eを推定することができ、第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0098】
具体的には、この燃料電池システムによれば、起動時から時刻t1、時刻t2後に、水素ガス微分値dPin/dtを演算し、圧力微分値診断テーブルとの照合をし、燃料電池スタック1の水詰まりの発生、燃料電池スタック1の圧損を診断することができる。
【0099】
また、この燃料電池システムによれば、通常運転診断処理中に、発電電圧微分値dE/dtと発電電圧微分値診断テーブルとの照合の結果、発電電圧微分値dE/dtがしきい値以下である場合に(ステップS88)、水素ガス系の異常の可能性を診断することができる。
【0100】
なお、上述の実施の形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した第1実施形態に係る燃料電池システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明を適用した第1実施形態に係る燃料電池システムにおける起動時の処理手順を示すフローチャートである。
【図3】水素ガス圧力の変動により燃料電池システムの異常を診断するための圧力値診断テーブルを示す図である。
【図4】本発明を適用した第1実施形態に係る燃料電池システムにおける通常運転前処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明を適用した第1実施形態に係る燃料電池システムにおける第1通常運転処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】発電電力に対応した発電電圧の値に応じて燃料電池システムの異常を診断するための発電電力値−発電電圧値診断テーブルを示す図である。
【図7】発電電流微分値の変動により燃料電池システムの異常を診断するための発電電流微分値診断テーブルを示す図である。
【図8】本発明を適用した第1実施形態に係る燃料電池システムにおける第2通常運転処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図9】本発明を適用した第2実施形態に係る燃料電池システムの構成を示すブロック図である。
【図10】本発明を適用した第2実施形態に係る燃料電池システムにおける起動時の処理手順を示すフローチャートである。
【図11】水素ガス微分値の変動により燃料電池システムの異常を診断するための圧力微分値診断テーブルを示す図である。
【図12】本発明を適用した第2実施形態に係る燃料電池システムにおける通常運転前処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図13】本発明を適用した第2実施形態に係る燃料電池システムにおける第3通常運転処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図14】発電電流に対応した発電電圧の値に応じて燃料電池システムの異常を診断するための発電電流値−発電電圧値診断テーブルを示す図である。
【図15】発電電圧微分値の変動により燃料電池システムの異常を診断するための発電電圧微分値診断テーブルを示す図である。
【図16】本発明を適用した第2実施形態に係る燃料電池システムにおける第4通常運転処理の処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 燃料電池スタック
2 水素ガス供給調圧弁
3 水詰まり除去用弁
4 圧力センサ
5 電力消費負荷
5a 電力消費側内部抵抗
6 電力用ハーネス
7 発電電圧センサ
8 制御部
9 ハーネス
11 回路抵抗

Claims (3)

  1. 電解質膜を酸化剤極と燃料極とにより挟んで構成されたセル構造体を複数積層し、上記酸化剤極側に酸化剤ガスが供給されると共に、上記燃料極側に燃料ガスが供給されて発電する燃料電池と、上記燃料電池に要求される発電電力に応じて上記燃料電池に酸化剤ガス及び燃料ガスを供給するガス供給手段と、上記ガス供給手段により上記燃料電池に供給する燃料ガス圧力を検出する燃料ガス圧力検出手段と、上記燃料電池が実際に発電した発電電圧を検出する発電状態検出手段とを有する燃料電池システムの上記燃料電池の経時劣化及び上記ガス供給手段の異常を診断する燃料電池システムの診断装置であって、
    上記発電状態検出手段で検出された実際の発電電圧及び上記燃料電池に要求された発電電力に基づいて算出された発電電流の時間微分値を演算する微分値演算手段と、
    予め記憶した上記燃料電池の経時劣化及び上記ガス供給手段を診断するための発電電流時間微分値である第1しきい値と、上記微分値演算手段で演算された時間微分値とを比較して、上記燃料電池システムの複数の運転状態から、上記燃料電池システムの運転状態を診断する診断手段とを備え、
    記検出された実際の発電電圧が上記燃料電池に要求された発電電力に対応付けられた上記燃料電池システムの異常を診断するための所定の発電電圧である第2しきい値よりも低い場合に上記算出された発電電流を用いて上記微分値演算手段により発電電流の時間微分値を演算し、
    上記診断手段により、この時間微分値が上記第1しきい値以下である場合には、上記燃料電池の経時劣化であると診断し、
    上記第1しきい値より高い場合には、上記ガス供給手段の異常であると診断すること
    を特徴とする燃料電池システムの診断装置。
  2. 上記ガス供給手段は、上記燃料電池の発電を開始させる場合に、酸化剤ガス及び燃料ガスを上記燃料電池に供給開始して上記燃料電池に供給する燃料ガス圧力を所定の通常運転可能範囲の圧力まで上昇させるものであり、
    上記診断装置は、
    上記ガス供給手段によって酸化剤ガス及び燃料ガスを上記燃料電池に供給開始した場合に、上記燃料ガス圧力検出手段で検出された燃料ガス圧力の時間微分値を演算する圧力時間微分値演算手段と、
    め記憶した上記燃料電池の圧損異常を診断するための燃料ガス圧力の時間微分値である第3しきい値と、上記圧力時間微分値演算手段で演算された時間微分値とを比較して、上記圧力時間微分値演算手段によって演算された時間微分値が上記第3しきい値よりも大きい場合には、上記燃料電池の圧損異常であると診断する診断手段とを、
    さらに備えることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システムの診断装置。
  3. 上記燃料電池システムは、
    上記燃料電池の燃料ガス出口と水詰まり除去用弁とが燃料ガス排出流路で挿通されており、上記水詰まり除去用弁を開状態にすることによって上記燃料電池の水詰まりを除去する水詰まり除去手段をさらに有し、
    上記診断装置は、
    上記診断手段により上記ガス供給手段の異常であると診断した場合に、上記水詰まり除去用弁を開閉作動させる制御信号を出力し、上記発電状態検出手段で検出した実際の発電電圧が上下変動していない場合に、上記水詰まり除去用弁の異常であると診断する診断手段をさらに備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の燃料電池システムの診断装置。
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