JP4209603B2 - インライン型電子銃及びカラー陰極線管 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インライン型電子銃及びそれを用いたカラー陰極線管、特に、インライン型電子銃の主静電レンズを構成する筒状電極及び有孔平板電極に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のインライン型電子銃において、主静電レンズは、例えば特開平4−133247号公報に開示されているように、開口断面が略楕円形の3つの電子ビームを囲む共通開口を有する筒状の外側電極と、その外側電極の内部に設けられ、3本の電子ビームをそれぞれ通過させるための3つの通過孔を有する平板電極とからなるG3電極、及び同形状のG4電極で構成されている。
【0003】
次に上記開示による従来のインライン型電子銃のG3電極及びG4電極について図4を用いて説明する。図4(a)は従来のインライン型電子銃のG3電極及びG4電極の断面図であり、図4(b)は図4(a)中の矢印Aの方向からみたG3電極の正面図であり、図4(c)は図4(b)に示す平板電極の一部を示す拡大図である。
【0004】
図4(a)において、41は開口断面が略楕円形をなす筒状電極、42は同じく開口断面が略楕円形をなす筒状電極であり、43は筒状電極41の内部に設けられた平板電極、44は同じく筒状電極42の内部に設けられた平板電極である。これら筒状電極41と平板電極43とでG3電極410が構成され、筒状電極42と平板電極44とでG4電極420が構成されている。また、45〜47は平板電極43に設けられた通過孔、50〜52は平板電極44に設けられた通過孔であり、これらの通過孔を三本の電子ビームが通過する。
【0005】
この各平板電極に設けられた三個の通過孔は、図4(b)に示すように、インライン方向(以下、「水平方向」ともいう。)に配列されている。図4(b)では、平板電極43に設けられた通過孔45、46及び47が示されており、これらはインライン方向に直交する方向(以下、「垂直方向」という。)に長い長円形状をなしている。通過孔46の開口形状と通過孔47の開口形状とは、通過孔45を垂直方向に縦断する中心線に対して線対称である。なお、平板電極44に設けられた通過孔50は通過孔45と同形状に、通過孔51は通過孔46と同形状に、通過孔52は通過孔47と同形状に形成されている。
【0006】
また、図4(c)に示すように、平板電極43に設けられた三つの通過孔のうち中央に位置する通過孔45は、垂直方向に長径を有する楕円形状に形成されている。一方、図4(c)に示すように、外側に位置する通過孔47(図4(c)では通過孔47のみを示す。)は、外側半分49が半円形状で形成され、内側半分48が2を越え3以下の次数nをもつ高次の曲線形状で形成されている。
【0007】
このように、インライン型電子銃の主静電レンズを構成するG3電極410及びG4電極420は、図4で示したように開口形状が水平方向に長軸を有する略楕円形を呈した外側の筒状電極41及び42と、その筒状電極41及び42に内蔵され、且つ、その各開口部から後退した位置に配置された、3つの通過孔を有する平板電極43及び44とからなる。
【0008】
このため、中央の通過孔45及び50を通過する電子ビームは、通過孔45及び50が形成する独立した電界と、筒状電極41及び42の外周の直線部が形成する重畳電界との作用を受ける。一方、両外側の通過孔46及び51又は47及び52を通過する電子ビームは、通過孔46と51とが形成する独立した電界、又は通過孔47と52とが形成する独立した電界と、筒状電極41及び筒状電極42の外周の曲線部が形成する重畳電界との作用を受ける。
【0009】
従来のインライン型電子銃においては、平板電極43及び44の両外側の通過孔46及び47並びに51及び52における、中央の通過孔45及び50側の高次曲線(例えば、図4(c)における「48」である。)の次数nを適当に選択することによって、3本の電子ビームの集束(スタティックコンバーゼンス)作用を最適なものとすることができ、最終的にスクリーン面に到達する電子ビームを真円に近いものとしている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、陰極線管を大きく、あるいは小さくなるようサイズ変更し、且つ、上記従来のインライン型電子銃を設計変更しないならば、その陰極線管は管軸方向に大きく、あるいは小さくなるため、スクリーン面上における3本の電子ビームのスタティックコンバーゼンス特性が悪化してしまうという問題があった。
【0011】
陰極線管のサイズ変更が少ないならば、このスタティックコンバーゼンス特性の悪化は、陰極線管の外部に設置された磁石等を用いて改善することが可能である。
【0012】
しかし、この磁石等の能力以上にスタティックコンバーゼンス特性が悪化した場合は、スクリーン面上でのスタティックコンバーゼンス特性を優先し、電子銃の部品や印加電圧等の設計を変更しなければならなかった。
【0013】
具体的にスタティックコンバーゼンス特性を維持するためには、G3電極やG4電極の平板電極に設けられた通過孔の開口形状を大幅に変更しなければならなかったり、G3電極の印加電圧を変更しなければならなかった。また、G3電極の印加電圧の変更には、印加電圧が絶縁破壊を引き起こしかねないほど非常に高くなったり、印加電圧を電源の関係上変えられなかったりと制約が多く、この場合は、G1電極の小孔のピッチを変更する必要があった。
【0014】
また、このようにG3電極及びG4電極の平板電極の通過孔やG1電極の小孔のピッチを大幅に変更すると、変更前に用いていた電子銃の組み立て治具等は利用できなくなるため、新たに組み立て治具等を作製する必要があり、電子銃の組み立てのコストが高くなってしまうという問題があった。
【0015】
本発明の目的は、上記問題点を解消し、陰極線管のサイズ変更に伴って発生する電子銃の組み立て治具等の作製コストを低減でき、良好なスタティックコンバーゼンス特性を有するインライン型電子銃及びそれを備えたカラー陰極線管を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明にかかるインライン型電子銃は、水平方向に並ぶ三本の電子ビームを発射するインライン型電子銃であって、第1の平板電極が設けられた筒状の低電位側電極と、第2の平板電極が設けられた筒状の高電位側電極とが、電子ビームの進行方向に沿って順に配置されて主静電レンズを形成する構成を少なくとも有し、第1の平板電極及び第2の平板電極は、中央の電子ビームを通過させる中央通過孔と、中央の電子ビームの外側の二本の電子ビームをそれぞれ通過させる二つの外側通過孔とを有し、各外側通過孔を垂直方向に縦断する中心線をY軸、Y軸に垂直な線をX軸とし、各外側通過孔の中心をX=0、Y=0としたときに、第1の平板電極および第2の平板電極がそれぞれ有する二つの外側通過孔の開口形状は、Xn+Yn=Rnで表される曲線(nは次数である。Rは当該曲線とY座標の交点である。)からなり、第1の平板電極又は第2の平板電極のうち少なくともどちらか一方の平板電極において、外側通過孔の曲線は当該外側通過孔のY軸を境として次数nが異なり、同一平板電極における一方の外側通過孔の開口形状と他方の外側通過孔の開口形状とは、中央通過孔を垂直方向に縦断する中心直線を軸として互いに線対称であり、第1の平板電極に設けられた外側通過孔を垂直方向に縦断する中心線に対して中央通過孔側に位置する内側の曲線と外側に位置する外側の曲線とのうち少なくとも一方は、第2の平板電極に設けられた外側通過孔を垂直方向に縦断する中心線に対して中央通過孔側に位置する内側の曲線と外側に位置する外側の曲線とのうち、同側に位置する曲線と次数が異なっていることを特徴とする。
【0017】
上記本発明にかかるインライン型電子銃においては、内側の曲線の次数が、第1の平板電極に設けられた外側通過孔と第2の平板電極に設けられた外側通過孔とで異なっているのが好ましい態様である。またこの場合、外側の曲線の次数が、第1の平板電極に設けられた外側通過孔と第2の平板電極に設けられた外側通過孔とで同じであって、共に2であるのが更に好ましい態様である。
【0018】
次に、上記目的を達成するために本発明にかかるカラー陰極線管は、上記本発明にかかるインライン型電子銃を少なくとも含むことを特徴とする。
【0019】
上述のように、本発明にかかるインライン型電子銃においては、低電位側電極(G3電極)の第1の平板電極に設けられた三つの通過孔のうち外側通過孔における外側又は内側の開口形状の曲線の次数が、高電位側電極(G4電極)の第2の平板電極に設けられた三つの通過孔のうち第1の平板電極と同じ側の外側通過孔における外側又は内側の開口形状の曲線の次数と異なるように設定されており、これにより3個の電界レンズが形成されている。
【0020】
本発明にかかるインライン型電子銃によれば、この各電界レンズの中心位置を任意に水平方向に移動させることで、スタティックコンバーゼンス特性を良好なものとすることができる。この電界レンズの中心位置を任意に水平方向に移動させることができる点について、第1、第2の平板電極の外側通過孔とG1電極の小孔のピッチとの関係から、以下の(1)〜(4)の具体例に基づいて説明する。
【0021】
なお、電子ビームを通過させるための通過孔が作る電界レンズは、電子ビームに対し、低電位側では集束作用を及ぼし、高電位側では発散作用を及ぼすことが知られている。このことから、電界レンズを考えるにおいて、光学的モデルが多くの場合用いられる。光学的モデルにおいては、低電位側の電界レンズの集束作用は凸レンズで表され、高電位側の電界レンズの発散作用は凹レンズで表される。また、本明細書において、外側通過孔の開口形状を形成する二つの曲線のうち、外側通過孔を垂直方向に縦断する中心線に対して中央通過孔側に位置する曲線を「内側曲線」とし、その中心線に対して中央通過孔とは反対側に位置する曲線を「外側曲線」とする。
【0022】
(1)第1の平板電極に設けられた外側通過孔の内側曲線の次数を2未満とすると、かかる外側通過孔の内側の開口面積は小さくなる。そのため、かかる外側通過孔による内側の集束作用が強くなり、凸レンズの実質的中心位置は水平方向外側に移動する。その結果、良好なスタティックコンバーゼンス特性を得るのに必要なG1電極の小孔のピッチは大きくなる。
【0023】
(2)第1の平板電極に設けられた外側通過孔の外側曲線の次数を2未満とすると、かかる外側通過孔の外側の開口面積が小さくなる。そのため、かかる外側通過孔による外側の集束作用が強くなり、凸レンズの実質的中心位置は水平方向内側に移動する。その結果、良好なスタティックコンバーゼンス特性を得るのに必要なG1電極の小孔のピッチは小さくなる。
【0024】
(3)第2の平板電極に設けられた外側通過孔の内側曲線の次数を2未満とすると、かかる外側通過孔の内側の開口面積が小さくなる。そのため、かかる外側通過孔による内側の発散作用が強くなり、凹レンズの実質的中心位置は水平方向外側に移動する。その結果、良好なスタティックコンバーゼンス特性を得るのに必要なG1電極の小孔のピッチは小さくなる。
【0025】
(4)第2の平板電極に設けられた外側通過孔の外側曲線の次数を2未満とすると、かかる外側通過孔の外側の開口面積が小さくなる。そのため、かかる外側通過孔による外側の発散作用が強くなり、凹レンズの実質的中心位置は水平方向内側に移動する。その結果、良好なスタティックコンバーゼンス特性を得るのに必要なG1電極の小孔のピッチは大きくなる。
【0026】
なお、上記(1)〜(4)において、曲線の次数を2より大きくすると、上記集束作用又は発散作用は弱くなるため、良好なスタティックコンバーゼンスを得るのに必要なG1電極の小孔ピッチの変化は上記(1)〜(4)の結果と逆の結果となる。
【0027】
上記(1)〜(4)に示した作用を適宜用いることによって、陰極線管のサイズ変更に伴うG1電極の小孔のピッチの大小を、第1、第2の平板電極の外側通過孔の開口形状を変更することにより調整できる。これにより、G1電極の小孔のピッチを変更することなく、良好なスタティックコンバーゼンス特性を得ることができる。
【0028】
例えば、陰極線管のサイズを大きく変更した場合、電子銃とスクリーン面との距離は大きくなるので、両外側の電子ビームはスクリーン面の手前で交錯することになる。このとき、スタティックコンバーゼンス特性を良好にすることを優先し、スタティックコンバーゼンス特性がスクリーン面上で最良に、即ち、3本の電子ビームがスクリーン面上で交錯するようにすると、G1電極における外側電子ビームは、外側小孔よりも内側に位置するようになる。従って、小孔のピッチを小さくしなければならないことになる。
【0029】
このとき、小孔のピッチを変更することなく良好なスタティックコンバーゼンス特性を得るためには上記(2)又は(3)を適用すれば良い。これにより、小孔のピッチを小さくすることができ、陰極線管のサイズ変更によるスタティックコンバーゼンス特性の悪化を抑制できる。
【0030】
なお、本明細書でいう「水平方向」とは、本実施の形態にかかるカラー陰極線管の管軸に垂直なスクリーン面に向かって水平な方向をいい、「垂直方向」とは本実施の形態にかかるカラー陰極線管のスクリーン面に向かって垂直な方向であって、水平方向に垂直な方向をいう。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態にかかるインライン型電子銃について、図1〜図3を参照しながら説明する。
【0032】
図1は本実施の形態にかかるインライン型電子銃の一部を示す断面構成図である。本実施の形態にかかるインライン型電子銃は、水平方向に並ぶ陰極(図示せず)から射出した3本の電子ビーム1a、1b及び1cを電界レンズにより規制するものである。図1には、本実施の形態にかかるインライン型電子銃の一部である低電位側電極(G3電極)210及び高電位側電極(G4電極)220が示されている。
【0033】
低電位側電極210と高電位側電極220とは電子ビーム1a、1b及び1cの進行方向に沿って順に配置されており、低電位側電極210は筒状の電極21の内部に第1の平板電極23が設けられた構成のものであり、高電位側電極220は筒状の電極22の内部に第2の平板電極24が設けられた構成のものである。
【0034】
また、第1の平板電極23には中央の電子ビーム1aを通過させる中央通過孔25と、中央の電子ビーム1aの外側の電子ビーム1b及び1cをそれぞれ通過させる外側通過孔26及び27とが設けられている。同様に、第2の平板電極24にも、中央通過孔28と、外側通過孔29及び30とが設けられている。このため、本実施の形態においては、第1の平板電極23に設けられた3個の通過孔25、26及び27と、第2の平板電極24に設けられた3個の通過孔28、29及び30により3個の電界レンズが形成されている。
【0035】
第1の平板電極23と第2の平板電極24は、G3電極210及びG4電極220の開口端部より後退した位置に配置されている。なお、図示していないが、G3電極210及びG4電極220の他に、G1電極、G2電極及び陰極等でインライン型電子銃を構成し、このインライン型電子銃をガラスバルブに挿入することにより、カラー陰極線管を得ることができる。
【0036】
次に図2を用いて通過孔25〜30について説明する。図2(a)は図1に示す低電位側電極(G3電極)210を矢印Aの方向から見た図であり、図2(b)は図1に示す高電位側電極(G4電極)220を矢印Bの方向から見た図である。
【0037】
図2(a)及び(b)に示すように、第1の平板電極23及び第2の平板電極24の外形は、長径が水平方向を向いた略楕円形状を呈している。このため、G3電極210及びG4電極220の開口断面形状も、長径が水平方向を向いた略楕円形状を呈している。G3電極210には5kV〜10kV程度の低電圧が印加され、G4電極220には20kV〜35kV程度の高電圧が印加される。
【0038】
また、図2(a)に示すように、第1の平板電極23に設けられた中央通過孔25の開口形状は垂直方向に長径を有する楕円で形成されている。一方、第1の平板電極23に設けられた外側通過孔26及び27の開口形状は、二つの高次曲線を結合して形成されている。この二つの高次曲線は、各外側通過孔を垂直方向に縦断する中心線(以下、「外側中心線」という。)3a及び3bを境として次数が異なっている(後述する図3を参照)。また、外側通過孔26の開口形状と外側通過孔27の開口形状とは、中央通過孔25を垂直方向に縦断する中心線(以下、「中央中心線」という。)2aを軸として線対象となっている。
【0039】
更に、図2(b)に示すように、第2の平板電極24に設けられた中央通過孔28の開口形状も中央通過孔25と同様の楕円で形成されている。第2の平板電極24に設けられた外側通過孔29及び30の開口形状も、外側通過孔26及び27と同様に、二つの高次曲線を結合して形成されている。この二つの高次曲線も、外側中心線3c及び3dを境として次数が異なっている(後述する図3を参照)。また、第1の平板電極23と同様に、外側通過孔29の開口形状と外側通過孔30の開口形状も、中央中心線2bを軸として線対象となっている。
【0040】
次に、図3を用いて外側通過孔26、27、29及び30の開口形状を形成する高次曲線について説明する。図3(a)は図2(a)に示す第1の平板電極の一部を示す拡大図であり、図3(b)は図2(b)に示す第2の平板電極の一部を示す拡大図である。
【0041】
図3(a)に示すように、第1の平板電極23の外側通過孔26の開口形状を形成する高次曲線は、外側中心線3bに対して中央通過孔25側に位置する高次曲線(以下、「内側曲線」という。)31と反対側である外側中心線3bに対して外側に位置する高次曲線(以下、「外側曲線」という。)32とである。同様に、図3(b)に示すように、第2の平板電極24の外側通過孔30の開口形状を形成する高次曲線は、内側曲線33と外側曲線34とである。これらの高次曲線は、図3(a)及び(b)に示すようにxy座標を設定すると、下記(数1)で表される。なお、nは次数であり、図2で説明したように外側曲線と内側曲線とで異なる値となる。また、Rは外側曲線と内側曲線とが交わる点におけるy座標である。
【0042】
[数1]
Xn+Yn=Rn
また、図3(a)及び(b)に示すように、第1の平板電極23における内側曲線31の次数nは、第2の平板電極24における内側曲線33の次数nと異なっている。一方、第1の平板電極23における外側曲線32は、第2の平板電極24における外側曲線34とは次数nが同じであり、共に次数nは2である。なお、図3(a)及び(b)の例では、内側曲線31の次数nは2未満(n<2)に設定されており、内側曲線33の次数nは2より大きく(n>2)設定されている。
【0043】
ここで、インライン型電子銃の主静電レンズのスタティックコンバーゼンス特性と通過孔の開口形状を形成する曲線の次数nとの関係について説明する。表1は、各平板電極の外側通過孔の開口形状を形成する曲線の次数を2.0から0.1小さくしたときにおける、良好なスタティックコンバーゼンス特性を得るのに必要なG1電極の小孔のピッチの変化量△Skを示している。なお、変化量△Skの算出は3次元電界軌道計算法を用いて行っており、変化量△SkはG1電極の小孔のピッチが大きくなる場合を正、該ピッチが小さくなる場合を負としている。なお、平板電極の外側通過孔の開口形状を形成する曲線のうち、変化させない他の曲線の次数は2.0である。
【0044】
表1において、ns1はG3電極を構成する第1の平板電極における外側通過孔の内側曲線の次数を0.1小さくした場合であり、ns2はG3電極を構成する第1の平板電極における外側通過孔の外側曲線の次数を0.1小さくした場合である。ms1はG4電極を構成する第2の平板電極における外側通過孔の内側曲線の次数を0.1小さくした場合であり、ms2はG4電極を構成する第2の平板電極における外側通過孔の外側曲線の次数を0.1小さくした場合である。
【表1】
次に、両外側の電子ビームがG3電極及びG4電極で構成される主静電レンズを通過してからスクリーン面上に到達するまでの間に交錯する(主静電レンズの集中特性が強い)ことによってスタティックコンバーゼンス特性が悪化している場合を考える。この場合、スタティックコンバーゼンス特性を良好にすることを優先し、スタティックコンバーセンス特性がスクリーン面上で交錯するようにすると、G1電極の小孔のピッチは小さくしなければならない。
【0045】
ここで、表1の結果より、第1の平板電極の外側通過孔の内側曲線の次数nを2.0より小さくする(ns1に相当)、又は第1の平板電極の外側通過孔の外側曲線の次数nを2.0より大きくする(ns2の逆に相当)ことによって、△Skを増加できる。また、第2の平板電極の外側通過孔の内側曲線の次数nを2.0より大きくする(ms1の逆に相当)、又は第2の平板電極の外側通過孔の外側曲線の次数nを2.0より小さくする(ms2に相当)ことによっても△Skを増加できる。
【0046】
よって、このような次数nの設定により、良好なスタティックコンバーゼンス特性を得るG1電極の小孔のピッチを拡大できるので、結果的にかかるピッチを変更することなくスタティックコンバーゼンス特性の悪化を抑制できる。
【0047】
また、変化量△Skの感度は外側通過孔の外側曲線より内側曲線による影響が大きいことを考慮すると、外側通過孔の外側曲線は従来同様に円(次数n=2)であることが好ましい。なお、外側通過孔の内側曲線の次数nを第1の平板電極では2.0より小さくし、第2の平板電極では2.0より大きくするのが好ましい。
【0048】
次に、両外側の電子ビームが主静電レンズを通過してからスクリーン面上に到達するまでの間に交錯しない(主静電レンズの集中特性が弱い)ことによってスタティックコンバーゼンス特性が悪化している場合を考える。この場合、スタティックコンバーゼンス特性を良好にすることを優先し、スタティックコンバーゼンス特性がスクリーン面上で交錯するようにすると、G1電極の小孔のピッチは、大きくしなければならない。
【0049】
ここで、表1の結果より、第1の平板電極の外側通過孔の内側曲線の次数nを2.0より大きくする(ns1の逆に相当)、又は第1の平板電極の外側通過孔の外側曲線の次数nを2.0より小さくする(ns2に相当)ことによって、△Skを減少できる。また、第2の平板電極の外側通過孔の内側曲線の次数nを2.0より小さくする(ms1に相当)、又は第2の平板電極の外側通過孔の外側曲線の次数nを2.0より大きくする(ms2の逆に相当)ことによっても△Skを減少できる。
【0050】
よって、このような次数nの設定により、良好なスタティックコンバーゼンス特性を得るG1電極の小孔のピッチを縮小できるので、結果的にかかるピッチを変更することなくスタティックコンバーゼンス特性の悪化を抑制できる。
【0051】
また、変化量△Skの感度は外側通過孔の外側曲線より内側曲線による影響が大きいことを考慮すると、外側通過孔の外側曲線は従来同様に円(次数n=2)であることが好ましい。なお、外側通過孔の内側曲線の次数nを第1の平板電極では2.0より大きくし、第2の平板電極では2.0より小さくするのが好ましい。
【0052】
但し、特開平4−133247号公報に開示されているように、外側通過孔の外側又は内側曲線の次数nが2.05から2.25のとき、スポット形状を略円形にすることができる。そのため、外側通過孔の内側又は外側曲線の次数nは、1.7以上2.3以下に設定するのが好ましいといえ、この場合は、スポット形状の歪みを抑制でき、良好なスタティックコンバーゼンス特性を得ることができる。
【0053】
【発明の効果】
以上のように本発明にかかるインライン型電子銃を用いれば、G1電極の小孔のピッチを変更することなく、スタティックコンバーゼンス特性の悪化を抑制することができる。そのため、陰極線管のサイズの変更に伴って発生する電子銃の組み立て治具等の作製コストの低減を図ることができる。さらに、本発明のインライン型電子銃において、外側通過孔の外側曲線の次数を第1の平板電極と第2の平板電極とで同一の値に設定し、内側曲線の次数を第1の平板電極と第2の平板電極とで異なる値に設定すれば、電子銃の組み立て治具等の作製コストをよりいっそう低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態にかかるインライン型電子銃の一部を示す断面構成図である。
【図2】図2(a)は図1に示す低電位側電極(G3電極)を矢印Aの方向から見た図であり、図2(b)は図1に示す高電位側電極(G4電極)を矢印Bの方向から見た図である。
【図3】図3(a)は図2(a)に示す第1の平板電極の一部を示す拡大図であり、図3(b)は図2(b)に示す第2の平板電極の一部を示す拡大図である。
【図4】図4(a)は従来のインライン型電子銃のG3電極及びG4電極の断面図であり、図4(b)は図4(a)中の矢印Aの方向からみたG3電極の正面図であり、図4(c)は図4(b)に示す平板電極の一部を示す拡大図である。
【符号の説明】
21、22 筒状電極
23 第1の平板電極
24 第2の平板電極
25 第1の平板電極の中央通過孔
26、27 第1の平板電極の外側通過孔
28 第2の平板電極の中央通過孔
29、30 第2の平板電極の外側通過孔
31 第1の平板電極における外側通過孔の内側曲線
32 第1の平板電極における外側通過孔の外側曲線
33 第2の平板電極における外側通過孔の内側曲線
32 第2の平板電極における外側通過孔の外側曲線
210 低電位側電極(G3電極)
220 高電位側電極(G4電極)
Claims (4)
- 水平方向に並ぶ三本の電子ビームを発射するインライン型電子銃であって、第1の平板電極が設けられた筒状の低電位側電極と、第2の平板電極が設けられた筒状の高電位側電極とが、電子ビームの進行方向に沿って順に配置されて主静電レンズを形成する構成を少なくとも有し、
前記第1の平板電極及び前記第2の平板電極は、中央の電子ビームを通過させる中央通過孔と、前記中央の電子ビームの外側の二本の電子ビームをそれぞれ通過させる二つの外側通過孔とを有し、
各外側通過孔を垂直方向に縦断する中心線をY軸、前記Y軸に垂直な線をX軸とし、各外側通過孔の中心をX=0、Y=0としたときに、前記第1の平板電極および前記第2の平板電極がそれぞれ有する前記二つの外側通過孔の開口形状は、Xn+Yn=Rnで表される曲線(nは次数である。Rは当該曲線とY座標の交点である。)からなり、
前記第1の平板電極又は前記第2の平板電極のうち少なくともどちらか一方の平板電極において、外側通過孔の前記曲線は当該外側通過孔のY軸を境として次数nが異なり、同一平板電極における一方の外側通過孔の開口形状と他方の外側通過孔の開口形状とは、中央通過孔を垂直方向に縦断する中心直線を軸として互いに線対称であり、
前記第1の平板電極に設けられた外側通過孔を垂直方向に縦断する中心線に対して中央通過孔側に位置する内側の前記曲線と外側に位置する外側の前記曲線とのうち少なくとも一方は、前記第2の平板電極に設けられた前記外側通過孔を垂直方向に縦断する中心線に対して中央通過孔側に位置する内側の前記曲線と外側に位置する外側の前記曲線とのうち、同側に位置する前記曲線と次数が異なっていることを特徴とするインライン型電子銃。 - 前記内側の曲線の次数が、前記第1の平板電極に設けられた外側通過孔と前記第2の平板電極に設けられた外側通過孔とで異なっている請求項1記載のインライン型電子銃。
- 前記外側の曲線の次数が、前記第1の平板電極に設けられた外側通過孔と前記第2の平板電極に設けられた外側通過孔とで同じであって、共に2である請求項2記載のインライン型電子銃。
- 請求項1〜請求項3のいずれかに記載のインライン型電子銃を少なくとも含むことを特徴とするカラー陰極線管。
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