JP4209350B2 - 過給機の制御装置 - Google Patents
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Description
例えば、アクセルオフ等による機関回転速度の低下時には、機関ピストンの往復動速度が低下するのに伴って機関燃焼室内に吸入空気を吸引する際の吸引力、即ちポンピング力が低下する。一方、過給機は機関燃焼室から排出された排気を利用して駆動されるという構成上、機関回転速度の低下に対してその吐出量の低下が遅れる傾向にある。従って、機関回転速度の低下時には、過給機から吐出された吸入空気が機関燃焼室に導入されないまま、吸気通路に滞留する現象が一時的に発生する。こうした現象が発生すると、過給機の吸込側と吐出側との圧力差が増大し、吸気通路の吸入空気が過給機側に逆流することにより、吸入空気の脈動現象、いわゆるサージが発生して異音の発生を招くこととなる。
先ず、請求項1に係る発明は、過給効率を変更可能な可変機構を備える内燃機関の排気駆動式過給機についてその過給率を前記可変機構を通じて制御する過給機の制御装置において、前記内燃機関の機関回転速度が低下するときには前記過給効率を低下させ、実過給圧と目標過給圧との偏差に基づいて前記可変機構の制御量を設定するとともに、前記制御量には、機関回転速度が低下するときには第1の上限値が設定され、機関回転速度が低下しないときには第1の上限値よりも大きい値である第2の上限値が設定されることをその要旨とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の発明において、前記制限手段は、前記内燃機関から出力される回転出力の変速を行うための変速機におけるシフトチェンジが実行されることに基づき前記機関回転速度の低下を判断することをその要旨とする。
上記した可変機構及び制御手段としては、例えば請求項6に記載されるように、前記可変機構は前記過給機を駆動するための排気の流路における流路面積を可変とするものであり、前記制御手段は同流路面積を調整することで前記過給効率を制御するものである、といった態様を採用することができる。
図1は、過給機の制御装置を示す概略構成図である。ディーゼル式内燃機関2は複数気筒、ここでは4気筒#1,#2,#3,#4からなる気筒群を有している。各気筒#1〜#4の燃焼室4は吸気マニホールド6を介してサージタンク8に連結されている。そしてサージタンク8は、吸気通路10を介して、インタークーラ12、及び排気駆動式過給機VNTにおけるコンプレッサ65の吐出側に連結されている。コンプレッサ65における吸入空気の吸込側はエアクリーナ14に連結されている。過給機VNTにおいては、吸気通路10を介してエアクリーナ14側から同過給機VNT内に吸い込まれた吸入空気がコンプレッサ65により昇圧されてインタークーラ12側に吐出される。
一方、上記排気通路22とサージタンク8との間には、排気通路22からサージタンク8へと排気を再循環させるための排気再循環装置45が設けられている。排気再循環装置45には排気通路22とサージタンク8とを連通するためのEGR通路40が設けられ、このEGR通路40には、同通路40を介してサージタンク8側へと再循環される排気、即ちEGRガスを冷却するためのEGRクーラ42や、EGR弁44が配置されている。このEGR弁44の開度調節を通じて排気通路22側からサージタンク8側へのEGRガス供給量の制御、即ち排気再循環率の制御が行われる。
この過給機VNTは、排気通路22を流れる排気によって回転するタービンホイール60と、吸気通路10に配置され、且つロータシャフト62を介してタービンホイール60に一体回転可能に連結されたコンプレッサホイール(インペラ)64とを備えている。この過給機VNTでは、タービンホイール60に排気が吹付けられて同ホイール60が回転する。この回転は、ロータシャフト62を介してコンプレッサホイール64に伝達される。その結果、内燃機関2では、ピストンの移動に伴って燃焼室4内に発生する負圧によって空気が燃焼室4に送り込まれるだけでなく、その空気が過給機VNTのコンプレッサホイール64の回転によって強制的に燃焼室4に送り込まれる(過給される)。このようにして、燃焼室4への空気の充填効率が高められる。
図2(a)は可変ノズル機構71の側断面構造を、図2(b)は可変ノズル機構71の正面構造を示している。図2(a)に示されるように、可変ノズル機構71はリング形状をしたノズルバックプレート72を備えている。このノズルバックプレート72には、複数の軸73がノズルバックプレート72の円心を中心とした等角度ごとに設けられている。これらの軸73は、ノズルバックプレート72をその厚さ方向に貫通して回動可能に支持されている。また、これら軸73の一端(図2(a)中の左側端)には、ノズルベーン74が固定されている。また、軸73の他端には、同軸と直交してノズルバックプレート72外縁方向に延びる開閉レバー75が設けられている。この開閉レバー75の先端は、二股に分岐した一対の狭持部75aが形成されている。
ECU(電子制御ユニット)80は、CPU、ROM、RAM等を備えたデジタルコンピュータと、各装置を駆動するための駆動回路とを主体として構成されている。そしてECU80は、上記クラッチセンサ85やスロットル開度センサ16、吸気圧センサ18、吸気量センサ19、差圧センサ36をはじめ、回転速度センサ82やアクセルセンサ84等、様々なセンサの検出信号を読み込んでいる。なお、上述した回転速度センサ82は内燃機関2のクランク軸の回転速度即ち機関回転速度を検出するためのものであり、アクセルセンサ84はアクセルペダルの開度を検出するためのものである。
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
・上記実施形態では、目標過給圧に関しこれを機関回転速度及び燃料噴射量に基づいて算出される、即ちこれらに基づいて変動し得るものとしたが、これに限らず、例えば一定値に固定されてもよい。この場合であっても、実過給圧と目標過給圧との偏差が大きく、算出される仮制御量が上記上限値Aよりも大きければ、過給効率のフィードバック制御量に関してその上限値が更に大きな値に変更されることの効果は得られる。
・上記ターボサージは過給効率が高いときに発生し易い傾向にある。従って、そもそも過給効率が低いときに更にこれを低下させる必要性は、上記ターボサージの発生を抑制する上では低いものであるといえる。従って、過給効率が高いときにこれを低効率側に制限し、低いときには制限しないようにしてもよい。
・燃料噴射の停止のみに応じて過給効率を低効率側に制限するようにしてもよい。また、停止にまで至らなくても、燃料噴射量の減少がなされればこれに応じて上述のように制限するようにしてもよい。
・例えば吸気量センサ19による吸入空気量の検出結果に基づきその減少に応じて過給効率を低効率側に制限するようにしてもよい。
・オートマチック式の変速機を採用してもよい。
Claims (6)
- 過給効率を変更可能な可変機構を備える内燃機関の排気駆動式過給機についてその過給効率を前記可変機構を通じて制御する過給機の制御装置において、
実過給圧と目標過給圧との偏差に基づいて前記可変機構の制御量を設定するフィードバック制御を行い、この制御量を上限値により制限するものであって、
機関回転速度が低下するとき、前記過給効率を低下させるとともに、前記上限値として機関回転速度が低下していないときの上限値よりも大きいものを用いる
ことを特徴とする過給機の制御装置。 - 請求項1に記載の過給機の制御装置において、
機関燃焼室への燃料供給量が減少することに基づき前記機関回転速度の低下を判断する
過給機の制御装置。 - 請求項2に記載の過給機の制御装置において、
前記機関燃焼室への燃料供給が停止されることに基づき前記機関回転速度の低下を判断する
過給機の制御装置。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載の過給機の制御装置において、
前記内燃機関から出力される回転出力の変速を行うための変速機におけるシフトチェンジが実行されることに基づき前記機関回転速度の低下を判断する
過給機の制御装置。 - 請求項1〜4のいずれか一項に記載の過給機の制御装置において、
前記内燃機関は前記過給機の排気系下流側に設けられた排気浄化触媒が所定温度以上となるように排気再循環率を増大させる排気再循環装置を有するものである
過給機の制御装置。 - 請求項1〜5のいずれか一項に記載の過給機の制御装置において、
前記可変機構は前記過給機を駆動するための排気の流路における流路面積を可変とするものであり、前記制御手段は同流路面積を調整することで前記過給効率を制御するものである
過給機の制御装置。
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