JP4208728B2 - 歯科用切削バー - Google Patents
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Description
その切削用のバー(ダイヤモンドポイント)11Jは、ハンドピース10の先端内の羽根車18により回転させられる。ハンドピース10の先端内の羽根車18は、ハンドピース10の尻部10rからエア供給ライン19によって供給される圧縮空気により、20万rpm〜30万rpmの回転数で回転する。
また図29は、切削後で、当該前歯21F、21Gに被せ物を被せる直前の下顎部を前方より見た図を示しており、図中、2点鎖線は切削される前の前歯21F、21Gの輪郭を、また、符号2Cは夫々第1前歯21Fの中心線を示している。
被せ物34は、図30及び図31に示すように、金属箔3と樹脂4とから出来ているが、被せ物34を歯につけた場合、歯茎60の近傍において、歯20と金属箔3との境界(境目)が(外から見ると或いは他人が見ると)、黒く見えてしまう。このように外側から(或いは他人が)黒く見えてしまう境界(歯と金属箔との境界)5は、「ブラックライン」と呼ばれる。
歯20と金属箔3との境界部分5を歯肉縁(歯茎上端)6から凹んだ部分、すなわち歯肉縁6下で歯を削った領域内Cにブラックライン5を位置させれば、外部から見ても、当該ブラックライン5は見えない。
尚、図30において、右方が坑内側であり。坑内側の歯茎60には歯の裏側の凹み67が形成される。また、図中、符号25は陶材を示す。
この様な理由に基づいて、歯20に被せ物を行う補綴の分野では、歯肉縁6下を切削する作業が行われるのである(例えば、非特許文献1参照)。
例えば、歯軸の長さを揃えると、被せ物の精度が向上する。そのため、歯肉縁6下を削る際には、その削除量εは高い精度で制御される必要がある。
熟練者、練達者は「目視」でも歯肉縁6下における歯の切削量εを正確に把握することが出来るが、初心者や未熟者では、目視により歯2の正確な切削量を求めることは困難である。
しかし、歯2を削る作業中は、プローブ8とバー(ダイヤモンドポイント)11J(図示を省略)とが干渉してしまう恐れがあるため、プローブ8は使用出来ない。
ここで、図30の8で示す様な先端近傍に目盛り81を目盛ったプローブ8で歯肉縁6下の切削量を計測することが可能である。
しかし、「バー11Jを回転して削る」、次に「停止」、次に「プローブ8を差し込んで計測」、次に「バーを回転して削る」の工程を繰り返さなければならず、歯肉縁6下を削る作業が断続的になる。その結果、歯肉縁6下の切削箇所(切削面)が滑らかで一様な面とはならず、凹凸が形成されてしまう。切削面に係る凹凸が形成されると、予後の精度(被せ物の精度)が悪化する。
換言すれば、歯肉縁6下を削る際には、連続して削るというのが大前提となるが、プローブ8を用いると、その様な大前提が崩れてしまうのである。
歯冠補綴学(1978年:クインテッセンス出版株式会社発行) 著者:保母須弥也、 Herber T. Shillingburg Jr、 Lowell D. Whitsett 翻訳者:伊藤正俊、富野晃
ここで、回転時における振れ回りを防止するため、該凹部(14C)(溝14Bを含む)及び/又は凸部(14A)は、円周方向について対称に配置される(円周方向に少なくとも2点、対称な位置に配置される)のが好ましい。
或いは、バー(11)の長手方向に形成された目視用の基準(例えば、目盛り14)の長手方向寸法、又は長手方向の目盛りの間隔が相違していることが好ましい。
その結果、本発明によれば、歯肉縁下(61)の削除量を確認しながら、連続的に切削することが可能となる。
ここで、該凹部(14C)(溝14Bを含む)及び/又は凸部(14A)は、円周方向について対称に配置すれば(円周方向に少なくとも2点、対称な位置に配置すれば)、歯科用切削バー(11)を高速回転する際(歯2の切削時)において、当該切削バー(11)の円周方向における質量の不均一に起因する振れ回りを防止することが出来る。
図1において、歯を削る器具として、ハンドピース10が用いられる。歯の治療時には、そのハンドピース10に「ダイヤモンドポイント」と呼ばれる切削用のバー11を差し込んで使用する。
ここで、バー11のシャンク部12の長さは、0.2mm〜20.0mmである。シャンク部12の長さが長過ぎると正確な切削が困難となってしまう可能性があり、短過ぎるとハンドピース10が口腔或いは歯と干渉してしまうからである。
また、ダイヤモンドの刃部13の直径としては、0.2mm〜4.0mmである。直径が太過ぎるとブリッジ等で要求される精度にて歯を切削することが困難であり、直径が細過ぎると切削バー11の強度に問題が生じてしまう可能性があることによる。
しかし、図5に示す様な、先端側が拡径されたテーパ形状13Bでは、歯槽骨に近い側が大きく削れてしまうので、クラウン、ブリッジ等の被せ物を、歯に隙間無く被せることが出来なくなってしまう。
目盛りの線をシャンク12上に形成させる方法としては、塗料、焼結、その他の従来の手法で良い。
ここで、染料或いは塗料を使用するのであれば、
(1)目盛りとして、視認性が良好であること、
(2)消毒薬に対して、耐性があること(安定していること)
(3)口内で使用した際に、溶出しないこと、仮に溶出しても、人体に無害であること
(4)滅菌操作の際に加熱するため、耐熱性があること、
という条件を満たすことが必要である。
例えば、アクリル系塗料が好ましい。
(1)目盛りに付着させた材料の視認性が良いこと
(2)消毒薬に対して、耐性があること(安定していること)
(3)当該材料が、シャンク12から分離してしまう恐れが無いこと
(4)消毒薬に対して耐性があること(安定していること)、
(5)仮に剥離して口内から人体に吸収されても、悪影響が無いこと、
等の条件を満たすことが必要である。
すなわち、両側部分23の歯肉縁6下の削除量を大きくしてしまうと、予後、特に老後に歯間の隙間(ブラックトライアングル)24が発生してしまう。
係るブラックトライアングル24は食物が挟まり易く、また、雑菌が繁殖してしまう。
初心者、未熟者は、削るべき歯2の両側部分23(図6参照)を削り過ぎてしまう傾向がある。その結果、ブラックトライアングル24が出来てしまう可能性が高い。
その結果、予後、特に老後に、歯間の隙間(ブラックトライアングル)24の発生が抑制され、雑菌が繁殖してしまう空間を発生する恐れも少なくなる。
図7において、(図6の両側部23)における歯肉縁6下の削除量「ε」が相違すると、歯茎60の下側の骨(歯槽骨突起)65の降下量(歯ぐきの下がる量)が変わってしまう。
すなわち、2本の歯に被せ物をした場合、(図6の両側部23)における歯肉縁6下の削除量「ε」が左右で相違すると、予後に、歯茎が右寄り或いは左寄りになってしまう。
同じように歯肉縁6下を削った2本の歯220、230であっても、加齢によって歯茎60(歯肉縁6)が下がる(6Xの状態)ことにより、一方の歯230にはブラックライン5が出ないが、他方の歯220にはブラックライン5が出てしまう、という事態が起こり得る。
しかし、未熟者や初心者に対して、従来は、その様な処理、すなわち、歯槽骨の形に合わせて、歯茎60の下がり具合を調整して、高精度にて歯肉縁6下を切削することを望むのは、不可能であった。
したがって、未熟者や初心者であっても、歯槽骨の形が把握できていれば、それに合わせて、歯茎60の下がり具合を調整して、高精度にて歯肉縁6下を切削することが可能となる。
第1実施形態によれば、図32で示す様に歯と目盛り14との相対位置を目視することにより、歯肉縁6下の削除量εを把握しながら切削できるので、歯槽骨の形を施術前にレントゲン写真その他から把握して、それに対応する歯肉縁6下の削除量を予め決定することにより、歯槽骨の形に合わせて歯肉縁6下を削ることが出来る。
その結果、予後に「歯肉ポケット」65が形成されてしまうことが無く、歯周菌の繁殖が予防される。
歯2と金属箔3との境界を、歯肉縁6下の凹み67に入れる必要が無い(図30参照)。
したがって、歯の裏側(口内側)は本発明の適用外である。
図1〜図8の第1実施形態は、シャンク部12に目視用の基準として、線で目盛りを構成した実施形態である。しかし、目視用の基準は、溝、突起、凹部で形成しても良い。
また、図10〜図12は、シャンク部12に目視用の基準として、凹部14C(シャンク12の長手方向(各図における紙面の表裏方向)に所定の長さを有する溝も含む)を形成した実施例である。
なお、図示はされていないが、突起と凹部の双方を形成することも可能である。
そのため、点、線、突起14A、凹部14Cのような全周に亙って連続していない基準の場合、図11〜図13で示す様に、円周方向に少なくとも2点、点対称な位置に設けるのが好ましい。
そのため、図14で示す様な、円周方向全域に亘って形成される溝14Bが好ましい。
目盛りに数字(例えば、刃部の末端部からの距離寸法)を記入しても、バーが高速回転をしている際に読み取ることは不可能である。
そのため、線、凹部、或いは突起等が有効となる。しかし、幾つの目盛りが歯肉縁下に存在するかは、切削作業中には把握が困難である。
すなわち、1つ目の目盛り14B及び3つ目の目盛り14Bに比較して、2つ目の目盛り141Bの幅が広く形成してある。
2つ目の目盛り141Bが視認出来るか否かで、歯肉縁下の切削量εが目盛り(14B、141B)から分かる。
ここで、目盛りは溝(図示)或いは凹部であっても、突起(図示せず)であっても良い。
図19の第4実施形態では、目盛り(図示の例では溝142B、143B、144B)の色を変えて、目盛り(溝142B、143B、144B)の色から歯肉縁下の切削量εが把握出来るように構成している。尚、図19の例では、3箇所の溝の色は夫々異なるものとして示したが、1段目142Bと3段目144Bとは同じ色を用いても良い。
ここで、図19では、溝であるが、線であっても、突起であっても良い。また、図19では、バー11の長手方向について、目盛りとなる溝の長さが等しいが、これを変えても良い。換言すれば、第3実施形態と組み合わせても良い。
その他の構成、作用効果は、第3実施形態と同様であり、以降の説明を省略する。
第2実施形態の図15の小さな半球状の凹部14C、図16の矩形形状の凹部141C及び図17の円周方向へ断続的に延在する凹部142Cを目盛りにした場合には、目盛りを形成したシャンク12が「回転やすり」として作用してしまい、削る必要が無い部分を削ってしまう可能性がある。
また、図14で示す様に、円周方向全域に亘って溝14Bを形成しても、肩部14Bkで切削してしまう恐れがある。
尚、図21の例のように、溝14Bのコーナー部14Bcには、切削工程において生じる応力集中でバー12が折損しないように、アール部rが形成されるのが好ましい。
図24は、突起14Aで構成された目盛りの突起のコーナー14AkにアールR3を施した実施例である。
尚、図20〜図24の実施例ではアールR、R1〜R3の形成のみを表示しているが、面取りしても良い。
平均的な歯の長さ(歯冠)−(金属箔の厚さ+陶材の厚さ)±α(定数)
具体的には、刃部13の長さは、4.0mm〜20.0mmである。刃部13の長さが長過ぎると刃部先端で正確な切削を行うことが困難となってしまう可能性があり、短過ぎると切削するべき箇所まで刃部13が届かずに、シャンク部12やハンドピース10が口腔或いは歯と干渉してしまうからである。
図25において、ハンドピース10側には、例えば先端に拡大鏡101を取り付けた支持部材102がアタッチメント103によって、その拡大鏡101の鏡面角度を2次元で調節可能なように取り付けられている。
そのように構成することにより、細い切削用バー11に形成された細かな目盛りも、拡大鏡101を通して見ることにより、目盛りは拡大されるために、歯科技師は疲労することなく切削作業が進められる。
3・・・金属箔
4・・・樹脂
5・・・ブラックライン
6・・・歯肉縁
7・・・神経
10・・・ハンドピース
11・・・切削用のバー/ダイヤモンドポイント
12・・・シャンク部
13・・・刃部
14・・・目盛り
14A・・・凸部
14B・・・溝部
14C・・・凹部
18・・・羽根車
20・・・歯(切削後の歯)
34・・・被せ物
Claims (4)
- シャンク部と刃部とから成り、シャンク部が歯科用ハンドピースの取付機構に把持されて且つ歯科用ハンドピースから回転が伝達される様に構成されており、歯科用ハンドピースから回転が伝達されている際に刃部先端からシャンク部側端部側への距離が目視出来る様に、シャンク部における刃部との境界部分近傍に、目視用の基準が形成されていることを特徴とする歯科用切削バー。
- 前記目視用の基準がシャンク部に形成された凹部及び/又は凸部である請求項1の歯科用切削バー。
- 前記目視用の基準としてシャンク部に形成された凹部及び/又は凸部の角部は、極率半径が小さな曲面及び/又は面取りで構成されている請求項2の歯科用切削バー。
- 前記目視用の基準が異なる色彩となっている請求項1〜3の何れか1項の歯科用切削バー。
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