JP4206536B2 - 吸気管装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジン(内燃機関)のシリンダ内に吸気などの流体を導く吸気管装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車用多気筒エンジン(内燃機関)の各シリンダ内に吸気(空気あるいは空気と燃料との混合気)等の流体を導く吸気管装置は、各気筒のシリンダから延びる吸気管を集合するサージタンクを備えている。そして、シリンダ内に流入する吸気の効率は、吸気管内に生じる吸気脈動を利用して過給(慣性過給)することで向上できる。このため、エンジン回転数が低い時には吸気管長を長くし、エンジン回転数が高い時には吸気管長を短くすることが慣性過給効果を最大限に利用する上で好ましく、例えば、その一例として特開平9−125967号公報に開示されている技術が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記公報に開示されている技術では、一端がサージタンクに接続しかつ他端がエンジンのシリンダ内に吸気を導く吸気多岐管に接続したケーシングと、このケーシングの他端に設けられた固定吸気管と、この固定吸気管に摺動自在に設けられた可動吸気管とを備えた構成となっている。このため、可動吸気管が最長位置となってサージタンク側と接続する状態ではケーシングと可動吸気管外周との間に形成される閉空間部(収容室)が吸気に関与しない無駄な空間として存在してしまう。この閉空間部は、可動吸気管のほぼ全長に亘ってケーシング内に存在することになり、かなりの容積を有するものとなる。吸気管装置自体が大型化する傾向となっていた。
【0004】
また、可動吸気管が最長位置にある場合に合せてサージタンクの容積を設定すると、可動吸気管が最長位置以外の位置にある場合には、サージタンクの容積が上記閉空間容積分、増加することになるので、実質的なサージタンク容積が過大になり、十分なエンジンの出力応答性が確保できないことがある。
【0005】
そこで、本発明は上記問題を鑑みて、その目的は、吸気流路の長さを変更可能な吸気管装置において、小型化を図れ、エンジンの出力応答性の悪化を抑制することが出来る吸気管装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の吸気管装置では、吸気が流入する吸気流入口を有する容積部材と、前記容積部材に接続されかつ内燃機関のシリンダ内へ吸気を導く固定吸気管と、前記容積部材内に設けられ、前記吸気流入口を含む第1室と、前記固定吸気管が接続され、吸気流出口を含む第2室とに前記容積部材を仕切る隔壁と、前記隔壁に設けられかつ前記第1室と前記第2室とを連通する第1の連通部と、一端部が前記第1の連通部に接続される第1の位置及び前記第2室内に開口する第2の位置の間で変位自在に前記容積部材内に設けられ、他端部が前記固定吸気管に接続される可動吸気管と、前記第1室と前記第2室とを常時連通する第2の連通部と、前記内燃機関の運転状態に応じて前記可動吸気管の変位位置を制御する制御装置と、を備え、前記第2室内面と前記可動吸気管外面とにより形成される閉空間部の容積、及び、前記第2の連通部の流路断面積とは、前記内燃機関の運転状態に応じて前記可動吸気管が前記第1の位置に変位して設けられる際に、前記内燃機関により発生する脈動波と共鳴する周波数を有するように設定されている構成としている。
【0007】
このため、例えば、制御装置により内燃機関の運転状態に応じて可動吸気管を、吸気流路を最長とする第1の位置と最短とする第2の位置との間で変位させることで、所謂慣性過給作用を利用することができ、内燃機関の出力トルクを向上することができる。
【0008】
また、第1室と第2室とを第2の連通部により連通しているため、容積部材の容積を前記第2室と可動吸気管外周との間に形成される閉空間の容積を考慮して設定することができるので、容積部材を小型化できコスト低減や軽量化を図れると共に、エンジンの出力応答性の悪化を抑制することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について図1から図4を参照して説明する。
【0010】
吸気管装置1は、図1及び図2に示すようにエンジンのシリンダヘッド2に連結され、このシリンダ(図示せず)内に流体としての吸気を導く装置であって、サージタンク3と、固定吸気管4と、可動吸気管5と、制御手段としての制御装置7などを備えている。
【0011】
サージタンク3は、所定容積を有するよう中空の箱状に形成され、その内部に略長手方向(図1における左右方向)に沿って吸気を流す流路が形成されている。また、サージタンク3は、その内部に固定吸気管4及び可動吸気管5を内部に設けているとともに、サージタンク3としての機能も有するハウジング6が接続している。なお、このサージタンク3とハウジング6とで本明細書に記した容積部材を形成している。
【0012】
そして、サージタンク3とハウジング6との間には隔壁8が設けられ、この隔壁8により容積部材はサージタンク3側の第1室3Aとハウジング6側の第2室6Aとに区画されている。なお、第1室3Aは後述する吸気流入口50(図4及び図5に示す)を含んでおり、第2室6Aは後述する吸気流出口60(図2に示す)を含んでいる。
【0013】
そして、隔壁8には、前記サージタンク3の内側と外側とを互いに連結する第1の連通部としての吸気供給管9を前記シリンダと同数設けている。これら吸気供給管9は、図3に示すように、互いの中心が略直線上に位置するよう設けられ、それぞれ、断面が円環状のパイプに形成されている。
【0014】
サージタンク3は、その長手方向の一端部(上端部)が吸気流入口50(図4及び図5に示す)として開口しており、この流入口50には図4などに示すように、スロットル弁10を内部に有する吸気通路100が接続されている。スロットル弁10は、図1に示すように、サージタンク3の一端部側でかつ前記流路の上流側に設けられている。図示例において、スロットル弁10は、円板状の弁体11と弁棒12とを備え、かつ弁棒12を中心として図示中の矢印Rに回動自在なバタフライ弁として構成されている。
【0015】
前述の構成によって、スロットル弁10は、前記サージタンク3の流路を遮断してこのサージタンク3内に吸気を導かない状態と、前記サージタンク3の流路を開放してこのサージタンク3内に吸気を導く状態とを切換えるようになっている。
【0016】
固定吸気管4は、ハウジング6に接続し、かつ前記シリンダと同数設けられているとともに、それぞれがパイプ状に形成される。固定吸気管4は、それぞれ一端部13が前記シリンダに連通するよう接続されている。また、固定吸気管4の一部は、容積部材内の吸気が流出する吸気流出口60(図2に示す)を兼ねている。固定吸気管4の他端部14はそれぞれハウジング6内に開口している。なお、固定吸気管4は、本明細書に記した吸気管をなしている。
【0017】
可動吸気管5は、前記シリンダおよび固定吸気管4と同数設けられ、かつ前記固定吸気管4の他端部14と嵌合して設けられている。固定吸気管4と可動吸気管5との間には、互いに流体密に接続するパッキン15が設けられている。
【0018】
前記可動吸気管5は、その一端部16が前記吸気供給管9に届いて接続して、前記固定吸気管4とでなす吸気流路が最長となる図2及び図4に示す第1の位置と、前記吸気供給管9から離れて一端部16が第2室6A内に開口して、前記吸気流路が最短となる図5に示す第2の位置と、に亘つて図2中の矢印Jに沿って移動自在となっている。可動吸気管5は、その他端部19が固定吸気管4に接続している。
【0019】
可動吸気管5は、前記第1の位置に変位した際に、前記吸気供給管9と流体密にして接続して、前記吸気通路100を介して前記サージタンク3に導かれた吸気を、前記吸気供給管9との接続部をなどから漏らすことなく、この吸気供給管9を介して固定吸気管4及びシリンダ内に導くようになっている。
【0020】
なお、可動吸気管5が少しでも前記第1の位置から第2の位置へ向かって、即ち図示中の矢印J1に沿って変位すると、後述するように、吸気が前記吸気供給管9と可動吸気管5との間から漏れてハウジング6内に侵入するようになっている。
【0021】
また、前記可動吸気管6は、それぞれ、一端が可動吸気管5に連結されかつ他端が図1及び図2に示す可動吸気管駆動手段としてモータ17の回転軸に連結された図示しないアーム部材を介して、モータ17の駆動力によって、前記第1の位置と第2の位置とに亘つて矢印Jに沿って移動されるようになっている。
【0022】
ハウジング6は、すべての前記固定吸気管4と可動吸気管5と吸気供給管9とを覆って、その内部を閉空間に保った状態で、前記サージタンク3に取付けられている。ハウジング6は、可動吸気管5が第1の位置から第2の位置に向かって移動した際に、吸気供給管9を介してハウジング6内部に流入した吸気を外部に漏らさないようになっている。前述した構成によって、ハウジング6は、前記隔壁8によってサージタンク3と仕切られた閉空間を有して、サージタンク3に設けられている。
【0023】
また、前記サージタンク3の前述した隔壁8には、図2に示すように可動吸気管5が第1の位置に変位した際に、この可動吸気管5の外面とハウジング6の内面とによって形成される閉空間部Mと、第1室3Aとを連通する第2の連通部としてのパイプ状のレゾネータ管18が、図3に示すように設けられている。
【0024】
このため、閉空間部Mと第1室3Aとがレゾネータ管18により連通しているので、可動吸気管5が第1位置から第2位置に変位しても、容積部材の内部容積が急激に増大することがないため、スロットル弁10の開度変化に対する吸入空気量の変化が鈍くなる(エンジンの出力応答性が悪化する)ことを抑制することができる。
【0025】
また、閉空間部Mの容積及びレゾネータ管18の流路断面積は、低中速域における所定回転数において、吸気装置の通路内で発生する脈動波と共鳴する周波数を有するよう最適な値に設定されている。このため、ハウジング6が上記所定回転数において、所望の共鳴過給作用をも得ることができる。
【0026】
前記制御装置7は、公知のマイクロプロセッサ等を備えた演算装置であり、前記モータ17と接続しており、このモータ17の駆動を制御するようになっている。この制御装置7は、既存の装置であるECU(Engine Control Unit )などに機能を追加して構成されるのが望ましく、またマイクロプロセッサ等を備えた専用の演算装置としても良い。
【0027】
制御装置7は、エンジン回転数が例えば所定値としての3000rpm以下などの所定低中速域では、前記可動吸気管5が第1の位置1に変位するようにモータ17を制御するようになっている。
【0028】
具体的には、制御装置7は、エンジン回転数が前述した所定値を越える前記所定低中速域より高い回転数となると、前記可動吸気管5が第1の位置から第2の位置に向かって矢印J1に沿って移動するように、前記モータ17を駆動するようになっている。なお、このとき、前記可動吸気管5は、前記固定吸気管4とでなす吸気流路の長さが慣性過給作用を発揮できる適切な長さとなるように、連続して移動されるようになっている。
【0029】
前述した構成によれば、前記吸気管装置1は、エンジン回転数が前述した所定値以下の低中速域においては、図4に示すように、前記可動吸気管5と前記吸気供給管9とが互いに接続しているので、サージタンク3内に導かれた吸気は、図示中の矢印Aに沿って前記可動吸気管5、固定吸気管4、第2吸気通路を介してシリンダ内に導かれるとともに、図示中の矢印Bに沿ってレゾネータ管18を介してハウジング内に導かれる。
【0030】
前記矢印Bに沿って、ハウジング6内に導かれた吸気は、前記低中速域の所定のエンジン回転数におけるシリンダの吸気弁の開閉動作によつて、共鳴する。そして、この所定回転数における共鳴によって、吸気が可動吸気管5および固定吸気管4などを介してシリンダ内に過給される所謂共鳴過給作用が生じる。シリンダ内に流入する吸気が過給されるので、エンジンの発生トルクが向上することとなる。また、このとき、ハウジング6内において吸気が共鳴するので、吸気音を低減することとなる。
【0031】
このように、前記可動吸気管5が第1の位置へ変位した際に、ハウジング6が従来から用いられてきたレゾネータ(共鳴器)と同様の役劃を果たすこととなって、所定のエンジン回転数において共鳴過給作用をなすこととなる。
【0032】
そして、エンジン回転数が上昇すると、可動吸気管5が第1の位置から第2の位置に向かって徐々に移動する。そして、図5に示すように吸気は、前記矢印Bに沿つてレゾネータ管18を介してハウジング6内に流入するのにくわえ、図示中の矢印Cに沿って、吸気供給管9と可動吸気管6との間からもハウジング6内に流入する。
【0033】
このとき、可動吸気管5は、固定吸気管4とでなす吸気流路の長さが、シリンダの吸気弁の開閉動作によって吸気が脈動してシリンダ内に過給される所謂慣性過給作用を生じる長さとなるように移動される。シリンダ内に吸気が過給されるので、エンジンの発生するトルクが向上することとなる。
【0034】
本実施形態によれば、可動吸気管5が第1の位置に変位した際に、前述した共鳴過給作用によって吸気がシリンダ内に過給されてエンジンの発生するトルクが向上するため、慣性過給作用のみによって本実施形態と同等のエンジン発生トルクを得ようとする吸気管装置と比較して、前記固定吸気管4と可動吸気管5との長さを短くすることが可能となる。このため、吸気管装置1の軽量化及び小型化を図ることが可能となる。また、可動吸気管6が第1の位置に変位した際の吸気音を低減することも可能となる。
【0035】
なお、前述した実施形態においては前記レゾネータ管18を一つのみ備えた吸気管装置1を図示しているが、ハウジング6が共鳴過給作用をなすエンジン回転数を適切なものとするために、前記レゾネータ管18を複数設けても良い。
【0036】
この場合、より適切なエンジン回転数において共鳴過給作用を得られるとともに、吸気管装置1のレイアウト上一つのみのレゾネータ管18によって所定のエンジン回転数において共鴫過給作用が得られない場合にも、容易に所定の流路断面積を得ることができるので、所望のエンジン回転数における共鳴過給作用を得ることができる。
【0037】
また、本発明の構成は何ら実施形態の構成に限定されるものではなく、例えば、固定吸気管4をシリンダヘッド2側に形成される吸気通路と別体に構成したり、レゾネータ管18をサージタンク3の外壁とハウジング6の外壁とで接続するよう構成したり、可動吸気管5を油圧駆動にしたりしても良く、本発明の主旨を逸脱しない範囲で変更可能であることは言うまでもない。
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、容積部材の小型化を図れ、エンジン出力応答性の悪化を抑制することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す吸気管装置の平面図。
【図2】図1に示されたii−ii線に沿う断面図。
【図3】図2に示されたiii−iii線に沿う断面図。
【図4】同実施形態の吸気管装置の可動吸気管が第1の位置に変位している際の吸気流路を模式的に示す図。
【図5】同実施形態の吸気管装置の可動吸気管が第2の位置に変位している際の吸気流路を模式的に示す図。
【符号の説明】
1…吸気管装置
3…サージタンク(容積部材)
3A…第1室
4…固定吸気管(吸気管)
5…可動吸気管
6…ハウジング(容積部材)
6A…第2室
7…制御装置
8…隔壁
9…吸気供給管(第1の連通部)
16…一端部
19…他端部
18…レゾネータ管(第2の連通部)
50…吸気流入口
60…吸気流出口
Claims (1)
- 吸気が流入する吸気流入口を有する容積部材と、
前記容積部材に接続されかつ内燃機関のシリンダ内へ吸気を導く固定吸気管と、
前記容積部材内に設けられ、前記吸気流入口を含む第1室と、前記固定吸気管が接続され、吸気流出口を含む第2室とに前記容積部材を仕切る隔壁と、
前記隔壁に設けられかつ前記第1室と前記第2室とを連通する第1の連通部と、
一端部が前記第1の連通部に接続される第1の位置及び前記第2室内に開口する第2の位置の間で変位自在に前記容積部材内に設けられ、他端部が前記固定吸気管に接続される可動吸気管と、
前記第1室と前記第2室とを常時連通する第2の連通部と、
前記内燃機関の運転状態に応じて前記可動吸気管の変位位置を制御する制御装置と、
を備え、
前記第2室内面と前記可動吸気管外面とにより形成される閉空間部の容積、及び、前記第2の連通部の流路断面積とは、前記内燃機関の運転状態に応じて前記可動吸気管が前記第1の位置に変位して設けられる際に、前記内燃機関により発生する脈動波と共鳴する周波数を有するように設定されていることを特徴とする吸気管装置。
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