JP4205284B2 - 医療廃棄物の無害化処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、医療廃棄物の無害化処理装置に関し、特に、医療廃棄物を短時間で加熱滅菌する処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、医療機関などにおいて発生する医療廃棄物の無害化処理技術の一つとして加熱溶融方式がある。この加熱溶融方式は、廃棄物を加熱することによりプラスチック製品を溶融させて注射針などの金属部材を安全のために包み込み、さらに滅菌させた後、圧縮固形化してケーキ(塊)として処理するものである。例えば、圧縮機本体内に設けた上下ヒータで該廃棄物を伝導伝熱により加熱溶融させ、さらに圧縮して固形化している。
【0003】
ゴミ等を収容する袋体P内に収容する医療廃棄物Mは、例えば、各種熱可塑性樹脂製の注射筒、点滴用輸液容器、輸液用チューブ、シャーレ、または血液透析用のダイアライザー等のさまざまなプラスチック製品や金属注射針や嵩張る紙製おしめ等を含んでいる。そのため、袋体内の空隙率が高く熱伝導性が低く、温度の上昇率が遅いという欠点がある。
【0004】
マイクロ波照射による加熱方式の場合、保水率の高い物質ほど加熱し易い特徴を有するが、血液や輸液などの水分が含まれていると,マイクロ波が水分に反応して加熱に時間がかかっていた。また、水と反応して発熱するために、滅菌温度は100℃が最高温度と見るのが妥当である。その上、廃棄物中に注射針などの金属部材が混入しているとスパーク現象が生じ、プラスチック製品が発火して火災を発生する可能性があるという問題点を有していた。
【0005】
しかも、マイクロ波照射により医療廃棄物を加熱して滅菌処理する方式の場合、マイクロ波は金属以外の容器はすべて通過するため,この漏洩電流により周辺にあるCRT,パソコン,センサーおよび制御部、IDリーダーなどが誤作動することがある。そのため、装置全体を電磁波シールドで覆って環境に影響を及ぼすのを防止する必要があり、余分な作業が必要となって余計な費用がかかるという欠点を有していた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記の加熱滅菌方式の装置において、加熱源としてヒータやマイクロ波を用いる場合、前者にあっては、廃棄物中の空隙率が高いと上下のヒータによる伝熱加熱によって滅菌温度に達する迄に長い時間がかかり、処理時間が長くかかるという欠点がある。
【0007】
また、後者のマイクロ波を熱源とする場合、廃棄物中に水分を含んでいたりすると加熱に時間がかかって処理時間が長くなり、その上、廃棄物中に金属部材が混入していると、スパークが発生してプラスチック製品などが発火する危険性を有するという問題点を有していた。
【0008】
本発明は、医療廃棄物が嵩張る紙製おしめや点滴チューブや注射針や血液透析用のダイアライザー等さまざまな物を含んでいるため、該廃棄物の材質による制限を受けない熱風を利用し、且つその熱風を袋体内の医療廃棄物中に直接吹き込んで滅菌に必要な所定温度に短時間で到達させて加熱滅菌処理を短時間で行う装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、医療廃棄物を収容した袋体を収容する複数のバケットを所定方向に歩進回転しながら移送するバケットコンベア部と、前記バケットに収容した前記医療廃棄物を加熱滅菌する加熱滅菌部と、前記加熱滅菌部の後位置で、加熱滅菌された該医療廃棄物を圧縮してケーキ状物にする圧縮処理部と、該圧縮処理部から前記ケーキ状物を排出させる排出部とからなる無害化処理装置において、前記バケットコンベア部の走行方向に沿って配した側板の内部に位置する前記バケット内に医療廃棄物を収容した袋体を収容し、該バケットコンベア部の走行路上に配して下部周面に複数の小孔を有した複数の加熱給気管と排気管とを設けると共に、該加熱給気管に熱風吹込装置を設けてなり、該加熱給気管および排気管を油圧シリンダにより押し下げて前記袋体内に刺し込んだ該加熱給気管から熱風を吹き込んで加熱滅菌させることを特徴とする。
【0010】
本発明は,前記熱風吹込装置に連結した複数の加熱給気管および前記加熱空気管の周囲に前記加熱給気管より多数の排気管を夫々下側に設けてなる保持板を、油圧シリンダにより上下動可能に装着してなり、前記保持板に設けたガイド部に案内杆を挿通し、該保持板の下方に位置させて前記加熱給気管および排気管の下部をそれぞれガイドする案内部を有すると共に、前記袋体に押し当てて該袋体の空隙部を吸収除去させる押当板を前記案内杆の下端に取り付け、この保持板と押当板との間に位置する案内杆にスプリングを装着させたことを特徴とする。
【0011】
また本発明は、前記熱風吹込装置に連結した加熱給気管と、該加熱給気管と対をなして上下方向に連動する排気管に連通する排気パイプに、冷却装置と排気ブロワーと脱臭除菌装置を設けてなることを特徴とする。
【0012】
さらに本発明は、前記加熱給気管から吹き出す熱風が、150−180℃であることを特徴とするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明に係る実施の形態を図面に基づいて説明すると、図1に示す医療廃棄物の無害化処理装置1は、医療廃棄物Mを内部に収容した薄い樹脂製の袋体Pをそれぞれ収容する複数のバケット2をX方向に移送するためのバケットコンベア部3と、袋体内の医療廃棄物Mを加熱滅菌するための第1の加熱滅菌部4および第2の加熱滅菌部4aと、加熱滅菌した医療廃棄物Mを圧縮してケーキ状部Cに形成するための圧縮処理部5と、該圧縮処理部5の下方に設置して医療廃棄物から排出される廃液を収集する廃液受部6と、前記圧縮処理部で処理されたケーキ状部Cを油圧シリンダなどからなる送出手段など(図示せず)により無害化処理装置1の外部に排出する排出部7とで構成してある。
【0014】
バケットコンベア部3は、無端帯状のコンベア上にX方向に複数のバケット2、2を一定間隔ごとに連設して形成してあり、各バケット2はそれぞれ断面略コ字形をして、進行方向のX方向と直交ないし垂直な方向の両側にはそれぞれ開口部が形成されている。
【0015】
バケット2の底板部分は、バケットコンベア部3の走行方向の両端部分においてバケット2が上側から下側、あるいは下側から上側へ回動しながらの移動を容易にするため、該バケット2は、断面L字形にした第1の部材と第2の部材に分割して向かい合わせに設ける。両部材がバケットコンベア部3の上側及び下側の部分に位置する状態では、互いに突き合わせて断面略コ字形を形成してある。また、歩進走行するバケットコンベア部3の両端部分に位置する状態では、互いに突き合わせた部分が折り曲げできる構造にしたことにより、バケットコンベア部3は両端部分において回動を容易にしている。
【0016】
図3、4において、一対の平行なフレーム11、11に取り付けた基台12、12に、複数のバケット2を所定の間隔でX方向に連続して取り付けて形成したバケットコンベア部3は、無端帯状に形成してある。このバッケトコンベア部3の回転は、連続回転ではなく、間欠的な回転つまり歩進回転である。また、歩進回転の際にバケットコンベア部3が進む距離は、X方向におけるバケット2の長さ(幅)、つまり隣接するバケット2の間隔と同じ長さである。
【0017】
バケットコンベア部3の両側端に位置させた側板9、9を前記フレーム11,11上にそれぞれX方向に配して設けてあり、各側板9の間を歩進回転するバケット2の両側に設けた開口部は、側板9によって閉鎖された状態となる。なお、バケットコンベア部3の走行方向の手元側に位置する医療廃棄物を収容した袋体Pの投入個所(図示せず)から、両側を前記側板9で閉鎖されているバケット2内に収容され、バケットコンベア部3の歩進回転により前進し、加熱滅菌部4、4aにおいて順次加熱滅菌される。この加熱滅菌部4、4aは、バケットコンベア部3の走行路上に位置して圧縮処理部5の前位置つまり前段に設けてある。
【0018】
図3において、前記フレーム11、11と直交して樹立させた支持体14、14の上部に張り渡して設けた天井枠15上に設置させた油圧プレス16のロッド(図示せず)の下端は、前記バケットコンベア部3上に位置する保持板17に連結してある。該天井枠15の両側に設けた案内筒18に上下動可能に挿通させて対をなす案内杆19は、前記保持板17に設けたガイド筒20に上下動可能に挿通し、該案内杆の下端に押当板21を取り付けてある。この押当板21と保持板17との間の各案内杆19にはスプリング22をそれぞれ装着してある。
【0019】
図5に示すように、保持板17の中央部には、例えば2本の加熱給気管23の上部を取り付けてあり、その周囲の略四隅部に位置させて例えば4本の排気管25の上部を取り付けてある。各管の下端は袋体P内に刺し込めるように略尖端状に形成してあるが、ダイアライザー等のようなプラスチック製品に刺さるほど鋭く形成してはいない。
【0020】
加熱給気管23及び排気管25の下部周壁面には複数の小孔を設けてあり(図4)、下端には小孔を設けてないので、廃棄物中に繰り返し刺し込んでも、該小孔が目詰まりを起こすことは殆どない。この加熱給気管23の上部には、例えばバーナーなどの熱風吹込装置24を装着してあり、該熱風吹込装置24の上部の連結部25に燃料供給ホース(図示せず)等を連結してある。この熱風吹込装置24は、熱風や蒸気などを用いるが、それ以外の公知の熱源でもよい。
【0021】
前記加熱給気管23および排気管25の下部は、それぞれ押当板21に設けた各案内部30内に上下動可能に挿通させてある。さらに加熱給気管23の外周部には、図示しないがヒータなどの加熱手段を取り付け、熱風の吹き込みと同時に加熱させて滅菌処理をより確実に行うようにしてもよいことはもちろんである。
【0022】
図6に示すように、各排気管25の上端に連結した排気パイプ26を介して排気ブロワー27を連結してあり、この排気ブロワ−27は、高温に耐えて脱臭機能及び除菌機能を有したフイルタなどからなる脱臭除菌装置28を連結してある。図中、29は排気パイプの途中に設けた冷却装置であるが,必ずしも冷却装置を設けなくて、外気を取り込んで排気温度を低下させる公知の実質的な冷却手段でもよい事はもちろんである。
【0023】
図1において、加熱滅菌部4、4aに隣接してバケットコンベア部3の走行路に設けた圧縮処理部5は、バケット2内に収容された医療廃棄物Mを圧縮するために、上下方向に移動自在に設けた油圧ピストン5a及びその制御装置5bなどで構成されている。医療廃棄物Mは、加熱滅菌部4、4aにより加熱溶融されるため、プレスで押圧することにより変形して該医療廃棄物の体積を圧縮させて縮小させることができる。
【0024】
排出部7は、バケットコンベア部3の移送方向であるX方向の端部に設け、前記圧縮処理部5でプレスして体積を圧縮して縮小させた医療廃棄物Mをケーキ状部Cに形成し、油圧シリンダなどからなる排出装置(図示せず)によって送り出され、ローラーコンベア等により外部に排出させられる。
【0025】
図2は脱臭除菌装置の配管状態を示し、図6はそのフローチャートを示すもので、第1および第2の加熱滅菌部4,4a内にそれぞれ連通する第1、2の排気パイプ26a、26bと、圧縮処理部5内に連通する第3の排気パイプ26cと、無害化処理装置内に連通して廃液受部6からの悪臭等を吸収する第4の排気パイプ26dとからなる排気パイプ26を排気ブロワー27に連結し、さらに、脱臭及び除菌機能を有するフイルタ等からなる脱臭除菌装置28を連結してある。
【0026】
尚、排気パイプ26に設けた排気ブロワー28の手前側に必要に応じて公知の冷却装置29を設置すれば,排気パイプから吸い込まれた熱風の温度を下げて、高温の熱風が直接脱臭除菌装置28に送り込まれて該装置の性能が短期間に劣化するのを防止するようにしてもよい。しかし,冷却装置29は排気パイプ26を長くしたり、外気を取り入れるようにして略同じような効果が得られるようにすれば必ずしも必要ではない。
【0027】
次に、本実施の形態の作用について説明する。まず、処理すべき医療廃棄物Mをバケットコンベア部3上のバケット2内に投入する。医療廃棄物Mは、例えば、所定の大きさないし容量を有する合成樹脂製の袋体Pに収容された状態でバケット2に投入される。医療廃棄物Mを収容したバケットコンベア部3の歩進回転により断続的にX方向に歩進回転により前進する。そして、第1の加熱滅菌部4および第2の加熱滅菌部4aの位置でそれぞれ加熱されて滅菌処理が行われる。
【0028】
図3は、バケットコンベア部3の歩進回転により前進する手前側に位置した第1の加熱滅菌部4を示すもので、バケットコンベア部3上に位置するバケット2内に収容された医療廃棄物Mを収容した袋体Pの上方に位置させ、且つ、押当板21を上下動可能に下側に装着させた保持板17は、油圧シリンダ16の作用により押し下げられる。
【0029】
油圧シリンダ16で押し下げられた保持板17の下方に位置する押当板21の下面が、バケット2内で且つ両側板9の間に位置する袋体Pの上面に当接する(図4)と、該押当板に設けたセンサー( 図示せず) などにより感知し、ある程度の押下力により袋体P内の空隙は吸収除去される。それ以上に強い力で押当板21を押し下げると袋体Pを破損するので、一定の押下力以上になると,単にスプリングを圧縮させるだけで押当板21の押し下げは停止する。
【0030】
油圧シリンダ16の作動により押し下げられる保持板17に設けた加熱給気管23および排気管25のそれぞれの下部は、袋体Pの内部に刺し込まれて医療廃棄物M中に位置する(図4)。この保持板17の下降位置は適宜センサー(図示せず)により、停止位置まで降下すると停止するように構成してある。この保持板17の停止と略同時に熱風吹込装置24からの熱風が加熱給気管23の下端から袋体P内の医療廃棄物M中に吹き込まれる。
【0031】
熱風発生装置24で発生させる高温熱風は、100ないし200℃,好ましくは150ないし180℃の熱風である。即ち、200℃以上で加熱するとプラスチック製品が発煙して発火する危険があり、また、100℃以下では滅菌温度に不足するので、温度降下率を見込んで150℃ないし180℃ならば、加熱給気管23から出た熱風が排気管24に到達するまで滅菌温度,即ち約100℃以上を維持することができる。
【0032】
第1の加熱滅菌部4で一次的に加熱滅菌された医療廃棄物Mは、バケットコンベア3の歩進回転により先進し、第2の加熱滅菌部4aにおいて、前記と同様に熱風を加熱給気管23から袋体P内の医療廃棄物Mに吹き込んで再度加熱滅菌する。この場合、第1の加熱滅菌部4で加熱滅菌処理された廃棄物は、短時間では常温までは低下しないため、第2の加熱滅菌部4aにおける該医療廃棄物Mは、あたかも予熱されたと同様に温度が高く、加熱給気管23から吹き出された熱風による袋体P内の医療廃棄物の立ち上がり温度は第1の加熱滅菌部の場合よりも一段と早い。そのため、第2の加熱滅菌部4aでは医療廃棄物は短時間で所定の滅菌温度に達して滅菌処理を確実に行う事ができる。この第1及び第2の加熱滅菌部4、4aにおける滅菌処理時間はそれぞれ約10分と短い時間で十分である。
【0033】
加熱給気管23から袋体P内に吹き込まれた熱風は、医療廃棄物Mを少なくとも100℃以上の高温で約10分間加熱して滅菌処理する。ついで、該加熱給気管の周囲に位置する排気管25から該熱風が吸い込まれる。即ち、排気管25に連結した排気パイプ26に設けた排気ブロワー27の吸引力により袋体P内の高温の熱風は吸い込まれ、該排気パイプ26の途中に設けた脱臭機能および除菌機能を有する脱臭除菌装置28を介して無臭のクリーンな風となって室内に排出すものである。
【0034】
この場合、医療廃棄物Mから生じる悪臭と共に,無害化処理装置1の内外および室内の悪臭や浮遊する雑菌を排気と共に吸い込んで脱臭除菌することができるため、室内を無菌でクリーンに保つことができ、作業環境を良好に維持することができる。
【0035】
次に、加熱給気管23および排気管25による袋体P内に収容した医療廃棄物Mの温度変化と時間経過の試験例を図7に基づいて説明すると、1本の加熱給気管23が袋体P内の一側に位置し、1本の排気管25を袋体P内の他側に位置させて150℃の熱風を吹き込んだ場合の温度変化を示す線「1A」は、加熱給気管が袋体内の医療廃棄物M中に位置しており、7分経過しても袋体内の医療廃棄物の温度はほとんど上昇しなかった。また「1a」は加熱給気管がダイアライザーの内部に位置してダイアライザー内の温度変化を示したもので、9分経過すると45℃まで上昇した。
【0036】
図7において、1本の加熱給気管23が袋体P内の一側に位置し、5本の排気管25が袋体P内の他側に適宜間隔を存して位置させて150℃の熱風を吹き込んだ場合には、温度変化を示す線「2A」は、加熱給気管が袋体P内の医療廃棄物M中に位置しており、9分経過すると袋体内の医療廃棄物の温度は約85℃に達した。また、「2a」は加熱給気管がダイアライザーの内部に位置していてダイアライザー内の温度変化を示したもので、9分経過すると約57℃に上昇した。
【0037】
また図7において、1本の加熱給気管23が袋体P内の一側に位置し、5本の排気管25が袋体P内の他側に適宜間隔を存して位置させて200℃の熱風を吹き込んだ場合には、温度変化を示す線「3A」は、加熱給気管が袋体内の医療廃棄物M中に位置しており、10分経過すると袋体内の医療廃棄物の温度は約132℃に達した。また、「3a」は加熱給気管がダイアライザーの内部に位置した場合のダイアライザー内の温度変化を示したもので、10分経過すると約62℃に上昇した。
【0038】
さらに図7において、2本の加熱給気管23が袋体P内の一側に間隔を存して位置し、4本の排気管25が袋体P内の他側に適宜間隔を存して位置させて200℃の熱風を吹き込んだ場合には、温度変化を示す線「4A」は、加熱給気管が袋体内の医療廃棄物M中に位置しており、10分経過すると袋体内の医療廃棄物の温度は約130℃に達した。また、「4a」は加熱給気管がダイアライザーの内部に位置した場合の温度変化を示したもので、10分経過すると約55℃に上昇した。
【0039】
前記した図7に基づいて得た実験値に基づいて、袋体P内の中央部分に2本の加熱給気管23を位置させ、その周囲の四隅部分に4本の排気管25を位置させて、加熱給気管から180℃の熱風を吹き込んだ場合の温度変化と時間経過を図8に基づいて説明する。温度変化を示す線「5c」は、袋体の中心部分の医療廃棄物Mの温度変化を示したもので、10分経過すると約128℃に達した。また、「5d」は袋体上部の温度変化を示したもので、10分経過すると約58℃に達した。
【0040】
さらに図8において、温度変化を示す「6c」は、袋体中心部の医療廃棄物Mの温度は、10分経過すると約100℃に達した。また、「6d」は、袋体下部の温度変化を示したもので、10分経過すると約105℃に達した。
【0041】
以上のことから、2本の加熱給気管23と4本の排気管25の組み合わせが好ましいことが判明した。さらの加熱給気管から吹き出す温度は,温度降下を考慮して100から200℃、好ましくは150から180℃が好ましいことが判明した。
【0042】
この構成例においては、例えば、制御プログラムに基づいて所要の制御を行うコンピュータを用いた制御部(図示せず)を設ける。そして、この制御部によって、バケットコンベア部3のモータ(図示せず)への通電のタイミングおよび時間、加熱滅菌部4、4aにおける熱風発生装置24による熱風の発生および時間、圧縮処理部5おける油圧シリンダなどの動作タイミング並びに排出部7おける排出装置の動作タイミングなどを適切に制御する構成とすればよい。
【0043】
【発明の効果】
本発明は、内部に医療廃棄物を収容した袋体内に対をなす加熱給気管及び排気管を刺し込んで熱風を吹き込んで直接加熱するため、医療廃棄物の材質に関係なく短時間で加熱することができるので短い時間で滅菌処理を行うことができる。その上、同じ加熱滅菌部を別個に隣接して設けてあるので、2回に分けてそれぞれ加熱することにより確実に滅菌処理を行うことができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施の形態における医療廃棄物の無害化処理装置を示した一部破断した正面図である。
【図2】同無害化処理装置の排気工程を示す一部破断した全体の正面図である。
【図3】図1のA−A線方向でパネル板を除去した状態の要部拡大縦断面図である。
【図4】加熱給気管及び排気管を設けた保持板を押し下げて医療廃棄物中に刺し込んで加熱滅菌する状態を示す要部拡大断面図である。
【図5】加熱給気管と排気管との配置状態を示した説明図である。
【図6】加熱滅菌工程および排気工程を示した説明図である。
【図7】医療廃棄物の温度上昇と時間との関係を示した説明図である。
【図8】医療廃棄物の温度上昇と時間との関係を示した他の説明図である。
【符号の説明】
2 バケット
3 バケットコンベア部
4 加熱滅菌部
4a 加熱滅菌部
5 圧縮処理部
7 排出部
17 保持板
23 加熱給気管
24 熱風吹込装置
25 排気管
26 排気パイプ
27 排気ブロワー
28 脱臭除菌装置
M 医療廃棄物
C ケーキ状部
P 袋体
Claims (4)
- 医療廃棄物(M)を収容した袋体(P)を収容する複数のバケット(2)を所定方向に歩進回転しながら移送するバケットコンベア部(3)と、前記バケットに収容した前記医療廃棄物を加熱滅菌する加熱滅菌部(4、4a)と、前記加熱滅菌部の後位置で、加熱滅菌された該医療廃棄物を圧縮してケーキ状物(C)にする圧縮処理部(5)と、該圧縮処理部から前記ケーキ状物を排出させる排出部(7)とからなる無害化処理装置において、
前記バケットコンベア部(3)の走行方向に沿って配した側板(9)の内部に位置する前記バケット(2)内に医療廃棄物を収容した袋体を収容し、該バケットコンベア部の走行路上に配して下部周面に複数の小孔を有した複数の加熱給気管(23)と排気管(25)とを設けると共に、該加熱給気管に熱風吹込装置(24)を設けてなり、該加熱給気管および排気管を油圧シリンダにより押し下げて前記袋体内に刺し込んだ該加熱給気管から熱風を吹き込んで加熱滅菌させることを特徴とする医療廃棄物の無害化処理装置。 - 前記熱風吹込装置に連結した複数の加熱給気管(23)および、前記加熱給気管の周囲に前記加熱給気管より多数の排気管(25)を下部に設けてなる保持板を油圧シリンダ(16)により上下動可能に装着してなり、前記保持板に設けたガイド部(20)に案内杆(19)を挿通し、該保持板の下方に位置させて前記加熱給気管および排気管の下部をそれぞれガイドする案内部(30)を有すると共に、前記袋体に押し当てて該袋体内の空隙部を吸収除去させる押当板(21)を前記案内杆の下端に取り付け、この保持板(21)と押当板(21)との間に位置する案内杆(19)にスプリング(22)を装着させたことを特徴とする請求項1記載の医療廃棄物の無害化処理装置。
- 前記熱風吹込装置に連結した加熱給気管(23)と該加熱給気管と対をなして上下方向に連動する排気管(25)に連通する排気パイプ(26)に、冷却装置(29)と排気ブロワー(27)と脱臭除菌装置(28)を設けてなることを特徴とする請求項1又は2記載の医療廃棄物の無害化処理装置。
- 前記加熱給気管から吹き出す熱風が、150−180℃であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1記載の医療廃棄物の無害化処理装置。
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