JP4204750B2 - 同軸ケーブル用コネクタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は同軸ケーブル用コネクタに関し、特に同軸ケーブルが接続されるプラグ型コネクタと、これと嵌合接続するレセプタクル型コネクタとを含む同軸ケーブル用コネクタに属する。
【0002】
【従来の技術】
同軸ケーブル用コネクタは、通常、同軸ケーブルが接続されるプラグ型コネクタと、一般的にはプリント配線板やキャビネット等に取付けられるレセプタクル型コネクタとを含む。また、中には、両方とも同軸ケーブルが接続される場合もあるが、本願では、この場合も、その形状、構造等から、一方をプラグ型、他方をレセプタクル型と呼ぶことにする。
【0003】
このような同軸ケーブル用コネクタの、従来の第1の例を図3に示す。
この第1の例の同軸ケーブル用コネクタは、同軸ケーブル500xが接続されるプラグ型コネクタ100xと、このプラグ型コネクタ100xと嵌合、接続し、プリント配線板等に取付けられるレセプタクル型コネクタ200xと、を含み、これらの詳細は次のとおりである。
【0004】
まず、プラグ型コネクタ100xは、一方の端に同軸ケーブル500xの中心導体510xがはんだ付け接続され、円筒状ピン型に形成されたプラグ側シグナルコンタクト140xと、このプラグ側シグナルコンタクト140xの周囲を円筒状に囲い、その一方の端側部分で、外部被覆540x上に折り返された同軸ケーブル500xの外部導体530xに圧接するプラグ側グランドコンタクト150xと、プラグ側シグナルコンタクト140xをプラグ側グランドコンタクト150xの中心軸上に保持固定するプラグ側インシュレータ160と、を備えた形状、構造となっている。
【0005】
また、レセプタクル型コネクタ200xは、プラグ側シグナルコンタクトの円筒状内側に挿入されてこれと接続するピン型のレセプタクル側シグナルコンタクト210xと、このレセプタクル側シグナルコンタクト210xの周囲を、このコンタクトを中心軸とする円筒状に囲い、プラグ型コネクタ100xが挿入されて嵌合し、そのプラグ側グランドコンタクト150xと接触接続するレセプタクル側グランドコンタクト220xと、このレセプタクル側グランドコンタクト220xの嵌合端側とは逆の端部分につば状円筒状に形成されたベースハウジング240と、このベースハウジング240内に保持固定されてレセプタクル側シグナルコンタクト210x及びレセプタクル側グランドコンタクト220xを上記位置関係を保つように保持固定するレセプタクル側インシュレータ230xと、一端をレセプタクル側シグナルコンタクト210x及びレセプタクル側グランドコンタクト220xと対応接続してレセプタクル側インシュレータ230xに保持固定され、その底面側から突出する複数本のリード端子250と、を備えた形状、構造となっている。
【0006】
この第1の例では、プラグ型コネクタ100xに同軸ケーブル500xを接続する際、同軸ケーブル500xの端末部分に対し、その外部被覆540xを規定寸法だけ切除してその内側の外部導体530xを外部被覆540x上に折り返し、かつ中心導体510x及び内部被覆520xそれぞれが規定寸法だけむき出しになるように加工処理を行う(端末処理)必要があり、また、レセプタクル型コネクタ200xは、そのレセプタクル側グランドコンタクト220x及びベースハウジング240が切削加工して形成する必要がある。
【0007】
そこで、このような手間がかかり繁雑な作業の、同軸ケーブル500xの端末処理をなくし、かつプラグ型コネクタ100xとの接続作業に、はんだ付けや圧接加工がなく、しかもレセプタクル型コネクタ200xに熟練を要しコスト高となる切削加工が不要となる同軸ケーブル用コネクタとして、図4(a)〜(c)及び図5(a)〜(d)に示すような、第2の例が提案されている(例えば、特開平10−199633号公報参照)。
【0008】
この第2の例の同軸ケーブル用コネクタは、図4(a)〜(c)及び図5(a)〜(d)に示すように、同軸ケーブル500が接続されるプラグ型コネクタ100yと、このプラグ型コネクタ100yと嵌合、接続し、プリント配線板そのものをレセプタクル側インシュレータ230yとするレセプタクル型コネクタ200yと、を含み、これらの詳細は次のとおりである。
【0009】
まず、プラグ型コネクタ100yは、プラグ側シグナルコンタクト140y、プラグ側グランドコンタクト150y、ベースインシュレータ110y、及びカバーインシュレータ120yを含んで成り、これらの詳細について以下、順次説明する。
プラグ側シグナルコンタクト140yは、2股のフォーク状を成してその先端部分に接触接続部141yが設けられたシグナル接続用アーム142yと、このシグナル接続用アーム142yの根本側につながり、その先端側が広がったY字状スリットを含む、中心導体接続部143yと、を備えて1枚の導電性板材(金属板等)で形成されている。
【0010】
また、プラグ側グランドコンタクト150yは、プラグ側シグナルコンタクト140yと同様な形状、構造で、これよりやや長く、かつ幅広に形成され、接触接続部151yを含むグランド接続用アーム152yと、Y字状スリットを含む外部導体接続部153yと、を備えて1枚の導電性板材で形成されている。
【0011】
ベースインシュレータ110yは、シグナルコンタクト収容固定部111y及びグランドコンタクト収容固定部を備えて、これらに、プラグ側シグナルコンタクト140y及びプラグ側グランドコンタクト150yを、その接触接続部141y,151yがレセプタクル型コネクタ200yとの嵌合端側となるように配置し、保持固定する。
【0012】
カバーインシュレータ120yは、中心導体用案内穴121y及び外部導体用案内穴122yを備えてこれらに、端末処理された同軸ケーブル500の、内部被覆520付き中心導体510、及び外部導体530のドレイン線531を導入、保持し、プラグ側シグナルコンタクト140y及びプラグ側グランドコンタクト150yを保持固定済みのベースインシュレータ110yと結合させることにより、同軸ケーブル500の中心導体510がプラグ側シグナルコンタクト140yの中心導体接続部143yに接続し、ドレイン線531がプラグ側グランドコンタクト150yの外部導体接続部153yに接続して、同軸ケーブル500接続状態のプラグ型コネクタ100yを完成させる。
【0013】
次に、レセプタクル型コネクタ200yは、同軸ケーブル500接続対象のプリント配線板を利用しその一部をレセプタクル側インシュレータ230yとし、このレセプタクル側インシュレータ230yに、レセプタクル側シグナルコンタクト210y及びレセプタクル側グランドコンタクト220yを、表面から突出させて保持固定した形状、構造となっていて、前述のプラグ型コネクタ100yを嵌合させることにより、プラグ側シグナルコンタクト140yの、2股フォーク状先端部分の接触接続部141yにレセプタクル側シグナルコンタクト210yが挟持されて接続し、プラグ側グランドコンタクト150yの、2股フォーク状先端部分の接触接続部151yにレセプタクル側グランドコンタクト220yが挟持されて接続する。
【0014】
この第2の例では、同軸ケーブル500の端末処理が、内部被覆520付きの中心導体510、及びドレイン線531が規定寸法だけ露出するように、外部被覆540、及びドレイン線531以外の部分の外部被覆530を切除するだけで済み、また、カバーインシュレータ120yへの取付けも、内部被覆付き中心導体510及びドレイン線531を中心導体用案内穴121y及び外部導体用案内穴122yに挿入するだけで済んで、これらの作業が単純かつ容易になり、しかも、各部がプレス加工やモールド加工等により形成することができて、熟練を要しコスト高となる切削加工が不要となり、コストを低減することができる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の同軸ケーブル用コネクタは、その第2の例では、同軸ケーブル500の端末処理が単純かつ容易な作業で済み、同軸ケーブル500のカバーインシュレータ120yへの取付けも、その中心導体用案内穴121y及び外部導体用案内穴122yに、内部被覆付き中心導体510及びドレイン線531yを挿入するだけの単純、容易な作業で済み、しかも、プラグ型コネクタ100y及びレセプタクル型コネクタ200yの各部が、プレス加工やモールド加工等により形成することができて、熟練を要しコスト高となる切削加工が不要となって、コストを低減することができ、第1の例の欠点を解決することができるが、プラグ側シグナルコンタクト140yとプラグ側グランドコンタクト150yとの間、レセプタクル側シグナルコンタクト210yとレセプタクル側グランドコンタクト220yとの間は、単に、互いに平列に配置されているだけであって、シグナルコンタクト側(140y,210y)をグランドコンタクト側(150y,220y)で有効にシールドすることができず、高速信号の伝達に不向きである、という問題点がある。
【0016】
本発明の目的は、上記従来技術の問題点に鑑みて、同軸ケーブルの端末処理やその取付け、接続が単純、容易な作業で済み、かつ熟練を要してコスト高となる切削加工等をなくしてコストを低減することができるようにした上で、シグナルコンタクト側をグランドコンタクト側で有効にシールドすることができて高速信号の伝達にも適した、同軸ケーブル用コネクタを提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明の同軸ケーブル用コネクタは、同軸ケーブルが接続されるプラグ型コネクタと、このプラグ型コネクタと嵌合、接続するレセプタクル型コネクタと、を有する同軸ケーブル用コネクタであって、前記プラグ型コネクタ及びレセプタクル型コネクタそれぞれが次の各構成を備えて成ることを特徴とする。
「プラグ型コネクタ」
(イ)一方の端部分に接触接続部が設けられて嵌合方向に延びるシグナル接続用アームと、このシグナル接続用アームの他方の端においてその嵌合方向に延びる軸に対し垂直に折り曲げられた部分に設けられ、その先端辺に開口するY字状スリットが形成配置されてこのY字状スリットに前記同軸ケーブルの中心導体が挿入、接続される中心導体接続部と、を含み、導電性板材により形成されたプラグ側シグナルコンタクト
(ロ)前記プラグ側シグナルコンタクトの周囲を四方から囲う面に対し、その四方の面のうちの向き合う二方の面に配置されてそれぞれその一方の端部分に接触接続部が設けられて嵌合方向に延びる2つのグランド接続用アームと、これら2つのグランド接続用アームのうち、一方における他端部においてL字状に、且つ前記プラグ側シグナルコンタクトの中心導体接続部に対し垂直になるように折り曲げられた部分に設けられ、前記プラグ側シグナルコンタクトのY字状スリットと同じ向きに開口するY字状スリットが形成配置されてこのY字状スリットに前記同軸ケーブルの外部導体が挿入接続される外部導体接続部とを含むプラグ側グランドコンタクトであって、前記一方のグランド接続用アームの他端部と前記外部導体接続部とで前記中心導体接続部をL字状に囲むようにして、導電性板材により形成されたプラグ側グランドコンタクト
(ハ)前記プラグ側シグナルコンタクト及びプラグ側グランドコンタクトを、その接触接続部が前記レセプタクル型コネクタとの嵌合端側となるよう、かつ、それぞれのY字状スリットが全て嵌合方向に対し垂直方向の同一側となるように配置、保持固定する第1のプラグ側インシュレータ
(ニ)前記同軸ケーブルの一端側を、その中心導体及び外部導体それぞれを異なる部位に区分け配置して保持し、前記第1のプラグ側インシュレータと結合して前記同軸ケーブルの中心導体を前記プラグ側シグナルコンタクトの中心導体接続部に接続し、前記同軸ケーブルの外部導体を前記プラグ側グランドコンタクトの外部導体接続部に接続する第2のプラグ側インシュレータ
「レセプタクル型コネクタ」
(イ)前記プラグ型コネクタとの嵌合状態のとき、前記プラグ側シグナルコンタクトの接触接続部と加圧接触するレセプタクル側シグナルコンタクト
(ロ)前記レセプタクル側シグナルコンタクトの周囲を四方から囲う面に対し、その四方の面のうちの、嵌合状態にある前記プラグ型コネクタにおけるプラグ側グランドコンタクトの2つのグランド接続用アームそれぞれと交差する二方の面に配置され、前記プラグ側グランドコンタクトと共に前記レセプタクル側シグナルコンタクト及びプラグ側シグナルコンタクトの周囲をその四方から囲い、かつ前記プラグ側グランドコンタクトの2つのグランド接続用アームとの交差部分でその接触接続部と加圧接触する2枚のレセプタクル側グランドコンタクト
(ハ)前記レセプタクル側シグナルコンタクト及びレセプタクル側グランドコンタクトを配置、保持固定するレセプタクル側インシュレータ
【0018】
また、前記プラグ側シグナルコンタクトは、そのシグナル接続用アームがその接触接続部側で2股に分れたフォーク形状を成し、この2股に分れた接触接続部の間に前記レセプタクル側シグナルコンタクトが挿入されてこれを挟み込む構造であり、前記プラグ側グランドコンタクトは、その2つのグランド接続用アームそれぞれがその接触接続部側で2股に分れたフォーク形状を成し、この2股に分れた接触接続部の間に前記レセプタクル側グランドコンタクトが挿入されてこれを挟み込む構造である、構成を有している。
【0019】
また、前記プラグ側グランドコンタクトは、その2つのグランド接続用アームが前記プラグ側シグナルコンタクトを挟む二方の面に配置された形状、構造を成し、前記2枚のレセプタクル側グランドコンタクトは、前記レセプタクル側シグナルコンタクトを挟み、かつ嵌合状態のとき、その一方が、前記プラグ側グランドコンタクトの2つのグランド接続用アームのうちの一方と交差し、その他方が、前記2つのグランド接続用アームのうちの他方と交差するように配置されて、これら交差部分で互いに接続する形状、構造である、構成を有している。
【0020】
更に、前記同軸ケーブル用コネクタに加えて、互いに結合している第1のプラグ側インシュレータ及び第2のプラグ側インシュレータの周囲を覆ってこれら第1,第2のプラグ側インシュレータの結合状態を確保する一方、同軸ケーブルの、前記第2のプラグ側インシュレータからの導出部分を保持する、プラグ側シェルを設けて構成される。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施の形態は、同軸ケーブルが接続されるプラグ型コネクタと、このプラグ型コネクタと嵌合、接続するレセプタクル型コネクタと、を有し、これらプラグ型コネクタ及びレセプタクル型コネクタが、次の各構成を備えている。
「プラグ型コネクタ」
(イ)一方の端部分に接触接続部が設けられて嵌合方向に延びるシグナル接続用アームと、このシグナル接続用アームの他方の端においてその嵌合方向に延びる軸に対し垂直に折り曲げられた部分に設けられ、その先端辺に開口するY字状スリットが形成配置されてこのY字状スリットに上記同軸ケーブルの中心導体が挿入、接続される中心導体接続部と、を含み、導電性板材により形成されたプラグ側シグナルコンタクト
(ロ)上記プラグ側シグナルコンタクトの周囲を四方から囲う面に対し、その四方の面のうちの向き合う二方の面に配置されてそれぞれその一方の端部分に接触接続部が設けられて嵌合方向に延びる2つのグランド接続用アームと、これら2つのグランド接続用アームのうち、一方における他端部においてL字状に、且つ上記プラグ側シグナルコンタクトの中心導体接続部に対し垂直になるように折り曲げられた部分に設けられ、上記プラグ側シグナルコンタクトのY字状スリットと同じ向きに開口するY字状スリットが形成配置されてこのY字状スリットに上記同軸ケーブルの外部導体が挿入接続される外部導体接続部とを含むプラグ側グランドコンタクトであって、上記一方のグランド接続用アームの他端部と上記外部導体接続部とで上記中心導体接続部をL字状に囲むようにして、導電性板材により形成されたプラグ側グランドコンタクト
(ハ)上記プラグ側シグナルコンタクト及びプラグ側グランドコンタクトを、その接触接続部が上記レセプタクル型コネクタとの嵌合端側となるようにして配置、保持固定する第1のプラグ側インシュレータ
(ニ)上記同軸ケーブルの一端側を、その中心導体及び外部導体それぞれを異なる部位に区分け配置して保持し、上記第1のプラグ側インシュレータと結合して上記同軸ケーブルの中心導体を上記プラグ側シグナルコンタクトの中心導体接続部に接続し、上記同軸ケーブルの外部導体を上記プラグ側グランドコンタクトの外部導体接続部に接続する第2のプラグ側インシュレータ
「レセプタクル型コネクタ」
(イ)上記プラグ型コネクタとの嵌合状態のとき、上記プラグ側シグナルコンタクトの接触接続部と加圧接触するレセプタクル側シグナルコンタクト
(ロ)上記レセプタクル側シグナルコンタクトの周囲を四方から囲う面に対し、その四方の面のうちの、嵌合状態にある上記プラグ型コネクタにおけるプラグ側グランドコンタクトの2つのグランド接続用アームそれぞれと交差する二方の面に配置され、上記プラグ側グランドコンタクトと共に上記レセプタクル側シグナルコンタクト及びプラグ側シグナルコンタクトの周囲をその四方から囲い、かつ上記プラグ側グランドコンタクトの2つのグランド接続用アームとの交差部分でその接触接続部と加圧接触する2枚のレセプタクル側グランドコンタクト
(ハ)上記レセプタクル側シグナルコンタクト及びレセプタクル側グランドコンタクトを配置、保持固定するレセプタクル側インシュレータ
【0022】
このような構成、形状、構造とすることにより、同軸ケーブルの端末処理が、内部被覆付きのままの中心導体と外部導体とを分けてこれらを規定寸法だけ露出するように外部被覆を切除する、という単純、容易な作業で済み、また、同軸ケーブルのプラグ側コネクタへの取付け、接続も、その内部被覆付き中心導体及び外部導体を、第2のプラグ側インシュレータの異なる部位に区分け配置して保持し、この第2のプラグ側インシュレータを第1のプラグ側インシュレータに結合させる、という単純、容易な作業で行うことができ、しかも、各部がプレス加工やモールド成形等によって形成することができて、熟練を要しコスト高となる切削加工不要となって、コストを低減することができるようにした上で、シグナルコンタクト側がグランドコンタクト側で四方からほぼ全周、囲われるようになるので、グランドコンタクト側によるシグナルコンタクト側へのシールド作用が効果的に得られて、高速信号を良好に伝達することができる。
【0023】
【実施例】
次に、本発明の実施例について図面を参照して説明する。
図1(a)〜(c)は本発明の一実施例を示す、嵌合前の全体の斜視図、並びに嵌合状態のシグナルコンタクト及びグランドコンタクト部分の、同軸ケーブル接続前後の斜視図、図2はそのプラグ型コネクタの分解斜視図である。
この実施例は、同軸ケーブル500が接続されるプラグ型コネクタ100と、このプラグ型コネクタ100と嵌合、接続するレセプタクル型コネクタ200とを有し、その詳細は次のとおりである。
【0024】
まず、プラグ型コネクタ100は、プラグ側シグナルコンタクト140と、プラグ側グランドコンタクト150と、第1のプラグ側インシュレータであるベースインシュレータ110と、第2のプラグ側インシュレータであるカバーインシュレータ120と、プラグシェル130と、を含んで成り、これらの詳細について順次説明する。
【0025】
プラグ側シグナルコンタクト140は、2股のフォーク状を成してその先端部分に接触接続部141が設けられたシグナル接続用アーム142と、このシグナル接続用アーム142の根本側につながり、その先端側が広がったY字状スリットを含む、中心導体接続部143と、を備えて1枚の導電性材料(金属板等)で形成されている。
【0026】
プラグ側グランドコンタクト150は、プラグ側シグナルコンタクト140を挟むようにその前側及び後側を囲うように配置されて前側、後側それぞれが2股のフォーク状を成し、それぞれの先端部分に接触接続部151a,151bが設けられたグランド接続用アーム152a,152bと、これらグランド接続用アーム152a,152bの根本側につながり、その先端側が広がったY字状スリットを含む、外部導体接続部153と、を備えプラグ側グランドコンタクト150の幅広面と外部導体接続部153はプラグ側シグナルコンタクト140の中心導体接続部をL字形に囲むような形で、1枚の導電性板材(金属板等)で形成されている。
【0027】
ベースインシュレータ110は、シグナルコンタクト収容固定部111及び2分割されたグランドコンタクト収容固定部112を備えてこれらに、プラグ側シグナルコンタクト140のシグナル接続用アーム142及びプラグ側グランドコンタクト150のグランド接続用アーム152a,152bを押し込み、これらプラグ側シグナルコンタクト140及びプラグ側グランドコンタクト150を、その接触接続部141,151a,151bがレセプタクル型コネクタ200との嵌合端側となるように、かつ中心導体接続部143及び外部導体接続部153のY字状スリットの先がカバーインシュレータ120との結合側となるように配置、保持固定する。
【0028】
カバーインシュレータ120は、図示省略されている(向う側の面のため)中心導体保持部及び外部導体保持部を備えてこれらに、同軸ケーブル500の内部被覆520付き中心導体510及び外部導体530のドレイン線531を収容、保持し、プラグ側シグナルコンタクト140及びプラグ側グランドコンタクト150が収容、保持固定されているベースインシュレータ110に押し込んでこれと結合し、中心導体510をプラグ側シグナルコンタクト140の中心導体接続部143に接続し、ドレイン線531をプラグ側グランドコンタクト150の外部導体接続部153に接続する。
【0029】
そしてプラグシェル130は、互いに結合しているベースインシュレータ110及びカバーインシュレータ120の周囲を覆ってこれらの結合状態を確保する一方、同軸ケーブル500の、カバーインシュレータ120からの導出部分を保持してこれを補強する。
【0030】
次に、レセプタクル型コネクタ200は、レセプタクル側シグナルコンタクト210、レセプタクル側グランドコンタクト220、及びレセプタクル側インシュレータ230を含んで成り、これらの詳細は次のとおりである。
レセプタクル側シグナルコンタクト210は、プラグ側シグナルコンタクト140の、2股フォーク状先端部分の接触接続部141の間に挿入されて挟み込まれ、これと加圧接触接続する。
【0031】
レセプタクル側グランドコンタクト220は、レセプタクル側シグナルコンタクト210を挟むように、その周囲の右側及び左側に配置され、かつ、プラグ型コネクタ100との嵌合状態のとき、プラグ側グランドコンタクト150と共に、レセプタクル側シグナルコンタクト210及びプラグ側シグナルコンタクト140の周囲をその四方からほぼ全周囲うように配置されて、プラグ側グランドコンタクト150の、2股フォーク状先端部分の接触接続部151a,151bそれぞれの間に挿入されて挟み込まれ、これらと加圧接触接続する。
【0032】
そしてレセプタクル側インシュレータ230は、レセプタクル側シグナルコンタクト210及びレセプタクル側グランドコンタクト220を、上述のように配置、保持固定する。
【0033】
この実施例において、プラグ側シグナルコンタクト140及びプラグ側グランドコンタクト150は、レセプタクル側シグナルコンタクト210及びレセプタクル側グランドコンタクト220の挿入、接続方向に対し、カバーインシュレータ120結合による同軸ケーブル500の押し込み接続方向が90°異なるので、そのシグナル接続用アーム142に対し中心導体接続部143、及びグランド接続用アーム152a,152bに対し外部導体接続部153が90°折り曲げられた形状となっている。
【0034】
また、中心導体接続部143、及び外部導体接続部153は、それぞれがY字状スリットを備えており、カバーインシュレータ120により押し込まれた、内部被覆520付きの中心導体510は、そのY字状スリットの入口で内部被覆520が突き破られてその奥まで導かれ、中心導体接続部143と接続し、ドレイン線531もY字状スリットに導かれて外部導体接続部153と接続する。
【0035】
この実施例において、同軸ケーブル500の取付け、接続は、その端末処理が、中心導体510を、内部被覆520付きのまま規定寸法だけ露出させ、また、外部導体530にドレイン線531が含まれる場合にはドレイン線531のみ規定寸法だけ露出するように外部被覆540、及び外部導体530のうち、ドレイン線531以外の部分を切除するだけで済み、そして、この端末処理した同軸ケーブル500の内部被覆520付き中心導体510及びドレイン線531を、カバーインシュレータ120の中心導体保持部及び外部導体保持部に別々に収容保持してこのカバーインシュレータ120を、プラグ側シグナルコンタクト140及びプラグ側グランドコンタクト150が保持固定されたベースインシュレータ110に押し込み、結合する、という単純、かつ容易な作業で行うことができる。
【0036】
また、プラグ側シグナルコンタクト140、プラグ側グランドコンタクト150、レセプタクル側シグナルコンタクト210、及びレセプタクル側グランドコンタクト220は、プレス加工等により容易に形成することができて、熟練を要しコスト高となる切削加工が不要となり、ベースインシュレータ110、カバーインシュレータ120、及びレセプタクル側インシュレータ230は、モールド成形等により容易に形成することができ、しかも、各コンタクトは、圧入等により容易にインシュレータに組込むことができるので、部品コスト及び組立てコストを含む製品コストを安くすることができる。
【0037】
そして、その構造が、シグナルコンタクトの周囲四方を取り巻くようにグランドコンタクトで囲われるので、シグナルコンタクトに対するシールド作用を効果的に得ることができ、高速信号を良好に伝達することができる。
【0038】
この実施例において、プラグ側グランドコンタクト150は、外部導体接続部153の部分が後側のグランド接続用アーム152bに対して内側に、90°に折り曲げられ、更に前側のグランド接続用アーム152aの部分が外部導体接続部153に対して外側に、90°折り曲げられた形状となっているが、前側のグランド接続用アーム152aを、外部導体接続部153に対し内側に90°折り曲げるようにしてもよい。また、プラグ側の2つのグランド接続用アーム(152a,152b)を、L字状に配置し、これらと相対向する位置に、レセプタクル側の2枚のグランドコンタクト(220)をL字状に配置して、これらにより、プラグ側及びレセプタクル側のシグナルコンタクトの周囲を囲うようにしてもよい。
【0039】
また、この実施例において、レセプタクル型コネクタ200は、このコネクタ専用のレセプタクル側インシュレータ230を備えた構造となっているが、レセプタクル側インシュレータとして、例えばプリント配線板の一部を利用するようにしてもよい。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように本発明は、プラグ側シグナルコンタクトを導電性板材により形成し、プラグ側グランドコンタクトを、導電性板材を折り曲げて、プラグ側シグナルコンタクトの周り四方のうち二方を囲うように形成し、レセプタクル側グランドコンタクトを、レセプタクル側シグナルコンタクトの周り四方のうちの他の二方を囲うように配置して、プラグ・レセプタクル嵌合時、プラグ側シグナルコンタクト及びレセプタクル側シグナルコンタクトの周り四方のほぼ全周を、プラグ側グランドコンタクト及びレセプタクル側グランドコンタクトにより囲う形状、構造とし、更に、プラグ側グランドコンタクトの一方と外部導体接続部とでプラグの中心導体接続部をL字状に囲む構造とし、同軸ケーブルの端末の中心導体部分及び外部導体部分をカバーインシュレータに保持してこのカバーインシュレータを、プラグ側シグナルコンタクト及びプラグ側グランドコンタクトが保持固定されたベースインシュレータと結合させることにより、中心導体をプラグ側シグナルコンタクトに接続し、外部導体をプラグ側グランドコンタクトに接続する構造とすることにより、同軸ケーブルの端末処理やその取付け、接続が単純かつ容易な作業で行うことができ、かつ、各部が、熟練を要してコスト高となる切削加工等を必要としない、プレス加工、モールド成形等により形成することができて、製品全体のコストを低減することができ、しかも、シグナルコンタクト側の周り四方のほぼ全周をグランドコンタクト側で有効にシールドすることができて高速信号を良好に伝達することができるという効果がある。
また、プラグの中心導体接続部をグランドコンタクトと外部導体接続部とでL字形に囲むようにしたのでインピーダンマッチングがとり易いという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す、嵌合前の全体の斜視図、並びに嵌合状態の、シグナルコンタクト及びグランドコンタクトの部分の、同軸ケーブル接続前後の斜視図である。
【図2】図1に示された実施例の、プラグ型コネクタの分解斜視図である。
【図3】従来の同軸ケーブル用コネクタの第1の例の嵌合前の斜視図である。
【図4】従来の同軸ケーブル用コネクタの第2の例の、プラグ型コネクタの分解斜視図、及びその2分割された側面図である。
【図5】従来の同軸ケーブル用コネクタの第2の例の、嵌合前後の、各方向から見た側面図及び断面図である。
【符号の説明】
100,100x,100y プラグ型コネクタ
110,110y ベースインシュレータ
111,111y シグナルコンタクト収容固定部
112,112y グランドコンタクト収容固定部
120,120y カバーインシュレータ
121y 中心導体用案内穴
122y 外部導体用案内穴
130 プラグシェル
140,140x,140y プラグ側シグナルコンタクト
141,141y 接触接続部
142,142y シグナル接続用アーム
143,143y 中心導体接続部
150,150x,150y プラグ側グランドコンタクト
151,151y 接触接続部
152a,152b,152y グランド接続用アーム
153,153y 外部導体接続部
160 プラグ側インシュレータ
200,200x,200y レセプタクル型コネクタ
210,210x,210y レセプタクル側シグナルコンタクト
220,220x,220y レセプタクル側グランドコンタクト
230,230x,230y レセプタクル側インシュレータ
240 ベースハウジング
250 リード端子
500,500x 同軸ケーブル
510,510x 中心導体
520,520x 内部被覆
530,530x 外部導体
531 ドレイン線
540,540x 外部被覆
Claims (5)
- 同軸ケーブルが接続されるプラグ型コネクタと、このプラグ型コネクタと嵌合、接続するレセプタクル型コネクタと、を有する同軸ケーブル用コネクタであって、前記プラグ型コネクタ及びレセプタクル型コネクタそれぞれが次の各構成を備えて成ることを特徴とする同軸ケーブル用コネクタ。
「プラグ型コネクタ」
(イ)一方の端部分に接触接続部が設けられて嵌合方向に延びるシグナル接続用アームと、このシグナル接続用アームの他方の端においてその嵌合方向に延びる軸に対し垂直に折り曲げられた部分に設けられ、その先端辺に開口するY字状スリットが形成配置されてこのY字状スリットに前記同軸ケーブルの中心導体が挿入、接続される中心導体接続部と、を含み、導電性板材により形成されたプラグ側シグナルコンタクト
(ロ)前記プラグ側シグナルコンタクトの周囲を四方から囲う面に対し、その四方の面のうちの向き合う二方の面に配置されてそれぞれその一方の端部分に接触接続部が設けられて嵌合方向に延びる2つのグランド接続用アームと、これら2つのグランド接続用アームのうち、一方における他端部においてL字状に、且つ前記プラグ側シグナルコンタクトの中心導体接続部に対し垂直になるように折り曲げられた部分に設けられ、前記プラグ側シグナルコンタクトのY字状スリットと同じ向きに開口するY字状スリットが形成配置されてこのY字状スリットに前記同軸ケーブルの外部導体が挿入接続される外部導体接続部とを含むプラグ側グランドコンタクトであって、前記一方のグランド接続用アームの他端部と前記外部導体接続部とで前記中心導体接続部をL字状に囲むようにして、導電性板材により形成されたプラグ側グランドコンタクト
(ハ)前記プラグ側シグナルコンタクト及びプラグ側グランドコンタクトを、その接触接続部が前記レセプタクル型コネクタとの嵌合端側となるようにして配置、保持固定する第1のプラグ側インシュレータ
(ニ)前記同軸ケーブルの一端側を、その中心導体及び外部導体それぞれを異なる部位に区分け配置して保持し、前記第1のプラグ側インシュレータと結合して前記同軸ケーブルの中心導体を前記プラグ側シグナルコンタクトの中心導体接続部に接続し、前記同軸ケーブルの外部導体を前記プラグ側グランドコンタクトの外部導体接続部に接続する第2のプラグ側インシュレータ
「レセプタクル型コネクタ」
(イ)前記プラグ型コネクタとの嵌合状態のとき、前記プラグ側シグナルコンタクトの接触接続部と加圧接触するレセプタクル側シグナルコンタクト
(ロ)前記レセプタクル側シグナルコンタクトの周囲を四方から囲う面に対し、その四方の面のうちの、嵌合状態にある前記プラグ型コネクタにおけるプラグ側グランドコンタクトの2つのグランド接続用アームそれぞれと交差する二方の面に配置され、前記プラグ側グランドコンタクトと共に前記レセプタクル側シグナルコンタクト及びプラグ側シグナルコンタクトの周囲をその四方から囲い、かつ前記プラグ側グランドコンタクトの2つのグランド接続用アームとの交差部分でその接触接続部と加圧接触する2枚のレセプタクル側グランドコンタクト
(ハ)前記レセプタクル側シグナルコンタクト及びレセプタクル側グランドコンタクトを配置、保持固定するレセプタクル側インシュレータ - 前記プラグ側シグナルコンタクトは、そのシグナル接続用アームがその接触接続部側で2股に分れたフォーク形状を成し、この2股に分れた接触接続部の間に前記レセプタクル側シグナルコンタクトが挿入されてこれを挟み込む構造である、請求項1記載の同軸ケーブル用コネクタ。
- 前記プラグ側グランドコンタクトは、その2つのグランド接続用アームそれぞれがその接触接続部側で2股に分れたフォーク形状を成し、この2股に分れた接触接続部の間に前記レセプタクル側グランドコンタクトが挿入されてこれを挟み込む構造である、請求項1記載の同軸ケーブル用コネクタ。
- 前記プラグ側グランドコンタクトは、その2つのグランド接続用アームが前記プラグ側シグナルコンタクトを挟む二方の面に配置された形状、構造を成し、前記2枚のレセプタクル側グランドコンタクトは、前記レセプタクル側シグナルコンタクトを挟み、かつ嵌合状態のとき、その一方が、前記プラグ側グランドコンタクトの2つのグランド接続用アームのうちの一方と交差し、その他方が、前記2つのグランド接続用アームのうちの他方と交差するように配置されて、これら交差部分で互いに接続する形状、構造である、請求項1記載の同軸ケーブル用コネクタ。
- 請求項1に記載の同軸ケーブル用コネクタに加えて、互いに結合している第1のプラグ側インシュレータ及び第2のプラグ側インシュレータの周囲を覆ってこれら第1,第2のプラグ側インシュレータの結合状態を確保する一方、同軸ケーブルの、前記第2のプラグ側インシュレータからの導出部分を保持する、プラグ側シェルを設けて成る同軸ケーブル用コネクタ。
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