JP4204025B2 - セラミックハニカム押出成形用口金の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、排気ガス浄化用の触媒担体あるいはフィルター及び熱交換体等に用いられるセラミックハニカム構造体を製造するために用いられるセラミックハニカム押出成形用口金の製造方法に関し、詳しくは寸法精度が良好で、且つ耐久性に優れ、特には薄肉のセラミックハニカム構造体の製造に適したハニカム成形用口金の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、セラミックハニカムの押出成形に用いる口金としては、特公昭55−41908号公報あるいは特公昭57−61592号公報に、一方の面にセラッミック坏土供給孔が開口し、他方の面にはセラミックハニカム構造体の断面形状に対応する成形溝が開口し、該供給孔と成形溝の交差部を備えた押出成形用口金が開示されている。口金の概略形状を図1乃至図3に示す。
【0003】
また、化学蒸着法(CVD法)によって口金の成形溝、供給孔の内面に炭化チタン、炭窒化チタン、窒化チタン等の炭化物、窒化物、炭窒化物等の耐摩耗材をコーティングした口金及びその製造方法が、特開昭60−145804号公報に開示され、更に、特公平5−71663号公報には、口金の実用寿命を延ばすため、低炭素析出硬化性鋼からなる口金部材の押出通路内壁表面に、耐摩耗性チタン化合物を化学蒸着法により形成する技術が開示されており、その化学蒸着処理は650〜950℃の温度範囲において行うことが好ましいとされている。
【0004】
また、化学蒸着法の製造条件を調整することにより、密着性に優れた耐摩耗材を得る方法や処理時間を短縮する方法が特公平8−29537号公報、第2585470号公報、第2505318号公報に開示されている。即ち、特公平8−29537号公報には、口金部材の成形溝およびセラミック坏土供給孔表面に耐摩耗材を化学蒸着法で形成する際の反応性ガスの流れる方向を規定した技術が開示されており、析出硬化性ステンレス鋼からなる口金部材にチタン化合物からなる耐摩耗コーティング層を形成する際の処理温度は680〜900℃が好ましいとされている。さらに、第2585470号公報には、口金部材にガスエッチングを施した後、直ちにCVDコーティングする技術が開示されている。
【0005】
一方、特開平10―309713号公報には、スリット幅が45〜120μmの口金を得るため、口金部材表面に無電解ニッケルメッキ層からなる第1のコーティング層の表面に、TiCNまたはW2CのCVDコーティング層からなる第2のコーティング層を設けた口金及びその製造方法が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のセラミックハニカム成形用口金及び製造方法においては次の問題が有る。すなわち、ハニカム構造体を押出成形するための口金の成形溝幅は例えば0.15mm〜0.2mm、その深さは溝幅の10倍以上の長さの溝とすることが必要とされている。また近年のセラミックハニカム構造体への薄肉化要求に応えるため、ハニカム押出成形用口金の成形溝は更に狭くなり、その溝幅を0.15mm以下、その深さも溝幅の10倍以上の長さを有する溝とすることが必要となっている。ここで成形溝の溝幅は口金各所で一定の幅を有する必要がある。溝幅のばらつきがあると、押し出される坏土は成形溝によって流れ抵抗が異なり、押出方向に垂直な方向に均一な面をもつハニカム構造体を押し出すことができず、第4図に示すように押出成形体の先頭形状は不均一になる。このような押出による成形体は、成形時に割れあるいは極端な変形が発生しない場合でも、乾燥および焼成することにより、成形体の内部残留応力のため必要な寸法精度が得られなかったり、ハニカム構造体のセル壁が残留応力のため、変形したり切断されてしまう等の問題点があった。特にこの現象は成形溝幅が0.15mm以下になると顕著に現れる。
【0007】
特公平5−71663号公報記載の技術では、化学蒸着処理を650〜950℃の温度範囲で行うので、析出硬化性鋼からなる口金部材が化学蒸着処理時の加熱により軟化したり、成形溝を各種加工法で形成する際に生じた残留応力が化学蒸着処理時の加熱により解放されるため、成形溝幅が処理前後で変化するという問題が発生した。成形溝の加工は、砥石加工、放電加工、電気化学加工(ECM加工)等の方法が公知の技術として採用されており、加工精度を改善するための努力が続けられているが、化学蒸着法により耐摩耗性材を形成する処理を行うことにより、成形溝幅が変化してしまい、加工精度を改善するという努力が無駄になる場合もあった。
【0008】
特許第2585470号公報記載の技術では、その実施例で、ステンレス鋼からなる口金部材に炭窒化チタンのコーティング膜を温度770℃、10時間という条件で形成しているが、前述の公知例と同様に、770℃、10時間という条件で口金部材が加熱されるため軟化したり、成形溝を各種加工法で形成する際に生じた残留応力が化学蒸着処理時の加熱により解放されることにより、成形溝幅が処理前後で変化するという問題が発生した。
【0009】
特公平8−29537号公報記載の技術では、その実施例で800℃、10時間という条件でコーティングが行われている。従って、前述の公知例と同様に、680〜900℃という条件で口金部材が加熱されるため、成形溝幅が処理前後で変化するという問題が発生した。
【0010】
また特開平10―309713号公報記載の技術では、その実施例で口金部材はステンレスが使用されているが、化学蒸着処理の温度についての詳細は明らかにされていないものの、前述の公知例からその処理温度は当然650〜950℃になる。このため、前述の例と同様にステンレスの口金部材の成形溝幅が化学蒸着処理前後で変化するのは言うまでもなく、更に、無電解ニッケル層とCVDコーティング層の間で処理中に拡散が生じ、脆い金属間化合物が生成され、コーティング膜の密着力が低下し、ハニカム構造体の成形に使用した場合、耐摩耗材の膜が早期に剥がれると言う問題の発生した。
【0011】
以上のように、ハニカム構造体の押出成形に使用される口金部材は、成形溝およびセラミック坏土供給孔内面に化学蒸着法により耐摩耗層を形成することにより、耐摩耗性が改善され、寿命が延びるという大きな効果が得られるものの、化学蒸着処理時に口金部材の温度が650〜950℃という高温にさらされねばならないため、口金部材の寸法精度、とりわけ成形溝幅精度が化学蒸着処理前後で変動し、ひいてはハニカム構造体の製造歩留まりが悪くなるという問題を発生させる場合があった。特にこの現象は成形溝幅が150μm以下の狭い溝幅の場合顕著に現れる傾向があった。
【0012】
本発明は、上記従来技術に存在する問題点を解決し、寿命が長く、かつ寸法精度並びに外観の良好なハニカム成形体を連続的に製造できるセラミックハニカム押出成形用口金の製造方法を提供することを目的とする。特に薄壁を有するセラミックハニカム構造体の製造に適した寿命の長いハニカム押出成形用口金の製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するためになされた本発明は、セラミックハニカム押出用口金の成形溝とこの成形溝へ連通するセラミック坏土供給孔を有する口金部材が質量%で、C;0.25〜0.45%、Si;≦1.20%、Mn;≦1.20%、Ni;≦1.0%、Cr;11〜15%、Mo;≦1.0%を含有する焼入硬化型マルテンサイト系ステンレス鋼からなり前記口金部材の前記成形溝を砥石による研削加工で形成し、少なくとも前記成形溝の表面に無電解メッキ層を形成し、該無電解メッキ層の表面に前記耐摩耗材を300℃乃至600℃の温度範囲で付着させることを特徴とするものである。本発明は、成形溝を砥石による研削加工で形成し、該成形溝表面上の無電解メッキ層表面へ耐摩耗性材を化学蒸着法により形成する際の温度範囲を300℃乃至600℃に限定することにより、口金部材に対する耐摩耗材の密着力が強く、かつ成形溝幅が口金各所で均一な、セラミックハニカム押出用口金を提供するものである。
【0014】
ここで、口金部材の前記成形溝を砥石による研削加工で形成したのは、従来の公知例によれば、成形溝の加工は、研削加工、放電加工、電気化学加工(ECM加工)等の方法が公知の技術として採用されているが、中でも砥石による研削加工で加工を行った場合、耐摩耗性材の密着力が優れているからであり、例えば、放電加工や電気化学加工で加工を行った場合、口金部材と無電解メッキ層の間で剥離が生じるからである。
【0015】
また、口金部材の少なくとも前記成形溝の表面と耐摩耗材の間に無電解メッキ層を形成したのは、鋼からなる口金部材と耐摩耗材との間に中間層として無電解メッキ層を形成することにより、耐摩耗材の密着力が更に向上し、信頼性が増すからである。無電解メッキ層は、ニッケルメッキ層の場合更に好ましい。
【0016】
そして、化学蒸着の処理温度を300℃乃至600℃としたのは、300℃未満の温度で耐摩耗材を化学蒸着法により付着させた場合は、口金部材と耐摩耗材間の密着力が、不足するため、ハニカムの押出成形に使用した際に、耐摩耗材が口金部材から剥離するという問題が発生し、必要な壁厚を有するハニカム成形体が得られなかったり、口金部材の寿命が短くなるからである。一方、600℃を超えると、口金部材が化学蒸着処理時の加熱により軟化したり、成形溝を各種加工法で形成する際に生じた残留応力が化学蒸着処理時の加熱により解放されるため、成形溝幅が処理前後で変化することから、品質の安定したハニカム成形体が連続的に得られないからである。
【0017】
一方、口金部材は質量%で、C;0.25〜0.45%、Si;≦1.20%、Mn;≦1.20%、Ni;≦1.0%、Cr;11〜15%、Mo;≦1.0%を含有する焼入硬化型マルテンサイト系ステンレス鋼であることが望ましい。これは、焼き入れ硬化型マルテンサイト系ステンレス鋼が従来技術の低炭素析出硬化型ステンレス鋼よりも加工硬化性が小で、またTa等の被切削性を低下させる元素を実質的に含有せず、被削性が良好となることから、成形溝を砥石による研削加工で形成した場合に、成形溝のような微細深溝加工が容易となり、製造コストを低減できるからである。また、焼入硬化型マルテンサイト系ステンレス鋼は、その表面に無電解メッキ層、更に化学蒸着法による耐摩耗性層を形成した2層構造のコーティング膜との密着性が良好であると共に、強度が優れ、特に化学蒸着温度が300乃至600℃の場合、この優れた強度が低下せず維持されるからである。一方、化学蒸着温度が600℃を超える場合は、マルテンサイト系ステンレス鋼の持つ強度が低下し、ハニカム押出成形に必要な口金部材強度を得られない場合がある。また、マルテンサイト系ステンレス鋼は耐食性が良好であることから、耐摩耗性材が減耗した際の再生処理を行う目的で、酸等を使用して減耗した耐摩耗性材を除去する際に有効である。以上のことから、耐久性に優れた極めて長寿命の口金部材を低価格で提供することが可能となったのである。
【0018】
ここで、Cを0.25〜0.45質量%の範囲に限定するのは、Cが0.25質量%に満たないと、十分な硬さが得られず、一方Cが0.45質量%を越えると、靱性、耐食性、被削性で不利となるためである。
Siを≦1.20質量%の範囲に限定するのは、耐食、耐酸化性の点でこれを越える量の含有は必要なく、被削性を低下させるためである。
Mnを≦1.20質量%の範囲に限定するのは、Mnは焼入性を大にし、硬化させるために添加するが、1.20質量%を越える含有は必要なく、かえって被削性の低下を招くためである。
Niを≦1.0質量%に限定するのは、Mnと同様、焼入性の点より、これを越える量の含有がなくても、焼入硬化が可能となり、また多量の添加では、被削性を低下させるためである。
Crを11〜15質量%の範囲に限定するのは、十分な焼入硬化性を与え、且つ耐食性を与えるためである。11質量%未満であると耐食性が低下し、15質量%を越えると、被削性の低下を招くからである。
Moを≦1.0質量%に限定するのは、1.0質量%以下の添加で焼入硬化性を大幅に改善し、かつ高度の耐食性を与えるためである。1.0質量%を越えると被削性の低下を招くからである。
なお、特殊な耐食性等を考慮してCoやCuを添加することは使用条件等を考慮して採用される
【0019】
さらに、耐摩耗材はタングステンカーバイドが望ましい。これは化学蒸着法により形成できる各種耐摩耗材を検討した結果、タングステンカーバイドが比較的低温で形成でき、かつ無電解メッキ層が表面に施された口金部材との間の密着力が良好だからである。
【0020】
そして、ハニカム押出成形用口金の耐摩耗材を付着させた後の成形溝幅が0.15mm以下である場合に、前記手段の効果がより一層顕著に現れる。即ち、化学蒸着前後で成形溝の幅が変動するのは、口金部材が化学蒸着処理時の加熱により軟化したり、成形溝を各種加工法で形成する際に生じた残留応力が化学蒸着処理時の加熱により解放されるため、成形溝を形成する口金部材に僅かに変形が発生するためで、溝幅が狭いほど化学蒸着前の溝幅に対する変動率が大きくなることから、品質の安定したハニカム成形体が連続的に得られない場合が多くなるからである。
【0021】
本発明のセラミックハニカム押出成形用口金の製造方法によれば、成形溝表面に耐摩耗性材料が化学蒸着法により形成されているにもかかわらず、成形溝の加工を砥石による研削加工で形成し、且つ耐摩耗性材料を300℃乃至600℃の温度範囲で形成させていることから、口金部材に対する耐摩耗材の密着力が強く、かつ成形溝幅が口金各所で均一な、セラミックハニカム押出用口金を得ることができる。このため、寸法精度の良好なハニカム成形体を連続的に製造することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実際の実施例を説明する。
(実施例1)
ロックウェルCスケール硬度38に調質したステンレス鋼(C;0.40%、Si;0.35%、Mn;0.6%、Ni;0.6%、Cr;13.5%、Mo;0.4%、Fe;残部)から、幅130mm、長さ180mm、厚さ20mmの部材を切り出し、この部材に直径1.6mmのドリルを用いて、図1に示すように深さ15mmの坏土供給孔2を1.35mm間隔で形成した。ついで、この孔加工した面と反対側の面に、図2に示す様に溝幅0.18mm、深さ5mmの成形溝3をCBN砥石による研削加工により1.35mm間隔で形成した。図3に口金部材の断面図を示すとおり成形溝の交点に対し、1箇所おきの位置に坏土供給孔が位置する。
【0023】
次に加工済みの部材に無電解Niメッキを膜厚20μmの厚さで付着させた。更に部材を公知のCVDコーティング装置内にセットし、450℃の温度で、水素ガス、六弗化タングステンガス、ベンゼンガスを流し、口金部材の成形溝、坏土供給孔内面に厚さ10μmのタングステンカーバイドのコーティング膜を形成した。これらの無電解Niメッキ膜及びタングステンカーバイド膜の形成により、研削加工後0.18mmであった成形溝の幅は0.12mmとなった。(0.18mm−2×0.02mm−2×0.01mm=0.12mm)上記のようにして形成した口金を用いて、コージェライト組成からなるハニカム構造体を押し出し成形したところ、成形体は押出方向に沿ってまっすぐに押し出された。更に、乾燥、焼成を経て、壁厚が0.11mmで一定かつ割れや変形のない健全なハニカム体を連続的に得ることができた。
【0024】
(実施例2)
ロックウェルCスケール硬度35に調質した焼入硬化型マルテンサイト系ステンレス鋼(C;0.37%、Si;0.40%、Mn;0.4%、Ni;0.6%、Cr;12.5%、Mo;0.2%、Fe;残部)から、実施例1と同様の方法により、直径0.68mm、深さ12mmの孔を持ち、溝幅0.135mm、深さ3mm、溝幅間隔0.98mmの溝を持つ、幅130mm、長さ180mm、厚さ20mmの口金部材を製作した。
【0025】
次に加工済みの部材に無電解Niメッキを膜厚25μmの厚さで付着させた。更に部材を公知のCVDコーティング装置内にセットし、500℃の温度で、水素ガス、六弗化タングステンガス、ベンゼンガスを流し、口金部材の成形溝、坏土供給孔内面に厚さ15μmのタングステンカーバイドのコーティング膜を形成した。これらの無電解Niメッキ膜及びタングステンカーバイド膜の形成により、研削加工後0.135mmであった成形溝の幅は0.055mmとなった。(0.135mm−2×0.025mm−2×0.015mm=0.055mm)上記のようにして形成した口金を用いて、コージェライト組成からなるハニカム構造体を押し出し成形したところ、成形体は押出方向に沿ってまっすぐに押し出された。更に、乾燥、焼成を経て、壁厚が0.05mmで一定かつ割れや変形のない健全なハニカム体を連続的に得ることができた。
【0026】
(比較例1)
ロックウェルCスケール硬度38に調質したステンレス鋼(C;0.40%、Si;0.35%、Mn;0.6%、Ni;0.6%、Cr;13.5%、Mo;0.4%、Fe;残部)から、幅130mm、長さ180mm、厚さ20mmの部材を切り出し、実施例1と同様の方法で直径1.6mm深さ15mmの坏土供給孔を1.35mm間隔で形成し、ついで、この孔加工した面と反対側の面に、溝幅0.18mm、深さ5mmの成形溝を1.35mm間隔で形成した。
【0027】
次に、加工済みの部材に無電解Niメッキを膜厚20μmの厚さで付着させた。更に部材を公知のCVDコーティング装置内にセットし、250℃及び750℃の温度で、水素ガス、六弗化タングステンガス、ベンゼンガスを流し、口金部材の成形溝、坏土供給孔内面に厚さ10μmのタングステンカーバイドのコーティング膜を形成した。上記のようにして形成した口金を用いて、コージェライト組成からなるハニカム構造体を押し出し成形したところ、CVDコーティングの温度が250℃の場合、成形開始後に無電解Niメッキ膜及びタングステンカーバイドコーティング膜が剥離してしまい、押出方向に垂直な方向に均一な面をもつハニカム構造体を押し出すことができず、押出方向に対して曲がって押し出された。また、剥離により所定の壁厚を持つ成形体がえられず、ハニカム構造体として必要な精度を持つ成形体が得られなかった。
【0028】
一方、CVDコーティングの温度が750℃の場合押出方向に垂直な方向に均一な面をもつハニカム構造体を押し出すことができず、押出方向に対して曲がって押し出された。このため、ハニカム構造体として必要な精度を持つ成形体が得られなかった。
【0029】
(比較例2)
ロックウェルCスケール硬度38に調質したステンレス鋼(C;0.40%、Si;0.35%、Mn;0.6%、Ni;0.6%、Cr;13.5%、Mo;0.4%、Fe;残部)から、幅130mm、長さ180mm、厚さ20mmの部材を切り出し、この部材に直径1.6mmのドリルを用いて、図1に示すように深さ15mmの坏土供給孔2を1.35mm間隔で形成した。ついで、この孔加工した面と反対側の面に、図2に示す用に溝幅0.18mm、深さ5mmの成形溝3をワイヤー放電加工により1.35mm間隔で形成した。図3に口金部材の断面図を示すとおり成形溝の交点に対し、1箇所おきの位置に坏土供給孔が位置する。
【0030】
次に、加工済みの部材に無電解Niメッキを膜厚20μmの厚さで付着させた。更に部材を公知のCVDコーティング装置内にセットし、500℃の温度で、水素ガス、六弗化タングステンガス、ベンゼンガスを流し、口金部材の成形溝、坏土供給孔内面に厚さ10μmのタングステンカーバイドのコーティング膜を形成した。上記のようにして形成した口金を用いて、コージェライト組成からなるハニカム構造体を押し出し成形したところ、成形直後に無電解Niメッキ膜及びタングステンカーバイドコーティング膜が剥離してしまい、押出方向に垂直な方向に均一な面をもつハニカム構造体を押し出すことができず、押出方向に対して曲がって押し出された。また、剥離により所定の壁厚を持つ成形体がえられず、ハニカム構造体として必要な精度を持つ成形体が得られなかった。
【0031】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明のセラミックハニカム押出成形用口金の製造方法によれば、口金部材に対する耐摩耗材の密着力が強く、かつ成形溝幅が口金各所で均一な、セラミックハニカム押出用口金を得ることができる。このため、寸法精度の良好なハニカム成形体を連続的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1例としてセラミックハニカム押出成形用口金の坏土供給孔側の平面を示す図である。
【図2】本発明の1例としてセラミックハニカム押出成形用口金の成形溝側の平面を示す図である。
【図3】図1に示す例におけるX―X線に沿った断面を示す図である。
【図4】従来の口金を用いて押出成形した場合の模式図である。
【符号の説明】
1:口金部材、 2:坏土供給孔、
3:成形溝、 4:押出成形体

Claims (3)

  1. 成形溝とこの成形溝へ連通するセラミック坏土供給孔を有する口金部材の、少なくとも前記成形溝の表面に化学蒸着法によって耐摩耗材を付着させたセラミックハニカム押出成形用口金の製造方法において、前記口金部材が質量%で、C;0.25〜0.45%、Si;≦1.20%、Mn;≦1.20%、Ni;≦1.0%、Cr;11〜15%、Mo;≦1.0%を含有する焼入硬化型マルテンサイト系ステンレス鋼からなり、前記成形溝を砥石による研削加工で形成した口金部材の、少なくとも前記成形溝の表面に無電解メッキ層を形成し、該無電解メッキ層の表面に前記耐摩耗材を300℃乃至600℃の温度で付着させたことを特徴とするセラミックハニカム押出成形用口金の製造方法。
  2. 耐摩耗材がタングステンカーバイドであることを特徴とする請求項1記載のセラミックハニカム押出成形用口金の製造方法。
  3. 耐摩耗材を付着させた後の成形溝幅が0.15mm以下であることを特徴とする請求項1乃至記載のセラミックハニカム押出成形用口金の製造方法。
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