JP4203990B2 - 配管システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、住宅内の洗面台,浴室,流し台,トイレ等に取り付けられた水栓金具に対し、水や湯等の流体を供給する配管システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、集合住宅,戸建住宅等において、洗面台,浴室,流し台,トイレ等の水栓金具へ給水,給湯配管の施工を行なう場合、水,湯の各ヘッダーを介して各水栓金具に水,湯を分岐するヘッダー工法が行なわれている。この例を図6により簡単に説明すると、例えば給水用のヘッダー41は複数個の枝管42が形成され、各枝管42に夫々通水管43を接続している。洗面台,浴室,流し台,トイレ等の各壁板44には水栓ボックス45が固定され、該水栓ボックス45にはエルボ46が収容されており、前記通水管43の他端はエルボ46に接続され、該エルボ46は壁板44の表側に水栓金具47が接続される。従って、ヘッダー41の枝管42から分岐される水は、通水管43及びエルボ46を介して水栓金具47へ供給されるものである。
【0003】
このようなヘッダー工法によると、各通水管に接続される水栓金具を同時に使用しても、ヘッダーからの遠近に関係なく充分な吐水量を確保することができるものである。また、従来の金属管を用いた配管構造と比較して接続箇所を少なくすることができ、施工不良による漏水の発生する可能性が低く、しかも、水はヘッダーから各水栓金具へ分配するため、漏水等の点検はヘッダーのみを行なえばよく、メンテナンスを良好に行なうことができるものである。
【0004】
【特許文献1】
特開平6−331062号公報
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のようなヘッダー工法による配管システムでは、住宅に設けられる水栓金具の個数に合わせて、必要となる枝管が形成されたヘッダーを予め用意しておき、配管工事を行なう。例えば住宅に設けられる水栓金具が3個であれば、3個の枝管が形成されたヘッダーを用意し、水栓金具が5個であれば、5個の枝管が形成されたヘッダーを用意していた。
【0006】
ところが、配管作業を終了した後に、新たに水栓金具を増設する必要が発生した場合は、例えば枝管を増加させたヘッダーと通水管等を新たに用意して取り替える必要があるが、ヘッダーが大型化すると設置スペースを確保することができなくなる場合があり、しかも、ヘッダーを交換するには大がかりな作業を必要とした。また、新たなヘッダーだけでなく、通水管及び接続部材等、多くの部材が必要となり、コストが高くつくものであった。そこで、例えばヘッダーとエルボとを接続する通水管の途中にチーズを取り付け、チーズに対し新たな水栓金具用の通水管を接続させることも考えられるが、ヘッダーは一般に、漏水の有無等の点検を容易に行なえるように点検口が設けられているのに対し、チーズはヘッダーとは離れた位置に取り付けられるため、点検を行なうことができなくなるという不都合があった。
【0007】
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目したものであり、その目的は、ヘッダーから通水管を介して各水栓金具へ水又は湯等を分岐する配管システムにおいて、水栓金具の増設に対して容易に対応できるようにすることである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は請求項1の配管システムでは、主管から供給される水又は湯等の流体を複数の通水管へ分岐するヘッダーと、住宅内に形成された壁板の開口孔に臨ませて固定され、前記通水管と水栓金具とが接続される分岐栓とを備え、該分岐栓は通水管が接続される入口側接続部と、水栓金具へ流体を供給するための複数個の出口側接続部とを設け、入口側接続部と一方の出口側接続部とを互いに並行するように左右に併設したものである。
【0009】
請求項2の配管システムでは、前記分岐栓は、出口側接続部の1つを壁板の開口孔に向かい合うように設け、別の出口側接続部は壁板の裏側に配置されるように設けたものである。
【0010】
請求項3の配管システムでは、前記壁板には、分岐栓を覆い隠すための保護部材が固定されるようにしたものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて詳細に説明する。
本発明の配管システムは例えば一般の住宅等に適用できるものであり、給水側の配管と給湯側の配管とは同一であるので、給水側の配管についてのみ説明する。図1に示すように、建物の室内で床下空間Aには給水源と接続している主管1が配管され、該主管1はヘッダー2に接続し、該ヘッダー2は主管1から供給される水を、建物の室内で所定位置に配置された流し台や洗面台や浴室等に取り付けられる各水栓金具4に分岐することができるものである。
【0013】
前記ヘッダー2は床下空間Aに収容され、前記主管1から供給される水を水栓金具4に分配するための枝管3が、長手方向に沿って所定の間隔で複数個形成され、各枝管3には通水管5が接続される。該通水管5は架橋ポリエチレン管,ポリブテン管等の、容易に屈曲させたり切断することのできる合成樹脂管であり、ヘッダー2と水栓金具4との間で、予め床下空間A、壁裏空間B等に配設された蛇腹状の鞘管6内に挿通させて、該鞘管6により外部から保護されるものであり、ヘッダー2の枝管3と、水栓金具4が固定される分岐栓7とに両端が接続される。
【0014】
前記分岐栓7は、ヘッダー2から通水管5を介して供給される水を水栓金具4へ分岐させることのできるものであり、図2及び図3に示すように、通水管5から供給される水の流路を分岐させることのできる本体部8と、ヘッダー2と離れた位置に立設した当て木19に固定するための座板13とを備えている。前記本体部8は内部に通水管5から供給される水が通過する給水路9が形成され、該給水路9は、通水管5を接続するための入口側接続部10と、水栓金具4を接続するための第1出口側接続部11と、ヘッダー配管を行なった後に住宅内に水栓金具を新たに増設する場合、増設する水栓金具と接続する通水管を接続するための第2出口側接続部12とを設け、入口側接続部10と第2出口側接続部12とは、コンパクトになるように互いに並行するように左右に併設し、通水管5を接続するための管継手15が装着されている。
【0015】
前記管継手15は共に同一構造であり、左右に隣り合い同一方向を向くようにして本体部8に装着され、通水管5が外嵌される円筒部16と、該円筒部16の外側から通水管5の外周面を挟着するリング17とナット18とが設けられ、合成樹脂製の通水管5は、ナット18から奥に挿入すれば円筒部16の外周に外嵌され、また、外周面がリング17とナット18とにより挟着され、抜けることがないように固定されるものである。そして、この分岐栓7は座板13を当て木19に固定した場合に、第1出口側接続部11は当て木19の前側に向き、入口側接続部10と第2出口側接続部12とは、当て木19の下側を向くようにしている。
【0016】
前記第2出口側接続部12には、通常はキャップやプラグなどの盲蓋が装着されていて、水栓金具を新たに増設した場合には、盲蓋を外して管継手15及び通水管5を接続できるようにしている。なお、第2出口側接続部の個数は、本実施例のように1つに限るものではなく複数個設け、複数個の水栓金具の増設に対応できるようにしてもよい。
【0017】
前記分岐栓7の座板13は、前記ヘッダー2と離れた位置で垂直方向に立設している当て木19に対し、略水平方向に固定されるものであり、横長の長方形に形成され、左右及び上下の四隅には丸孔(図示省略)が穿設されており、該丸孔に対し第1ねじ14を挿通して締め付けることで、分岐栓7は当て木19に対し固定されるものである。
【0018】
前記当て木19に対し前後に壁裏空間Bを設けて壁板20が立設される。該壁板20の適宜の高さ位置には、分岐栓7と前後に向かい合うようにして略四角形の開口孔21が穿設される。壁板20には開口孔21を前後から挟むようにして保護部材22が固定される。該保護部材22は、開口孔21から壁板20の表側の室内空間に露出する分岐栓7を覆い隠すことのできるものであり、壁板20の表側から開口孔21を挿通して壁裏空間Bへ位置させることのできるように、略コの字型に形成された第1枠板23と、壁板20の開口孔21よりやや大型の略四角形に形成されており、略中央には分岐栓7の第1出口側接続部11を挿通させることのできる挿通孔26が穿設された第2枠板25と、該第2枠板25に対し表側に固定される支持板29と、該支持板29に着脱自在に装着されるカバープレート31とを備えている。
【0019】
前記第1枠板23には、壁板20の開口孔21に対し前後に向かい合う一対の第1丸孔24が左右に間隔を設けて穿設されている。前記第2枠板25には第1枠板23を固定するための第2丸孔27が、前記両第1丸孔24と同一の間隔を設けて左右及び上下に計4個穿設されている。従って、別に設けた固定用の各第2ねじ14aを、第2枠板25の各第2丸孔27に挿通して第1枠板23の各第1丸孔24に螺着することで、第1枠板23と第2枠板25とにより壁板20を前後から挟着することができる。
【0020】
さらに第2枠板25には壁板20の表側で支持板29を固定するための第3丸孔28が上下及び左右の四隅に穿設され、前記支持板29には第3丸孔28と前後に向かい合う位置に第4丸孔30が上下及び左右の四隅に穿設されている。従って、第3ねじ14bを支持板29の第4丸孔30に挿通して第2枠板25の第3丸孔28に螺着することで、支持板29は第2枠板25に固定される。そして、カバープレート31は合成樹脂材からなり、適宜の係合手段を用いて支持板29に対し着脱自在に装着されるものである。カバープレート31は略中央よりやや上部に、分岐栓7の第1出口側接続部11を挿通させることのできる貫通孔32が穿設されており、支持板29に対してカバープレート31を装着することで、図4に示すように該カバープレート31から表側には分岐栓7の第1出口側接続部11の先端のみが露出する。前記水栓金具4は壁板20の表側から分岐栓7の第1出口側接続部11に装着されるようにしている。なお、以上のような保護部材22は壁板20から取り外せば、図5に示すように開口孔21を通して分岐栓7が露出し、分岐栓7の管継手15に接続されている通水管5の接続状態を点検し、漏水の有無等を確認することができる。
【0021】
前記水栓金具4は、分岐栓7の第1出口側接続部11へ固定される基部33と、該基部33の内部を通過する水の吐水、止水と流量調節とを行なうためのハンドル34と、水を外部へ吐水するための吐水口35とを備え、ハンドル34を開弁方向に操作すれば、通水管5から分岐栓7へ供給される水は、吐水口35から外部へ吐水させることができるものである。
【0022】
このように壁板の壁孔に臨むようにして装着される分岐栓は、出口側接続部を複数個備えていれば、1つは最初から設けられている例えば流し台用の水栓金具に水を供給することができる。そして、例えばヘッダー配管を行なった後に、新たに住宅内に手洗器を設置し、該手洗器に水栓金具を増設した場合に、この分岐栓のもう一方の出口接続部に通水管を接続すれば、新たな手洗器用の水栓金具に対し水を供給することができる。従って、水栓金具の新たな増設に合わせてわざわざヘッダーを取り替えたりする必要がなく、分岐栓への通水管の接続のみで容易に対応することができる。しかも分岐栓の第2出口接続部は壁板の裏側に配置されるので、室内に露出して邪魔になったり、美観を損なうこともない。
【0023】
なお、この実施例の分岐栓は、入口側接続部と第2出口側接続部とを左右に隣り合うように設け、通水管とは上下方向に接続するようにしているが、第2出口側接続部は例えば水平方向又は上方向等に向きを変えてもよい。
【0024】
【発明の効果】
本発明は請求項1の配管システムによると、主管から供給される水又は湯等の流体を複数の通水管へ分岐するヘッダーと、住宅内に形成された壁板の開口孔に臨ませて固定され、前記通水管と水栓金具とが接続される分岐栓とを備え、該分岐栓は通水管が接続される入口側接続部と、水栓金具へ流体を供給するための複数個の出口側接続部とを設け、入口側接続部と一方の出口側接続部とを互いに並行するように左右に併設したので、ヘッダー配管を行なった後の水栓金具の増設に対して、出口側接続部に対し通水管を接続するのみの対応で新たな水栓金具から流体を供給することができ、従来のようにヘッダーを新たに取り替える必要がなく、しかも水栓金具の増設に伴うコストを、従来と比較して低減することができ、コンパクトに形成することができるという優れた効果を奏する。
【0025】
また、請求項2の配管システムによると、分岐栓は壁板の裏側の空間に水栓の増設用の接続部が配置されるので、壁板の表側はすっきりとして邪魔になることがなく、美観を損なうことがない。
【0026】
さらに、請求項3の配管システムによると、壁板には分岐栓を覆い隠すための保護部材が固定されるようにしたので、美観が向上するうえ、保護部材を外せば通水管の分岐栓への接続状態を確認し、漏水の有無等を容易に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の配管システムの全体図である。
【図2】分岐栓の拡大説明図である。
【図3】壁板に臨む分岐栓の斜視図である。
【図4】保護部材を壁板に取り付けた状態の斜視図である。
【図5】保護部材を壁板から取り外した状態の斜視図である。
【図6】従来技術の説明図である。
【符号の説明】
1 主管
2 ヘッダー
4 水栓金具
5 通水管
7 分岐栓
10 入口側接続部
11 第1出口側接続部
12 第2出口側接続部
20 壁板
21 開口孔
22 保護部材
Claims (3)
- 主管から供給される水又は湯等の流体を複数の通水管へ分岐するヘッダーと、住宅内に形成された壁板の開口孔に臨ませて固定され、前記通水管と水栓金具とが接続される分岐栓とを備え、該分岐栓は通水管が接続される入口側接続部と、水栓金具へ流体を供給するための複数個の出口側接続部とを設け、入口側接続部と一方の出口側接続部とを互いに並行するように左右に併設したことを特徴とする配管システム。
- 前記分岐栓は、出口側接続部の1つを壁板の開口孔に向かい合うように設け、別の出口側接続部は壁板の裏側に配置されるように設けたことを特徴とする請求項1記載の配管システム。
- 前記壁板には、分岐栓を覆い隠すための保護部材が固定されるようにしたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の配管システム。
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