本発明の実施の形態について図1から図18を用いて説明する。図1は本発明の光学式記録再生装置を示し、以下で説明するすべての実施の形態1〜14に共通するものである。
1)本発明の光ディスク装置の構成
この図1に示されるように、記録媒体であるディスク101に光ビーム107a,107bを照射するための光学系、即ち半導体レーザ等の光源108、カップリングレンズ109、偏光ビームスプリッタ110、ホログラム素子106、および収束レンズ105、さらにはディスク101を所定の回転数で回転させるためのディスクモータ102、を備えた光学系を設ける。光源108より発生された光ビームは、カップリングレンズ109により平行光にされる。この平行光はその後、偏光ビームスプリッタ110で反射された後にホログラム素子106を通過して、2つの光束に分割され、収束レンズ105によって収束され、ディスクの厚さ方向に2つのフォーカス点107a,107bを結像するような2焦点の光ビームスポットが形成される。
それぞれの光ビームスポット107a,107bは、ディスクモータ102によって回転されているディスク101に照射される。この2つの光ビームは、装着するディスクの基材厚によって使い分けられる。例えば、CDのような1.2mmの厚さのディスクの場合は、光ビーム107bを情報面にフォーカス制御し、DVDのような高密度化した基材厚0.6mmのディスクの場合には、光ビーム107aを情報面にフォーカス制御する。
また、本発明にかかる記録再生装置で使用するディスクは、従来のCD等のような再生面が1つである1層ディスク以外に、図6(a) に示すように片側の情報面を半透明膜にして20〜60μmの接着層でサンドイッチ状に貼り合わせた2層ディスク、あるいは図6(b) に示すように数μmのフィルム状の記録再生膜を積み重ねて貼っていくN層ディスク(図面ではN=4)がある。
この記録再生装置は、ディスク101からの反射光を受け取るための素子として、更に集光レンズ111,および4分割の光検出器113を有する。ディスク101からの反射光は、収束レンズ105、ホログラム素子106,および偏光ビームスプリッタ110を通過し、集光レンズ111を介して4分割構造の光検出器113に入力され、DSP129,及びAD変換器123,124、ゲイン切り換え回路121,122等で構成される,それぞれフォーカス制御装置FC,およびトラッキング制御装置TCに入力される。
トラッキング制御装置TCは、4分割構造の光検出器113、プリアンプ114a,114b,115a,115b、加算回路116,117、コンパレータ118,119、位相比較器134、差動増幅器120、ゲイン切換回路122、DSP129、AD変換器124、駆動回路130、及びトラッキングアクチュエータ103、から構成される。4分割の光検出器113に入力された光ビームは、電気信号(電流)に変換され、プリアンプ114a,114b、及び115a、115bで電圧変換されて増幅される。増幅された各信号は、対角位置毎に加算回路116,及び117で合成された後、コンパレータ118,及び119で2値化されて位相比較器134で位相比較される。位相比較された信号は、高域を遮断して差動増幅器120に入力される。この差動増幅器120の出力は、光検出器113上に照射される光ビームのディスク101上のデータ部分の位相を比較したものであり、光ビームスポットのディスク101上のトラックからのずれ量を示した信号であることは周知であり、差動増幅器120の出力は、光ビームがトラック上を正しく走査するように制御するための位相差法によるトラックずれ信号(TE;Track Error 信号)となる。
このようなトラックずれ信号TEの検出方法は、上記したような位相差法の他に、プッシュプル法,3ビーム法等があるが、本発明は、どのような検出方法でも用いることができ、何ら限定されるものではない。
トラックずれ信号TEは、ゲイン切換回路122によって、所定の振幅(ゲイン)に調整される。その後、AD変換器124によってデジタル値に変換されて、DSP129に入力される。
一方、フォーカス制御装置は、4分割構造の光検出器113、プリアンプ114a,114b,115a,115b、加算回路116,117、差動増幅器133、ゲイン切換回路121、AD変換器123、DSP129、駆動回路131、及びフォーカスアクチュエータ104、から構成される。
また、4分割の光検出器113の各受光部A〜Dの出力信号はそれぞれプリアンプ114a,114b、および115a、115bにより電流電圧変換し増幅された後に、対角位置ごとに加算回路116,及び117で合成された後、差動増幅器133に入力される。
この差動増幅器133の出力は、光検出器113上に照射される光ビームのディスク101上の情報面における光ビームスポットのフォーカスずれ量を示した信号であることは周知であり、差動増幅器133の出力は、光ビームがディスク101上の情報面で所定の収束状態になるように制御するための,いわゆる非点収差法によるフォーカスずれ信号(FE)となる。ここで、フォーカスずれ信号FEの検出方法については、非点収差法の他に、ナイフエッジ法、SSD法(Spot Sized Detection法)などがあるが、本発明はどの検出方法でも用いることができ、何ら限定されるものではない。
フォーカスずれ信号FEは、ゲイン切換回路121によって、ディスク101の反射率等に対応する光ビーム光量に応じて振幅を変化して、所定の振幅(ゲイン)に調整される。その後、AD変換器123によってデジタル値に変換されて、DSP129に入力される。
図2は、DSP129内のこのフォーカス制御,及びフォーカス引き込みの部分を詳細に示したブロック図である。以下、図1に図2を加えて説明する。
DSP129は、内部でデジタル制御系を構築し、スイッチ201、位相補償フィルタ202、ゲイン切り換え部203、スイッチ204、S字検出部205、レベル判定部206、波形生成部207、ホールド部208、及びDA変換部209で構成される。
AD変換器123によってデジタル変換されたFEは、フォーカス制御系のループを開閉するスイッチ201を介して、加算器、乗算器、および遅延器によって構成された位相補償フィルタ202に入力される。位相補償フィルタによってフォーカス制御系の位相遅れを補償されたFEは、フォーカス制御系のループゲインを切り換え設定するゲイン切り換え部203を介してスイッチ204に入力されている。スイッチ204は制御系のループを開閉し、さらにフォーカス制御の引き込み時に、収束レンズ105をディスク101に接近,離間させて、ディスク101の情報面を検出するためのUP/DOWN信号を、DA変換器209を介してフォーカスアクチュエータ104を駆動する駆動回路131に印加する。フォーカス制御動作時にスイッチ204を通過したフォーカスずれ信号FEは、DA変換器209を介してアナログ信号に変換され、駆動回路131に入力される。駆動回路131は、フォーカスずれ信号FEを適当に電流増幅、レベル変換してフォーカスアクチュエータ104を駆動する。このようにして、フォーカスアクチュエータ104は、ディスク101上の光ビームが常に所定の収束状態となるように駆動される。
フォーカス引き込み時には、波形生成部207は三角波状のUP/DOWN信号を出力し、スイッチ204のB、C間をONにして、DA変換器209,および駆動回路131を介してフォーカスアクチュエータ104を駆動し、収束レンズ105を上下に移動してディスク101に接近,離間させる。
図2を用いてさらに説明すると、AD変換後のフォーカスずれ信号FEは、DSP129内で処理分岐し、フォーカス引き込み学習動作を実現している。ディスク101を回転させ、半導体レーザ108を発光させて、波形生成部207よりUP/DOWN信号を出力して、収束レンズ105をディスクに接近させたり、ディスクから離間させたりする。このとき、AD変換後分岐したフォーカスずれ信号FEは、S字検出部205において、この接近,離間時にフォーカスずれ信号FE上に現れるS字信号の振幅を計測し、その計測した振幅が所定振幅より小さければゲイン切り換え回路122をコントロールし、ゲインが低くなるように設定する。また振幅が所定振幅より大きければ、ゲイン切り換え回路122をコントロールし、ゲインが高くなるように設定し、よってAD変換器124後の出力でS字信号を一定の振幅にすることができる。S字検出部205とゲイン切り換え回路122によってS字信号が所定の振幅となったフォーカスずれ信号FEは、レベル判定部206に入力される。入力されたフォーカスずれ信号FEは該レベル判定部206によって所定振幅レベル(引き込みレベル)と比較され、この引き込みレベル検出後、スイッチ201をON、かつスイッチ204のA,C間をONにして、フォーカス制御のループを閉じて、引き込みを動作を達成する。
2)本発明におけるフォーカスの引き込み方法
本発明による光学式記録再生装置におけるフォーカスの引き込み方法について詳しく説明する。説明をわかりやすくするために、ここでは1.2mmの基材厚のディスクとしてCDを、薄型基材のディスクとして0.6mm厚のDVD−ROMディスクを例にとって説明する。
前述したように本発明にかかる光学式記録再生装置は、CDをはじめとする1.2mm基材のディスクと、DVDをはじめとする0.6mm基材のディスクとの相互の互換性を確保するために、上述したように、光ビームをホログラム素子106によって2つに分割し、2つの光ビームスポットを各ディスクにフォーカシングさせるようにしている。よって、引き込み時において収束レンズ105,すなわち各光ビームスポットをディスク101に接近,離間させると、2つの光ビームスポットがディスクの情報面を通過する毎にフォーカスずれ信号FE上にS字信号が検出される。すなわち、図3中に示すように、基材厚1.2mmのCD用の光ビームと、基材厚0.6mmのDVD用の光ビームとによるS字信号が現れる。
ところで、CDの光ビームスポット(CDビーム)は、DVD(DVDビーム)の光ビームスポットよりも遠くに(上側に)結像するので、図3(a) に示すように、ディスクに最離間させたのち接近させたときに現れる最初のS字が、CDビームがフォーカスしたものであり、図3(b) に示すようにディスクに最接近させたのち離間させたとき現れる最初のS字が、DVDビームがフォーカスしたものである。
よって、装置にCDがローディングされたときは、レンズをメカニカル的な中立点を基準として一旦ディスクから離間させ、CDビームのスポットがディスクより十分離れた状態から、ディスクに接近させていき、最初に現れるS字を検出するようにすれば、CDの情報面にCDビームをフォーカシングすることができる。また、DVDがローディングされたときは、レンズを一旦接近させ、DVDビームのスポットがディスクに対して十分行き過ぎた状態から離間させていき、最初に現れるS字を検出するようにすれば、DVDの情報面にDVDビームをフォーカシングすることができる。
実際には、CD,DVDはともに120mm径であるので、両者のディスクの判別は困難である。よって、例えば図4に示すように、収束レンズを初期位置O点から一旦A点まで離間させた後接近させていき、B点でFEに最初に現れるS字振幅Pc,あるいはAS(全光量信号、即ち加算器116、117の信号の和)に最初に現れる信号振幅によって、CD,あるいはDVDを判別する。その後、DVDの場合は、図4(a)に示すように、最接近点D点まで到達した後、再度離間してそのとき現れる最初のS字信号QD が所定のレベルLVL1に達したことでDVDの情報面を検出したE点で、フォーカス制御を引き込む。また、CDの場合は、最接近点D点まで到達した後、E点を通過し再度最離間点F点まで移動し、そのF点から再接近してそのとき現れる最初のS字Rcが所定のレベルLVL2に達したことでCDの情報面を検出したG点で、フォーカス制御を引き込む。
以上のように構成すれば、0.6mm基材のDVDの場合も、1.2mm基材のCDの場合も、高速かつ安定にフォーカス制御を引き込むことが可能である。
この具体的な引き込みの手順について、図4(a) ,(b) 及び図5を加えてさらに詳しく説明する。
図5は、このフォーカス引き込み処理の手順を示したフローチャートであり、図5に示すように、記録再生装置の電源が投入されると、ディスクモータ102が回転し、ディスク101が所定回転に達すると、半導体レーザ108の光源を発光させる。
その後、波形生成部207よりレンズをUP/DOWNさせる三角波信号を出力し、スイッチ204,DA変換器209を介して駆動回路131,フォーカスアクチュエータ104により、収束レンズ105を、図4における最離間点であるAまで下降させる(ステップS1)。
収束レンズ105が最離間点Aに達すると、収束レンズ105をディスク101に接近するようにUPしていき(ステップS2)、そのときのFE信号をサンプリングする(ステップS3)。図4に示すように、収束レンズ105が徐々に徐々にUPしていくと、レンズから遠いCDの光ビーム107bの収束点は、B点でディスクの情報面に達し、このB点近傍で、CDビームによるS字PC が現れるので、このS字PC の振幅を測定する(ステップS4)。
ここで、このS字PC の振幅の計測の方法は、例えばFEを連続的にサンプリングし、各サンプリング値を比較しながらMAX値,あるいはMIN値を求め、そのMAX値,あるいはMIN値から振幅を求める方法で達成することができる。
S字PC の振幅計測が完了していない場合には、さらに、収束レンズ105を駆動しディスク101に接近させていく(ステップS5でN)。
S字PC の振幅計測が完了する(ステップS5でY)と、最接近点DまでレンズUPを続行する(ステップS6)。この間、下側のDVDビーム107aの収束点も情報面を横切ることになり、これにより、それに対応したS字PD がFE上に現れるので、同様に振幅計測を行う(ステップS7,S8)。その後、収束レンズを最接近点Dまで接近させた後(ステップS9,S10)、CDビーム,DVDビームによるS字PC ,PD の計測値を比較し、ローディングされているディスクが、CDかDVDかを判別する(ステップS11)。
最接近点Dに到達した後、収束レンズ105をディスク101より離間させていくと、まず下側のDVDビーム107aの収束点が情報面を横切ることになるので、それに対応したS字がFE上に現れる。次に、上側のCDビーム107bの収束点が情報面を横切ることになり、これにより、それに対応したS字がFE上に現れる。
したがって、DVDと判別された場合は、図4(a) に示すように最接近点Dから離間して最初に現れるS字QD が所定の引き込みレベルLVL1に達したことを検出し、フォーカス制御を動作させる(ステップS19,S20,S21,S22,S23)。
また、CDと判別された場合は、図4(b) に示すように、最接近点Dから最離間点Fまで移動し、その間に現れるS字は無視する(ステップS12,S13)。そして、最離間点Fより再度ディスクに接近させて最初に現れるS字RC が所定の引き込みレベルLVL2に達したことを検出し、フォーカス制御を動作させる(ステップS14,S15,S16,S17,S18)。
以上のように構成し動作させることで、DVD,CDのフォーカス制御の引き込み動作を実現することができる。
3)2層,多層ディスクにフォーカスを引き込む,引き込み方法
図6は、0.6mm基材を張り合わせたDVDの2層ディスクの断面図、及び薄いフィルム状の信号膜を多重積層した多層ディスクの断面図を示す。このような2層,及び多層ディスクにフォーカスを引き込む場合の方法手順を、2層ディスクを例にとって説明する。
図7は、0.6mm基材のディスクを張り合わせた情報面が2層になっている2層ディスクにレンズを接近、離間させたときの,FE、フォーカスアクチュエータの駆動信号、及びレンズとディスクの相対位置、を示した波形図である。このとき、図7に示すように差動増幅器133,あるいはそこからゲイン切り換え部121、AD変換器123を通して得られるFE信号上には、2つの連続したS字信号(ダブルS字信号、例えばP1,P2)を得ることができ、このダブルS字信号のそれぞれの振幅が一定になるように学習を行い、フォーカス点である0クロス近傍の所定のレベルを検出して、フォーカス制御を引き込む。
図8は、実際のフォーカス引き込み時のFEと、反射光量和に対応したRF信号と、波形生成部207の出力であるUP/DOWN信号,すなわちフォーカス駆動信号の関係を示す波形図であり、図7と同じ位置には同じアルファベットを記した。また、図9は、DSP129で実現されるフォーカス学習引き込み手順の流れを示すフローチャートである。
図2を用いてさらに説明すると、上記のような2層ディスクにおいては、1層ディスクと同様に、AD変換後のFEは、DSP129内で処理分岐し、フォーカス引き込み学習動作を実現している。ディスク101を回転させ、半導体レーザ108を発光させて、波形生成部207よりUP/DOWN信号を出力して、収束レンズ105をディスク101に接近させたり、ディスク101から離間させたりする。このとき、AD変換後分岐したFEは、S字検出部205において、この接近,離間時にFE上に現れるS字信号の振幅を計測し、その計測した振幅が所定振幅より小さければ、ゲイン切り換え回路121をコントロールし、ゲインが低くなるように設定する。また、振幅が所定振幅より大きければ、ゲイン切り換え回路121をコントロールし、ゲインが高くなるように設定し、よってAD変換器123後の出力で、S字信号を一定の振幅にすることができる。S字検出部205とゲイン切り換え回路121とによってS字信号が所定の振幅となったFEは、レベル判定部206に入力される。入力されたFEは、レベル判定部206によって、所定振幅レベル(引き込みレベル)と比較され、この引き込みレベルを検出した後、スイッチ201をON、スイッチ204のA,C間をONにしてフォーカス制御のループを閉じて、引き込みを達成する。
波形生成部207は、例えば2層ディスクにおいて、1層目から2層目、2層目から1層目への移動する場合に加減速パルスを発生するが、これについては、後の第1の実施の形態のところで詳細に説明する。
フォーカス引き込み時のFEと、波形生成部207の出力であるUP/DOWN信号の関係は、図7のようになり、これの関係にしたがって、DSP129で実現されるフォーカス引き込み手順の流れを示すフローチャートを図9に示し、これを用いてさらに説明する。
記録再生装置の電源が投入されると、ディスクモータ102が回転し、ディスク101が所定回転に達したとき、半導体レーザ108の光源1が発光され、フォーカスの引き込み動作がスタートする。
図9においては、ステップS1で、波形生成部207よりレンズをUP/DOWNさせる三角波信号を出力し、スイッチ204,DA変換器209を介して駆動回路131,フォーカスアクチュエータ104により、収束レンズ105を、図7,図8における最接近点であるHに上昇させる。このとき、光ビーム107aの収束点はディスク上層の第2層目の記録再生面L1より上側に位置する。
収束レンズ105が最接近点Hに達すると、収束レンズ105をディスク101から離間するようにDOWNしていき(ステップS2)、そのときのFE信号をサンプリングする(ステップS3)。図7に示すように、収束レンズ105が徐々にDOWNしていくと、レンズに近い光ビーム107aの収束点は、I点でディスクの記録再生面の第2層目L1面に達し、このI点近傍で、L1面に対応するS字Q2が現れる(ステップS4)。
ここで、このS字Q2の振幅の計測の方法には種々の方法があるが、例えばFEを連続的にサンプリングし、各サンプリング値を比較しながらMAX値,あるいはMIN値を求め、そのMAX値,あるいはMIN値から振幅を求める方法を容易に実現できる。またサンプリングするFEの,回路ノイズ、あるいはディスク上にプリフォーマットされたアドレス部や傷等によるノイズの混入による精度劣化を防止するために、サンプリングしたFEに対し、DSP129のソフト処理によってデジタルローパスフィルタを構成し、そのデジタルフィルタを通した値でMAX値、MIN値を求めるようにすれば、高精度で振幅を計測することができる(ステップS4)。
S字Q2の振幅計測が完了する(ステップS5でY)と、さらにレンズDOWNを続行し(ステップS6)、FEをサンプリングする(ステップS7)。第2層目L1と第1層目L0の間隔は、約40ミクロンほどであるので、L1のI点を通過した後、すぐに記録再生面のL0のJ点に到達する。J点近傍においては、そこでの光量に対応したS字Q1が現れるので、このS字Q1の測定をも、S字Q2の測定と同様に行う(ステップS8)。
S字Q1の振幅計測が完了する(ステップS9でY)と、最離間点AまでレンズDOWNを続行する(ステップS10)。この間、上側の光ビーム107bの収束点が記録再生面を横切ることになるので、それに対応したS字がFE上に現れる。特に面ふれの大きい場合には、光ビーム107aと107bとがほとんど同時に記録再生面を検出し、これにより、2つのS字が干渉しあって形のくずれた非線形なS字となるが、この部分は無視して、最離間点AまでDOWNする(ステップS10、S11)。
最離間点Aに到達した後、再度最離間点Aより、収束レンズ105をディスク101に接近させていくと、まず上側の光ビーム107bの収束点が、記録再生面を横切ることになるので、それに対応したS字がFE上に現れる。特に面ふれの大きい場合には、光ビーム107aと107bがほとんど同時に記録再生面を検出し、これにより2つのS字が干渉しあって形のくずれた非線形なS字となるので、光ビーム107aで正確に情報面L0、L1を検出することは困難となる。よってUP時は、特にS字の検出処理は省略し、迅速に最接近点Hまで収束レンズ105を再度上昇させる(ステップS12)。その際、先のレンズDOWN時に計測した第2層のS字Q2の振幅値、及び第1層のS字Q1の振幅値より、各層でそれぞれ適正なフォーカスゲインを算出し、ゲイン切り換え回路122の設定値を、DSP129内のRAM(図示せず)に格納する。またその切り換えたゲイン値になったときのS字振幅を計算して、その振幅の10〜30%の値を引き込みレベルとして設定する。この算出した第1層L0、第2層L1の引き込みレベルも、先に述べたS字振幅と同様に、DSP129内のRAMに格納する(ステップS13、S14)。
その後、最接近点Hから収束レンズ105を降下させたとき、光ビーム107aが、最初に検出する2層目L1に対応するフォーカスゲイン値,及び引き込みレベルを、ゲイン切り換え部122,及びレベル判定部207に設定する(ステップS15、S16)。設定後、収束レンズ105をDOWN(ステップS17)させて、FEをサンプリング(ステップS18)し、設定されている引き込みレベルとFEを比較していく。引き込みレベルに到達,あるいはオーバしたとき、引き込みレベルを検出した(ステップS19)と判断し、UP/DOWN信号を停止して(ステップS20)レンズの降下を止め、FCON,すなわちスイッチ201をON、スイッチ204のA,C間をONしてフォーカスループを閉じる(ステップS21)ことで、フォーカスの引き込みを達成する。
このように、光ビームの収束点が最初に到達する情報面L1で常にフォーカス引き込みを行った後、隣接した所定の記録再生面へ移動していき、信号の記録再生を行うわけであるが、その層間の移動方法については、後の第1の実施の形態のところで説明する。
また、上記したようにステップ13,ステップ14でL0,L1に対応したS字信号を計測し、その振幅値に応じたゲイン切り換え部122の設定値をRAMに格納し、その設定値に切り換えて所定の振幅になったときのL0,L1層の引き込みレベルを算出している。この格納したL0,L1のゲイン設定値はフォーカスジャンピングの際に目的の情報面に対してそれぞれ設定される。また、S字信号の振幅のほかに、ASあるいはRFといった反射光量に比例した信号の振幅を計測しても同様にゲイン切り換え部の設定値を求めることができる。以上のことは、後の実施の形態2,及び3で詳細に説明する。
このようにこの引き込み方法では、メカ的な中立点から一旦最接近点HにUPした後、最離間点Aまで離間してS字の振幅を計測して、ゲイン等の学習を実行してさらに再度最接近点HまでUPし、最接近点Hより離間して最初に現れる情報面L1のS字を検出して、常に情報面L1にフォーカス制御を引き込むようにしている。
ここで、メカ的中立点を基準として一旦最離間点AにDOWNして、A点より最接近点HまでUPしていくときにFE上に現れるS字を検出して、ゲインを学習する。そして最接近点HよりDOWNして離間させたときに最初に現れる情報面L1のS字を検出して、情報面L1にフォーカス制御を引き込むように構成すれば、引き込みに要する時間を短縮することができる。
このように2層,あるいは多層ディスクの場合は、常に収束レンズから最も遠い情報面に引き込むようにし、その後、必要に応じてあとで説明する第1の実施の形態のフォーカスジャンピング手段により情報面の移動を行うようにすれば、安定にフォーカスを引き込むことができ、かつ所望の情報面へ移動することが可能である。
以上で説明した引き込み方法を用いれば、基材厚の異なるディスクに対応した2焦点の光学系の記録再生装置において、基材厚の異なる2層あるいは多層ディスクが装着されても、それぞれに対応した上下の光ビームで正確にS字を検出、計測し、ゲイン切り換え、引き込みレベル学習を行うことにより、確実に最初に検出した記録再生面に引き込むことができる。
実施の形態1.
次に本発明の実施の形態1による光ディスク装置において、ある情報面から別の情報面に移動するためのフォーカスジャンピング動作について、図1、図2,及び図10〜図12,図18,図23を用いて説明する。ここでは特にL0,L1の2つの層の情報面をもつ2層ディスクを用いて説明する。ただし、本実施の形態は2層以上の情報面を持つディスクについても適用できることは明らかであり、この2層の情報面をもつものの説明によって何ら限定を受けるものではない。
図10は、図1のDSP129におけるトラッキング制御の部分を詳細に示したブロック図、図11は、L0からL1へ、L1からL0へフォーカスジャンピンクを実行したときのFE信号、波形生成部で生成され,フォーカス制御系に印加される正負のパルス状の信号FEJMPパルス、及びTE信号を示す波形図である。
さらに図18は、図11におけるL0からL1へフォーカスジャンプしたときの,ディスクと収束レンズ(光ビーム)の相対位置と、FE信号とフォーカスジャンプパルス信号FEJMPの関係を示す波形図であり、図23は、FE信号がそれぞれ図18の、A,B,C,D,E,F,G,H,I点にあるときの光検出器で検出する検出スポットを、それぞれ図(a) ,(b) ,(c) ,(d) ,(e) ,(f) ,(g) ,(h) ,(i) に示す図である。
まず、図18を用いて本実施の形態1の基本動作について説明する。
図18に示すように、収束レンズを2層ディスクに近づけていくと、光ビームの合焦点が情報面L0,L1を通過し、そのときFE信号には2周期の正弦波状のS字信号が現れる。
ここでL0,L1の反射率であるが、L0が約30%、L1が約70%として、L0,L1からの戻り光量をほぼ等しくして、性能を等価になるように設計するのが望ましい。またL0,L1の間隔は約40μmで、S字信号の現れる範囲が各情報面の上下の7〜10μmの範囲であるのに比べ大きくとることで、それぞれの情報面からの反射光によって生成されるS字信号が、他の情報面からの反射光量の影響を受けないようにしている。
光ビームの合焦点がL0に近づいていくと、L0からの反射光が増してくるので、FEは略0レベル(A点)より−極性に振幅が増加していき、B点をピークに−極性の振幅が減少し、再び0レベルに近づいていき、0レベルになったとき(C点)、光ビームの合焦点は情報面L0に位置している。光ビームの合焦点がL0を離れていくと、+極性に振幅が増加していき、D点をピークに+極性の振幅が減少して0レベル(E点)に戻る。
さらにL0を通過してL1層に近づいていくと、L0のときと同様にL1からの反射光が増してくるので、FEは略0レベル(E点)より−極性に振幅が増加していき、F点をピークに−極性の振幅が減少し、再び0レベルに近づいていき、0レベルになったとき(G点)、光ビームの合焦点は情報面L1に位置している。光ビームの合焦点がL1を離れていくと、+極性に振幅が増加していき、H点をピークに+極性の振幅が減少して0レベル(I点)に戻る。以上のように光ビームの合焦点がL0,L1を通過することにより、図18に示すような2周期のS字信号が現れる。
またL0からL1へフォーカスジャンピングをする場合は、トラッキング制御をOFFし、フォーカス制御をホールドした状態で、フォーカス制御系に図18に示すようなパルス状の加速パルス,減速パルス信号を印加する。例えばL0の情報面(C点の位置)に追従するように、フォーカス制御が動作しているときに、フォーカス制御をホールドして、+極性の所定の振幅値をもつ加速信号を時間tの間印加する。この加速信号によって光ビームは、情報面L0から情報面L1へ向かって移動を開始する。加速信号は、L1に到達する前に0にしても、光ビームは慣性力によってL1へ移動していく。前述したように、このときFE信号には、L0の+側と、L1の−側のS字信号(それぞれD,E点間と、E,F点間のS字)が現れて、情報面L1に到達する。
このとき、光ビームの情報面L1到達時点での移動速度を十分減速し、フォーカス制御を再動作させたとき安定に引き込めるように、S字がL0からL1の間でほぼ0となるE点の位置、すなわち情報面L0とL1のほぼ中間の位置で、加速信号と逆の−極性の所定の振幅値をもつ減速信号を、光ビームがL1に到達したG点,あるいはわずかに通過したR0点まで印加し、光ビームの移動速度を減速する。なお、ディスクの面ふれ等の影響で、上記FEのS字信号の振幅はE点付近でばらつくので、上記減速パルスは、光ビームが情報面L1をわずかに通過した点にフォーカス制御の引き込みレベルを設けて、この引き込みレベルを検出したタイミングで上記減速パルスを0にして、速やかにフォーカス制御を動作させるようにする。これによって、光ビームは情報面L1(G点の位置)に対して追従するようになり、フォーカスジャンプが完了する。よって、図11に示すように、加速,減速信号を、その極性を切り換えて印加するようにすると、L0からL1に、またL1からL0に安定に移動することができる。
図12は、DSP129で実現されるこのフォーカスジャンピングの処理のさらに詳細な流れを示すフローチャートである。以下この図12,及び図11を用いて説明する。
第1層目L0から第2層目L1へ移動する場合、あるいは第2層目L1から第1層目L2に移動する場合、先に説明したフォーカス引き込み処理と同様に、DSP129内のソフトウェアによる処理により、波形生成部207でパルス状の信号FOJMPを制御系に印加して、情報面から情報面へジャンプするフォーカスジャンピング動作により、これを実現する。
例えばL0からL1に移動する場合は、図12のステップS1で、図10におけるスイッチ301をOFFして、トラッキング制御をOFF(TROF)にし、ステップS2で、図2におけるスイッチ204のB,C間をONして、HOLD部208によってフォーカスの駆動信号をホールド(FO駆動ホールド)する。
次に、ステップS3で、図2における波形生成部207においてジャンピングパルス(FEJMPパルス)の加速パルスA0を生成し、図2におけるスイッチ204を通じて、DA変換器209,駆動回路131を介し、フォーカスアクチュエータ104に印加する。印加する加速パルスのパルス幅,及び波高値は、フォーカスアクチュエータ104の感度,及びディスク101の面ふれ加速度に応じて設定する。所定のパルスがフォーカス制御系に印加されると、収束レンズ105は上側,すなわちL1の方向に向かって移動し始め、それにともなってFE信号は、図11の左側に示すようなS字信号があらわれてくる。
ステップS4にて、S字信号が基準レベル0に達したこと、すなわちFEのゼロクロス(あるいはその近傍の振幅レベル)を検出すると、ステップS5,S6で、ゲイン切り換え回路122のゲイン設定値をL1の状態に切り換え、レベル判定部206で設定するフォーカスの引き込みレベルを、L1の引き込みレベルに設定する。これによって、L1のS字信号,および引き込みレベルを正しく検出することができる。さらにステップS7で、加速パルスと同様に波形生成部207において生成した減速パルスB0を印加する。この減速パルスによって、L1方向に移動中の収束レンズに対してブレーキがかかった状態となり、FE信号がL1の引き込みレベルR0に達したとき(ステップS8でYのとき)は、ちょうど収束レンズの移動速度が最小の(0に近い)状態になっている。このとき、減速パルスの出力を停止し、直ちに図2におけるスイッチ204をA,C間がONの状態に切り換えて(駆動ホールドOFF)、フォーカス制御を動作状態(FO制御ON)にすることにより、引き込みレベルR0点付近では、フォーカスを安定に引き込むことができる(ステップS8,S9)。その後、図11中のU0までの区間で、TE信号(あるいはRF信号)の出力から、その出力が所定値を越えたことにより、フォーカスが正常に引き込んだことを確認する(ステップS10,S11)。最後に、ステップS12で、図11中のU0点において、図10におけるスイッチ301をONして、トラッキング制御を動作状態にして、所定のトラック、セクタ番地を検索して、処理を終了する。
また、加速パルスの時間幅としては、一定時間tを,減速パルスの時間幅としては、L0からL1のほぼ中間からL1に到達するまでの時間幅を,それぞれ設定するように説明したが、これは、以下のようにしてもよい。即ち、S字の振幅を、その極大値,極小値の形でRAMに格納し、その極大値,極小値の所定の割合(60%〜80%ぐらいが適当である)のレベルを、コンパレータレベルとし、サンプリングしているFE信号が、そのコンパレータレベルより大きくなった後小さくなること、あるいは小さくなった後大きくなることで、上記S字の極大値、極小値を検出するようにし、この方法で極大値を検出したときに、加速パルスを停止して減速パルスを出力し、極小値を検出したときに減速パルスを停止してフォーカス制御を動作させるように構成すれば、加速,減速のタイミングを、上記設定するコンパレータレベルによって自由に切り換えることができ、特に上記タイミングをフォーカスアクチュエータ104の性能の範囲で適当に早めることにより、面ふれによる位置ずれの影響を大きく低減することができ、さらに高速な移動を行うことが可能となる。
以上のように本実施の形態1によれば、フォーカスジャンピング手段により、フォーカス制御をホールドした状態で、極性の異なる加速信号,あるいは減速信号を収束レンズ駆動手段に印加して、光ビームを2層の情報面間で移動させ、さらに目的の情報面に到達,あるいはわずかに通過したことを、FE信号の振幅レベルによって、即ち、光ビームの収束状態検出手段の出力によって検出し、フォーカス制御を動作させることにより、2層,あるいは多層ディスクの各情報面の移動を、高速,かつ安定に行うことができる。
実施の形態2.
次に、本発明の実施の形態2による光ディスク装置は、ディスク等のばらつきに対して、フォーカスジャンピングを安定に動作させることができるようにしたもので、以下そのための構成と、その動作について説明する。
前述したように、ここで、L0,L1の反射率をコントロールして、L0,L1からの戻り光量がほぼ等しくなるように設計するのが望ましいが、ディスクの材質のばらつき、あるいはL0,L1の間の中間層のばらつきによって、実際には、L0,L1からの戻り光量がばらつくこととなる。この戻り光量のばらつきは、そのままFE信号,AS信号,あるいはRF信号のばらつきとなって現れる。
FE信号の振幅がばらつくと、フォーカスジャンプで情報面を移った際、フォーカス制御系のゲインが変動して、引き込みが不安定になったり、さらにばらつきが大きくなったりすると、目的の情報面を通過したことを検出する引き込みレベルを、誤検出したり、検出できなくなったりして、安定な移動を行うことが不可能となる。
そこで、図8に示すように、2層ディスクにフォーカスを引き込む際にも現れるL0,L1に対応する2つのFE信号のS字の振幅値を計測し、その各計測値に基づいてL1、L0で所定の振幅になるように図2中のゲイン切り換え部121のFE信号のゲインを切り換える。さらに図2における,DSP129内のRAMにこの計測した振幅値あるいは、その計測値に基づいたゲイン切り換え部121の設定値を格納しておき、フォーカスジャンピングした際、図12のステップS5,S6でそれぞれの情報面のその記憶したS字の振幅値に基づいた設定値に切り換える。さらにフォーカス制御の引き込みレベルを、ゲイン切り換え後のFE信号のS字振幅に対応して、レベル判定部206に設定するようにする。
例えば、2層ディスクの中間層の厚みが非常に厚くばらつくと、L0に比べてL1の反射光量が非常に下がってしまう。よってL0のS字はほぼ所定の振幅で、L1のS字の振幅は通常よりも小さくなる。このL0、L1のS字振幅をフォーカスの引き込み時に計測格納して、L0からL1へのフォーカスジャンピングの際には、この記憶したL1のS字振幅が、所定の振幅になるようにゲインを図2におけるゲイン切り換え器121の設定ゲインを大きくする。
このように、2層,あるいは多層ディスクの各情報面からの戻り光量がばらついて、FE信号のS字の振幅がそれぞれ変わったとしても、あるいはディスク,装置,ヘッドごとにS字振幅等がばらついたとしても、DSP129内のRAMにFE信号の各S字信号の振幅値あるいは、その振幅に基づいたゲイン切り換え部121の設定値を格納し、その格納値を、フォーカスジャンピングを動作させる際に設定することにより、このばらつきに十分対応して、引き込みを行うことができる。
さらに、起動時の引き込みにおけるレンズ移動速度と、フォーカスジャンピング時のレンズ移動速度とは相違している(通常は引き込み時に比べてフォーカスジャンピング時が高速である。)ので、このレンズ移動速度の相違を考慮して起動時に各情報面を通過したときに計測し格納した、FE信号のS字振幅を基にゲイン切り換え器121のFEゲインを切り換え、さらにその切り換えた後、略略所定の振幅となったS字信号に対して、フォーカスジャンピング時の引き込みレベルを起動時のフォーカス引き込みレベルとは異なるレベルに設定する。これによってさらに安定な引き込みを実現することができる。
以上のように、本実施の形態2によれば、光ビームを記録担体から遠ざけるように,あるいは近づけるように移動手段を駆動して、第1、第2の情報面を通過させた際に得られる,光ビームの記録担体上での収束状態を検出する信号を記憶する記憶手段を備え、フォーカスジャンピング手段によりフォーカスジャンピングさせる際に、フォーカス制御手段のゲインを、上記収束状態検出信号記憶手段に記憶されている値に応じて、切り替えるようにし、また、該ゲインを切り換えたフォーカス制御手段の出力信号に応じて、上記フォーカスジャンピングする際のフォーカス制御の引き込みレベルを、設定するようにしたので、2層,あるいは多層ディスクの各情報面からの戻り光量のばらつき、あるいはディスク,装置,ヘッドごとのS字振幅のばらつき等に対しても、これに十分対応して、フォーカスジャンピングを安定に動作させることができる。
さらに、起動時の引き込みにおけるレンズ速度と、フォーカスジャンピング時のレンズ速度とを考慮して、起動時に格納した、FE信号のS字振幅を基に、フォーカスジャンピング時における引き込みレベルを計算し、該引き込みレベルを独自に設けるようにすれば、さらに安定な引き込みを実現することができる。
実施の形態3.
次に本発明の実施の形態3として、上記実施の形態2と同様に、ディスク等のばらつきに対して、フォーカスジャンピングを安定に動作させるための構成と、その動作について説明する。
ところで、実際にはL0,L1からの戻り光量のばらつきは、そのままFE信号,AS信号,あるいはRF信号の振幅のばらつきとなって現れるので、AS信号,あるいはRF信号,またはそのエンベロープ検波信号の振幅は、FE信号の振幅と比例することとなる。従って、FE信号の振幅は、AS信号,あるいはRF信号,またはそのエンベロープ検波信号の振幅より、容易に推定することができることとなる。
従って、本実施の形態3においては、2層ディスクにフォーカスを引き込む際に、FE信号のS字信号と同期して現れるL0,L1に対応する2つのAS信号(図示せず,図4参照),あるいはRF信号のS字信号の振幅値を計測し、その各計測値に基づいてL1、L0で所定の振幅になるように図2中のゲイン切り換え部121のFE信号のゲインを切り換える。さらに図2における,DSP129内のRAMにこの計測したAS信号,あるいはRF信号,またはそのエンベロープ検波信号の振幅より推定したFEの振幅値あるいは、その振幅値に基づいたゲイン切り換え部121の設定値を格納しておき、フォーカスジャンピングした際、図12のステップS5,S6でそれぞれの情報面のその記憶したS字の振幅値に基づいた設定値に切り換える。さらにフォーカス制御の引き込みレベルを、ゲイン切り換え後のFE信号のS字振幅に対応して、設定するようにする。
さらに引き込みレベルを、ゲイン切り換え後のFE信号のS字振幅に対応して、設定するようにしたことにより、上記実施の形態2におけると同様に、フォーカスジャンピングを安定に動作させることができる。
即ち、2層,あるいは多層ディスクの各情報面からの戻り光量がばらついて、S字の振幅がそれぞれ変わったとしても、あるいはディスク,装置,ヘッドごとのS字振幅のばらつきがあったとしても、各S字信号に比例したASあるいはRFあるいはRFエンベロープ信号を計測し、その計測値あるいは計測値に基づいたゲイン切り換え部121の設定値をDSP129内のRAMに格納し、その格納値を、フォーカスジャンプを動作させる際に設定することにより、このばらつきに十分対応して、引き込みを行うことができる。
さらに、起動時の引き込みにおけるレンズ速度と、フォーカスジャンピング時のレンズ速度とを考慮して、起動時に格納した、FE信号のS字振幅を基に、フォーカスジャンピング時における引き込みレベルを計算し、該引き込みレベルを独自に設けるようにすれば、さらに安定な引き込みを実現することができる。
また、フォーカスジャンピング時にサンプリングするFE信号を、これを、図1における加算器116と117の出力の和、すなわち全光量信号ASで割り算した信号にする、あるいはゲイン切り換え回路121の設定ゲインを、上記全光量信号ASの振幅に応じて常時切り換えられた信号となるようにすれば、L1,L0,あるいはディスクの内,中,外周での反射率が大きくばらついても、さらに正確にジャンプ先の情報面の引き込みレベルを検出することができる。
なお、L1からL0に移動する場合は、FE信号,あるいはFEJMPパルスは、図11の右側のようになるが、この場合も、上記と同様の手順,処理を行うことにより、全く同様に、フォーカスジャンピングを実現することができる。
また、上記の説明では、図2におけるD/A変換器209に入力される制御信号,すなわちFEの駆動信号を、ホールドしてジャンピングするように構成しているが、面ふれが大きい場合などは、図2におけるスイッチ201に入力されるFE信号を、信号高域阻止フィルタでノイズ成分を除去し、その信号をジャンピング中ホールドして、D/A変換器209より駆動回路131に出力するように構成してもよく、この場合、面ふれによる位置誤差による不安定要素を、吸収することができる。
以上のように、本実施の形態3によれば、光ビームを記録担体から遠ざけるように,あるいは近づけるように移動手段を駆動して、第1,第2の情報面を通過させた際に得られる、光ビームの収束状態を検出した信号を記憶する収束状態検出信号記憶手段を備え、フォーカスジャンピング手段によりフォーカスジャンピングさせる際に、S字振幅を切り換えるFEのゲインを、上記収束状態検出信号記憶手段に記憶したAS信号,あるいはRF信号,またはそのエンベロープ検波信号の振幅より推定したFEの振幅値に基づいた値に設定し、フォーカス制御の引き込みレベルを、ゲイン切り換え後のFE信号のS字振幅に対応して、設定するようにしたので、2層,あるいは多層ディスクの各情報面からの戻り光量がばらついて、S字の振幅がそれぞれ変わったとしても、また、ディスク,あるいは装置,ヘッドごとにFE信号のS字振幅等がばらついたとしても、このばらつきに対しても安定にフォーカスジャンピングを安定に動作させることができる。
さらに、起動時の引き込みにおけるレンズ速度と、フォーカスジャンピング時のレンズ速度を考慮して、起動時に各情報面を通過したときに計測し格納した、振幅と、AS信号,あるいはRF信号,またはそのエンベロープ検波信号の振幅を基に、ゲインを切り換え、切り換え後のフォーカスジャンピング時における引き込みレベルの値を計算して、該引き込みレベルを独自に設けるようにすれば、さらに安定な引き込みを実現することができる。
さらに、情報面上に照射されている光ビームの収束状態を検出する信号の振幅を、情報面からの反射光量を検出した信号の振幅で除算し、その除算した結果に基づいて、移動手段を駆動し第1の情報面から第2の情報面へのジャッピングを行うようにすれば、ディスクの内,中,外周での反射率が大きくばらついても、正確にジャンプ先の情報面の引き込みレベルを検出することができ、正確なフォーカスジャンピングを実現することができる。
実施の形態4.
上述のようなフォーカスジャンピングを行う際の,加速パルス,及び減速パルスの波高値は、フォーカスアクチュエータ104の感度,及び面ふれや、外部からの振動等を考慮し、フォーカスジャンピングの安定性を確保することができるように設定する必要がある。
光ディスク装置が、ディスクを水平に設置する水平設置タイプである場合、収束レンズ105の移動加速度は、その加速方向が下方から上方の場合は、(フォーカスアクチュエータ104が駆動する収束レンズ105の移動加速度が+1G(Gは重力加速度))、その加速方向が上方から下方の場合は、(フォーカスアクチュエータ104が駆動する収束レンズ105の移動加速度が−1G)となるので、収束レンズの移動速度は、その影響を受け、下方から上方への移動の場合は遅くなり、上方から下方への移動の場合は速くなる。
よって、この差を打ち消し、安定なジャンピング動作を実現できるようにするために、本実施の形態4は、それぞれの加速パルスA0,A1を、上方から下方(L1からL0)への移動の場合と、下方から上方(L0からL1)への移動の場合とで、その波高値を変えるようにしたものである。すなわち、下方から上方(L0からL1)への移動の場合の加速パルスA0の波高値を、上方から下方(L1からL0)への移動の場合の加速パルスA1の波高値よりも、大きくするようにしたものである。
また、加速パルスの波高値の代わりに、加速パルスの時間幅の設定を変えるようにしてもよく、下方から上方(L0からL1)への移動の場合の加速パルスA0の時間幅を、上方から下方(L1からL0)への移動の場合の加速パルスA1の時間幅よりも、長くなるように設定してもよい。
また、加速パルスの波高値,あるいは時間幅を単独でコントロールするのではなく、加速パルスの波高値と時間幅の積を、下方から上方(L0からL1)への移動の場合に、上方から下方(L1からL0)への移動の場合より、大きくなるように設定してもよい。
そして、上記いずれの場合においても、下方から上方へと、上方から下方への移動時の移動加速度の差を、ほぼ2Gとなるように設定すれば、いずれの移動方向においても、フォーカスジャンピングの安定性を確保することが可能となる。
以上のように、本実施の形態4によれば、フォーカスジャンピング手段を、光ビームの収束点を記録担体の一方の情報面から他方の情報面へ向けて移動させる加速信号を発生する加速手段と、光ビームの収束点の移動速度を減速する減速手段とで構成し、記録担体面が水平となるように設置されている場合に、下方から上方への移動時の加速信号の波高値と時間幅の積の値を、上方から下方への移動時のそれより大きく、あるいは下方から上方への移動時の加速信号の波高値を、上方から下方への移動時のそれより大きく、あるいは下方から上方への移動時の加速信号の時間幅を、上方から下方への移動時のそれより長くしたので、いずれの移動方向においても、フォーカスジャンピングの安定性を確保することが可能となる効果がある。
実施の形態5.
光ディスク装置が、上記実施の形態4と同様、水平設置のタイプである場合、加速パルスの波高値,あるいは時間幅、あるいはその両者の積の値ではなく、減速パルスのそれらの値の設定を、コントロールしてもよく、上記実施の形態4と同様の効果を得ることができる。
即ち、本実施の形態5においては、それぞれの減速パルスB0,B1は上方から下方(L1からL0)への移動の場合と、下方から上方(L0からL1)への移動の場合とで、波高値を変えるようにする。すなわち、下方から上方(L0からL1)への移動の場合の減速パルスB0の波高値は、上方から下方(L1からL0)へ移動する場合の減速パルスB1の波高値よりも、小さくなるようにする。
また、減速パルスの波高値の代わりに、減速パルスの時間幅の設定を変えるようにしてもよく、下方から上方(L0からL1)への移動の場合の減速パルスB0の時間幅を、上方から下方(L1からL0)への移動の場合の減速パルスB1の時間幅よりも、短くなるようにする。
また、減速パルスの波高値,あるいは時間幅を単独でコントロールするのではなく、減速パルスの波高値と時間幅との積が、下方から上方(L0からL1)への移動の場合に、上方から下方(L1から1L0)への移動の場合より、小さくなるように設定してもよい。
そして、上記いずれの場合においても、下方から上方へと、上方から下方への移動時の移動加速度の差を、ほぼ2Gとなるように設定すれば、いずれの移動方向においても、フォーカスジャンピングの安定性を確保することが可能となる。
以上のように、本実施の形態5によれば、フォーカスジャンピング手段を、光ビームの収束点を上記記録担体の一方の情報面から他方の情報面へ向けて移動させる加速信号を発生する加速手段と、光ビームの収束点の移動速度を減速する減速手段とで構成し、記録担体面が水平となるように設置されている場合に、下方から上方への移動時の減速信号の波高値と時間幅の積の値を、上方から下方への移動時のそれより小さく、あるいは下方から上方への移動時の減速信号の波高値を、上方から下方への移動時のそれより小さく、あるいは下方から上方への移動時の減速信号の時間幅を、上方から下方への移動時のそれより短くしたので、いずれの移動方向においても、フォーカスジャンピングの安定性を確保することが可能となる効果がある。
実施の形態6.
本実施の形態6による光ディスク装置は、水平垂直設置兼用タイプ、即ち、ディスクを水平に設置する機構と、ディスクを垂直に設置する機構とをともに有するタイプの装置に関するもので、フォーカス制御ON(FO制御ON)後のフォーカスアチュエータ104の駆動電流の直流成分,すなわちDA変換器209の入力部分の直流値を検出して、この値の大小によって、ディスクが水平設置か垂直設置かを判定し、その判定結果に応じて、加速パルス,及び減速パルスを、それぞれの設置状態における各最適値に切り換えるように構成したものである。これにより、ディスクの面振れが大きい場合や、フォーカスアクチュエータ感度等に余裕がない場合においても、フォーカスジャンピングを安定に実現することができるものである。
この場合に、ディスクが水平設置であると判断した場合は、例えば、加速パルス,及び減速パルスを、上記実施の形態4,5で説明したような設定値にすればよい。一方、ディスクが垂直設置であると判断した場合に、L0からL1への移動時の加速パルス,及び減速パルスの移動速度と、L1からL0への移動時の加速パルス,及び減速パルスの移動速度とは、同じ値でよいものとすると、この場合、水平設置の場合と比較すると、L0からL1への移動時は+Gの重力加速度,L1からL0への移動時は−Gの重力加速度の影響を受けるので、水平設置の場合の上方から下方へ移動速度は、垂直設置の場合の移動速度より速くなり、水平設置の場合の下方から上方の移動速度は、垂直の設置の場合の移動速度より遅くなる。
よってこの差を打ち消し、安定なジャンピング動作を実現するために、垂直設置,水平設置の場合のそれぞれの加速パルスA0V,A0Hを、下方から上方(L0からL1)への移動の場合に、波高値,あるいは時間幅を変えるようにする。
すなわち、水平設置での下方から上方(L0からL1)への移動の場合の,加速パルスA0Hの波高値と時間幅の積を、垂直設置での移動時(L0からL1への移動時もL1からL0への移動時も同じ)の,加速パルスA0Vの波高値と時間幅の積よりも大きくなるように設定する。
あるいは、水平設置,垂直設置の加速パルスを、時間幅は一定で、波高値のみを、水平設置で下方から上方(L0からL1)へ移動する場合を、垂直設置での移動時(L0からL1への移動時もL1からL0への移動時も同じ)より大きくする、あるいは水平設置,垂直設置の加速パルスを、波高値は一定で、時間幅のみを、水平設置で下方から上方(L0からL1)へ移動する場合を、垂直設置での移動時より大きくしてもよい。
これは、減速パルスを同様に制御しても同様の効果を得ることができる。
すなわち、水平設置での下方から上方(L0からL1)への移動の場合の,減速パルスA0Hの波高値と時間幅の積を、垂直設置での移動時(L0からL1への移動時もL1からL0への移動時も同じ)の減速パルスA0Vの波高値と時間幅の積よりも小さくなるように設定する。
あるいは、水平設置,垂直設置の減速パルスを、時間幅は一定で、波高値のみを、水平設置で下方から上方(L0からL1)へ移動する場合を、垂直設置での移動時(L0からL1への移動時もL1からL0への移動時も同じ)より小さくする、あるいは水平設置,垂直設置の加速パルスを、波高値は一定で、時間幅のみを、水平設置で下方から上方(L0からL1)へ移動する場合を、垂直設置での移動時より小さくしてもよい。
実施の形態7.
逆に、水平設置で上方から下方(L1からL0)への移動の場合には、垂直設置でのL1からL0への移動に対して−1Gの重力加速度の影響を受けるので、水平設置での上方から下方へ移動の場合の移動速度は、垂直設置でのL1からL0への移動速度より速くなる。
よってこの差を打ち消し、安定なジャンピング動作を実現するために、本実施の形態7は、垂直設置、水平設置も場合のそれぞれの加速パルスA0V、A0Hを、上方から下方(L0からL1)へ移動の場合にも、波高値,あるいは時間幅を変えるようにしたものである。
すなわち、水平設置での上方から下方(L0からL1)への移動時の加速パルスA0Hの波高値と時間幅の積を、垂直設置での移動時(L0からL1への移動時もL1からL0への移動時も同じ)の加速パルスA0Vの波高値と時間幅の積よりも小さく設定する。
また、水平設置,垂直設置の加速パルスを、時間幅は一定で、波高値のみを、水平設置で上方から下方(L1からL0)へ移動する場合を、垂直設置での移動時(L0からL1への移動時もL1からL0への移動時も同じ)より大きくする、あるいは水平設置,垂直設置の加速パルスを、波高値は一定で、時間幅のみを、水平設置で上方から下方(L1からL0)へ移動する場合を、垂直設置での移動時より大きくしてもよい。
これは、減速パルスを同様に制御しても同様の効果を得ることができる。
すなわち、水平設置での上方から下方(L1からL0)への移動の場合の,減速パルスA0Hの波高値と時間幅の積を、垂直設置での移動時(L0からL1への移動時もL1からL0への移動時も同じ)の減速パルスA0Vの波高値と時間幅の積よりも小さくなるように設定する。
あるいは、水平設置,垂直設置の減速パルスを、時間幅は一定で、波高値のみを、水平設置で上方から下方(L1からL0)へ移動する場合を、垂直設置での移動時(L0からL1への移動時もL1からL0への移動時も同じ)より小さくする、あるいは水平設置,垂直設置の加速パルスを、波高値は一定で、時間幅のみを、水平設置で上方から下方(L1からL0)へ移動する場合を、垂直設置での移動時より小さくしてもよい。
また先に説明したフォーカスの引き込み方法では、装置の起動時、再起動時には、必ず最初に2層ディスクでのL1層,すなわち光ビームの発光側に最も遠い情報面で引き込むこととなる。よって同様にこの引き込んだ層を最初の基準とすると、装置起動時の1回目のフォーカスジャンピングをする方向が決定される。
すなわち、最初にフォーカス制御を引き込んで1回目のフォーカスジャンピングによって移動する方向は、常に2層ディスクのL0層,すなわち光ビームの発光側に近づく方向の隣接した情報面である。ここで外部からの衝撃等によって、偶然最初にフォーカス制御を引き込んだ情報面が正常な検出面でなかったような場合、あるいは一旦フォーカス制御を引き込んだ後、別の情報面に飛んでしまったような場合には、2層ディスクの場合は、上述したとおりの所定のフォーカスジャンピングの方向に情報面はないので、フォーカス制御がはずれることとなり、再起動することにより復帰することができる。また、多層ディスクの場合は、引き込んだ情報面の位置によっては、いずれの方向にもフォーカスジャンピングによる移動が可能であるが、ジャンピングした後、トラッキングを引き込み、そこでのアドレス情報を,あるいは所定の情報トラックに移動し、そこに書いてあるレイヤ情報を読むことにより、現在の位置が正しくないことを認識することができる。よって、再起動,あるいはアドレス情報による補正ジャンピングを行うことによって、所定の情報面に復帰することができる。
さらに、アドレスが読めた状態で、現在フォーカス制御がかかっている情報面の番号を記憶しておくようにすれば、振動衝撃等によってフォーカス制御がはずれたり、別の情報面に引き込んでしまった場合にも、その記憶したアドレスをもとに、再生中,あるいは記録中であった情報面に、正確に復帰することができる。
実施の形態8.
次に、本発明の実施の形態8による光ディスク装置について説明する。
本実施の形態8は、検索時にデフォーカスをキャンセルし、安定な検索を実現するものであり、図1,及び図13、図14、図15、及び図16を用いて説明する。図13は、FEをピークホールド処理し、DSP129内でフォーカス制御を実現する部分を詳細に示したブロック図であり、図14は、検索処理を説明するための収束レンズ105,光ビーム107a,及びディスク101の位置関係を示した断面図、図15は、例えば図14の矢印方向Aに検索を実行したときのピークホールド前後のF+,F−,及びその差信号であるFEENV,及びFEの波形図、図16は、本実施の形態8を説明するために、図1の非点収差法によるFEの検出部分を拡大したブロック図である。
光検出器113をはじめとする光学素子の調整誤差等により、F+,F−のトラッククロスの変調信号のレベルがばらつく。よってF+,F−の差信号であるFEは、図15に示すように、そのばらつきだけトラッククロスの影響を受け、フォーカスずれ(デフォーカス)が生ずる。従って、検索中にはこのトラッククロスによる外乱が混入するので、フォーカスずれが発生してTE信号の振幅が低下したり、S/Nが悪くなったりして、光ビームのトラック方向の位置検出のためのTE信号のカウントが不可能となる。さらに、上記フォーカスずれ量、即ちデフォーカス量が大きくなると、フォーカス飛びが発生して、目的のトラックへの移動を行うことが困難になる。
図1に示されるように、光検出器113よりプリアンプ114,115を介して得られるF+,F−信号は、ピークホールド回路125a,及び125bによってF+,F−信号の上側(ディスク101のミラー側)のピークがホールドされ、図15におけるF+PH,F−PHのような検索時のトラッククロスの影響を受けない信号が生成される。この2つの信号の差を差動増幅器126でとることにより、図15に示されるFEENV信号が得られる。
このFEENV信号を、ゲイン切り換え部127を介し、これに最適なゲインを設定して所定の振幅にして、AD変換器128を介してDSP129に入力する。通常のフォーカス制御,及びフォーカス引き込み、フォーカスジャンピングは、応答性を十分必要とするので、該DSP129内のスイッチ401のB,C間をONにして従来と同様の処理を行い、検索中には、この検索中のみにFEに現れるトラッククロスの影響を除去する必要があるので、スイッチ401のA,C間がONになるようにする。このように、通常のトラッキング制御がONされている場合のフォーカス制御によるFE信号と、検索中のフォーカス制御の下で入力するFE信号とを切り替えることにより、トラッククロスの影響によるデフォーカスを抑制し、検索中のカウント誤差やフォーカス飛びを防止し、安定な検索性能を確保することができる。
なお、本実施の形態8では、FEの検出方法として非点収差法を用いた場合を例にとって述べたが、本実施の形態は、他の検出方法を用いた場合にも同様に適用することができる。ただし、特に本実施の形態8で説明した図15のような非点収差法によるFE検出の場合は、トラッククロスの影響が大きくなる傾向にあるため、その効果は非常に大きいものである。
以上のように、本実施の形態8によれば、検索手段により所望するトラックを検索する際に、光検出手段の2つの受光領域からの出力信号のピークレベルを検出し、両ピークレベル検出信号の差より情報面上に照射されている光ビームの収束状態を検出するように収束状態検出手段を構成したので、光学素子の調整誤差等により検索時に生ずるデフォーカスに対して、通常のトラッキング制御がONされている場合のによるFE信号と、検索中のフォーカス制御の下で入力するFE信号とを切り替えることにより、トラッククロスの影響によるデフォーカスを抑制して、検索中のカウント誤差やフォーカス飛びを防止することができ、安定な検索性能を確保することができる効果が得られる。
実施の形態9.
本発明の実施の形態9による光ディスク装置における,2層以上のディスクの偏心学習について、2層ディスクの場合を例にとって、図10,図25を用いて説明する。
図25(a) ,(b) は、ディスクの偏心学習時のTE,及びディスクモータのFG信号を示したものである。
装置の電源が投入され、該装置に2層ディスクが装着されると、ディスクモータ102を所定回転数で回転させる(DMON)。次に、半導体レーザ108を発光させ(LDON)、前述した動作で、下側の光ビーム107aで最初に検出できる2層ディスクの第2層目L1に、まずフォーカスを引き込む。L1にフォーカスを引き込んだ状態では、偏心の影響で、図25(a) に示すような正弦波状のトラッククロス信号がTE上に現れる。
ディスクモータのFGは、モータの回転に応じて1回転に所定パルス,図では10パルス,のパルス信号である。よって、DSP129は、モータ1回転(FG10パルス)の間のTEの本数を計測するために、FG10パルスを分周した1回転1パルスとし、その1パルスの期間の間の上記TE信号の0クロスを検出してその回数をカウントすることにより、ディスクの偏心量を計測する, 動作を行う。
ディスクモータのFGが、上記方法によって、情報面L1での偏心量Df1の計測を完了した後、DSP129は、内部の偏心メモリ306に、L1での偏心量Df1の情報を格納して、前述したフォーカスジャンピングによって、光ビームの合焦点をL0に移動する。
上記と同様に、情報面L0でトラッキング制御を不動作にし、フォーカス制御を動作状態にして、図25(b) に示すような正弦波状のトラッククロス信号から、DSP129はモータ1回転(FG10パルス)の期間の間のTEの本数を、例えば0クロスの回数をカウントして、上記ディスクの偏心量を計測する。情報面L0での偏心量の計測が完了した後、DSP129は、内部の偏心メモリ309に、L0での偏心量の情報を格納する。
L1,L0のそれぞれの情報面の偏心情報を、内部の偏心メモリ309に記憶すると、DSP129は、現在光ビームの制御がかかっている情報面に対応した偏心量を参照し、その量からモータのFG信号と、FGを分周した1回転信号に同期した正弦波状の補正信号(図25(b) 参照)を生成して、これを合成回路304を介してトラッキング制御系に加算して、偏心に対する追従性を向上させる。したがって、2層ディスクで、L0からL1に、あるいはL1からL0に移動しても、その目的の情報面に応じてフォーカスジャンプする際に、上記補正信号を生成する際に用いる,記憶した偏心情報を切り替えることによって、偏心に対して常に応答性の良いトラッキング制御系を構築することができる。
ところで、偏心の計測,補正については、他にも種々の方法が提案されているが、本実施の形態は、偏心の計測補正方法については、何ら上記で説明したものに限定されるものではない。
以上のように、本実施の形態9によれば、フォーカスジャンピング手段により情報面を飛び越し走査させて、記録担体の第1の情報面と第2の情報面におけるトラックの偏心に対応した偏心信号をそれぞれ記憶し、フォーカスジャンピング手段によって飛び越し走査する際に、飛び越しする情報面に対応する偏心記憶信号を、トラッキング制御手段の出力に加算する制御を行うようにしたので、2層ディスクで2つの情報面間を移動する際、その目的の情報面に応じて、フォーカスジャンプに際しての補正信号を生成するに用いる記憶した偏心情報を切り替えることによって、各情報面の偏心に対する追従性を向上させることができ、偏心に対して常に応答性の良い,トラッキング制御系を構築することができる。
実施の形態10.
本発明の実施の形態10による光ディスク装置における,2層以上のディスクのトラッキング制御のゲイン学習について、2層ディスクの場合を例にとって、図26を用いて説明する。
図26は、図1の全体ブロック図のうちの,本実施の形態10に関連するトラッキング制御系と、そのゲイン学習の部分について、DSP129の内部の構成を示すブロック図である。
装置の電源が投入され、2層ディスクが装着されると、ディスクモータ102を所定回転数で回転させる(DMON)。次に、半導体レーザ108を発光させ(LDON)、前述した動作で、下側の光ビーム107aで最初に検出できる2層ディスクの第2層目L1に、まずフォーカスを引き込む。その後、トラッキング制御をONし、トラッキング制御のゲイン学習を開始する。
DSP129内のゲイン計測部311は、トラッキング制御系にゲイン交点付近の周波数の外乱Aを印加して、その印加した後のトラッキングエラー信号TEと(位相補償器302の入力点の信号)と、トラッキング制御のループを一巡した信号(スイッチ301の出力の信号)を取り込み、その2つの信号より、オープンループのゲインGを算出し、その算出した現在のゲインより、所望のトラッキングゲインに対する補正量を算出し、それに応じた信号を、スイッチ312aを介して、ゲイン切換部303に加えて、所定のゲインに切り換える,動作を行う。
2層ディスクの場合は、情報面L1で計測した現在のゲインより、所望のトラッキングゲインに対する補正量を算出し、それに応じた切り換え値を、スイッチ312aを介して、ゲイン切換部303に加えて、所定のゲインに切り換えると同時に、ゲイン格納部312へその切り換え値を格納する。
上記方法によって、情報面L1でのゲインの計測と、切り換え値の格納が完了した後、前述したフォーカスジャンピングによって、光ビームの合焦点をL0に移動する。
上記と同様にして、情報面L0で計測した現在のゲインより、所望のトラッキングゲインに対する補正量を算出し、それに応じた切り換え値を、ゲイン切換部303に加えて、所定のゲインに切り換えると同時に、ゲイン格納部312へ、その切り換え値を格納する。
上記L0,L1の各々の情報面で、一度上記トラッキング制御ゲインの補正量を算出した後は、ゲイン格納部312には、上記L0,L1の各々の情報面での,該トラッキング制御ゲインの補正値である,ゲイン切り換え部303の切り換え値が格納されており、DSP129は、該ゲイン格納部312内の,現在光ビームの制御がかかっている情報面に対応したゲイン切り換え値を、スイッチ312aを介して、ゲイン切り換え部312に出力して、その情報面で最適なトラッキングゲインになるようにする。したがって、2層ディスクでL0からL1に、あるいはL1からL0に移動した場合にも、その目的の情報面に応じて、フォーカスジャンプする際に、トラッキングゲインを学習し、格納したそれぞれの情報面の最適値に切り換えることにより、いずれの情報面においても、安定なトラッキング制御系を構築することができる。
なお、本実施の形態10では、外乱を印加してその一巡伝達信号より直接ループゲインを求める方法を用いた場合について述べたが、本実施の形態は、他のゲインの計測方法を用いる場合においても、同様に適用することができる。
以上のように、本実施の形態10によれば、2層ディスクにおいて一方の情報面から他方の情報面に移動する際に、以前のフォーカスジャンピングでトラッキングゲインを学習し、今回のフォーカスジャンピングのトラッキングゲインを、その目的の情報面に応じて、それぞれの情報面の最適値に切り替えることにより、いずれの情報面においても、安定なトラッキング制御系を構築することができる。
実施の形態11.
本発明の実施の形態11による光ディスク装置における,2層以上のディスクのディスクのフォーカス制御のゲイン学習について、2層ディスクの場合を例にとって、図27を用いて説明する。
図27は、図1の全体ブロック図のうちの,本実施の形態11に関連するフォーカス制御系と、そのゲイン学習の部分について、DSP129の内部の構成を示すブロック図である。
装置の電源が投入され、2層ディスクが装着されると、ディスクモータ102を所定回転数で回転させる(DMON)。次に、半導体レーザ108を発光させ(LDON)、前述した動作で、下側の光ビーム107aで最初に検出できる2層ディスクの第2層目L1に、まずフォーカスを引き込む。その後、トラッキング制御をONし、フォーカス制御のゲイン学習を開始する。
DSP129内のゲイン計測部211は、フォーカス制御系にゲイン交点付近の周波数の外乱Bを印加して、その印加した後のフォーカスエラー信号FE(位相補償器202の入力の信号)と、フォーカス制御のループを一巡した信号(スイッチ201の出力の信号)を取り込み、その2つの信号より、オープンループのゲインを算出する。その算出した現在のゲインより、所望のフォーカスゲインに対する補正量を算出し、それに応じた信号を、スイッチ212aを介して、ゲイン切換部203に加えて、所定のゲインに切り換える,という動作を行う。
2層ディスクの場合は、情報面L1で計測した現在のゲインより、所望のフォーカスゲインに対する補正量を算出し、それに応じた切り換え値を、スイッチ212aを介して、ゲイン切換部203に加えて、所定のゲインに切り換えると同時に、ゲイン格納部212へ、その切り換え値を格納する。
上記方法によって、情報面L1でのゲインの計測と、切り換え値の格納とが完了した後、前述したフォーカスジャンピングによって、光ビームの合焦点をL0に移動する。
上記と同様にして、情報面L0で計測した現在のゲインより、所望のフォーカスゲインに対する補正量を算出し、それに応じた切り換え値を、スイッチ212aを介して、ゲイン切換部203に加えて、所定のゲインに切り換えると同時に、ゲイン格納部212へ、その切り換え値を格納する。
上記L0,L1の各々の情報面で、一度上記フォーカス制御ゲインの補正量を算出した後は、ゲイン格納部212には、L0,L1の各々の情報面のフォーカス制御ゲインの補正値である,ゲイン切り換え部303の切り換え値が格納され、DSP129は、現在光ビームの制御がかかっている情報面に対応したゲイン切り換え値を、スイッチ212aを介して、ゲイン切り換え部212に出力して、その情報面で最適なフォーカスゲインが得られるように制御を行う。したがって、2層ディスクで、L0からL1、L1からL0に移動した場合にも、その目的の情報面に応じてフォーカスジャンプする際に、フォーカスを学習し、格納したそれぞれの情報面の最適値に切り換えることにより、いずれの情報面においても、安定なフォーカス制御系を構築することができる。
なお、本実施の形態11の上記の説明は、外乱を印加してその一巡伝達信号より直接ループゲインを求める方法を用いた場合について述べたが、本実施の形態は、他のゲインの計測方法を用いる場合においても、同様に適用することができる。
以上のように、本実施の形態11によれば、2層ディスクにおいて一方の情報面から他方の情報面に移動する際に、以前のフォーカスジャンピングでフォーカスゲインを学習し、今回のフォーカスジャンピングのフォーカスゲインを、その目的の情報面に応じて、それぞれの情報面の最適値に切り替えることにより、いずれの情報面においても、安定なフォーカス制御系を構築することができる。
実施の形態12.
本発明の実施の形態12による光ディスク装置における,2層以上のディスクのディスクのフォーカス制御のオフセット学習について、2層ディスクの場合を例にとって、図28を用いて説明する。
図28は、図1の全体ブロック図のうちの,本実施の形態12に関連するフォーカス制御系と、そのオフセット学習の部分について、DSP129の内部の構成を示すブロック図である。
装置の電源が投入され、2層ディスクが装着されると、ディスクモータ102を所定回転数で回転させる(DMON)。次に、半導体レーザ108を発光させ(LDON)、前述した動作で、下側の光ビーム107aで最初に検出できる2層ディスクの第2層目L1に、まずフォーカスを引き込む。その後、トラッキング制御をONして、フォーカス制御のオフセット学習を開始する。
DSP129には、RFをエンベロープ検波したRFENV信号が入力されており、該DSP129は、そのRFENV信号の振幅を、フォーカス位置探索部213で計測し、その振幅が最大になるように、スイッチ214aを介して、合成回路204に信号を印加して、フォーカスオフセットを補正する,という動作を行う。
2層ディスクの場合は、情報面L1において、合成回路204に信号を加えてフォーカス位置を変化させながらRFENVを計測し、RFENVが最大になるようなフォーカス位置をフォーカス位置探索部213で探索し、そのオフセット補正値を求める。その求めたフォーカスオフセット補正値を、スイッチ214aを介して、合成回路204に出力してフォーカスオフセットを補正すると同時に、該フォーカスオフセット補正値を、フォーカスオフセット格納部214に格納する。
上記方法によって、情報面L1でのフォーカスオフセットの探索と、オフセット補正値の格納が完了した後、前述したフォーカスジャンピングによって、光ビームの合焦点をL0に移動する。
上記と同様にして、情報面L0で探索したフォーカス位置により、フォーカスオフセット補正値を算出し、スイッチ214aを介して、合成回路204に出力してフォーカス位置を補正すると同時に、該フォーカスオフセット補正値Cfo0 をフォーカスオフセット格納部214に格納する。
上記のようにして、それぞれ情報面L0,L1でのフォーカスオフセット補正値が探索された後は、上記フォーカスオフセット値格納部214には、L0,L1各々の情報面のフォーカス制御のオフセット補正値が格納されており、DSP129は、そのフォーカス制御を行う際に、現在光ビームの制御がかかっている情報面に対応したオフセット補正値を、フォーカスオフセット格納部214より読みだして、スイッチ214aを介して、合成回路204に出力して、その情報面に対応したオフセット補正を行い、正しい目標位置にフォーカス制御を行う。
したがって、2層ディスクで、L0からL1、L1からL0に移動した場合にも、その目的の情報面に応じて、フォーカスジャンプする際に、フォーカスオフセットを学習し、これを、格納したそれぞれの情報面の最適値に切り換えるので、いずれの情報面においても、安定なフォーカス制御性能を確保し、再生信号のマージンを拡大することができる。
ところで、本実施の形態12では、RFENV信号が最大になるような位置にL0,L1の各々のフォーカスオフセットを、補正学習するように構成しているが、これは、RFENV信号の振幅が等しくなる2点(RFENV信号が最大になるフォーカス位置が、その2点の中点に来るはずのため)の中点を、探索するように構成してもよい。
また、フォーカスオフセットを検出する信号としては、RFENV信号のほか、TE信号、再生信号のジッタ信号、再生信号のC/N、あるいはデータのエラーの数、またはエラーレートによっても、検出することが可能であり、本実施の形態は、このオフセットの検出方法において、何ら制限を受けるものではない。
以上のように、本実施の形態12によれば、2層ディスクにおいてフォーカスジャンピングさせる際,上記記録担体の第1の情報面と第2の情報面における上記フォーカス制御手段の所望の目標位置に対応するフォーカス制御のオフセット補正値を、それぞれフォーカス位置記憶手段に記憶しておき、今回、フォーカスジャンピングする際に、上記フォーカス制御手段の目標位置を、その目的の情報面に応じて、それぞれの情報面の最適値に切り替えることにより、いずれの情報面においても、安定なフォーカス制御系を構築することができる。
実施の形態13.
本発明の実施の形態13による光ディスク装置における,2層以上のディスクのディスクのトラッキング制御のオフセット学習について、2層ディスクの場合を例にとって、図29を用いて説明する。
図29は、図1の全体ブロック図のうちの,本実施の形態13に関連するトラッキング制御系と、そのオフセット学習の部分について、DSP129の内部の構成を示すブロック図である。
装置の電源が投入され、2層ディスクが装着されると、ディスクモータ102を所定回転数で回転させる(DMON)。次に、半導体レーザ108を発光させ(LDON)、前述した動作で、下側の光ビーム107aで最初に検出できる2層ディスクの第2層目L1に、まずフォーカスを引き込み、トラッキング制御のオフセット学習を開始する。
装置の電源が投入され、2層ディスクが装着されると、ディスクモ−タ102を所定回転数で回転させる(DMON)。次に、ステップS2で、半導体レ−ザ108を発光させ(LDON)、前述した動作で、下側の光ビーム107aで最初に検出できる2層ディスクの第2層目L1に、まずフォーカスを引き込む。
フォーカスを引き込んだ状態では、偏心の影響で、図25(a) に示すような正弦波状のトラッククロス信号が、TE上に現れる。
トラッキングオフセット補正部313は、この正弦波状のTEをサンプリングし、極大値と極小値を求め、その差分によりトラッキングのオフセットを求める。あるいは、TEをサンプリングし、その値を積分して、積分値によってオフセットを求めてもよい。該トラッキングオフセット補正部313は、該算出したオフセットにより、合成回路304に印加する補正値を求め、その補正値は、トラッキングオフセット補正部313中のRAMに格納するとともに、合成回路304に出力されるトラッキングのオフセットを補正する,という動作を行う。
上記方法によって、情報面L1でのトラッキングのオフセットの計測、及び補正値の格納が完了した後、前述したフォーカスジャンピングによって、光ビームの合焦点を、L0に移動する。
上記と同様に、情報面L0でトラッキング制御を不動作とし、フォーカス制御を動作状態にして、図25に示すような正弦波状のトラッククロス信号を、極大値、極小値の検出、あるいは積分によってオフセットを計測する。情報面L0のオフセットの計測が完了した後、トラッキングオフセット補正部313中の別のRAMに、L0でのオフセット補正値を格納する。
L1,L0のそれぞれの情報面のトラッキングオフセット補正値を、RAMに記憶すると、DSP129のトラッキングオフセット補正部313は、現在光ビームの制御がかかっている情報面に対応したオフセット補正値を選択し、即ち、現在光ビームの制御がかかっている情報面がL0のときはトラッキングオフセット補正値を、L1のときはを選択し、これを合成回路304に出力し、トラッキングオフセットの補正を行う。
したがって、2層ディスクで、L0からL1に、あるいはL1からL0に移動しても、その目的の情報面に応じて、フォーカスジャンプする際に、目的の層の情報面に対応したフォーカスオフセット補正値への設定を行うことにより、トラッキング制御系のオフセットを常に除去することができ、安定なトラッキング制御を構築することができる。
ところで、オフセットの計測,補正については、他にも種々の方法が提案されているが、本実施の形態は、オフセットの計測補正方法によっては、何ら制限を受けるものではない。
以上のように、本実施の形態13によれば、2層ディスクにおいてフォーカスジャンピングさせる際,上記記録担体の第1の情報面と第2の情報面における上記トラッキング制御手段の所望の目標位置に対応するトラッキングオフセット補正値を、それぞれトラッキング位置記憶手段に記憶しておき、今回、フォーカスジャンピングする際に、上記トラッキング制御手段の目標位置を、その目的の情報面に応じて、それぞれの情報面の最適値に切り替えることにより、いずれの情報面においても、安定なトラッキング制御系を構築することができる。
実施の形態14.
本発明の実施の形態14による光ディスク装置における,2層以上のディスクのディスクのトラッキング制御のオフセット学習について、2層ディスクの場合を例にとって、図24を用いて説明する。
図24は、図1の全体ブロック図のうちの,本実施の形態14に関連する位相差トラッキング制御系と、その位相差にともなうオフセット(以下、位相差オフセット,と称す)の補正の部分について、DSP129の内部と、その周辺の構成を示すブロック図である。
装置の電源が投入され、2層ディスクが装着されると、ディスクモータ102を所定回転数で回転させる(DMON)。次に、ステップS2で、半導体レーザ108を発光させ(LDON)、前述した動作で、下側の光ビーム107aで最初に検出できる2層ディスクの第2層目L1に、まずフォーカスを引き込む。フォーカスを引き込んだ状態では、偏心の影響で、図25に示すような,正弦波状のトラッククロス信号がTE上に現れる。
DSP129は、そのレンズシフト部317により、合成回路304に信号を印加し、トラッキングアクチュエータ103に強制的に電流を流してオフセットを与え、収束レンズ105を、約+300μmだけレンズシフトさせる。レンズシフトさせた状態で、対称性検出部318は、正弦波状のTEをサンプリングし、その極大値と極小値を求め、その差分により、レンズシフト+側のトラッキングの対称性Voff+を求める。あるいは、TEをサンプリングし、その値を積分して、積分値によって対称性を求めてもよい。
次に、レンズシフト部317の出力信号の極性を切り換え、約−300μmだけレンズシフトさせた状態で、対称性検出部318は、正弦波状上のTEをサンプリングし、極大値と極小値を求め、その差分により、レンズシフト−側のトラッキングの対称性Voff−を求める。あるいは、TEをサンプリングし、その値を積分して、積分値によって対称性を求めてもよい。
上記算出した正負のレンズシフトしたオフセットの差が最小になるように、可変遅延器315,316の遅延量(あるいは進み量)Pd1を切り換えていく。
上記最小となる遅延量が決定したら、その遅延量を設定するための出力値を、位相差補正量格納部319に記憶する。
上記方法によって、情報面L1での位相差トラッキングの位相差オフセットの補正値である,可変遅延器315,316の遅延量が設定され、該設定値の位相差補正量格納部319への格納が完了した後、前述したフォーカスジャンピングによって、光ビームの合焦点を、L0に移動する。
上記と同様に、情報面L0でトラッキング制御を不動作にし、フォーカス制御を動作状態にして、位相差オフセットの,補正する最適な遅延量Pd0を求める。
情報面L0における可変遅延器315,316の遅延量(あるいは進み量)Pd1, Pd0が決定したら、その遅延量を設定するための出力値を、位相差補正量格納部319に記憶する。
一度、L1,L0のそれぞれの情報面の,上記位相差トラッキングの位相差オフセットを補正するための可変遅延器315,316の設定値Pd1, Pd0を、位相差補正量格納部319に記憶すると、その後は、DSP129は、現在光ビームの制御がかかっている情報面に対応した遅延量を選択し、これをスイッチ319aを介して、可変遅延器315,316に設定する。
したがって、2層ディスクでL0からL1に、あるいはL1からL0に移動した場合にも、その目的の情報面に応じてフォーカスジャンプする際に、目的の層の情報面に対応した可変遅延器315,316の遅延量Pd1, Pd0を、設定することができるので、レンズシフトした場合のトラッキング制御系のオフセットを常に除去することができ、安定なトラッキング制御を構築することができる。
ところで、位相差オフセットの計測,及び補正については他にも種々の方法が提案されているが、本発明は、オフセットの計測補正方法によっては何ら限定をうけるものではない。
以上のように、本実施の形態14によれば、記録担体からの反射光を、分割された複数の領域で受光したときの,光検出手段の各受光領域の出力信号の位相関係に基づいて、情報面上の光ビームの収束点とトラックとの位置関係に対応した位相差トラックずれ信号を発生し、トラッキング制御手段は、該位相差トラックずれ検出手段の出力信号に応じて上記移動手段を駆動してトラッキング制御を行うものとし、フォーカスジャンピング手段により情報面を飛び越し走査を行わせ、記録担体の第1の情報面と第2の情報面における上記位相差トラックずれ検出手段の出力信号が所望の出力となるような,上記光検出手段の各受光領域における信号の進み量,あるい遅れ量を、位相キャンセル量として記憶し、フォーカスジャンピング手段によって飛び越し走査する際に、飛び越しする情報面に対応する位相キャンセル量記憶信号を、上記位相キャンセル量記憶手段より読み出して上記光検出手段の各受光領域の信号の遅延量,あるいは進み量を切り替えるように制御するようにしたので、2層ディスクで、2つの情報面間で移動しても、その目的の情報面に応じて、フォーカスジャンプする際に、目的の層の情報面に対応したフォーカスオフセット補正値への設定を行うことにより、トラッキング制御系のオフセットを常に除去することができ、安定なトラッキング制御を構築することができる。