JP4199864B2 - プラズマ処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体デバイス等の製造に利用されるドライエッチング等のプラズマ処理を行うプラズマ処理装置に関し、特に電磁波を用いて処理室内のガスを励起して発生させたプラズマを利用するプラズマ処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
処理室内のガスを電磁波を用いて励起し、発生したプラズマを利用して基板を処理するプラズマ処理装置においては、その誘電体から成る天板から基板面に向けてシャワー状に均一にガスを吹き出すように構成されている。
【0003】
この種のプラズマ処理装置の従来構成を図5に示す。図5において、上側の天板10の内部に設けたガス導入口4を通してガスを導入し、上下の天板10、12の間に設けた空間14にガスを一旦ため込む。この空間14にたまったガスが下側の天板12に設けたガス吹き出し穴11を通って処理室13内に均等な分布状態で吹き出すように構成されている。処理室13のガスは、天板10上に配設されたコイル1から発せられた電磁波によって励起され、生じたプラズマによって処理室13内の基板ステージ8上に載置された基板9が処理される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、プラズマ処理を行う場合、処理室内の目的の場所のみに均一にプラズマを生じさせることで、基板上の薄膜を均一に加工することができる。しかし、上記従来のガスの吹き出し方式では、天板に設けた空間14内にたまっているガスが電磁波により励起されて、意図しない場所である空間14にプラズマが発生する恐れがあるという問題があった。
【0005】
また、天板に設けた空間14にたまっているガスにより、下側の天板12は常にそのガス圧を受けることになり、従って下側の天板12にはそのガス圧に耐えることのできる素材あるいは板厚を選定することが要求されるという問題があった。
【0006】
そこで、上記問題を解決するために上下の天板の空間をできるだけ小さくする目的で、その空間をガス経路となる溝のみとすることが考えられるが、上側の天板に設けた溝及び下側の天板に設けたガス吹き出し穴の位置合わせのために両天板には相当の加工精度が要求され、加工及び組み付けコストが高くなるという問題がある。
【0007】
本発明は、上記従来の問題点に鑑み、基板面上へのガスの吹き出し分布を均一化できるとともに天板内での異常放電を抑制できかつ天板にかかる負荷を抑制でき、しかも天板の加工が容易となるプラズマ処理方法及び装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のプラズマ処理装置は、真空処理室内にガスを供給しながら排気し、所定の圧力に制御しながら、真空処理室の誘電体から成る天板上にコイル状に形成された電極により電磁波を放射することによって真空処理室内にプラズマを発生させ、真空処理室内の基板ステージ上に載置された基板を処理するプラズマ処理装置において、天板を2枚構成として第一の天板と第二の天板の間にガス経路を設け、このガス経路は、第一の天板に形成した天板の一点を通過点とする1又は複数本の直線状の溝及びこれに交叉するように形成した前記通過点を中心点としかつ第一の天板の外周に向かうほど周方向の長さが長い同心円状の複数本の円弧状の溝にて構成し、基板ステージ側に配置された第二の天板の前記円弧状の溝に対向する位置にガス吹き出し穴を形成したものであり、ガス吹き出し穴から基板面上に均一分布でガスを供給しつつ基板を処理することができ、かつ第一および第二の天板の間にガスをため込むための空間を設けた構造でないのでその空間に意図しない放電が生じる恐れがなく、処理室内の目的の場所のみに均一にプラズマを生じさせることができるとともに第二の天板にかかるガス圧も抑制でき、かつガス経路の円弧状の溝とガス吹き出し穴の位置合わせには角度方向に対してマージンが見込めることによって寸法公差を大きくできて天板の加工が容易にできる。
【0009】
また、真空処理室の排気時に、同時に天板のガス経路も排気できる排気通路を設けると、排気途中で第一および第二の天板間に残留するガスによって発生する真空処理室内部との一時的な差圧の増大による第二の天板への負荷を発生させずに排気することができる。
【0010】
また、真空処理室の大気開放時に、天板のガス経路からのガス導入と同時に真空処理室に設けたガス導入経路からのガス導入を行えるガス導入経路を設けると、大気開放途中で第一および第二の天板間に導入するガスによって生じる真空処理室との一時的な差圧の増大による第二の天板への負荷を発生させずに大気開放することができる。
【0013】
また、第二の天板に係合して位置決めするとともに前記第二の天板に真空処理室内側から係合するフランジ部を有する位置決めピンを設け、さらに前記位置決めピンにボルトを介して取手の両端を固定すると、フランジ部が第二の天板のメンテナンス等の際に治具の役割を果たし、作業性が向上する。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のプラズマ処理装置の一実施形態について、図1〜図4を参照して説明する。
【0015】
図1において、真空処理室13内の基板ステージ8上に基板9を載置し、排気経路5から真空処理室13を真空排気する。排気の際、誘電体からなる上下1対の天板、すなわち第一の天板10および第二の天板12のうち下側の天板12に相当の剛性、例えば大気圧に耐えうる剛性があれば、真空排気は真空処理室13の排気経路5からのみで良い。剛性不足であれば、真空処理室13の排気経路5及び天板からの排気経路7を併用して真空排気を行う。これにより、排気途中で、上下の天板10、12間に残留するガスによって発生する真空処理室13内部との一時的な差圧の増大による下側の天板12への負荷を発生させずに排気することができ、下側の天板12を破損することはない。
【0016】
なお、下側の天板12の相当の剛性として、例えば大気圧に耐えうる剛性と記したが、真空処理室13の排気経路5からのみの排気によって下側の天板12に生じる負荷に十分に耐えうるほどの剛性があれば、下側の天板12に大気圧に耐えうる剛性がなくても、天板からの排気経路7を併用する必要はない。さらに、天板からの排気経路7を併用する場合でも、上下の天板10、12間に残留するガスが十分に排気され、残留ガスの圧力が下側の天板12を破損させるほどの圧力でなくなった時点で、真空処理室13の排気経路5からのみの排気とすればよい。
【0017】
真空排気後は、天板へのガス導入経路4からプラズマ処理に必要なプロセスガスを導入する。プロセスガスは、上側の天板10に設けたガス経路2としての溝を通って上下の天板10、12間に広がり、下側の天板12に設けられたガス吹き出し穴11を通って真空処理室13内の基板9上に均一に分布される。
【0018】
なお、図2に示すように、上側の天板10に設けたガス経路2を構成する溝は、天板上の一点を通過点とする1本又は複数本の直線状の溝2a、及びこれと交叉するように配設された上記通過点を中心とする同心状の円弧状の溝2bにて構成されている。これらの溝2a、2bの幅は、例えば1mm〜5mm程度とすればよく、深さは例えば0.2mm〜3mmとすればよい。また、下側の天板12に設けたガス吹き出し穴11は例えば直径0.5mm〜2mm程度とすればよい。
【0019】
また、一般に上下の天板10、12間のガス経路2及びガス吹き出し穴11の位置合わせに要求される精度のうち、角度方向の加工に対しては中心からの距離が大きくなるほど位置ずれが大きくなり易く、溝からなるガス経路2と穴11が一致しないという可能性がある。例えば、ガス経路2と穴11の角度ずれが0.1°あるとすれば円弧半径が50mmの場合の位置ずれは0.09mmであるのに対し、円弧半径が200mmの場合は0.35mmとなり、ガス吹き出し穴11の直径を0.5mmとした場合、ガス経路2と穴11がほとんど一致しない場合が生じることになる。これに対して、本実施形態ではガス経路2の溝2bを円弧状の溝にて構成しているので、角度方向に対してマージンが見込めるようになるため、寸法公差が大きくなり、天板10を容易に加工することができる。
【0020】
真空処理室13にプロセスガスを導入した後、多重のコイル1に電源116から高周波電力を印加すると、誘電体からなる天板10、12の下部でプラズマが発生し、基板9が処理される。なお、下側の天板12はこの際に発生するプラズマに応じて、耐プラズマ性のある最適な素材を選定すればよい。
【0021】
下側の天板12は真空処理室13に嵌合配置され、その外周部の2箇所に、図1及び図3、図4に示すように、フランジ部15aを有する位置決めピン15が係合されている。真空処理室13に設置した下側の天板12の嵌合凹部にはこの位置決めピン15のフランジ部15aを嵌入係合可能な係合凹部18が形成されている。そして、下側の天板12はプラズマ処理中に常にプラズマに晒されるため、天板の劣化あるいは天板への堆積物の付着により、定期的なメンテナンスが必要となるが、このメンテナンスの際には、図3、図4に示すように、位置決めピン15に取手16の両端を固定ボルト17にて固定してこの取手16を引き出すことにより下側の天板12を真空処理室13の天井壁から容易に取り外すことができ、フランジ部15aが治具の役割を果して作業性が向上する。
【0022】
真空処理室13を大気開放する際は、誘電体からなる天板のうち下側の天板12に相当の剛性、例えば大気圧に耐えうる剛性があれば、ガス導入は天板へのガス導入経路4からのみでよい。剛性不足であれば、ガス導入は天板へのガス導入経路4及び真空処理室13へのガス導入経路6を併用して大気開放を行えば、大気開放の途中で上下の天板10、12間に導入されたガスによって発生する真空処理室13内部との一時的な差圧の増大による下側の天板12への負荷を発生させずに大気開放することができ、下側の天板12を破損することはない。
【0023】
なお、下側の天板12の相当の剛性として、例えば大気圧に耐えうる剛性と記したが、天板へのガス導入経路4からのみのガス導入によって下側の天板12に生じる負荷に十分に耐えうる程の剛性があれば、下側の天板12に大気圧に耐えうる剛性がなくても、真空処理室13へのガス導入経路6を併用する必要はない。
【0024】
【発明の効果】
本発明のプラズマ処理装置によれば、以上のように誘電体からなる天板を2枚構成として、第一の天板に天板上の1点を通過点とする1又は複数の直線状の溝及びこれと交叉する上記通過点を中心としかつ第一の天板の外周に向かうほど周方向の長さが長い同心円状の複数本の円弧状の溝にて構成し、基板ステージ側に配置された第二の天板の前記円弧状の溝に対向する位置にガス吹き出し穴を形成したので、基板面上へのガス分布を均一にして処理室内の目的の場所のみに均一にプラズマを生じさせることができ、かつ上下の天板の間にガスをため込む空間が無くなって異常放電の恐れを無くすことができるとともに第二の天板にかかるガス圧を抑制することができ、またガス経路の円弧状の溝に対してガス吹き出し穴を位置合わせするようにしているため、加工時の寸法公差を大きくできて天板の加工が容易となるという効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のプラズマ処理装置の一実施形態の概略構成図である。
【図2】同実施形態における誘電体天板の平面図である。
【図3】同実施形態における第二の天板の着脱時の状態を示す構成図である。
【図4】同実施形態における第二の天板の着脱時の状態を示す分解斜視図である。
【図5】従来例のプラズマ処理装置の概略構成図である。
【符号の説明】
2 ガス経路
4 天板へのガス導入経路
5 真空処理室からの排気経路
6 真空処理室へのガス導入経路
7 天板からの排気経路
8 基板ステージ
9 基板
10 上側の天板(第一の天板)
11 ガス吹き出し穴
12 下側の天板(第二の天板)
13 真空処理室
15 位置決めピン
15a フランジ部
Claims (4)
- 真空処理室内にガスを供給しながら排気し、所定の圧力に制御しながら、真空処理室の誘電体から成る天板上にコイル状に形成された電極により電磁波を放射することによって真空処理室内にプラズマを発生させ、真空処理室内の基板ステージ上に載置された基板を処理するプラズマ処理装置において、天板を2枚構成として第一の天板と第二の天板の間にガス経路を設け、このガス経路は、第一の天板に形成した天板の一点を通過点とする1又は複数本の直線状の溝及びこれに交叉するように形成した前記通過点を中心点としかつ第一の天板の外周に向かうほど周方向の長さが長い同心円状の複数本の円弧状の溝にて構成し、基板ステージ側に配置された第二の天板の前記円弧状の溝に対向する位置にガス吹き出し穴を形成したことを特徴とするプラズマ処理装置。
- 真空処理室の排気時に、同時に天板のガス経路も排気できる排気通路を設けたことを特徴とする請求項1記載のプラズマ処理装置。
- 真空処理室の大気開放時に、天板のガス経路からのガス導入と同時に真空処理室に設けたガス導入経路からのガス導入を行えるガス導入経路を設けたことを特徴とする請求項1記載のプラズマ処理装置。
- 第二の天板に係合して位置決めするとともに前記第二の天板に真空処理室内側から係合するフランジ部を有する位置決めピンを設け、さらに前記位置決めピンにボルトを介して取手の両端を固定したことを特徴とする請求項1記載のプラズマ処理装置。
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JP32919698A Expired - Lifetime JP4199864B2 (ja) | 1998-11-19 | 1998-11-19 | プラズマ処理装置 |
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