JP4192580B2 - 機械部品の組み立て方法及び組付治具 - Google Patents
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【技術分野】
本発明は,軸部品を含む機械部品の組み立て方法及び組付治具に関する。
【0002】
【従来技術】
例えば,車両に適用されるベルト式無段変速機としては,トルクコンバータと,プライマリプーリ及びセカンダリプーリを含む可変速プーリ機構とを組み合わせてなる装置がある。このようなベルト式無段変速機では,トルクコンバータと可変速プーリ機構との間に,さらに,例えば遊星歯車機構よりなる前後進切換機構が配置される場合がある。
一般的には,上記のベルト式無段変速機は,ドライブシャフトへ動力伝達するディファレンシャルユニットと共に,共通の変速機ケース内に一体的に組み付けられている(例えば,特許文献1参照。)。
【0003】
例えば,上記のようなベルト式無段変速機を構成する上記前後進切替機構を組み付けるに当たっては,図14に示すごとく,上記変速機ケース95内部において,遊星歯車機構や該遊星歯車機構を制御するクラッチ・ブレーキ機構など軸部品に外挿される外挿部品920及び,上記可変速プーリやトルクコンバータ等に回転駆動力を伝達する軸部品910を組み立てる作業工程が一般的に実施されている。
上記の作業工程においては,組み付け順序が早い部品ほど変速機ケース95に近く,遅い部品ほど変速機ケース95から離れて図示した同図に示すごとく,部品の組み付け順序を,変速機ケース95内における配置順に略一致させる必要がある。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−274299号公報(明細書の段落番号「0024」〜「0035」,第3図)
【0005】
【解決しようとする課題】
しかし,上記のような組み付け作業においては,次のような問題がある。すなわち,上記前後進切替機構の組み付け作業の実施に必要な作業スペースを小さくすることが難しい。
例えば,上記の組み付け作業をコンベアによる流れ作業により実施する場合には,製造ラインの長さが長大になるという問題があった。
変速機ケースに対して,上記遊星歯車機構を構成する各種ギア部品や,クラッチ機構やブレーキ機構などの構成部品を順番に組み付けていくためには,大型の上記変速機ケースをコンベア上に連続的に載置して搬送する必要があるからである。
【0006】
また,組み付け済みの軸部品や外挿部品に対する組み付け精度と,変速機ケースに対する組み付け精度とが同時に要求される外挿部品等については,組み付け性を向上しにくいという問題があった。
例えば,図14に示すごとく,上記のベルト式無段変速機の場合には,同図中最上段に図示した外挿部品920であるオイルポンプの組み付け効率を向上しにくいという問題があった。このオイルポンプは,変速機ケースとのシール面である外周側のシール面930と,先行して組み付けられた外挿部品とのシール面である内周側のシール面930というそれぞれ相手部材が異なる2カ所のシール面930を有しているからである。
そのため,従来,各シール面930に配置された全てのシール部材の損傷等を回避しながら,上記オイルポンプを上記変速機ケースに組み付けるには十分な作業習熟を要していた。
【0007】
本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので,軸部品を含む機械部品を効率良く組み立てるための組み立て方法及び組付治具を提供しようとするものである。
【0008】
【課題の解決手段】
第1の発明は,ハウジングの貫通穴を経由して回転駆動力を入力又は出力するよう構成された軸部品と,該軸部品に外挿される少なくとも1つの外挿部品とを,上記ハウジングに組み付けた機械部品の組み立て方法において,
上記軸部品に上記外挿部品を外挿すると共に,
着脱可能に構成した組付治具を,上記外挿部品の少なくとも一部に当接するように上記軸部品の少なくも一方の端部に装着し,
重力の作用により上記外挿部品に生じる挿入方向の力を上記組付治具に作用させることにより,上記外挿部品を脱落させることなく上記軸部品と一体化させて,上記組付治具を装着した上記端部を上記ハウジングの貫通穴に向けて配置し,
上記ハウジングの上記貫通穴に上記組付治具を挿入していき,上記軸部品及び上記外挿部品を一体的に上記ハウジング内の所定位置に組み付けた後,
上記軸部品から分離した上記組付治具を上記貫通穴から取り出すか,或いは,既に上記貫通穴を通り抜けた上記組付治具を上記軸部品から分離して取り外すことを特徴とする機械部品の組み立て方法にある(請求項1)。
【0009】
上記第1の発明の機械部品の組み立て方法では,上記軸部品に上記外挿部品を外挿した後,上記軸部品及び上記外挿部品を一体的に上記ハウジングに組み付ける。
そのため,上記軸部品に上記外挿部品を外挿する組み付け作業を実施するに当たって,必要な作業スペースを小さくできる。例えば,コンベアによる流れ作業によって,軸部品と外挿部品とを事前に組み付ける場合には,作業に要するライン長を短縮して省スペースを実現できる。従来のごとく,上記ハウジングに対して外挿部品を順番に組み付けていき,最後に軸部品を組み付ける場合のように,上記ハウジングをコンベア上に連続的に載置しておく必要がないからである。
【0010】
そして,上記のような作業手順は,上記組付治具を使用することにより実現することができる。すなわち,上記組付治具は,上記軸部品の端部に着脱可能に係合すると共に,少なくとも一部の上記外挿部品に当接し,重力の作用により該外挿部品に生じる軸方向の力を上記組付治具に作用させることにより,上記外挿部品を脱落させることなく上記軸部品と一体化できるように構成してある。
【0011】
そのため,上記の組付治具によれば,上記外挿部品を組み付けた上記軸部品の一体的な取り扱いが容易である。それ故,上記外挿部品を組み付けた上記軸部品は,さらに,一体的に上記ハウジングに組み付けることができ作業性が良好である。
例えば,上記貫通穴を鉛直方向下側にして載置したハウジングに対して,上記組付治具を装着した端部を鉛直方向下側にした状態の上記軸部品の姿勢を維持しながら,両者を組み付けるという組み付け作業の実施が容易である。
【0012】
さらに,上記組付治具は,上記軸部品の端部に着脱可能に係合できるよう構成してある。そのため,上記ハウジングに対して,上記軸部品及び上記外挿部品を組み付けた後,上記組付治具を分離することが容易である。
そして,取り外した上記組付治具は,上記貫通穴からそのまま外部に取り出すことができる。或いは,上記組付治具が既に上記貫通穴を通り抜けている場合には,上記組付治具を上記軸部品から分離して取り外すことができる。
【0013】
以上のように,上記第1の発明の組み立て方法によれば,上記ハウジングに対して,上記外挿部品及び上記軸部品を効率良く組み立てることができる。
【0014】
第2の発明は,ハウジングの貫通穴を経由して回転駆動力を入力又は出力するよう構成された軸部品と,該軸部品に外挿される少なくとも1つの外挿部品とを,上記ハウジングに組み付けた機械部品を組み立てるための組付治具において,
上記外挿部品を外挿した上記軸部品の少なくも一方の端部に着脱可能に係合する係合部と,該係合部に着脱動作させるよう操作する操作部と,少なくとも一部の上記外挿部品と当接する当接部とを有しており,
該当接部は,上記軸部品に外挿した上記外挿部品について,重力の作用により上記組付治具側に向かう挿入方向の力が生じるよう上記軸部品の軸方向を配置したとき,上記外挿部品の軸方向の力を負担することにより該外挿部品を脱落させることなく上記軸部品と一体化させるように構成してあり,
上記組付治具の軸方向に略直交する断面は,上記貫通穴の穴形状に包含される断面形状に形成してあり,該貫通穴から出し入れできよう構成してあることを特徴とする機械部品の組付治具にある(請求項4)。
【0015】
上記第2の発明の組付治具は,上記外挿部品を組み付けた上記軸部品の端部に着脱可能に係合する係合部と,該係合部に着脱動作させるよう操作する操作部とを有している。そのため,上記操作部の操作により上記組付治具を上記先端部に装着し,または取り外すことができる。
【0016】
また,上記組付治具は,上記軸部品に外挿した上記外挿部品について,重力の作用により上記組付治具側に向かう挿入方向の力が生じるよう上記軸部品の軸方向を配置したとき,上記外挿部品の軸方向の力を負担することにより該外挿部品を脱落させることなく上記軸部品と一体化させるよう,少なくも一部の上記外挿部品に当接する上記当接部を有している。
【0017】
そのため,上記組付治具によれば,上記のごとく上記軸部品の軸方向を配置したとき,該軸部品に外挿済みの上記外挿部品を確実に保持しながら,上記軸部品と一体化させることができる。それ故,外挿済みの上記外挿部品が所定の組み付け位置から脱落等するおそれが少なく,上記外挿部品及び上記軸部品の一体的な取り扱いが容易である。
【0018】
したがって,上記組付治具を装着した軸部品であれば,上記軸部品及び上記外挿部品を一体的に上記ハウジングに組み付けることができる。それ故,その組み付け作業は,作業効率良く実施することができる。
例えば,上記貫通穴を鉛直方向下側にして載置したハウジングに対して,上記組付治具を装着した端部を鉛直方向下側にした状態の上記軸部品の姿勢を維持しながら,両者を組み付けることが容易に実施できる。
【0019】
また,上記組付治具は,上記ハウジングの上記貫通穴から出し入れできるように構成してある。そのため,上記ハウジングに対して,上記外挿部品及び上記軸部品を組み付けた後に,上記ハウジングから上記組付治具を容易に取り出すことができる。すなわち,上記組付治具は,上記操作部の操作により上記軸部品から分離して,上記貫通穴を介してそのまま取り出すことができる。
【0020】
以上のように,上記第2の発明の上記組付治具によれば,上記ハウジングに対して,上記外挿部品及び上記軸部品を効率良く組み立てることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
上記第1の発明においては,上記貫通穴に上記組付治具を挿入していくに際して,上記軸部品の軸方向を鉛直方向に略一致させ,上記組付治具を装着した端部を鉛直方向下側に向けて上記ハウジングに上記軸部品及び上記外挿部品を組み付けることが好ましい(請求項2)。
【0022】
この場合には,上記軸部品及び上記外挿部品の組み付けスペースが鉛直方向上側となるよう載置した上記ハウジングに対して,組み立て済みの上記外挿部品及び上記軸部品を容易に組み付けることができる。
このとき,上記外挿部品は,上記組付治具の上記当接部により保持できるため,上記軸部品における所定の組み付け位置から上記外挿部品が脱落等するおそれがない。
【0023】
また,上記軸部品及び上記外挿部品は,ベルト式無段変速機の前後進切換機構を構成する部品であることが好ましい(請求項3)。
この場合には,ハウジングが非常に大型になり,上記外挿部品を上記軸部品に予め組み付けておくという上記第1の発明による効果が特に有効となる。
【0024】
上記第2の発明においては,上記軸部品は,軸方向の少なくともいずれか一方の端面から凹む凹部を有しており,該凹部に挿入できるよう形成した上記係合部は,上記操作部の所定の操作により,軸方向に直交する断面形状を拡大,縮小するよう構成してあることが好ましい(請求項5)。
この場合には,上記凹部に挿入した上記係合部の上記断面形状を拡大することにより,上記軸部品に対して上記係合部を強固に係合させることができる。
【0025】
また,上記操作部は,該操作部に入力する操作量を制限するリミッター機構を有しており,上記係合部の軸方向に略直交する断面形状が拡大し得る最大の大きさが上記リミッター機構により設定されていることが好ましい(請求項6)。
この場合には,上記係合部が上記凹部の内周面に作用する力が過大となるおそれが少ない。それ故,上記係合部による係合動作により,上記軸部品を変形させるおそれを少なくできる。
【0026】
また,上記係合部は,複数のコレット片を略円筒形状に配置してなるコレット部と,該コレット部の内周側において軸方向に進退可能に配設されたドロー部材とよりなり,該ドロー部材及び上記コレット片は,軸方向に対して傾斜するテーパ面をそれぞれの接触面に有していると共に,該テーパ面を摺動可能に当接させており,上記ドロー部材の進退に伴って上記テーパ面の当接位置を変化させることにより,上記コレット片を弾性的に変形させて,上記コレット部の径を拡大するよう構成してあることが好ましい(請求項7)。
【0027】
この場合には,上記ドロー部材の進退動作により,上記コレット部の径を容易に拡大させることができる。そして,上記コレット片の外周側の面により上記凹部の内周面を押圧することにより,上記軸部品に対して上記係合部を確実に固定することができる。
【0028】
また,上記係合部は,軸方向に略平行な中空部を有しており,上記操作部の所定の操作により上記係合部は,その中空部の軸方向に直交する断面形状を拡大,縮小するよう構成してあることが好ましい(請求項8)。
この場合には,上記中空部の上記断面形状を縮小することにより,上記軸部品の外周面と,上記中空部の内周面との間に押圧力を作用させ,この押圧力により両者を強固に係合させることができる。上記の係合部の構造は,特に,中実構造を呈する軸部品の場合に有効である。
【0029】
また,上記操作部は,該操作部に入力する操作量を制限するリミッター機構を有しており,上記係合部の軸方向に略直交する断面形状が拡大し得る最大の大きさが上記リミッター機構により設定されていることが好ましい(請求項9)。
この場合には,上記係合部が上記軸部品に及ぼす力が過大となるおそれが少ない。それ故,上記係合部による係合動作により,上記軸部品を変形等させるおそれを少なくできる。
【0030】
また,上記係合部は,複数のコレット片を略円筒形状に配置してなるコレット部と,該コレット部の外周側において軸方向に進退可能に配設されたドロー部材とよりなり,該ドロー部材及び上記コレット片は,軸方向に対して傾斜したテーパ面をそれぞれの接触面に有していると共に,該テーパ面を摺動可能に当接させており,上記ドロー部材の進退に伴って上記テーパ面の当接位置を変化させることにより,上記コレット片を弾性的に変形させて,上記コレット部の径を小さくするよう構成してあることが好ましい(請求項10)。
【0031】
この場合には,上記ドロー部材の進退動作により,上記コレット部の径を容易に縮小させることができる。そして,上記コレット片の内周側の面により上記軸部の外周面を押圧することにより,上記軸部に対して上記係合部を固定することができる。
【0032】
また,上記軸部品及び上記外挿部品は,ベルト式無段変速機の前後進切換機構を構成する部品であることが好ましい(請求項11)。
この場合には,上記ハウジングが非常に大型となるため,上記外挿部品を上記軸部品に予め組み付けておくという上記第2の発明による効果が特に有効となる。
【0033】
また,上記前後進切換機構は,該前後進切換機構に回転駆動力を入力する上記軸部品としてのインプットシャフトと,上記外挿部品としての遊星歯車機構及び該遊星歯車機構の動作を制御するための係合機構とを有していることが好ましい(請求項12)。
【0034】
この場合には,上記組付治具を用いて,予め,少なくとも上記遊星歯車機構及び上記係合機構を上記インプットシャフトに組み付けて一体化した上,これらを一体的に上記ハウジングに組み付けることができる。
それ故,上記前後進切換機構を上記ハウジングに組み付けた上記機械部品の組み立て作業を,効率良く実施することができる。
なお,上記係合機構とは,上記遊星歯車機構を構成する各種ギアの動作を制御するためのクラッチやブレーキなどの機構である。
【0035】
【実施例】
(実施例1)
本例は,ベルト式無段変速機8における前後進切替機構1を例として,その組み立て方法について、図1〜図13を用いて説明する。
本例は、図1に示すごとく,ハウジング5の貫通穴500を経由して回転駆動力を入力又は出力するよう構成された軸部品10と,該軸部品10に外挿される少なくとも1つの外挿部品20とを,ハウジング5に組み付けた機械部品の組み立て方法を説明する例である。
【0036】
本例では,まず,軸部品10に外挿部品20を外挿すると共に,着脱可能に構成した組付治具3を,外挿部品20の少なくとも一部に当接するようにさせる軸品10の先端部11に装着する。
そして,重力の作用により外挿部品20に生じる軸方向の力を組付治具3に作用させることにより,外挿部品20を脱落させることなく軸部品10と一体化させた軸部品10及び外挿部品20を,組付治具3を装着した先端部11をハウジング5の貫通穴500に向けて配置する。
その後,ハウジング5の貫通穴500に組付治具3を挿入していき,軸部品10及び外挿部品20を一体的にハウジング5内の所定位置に組み付ける。さらにその後,軸部品10から分離した組付治具3を貫通穴500から取り出すか,或いは,既に貫通穴500を通り抜けた組付治具3を軸部品10から分離して取り外す。
以下に,本例による機械部品の組み立て方法について詳細に説明する。
なお,本例では,図1に示すごとく,上記ハウジング5は,トランスアクスルケース(以下,適宜トランスアクスルケース5と記載する)に相当し,上記軸部品10は,前後進切替機構1を構成するインプットシャフト(以下,適宜インプットシャフト10と記載する)に相当している。また,上記外挿部品20は,前後進切換機構1を構成する各部品やサブアッシー部品である。
【0037】
まず,本例で使用する組付治具3について説明する。
本例の組付治具3は,図2に示すごとく,上記外挿部品20を装着した軸部品10の先端部11に着脱可能に係合する係合部31と,該係合部31に着脱動作をさせるよう操作する操作部33と,少なくとも一部の外挿部品20に当接する当接部32とを有している。
【0038】
該当接部32は,軸部品10に外挿した外挿部品20について,重力の作用により組付治具3側に向かう挿入方向の力が生じるよう軸部品10の軸方向を配置したとき,外挿部品20の軸方向の力を負担することにより該外挿部品20を脱落させることなく軸部品10と一体化させることができるように構成してある。
【0039】
本例では,図2に示すごとく,大径部321と小径部322とからなる2段構造の中空貫通穴を形成した略円筒形状のボデー320に当接部32を形成してある。
本例の組付治具3では,大径部321の軸方向の端部324及び,大径部321と小径部322との段部323が当接部32を構成し,これらの当接部32により外挿部品20の挿入方向の位置を規制できるように構成してある。
【0040】
なお,当接部32の配置及びその配置を実現するためのボデー320の形状は,組付治具3を装着する相手部材の構成によって変更するのが良い。
さらに,組付治具3の軸方向に直交する断面形状については,トランスアクスルケース5の貫通穴500から出し入れできれば,いかなる形状としても良い。
【0041】
また,係合部31は,図2に示すごとく,略円筒形状を呈し,コレット部313を有するカバー311と,同軸上内周側に配置された上記ドロー部材としてのドローバー312との組み合わせにより構成してある。
カバー311は,ボデー320の小径部322に嵌入された上,イモネジ301により固定してある。さらに,カバー311にはドローバー322を貫通させてあり,カバー311の内周面に形成されたネジ部315と,ドローバー312の外周面に形成されたネジ部316との螺合により,ドローバー312の回転動作を軸方向に沿う進退動作に変換できるように構成されている。
【0042】
そして,カバー311及びドローバー312は,ボデー320の大径部321に突出するように構成されており,その先端部分には,カバー311のコレット部313とドローバー312のテーパ面314とからなる係合部31を形成してある。
【0043】
コレット部313は,図2に示すごとく,ドローバー312の進退に伴って外径を拡縮する部分である。このコレット部313は,図3及び図4に示すごとく,複数のコレット片318よりなる。このコレット片318は,係合部31の軸心に沿ったスリット状の切断面381により区切られた細長い短冊状の部位である。そして,このコレット片318は,その基端部382において,カバー311の本体部分と弾性的に接続されている。
そして,各コレット片318は,図4に示すごとく,例えば円筒穴の内周面と当接する当接面319と,ドローバー312のテーパ面314と当接するコレットテーパー面317とを有している。
【0044】
また,ドローバー312は,図2に示すごとく,カバー311のネジ部315に螺合するネジ部316を有する略円柱形状の部材である。
このドローバー312は,コレット部313のコレットテーパー面317と当接するテーパ面314を先端部分に有している。また,ドローバー312は,カバー311よりも軸方向に長く形成してあり,テーパ面314とと反対側の端部は,カバー311から突出している。そして,ドローバー312における,この突出する端部は,操作部33を構成するノブ331の中空穴332に挿入された上,イモネジ301によって回転止めされている。
【0045】
なお,本例のノブ331は,略円筒形の外形に形成してあるが,回し易く作業性の良い形状であればどんな形でも良い。特に,本例は,手回し作業することを想定した形状としてあるが,機械作業による場合には,相手方の工具の形状に適合する形状とするのが良い。
【0046】
さらに,本例の操作部33は,係合部31が過大な力を発生するのを未然防止するリミッター機構332を備えている。このリミッター機構332は,図5に示すごとく,ノブ331のボデー320側の端面に形成した略扇形状の窪み部335と,ボデー320からノブ331に向けて突出していると共に,先端が窪み部335に係合するピン325とにより構成してある。そして,窪み部335とピン325との係合により,ノブ331を操作し得る回転角度を所定の範囲に制限してある。
【0047】
そして,カバー311とドローバー312とよりなる本例の係合部31は,図2に示すごとく,操作部33を介してドローバー312を回転させて先端側に前進させることにより,テーパ面314とコレットテーパー面317とが摺動して互いの当接位置がずれるように構成してある。そして,両者の当接位置のずれにより,カバー311のコレット部31が拡径し,例えば中空穴の内周面を当接面319により押圧できるように構成してある。
【0048】
次に,本例のベルト式無段変速機8の構成について図1,図6及び図7を用いて説明する。図1に示すごとく、このベルト式無段変速機8は、トルクコンバータハウジング800とトランスアクスルケース5とを組み合わせ,ボルト819等により締結した変速機ケース80を有している。
【0049】
また、変速機ケース80内部において,前後進切換機構1の収容空間と,可変速プーリ機構85の収容空間と区画するための隔壁510がトランスアクスルケース5と一体に形成されている。さらに,この隔壁510には,前後進切換機構1と可変速プーリ機構との間で回転駆動力を伝達するための貫通穴500を形成してある。
【0050】
変速機ケース80の内部には、図1に示すごとく,プライマリシャフト820,セカンダリシャフト840及びトランスファシャフト860が設けられている。
プライマリシャフト820に入力された回転駆動力は、セカンダリシャフト840及びトランスファシャフト860を介してディファレンシャル827に伝達され、左右のドライブシャフト824が駆動されるようになっている。
【0051】
図1に示すように、プライマリシャフト820は,同軸上に対向配置されたインプットシャフト10とアウトプットシャフト15とからなる2分割構造を呈している。そして,このインプットシャフト10には、エンジン側から順にトルクコンバータ880,オイルポンプ870,前後進切替機構1が設けられている。そして,インプットシャフト10は,前後進切換機構1を介して,プライマリプーリ851と一体回転するアウトプットシャフト15に接続されている。
なお,本例では,アウトプットシャフト15は,上記軸部品10としてのインプットシャフト10に外挿する外挿部品20でもある。
【0052】
インプットシャフト10の内部には,図6に示すごとく,オイルポンプ870から供給されるオイルを前後進切換機構1や,プライマリプーリ851等に供給するための油路を形成してある。この油路は,インプットシャフト10と同軸に,先端部11の端面から穿設されたメイン油路101と,インプットシャフト10の外周面に開口するよう軸方向に略直交して穿設され,メイン油路101に連通するサブ油路102とからなる。
そして,インプットシャフト10と同軸に形成されたメイン油路101は,さらに,アウトプットシャフト15に形成された貫通穴151と連通し,プライマリプーリ851へ潤滑用のオイルを供給できるように構成されている。
【0053】
本例では,アウトプットシャフト15とプライマリプーリ851とは,スプライン結合してあり,両者が一体的に回転するように構成してある。
なお,本例では,トランスアクスルケース5の隔壁510に穿設した貫通穴500の内周に配置したベアリングによりプライマリプーリ851を回転支持するよう構成してある。
【0054】
また,プライマリシャフト820における他方の端部であるインプットシャフト10の端部は,図1に示すごとく,トルクコンバータハウジング800内に挿入されている。そして,インプットシャフト10は,トルクコンバータ880のタービン881とスプライン結合により接続してある。
そして,インプットシャフト10は,トルクコンバータ880から出力される回転駆動力を前後進切替機構1に伝達するように構成してある。
【0055】
また,図1に示すごとく,セカンダリシャフト840には、セカンダリプーリ852やトランスファドライブギア841等を配設してある。
また、トランスファシャフト860には、トランスファドリブンギア861及びドライブピニオンギア806を設けてある。そして,ドライブピニオンギア806は、さらに,ドライブシャフト824に配設したファイナルギア826に噛合している。
【0056】
前後進切替機構1は、図6に示すごとく,インプットシャフト10からアウトプットシャフト15へ伝達する回転駆動力の回転方向の切り替えと,切断とを行うための機構である。
本例では,遊星歯車機構130と,該遊星歯車機構130の動作を制御する係合機構としてのクラッチ132及びブレーキ134等とから構成される前後進切替機構1は、図6に示すごとく,トランスアクスルケース5内に収納してある。
【0057】
遊星歯車機構130は、図6に示すごとく,2つのピニオンギア51,52を有するダブルピニオン式の遊星歯車機構として構成されており、サンギア50,第1ピニオンギア51,第2ピニオンギア52及びリングギア53から構成されている。
【0058】
本例の遊星歯車機構130では,図6に示すごとく、サンギア50はインプットシャフト10とスプライン結合し,一体的に回転するように構成してある。
また、第1ピニオンギア51及び第2ピニオンギア52は互いに噛合しながら,アウトプットシャフト15の端部に形成したプラネタリキャリアプレート155上のそれぞれ内周側同心円及び外周側同心円上の周方向4カ所に嵌入された回転軸156に回転支持してある。
【0059】
アウトプットシャフト15の遊星歯車機構1側の端部に形成されたプラネタリキャリアプレート155は,図6に示すごとく,アウトプットシャフト15のシャフト部152よりも大径のフランジ形状を呈している。そして,キャリアプレート155とサンギア50の端面とは,これらの間に配置されたスラストベアリング501を介設して相互に回転自在に配置されている。
さらに,第1ピニオンギア51はサンギア50に、第2ピニオンギア52はリングギア53に噛合するよう構成してある。
【0060】
さらに、図6に示すごとく,リングギア53とトランスアクスルケース5との間に配設されたブレーキ134は、リングギアホルダ531に保持したリングギア53の回転を規制するよう構成してある。
リングギアホルダ531は,底面に貫通穴を穿設した不完全なカップ形状を呈するよう形成してあり,内周壁面に形成したスプラインによってリングギア53をスプライン結合している。また,貫通穴は,アウトプットシャフト15のシャフト部152が貫通するよう大径に形成してある。
【0061】
そして,リングギアホルダ531の底面と,アウトプットシャフト15のプラネタリキャリアプレート155との間にはスラストベアリング532を配置してあり,リングギアホルダ531とアウトプットシャフト15とは,同一回転軸を中心に相対回転可能に構成されている。
また,リングギアホルダ531と固定シーブ857との間には,スラストワッシャ536を介設してある。
【0062】
上記のブレーキ134は、リングギアホルダ531の外周に形成したスプラインに噛み合い一体回転する複数のブレーキディスク62と、トランスアクスルケース5の内周に形成したスプラインと噛み合う複数のブレーキプレート61とを交互に配置した構造を有している。
【0063】
さらに,図6に示すごとく,トランスアクスルケース5の隔壁510には,ブレーキプレート61及びブレーキディスク62を軸方向に押圧するブレーキピストン65を設けてある。油圧制御されるブレーキピストン65の突出動作により,ブレーキディスク62とブレーキプレート61とが相互に当接して,両者間の摩擦力によりリングギア53の回転が規制されるように構成してある。
【0064】
一方、クラッチ132は、図6に示すごとく,サンギア50とプラネタリキャリアプレート155との間の相対回転を規制できるように構成されている。クラッチ132は,クラッチピストンケース70内に,複数のクラッチディスク72と複数のクラッチプレート73とを交互に収容したものである。
クラッチディスク72は,プラネタリキャリアプレート155と一体回転するクラッチホルダ71とスプライン結合され,クラッチプレート73は,クラッチピストンケース70とスプライン結合されている。
【0065】
ここで、クラッチピストンケース70は,インプットシャフト10とスプライン結合してあり,該インプットシャフト10と一体回転するように構成してある。
また,クラッチホルダ71は,図6に示すごとく,第1ピニオンギア51及び第2ピニオンギア52を挟んでプラネタリキャリアプレート155と対面する共に,第1ピニオンギア51及び第2ピニオンギア52の回転軸156によりプラネタリキャリアプレート155と一定の隙間を保持した状態で固定してある。そして,このクラッチホルダ71には,クラッチ132に向けて軸方向に延びる円筒部715を形成してあり,その円筒部715外周に形成されたスプラインにクラッチディスク72が噛み合っている。
【0066】
また、クラッチプレート73は、図6に示すごとく,クラッチピストンケース70の内周側に形成されたスプラインに噛み合っている。ここで,上記のごとく,クラッチピストンケース70は,インプットシャフト10と一体に回転するように構成してあるため,クラッチプレート73は,インプットシャフト10と一体回転する。
【0067】
さらに、クラッチピストンケース70の端部には、油圧によりクラッチ132に向けて突出するよう構成されたクラッチピストン75を配置してある。そして、クラッチピストン75の突出動作により,クラッチディスク72及びクラッチプレート373が押圧されるよう構成してある。そして,クラッチディスク72とクラッチプレート73との間の摩擦力により,サンギア50とプラネタリキャリアプレート30dとの間の相対回転が規制されるように構成されている。
【0068】
以上のような前後進切換機構1において,クラッチ132をオンにし、ブレーキ134をオフにすると、プラネタリキャリアプレート155とサンギア50とを一体回転させることにより,サンギア50に入力された回転駆動力を、そのままプライマリプーリ851に連接したアウトプットシャフト15に伝達できる。
すなわち、この場合には、インプットシャフト10とプライマリプーリ851とを等速回転させることができる。
【0069】
一方、クラッチ132をオフにし、ブレーキ134をオンにした場合には、トランスアクスルケース5内でリングギア53が固定される。ここで、インプットシャフト10を介してサンギア50に回転駆動力が入力されると、第1ピニオンギア51及び第2ピニオンギア52は自転しながらサンギア50の回転方向と逆方向に公転することになる。そして,第1ピニオンギア51及び第2ピニオンギア52の公転により,プラネタリキャリアプレート155がサンギア50と逆方向に回転するのである。
すなわち、この場合には、インプットシャフト10とプライマリプーリ851とを逆方向に回転させることができる。
【0070】
さらに、クラッチ132及びブレーキ134を両方ともオフにすると、インプットシャフト10からアウトプットシャフト15への回転駆動力が遮断され、ニュートラル状態にできる。
以上のごとく,前後進切替機構1は、クラッチ132及びブレーキ134の制御により、トルクコンバータ880からプライマリプーリ851に伝達される回転動作を,正転,逆転,停止とで切り替えできるよう構成されている。
【0071】
なお、本例では、前後進切替機構1にダブルピニオン式の遊星歯車機構30を用いているが、この前後進切替機構1としては、ダブルピニオン式に限定されるものではなく、シングルピニオン式の遊星歯車機構や、シンクロメッシュ式の切替機構であってもよい。
【0072】
さらに,上記のごとく,プライマリシャフト820を構成するアウトプットシャフト15は,図7に示すごとく,プライマリプーリ851とセカンダリプーリ852とを含む可変速機構85に接続されている。本例では,アウトプットシャフト15は,固定シーブ856と可動シーブ857とからなり,動力伝達用の駆動ベルト855を回転保持するプライマリプーリ851とスプライン結合してある。
固定シーブ856は,前後進切換機構側の端面から凹む上記凹部858と,駆動ベルト855との摩擦面としてのテーパ状の動力伝達面859を含み外周に向けて軸方向の厚さが薄くなるベルト保持部861と,前後進切換機構1の反対側に延びる略円筒形状の摺動部862とを有している。
【0073】
可動シーブ857は,図7に示すごとく,固定シーブ856の摺動部862を摺動可能に収容する貫通中空穴867を有していると共に,駆動ベルト855との摩擦面としてのテーパ状の動力伝達面859を含み外周に向けて軸方向の厚さが薄くなるベルト保持部861を有している。
そして,固定シーブ856及び可動シーブ857の対向する動力伝達面859により,外周に向けて拡開するV字状の溝860が形成されている。
【0074】
また,固定シーブ856の摺動部862の外周面には,図7に示すごとく,周方向3カ所に断面略半円形状を呈する第1ボール溝863を軸方向に略平行に形成してある。
また,可動シーブ857の貫通中空穴867の内周面には,上記第1ボール溝863と組み合わされて断面円形状を形成する第2ボール溝864を形成してある。
【0075】
さらに,固定シーブ856の摺動部862の外周には,全ての第1ボール溝863を横切るように第1スナップリング(図示略)を配設してある。また,可動シーブ857の貫通中空穴867の内周には,全ての第2ボール溝864を横切るように第2スナップリング(図示略)を配設してある。
【0076】
そして,第1ボール溝863及び第2ボール溝864を組み合わせてなり,第1スナップリング及び第2スナップリングに挟まれた隙間に,所定個数のスライディングボール860を転道可能に配置したボールスプライン部86を固定シーブ856と可動シーブ857との間に形成してある。
固定シーブ856と可動シーブ857とは,このボールスプライン部86を介して相対回転を規制された状態で接続してあり,かつ,固定シーブ856に対して可動シーブ857を軸方向に摺動できるように構成してある。
【0077】
そして、図7に示すごとく,固定シーブ856と可動シーブ857との間の距離、すなわち両者の動力伝達面859に挟まれた溝860の幅を変更することにより、変速比を変更できるように構成してある。
なお,固定シーブ876と可動シーブ877とを含むセカンダリプーリ852も同様に構成されており,プライマリプーリ851とセカンダリプーリ852との連動動作により高い変速比が得られるように構成してある。
【0078】
本例のプライマリプーリ851は,図7に示すごとく,可動シーブ857における溝860と反対側の端面裏側に液密に形成された油圧室868の油圧を制御することにより,可動シーブ857を摺動させることができるように構成してある。
一方,セカンダリプーリ852は,図7に示すごとく,可動シーブ877における溝860と反対側の端面裏側に液密に形成された油圧室868の油圧は,セカンダリプーリ852にかかるトルクに応じて変動するように構成してある。そして,プライマリプーリ851の稼働シーブ857の摺動に従動して,セカンダリプーリ852の可動シーブ877が摺動するよう構成してある。
なお,同図には,プライマリプーリ851における可動シーブ857の摺動範囲を図示すべく,プライマリシャフト820軸芯より上側には溝860の幅を最も拡大した際の可動シーブ857を,下側には溝860の幅を最も縮小したときの可動シーブ857を図示してある。
【0079】
本例では,上記のトランスアクスルケース5に対して,前後進切換機構1を組み付ける組み立て方法を説明する。本例の組み立て方法を実施するに当たっては,上記の組付治具3(図2)を用いて実施する。
本例の組み立て方法を実施するには,図8に示すごとく,予め,上記軸部品としてのインプットシャフト10に対して,外挿部品20としてのクラッチ132をスプライン結合した上,両者を電子ビーム接合を施してフォワードクラッチアッシー41を作製しておく。
【0080】
また,同図に示すごとく,オイルポンプアッシー44,キャリアアッシー42及びリングギアアッシー43も予め作製しておく。
ここで,オイルポンプアッシー44は,上記オイルポンプ870をポンプケースに収容した外挿部品20である。
また,キャリアアッシー42は,アウトプットシャフト15の上記プラネタリキャリアプレート155とクラッチホルダ715との間に,上記第1ピニオンギア51及び上記第2ピニオンギア52を回転自在に挟持した外挿部品20である。
さらに,リングギアアッシー43は,上記リングギアホルダ531と上記リングギア53とからなる外挿部品20である。
【0081】
次に,図8に示すごとく,軸穴方向と鉛直方向とが略一致するよう載置したオイルポンプアッシー44の軸穴に,上記フォワードクラッチアッシー41のインプットシャフト10の先端部11の反対側の端部を挿入し,第1の外挿部品20としてのオイルポンプアッシー44をインプットシャフト10に外挿する。
このとき,外挿部品20としてのスラストベアリングやワッシャ等を適宜配置しておく。
【0082】
そして,鉛直方向に略一致し,先端部11が上側に配置されたインプットシャフト10に対して,先端部11側から各外挿部品20を外挿していく。
第2の外挿部品20として,上記遊星歯車機構1を構成するサンギア50を外挿する。
さらに,第3の外挿部品20として,スラストベアリング501を介設してキャリアアッシー42を組み付ける。
さらに,第4の外挿部品20として,スラストベアリング532を介設して,リングギアアッシー43を組み付けて上記前後進切換機構1を組み立てる。
【0083】
次に,上記のごとく組み立てた前後進切替機構1に組付治具3を装着する。ここでは,まず,前後進切替機構1と組付治具3とを,上記アウトプットシャフト15と上記係合部31とが対向するように同軸上に配置する。
そして,両者を近づけていき,図9に示すごとく,組付治具3の当接部32としてのボデー320の大径部321の端部324が上記リングギアアッシー43の端面に当接し,当接部32としてのボデー320の段部323がアウトプットシャフト15の軸方向の端面に当接すると共に,係合部31がインプットシャフト10のメイン油路101に挿入されるように前後進切換機構1と組付治具3とを組み合わせる。
ここで,予め,上記ドローバー312をノブ331側に後退させておき,上記係合部31を縮径させておけば,係合部31を上記メイン油路101に容易に挿入し得る。
【0084】
そして,操作部33を操作して,図10に示すごとく,ドローバー312を係合部31の方向に前進させることにより,コレット部313を拡径させる。コレット部313を拡径することにより,コレット片318の当接面319とインプットシャフト10のメイン油路101の内周面との間に押圧力を発生させ,この押圧力により組付治具3を固定する。
なお,本例では,ここまでの組み付け作業を図示しないコンベアによる流れ作業により実施した。
【0085】
次に,インプットシャフト10のオイルポンプアッシー44側の端部を把持することにより,上記前後進切換機構1における組付治具3側を,トランスアクスルケース5の貫通穴500に向けて配置する。
本例では,図11及び図12に示すごとく,前後進切換機構1の収容スペースを鉛直方向上側となるよう作業台(図示略)上に載置したトランスアクスルケース5に対して,前後進切替機構1に装着の軸方向を鉛直方向に略一致させるように配置した。
【0086】
次に,図12及び図13に示すごとく,トランスアクスルケース5の貫通穴500に組付治具3を挿入していき,トランスアクスルケース5内の所定位置に前後進切替機構1を組み付ける。その後,前後進切替機構1の固定作業を実施する。本例では,オイルポンプアッシー44の外周に配置された貫通穴441を貫通するボルト818(図1)によって,前後進切替機構1をトランスアクスルケース5に固定する。
【0087】
そして,最後に,組付治具3の操作部33の操作により,ドローバー312を操作部33に向けて後退させる。ドローバー312の後退により係合部31のコレット部313は縮径し,コレット片318の当接面319とインプットシャフト10のメイン油路101の内周面との間の押圧力を解消する。
【0088】
また,上記のごとく,組付治具3における軸方向に略直交する断面形状は,トランスアクスルケース5の貫通穴500の穴形状に包含されるように構成してある。そこで,前後進切替機構1から取り外した組付治具3を,貫通穴500を介して前後進切替機構1と反対側に取り出す。
【0089】
本例の組み立て方法では,予め,組み立て済みの前後進切替機構1をトランスアクスルケース5に組み付けている。
そのため,前後進切替機構1を組み立てるに当たって,必要な作業スペースを小さくできる。本例のごとく,コンベアによる流れ作業によって,前後進切替機構1を組み立てる場合には,作業に要するライン長を短縮して省スペースを実現できる。大型のトランスアクスルケース5をベルトコンベア上に並べて載置しておく必要がないからである。
【0090】
また,本例の組付治具3は,組み立て済みの前後進切替機構1の一体的な取り扱いを可能としている。すなわち,組付治具3によって保持した前後進切替機構1では,上記リングギアアッシー43等の外挿部品20を確実に保持でき,脱落等のおそれがない。それ故,トランスアクスルケース5に対する前後進切替機構1の組み付け作業を容易に実施し得る。
本例のごとく,上記貫通穴500を鉛直方向下側にして載置したトランスアクスルケース5に対して,組付治具3を鉛直方向下側に向けた前後進切替機構1の姿勢を維持しながら行う組み付け作業を容易に実施し得る。
【0091】
さらに,組付治具3の係合部31によれば,前後進切替機構1への固定とリリースとを上記操作部33の操作により簡単に実施できる。トランスアクスルケース5に前後進切替機構1を組み付けて固定した後には,組付治具3の係合部31をリリース状態として簡単に取り外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における,ベルト式CVTによる変速機を示す断面図。
【図2】実施例1における,組付治具を示す断面図。
【図3】実施例1における,組付治具におけるカバーのコレット部を示す側面図。
【図4】実施例1における,組付治具におけるカバーのコレット部を示す断面図。
【図5】実施例1における,図2の組み付け治具についてのA−A矢視図。
【図6】実施例1における,前後進切換機構を示す拡大図。
【図7】実施例1における,可変速プーリ機構を示す拡大図。
【図8】実施例1における,前後進切換機構の組み立て手順を示す説明図。
【図9】実施例1における,前後進切換機構に装着した組付治具についてリリース状態を示す断面図。
【図10】実施例1における,前後進切換機構に装着した組付治具について固定状態を示す断面図。
【図11】実施例1における,トランスアクスルケースへの前後進切換機構の組み付けの様子を示す説明図。
【図12】実施例1における,トランスアクスルケースへの前後進切換機構の組み付けの様子を示す説明図。
【図13】実施例1における,トランスアクスルケースに組み付けた前後進切換機構を示す説明図。
【図14】従来のトランスアクスルケースへの前後進切換機構を組み付ける手順を示す説明図。
【符号の説明】
1...前後進切換機構,
10...インプットシャフト,
101...メイン油路,
130...遊星歯車機構,
132...クラッチ,
134...ブレーキ,
15...アウトプットシャフト,
3...組付治具,
31...係合部,
32...当接部,
33...操作部,
41...フォワードクラッチアッシー,
42...キャリアアッシー,
43...リングギアアッシー,
44...オイルポンプアッシー
5...トランスアクスルケース,
500...貫通穴,
510...隔壁,
Claims (12)
- ハウジングの貫通穴を経由して回転駆動力を入力又は出力するよう構成された軸部品と,該軸部品に外挿される少なくとも1つの外挿部品とを,上記ハウジングに組み付けた機械部品の組み立て方法において,
上記軸部品に上記外挿部品を外挿すると共に,
着脱可能に構成した組付治具を,上記外挿部品の少なくとも一部に当接するように上記軸部品の少なくも一方の端部に装着し,
重力の作用により上記外挿部品に生じる挿入方向の力を上記組付治具に作用させることにより,上記外挿部品を脱落させることなく上記軸部品と一体化させて,上記組付治具を装着した上記端部を上記ハウジングの貫通穴に向けて配置し,
上記ハウジングの上記貫通穴に上記組付治具を挿入していき,上記軸部品及び上記外挿部品を一体的に上記ハウジング内の所定位置に組み付けた後,
上記軸部品から分離した上記組付治具を上記貫通穴から取り出すか,或いは,既に上記貫通穴を通り抜けた上記組付治具を上記軸部品から分離して取り外すことを特徴とする機械部品の組み立て方法。 - 請求項1において,上記貫通穴に上記組付治具を挿入していくに際して,上記軸部品の軸方向を鉛直方向に略一致させ,上記組付治具を装着した端部を鉛直方向下側に向けて上記ハウジングに上記軸部品及び上記外挿部品を組み付けることを特徴とする機械部品の組み立て方法。
- 請求項1又は2において,上記軸部品及び上記外挿部品は,ベルト式無段変速機の前後進切換機構を構成する部品であることを特徴とする機械部品の組み立て方法。
- ハウジングの貫通穴を経由して回転駆動力を入力又は出力するよう構成された軸部品と,該軸部品に外挿される少なくとも1つの外挿部品とを,上記ハウジングに組み付けた機械部品を組み立てるための組付治具において,
上記外挿部品を外挿した上記軸部品の少なくも一方の端部に着脱可能に係合する係合部と,該係合部に着脱動作させるよう操作する操作部と,少なくとも一部の上記外挿部品と当接する当接部とを有しており,
該当接部は,上記軸部品に外挿した上記外挿部品について,重力の作用により上記組付治具側に向かう挿入方向の力が生じるよう上記軸部品の軸方向を配置したとき,上記外挿部品の軸方向の力を負担することにより該外挿部品を脱落させることなく上記軸部品と一体化させるように構成してあり,
上記組付治具の軸方向に略直交する断面は,上記貫通穴の穴形状に包含される断面形状に形成してあり,該貫通穴から出し入れできよう構成してあることを特徴とする機械部品の組付治具。 - 請求項4において,上記軸部品は,軸方向の少なくともいずれか一方の端面から凹む凹部を有しており,該凹部に挿入できるよう形成した上記係合部は,上記操作部の所定の操作により,軸方向に直交する断面形状を拡大,縮小するよう構成してあることを特徴とするようことを特徴とする機械部品の組付治具。
- 請求項5において,上記操作部は,該操作部に入力する操作量を制限するリミッター機構を有しており,上記係合部の軸方向に略直交する断面形状が拡大し得る最大の大きさが上記リミッター機構により設定されていることを特徴とする機械部品の組付治具。
- 請求項4〜6のいずれか1項において,上記係合部は,複数のコレット片を略円筒形状に配置してなるコレット部と,該コレット部の内周側において軸方向に進退可能に配設されたドロー部材とよりなり,該ドロー部材及び上記コレット片は,軸方向に対して傾斜するテーパ面をそれぞれの接触面に有していると共に,該テーパ面を摺動可能に当接させており,上記ドロー部材の進退に伴って上記テーパ面の当接位置を変化させることにより,上記コレット片を弾性的に変形させて,上記コレット部の径を拡大するよう構成してあることを特徴とする機械部品の組付治具。
- 請求項4において,上記係合部は,軸方向に略平行な中空部を有しており,上記操作部の所定の操作により上記係合部は,その中空部の軸方向に直交する断面形状を拡大,縮小するよう構成してあることを特徴とする機械部品の組付治具。
- 請求項8において,上記操作部は,該操作部に入力する操作量を制限するリミッター機構を有しており,上記係合部の軸方向に略直交する断面形状が拡大し得る最大の大きさが上記リミッター機構により設定されていることを特徴とする機械部品の組付治具。
- 請求項4,8及び9のいずれか1項において,上記係合部は,複数のコレット片を略円筒形状に配置してなるコレット部と,該コレット部の外周側において軸方向に進退可能に配設されたドロー部材とよりなり,該ドロー部材及び上記コレット片は,軸方向に対して傾斜したテーパ面をそれぞれの接触面に有していると共に,該テーパ面を摺動可能に当接させており,上記ドロー部材の進退に伴って上記テーパ面の当接位置を変化させることにより,上記コレット片を弾性的に変形させて,上記コレット部の径を小さくするよう構成してあることを特徴とする機械部品の組付治具。
- 請求項4〜10のいずれか1項において,上記軸部品及び上記外挿部品は,ベルト式無段変速機の前後進切換機構を構成する部品であることを特徴とする機械部品の組付治具。
- 請求項11において,上記前後進切換機構は,該前後進切換機構に回転駆動力を入力する上記軸部品としてのインプットシャフトと,上記外挿部品としての遊星歯車機構及び該遊星歯車機構の動作を制御するための係合機構とを有していることを特徴とする機械部品の組付治具。
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