JP4192440B2 - ヒートシールラベル、貼着方法、及びラベル貼着物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヒートシール接着剤層を基材の片面(一方の面)に設けたヒートシールラベルのヒートシール接着剤層上に印刷を施したことを特徴とするヒートシールラベルとその貼着方法、及びラベル貼着物に関する。
更に詳しくは、各種素材で構成された、清涼飲料水、酒類、医薬品、食品等の略円筒状容器や箱状容器およびプラスチック素材による変形容器等へのラベリングに適したヒートシールラベルとその貼着方法、及びこのヒートシールラベルを用いたラベル貼着物に関する。
【0002】
【従来の技術】
商品や商品を充填した容器等の種々の被着体に対して、商品の品質表示等の種々の情報や絵柄等を印刷したラベルを貼着することが広く行われている。このようなラベルとしては、従来貼着した際に表面に露出する側、すなわち、基材の貼着面と反対側に印刷が施されるのが一般的であった。
【0003】
しかしながら、このように印刷面を露出させたラベルを貼着した場合、搬送・梱包時に商品同士が接触したり、衝突を繰り返してインキ層や基材に擦り傷が発生し、商品の外観品質を低下させることが生じうる。
また、商品によっては、充填した内容物が漏れた場合、ラベルのインキ層が内容物に冒されたり、汚れて商品価値を喪失する等の無駄が生ずる場合がある。
【0004】
このような不都合を回避するために、種々の貼着方法を採用したラベルにおいて、貼着した際に被着体に接する側、すなわち、基材の裏面又は基材に塗布された接着剤層上に印刷を施し、印刷面を保護することが試みられている。
【0005】
たとえば、清涼飲料水、酒類、医薬品、食品等のガラス瓶やプラスチックボトルなどへ貼着するラベルは、ラベル基材の裏面にカゼインやデンプン等の水溶性粘着剤を直接塗布する自動ラベラー等により貼着されている。この場合、予めアート紙、コート紙等のラベル基材裏面に所望の印刷を行い、その後この印刷された面に水溶性接着剤を塗布することにより、基材によって保護された印刷面を形成することができる。
しかし、この場合、基材の裏面に水溶性粘着剤を直接塗布するため、ラベルに皺が発生したりカールが発生するため、ラベル不良となり美観を損なう問題があった。また、貼着後水溶性接着剤の水分を蒸発させなければならないことから、基材の材質は紙類に限られ、フィルム基材等を使用することができなかった。
【0006】
また、上紙、粘着剤層、剥離シートを順次積層した一般的な粘着ラベルを自動ラベラー等により貼着する方法においては、剥離シートを剥がした粘着剤層の上に直接印刷を施す糊面印刷が試みられている。
しかし、この場合、粘着剤の粘着性が障害となることから、印刷工程において、特殊な配慮が必要であった。すなわち、インクジェット等の非接触印刷方式や、特別に離型処理された印刷機でパターン印刷するといった方法が考案されている。
また、糊面印刷は、粘着力を低下させる加工法として使用されていることで理解されるように、印刷により粘着性が低下するという問題がある。このような粘着力の低下は、貼着後再剥離をする用途には好都合であるが、商品ラベルの様な表示を目的としたラベルには不向きであった。
さらに、ラベリング後には不要な剥離シートが発生するため、省資源の観点から好ましくないという問題もあった。
【0007】
また、裏面に予め印刷を施した基材を用いて粘着加工することで、表面基材、印刷層、粘着剤層、剥離シートを順次積層した粘着紙を製造し、さらに所望のラベルサイズにする方法も行われている。
しかし、この場合被着体側から印刷を見ようとすると、比較的透明性の劣る接着剤層を透して印刷を見ることになるため、視覚的に鮮明性を欠くものであった。また、上記一般的な粘着ラベルと同様に、ラベリング後には不要な剥離シートが発生するため、省資源の観点から好ましくないという問題もあった。
【0008】
また、近年、基材の片面に感熱接着剤を積層したラベルが注目されている。この感熱接着剤は、加熱することで接着性を発現するものである。
このような感熱接着剤は常温で粘着性を有しない。そのため、接着剤層の上に印刷を施す際に、上記一般的な粘着ラベルの糊面印刷のように、非接触の印刷法や離型処理された印刷機を用いる等の特別な配慮をする必要がない。また、剥離シートを必要としないことは、もちろんである。
【0009】
このような感熱接着剤には、固体可塑剤を含有するディレード粘着剤と、固体可塑剤を含有しないヒートシール接着剤とがある。
前者のディレード型接着剤は加熱のみで所望の接着性が発現し、その接着性が数時間持続する。
従って、ディレード粘着剤を用いたディレードラベルを貼着する際には、ラベルを加熱する加熱パートとラベルを容器に貼着する貼着パートとが分離した形態のラベラー(ディレードラベラー)を用いるのが主流である。
【0010】
しかし、ディレード粘着剤には、必須成分として一般的にフタル酸ジシクロヘキシル等の固体可塑剤が数ミクロン程度に粉砕し配合されている。この固体可塑剤は、加熱により溶融し、接着性が発現するものであるが、経時で再結晶化(固化)する。このため、溶融時には透明な粘着剤層が、固体可塑剤の再結晶化と共に不透明化(白色固化)する。
このため、ディレード粘着剤上に施した印刷を基材の表側から見る場合、この白濁した粘着剤層を通して見ることになり、印刷を明瞭に視認することができなかった。
また、被着体を変形させる(スクイーズ)とラベルが剥がれてしまうため、容器を変形させて内容物を押し出す商品等には貼着できなかった。さらに、ディレード粘着剤をラベル基材へ塗布した直後では問題ないものの、原因は不明であるが、経時で前述の固体可塑剤が析出して粘着剤塗布面に白い粉が発生し保存性に問題があった。
【0011】
一方後者のヒートシール接着剤を用いたヒートシールラベルでは、接着性の乏しいヒートシール接着剤の接着性能を補うために、ラベル加熱と同時に圧着をする加熱加圧一体型のラベラー(ヒートシーラー)を用いるのが主流である。このヒートシーラーは、通常120℃以上の高温と、98kPa程度の高圧を同時に熱板よりラベルへ加えている。従って、使用可能な被着体には形態、材質等が制限される。とりわけ形態は平面に限られ、清涼飲料水、酒類、医薬品、食品等の容器の様な円筒型の容器や、加圧により変形、破損のおそれのあるガラス容器、プラスチック容器には不向きであった。
【0012】
このようなヒートシールラベルに裏面印刷を施した例として、特開平2000−267568号公報に記載されたラベルがある。
このラベルは、基材が透明フィルムからなり、基材の対象物に貼り付ける面に感熱接着樹脂層を一面に塗工し、この感熱接着樹脂層に、前記感熱接着樹脂層の貼り合わせ部分を残して逆刷り印刷のインキ層が形成されていることを特徴とするラベルである。
そして、このラベルの基材の具体的材質として、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等が挙げられている。また、感熱接着樹脂層の具体的材質として、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、エチレン・メタクリル酸エステル共重合体等を主成分とする樹脂が挙げられている。また、逆刷り印刷のインキ層のインキとしては、紫外線硬化型インキ(UVインキ)が挙げられている。なお、このラベルを貼着する際には、ラベルを熱風で加熱後に貼着するラベラーが用いられている。
この従来技術によれば、接着剤層に施された逆刷り印刷を、透明基材の表面側から、正しい方向の印刷として見ることができる。また、印刷面が基材により保護されているので、商品同士の接触や充填物の漏れ等により印刷が損なわれることがないものである。
【0013】
しかしながら、この特開平2000−267568号公報に記載されたラベルでは、粘着ラベルの糊面印刷の場合と同様に、印刷が施された部分の接着剤層の接着力が失われてしまうものであった。そのため、ラベル全体としての接着力が低下してしまうという問題があった。また、実用上支障のない接着力を確保するためには、印刷を施さない張り合わせ部分を周囲に残しておかなければならなかった。したがって、印刷可能な領域が周辺を除いた中心部に限定されてしまうものであった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑みて、基材裏面の接着剤層に容易に印刷を施すことが可能であると共に、印刷により接着力が低下せず、必要に応じて裏面に全面印刷を施すことも可能であり、かつ、施した印刷をどちらの面からも鮮明に観察できるヒートシールラベルを提供することを課題とする。また、被着体の形状材質について、制約の少ない貼着方法を提供することを課題とする。さらに、この裏面に施した印刷を、基材の表側又は被着体側から鮮明に観察することが可能なラベル貼着物を提供することを課題とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するため、基材の一方の面に、熱可塑性樹脂、粘着付与剤、ワックスを主成分とするヒートシール接着剤層を設け、該ヒートシール接着剤層上に酸化重合反応により乾燥するインキを使用して、観察可能な印刷を施したことを特徴とするヒートシールラベルを提供する。
【0016】
本発明のヒートシールラベルによれば、接着剤として上記ヒートシール接着剤を用いたので、一般的な粘着ラベルの糊面印刷のように、非接触の印刷法や離型処理された印刷機を用いる等の特別な配慮をする必要がない。また、剥離シートを必要としないことはもちろんである。
また、熱可塑性樹脂の他に、粘着付与剤及びワックスを主成分に加えたので、ヒートシール時(通常120℃)における貯蔵弾性率を適切に調整することができる。すなわち、ワックスは、50〜60℃前後で流動性が得られるので、ヒートシール時の加熱で、接着剤に流動性を与えることができる。また、粘着付与剤により熱可塑性樹脂の粘着性を高めることができる。
また、主成分にワックスを加えたため、印刷インキとの相溶性を適度に高めることができる。このため、印刷インキ層に粘着剤の成分が混じり合って粘着性が付与され、印刷が施された部分の粘着力の低下を防ぐことが可能となる。これは、粘着剤層と印刷インキの各々に含まれるワックスが媒体となり、粘着剤層と印刷インキ層の成分が相互に混じり合うためと考えられる。
このように、本発明においては、粘着力を低下させることなく基材裏面の接着剤層に容易に印刷を施すことが可能である。したがって、接着剤層の全面を覆って印刷することも可能であり、必要に応じて裏面の全面に印刷を施すこともできる。
さらに、接着剤を、固体可塑剤のように、再結晶化と共に不透明化する成分を用いず構成できるので、基材の表側から、ヒートシール接着剤層を介して観察した場合にも、印刷を鮮明に見ることができる。
【0017】
本発明において、前記ヒートシール接着剤層に施した印刷は、酸化重合反応により乾燥するインキを使用してなされたものである。上記特開2000−267568号公報に記載されているUV照射による光重合タイプのインキは、乾燥機後の皮膜が固く接着性が低下する。これに対して、酸化重合タイプのインキは、乾燥後も皮膜が比較的軟らかく接着性への影響が小さく好ましいインキである。
【0018】
また、本発明において、120℃におけるヒートシール接着剤の貯蔵弾性率が、10〜5000Paとすることが望ましい。
なお、本発明における貯蔵弾性率とは、動的粘弾性測定装置(測定装置の例として、オリエンテック製RHEOVIBRON DDV−25FP)を用いて約2mm厚の板状に成膜した接着剤樹脂を120℃、周波数1Hzで剪断変形させたときに得られる動的複素弾性率の位相角δの余弦成分を指す。
【0019】
ヒートシール接着剤の軟化点は一般的に60℃から110℃程度であるため、通常のラベリング装置では、120℃程度で加熱が行われる。そこで、本発明は、この120℃において接着性や印刷への影響を適正化するため、120℃の貯蔵弾性率を規定したものである。
なお、ヒートシール接着剤の軟化点は樹脂が軟化し始める温度であり、ヒートシールラベルの接着性に影響する重要な因子である。
【0020】
このヒートシール接着剤の貯蔵弾性率が120℃において10Pa未満の場合、該接着剤層の流動性が大きく、つまり該接着剤層が低貯蔵弾性率になることで、貼着時、ラベルがズレる問題が発生したり、また、基材へのしみ込みが激しくなって接着に有効な接着剤層の厚みを保持できなくなり、印刷が不鮮明になる。
また逆に、5000Paを越えると、ヒートシール接着剤層が高貯蔵弾性率となり、貼着時に加熱だけでは貼着できず、同時に98kPa程度の圧力も必要となるため通常のディレードラベラーでの接着が困難となる。そのため、円筒容器やガラス容器およびプラスチック容器等へ貼着することができない。
【0021】
本発明では、120℃におけるヒートシール接着剤の貯蔵弾性率を50〜1000Paとすることが、より好ましい。これにより、上記のように良好な貼着性能を得られるだけでなく、貼着時に、印刷されたインキ層が流動して印刷が不鮮明になることを回避することができる。
【0022】
本発明において、前記ヒートシール接着剤層上に印刷を施したことに加え、前記基材の他方の面上、すなわち、被着体に貼着した際に表面に露出する側(表側)にも印刷を施すことができる。
この場合、基材が透明であれば、表裏両面の印刷を重ねた状態の表示を、基材の表側、又は被着物側の双方から観察できるラベルとすることができる。
また、基材が不透明であれば、表側の印刷を基材の表側から、裏側の印刷を被着物側から、各々独立して観察できるラベルとすることができる。
【0023】
また、本発明は、上記本発明に係るヒートシールラベルを貼着したラベル貼着物を提供する。
本発明によれば、ラベルの裏面に施した印刷を、基材の表側又は被着体側から鮮明に観察することが可能なラベル貼着物とすることが可能となる。
【0024】
本発明のヒートシールラベルは、前記ヒートシールラベルを加熱する加熱工程と、その後の、前記ヒートシールラベルを被着体へ圧着する圧着工程とを有することを特徴とする貼着方法によって、被着体に貼着することが望ましい。すなわち、加熱場所と圧着場所とが異なる通常のディレードタックラベラーを用いて貼着することが望ましい。
なお、本発明のヒートシールラベルは、ワックスを含むことにより、加熱後1〜2秒間粘着性が持続する。そのため、ヒートシーラーのように加熱と圧着とを同時に行わなくても、貼着が可能となるものである。
これにより、円筒型の容器や、加圧により変形、破損のおそれのあるガラス容器、プラスチック容器等の被着体にも貼着が可能となる。
【0025】
また、本発明において、前記被着体を透明とすることができる。
本発明によれば、ラベルの裏面に施した印刷を、被着体側から鮮明に観察することが可能なラベル貼着物とすることが可能となる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施形態について図面を参照して説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。なお、以下の図面においては、説明のため、基材の面に垂直な方向を著しく強調している。
図1は本発明の第1実施形態に係るヒートシールラベルの断面図、図2は、図1のヒートシールラベルを被着体に貼着した貼着物の断面図である。
【0027】
図1のヒートシールラベル10は、基材11の被着体への貼り付け面に、ヒートシール接着剤層12が形成されており、このヒートシール接着剤層12上に印刷によるインキ層13が形成されている。
そして、図2に示すように、被着体14の表面に貼り合わせられる。
【0028】
基材11の材質としては、各種紙類、合成紙、フィルム類、金属フォイル類、不織布、織布等、さらにこれらを適宜積層したシートが挙げられるが、インキ層13を貼り付け面と反対の表側(図面上側)から観察する場合には、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル等の透明フィルムを使用することができる。
また、熱板加熱型高速ラベラーで使用する場合には耐熱性に優れた材質とすることが望ましい。
また、清涼飲料水、酒類、薬品瓶等のような液体の入ったガラス瓶に貼着するラベルとして使用する場合は、耐水性、耐薬品性等に優れた材質を使用することが望ましい。
また、ヒートシール接着剤が塗布される面には、強度を補強したり、ヒートシール接着剤が基材の中へ浸透し接着機能が低下するのを防ぐためのバリアー層を設けてもよい。
【0029】
ヒートシール接着剤層12の組成は、主に熱可塑性樹脂、粘着付与剤、ワックスで構成される。
熱可塑性樹脂としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体などの熱可塑性エラストマー、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの非晶質ポリアルファオレフィンなどのオレフィン系ポリマー等が挙げられ、特に限定するものではないが、軟化点が40℃から100℃、好ましくは60℃から80℃のものが適用可能である。因みに、軟化点が40℃未満では接着剤層に粘着性が現れ、ブロッキングしやすくなり剥離シートが必要となる場合がある。逆に軟化点が100℃を越えると、加熱時の接着剤層が硬すぎ、接着性が不足することがある。これらの熱可塑性樹脂は単独で又は複数併用して用いられる。熱可塑性樹脂の分子量としては数千から数千万程度、好ましくは数万〜数百万程度である。因みに数千未満では接着後の凝集力が不足し、また数千万を越えると高弾性体となり接着性が不足する場合がある。
【0030】
粘着付与剤は、熱可塑性樹脂に配合されて粘着性を向上させる機能を有する物質で、それ自身では接着性を持たない物質である。
粘着付与剤としては、ロジン、重合ロジン、不均化ロジンおよびその誘導体、ポリテルペン樹脂、テルペンフェノール、ロジンフェノールなどのフェノール変性樹脂、アルキルフェノール樹脂、クマロン−インデン樹脂、キシレン樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、脂環族飽和炭化水素樹脂、芳香族炭化水素樹脂およびその水添物、スチレン系樹脂、ビニルトルエン−α−メチルスチレン共重合体等が挙げられ、特に限定するものではないが、軟化点が150℃以下、好ましくは50℃から130℃のものが適用できる。因みに、軟化点が150℃を越えると、加熱時の接着性が低下することがある。これらの粘着付与剤は、単独で又は複数併用して用いられる。
【0031】
ワックスとしては、パラフィンワックス、モンタンワックス、カルバナワックス、キャンデリラロウ、マイクロワックスなどの石油系ワックスや、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどの合成ワックスが用いられ、特に限定するものではないが、融点が50℃から200℃、好ましくは60℃から120℃のもので、分子量が300から2000、好ましくは500から1500のものが適応できる。因みに融点が50℃未満では、ラベルの保存性に問題が発生し、逆に融点が200℃を越えると加熱時の接着性が低下する等の問題が発生することがある。一方、分子量が300未満であると接着剤層の擬集力が低下する場合がある。逆に分子量が2000より大であると、ワックスの粘度が高くなることで、接着剤層が硬くなり、接着性が不足することがある。
【0032】
熱可塑性樹脂、粘着付与剤、ワックスの固形分配合比は、全固形分中それぞれ10〜70質量%程度である。また、これら3成分の合計配合比は、60質量%以上であることが望ましく、80質量%以上であることがより望ましい。これら3成分の各配合比は、ラベルの接着性、保存性等を考慮して適宜調節される。
また、これら3成分の他、酸化防止剤や充填剤などが用いられることもある。酸化防止剤としては、フェノール系をはじめ、チオエーテル系、フォスファイト系の単用もしくはこれらの併用で用いられ、充填剤としては、炭酸カルシウム、クレー、タルク、硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、含水ケイ酸、無水ケイ酸等が挙げられる。
【0033】
ヒートシール接着剤層12の120℃における貯蔵弾性率は、10〜5000Paである。120℃における貯蔵弾性率の制御法としては、熱可塑性樹脂のガラス転移温度や分子量、粘着付与剤の軟化点、ワックス成分の融点や分子量等の調整が挙げられる。
すなわち、貯蔵弾性率は、接着剤成分のガラス転移温度、軟化点、融点を超えると増加する関係にあるので、これらの温度と120℃との関係が重要である。また、接着剤成分の分子量が大きいほど分子間の結合が強固となり、貯蔵弾性率を下降させることができる。
また、接着剤成分の配合比の調整や、熱可塑性樹脂、粘着付与剤およびワックス成分の各組成の変更により各種材料の相溶性を向上させることも有効である。一般的には、ワックスは120℃で流動性があるので、この配合比を増加させるほど120℃における貯蔵弾性率を上昇させることができる。また、粘着付与剤の配合比を増加させると、120℃における貯蔵弾性率を下降させることができる。また、粘着付与剤の軟化点を変更することによって、目的とする接着剤の120℃における貯蔵弾性率及び接着力を調製することが可能となる。
【0034】
特に限定するものではないが、ヒートシール接着剤層12の塗布量については、乾燥重量で3〜30g/m2の範囲で適宜調節される。好ましくは5〜15g/m2程度である。因みに塗布量が3g/m2未満であると、ラベルとして使用する際、十分な接着性が得られないことがある。一方、30g/m2を越えると、得られる接着性は飽和するため、経済的に好ましくない。
【0035】
また、基材11に対するヒートシール接着剤層12の塗布面積は、接着性を損なわない範囲内であれば、部分塗布も可能である。塗工のパターンは帯状であっても千鳥状、スポット状であっても良い。
【0036】
ヒートシール接着剤層12を基材11上に塗布する方法としては、加熱、保温装置を備えた一般的なコーターや印刷機が適用でき、コーターヘッドとしては、リバースロールコータ、グラビアロールコーター等のロールコーターや、樹脂押し出し式のダイコーター、リップコーター等の各種塗工装置や、またグラビヤ版、凸版、スクリーン等の各種印刷装置によって行われる。
【0037】
インキ層13は、酸化重合反応により乾燥するインキにより構成される。一般にインキの乾燥形式は、インキを構成しているビヒクルの種類によって異なるが、酸化重合型のインキのビヒクルには、アマニ油やキリ油のような乾性油及びこれらの重合油、乾性油変性アルキド樹脂、乾性油と合成樹脂からなる樹脂ワニスなどが使われる。これらのビヒクル分子中には、空気中の酸素と緩やかに反応するような二重結合が存在する。
このようなビヒクルは、インキ間の中では空気にほとんど触れるようなことがないので安定であるが、印刷されると表面積が拡大されるので、空気中の酸素を吸収して酸化重合反応が起こる。これにより、架橋された編み目構造の高分子となるので、流動性が失われる。
すなわち、酸化重合反応により乾燥するインキは、印刷物を常温で放置して乾燥させる、自然乾燥によって固化、乾燥することができる。乾燥後の皮膜は比較的軟らかく接着性への影響が小さい。
【0038】
印刷方法は特に限定はなく、凸版印刷、平版印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、スクリ−ン印刷等を利用できる。なお、印刷時の温度が60℃以上にならない印刷法であることが望ましい。60℃以上となる場合、印刷時に接着剤の軟化点以上となって、接着剤を軟化させてしまう可能性が大きいからである。
【0039】
乾燥定着後におけるインキ層13の厚み(ヒートシール接着剤層12上に突出する部分の厚み)は、12μm以下、好ましくは、10μm以下になるように印刷することが好ましい。印刷層の厚みが12μmより厚くなると、印刷層が接着剤層を厚く覆ってしまうため、十分な接着性が得られない。なお、通常の印刷インキの厚みは2〜3μmで、大きくても5μmである。したがって、12μm以下に制限しても、特に印刷形態等を制約するものではない。一方、印刷が鮮明に見える限り、印刷層の厚みを薄くしても何ら問題はない。
【0040】
また、基材11に対するインキ層13の面積は、部分印刷でも全面印刷であっても差し支えない。インキ層13がヒートシール接着剤層12を全て覆っても、接着性に問題はない。
また、ヒートシール接着剤層12の塗工パターンが、帯状、千鳥状、スポット状等の部分塗布である場合、インキ層13は、ヒートシール接着剤層12上に形成される部分と、基材11の裏面に直接形成される部分とが混在していても差し支えない。
【0041】
被着体14の材質に特に限定はなく、ヒートシールラベル10は、ガラス、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ABS樹脂(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ウレタンフォーム等の、種々の透明材質や不透明材質の被着体14に貼着することができる。
ただし、インキ層13を被着体14の裏側(図面下側)から観察する場合には、被着体14の材質として、ガラス、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等の透明の材質を使用することが必要である。
また、図2において、被着体14のヒートシールラベル10側の面を平面としたが、被着体の形状に特に限定はなく、瓶の側面の如き曲面にも貼着することができる。
【0042】
本実施形態によれば、印刷により接着力が低下しないので、必要に応じて裏面に全面印刷を施すことも可能なラベルとすることができる。また、貼着時にインキ層13が流動したり、ヒートシール接着剤層12が不透明化する等の問題が生じないので、この裏面に施した印刷を、基材11の表側又は被着体14の裏側の何れからでも鮮明に観察することが可能である。
【0043】
図3は本発明の第2実施形態に係るヒートシールラベルの断面図、図4は、図3のヒートシールラベルを被着体に貼着した貼着物の断面図である。
説明の便宜上第1実施形態と同一の構成部材には、同一の参照番号を付し、詳細な説明を省略する。
【0044】
図3のラベル20は、図1のヒートシールラベル10と同様に基材11の被着体への貼り付け面に、ヒートシール接着剤層12が形成されており、このヒートシール接着剤層12上に印刷によるインキ層13が形成されている。さらに、基材11のヒートシール接着剤層12が形成された面と反対の面(表側)にも、別の印刷によるインキ層15が形成されている。
そして、図4に示すように、被着体14の表面に貼り合わせられる。
【0045】
本実施形態では、基材11の表側にも印刷を施すので、基材11の印刷適性も必要とされる。そのため、基材11の表側には、感圧記録層、熱転写受像層、インクジェット記録層、顔料塗被層等、印刷適性を考慮した各種の機能を有する層が設けられていることが望ましい。
また、インキ層13を被着体14の裏側から、インキ層15を基材11の表側から、各々別個の印刷として観察する場合、基材11は、不透明な材質で形成することが必要である。
一方、インキ層13とインキ層15とを重ね合わせ、基材11の表側又は被着体14の裏側から、一つの印刷として観察する場合、基材11は、透明な材質で形成することが必要である。
【0046】
本実施形態によれば、第1実施形態と同様な効果が得られる他、ラベル20の両側に印刷を施すので、より多彩な表示形態をとることが可能となる。
たとえば、基材11を不透明な素材で、被着体14を透明な素材で構成すれば、通常の品質表示をインキ層15によって行い、容器内の液体製品消費後に明らかにすべき表示、たとえば抽選の当否結果等の表示をインキ層13によって行うことができる。
また、基材11を透明な素材で構成すれば、品質表示や絵柄等の共通の表示をインキ層13によって逆刷りし、製造番号、製造年月日等の個別の表示をインキ層15によって後から行うことができる。
【0047】
【実施例】
以下に、実験例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、勿論本発明はそれらに限定されるものではない。尚、試料の説明中の%、部、重量、割合、塗被量等は特に断らない限り、全て固形分重量で示すものである。また、各試料の説明中における符号は、図1及び図2の符号を援用した。
【0048】
(試料1)
以下に示すように、ヒートシールラベル10を作成した。
基材11としては、米坪79.1g/m2の両面コート紙(商品名「OKトップコート」,王子製紙社製)を用いた。
そして、軟化点62℃のエチレン酢酸ビニル共重合体(商品名「エバフレックスP−1407」、三井・デュポンポリケミカル社製)(熱可塑性樹脂)25部、軟化点60℃の粘着付与剤(商品名「アルコンP−70」、荒川化学工業社製)30部、融点61℃のパラフィンワックス(商品名「パラフィンワックス−140」、日本精鑞社製)45部を140℃の保温した容器内で調整し、固形分100%のヒートシール接着剤を作製した。
得られたヒートシール接着剤の120℃における貯蔵弾性率は500Paであった。なお、各試料について、貯蔵弾性率は、動的粘弾性測定装置(商品名「DDV−25FP」、オリエンテック社製)で測定した。
このヒートシール接着剤を基材11の片面に、温度140℃に加温しながら、パンフィード式ロールコーターを用いて、固形分質量で10g/m2となるように全面に塗布し、ヒートシール接着剤層12とした。
次いで、ヒートシール接着剤層12全面に凸版印刷機(商品名「OPM−W150−3S」、恩田製作所製)により、酸化重合型のインキ(商品名「オフセット用インキ、No.2合成紙用」、東華社製)を用いて、厚みが10μmになるように印刷してインキ層13とした。
【0049】
(試料2)
ヒートシール接着剤層12全面の60%を覆うようにランダムに、印刷してインキ層13とした他は、試料1と同様にして、ヒートシールラベル10を作成した。
【0050】
(試料3)
以下に示すように、ヒートシールラベル10を作成した。
基材11としては、米坪85.0g/m2の片面アート紙(商品名「金片アート紙」、王子製紙社製)を原紙として、該原紙のヒートシール接着剤層12側の面(裏面)に、加熱時の接着剤の染込みを防ぐ為に、10μmのポリエチレンラミ加工施したものを用いた。
そして、エバフレックスP−1407を35部、粘着付与剤に軟化点100℃の商品名「アルコンP−100」(荒川化学工業社製)を30部、パラフィンワックス−140を35部を140℃の保温した容器内で調整し、固形分100%のヒートシール接着剤を作製した。得られたヒートシール接着剤の120℃における貯蔵弾性率は4100Paであった。
このヒートシール接着剤を基材11の片面に、温度140℃に加温しながら、パンフィード式ロールコーターを用いて、固形分質量で10g/m2となるように全面に塗布し、ヒートシール接着剤層12とした。
次いで、ヒートシール接着剤層12全面に凸版印刷機(商品名「OPM−W150−3S」、恩田製作所製)により、酸化重合型のインキ(商品名「オフセット用インキ、No.2合成紙用」、東華社製)を用いて、厚みが10μmになるように印刷してインキ層13とした。
【0051】
(試料4)
以下に示すように、ヒートシールラベル10を作成した。
基材11としては、米坪79.1g/m2の両面コート紙(商品名「OKトップコート」,王子製紙社製)を用いた。
そして、軟化点62℃のエチレン酢酸ビニル共重合体(商品名「エバフレックスP−1407」、三井・デュポンポリケミカル社製)(熱可塑性樹脂)25部、軟化点60℃の粘着付与剤(商品名「アルコンP−70」、荒川化学工業社製)30部、融点47℃のパラフィンワックス(商品名「パラフィンワックス−115」、日本精鑞社製)を45部を140℃の保温した容器内で調整し、固形分100%のヒートシール接着剤を作製した。得られたヒートシール接着剤の120℃における貯蔵弾性率は40Paであった。
このヒートシール接着剤を基材11の片面に、温度140℃に加温しながら、パンフィード式ロールコーターを用いて、固形分質量で10g/m2となるように全面に塗布し、ヒートシール接着剤層12とした。
次いで、ヒートシール接着剤層12全面に凸版印刷機(商品名「OPM−W150−3S」、恩田製作所製)により、酸化重合型のインキ(商品名「オフセット用インキ、No.2合成紙用」、東華社製)を用いて、厚みが10μmになるように印刷してインキ層13とした。
【0052】
(試料5)
ヒートシール接着剤層12上に凸版印刷機(商品名「OPM−W150−3S」、恩田製作所製)を用いて、印刷層の厚みが12μmになるように印刷した以外は試料1と同様にしてヒートシールラベル10を作成した。
【0053】
(試料6)
ヒートシール接着剤層12にUVインキを印刷層の厚みが10μmになるように印刷(商品名「紫外線硬化インキ、ベストキュアー」、T&K社製)し、十分にUV照射を行い硬化させた以外は試料1と同様にしてヒートシールラベル10を作成した。
【0054】
(試料7)
ヒートシール接着剤層上に凸版印刷機(商品名「OPM−W150−3S」、恩田製作所製)を用いて、印刷層の厚みが14μmになるように印刷した以外は試料1と同様にしてヒートシールラベル10を作成した。
【0055】
(試料8)
エバフレックスP−1407を40部、アルコンP−100を30部、パラフィンワックス−140を30部とした以外は試料1と同様にしてヒートシールラベル10を作成した。なお、得られたヒートシール接着剤の120℃における貯蔵弾性率は5500Paであった。
【0056】
(試料9)
エバフレックスP−1407を25部、アルコンP−70を25部、パラフィンワックス−115を50部とした以外は試料1と同様にしてヒートシールラベル10を作成した。なお、得られたヒートシール接着剤の120℃における貯蔵弾性率は8Paであった。
【0057】
(試料10)
基材11として、厚さ50μmの透明なポリエステルフィルム(商品名「ルミラー」東レ社製)を用いた以外は、試料1と同様にしてヒートシールラベル10を作成した。
【0058】
(試料11)
熱可塑性樹脂として、ガラス転移温度20℃の酢酸ビニル−エチレン−塩化ビニル共重合体樹脂の水分散液100部、固体可塑剤として、フタル酸ジシクロヘキシル(融点65℃)を200部、及び粘着付与剤としてロジンエステル(軟化点155℃)60部を混合して固形分濃度を50%とし、感熱性粘着剤塗液を調製した。
この感熱性粘着剤塗液を、ヒートシール接着剤に代えて、基材11の片面に塗布した。基材11としては、厚さ50μmの透明なポリエステルフィルム(商品名「ルミラー」東レ社製)を用いた。
感熱性粘着剤塗液の基材11への塗布は、マイヤーパーコーターを用い、乾燥重量が15g/m2となるように塗布乾燥した。なお、得られた感熱粘着剤の120℃における貯蔵弾性率は1000Paであった。
次いで、感熱性粘着剤層全面に凸版印刷機(商品名「OPM−W150−3S」、恩田製作所製)により、酸化重合型のインキ(商品名「オフセット用インキ、No.2合成紙用」、東華社製)を用いて、厚みが10μmになるように印刷してインキ層13とした。
【0059】
(剥離力の測定)
各試料で得られたヒートシールラベル10について、剥離角度90°剥離スピード0.3m/minで剥がした時の剥離力を、JIS Z 0237に基づき、測定した。
【0060】
(円筒容器への接着評価)
得られた各試料(ヒートシールラベル10)を40×80mmの大きさにカットし、ディレードラベラー(商品名「サーモラベラーALタイプ」,タカラ社製)を使用して、ラベリング速度30m/min(ラベル貼付までの時間1.0秒)、熱風設定温度400℃(ヒートシールラベルの紙面温度120℃)、圧力4.5kPaの条件で、ガラス製の透明円筒容器(被着体14)の側面(曲率半径40mm)にラベリングし、接着状態の良否を以下の基準で評価した。
良好:定位置に貼着でき、2時間経過後、手で剥がそうとすると基材破壊が起こる。
不良:定位置に貼着できるが、2時間経過後に手で剥がすことができる。
不能:ラベルが定位置に貼着できず落下する。
【0061】
(円筒容器裏側からの目視評価)
上記評価で、接着試験が良好な試料について、ガラス製透明円筒容器のヒートシールラベル10貼着面とは反対側(裏側)からインキ層13を観察し、印刷の鮮明性を以下の基準で評価した。
良好:鮮明に見える。
不良:滲んだように見える。
【0062】
(ラベル表側からの目視評価)
試料10及び試料11について、ヒートシールラベル10の貼着面とは反対側(表側)からインキ層13を観察し、印刷の鮮明性を以下の基準で評価した。
良好:鮮明に見える。
不良:曇って見える。
【0063】
上記各評価結果を、表1に示す。
【表1】
【0064】
表1に示すように、試料1、3〜6、10は、インキ層13がヒートシール接着剤層12の全面を覆っているにもかかわらず、いずれも充分な剥離離力が得られ、円筒容器への接着評価、円筒容器裏側からの目視評価共に良好であった。
また、試料1(全面印刷)と試料2(60%印刷)の剥離力は、ほとんど相違しなかった。
以上の結果から、インキ層13が接着性に重大な悪影響を与えていないことがわかる。
【0065】
ただし、試料3はと試料4では剥離力がやや小さめであった。このことから、120℃における貯蔵弾性率は4100Paより小さく、かつ、40Paより大きいことが好ましいことがわかる。
また、UVインキを用いた試料6では、剥離力がやや低めになった。このことから、試料1等のように、酸化重合型のインキの方が好ましいことがわかる。
【0066】
また、試料5では充分な剥離離力が得られ、円筒容器への接着評価、円筒容器裏側からの目視評価共に良好であったが、試料7では剥離力が小さく、円筒容器への接着評価も不良であった。このことから、インキ層の厚さが14μm以上となると、接着性を阻害されることがわかる。ただし、通常の印刷でインキ層が12μmを越えることはないので、実用上インキ層の厚さが問題になることは少ないと考えられる。
【0067】
また、試料8では、120℃における貯蔵弾性率が5500Paと大きすぎるため、接着自体ができず、剥離力の測定は不能であった。一方、試料9では、120℃における貯蔵弾性率が8Paと小さすぎるため、円筒容器への接着評価こそ良好であったものの、インキ層13が滲んでしまい良好な目視評価が得られなかった。
【0068】
試料10と試料11では、円筒容器表側からの目視評価も行った。その結果、試料10は良好な目視評価が得られ、本発明における接着剤層の透明性が確認できた。これに対して、固体可塑剤を用いた試料11は、良好な目視評価が得られず、粘着剤層の透明性が低いことが確認された。
【0069】
(保存性評価)
試料1〜6、10について、30℃雰囲気下で1ヶ月保存後に上記と同様な評価を行った結果、いずれの評価項目についても変化のないことを確認した。
【0070】
(ブロッキング評価)
試料1〜6、10について、常温で3ヶ月保管してもブロッキングの問題が生じないことを確認した。
【0071】
【発明の効果】
本発明のヒートシールラベルによれば、基材裏面の接着剤層に容易に印刷を施すことが可能であると共に、印刷により接着力が低下せず、必要に応じて裏面に全面印刷を施すことも可能である。また、施した印刷は、ヒートシールラベルの表裏どちらの面からも鮮明に観察することができる。
また、本発明の貼着方法によれば、被着体の形状材質についての制約が少なく、たとえば、円筒形のガラス瓶等にも、本発明のヒートシールラベルを貼着することができる。
また、本発明の貼着物によれば、ヒートシールラベルの裏面に施した印刷を、基材の表側又は被着体側から鮮明に観察することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態に係るヒートシールラベルの断面図である。
【図2】 図1のヒートシールラベルを被着体に貼着した貼着物の断面図である。
【図3】 本発明の第2実施形態に係るヒートシールラベルの断面図である。
【図4】 図3のヒートシールラベルを被着体に貼着した貼着物の断面図である。
【符号の説明】
10…ヒートシールラベル、11…基材、12…ヒートシール接着剤層、13…インキ層、14…被着体、15…インキ層、20…ラベル
Claims (8)
- 基材の一方の面に、熱可塑性樹脂、粘着付与剤、ワックスを主成分とするヒートシール接着剤層を設け、該ヒートシール接着剤層上に酸化重合反応により乾燥するインキを使用して、観察可能な印刷を施したことを特徴とするヒートシールラベル。
- 前記ヒートシール接着剤層の全面を覆って前記印刷を施したことを特徴とする請求項1に記載のヒートシールラベル。
- 120℃におけるヒートシール接着剤の貯蔵弾性率が10〜5000Paであることを特徴とする請求項1又請求項2に記載のヒートシールラベル。
- 前記基材の他方の面上にも印刷を施したことを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載のヒートシールラベル。
- 基材が不透明であることを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載のヒートシールラベル。
- 請求項1から請求項5の何れかに記載のヒートシールラベルの被着体への貼着方法であって、前記ヒートシールラベルを加熱する加熱工程と、その後の、前記ヒートシールラベルを被着体へ圧着する圧着工程とを有することを特徴とするヒートシールラベルの貼着方法。
- 請求項1から請求項5の何れかに記載のヒートシールラベルを被着体に貼着したことを特徴とするラベル貼着物。
- 前記被着体が透明であることを特徴とする請求項7に記載のラベル貼着物。
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