JP4191655B2 - 生きイカの墨抜き方法並びに生きイカの保存方法及び生きイカの輸送方法 - Google Patents

生きイカの墨抜き方法並びに生きイカの保存方法及び生きイカの輸送方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4191655B2
JP4191655B2 JP2004204460A JP2004204460A JP4191655B2 JP 4191655 B2 JP4191655 B2 JP 4191655B2 JP 2004204460 A JP2004204460 A JP 2004204460A JP 2004204460 A JP2004204460 A JP 2004204460A JP 4191655 B2 JP4191655 B2 JP 4191655B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ink
squid
bag
ink bag
living
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2004204460A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2006025613A (ja
Inventor
正之 山崎
Original Assignee
株式会社壱番舎
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 株式会社壱番舎 filed Critical 株式会社壱番舎
Priority to JP2004204460A priority Critical patent/JP4191655B2/ja
Publication of JP2006025613A publication Critical patent/JP2006025613A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4191655B2 publication Critical patent/JP4191655B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02ATECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
    • Y02A40/00Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production
    • Y02A40/80Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production in fisheries management
    • Y02A40/81Aquaculture, e.g. of fish

Landscapes

  • Farming Of Fish And Shellfish (AREA)

Description

この発明は、生きているイカの墨袋からイカを殺さないようにして墨のみを抜き取る生きイカの墨抜き方法並びに墨を抜いた生きイカの保存方法及び輸送方法に関するものである。
調理時に生きているイカは死んでいるイカに比べて商品価値が高い。このため、輸送及び調理するまでイカを生かしたい要望がある。ところで、採ったイカを生きた状態で輸送し、料理屋等で生きた状態で調理するまでの間、イカが死なないようにする場合において、特に問題となるのはイカから吐き出される墨である。
イカはデリケートな魚介類として知られており、緊張したり異変や危険を感じると本能的に墨を吐く習性がある。イカの輸送中に何らかの原因でイカが墨を吐くとタンク内の海水は吐いた墨によって真っ黒になって見えなくなり、また、タンク内に複数のイカがいる場合、或るイカが墨を吐くと連鎖して他のイカも墨を吐くことがある。海洋で墨を吐く場合と異なり、狭いタンク内で墨を吐いた場合、吐いた墨の一部がイカのエラなどに付着し、これが原因でイカは弱ったり死んだりする。このように輸送中に墨を吐くことによって輸送中の生きたイカが全滅することもあり、大変な損失となる。さらに、真っ黒になって見えなくなタンク内の海水中からイカを網で掬って取り出すときにイカを傷付けたり居場所がわからなくなったりした上に、大変なエネルギーがかかった上に歩留まりの悪化につながっていた。そのうえ、吐き出された墨によって黒く濁った海水の処理も面倒である。とりわけ、海岸が遠く離れている場所で生きたイカを食することは非常に難しいことであった。
料理屋の生け簀でイカを生かしている場合も上記の輸送の場合と同様の問題がある。
このため、輸送前に生きているイカから墨袋のみを除去することが考えられるが、墨袋が除去されたイカをその後も生かし続けるのは困難である。
これに対して、輸送前に生きているイカから墨を吐き出すことが考えられ、その方法として、生きているイカに刺激を与えて墨を吐き出させているが、イカには個体差があり吐き出すまでの時間に長短があり、しかも吐き出される墨が墨袋内の全部であるか否かは確認できず、合理的な方法ではなかった。
そこで、本願の発明者は、このような問題に鑑み、生きたイカの墨袋からイカを生かした状態で墨のみを取り出す方法を創案して特許出願(特願2003−330673)している。この方法は、発明者が造った特殊なハサミと先端が出し入れできる筒状カッターを使ってイカの墨袋の一部を切り、海水を入れた水槽内に入れて墨袋の一部切った部分から水槽内の海水中に墨袋内の墨を出す方法である。この方法で墨を出し切ったイカはその後、輸送し料理屋で調理するまでの間生きており、前述したような墨による問題を解消することができた。
実開平5−9262 特願2003−330673
しかしながら、前記の特殊なハサミと筒状カッターを使ってイカの墨袋の一部を切り、海水を入れた水槽内に入れて墨袋の一部切った部分から水槽内の海水中に墨を出す方法にあっては、墨を取り出すために大量の海水を必要とし、このため、大量の海水が確保できる場所や設備がないとこの方法を行えない。しかも取り出した墨で真っ黒になった海水を処理できる場所や設備がないとこの方法を行い難かった。
この発明は、上記のような課題に鑑み、その課題を解決すべく創案されたものであって、その目的とするところは、生きているイカの墨袋からイカを殺さないようにして墨のみを抜き取ることができ、しかも生きたイカの墨袋から墨を抜き取るときに大量の海水を必要とすることがなく、その後の処理においても問題のない生きイカの墨抜き方法を提供することにあり、また、墨を抜いた生きイカの生存方法及び輸送方法を提供することにある。
以上の目的を達成するために、請求項1の生きイカの墨抜き方法に係る発明は、生きイカの墨袋内の墨を吸引排出する際に、墨袋内に塩水を注入し、同塩水で墨を薄めて吸引排出する手段よりなるものである。
また、請求項2の生きイカの墨抜き方法に係る発明は、生きイカの墨袋内の墨を吸引排出する際に、墨袋内に空気を注入し、同空気で墨袋内の負圧を緩和して墨を吸引排出する手段よりなるものである。
また、請求項3の生きイカの墨抜き方法に係る発明は、生きイカの墨袋内の墨を吸引排出する際に、墨袋内に塩水と空気を注入し、同塩水で墨を薄め且つ同空気で墨袋内の負圧を緩和して墨を吸引排出する手段よりなるものである。
ここで、請求項1〜請求項3の発明は、吸引終了直後に墨袋の表面の挿入孔を拡大してもよい。
以上の目的を達成するために、請求項5の生きイカの保存方法に係る発明は、請求項1〜請求項4の何れかの方法で生きイカの墨袋内の墨を吸引排出した後、水槽内でイカを生かす手段よりなるものである。
ここで、請求項5の発明は、水槽内を海水が流通できるように仕切って複数の区画を設け、生きイカを入れた区画とは別の区画に魚を入れ、同じ水槽で保存してもよい。
以上の目的を達成するために、請求項7の生きイカの輸送方法に係る発明は、請求項1〜請求項4の何れかの方法で生きイカの墨袋内の墨を吸引排出した後、輸送用の水槽内でイカを生かして輸送する手段よりなるものである。
ここで、請求項7の発明は、輸送用の水槽内を海水が流通できるように仕切って複数の区画を設け、生きイカを入れた区画とは別の区画に魚を入れ、輸送車の同じ水槽で輸送してもよい。
以上の記載より明らかなように、請求項1〜請求項4の発明に係る生きイカの墨抜き方法によれば、イカを殺さないようにして生きているイカの墨袋から直接吸引して墨を抜き取ることができ、しかも、イカの墨袋から直接吸引して墨を抜き取るので、抜き取る墨を溶かす大量の海水を必要としない。このため、大量の海水を確保できる場所や設備がなくてもイカの墨抜きを行うことができる。また、墨で汚濁された多量の海水が生じないので、その後の処理も何ら問題が生じることがない。
これらに加えて、イカの墨袋から抜き取った墨は、塩水の注入によって少し薄められているが、十分に利用できる程度の濃度は有しており、イカの墨の料理などへの利用が可能である。即ち、イカの墨の利用方法については日本国内外で各種、多種、多様の料理にごく自然に使われており、一般的な料理のみならず、イカ墨は絵の具やインクとしても使われている歴史もあり、イカ墨を利用した水墨画等も普及してきている。また、イカ墨に抗腫瘍作用がある物質が含まれるとの各種学会で発表されている実績があり、生きたイカの極めて鮮度が良い物を取り出し、このように各方面にイカの墨を生かしていくことは社会的にも有意義なことである。
また、請求項1のように、塩水を注入することにより、墨の濃度を下げて吸引時の粘性抵抗を小さくすることができると共に、墨袋の内壁に付着する墨を洗い流して吸引排出することができる。
また、請求項2のように、空気を注入することにより、負圧状態になっているイカの墨袋の内部を大気圧と同じ状態にでき、負圧状態に伴う吸引抵抗を消滅させることができる。
また、請求項3のように、塩水の注入時に空気も注入する場合には、墨の濃度を下げて吸引時の粘性抵抗を小さくすることができると共に、負圧状態になっているイカの墨袋の内部を大気圧と同じ状態にでき、負圧状態に伴う吸引抵抗を消滅させることができる。
また、請求項4のように、吸引終了直後に墨袋の表面の挿入孔を拡大する場合には、墨を抜き取った後に生成される墨を墨袋内に溜めるのを防ぐことができる。
請求項5〜請求項6の発明に係る生きイカの保存方法によれば、例えば生け簀などの水槽に入れても墨を吐くことがないため、従来に比べて、多くのイカを入れて保存することができ、しかも、墨の除去用の濾過機構も簡略化できる。さらに、墨を吐かないので、簡単な仕切を付けることで他の魚も同じ水槽内で生かすことも可能となり、水槽の効率的な活用を図ることができる。
請求項7〜請求項8の発明に係る生きイカの輸送方法によれば、輸送用の水槽に入れても墨を吐くことがないため、従来に比べて多くのイカを輸送用の水槽内に入れて輸送でき、しかも、輸送用の墨の除去用の濾過機構も簡略化でき、輸送効率を高めることができる。さらに、輸送中に墨を吐かないので、簡単な仕切で他の生きた魚も同じ水槽内に入れて運ぶことができ、活魚輸送車の多目的な輸送効率を高めることができる。
以下、図面に記載の発明を実施するための最良の形態に基づいて、この発明をより具体的に説明する。
ここで、図1は吸引時のイカの概略図、図2(A)はイカの墨袋内からの最初の墨吸引排出時の想定断面図、図2(B)はイカの墨袋内への塩水及び空気注入時の想定断面図、図2(C)はイカの墨袋内からの2回目以降の墨吸引排出時の想定断面図、図2(D)はイカの墨袋内への2回目以降の塩水及び空気注入時の想定断面図、図2(E)はイカの墨袋内からの2回目以降の墨吸引排出時の想定断面図である。
生きイカ1の墨袋2はイカ1の外套膜1aと漏斗1bとの間から目視できる位置にあり、生きイカ1が外套膜1aを動かして呼吸するとき、外套膜1aと漏斗1bの間に隙間ができるので、素早く又注意深くその隙間に外套膜1aの動きを吸収する透明で柔らかな短い筒状のスペサーを必要に応じて入れ、墨袋2と周辺の内臓の位置を確認しながら、墨袋2の表面に該墨袋表面を傷付けることない柔らかな材質からなる吸引筒3の先端の吸引口3aを密着させて吸引口3aを挿入する。なお、図1で、1cは心臓、1dは胃、1eはえら、1fは肝臓、1gは口である。
吸引口3aは、生きイカ1の内臓や墨袋2の表面に接触しても、内臓や墨袋表面を傷付けることがない柔らかな材質の円筒形状の吸引筒3の先端側に、その先端側を側面から見て斜めに切断して鋭角な尖った先端を有する形状に形成されている。吸引口3aは斜め正面側から見ると開口部分は楕円形状になっており、楕円形状の長軸側の一方が尖った先端になっている。
この場合において、吸引筒3の内部に進退する尖った刃3bが装着されている場合には、吸引筒3の先端側に形成された吸引口3aの尖った先端を生きたイカ1の墨袋2の表面に押し付け、内部の尖った刃3bを吸引口3aに向けて前進させると、吸引口3aの先端から突出した尖った刃3bによって墨袋2の表面が切れ、その切れた部分に押し入れることにより、墨袋2内に吸引口3aの尖った先端を挿入して吸引口3aの全体を容易に挿入することができる。墨袋2内に挿入後は吸引口3aの先端から突出した尖った刃3bを後退させて吸引筒3の内部側に引っ込ませる。吸引筒3やその先端側の吸引口3aは柔らかいので墨袋2や他の内臓を傷付けることはない。
これに対して、吸引筒3の内部に尖った刃3bが装着されていない場合には、墨袋2や他の内臓を傷付けることがないように工夫した特殊な細長いハサミを使って墨袋2の表面の一部を切り、ハサミで切った部分に素早く吸引口3aの尖った先端を挿入し吸引筒3の先端側の吸引口3a全体を挿入するする。
吸引筒3の内部に尖った刃3bが装着されている場合には、ハサミを使って墨袋2の表面の一部を切るときに比べて容易にイカ1の墨袋2の内部に吸引筒3の先端側の吸引口3aを挿入することができる。
なお、イカ1の墨袋2には墨吐出口があり、この墨吐出口に吸引筒3の先端側の吸引口3aを挿入させると、墨袋2を傷付けることもないと考えられる。しかし、実験の結果、墨吐出口の内部は墨袋2に通じる部分と内臓に通じる部分に分かれていて、墨吐出口に吸引筒3の先端側の吸引口3aを挿入させても必ずしも墨袋2に通じるとは限らないことが判明し、墨袋2の表面の一部を切りそこから吸引口3aを挿入させることになった次第である。
以上の動作によって吸引筒3の先端側の吸引口3aを生きているイカ1の墨袋2の内部に挿入した後に、直ちに吸引すると通常墨袋2内には墨5が膨らんだ状態で保存されているため、墨袋2の圧力によって墨袋2内の墨5の少量〜半分前後が吸引排出される。墨5が或る程度排出された墨袋2は収縮し、収縮した墨袋2内には負圧が生じ、又墨5の粘性によってその後は吸引抵抗が高まり、生きたイカ1を傷付けることなく吸引排出は困難となる。
ところで、一部の墨5の吸引排出によって縮小した墨袋2には排出された墨5の容量に相当する量だけ注入可能となるため、墨袋2内に挿入された吸引口3aから墨袋2の内部に塩水4又は空気6或いはその両方を注入する。塩水4又は空気6或いはその両方を注入するのは、墨袋2の内部の墨5の濃度を下げ又は負圧を大気圧にして吸引し易くするためである。
これまでの実験の結果、最初の吸引で墨袋2から少量〜半分前後の墨5は出てくるもののそれ以上は、塩水4又は空気6或いはその両方を注入せずにそのまま吸引しようとすると、イカ1の墨5は粘着性が非常に高く、また墨袋2の内部は密閉されていて墨5が一部吸引されることで負圧となり、高い粘着性や負圧が吸引抵抗となり簡単に吸引することができない。また吸引力を高めて強引に吸い出そうとするとイカ1を必要以上に刺激して弱らせ、最悪の場合には死ぬこともある。
注入する塩水4又は空気6の1回の注入量は例えば数cc程度であり、イカ1の墨袋2の容量の例えば半分程度である。イカ1の墨袋2の容量は個体により異なるが例えば3cc〜20cc程度である。塩水4又は空気6を余りに注入し過ぎるとイカ1が必要以上に興奮し、又墨袋2が破裂することがある。逆に塩水4又は空気6の注入量が少な過ぎると墨5の濃度が余り下がらず或いは負圧の状態が解消されずに吸引がスムーズにならない。
塩水4としては海水又はこれよりも塩分濃度が低い塩水が使用される。塩水4の濃度としては例えば、塩水中の塩分の重量割合は例えば約1.3%前後〜3.5%前後である。約1.3%前後の塩水4の濃度はイカ1の体液濃度に相当し、生理食塩水として使用するには適している。約3.5%前後の塩水4の濃度は海水の一般的な濃度である。即ち、発明者の実験によると、墨袋2を切開し墨5を排出した後、通常の海水で泳がせたとき、何ら問題なく生存した数値である。注入する塩水4の塩分濃度が1%未満の場合にはイカ1の細胞が浸透圧で溶解しイカ1は弱り死ぬ。
塩水4をイカ1の墨袋2の内部に注入すると、墨袋2内の墨5の濃度が瞬時に下がる。特に塩水4を注入した吸引口3aの周囲の墨5の濃度が下がるために、吸引抵抗となる墨5の粘着性も下がり吸引し易くなる。塩水4を注入して墨5の濃度を瞬時に下げた後、直ちに吸引する。塩水4を注入することで墨袋2は膨らむため、吸引力と膨らんだ墨袋2が収縮しようとする圧力の相乗作用によって、残った墨5の半分以上の墨5を墨袋2内から吸引して抜き取ることができる。
2回目の吸引動作で墨袋2内から墨5を吸引して取り出した後に、再び塩水4を注入して残った墨5の濃度を下げる。塩水4を注入することで墨袋2内の墨5の濃度は下がるが、均一には下がらずに塩水4が注入された付近に比べてそれから距離が離れる従い墨5の濃度の低下の度合いも小さくなるからである。その後の塩水4の注入後直ちに吸引して墨を取り出す。
以上の動作を数回繰り返す間に、吸引口3aを通じて外部に排出される墨5の色は真っ黒の状態から最後は薄い灰色に近い状態になる。最後に注入される塩水4は墨袋2の内壁に付着している墨5を溶かして内壁を洗い流す機能を果たす。そして、吸引口3aを通じて外部に排出される墨5の色が極めて薄い灰色に近い状態になると、吸引動作を終了して、吸引口3aをイカ1の墨袋2から抜き取る。
塩水4の注入に代えて空気6をイカ1の墨袋2の内部に注入すると、墨袋2内の負圧の状態が空気6の流入によって大気圧の状態に近づき、墨袋6の内外における気圧の差が略解消される。吸引抵抗となる墨袋2内の負圧抵抗が下がり吸引し易くなる。空気6を注入して墨袋2内の負圧による吸引抵抗を下げた後、直ちに吸引する。空気6を注入することで墨袋2は膨らむため、吸引力と膨らんだ墨袋2が収縮しようとする圧力の相乗作用によって、残った墨5の半分以上の墨5を墨袋2内から吸引して抜き取ることができる。
2回目の吸引動作で墨袋2内から墨5を吸引して取り出した後に、再び空気6を注入して墨5の吸引排出時に同時に排出された空気6を補って、負圧になった墨袋2内の気圧を大気圧に近づける。その後の空気6の注入後直ちに吸引して墨を取り出す。以上の動作を数回繰り返して墨袋2内の墨5を排出して、自力では墨5を吐き出すことが出来ない程度にした後、吸引動作を終了して、吸引口3aをイカ1の墨袋2から抜き取る。
また、塩水4と空気6を同時に注入することがある。最初の吸引時にはイカ1の墨袋2は膨張しておりその圧力で容易に吸引できるが、最初の吸引後は墨袋2の萎み、萎んだ墨袋2の内部は所謂負圧の状態となって、2回目以降の吸引抵抗になることがある。
この吸引抵抗に対して吸引力を高めることが考えられるが、前述したように吸引力を高めるとイカ1を必要以上に刺激して弱らせ、最悪の場合には死ぬこともある。そこで、塩水4の注入時に空気6も注入すると、負圧状態になっている墨袋2の内部を略大気圧と同じ状態にでき、負圧状態に伴う吸引抵抗を消滅させることができる。
吸引終了直後に、吸引口3aを挿入するために墨袋2の表面に形成された挿入孔2aを少し切り開いて拡大する。挿入孔2aの切り開きは吸引筒3の内部に挿入されている尖った刃3bを先端から突出させて行われる。墨袋2の挿入孔2aを拡大すると、墨袋2の内部と水槽内の海水とは常時連通状態となり、その後に生成される微量な墨5は海水中に溶け出て墨袋2内に濃く溜めるのを防ぐことができる。
以上の墨抜き作業は1分前後〜2分前後で行われるが、墨抜き作業のコストに対して、生きているイカの値段は死んだイカの値段に比べてかなり高い値段で取引されるために、十分に採算がとれる。
このようにして、墨5が抜き取られ、自力では墨5を吐き出すことができなくったイカ1は興奮しており、又墨袋2の切り口に少し墨5が付着している場合には、海水が入った水槽内に入れて興奮を静め、或いは墨袋2の切り口に付着している墨5を海水が入った水槽内で落としてから、生け簀等に戻す。生け簀等に戻したイカ1は興奮しても墨5を吐くことがないため、従来よりも多くのイカ1を生け簀等に入れることができる。
また、墨5を吐くことがないため、生きイカ1を入れる生け簀等の水槽内を海水が流通できるように仕切板で仕切って複数の区画を設け、生きイカ1を入れた区画とは別の区画に魚を入れて、同じ水槽で保存することが可能となる。同じ水槽内で生きイカ1と魚を調理するまでの間保存できるため、水槽の多目的な利用が図られる。さらに、水槽内の生きイカ1は墨5を吐かないので、墨5の除去用の濾過機構も簡略化できる。
生け簀等に戻されたイカ1はその後、漁船や活魚輸送車等の輸送用の水槽に入れられて消費地に運ばれるが、輸送の途中で興奮しても墨5を吐くことがない。そして、墨5を吐くことがないため、生きイカ1を運ぶための水槽内を海水が流通できるように仕切板で仕切って複数の区画を設け、生きイカ1を入れた区画とは別の区画に魚を入れて、同じ水槽で生きイカ1と魚を運ぶことができ、輸送効率を高めることができる。しかも、漁船や活魚輸送車等に設置される墨5の除去用の濾過機構も簡略化できる。さらに、輸送先の料理屋等の生け簀でイカ1が墨5を吐くこともない。このため、輸送中やその後の料理屋などの生け簀でイカ1が墨5を吐くことによって生じるトラブルを未然に防ぐことができる。
墨5を抜いたイカ1の興奮を静めるため或いは付着している墨5を落とすために水槽内に入れても、水槽内の海水は墨5で汚れることが殆どないため、大量の海水を必要としない。しかも海水も墨5で余り汚れることもない。
また、生きイカ1の墨袋2から抜き取った墨5は、塩水4の注入によって多少薄められているが、十分に利用できる程度の濃度は有しており、イカ1の墨5の料理などへの利用が可能である。即ち、イカ1の墨5の利用方法については日本国内外で各種、多種、多様の料理にごく自然に使われており、一般的な料理のみならず、イカ墨は絵の具やインクとしても使われている歴史もあり、イカ墨を利用した水墨画等も普及してきている。また、イカ墨に抗腫瘍作用がある物質が含まれるとの各種学会で発表されている実績があり、生きたイカ1の極めて鮮度が良い物を取り出し、このように各方面に生きイカ1の墨5を生かしていくことは社会的にも有意義なことである。
なお、この発明は上記発明を実施するための最良の形態に限定されるものではなく、この発明の精神を逸脱しない範囲で種々の改変をなし得ることは勿論である。例えば図2においては、塩水4と空気6の双方を注入している場合を図示しているがこれに限定されるものではなく、塩水4或いは空気6を単独で注入する場合も同様である。
この発明を実施するための最良の形態を示す吸引時のイカの概略図である。 (A)はこの発明を実施するための最良の形態を示すイカの墨袋内からの最初の墨吸引排出時の想定断面図である。 (B)はこの発明を実施するための最良の形態を示すイカの墨袋内への塩水及び空気注入時の想定断面図である。 (C)はこの発明を実施するための最良の形態を示すイカの墨袋内からの2回目以降の墨吸引排出時の想定断面図である。 (D)はこの発明を実施するための最良の形態を示すイカの墨袋内への2回目以降の塩水及び空気注入時の想定断面図である。 (E)はこの発明を実施するための最良の形態を示すイカの墨袋内からの2回目以降の墨吸引排出時の想定断面図である。
符号の説明
1 イカ
1a 外套膜
1b 漏斗
1c 心臓
1d 胃
1e えら
1f 肝臓
1g 口
2 墨袋
2a 挿入孔
3 吸引筒
3a 吸引口
3b 尖った刃
4 塩水
5 墨
6 空気

Claims (8)

  1. 生きイカの墨袋内の墨を吸引排出する際に、墨袋内に塩水を注入し、同塩水で墨を薄めて吸引排出することを特徴とする生きイカの墨抜き方法。
  2. 生きイカの墨袋内の墨を吸引排出する際に、墨袋内に空気を注入し、同空気で墨袋内の負圧を緩和して墨を吸引排出することを特徴とする生きイカの墨抜き方法。
  3. 生きイカの墨袋内の墨を吸引排出する際に、墨袋内に塩水と空気を注入し、同塩水で墨を薄め且つ同空気で墨袋内の負圧を緩和して墨を吸引排出することを特徴とする生きイカの墨抜き方法。
  4. 吸引終了直後に墨袋の表面の挿入孔を拡大する請求項1〜請求項3の何れかに記載の生きイカの墨抜き方法。
  5. 請求項1〜請求項4の何れかの方法で生きイカの墨袋内の墨を吸引排出した後、水槽内でイカを生かすことを特徴とする生きイカの保存方法。
  6. 水槽内を海水が流通できるように仕切って複数の区画を設け、生きイカを入れた区画とは別の区画に魚を入れ、同じ水槽で保存する請求項5記載の生きイカの保存方法。
  7. 請求項1〜請求項4の何れかの方法で生きイカの墨袋内の墨を吸引排出した後、輸送用の水槽内でイカを生かして輸送することを特徴とする生きイカの輸送方法。
  8. 輸送用の水槽内を海水が流通できるように仕切って複数の区画を設け、生きイカを入れた区画とは別の区画に魚を入れ、輸送車の同じ水槽で輸送する請求項7記載の生きイカの輸送方法。
JP2004204460A 2004-07-12 2004-07-12 生きイカの墨抜き方法並びに生きイカの保存方法及び生きイカの輸送方法 Expired - Fee Related JP4191655B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004204460A JP4191655B2 (ja) 2004-07-12 2004-07-12 生きイカの墨抜き方法並びに生きイカの保存方法及び生きイカの輸送方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004204460A JP4191655B2 (ja) 2004-07-12 2004-07-12 生きイカの墨抜き方法並びに生きイカの保存方法及び生きイカの輸送方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006025613A JP2006025613A (ja) 2006-02-02
JP4191655B2 true JP4191655B2 (ja) 2008-12-03

Family

ID=35892663

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004204460A Expired - Fee Related JP4191655B2 (ja) 2004-07-12 2004-07-12 生きイカの墨抜き方法並びに生きイカの保存方法及び生きイカの輸送方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4191655B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112535139B (zh) * 2020-11-18 2022-04-19 浙江省海洋水产研究所 一种褐菖鮋产仔育苗装置
CN112535138B (zh) * 2020-11-18 2022-04-19 浙江省海洋水产研究所 一种褐菖鮋的育苗装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2006025613A (ja) 2006-02-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR102118237B1 (ko) 수중 동물의 조업 장치 및 방법
US4700547A (en) Method for instantly killing and cooling fish, and an apparatus for carrying out this method
US7048961B2 (en) Method for freezing edible marine animals
Granata et al. The seafood industry: species, products, processing, and safety
NO20181621A1 (en) Methods, systems and apparatus for control of parasite infestation in aquatic animals
JP4191655B2 (ja) 生きイカの墨抜き方法並びに生きイカの保存方法及び生きイカの輸送方法
NO20210408A1 (en) Methods and apparatus for aquatic ectoparasite reduction
KR20110038030A (ko) 생물학적 물질의 패키징 방법
JP3802524B2 (ja) 活きイカの保存方法、輸送方法及びその為の道具
JP2005058199A5 (ja)
JP6826686B1 (ja) 活魚の処理方法
JP2005211075A (ja) 活きイカの処理方法、活きイカの処理道具、および墨抜き活きイカ
JP7548952B2 (ja) 冷凍貝柱製造方法
JPH027612B2 (ja)
CN1809271A (zh) 冷冻方法和设备
WO2021186514A1 (ja) 魚類血管内容物置換器具、および血管内容物置換魚類の製造方法
JPH09154426A (ja) 海苔養殖用作業船の酸処理装置
WO2010005968A1 (en) Method for storage of live crustaceans
Eshky et al. Branchial ventilation in the ghost crab, Ocypode saratan (Forskål)
US20150342205A1 (en) Methods of preparing a fresh cleaned fish carcass for storage
Hoopes Alaska's fishery resources: the Dungeness crab
NO20220659A1 (en) Assembly and method for delousing fish
KR200222109Y1 (ko) 유체분사식 양식 그물 청소기
CN118044629A (zh) 一种白姜除杂设备及除杂方法
JPWO2002154861A1 (ja) 鮮魚の処理方法

Legal Events

Date Code Title Description
A625 Written request for application examination (by other person)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A625

Effective date: 20070710

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080807

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20080819

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20080918

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110926

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110926

Year of fee payment: 3

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110926

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110926

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130926

Year of fee payment: 5

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees