JP4191534B2 - ガス拡散電極の接合方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガス拡散電極の接合方法に関し、更に詳しくは、例えば、ガス拡散電極を使用した、食塩や芒硝用などの電解槽の液室からガス拡散電極のガス室への液漏れを長期にわたり安定して防止できるガス拡散電極の接合方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
食塩や芒硝用などの電解槽においては、理論分解電圧が低いために工業的により有利なガス拡散電極が提案され、一部で使用されている。ガス拡散電極への通電は、従来、ガス拡散電極を構成するガス供給層内に導電体を埋設し、埋設した導電体の一部をガス拡散電極からはみ出させておき、この導電体のはみ出し部分をガス拡散電極の端子として陰極パンに接続し、導電体から陰極パンへ排電を行う。この場合、ガス拡散電極の導電体と陰極パンの接合は、低電気抵抗であるとともに、接合部から電解液が漏れないようにシールを行うことが必須である。
【0003】
更に、実用規模の1m角以上の大きな電解槽では、ガス拡散電極は電極サイズや排電方法の関係から、30cm幅程度の複数のガス拡散電極を接合して電解槽に分割して取り付けられることが多い。例えば、実用規模の電解槽は幅2.4m×高さ1.2m程度の大きなサイズのものが使用されるが、ガス拡散電極の分割数が多い場合には、ガス拡散電極の接合部分の面積は電極の無視しえないものになる場合もある。この場合にも、接合部が低電気抵抗であると同時に、接合部から電解液が漏れないように充分なシールを行うことは必須である。
【0004】
従来、これらのガス拡散電極の電解槽への取付け、シール方法として、特許文献1には、陰極エレメントへ向かって突出する溝部内にガス拡散電極の排電部を挿入し、クサビを埋め込み、合成ゴムや合成樹脂のシーリング材でシールする方法が提案されている。また、特許文献2には、ガス拡散電極の外周部に露出させたガス拡散電極の導電体を陰極集電枠に溶接し、その溶接箇所を苛性ソーダの進入防止のために合成ゴムや合成樹脂のシーリング材でシールする方法が示されている。
【0005】
更に、特許文献3には、ガス拡散電極の接合部に、ポリテトラエチレン(PTFE)のファインパウダーを充填し、充填部を超音波溶着することでシールする方法や、ポリエーテルスルホン樹脂を有機溶媒で液状とした溶液を接着剤として用いてガス拡散電極を接合する方法が開示されている。また、特許文献4には、ガス拡散電極に樹脂板をホットプレスで接合しておき、その樹脂板と陰極パンを接合する方法が開示されている。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−119888号公報
【特許文献2】
特開2000−199094号公報
【特許文献3】
特開2000−273679号公報
【特許文献4】
特開2000−239879号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ガス拡散電極は、ガス側は高濃度の酸素含有ガス、液側は高温度、高濃度の苛性ソーダの液にさらされるため、長期間の運転に対して安定なシーリング材料は少なく、長期間の使用では、どうしても接合部分から液漏れが生じ、電解性能の低下や電解槽の腐食が生じるという問題点があった。また、ガス拡散電極に樹脂板をホットプレスで接合する場合は、高温度、高圧力で接合を行う必要があるため、ガス拡散電極を電解槽に取り付けた後にガス拡散電極と樹脂板を接合するには、大規模の設備が必要であり、加工が難しいという問題点があった。
【0008】
また、ガス拡散電極はカーボンブラックとPTFE微粒子との混合物をシート状にして焼成して製作されるため、ガス拡散電極にホットプレスで接合した樹脂板は、ガス拡散電極から剥がれ易いという問題点があった。
【0009】
上記した従来方法からして、長期にわたって大きな接合性があり、かつ接合力が大きく、液漏れの極めて少ないガス拡散電極の接合方法が望まれていた。本発明は、ガス拡散電極の接合部からの液漏れが無く、電解運転が長期にわたっても安定的なシールが可能となるガス拡散電極の接合方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、特定の材質からなる耐アルカリ性シート材を使用し、かつこれを特定の組成を有する耐アルカリ性樹脂液を用いて接着することにより、上記目的を達成できることを見出した。
【0011】
かくして、本発明は下記の特徴を要旨とするものである。
(1)導電体を埋設して有するガス拡散電極を耐アルカリ性樹脂液を含む接着剤を使用して接合するにあたり、ガス拡散電極の接合部に対して耐アルカリ性シート材を当接させ、ガス拡散電極の接合部の被接着面及び/又は耐アルカリ性シート材の被接着面に対し、耐アルカリ性樹脂液を含む接着剤よりも樹脂分濃度が小さい耐アルカリ性樹脂液を予め浸透させた後、耐アルカリ性樹脂液を含む接着剤を使用して接着することを特徴とするガス拡散電極の接合方法。
)ガス拡散電極の接合部の間隙に、充填剤を充填する、()に記載のガス拡散電極の接合方法。
(3)耐アルカリ性シート材は、その少なくとも表面が微多孔質である、(1)または)に記載のガス拡散電極の接合方法。
導電体を埋設して有するガス拡散電極を耐アルカリ性樹脂液を含む接着剤を使用して接合するにあたり、ガス拡散電極の接合部に対して耐アルカリ性シート材を当接させ、ガス拡散電極の接合部の被接着面及び/又は耐アルカリ性シート材の被接着面に対し、耐アルカリ性樹脂液を含む接着剤よりも樹脂分濃度が小さい耐アルカリ性樹脂液を予め浸透させた後、耐アルカリ性樹脂液を含む接着剤を使用して接着することを特徴とするガス拡散電極の接合方法。
)耐アルカリ性樹脂液に含まれる耐アルカリ性樹脂が、テトラフルオロエチレンのホモポリマーまたはコポリマーである(1)〜()のいずれかに記載のガス拡散電極の接合方法。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を説明するが、本発明はこれらに限定されないことはもちろんである。図1及び図2は、複数のシート状ガス拡散電極を接合して電解槽に取り付ける際の本発明のガス拡散電極の接合方法の一例を示す模式的断面図である。
【0013】
ガス拡散電極1は、銀、ニッケル等の導電性の優れた金属メッシュ加工材またはスポンジ状加工材からなる導電体2を埋設するように有する。導電体2の埋設は、導電体2全体が必ずしも埋設されている必要はなく、その一部はガス拡散電極1から露出していてもよい。ガス拡散電極1は、通常、疎水性カーボンブラックとPTFE微粒子からなるガス供給層と、疎水性カーボンブラック及び親水性カーボンブラック、銀等の触媒、PTFE微粒子からなる反応層の2つの層で構成される。ガス拡散電極1は、反応層が陽極に面するように電解槽に取り付けられる。
【0014】
本発明の方法の場合、図1に示されるように、ガス拡散電極1の導電体2は、電解槽の陰極パン3に取り付けたガス室形成用メッシュ4に溶接部8を通じて電気的に接続される。または、図2に示されるように、ガス拡散電極1の周囲に露出させた導電体2は、ガス室形成用メッシュ4を介さずに、溶接部8を通じて直接、スポット溶接等により電解槽の陰極パン3に電気的に接続される。
【0015】
ガス拡散電極1の接合は、図1及び図2に見られるように、その接合部(箇所)に耐アルカリ性樹脂液7を介して耐アルカリ性シート材6を当接させ、両者を押圧することにより接合される。この場合、接合されるガス拡散電極1の間に間隙がある場合や、ガス拡散電極1と陰極パン3との間に間隙がある場合には、ガス拡散電極の液室側の表面が均一な高さになるように、耐アルカリ性のゴムや樹脂等の充填剤5によりその間隙を埋めることが好ましい。これにより、陰極液室の液圧により耐アルカリ性シート材6が変形したり、また、この変形によりシート材6の剥離を防止することができる。
【0016】
図3は、ガス拡散電極の補修のための接合方法の一例を示す模式的断面図である。ガス拡散電極は、電解槽への組込み作業中の取扱いによりや電解槽の運転使用中により穴があく場合があり、その補修のために接合が必要とされる。この場合、ゴムや樹脂等の充填剤5でガス拡散電極1の液室側表面と充填剤表面が面合わせになるように、その間隙を埋めるのが好ましい。その後、そのガス拡散電極の接合部に、耐アルカリ性シート材6を当接させ耐アルカリ性樹脂液7で接合する。
【0017】
本発明で使用される耐アルカリ性シート材6は、ガス拡散電極が陰極液に接して使用されるために大きい耐アルカリ性を有することが必要である。その材質としては、PTFEなどのフッ素樹脂、ニッケル金属などの金属、エチレン プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)などのゴム、イオン交換膜、カーボンなどが好ましく使用される。なかでも、ガス拡散電極との接合性や耐アルカリ性からして、PTFEなどのフッ素樹脂が特に好ましい。
【0018】
なお、これらの耐アルカリ性シート材6は、その少なくとも表面を微多孔性にせしめるのが好ましい。このような表面が微多孔性のシート材の場合には、接着剤となる耐アルカリ性樹脂液が内部に浸透し易いために大きい接着力が得られ強固な接合が達成される。シート材6の表面を微多孔性にせしめるためには、シート材の表面を微多孔性に加工するか、シート材自体を予め微多孔性シートから形成するのが好ましい。特に、後者の場合はより大きい接着力が得られるので好ましい。このような微多孔性の耐アルカリ性シート材の好ましい例としては、ゴアテックスハイパーシートが挙げられる。
【0019】
耐アルカリ性シート材6の厚みは、特に制限されるものではないが、陰極室厚み(陰極とイオン交換膜の間隔)までの距離を大きくせず液抵抗を少なくする理由で好ましくは3mm以下、特には、0.1〜2mmが好ましい。また、シート材の大きさは、ガス拡散電極との接着幅を規定することになるが、広すぎるとガス拡散電極の電解面が減少することになり、狭すぎるとシート材の接着力が弱くなる。このため、シート材6の幅は、好ましくは約5〜20mmであるのが好適である。
【0020】
本発明で使用する耐アルカリ性樹脂液7は、耐アルカリ性樹脂を適宜の媒体中に溶解または分散させた液状物である。好ましい耐アルカリ性樹脂としては、ポリプロピレンやポリスチレン等の炭化水素系樹脂、PTFE、フッ化ブニリデン−プロピレン−テトラフルオロエチレンコポリマーなどのフッ素系樹脂、ポリエーテルスルフォン系樹脂、ビスフェノールA型等のエポキシ樹脂等が挙げられる。なかでも、弾力性や耐アルカリ性などの点から、フッ化ビニリデン(2弗化エチレン)−プロピレン−テトラフルオロエチレンコポリマー、プロピレン−テトラフルオロエチレンコポリマーなどが特に好ましい。
【0021】
なお、耐アルカリ性樹脂として、フッ化ブニリデンのポリマーを使用した場合には、これを架橋することにより網目構造にして強度を増すことができる。この場合、架橋材が不足した場合やポリマー鎖の一部に未反応部位が残存する場合は、ガス拡散電極への供給ガスとして高濃度酸素含有ガスを使用するときに、酸化によるポリマー鎖切断によると推測される理由により劣化が生ずる場合がある。耐アルカリ性樹脂として、プロピレン−テトラフルオロエチレンコポリマーは、このような劣化に十分に耐えることができるので特に好ましい。
【0022】
耐アルカリ性樹脂を溶解または分散させる媒体としては種々のものが挙げられる。しかし、ガス拡散電極の接合の際の作業性から、速乾性では加工しにくく、また乾燥後にシート材6の樹脂材内部に媒体が取り残されているとシール面が膨らむ等の障害が生ずるため、適当な蒸発速度を有するものが好ましい。かくして、媒体は、常圧での沸点が60〜200℃が好ましく、特に好ましくは80〜150℃のものが好適である。
【0023】
これらの媒体の好ましい例としては、テトラヒドロフラン、アセトン、エチルメチルケトン、トルエン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、1,4−ジオキサン等が挙げられる。なかでも、仕上がり表面の平滑性や作業時間等の作業性の理由で、特に好ましい媒体として、酢酸ブチルや酢酸イソブチル等が挙げられる。
【0024】
耐アルカリ性樹脂を媒体に溶解又は分散させて耐アルカリ性樹脂液を形成する場合、該樹脂液中の耐アルカリ性樹脂の濃度は、好ましくは5〜70重量%、特に好ましくは10〜40重量%であるのが好適である。上記濃度が、5重量%よりも小さい場合には、耐アルカリ性樹脂を数回にわたり塗布する等の必要があるため好ましくなく、逆に70重量%よりも大きい場合には、粘性が高くなり耐アルカリ樹脂剤が電極接合部の細部に浸透しなくなり十分なシール性を発揮しなくなるため好ましくない。
【0025】
本発明において、耐アルカリ性シート材6を使用し、耐アルカリ性樹脂液7によりガス拡散電極を接合する具体的手段としては、ガス拡散電極1の接合部の被接着面及び/又は耐アルカリ性シート材6の被接着面に耐アルカリ性樹脂液7を予め塗布した後、両者を押圧させるなどの手段が採用できる。押圧後は、好ましくは室温〜200℃で1〜48時間にて乾燥し、耐アルカリ性樹脂液7の媒体を飛ばすことにより十分に大きな接着強度が得ることができるが、室温〜50℃で1〜24時間程度の予備乾燥を行い、更に50〜200℃で1〜24時間程度の乾燥をすることにより媒体の揮発むらを無くすことができるためさらに好ましい。
【0026】
なお、ガス拡散電極は、上記のように、カーボンブラックとテフロン微粒子との混合物を焼結してシート状にしたもので、本来的にはそれほど大きな強度を有するものではないために耐アルカリ性シート材を接着しただけではガス拡散電極内部で剥離が起こり、十分なシール性が得られない場合がある。この場合、耐アルカリ性シート材を接合する前に、ガス拡散電極の接合部の被接着面に対して、耐アルカリ性樹脂液を塗布し乾燥させておくことにより、このようなガス拡散電極内部での剥離を防止でき、耐アルカリ性シート材とガス拡散電極との接着力を増すことができる。
【0027】
この場合、樹脂分が低濃度の耐アルカリ性樹脂液を使用することが好ましく、該低濃度の耐アルカリ性樹脂液を使用することにより、この樹脂液はガス拡散電極内の導電体まで浸透し、より強い接着力が得られる。かかる低濃度の耐アルカリ性樹脂液としては、樹脂分濃度が好ましくは5〜35重量%、特に好ましくは10〜20重量%であって、該樹脂分の濃度が、上記ガス拡散電極と耐アルカリ性シート材との接着用の耐アルカリ性樹脂液の濃度よりも好ましくは2〜20重量%、特に好ましくは5〜15重量%低い方が好適である。なお、低濃度の耐アルカリ性樹脂液と上記接着用の耐アルカリ性樹脂液とは、必ずしも同じ種類のものである必要はないが、収縮差等による液侵入を避ける理由で同種類のものが好ましい。
【0028】
なお、樹脂液がガス拡散電極内に浸透しにくく接着力の改善効果が小さい場合や、樹脂分が高濃度の耐アルカリ性樹脂液を使用する場合でも、ガス拡散電極の被接着面に適当な間隔で穴を開けておき、その穴を通じて樹脂液をガス拡散電極の導電体やガス室形成用メッシュの部分まで流し込むことによって接着力を増すことができる。
【0029】
また、本発明において、ガス拡散電極の接合部の被接着面及び/又は耐アルカリ性シート材の被接着面に耐アルカリ性樹脂液を塗布して接合し乾燥させた後、更に、接合した耐アルカリ性シート材の上に、更に該シート材よりも広い幅で耐アルカリ性樹脂液を塗布し、耐アルカリ性シート材及びその周囲を耐アルカリ性樹脂液で覆うことができる。これにより、耐アルカリ性シート材とガス拡散電極の接着力を増大し、ガス拡散電極の接合部のシール性を増すことができる。また、耐アルカリ性シート材として金属シートを使用した場合には、水素発生を伴う場合があるが、耐アルカリ性樹脂で被覆することにより金属シートと陽極間の電気抵抗が増すため、これを防ぐことができる。
【0030】
本発明の方法は、種々の必要性から要求されるガス拡散電極の接合に使用することができ、例えば、複数の単位ガス拡散電極を接合して大型のガス拡散電極を形成する場合や、ガス拡散電極の部分的に穴が開いた場合の補修などに好適に使用することができる。
【0031】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定して解釈されるものではない。なお、実施例中、特に断りのない限り、パーセントは重量%である。
【0032】
以下の例では、複数の単位ガス拡散電極を接合するとともに、これを陰極パンに電気的に接続したイオン交換膜電解槽を使用して食塩水の電解を行った。
(1)ガス拡散電極の接合方法
単位ガス拡散電極として、銀メッシュの導電体に、カーボンブラックとPTFEデイスパージョンを混合したものを塗布し、焼結してシート状にしたものを用いた。ガス供給層はカーボンブラック60%、PTFE40%からなり、反応層はカーボンブラック50%、PTFE30%、銀触媒(平均粒径0.3μm)20%で構成される。ガス拡散電極の厚みは1mmで、そのうち0.1mmが反応層であった。
図2に示されるように、接合される単位ガス拡散電極1の周囲から導電体2を露出させた。該露出させた導電体2の端部を陰極パン3の上で重ね合わせた溶接部8をスポット溶接で陰極パン3に溶接した。なお、陰極パン3の上にはガス室形成用メッシュ4をスポット溶接で溶接されている。
次いで、単位ガス拡散電極の接合部には、EPDMゴム(型番LV-40昭和ゴム社製)からなる充填剤5を充填して埋め、接合部の表面がガス拡散電極の反応層側表面とが面合わせになるようにした。
次に、ガス拡散電極の接合部の被接着面に、フッ素ゴムを酢酸イソアミルに溶解した(商品名:エイトシール、太平化成社製)、樹脂分濃度14重量%の耐アルカリ性樹脂液を塗布し、ガス拡散電極内に浸透し乾燥させた。更に、ガス拡散電極の接合部の上記被接着面に、上記と同種であるが、樹脂分濃度24重量%の耐アルカリ性樹脂液を塗布した。その上に耐アルカリ性シート材6(ジャパンゴアテックス社製、商品名:ゴアテックスハイパーシート)を接合した。なお、このシート材6の被接着面には、上記と同じ樹脂分濃度24%の耐アルカリ性樹脂液を塗布し乾燥させておいた。
上記耐アルカリ性シート材6とガス拡散電極の接合部の被接着面が乾燥した後、シート材6の上に再度、上記と同じ樹脂分濃度24%の耐アルカリ性樹脂液7を、シート材6よりも縦、横のいずれも約2mm広い幅で塗布し乾燥させた。
【0033】
(2)使用したイオン交換膜電解槽
・ガス拡散電極の反応面サイズ:横 620mm ×縦 1220mm
・陽極:ペルメレック電極社製、商品名:DSE(JP130)
・イオン交換膜:旭化成社製、商品名:Aciplex-F4203
・ガス室形成用メッシュ:桂田グレイチング社製、商品名:コルゲートメッシュ(0.4Ni 0.4−M25)表面処理:Ag電気メッキ10μm。
【0034】
(3)イオン交換膜電解槽の運転条件
・電流密度 :3kA/m2
・温度 :85℃
・生成苛性ソーダ濃度 :32重量%
【0035】
(4)電解槽の結果
上記の条件にてイオン交換膜電解槽を100日間連続運転したところ、ガス拡散電極の接合箇所からの漏洩は認められず、安定して運転することができ
た。この間、電解電圧は2.13Vを維持し、良好な性能であった。
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、ガス拡散電極の接合部からの液漏れが非常に少なく、電解運転が長期にわたり安定的に可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施態様のガス拡散電極の接合方法を示す模式的断面図である。
【図2】本発明の別の実施態様のガス拡散電極の接合方法を示す模式的断面図である。
【図3】本発明の更に別の実施態様のガス拡散電極の接合方法を示す模式的断面図である。
【符号の説明】
1:ガス拡散電極 2:導電体
3:陰極パン 4:ガス室形成用メッシュ
5:充填剤 6:耐アルカリ性シート材
7:耐アルカリ性樹脂液 8:溶接部

Claims (4)

  1. 導電体を埋設して有するガス拡散電極を耐アルカリ性樹脂液を含む接着剤を使用して接合するにあたり、ガス拡散電極の接合部に対して耐アルカリ性シート材を当接させ、ガス拡散電極の接合部の被接着面及び/又は耐アルカリ性シート材の被接着面に対し、耐アルカリ性樹脂液を含む接着剤よりも樹脂分濃度が小さい耐アルカリ性樹脂液を予め浸透させた後、耐アルカリ性樹脂液を含む接着剤を使用して接着することを特徴とするガス拡散電極の接合方法。
  2. ガス拡散電極の接合部の間隙に、充填剤を充填する請求項に記載のガス拡散電極の接合方法。
  3. 耐アルカリ性シート材は、その少なくとも表面が微多孔質である請求項1または2に記載のガス拡散電極の接合方法。
  4. 耐アルカリ性樹脂液に含まれる耐アルカリ性樹脂が、テトラフルオロエチレンのホモポリマーまたはコポリマーである請求項1〜のいずれかに記載のガス拡散電極の接合方法。
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