JP4191507B2 - 医療用ペースト混練注入器及び医療用ペースト混練注入器材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、医療用ペースト混練注入器及び医療用ペースト混練注入基材に関し、さらに詳しくは、例えば医科又は歯科の治療に使用される医療用ペースト例えば骨ペーストを調合することができるとともに、調合した前記医療用ペーストを注入することのできる医療用ペースト混練注入器及びその医療用ペースト混練注入器内に医療用粉体を、又はこの医療用粉体と液体とを収容して成る医療用ペースト混練注入器材に関する。
【0002】
【従来技術】
この種の医療用ペーストはリン酸カルシウム系粉体を主成分とするペーストであり、この医療用ペーストは生体骨や歯の組織を構成する無機成分と同じヒドロキシアパタイトを形成し、硬化するので、生体親和性が高いという特徴があり、歯科や整形や形成等の医療分野でよく使われている。
【0003】
この医療用ペーストは、リン酸カルシウム系粉末と液体例えば硬化液とを特定の器具例えば乳鉢に入れて混練し、その後に得られた医療用ペーストを注射器等に移し替え、この医療用ペーストを注射器で患部に塗布等している。したがって、この混練には熟練を要したり、注射器に充填する作業が煩雑であったり、あるいは、開放容器内で操作を行うために、混練中や注射器に充填する際に異物が混入するおそれがあった。
【0004】
このような不都合を解消するものとして、特許文献1において、リン酸カルシウム系セメント用混練器具が提案されている。
【0005】
このリン酸カルシウム系セメント用混練器具は、「円筒部11と該円筒部の一端側に設けられるノズル部12とを具備するシリンダ1と、該円筒部内を摺動可能に設けられる仕切り具2と、該仕切り具を挿通し上下移動並びに回転可能に設けられるシャフト部31、該シャフト部の一端に設けられる混練部32、及び該シャフト部の他端に設けられるハンドル部34とを具備するピストン3と、該シリンダの該ノズル部の先端に設けられる蓋4と、該仕切り具を該シリンダの他端側に固定するストッパ5と、を備えることを特徴とする」。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−287208号公報(請求項1、段落番号[0004]以降、図1〜図7)
このようなリン酸カルシウム系セメント用混練器具においては、シリンダのノズルに蓋をし、ノズル部を下に向け、シリンダの開口部を上にした状態で所定量のリン酸カルシウム系セメントの粉末をシリンダ内部に入れる。ついで、混練部がシリンダ内になるようにピストンを挿入し、仕切り具をストッパでシリンダの端部側で止める。
【0007】
そして、ハンドルを一定方向例えば時計回りに回転させて混練部をノズル側近くまで移動させたり、ハンドルを前記とは逆方向例えば反時計回りに回転させて混練部を仕切り具近くにまで移動させたりすることにより、リン酸カルシウム系セメントの粉末と硬化液とを均一になるように充分に混練する。この混練操作は前記特許文献1に詳述されている。
【0008】
混練が終了したところで、混練部を仕切り具まで戻した後、ストッパと蓋とを順次に外してリン酸カルシウム系セメント用混練器具を注射器として使用する。
【0009】
これにより、簡単に混練ができ、異物の混入のおそれもなく、更には注射器に充填する必要もなく、直ぐに、患部等に塗布することができる、とされている。
【0010】
しかしながら、上述した従来のリン酸カルシウム系セメント用混練器具においては、混練部を回転移動させて混練操作を行うと、混練物がシリンダのノズル側壁面に押さえつけられることになり、その結果としてシリンダの内部に露出している蓋の一部に高い圧力がかかってしまい、混練途中でノズルに装着しておいた蓋が緩み、あるいは外れて混練ができなくなるという欠点があった。特に、ノズル部の内径が4mmを越える場合には、混練操作中にノズル部に装着する蓋が緩んでシリンダ内のペーストが漏出し、又は蓋がノズル部から脱落するという新たな問題が生じていた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、上述した欠点を解消し、確実に混練を可能にした医療用ペースト混練注入器を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決しようとする手段】
上記目的を達成するための手段として、請求項1は、一端にノズル部を備え、かつ他端を開口する有底筒状のシリンダと、
前記シリンダの内部に収容空間を形成する仕切り具、前記仕切り具を挿通し、前後進可能に、また回転可能に設けられたシャフト部、前記シリンダに装着された前記仕切り具により形成された前記収容空間内に配置可能に、前記シャフト部の一端に設けられた混練部、及び前記シリンダの外部に配置可能に、前記シャフト部の他端に設けられたハンドル部を備えて成るピストンと、
前記仕切り具を前記シリンダの他端側で前記シリンダに前後進不能かつ回転不能に固定するストッパとを備えて成る医療用ペースト混練注入器において、
前記ノズル部に装着されるキャップを備え、
前記キャップは、
前記ノズル部における開口部の内壁に密着可能な外周面を有する栓体部、この栓体部を保持する係合ベース、及び前記栓体部の外側であって前記係合ベースから突出し、前記ノズル部の外周基部に嵌合する凸部を有する複数の係合脚部を備えてなる内側栓体部材と、
前記内側栓体部材の係合ベースを内装する外側リングとを備え、
前記外側リングは、前記係合脚部の凸部を前記ノズル部の軸線に直交する円周方向から前記ノズル部の外周基部に締め付け、前記外側リング自身の外周に滑り止め部を設け、かつ、外側リングに嵌められた栓体部材が外側リングから脱落不能とする係止部を設けて成り、
前記内側栓体部材は、前記係合脚部の前記凸部とは反対側に、前記外側リングに設けられた係止部を係留可能な環状係留部を備えて成ることを特徴とする医療用ペースト混練注入器であり、
請求項2は、前記ノズル部は、その先端に回り止め防止部を備え、前記キャップは、前記栓体部と前記係合脚部との間に、回り止め防止部と係合してキャップの空転を防止する回転防止部を備えて成ることを特徴とする請求項1に記載の医療用ペースト混練注入器であり、
請求項3は、前記栓体部は、係合ベースより先端に向かうにしたがって細くなる円錐台形状に形成されて成り、前記ノズル部の開口部の内周面が、その開口部からシリンダ側に向かうに従って細くなる円錐状に形成して成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の医療用ペースト混練注入器であり、
請求項4は、前記ノズル部は、その外周に他の器具を螺合するネジ山を有して成ることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の医療用ペースト混練注入器であり、
請求項5は、前記請求項1〜4の何れか1項に記載の医療用ペースト混練注入器と、
前記シリンダ内に装填された医療用ペーストの粉末成分とを有することを特徴とする医療用ペースト混練注入器材であり、
請求項6は、前記医療用ペーストの粉末成分はリン酸カルシウム系粉体である前記請求項5に記載の医療用ペースト混練注入器材であり、
請求項7は、前記シリンダがその内部にさらに液体を装填して成ることを特徴とする前記請求項5又は6に記載の医療用ペースト混練注入器材である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0014】
図1に示すように、この発明の一例である医療用ペースト混練注入器1は、一端にノズル部31を有すると共に他端を開口する有底の円筒体30を備えるシリンダ3と、ピストン5と、キャップ7と、ストッパ9とを備えて成る。
【0015】
図2に示すように、前記ノズル部31は、シリンダ3の内部に収容乃至装填された内容物例えば粉体又は粉体と液体とをシリンダ3の外部に排出し、又は外部からシリンダ3の内部に前記内容物を吸引する導入排出路としての機能を備える。このような機能を有するこのノズル部31は、前記シリンダ3の一端において、シリンダ3の軸線方向に沿ってシリンダ3の一端からさらに突出して円筒状に形成されて成る。前記ノズル部31の外周基部には、図2に示すように、接合部32が設けられている。前記ノズル部31の先端には、図2及び図3に示すように、回り止め防止部である複数の突起33が、所定間隔を設けて環状に設けられる。また、前記ノズル部31の外周には他の器具、特に後述するキャップ7の凸部75を螺合するためのネジ山34が螺設される。さらに、前記ノズル部31の開口部35は、その内壁面形状が、開口部35の縁辺からシリンダ3側に向かうに従って細くなる円錐状に形成されてなる。
【0016】
前記ピストン5は、前記シリンダ3を形成する円筒体30の内部を実質的に液密に摺動可能に形成されてなる仕切り具51と、前記仕切り具51の中心部に挿通され、回動によって前後進可能に設けられたシャフト部52と、前記円筒体30の内部であってその開口部近傍に前記仕切り具51を装填した場合に前記円筒体30の内部に位置するように前記シャフト部52の一端に設けられた混練部53と、前記円筒体30の外部で前記シャフト部52の他端に設けられたハンドル部54とを有して成る。前記仕切り具51は、図1に示されるように、その外周にO−リング50を備えて成る。これによって、シリンダ3の内壁面と仕切り具51の外周面との間隙をシールすることができ、また仕切り具51をシリンダ3の内部において摺動可能に移動させることができる。
【0017】
前記ピストン5に取り付けられている仕切り具51は、ストッパ9によって前記シリンダ3の他端側で固定される。このストッパ9は、シリンダ3の他端側開口部近傍において、前記シリンダ3に対して前記仕切り具51を動かないように固定すること、換言するとシリンダ3に対して仕切り具51がその軸線方向に沿って前後進不可能に、かつ軸線を中心にして回転不可能に固定することができる限り様々の態様を取り得ることができ、この実施形態においては、シリンダ3の他端開口部近傍の周側面に開口する貫通孔に挿通するとともに、前記仕切り具51の周側面に開設された穴に先端部を挿入することのできるピンとこのピンの後端部に取り付けられた円板状のノブとで形成される。
【0018】
前記ノズル部31に嵌合されるキャップ7は、図4に示すように、内側栓体部材71と、外側リング72とを有して成る。
【0019】
前記内側栓体部材71は、図4に示すように、薄い円板状に形成した係合ベース73と、前記係合ベース73の中央部から突出して前記シリンダ3のノズル部31における開口部の内壁に密着可能な栓体部74と、前記栓体部74の外側で前記係合ベース73から突出し、前記ノズル部31の外周基部の接合部32を締め付け、かつ係合する凸部75、及び前記凸部75の反対側に環状に形成された環状係留部76を有して成る複数の係合脚部77と、前記栓体部74と前記係合脚部77との間に凹凸形状に設けた複数の回転防止部78とを備える。この複数の係合脚部77は、前記栓体部74の周囲を囲繞するように所定間隔を設けて配列される。前記係合ベース73の外周面には雄ネジ73aが形成される。
【0020】
また、前記栓体部74は係合ベース73より先端に向かうに従って細くなる円錐台形状に形成されている。換言すると、この栓体部74の外周面形状は、この栓体部74をノズル部31の開口部35に挿入した場合に、開口部35の内周面とこの栓体部74の外周面とが隙間なく密着可能となるように、開口部35の内周面に倣う形状に形成されてなる。このように、栓体部74が円錐台形状に形成され、かつ開口部35の内周面が前記円錐台形状に倣う円錐形に形成されているので、一端から他端まで同じ径を有する円柱形の栓体部を、一端から他端まで同じ内径を有する円筒形の開口部に装着する場合に比べて、キャップ7の大きな液密封止性が実現される。
【0021】
前記外側リング72は、図4に示すように、両端を開口する略円筒形をなし、その内周にネジ79と、一端開口部にその内側に僅かに突出するように形成された係止部81とを有する。前記ネジ79は、この外側リング72に、図4における矢印方向から内側栓体部材71を挿入すると、雄ネジ73aと螺合するように形成される。ネジ79と前記雄ネジ73aとを螺合しつつ内側栓体部材71に対して外側リング72を回転させると、外側リング72内を内側栓体部材71が図4の矢印方向に進行し、しかしその進行は係止部81で阻止される。つまり、係止部81に係合ベース73が係止することにより、内側栓体部材71が外側リング72から抜け出ることができないようになっている。したがって、外側リング72が係止部81を備えていることにより、内側栓体部材71と外側リング71とが安定的に一体となる。また、前記外側リング72は、その外周面に凹凸状に形成して成る滑り止め部80が設けられる。
【0022】
つぎに、前記キャップ7の使用の仕方を以下に説明する。
【0023】
まず、図4に示すように、内側栓体部材71を、栓体部74を先頭にして外側リング72の、係止部81が設けられている開口部とは反対側の開口部から、外側リング72内に挿入する。係合脚部77の先端部にはテーパ部82が設けられているので、内側栓体部材71を外側リング72の前記開口部から挿入すると、外側リング72の開口部の縁辺に前記テーパ部82が内側に押され、これによって係合脚部77が内側に撓められることになる。その結果、内側栓体部材71を容易かつ円滑に外側リング72に装着することができる。そして図5に示されるように、係合ベース73が係止部81に当接し、係止された状態にする。
【0024】
この状態で内側栓体部材71の栓体部74をノズル部31の開口部から内周面に密着するように押し込み、あるいは回転させながら押し込み、かつ、ノズル部31の先端に設けた複数の突起33と、内側栓体部材71に設けた複数の回転防止部78とを係合させる。突起33は回り止め防止部としての機能を発揮することにより、内側栓体部材71は回転しなくなる。また、係合脚部77は、ノズル部31の外側を囲繞する状態となる。
【0025】
しかる後に、外側リング72を摘みながら、図6に示すように、外側リング72を外側リング72から見て反時計回りに回転させ、外側リング72の係止部81を係合脚部77にまで移動させる。外側リング72を回転させる際、外側リング72の外周に滑り止め部80が設けられているので、外側リング72をつまむ指がすべることがなく、したがって、円滑に外側リング72を回転させることができる。
【0026】
回転防止部78と突起33とが係合し合っているので、内側栓体部材71における栓体部74は空転することがなく、したがって、外側リング72は、内側栓体部材71に対して確実に回転し、図6の矢印に示すように、係合ベース73の雄ネジ73aとネジ79とを螺合させながら、図示下方向に移動する。
【0027】
そして、外側リング72の下端が前記ノズル部31の基部近くになると、図6に示すように、外側リング72の係止部81が、係合脚部77の環状係留部76に係合し、係合脚部77の凸部75をシリンダ3の接合部32に押しつける。図6に示すように、環状係留部76は、環状の溝となっているので、この環状係留部76に、内側に向かって環状に突出している係止部81が嵌り込み、これによって係合ベース73と外側リング72とが強固な一体物となってノズル部31に装着された状態のキャップ7が形成される。また、環状係留部76は上段部と下段部とで形成される溝となっており、その下段部が、上段部よりその外径が大きく設計されているので、ノズル部31に取り付けた際に、外側リング72が環状係留部76の下段部を通り抜けてしまうことがない。更には、ノズルに取り付けていないときにも、外側リング72の係止部81と反対側の開放口から内側栓体部材71が容易に外れることもない。なお、図6に示す例にあっては、環状係留部は上述のように下段部及び上段部で形成される環状の溝であるが、外側リングを回動して係合脚部を締め付けた場合に締め過ぎて外側リングにおける係止部が係合脚部から外れないように形成されている限り、上記溝であるに限られず、他の構造を採用することも可能である。
【0028】
これにより、キャップ7は、ノズル部31に、より強固に固定される。しかも、ノズル部31の開口部35の円錐状円筒と内側栓体部材71の栓体部74の円錐状台形円柱とが密着するので、完全なシール性が確保される。さらに、凸部75は、ノズル部31の外周に設けられたネジ山34によって係止されるので、栓体部74がノズル部31の開口部から抜け出ることが阻止されている。
【0029】
このような状態にしたところで、ノズル部31を図示下に向け、シリンダ3の開口部を上にした状態で所定量の医療用ペーストの粉末成分例えばリン酸カルシウム系粉末をシリンダ3の内部に入れる。ついで、ピストン5における混練部53がシリンダ3の内部に位置するように挿入し、仕切り具51をストッパ9でシリンダ3の端部側で止める。
【0030】
かくして、シリンダ3内に医療用ペーストの粉末成分を装填してなる医療用ペースト混練注入基材が、形成される。更には、医療用ペーストの粉末成分の投入と同時に硬化液を投入すると、シリンダ3内に粉体である医療用ペーストの粉末成分と液体例えば硬化液とを装填してなる医療用ペースト混練注入器材が、形成される。
【0031】
医療用ペースト混練注入基材を医科歯科治療の現場で使用するに当たり、先ず、シリンダ3内に装填されている医療用ペーストの粉末成分と液体例えば硬化液とを混練する。液体が予め装填されていないときには、混練操作の直前にシリンダのノズルを通じて液体を装填し、医療用ペーストの粉末成分と液体とを混練する方法を採用することもできる。
【0032】
混練操作は以下のようにして行われる。すなわち、ハンドル部54を時計回りに回転させると、仕切り部51はストッパ9によりシリンダ3に固定されているので、混練部53がシリンダ3の先頭部つまりノズル部31に向かって回転しつつ前進する。混練部53の形状が、このシリンダ3の軸線方向からみて略十文字状に形成されているので、混練部53が回転前進することにより、医療用ペーストの粉末成分例えばリン酸カルシウム系粉末と液体例えば硬化液との混練が行われる。
【0033】
混練部53をノズル部31近くまで移動させたり、ハンドル部54を所定方向例えば反時計回りに回転させて混練部53を仕切り具51の近くまで移動させたりすることにより、つまり前記混練部53をシリンダ3内において回転しつつ前後進させることにより、医療用ペーストの粉末成分と液体とが充分に混練されていく。
【0034】
混練が終了したところで、混練部53を仕切り具51まで戻した後、ストッパ9を外しかつキャップ7を先程と逆の工程で外して医療用ペースト混練注入器を注射器として使用する。
【0035】
前述したように、この実施態様においては、この発明の一例である医療用ペースト混練注入器材は、前記医療用ペースト混練注入器1のシリンダ3の内部に、リン酸カルシウム系粉末と硬化液とを装填してなる。なお、医療例えば医科治療又は歯科治療に用いられる医療用ペーストの粉末成分は、前記リン酸カルシウム系粉末に限られず、種々の粉末をシリンダ内に装填することができる。したがって、この発明の一例である医療用ペースト混練注入器材は、前記医療用ペースト混練注入器1のシリンダ3の内部に医療用ペーストの粉末成分と液体とを装填して成る、と言える。
【0036】
また、硬化液を投入すると直ちに硬化を開始するような医療用ペースト、特にリン酸カルシウム系ペーストの場合、混練直前に硬化液を投入するのが好ましい。この場合においては、シリンダ内にリン酸カルシウム系ペーストの粉末等の粉末を装填し、液体例えば硬化液を装填しない医療用ペースト混練注入器材となる。
【0037】
以上に説明したように、この発明の医療用ペースト混練注入器によれば、キャップ7はノズル部31に強固に固定されるため、医療用ペーストの漏れ等がなく、かつ、混練操作中にキャップ7がノズル部31から外れることがない。
【0038】
以上、この発明の一実施態様について具体的に説明をしたが、この発明は前記実施態様に限定されず、前記特許請求の範囲に記載された範囲内で様々に具体的な設計変更をすることができる。例えば、この発明における液体は医療用ペーストを硬化させる機能を有する硬化液としたり、医療用ペーストの粉末成分によっては単に医療用ペーストを形成する機能を有する混練液とすることもでき、またリン酸カルシウム系粉体として水硬性リン酸カルシウム系粉体を採用することもできる。水硬性のリン酸カルシウム系粉体は、水硬性であるので、患部に塗布すると迅速に硬化するのでより好ましいのである。
【0039】
【実施例】
この発明の実施の形態に係る医療用ペースト混練注入器と従来の医療用ペースト混練注入器とを、混練性能について、比較をした。
【0040】
前記ノズル部31の径を、4[mm]、6[mm]、8[mm]とし、それぞれ医療用ペーストの粉末成分である骨ペーストの粉末成分と硬化液とを混練して医療用ペーストである骨ペーストを調製した。調製後に、キャップ7の状態を確認した。骨ペーストの粉末成分は、リン酸四カルシウム6.7gとリン酸水素カルシウム3.3gとからなるリン酸カルシウム系粉末10gを使用し、硬化液として50質量%デキストラン硫酸ナトリウム水溶液2.5gを使用した。
【0041】
まず、骨ペーストの粉末成分を充填した医療用ペースト混練注入器1のキャップ7を開けて、硬化液を投入し、再びキャップ7をノズル部31に装着する。
【0042】
次いで、10[秒]間、医療用ペースト混練注入器1を振り混ぜて、粉体を硬化液に馴染ませる。
【0043】
ハンドル部54を回転させて、混練部53を仕切り具51からノズル部31側に移動させ、再び混練部53を仕切り具51側に戻す。この一往復を一ストロークとする。混練部53を10ストローク往復動させて混練部53を仕切り具51に近接させた後、キャップ7をノズル部31から取り外し、ストッパ9も取り外して、ハンドル部54を押し込んで、混練が完了した骨ペーストを混練部51で押圧することにより骨ペーストをノズル部31より排出する。
【0044】
以上の操作を行い、キャップ7の性能の確認を行った。性能確認は、混練操作中にキャップが外れるか否か、及び、気密が保たれるか否かを確認し、表1に示すような結果を得ることができた。表1における○は、混練操作中にキャップが外れることもなく、またシリンダの内容物が漏出することもなかったことを示し、×は、混練操作中にキャップが外れ、及び/又はシリンダの内容物が漏出したことを示す。
【0045】
また、従来品として、特開2000−237208号公報に記載の「リン酸カルシウム系セメント用混練器具」を使用し、前記と同様の操作及び性能確認を行った。性能確認結果を表1に示した。
【0046】
【表1】
【0047】
表1に示す結果から、この発明の実施の形態に係る医療用ペースト混練注入器1のキャップ7の性能が優れていることがわかった。
【0048】
【発明の効果】
以上に説明したようにこの発明に係る医療用ペースト混練注入器によれば、キャップがノズル部に強固に固定されるため、医療用ペーストの漏れ等がなく、かつ、混練操作中にキャップがノズル部から外れることがないという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態に係る医療用ペースト混練注入器を示す構成図である。
【図2】この発明の実施の形態に係る医療用ペースト混練注入器において、シリンダに設けたノズルの形状を示す断面図である。
【図3】この発明の実施の形態に係る医療用ペースト混練注入器において、シリンダに設けたノズルの形状を示す上面図である。
【図4】この発明の実施の形態に係る医療用ペースト混練注入器において、キャップの構成を示す図である。
【図5】この発明の実施の形態に係る医療用ペースト混練注入器において、キャップをノズルに被せる前の状態を説明するための図である。
【図6】この発明の実施の形態に係る医療用ペースト混練注入器において、キャップをノズルに被せた後から完全にキャップを固定した状態を説明するための図である。
【符号の説明】
1 医療用ペースト混練注入器、3 シリンダ、5 ピストン、7 キャップ、
9 ストッパ、30 円筒体、31 ノズル部、32 嵌合部、33 突起(回り止め防止部)、
34 ネジ山、35 開口部、50 O−リング、51 仕切り具、
52 シャフト部、53 混練部、54 ハンドル部、71 内側栓体部材、
72 外側リング、73 係合ベース、73a 雄ネジ、74 栓体部、
75 凸部、76 環状係留部、77 係合脚部、78 回転防止部、
79 ネジ、80 滑り止め部、81 係止部、82 テーパ部
Claims (7)
- 一端にノズル部を備え、かつ他端を開口する有底筒状のシリンダと、
前記シリンダの内部に収容空間を形成する仕切り具、前記仕切り具を挿通し、前後進可能に、また回転可能に設けられたシャフト部、前記シリンダに装着された前記仕切り具により形成された前記収容空間内に配置可能に、前記シャフト部の一端に設けられた混練部、及び前記シリンダの外部に配置可能に、前記シャフト部の他端に設けられたハンドル部を備えて成るピストンと、
前記仕切り具を前記シリンダの他端側で前記シリンダに前後進不能かつ回転不能に固定するストッパとを備えて成る医療用ペースト混練注入器において、
前記ノズル部に装着されるキャップを備え、
前記キャップは、
前記ノズル部における開口部の内壁に密着可能な外周面を有する栓体部、この栓体部を保持する係合ベース、及び前記栓体部の外側であって前記係合ベースから突出し、前記ノズル部の外周基部に嵌合する凸部を有する複数の係合脚部を備えてなる内側栓体部材と、
前記内側栓体部材の係合ベースを内装する外側リングとを備え、
前記外側リングは、前記係合脚部の凸部を前記ノズル部の軸線に直交する円周方向から前記ノズル部の外周基部に締め付け、前記外側リング自身の外周に滑り止め部を設け、かつ、外側リングに嵌められた栓体部材が外側リングから脱落不能とする係止部を設けて成り、
前記内側栓体部材は、前記係合脚部の前記凸部とは反対側に、前記外側リングに設けられた係止部を係留可能な環状係留部を備えて成ることを特徴とする医療用ペースト混練注入器。 - 前記ノズル部は、その先端に回り止め防止部を備え、前記キャップは、前記栓体部と前記係合脚部との間に、回り止め防止部と係合してキャップの空転を防止する回転防止部を備えて成ることを特徴とする請求項1に記載の医療用ペースト混練注入器。
- 前記栓体部は、係合ベースより先端に向かうにしたがって細くなる円錐台形状に形成されて成り、前記ノズル部の開口部の内周面が、その開口部からシリンダ側に向かうに従って細くなる円錐状に形成して成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の医療用ペースト混練注入器。
- 前記ノズル部は、その外周に他の器具を螺合するネジ山を有して成ることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の医療用ペースト混練注入器。
- 前記請求項1〜4の何れか1項に記載の医療用ペースト混練注入器と、
前記シリンダ内に装填された医療用ペーストの粉末成分とを有することを特徴とする医療用ペースト混練注入器材。 - 前記医療用ペーストの粉末成分はリン酸カルシウム系粉体である前記請求項5に記載の医療用ペースト混練注入器材。
- 前記シリンダは、その内部にさらに液体を装填して成ることを特徴とする前記請求項5又は6に記載の医療用ペースト混練注入器材。
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