JP4191301B2 - 生体内留置部材を有する医療用ワイヤー - Google Patents

生体内留置部材を有する医療用ワイヤー Download PDF

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    • A61B2017/12054Details concerning the detachment of the occluding device from the introduction device
    • A61B2017/12068Details concerning the detachment of the occluding device from the introduction device detachable by heat

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、管状器官を通して生体内の所要の個所に所要の留置部材を留置させるための医療用ワイヤーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、外科的手術を伴う生体の治療には種々の問題がある。例えば、施術される患者においては長時間の手術に耐えなければならず、また術者においては、長時間にわたって神経を集中させることを強いられ、感染などの危険性も比較的高い。
このような種々の負担を軽減し、必要な手術をより安全に、かつ簡便に実行するために、最近においては、カテーテルやガイドワイヤー、血管などの管状器官を閉塞させるための塞栓材料、その他の各種の医療機器が開発され、実用に供されている。
【0003】
例えば、カテーテルやガイドワイヤーなどの医療機器における最近の進歩により、血管内から所要の患部にアプローチする血管内手術が実行されるようになってきており、特に動静脈奇形、脳動脈瘤、頸動脈海綿静脈洞瘻などの疾患の治療に多く適用されるようになってきた。
また、現在において、管状器官塞栓材料としては、離脱型バルーン、コイル、液体塞栓物質、粒子状塞栓物質などが使用されている。しかし、通常、管状器官内などに留置されるこれらの塞栓材料は、これを一旦不適切な位置に留置あるいは放出してしまった場合には、その回収や位置の修正などを実行することはほとんど不可能である。
【0004】
このような事情から、従来、目的とする個所に配置することに失敗した場合にも、引き戻して再度入れ直すことが可能であり、配置個所を確認した上で塞栓材料を離脱させて留置することのできる離脱型塞栓材料が提案されている。
【0005】
例えば、特開平7−265431号公報には、導電性のワイヤー本体の先端部に接続部材を介して生体内留置部材が接続されてなり、ワイヤー本体を介して切断用電流が供給されることにより接続部材が加熱され、これによって生体内留置部材が離脱される医療用ワイヤーが提案されている。
【0006】
この従来の医療用ワイヤーにおいては、接続部材として、ポリビニルアルコール系重合体よりなる密実の円柱状ロッドが用いられている。この接続部材は、切断用電流が供給されることにより高温となり、その結果、当該接続部材を形成しているポリビニルアルコール系重合体が、当該重合体中に含有された膨潤水に溶解し、これにより切断される。
【0007】
従って、この医療用ワイヤーを使用する際には、接続部材が水によって十分に膨潤していることが必要であり、膨潤状態が不十分で水の含有量が不足する場合には、1回の切断用電流の供給操作によって接続部材形成物質が溶解する量が僅かであって多数回にわたって切断用電流の供給操作を行わなければ当該接続部材を切断することができず、結局、生体内留置部材の留置に長時間を要することとなり、あるいは、切断用電流として出力の大きな高周波電流を供給する必要があり、生体組織に悪影響を与えるおそれがある。
【0008】
そのため、医療用ワイヤーを生体内に挿入する前に、接続部材の個所を膨潤用水中に浸漬する膨潤処理を行えばよいが、接続部材を十分な膨潤状態とするためには相当に長い膨潤処理時間が必要であって、実際上、例えば外径が0.2mmのポリビニルアルコールからなる接続部材の場合には、膨潤処理に約2〜5分間もの長時間を要する、という問題点がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、その目的は、短時間の膨潤処理によって十分な膨潤状態が得られ、切断用電流供給操作によって確実に接続部材を切断することができ、従って、全体として短時間のうちに生体内留置部材を確実に離脱させることのできる、生体内留置部材を有する医療用ワイヤーを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る生体内留置部材を有する医療用ワイヤーは、ワイヤー本体と、このワイヤー本体の先端部に接続部材を介して接続された生体内留置部材とからなり、
前記接続部材は、水膨潤性材料からなる複数の繊維体素子の集合体により形成され、
切断用電流が供給されることにより前記接続部材が加熱されて切断し、これによって前記生体内留置部材が離脱されることを特徴とする。
【0011】
以上においては、接続部材は、複数の繊維体素子の編成集合体よりなることが好ましい。
【0012】
また、本発明の生体内留置部材を有する医療用ワイヤーは、ワイヤー本体と、このワイヤー本体の先端部に接続部材を介して接続された生体内留置部材とからなり、
前記接続部材は、多孔性の水膨潤性材料により形成され、
切断用電流が供給されることにより前記接続部材が加熱されて切断し、これによって前記生体内留置部材が離脱されることを特徴とする。
【0013】
以上の医療用ワイヤーにおける接続部材を構成する水膨潤性材料は、ポリビニルアルコール系重合体であることが好ましい。
【0014】
以上においては、ワイヤー本体が導電性を有し、当該ワイヤー本体を介して切断用電流が供給される構成とすることができる。
【0018】
【作用】
以上のような医療用ワイヤーによれば、接続部材を形成する水膨潤性材料が大きな表面積を有する形態であるため、膨潤処理においてきわめて短時間のうちに十分な膨潤状態となり、従って膨潤処理に要する時間が大幅に短縮される。
そして、生体内に配置されて切断用電流が供給されたときには、当該接続部材に十分な水が含有されているため、容易にかつ確実に当該接続部材が切断し、従って高い信頼性が得られる。
【0019】
また、本発明の医療用ワイヤーを用いることにより、上記の医療用ワイヤーの特長的性能を十分に発揮させることができ、膨潤処理を含め、全体としてきわめて短時間のうちに所期の生体内留置部材の留置処置を確実に達成することができ、従って患者および術者にかかる負担を大幅に軽減することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明について詳細に説明する。
図1は、本発明の生体内留置部材を有する医療用ワイヤーの構成の一例を示す説明図である。この例における医療用ワイヤーは、基本的に、金属製のワイヤー本体10と、このワイヤー本体10の先端部に後端部が接続して設けられた、加熱によって切断される短いロッド状または紐状の接続部材15と、この接続部材15の先端部に接続して設けられた生体内留置部材16とによって構成されている。
【0021】
図示の例のワイヤー本体10は、表面に絶縁被覆が形成された手元側部分11と、この手元側部分11に続く柔軟部分12と、この柔軟部分12に接続された先端造影部分13とを有してなり、先端造影部分13の先端部に接続部材15が接続されている。
【0022】
ワイヤー本体10の柔軟部分12および先端造影部分13は、例えばコアワイヤーの外周面上に、更に巻回ワイヤーをコイル状に密に巻回した構成とされている。ここに、ワイヤー本体10の外径は0.1〜2.0mmであることが好ましい。また、ワイヤー本体10の長さは、目的に応じて種々の長さとされ、例えば0.1〜1.8mである。
ワイヤー本体10を構成する線材としては、例えばステンレス鋼などの導電性材料を用いることができ、先端造影部分13には、例えばプラチナ、銀、タングステンなどのX線造影性金属よりなる線材を用いることができる。
【0023】
ワイヤー本体10の手元側部分11における表面絶縁被覆は、適宜の材料によって形成することができるが、通常、各種の樹脂、例えばフッ素樹脂、親水性樹脂などをコートすることによって設けることができる。この表面絶縁被覆がフッ素樹脂によりなる場合には、ワイヤー本体10の表面の摩擦係数を小さくすることができる点で好ましい。
【0024】
手元側部分11の外端部は、ワイヤーの線材が露出されて端子部分18が形成されており、この端子部分18を介して、電気コネクター、プラグ、クリップなどの適宜の導電部材を介して電力の供給が可能とされている。この端子部分18の長さは、例えば1〜3cm程度であれば十分である。
【0025】
接続部材15は、水膨潤性材料の細い繊維体素子の多数の集合体よりなり、全体がロッド状または紐状に形成されている。
接続部材15の繊維体素子を形成する水膨潤性材料としては、生体に悪影響を与えず、適度の水膨潤性を有し、水が含有された状態で加熱によって当該接続部材形成物質が溶解して切断され、これによって生体内留置部材16が離脱されるものであればよい。その具体例としては、例えばポリビニルアルコール系重合体を好適なものとして挙げることができるが、水膨潤性を有するポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、その他を用いることも可能である。
【0026】
接続部材15を構成する繊維体素子の各々は、その外径が小さくて比較的長いフィラメント(単繊維)よりなり、例えば水膨潤性材料の溶融体を押出しまたは延伸により紡糸する方法、流動性を有する水膨潤性材料または水膨潤性材料の溶液を凝固用液体中に押出して凝固させながら紡糸する方法、その他の方法によって得ることができる。また、このような方法によって得られるフィラメントに、更に延伸処理などの後処理を施して得られるものを繊維体素子とすることもできる。
【0027】
繊維体素子の各々の外径の寸法は、特に制約を受けるものではないが、例えば1〜50μmとされるのが好ましく、その長さは、全体としてロッド状または紐状の集合体を形成することができるものであれば、比較的短いものであってもよい。
【0028】
接続部材15の外径は、ワイヤー本体10および生体内留置部材16の具体的な構成によって異なり、目的とする生体内留置部材16をワイヤー本体10に適宜の手段によって連結することができるものであればよい。例えば、上記先端造影部分13および生体内留置部材16が共にコイル体であり、このコイル体内に両端部が挿入されて接続される態様で使用される接続部材15の一例では、その外径が例えば0.1〜2.0mm、長さが1.0〜10mmであることが好ましい。
【0029】
図2は、図1の例における接続部材15の部分を示す拡大図である。この例の接続部材15は、多数の繊維体素子が同方向に伸びる状態で束ねられてなる、全体が円柱ロッド状の束状集合体15aにより形成されている。
この束状集合体15aを構成する繊維体素子の数は、当該繊維体素子の線径、および接続部材15として必要とされる外径の寸法によって全く自由に決定することができ、例えば数本から10000本またはそれ以上である。
この束状集合体15aは、必要に応じ、適宜の接着剤によって一体的に固着されたものとすることもできる。
【0030】
この接続部材15の後端部はワイヤー本体10の先端部に接続固定される。その接続手段は特に限定されるものではなく、例えば接着剤による接着、熔接、物理的力による連結、その他の手段を利用することができる。このうち、特に接着剤による接着が好ましい。この場合に、接着剤としては例えばシアノアクリレート系接着剤を好適に用いることができる。
【0031】
本発明において用いられる生体内留置部材16の一例は、塞栓形成部材として用いられるコイル体である。このようなコイル体として、本発明においては、例えば可変形性を有する弾性材よりなる二重コイル体を好ましく用いることができる。具体的には、例えばプラチナ合金よりなり、直径が0.05〜0.10mmの線材を巻回することにより作製された二重コイル体であって、その一次コイル径が0.1〜1.0mmであり、二次コイル径が2〜30mmであるものを好ましく用いることができる。このような生体内留置部材16には、適宜の物質を担持または保持させることができる。
【0032】
生体内留置部材16は、接続部材15の先端部に接続して設けられるが、その接続手段としては、接続部材15とワイヤー本体10との接続手段として説明した上記各種の手段から選ばれた適宜の手段を利用することができる。
【0033】
接続部材15は、以上の例に示されている束状集合体15aに限られず、種々の態様のものとすることができる。
例えば、多数の繊維体素子を縄状に撚った状態の撚り線状集合体により接続部材を形成することができる。このような撚り線状集合体によれば、単に束ねられた図2の束状集合体15aに比して大きな接続強度を得ることができる。この撚り線状集合体においても、適宜の接着剤によって全体を一体的に固着することができる。
【0034】
図3は、他の構成による接続部材の例を示す拡大図である。この例の接続部材15は、多数の繊維体素子が相互に編まれて全体がロッド状若しくは紐状に形成された編成集合体15bにより形成されている。ここに、編成集合体15bの編み組織は特に規定されるものではない。このような編成集合体15bによる接続部材によれば、取扱いが容易となり、上記のものに比して更に大きな接続強度を得ることができる。
【0035】
図4は、更に他の構成による接続部材の例を示す拡大図である。この例の接続部材は、図3の例のように編成集合体15bの編み組織を構成する単位が個々の繊維体素子ではなく、適宜の数の繊維体素子の束が構成単位として編み組織が構成された編成集合体15cである。このような接続部材は、その製造が比較的容易でしかも大きな接続強度が得られる。
【0036】
図5は、繊維体素子によらない接続部材の例を示す拡大図であり、この例の接続部材は、多孔性の水膨潤性材料により形成された多孔性ロッド15dによって形成されている。
この多孔性ロッド15dは、例えば水膨潤性材料の水溶液に例えばグリセリンなどを混入し、成形した後、当該グリセリンを溶解除去する方法によって多孔性材料を製造し、この多孔性材料を適宜の形態に加工することにより、製造することができる。
上記の多孔性の水膨潤性材料は、空隙率が20〜80%のものであることが好ましい。
【0037】
以上のような構成の医療用ワイヤーは次のようにして使用される。
先ず、実際に生体内に挿入する前に、当該医療用ワイヤーの接続部材15に対して膨潤処理が行われる。
この膨潤処理は、当該医療用ワイヤーの接続部材15の個所を、適宜の膨潤用水中に浸漬することにより行われる。
【0038】
而して、上記の医療用ワイヤーにおいては、接続部材15は、水膨潤性材料からなる複数の繊維体素子の集合体(すなわち、束状集合体15a、撚り線状集合体若しくは編成集合体15bあるいは15c)により形成され、または多孔性ロッド15dによって形成されているため、その表面積が非常に大きく、従って膨潤処理において膨潤用水に接触する面積が非常に大きいことから、多量の水が瞬時のうちに接続部材15を構成する水膨潤性材料中に吸収され、含有されることとなる。従って、十分な膨潤処理をきわめて短時間のうちに達成することができる。
【0039】
ここに、膨潤用水は、生体に有害なものでなければ特に制約を受けるものではなく、例えば生理食塩水、純水、超純水、イオン交換水、ジメチルスルホキシドなどの化合物の水溶液、血液、その他を用いることができる。
【0040】
膨潤処理のための浸漬時間は、接続部材15を形成する水膨潤性材料の形態によっても異なるが、通常は例えば0.1〜100秒間という短時間でよく、好ましくは3秒間以下である。
特に、接続部材15が繊維体素子の集合体よりなる場合であってしかも当該繊維体素子の線径が1〜50μmのように小さいときには、単に接続部材15を膨潤用水中を通過させるのみによって、十分な膨潤処理を行うことができる場合がある。
【0041】
膨潤処理が施された医療用ワイヤーは、図6に示すように、適宜のカテーテル20を介して生体内に導入される。具体的には、図7に示すように、カテーテル20を通常の方法によって生体22内に挿入し、その先端部を、生体内留置部材16を留置すべき個所、この例では脳動脈瘤の個所Pに到達させる。21はカテーテル20の手元操作部である。このカテーテル20としては、例えばマイクロカテーテルを使用することができる。
【0042】
この状態で、医療用ワイヤーを、その生体内留置部材16を先頭として、手元操作部21からカテーテル20内に挿入する。このとき、生体内留置部材16を形成するコイルは、その二次コイルがカテーテル20に沿って略直線状に伸びた状態でカテーテル20内を移動する。
そしてカテーテル20の先端開口から、医療用ワイヤーの生体内留置部材16を外部に突出させ、接続部材15がカテーテル20の先端開口部に位置された状態とする。これにより、生体内留置部材16は、その弾性による復元力により、元の二重コイル体となり、塞栓形成部材として作用するものとなる。
【0043】
そして、図7に示すように、生体22の適宜の皮膚面にアース電極23を装着した上、ワイヤー本体10の端子部分18に高周波電源装置24を接続し、モノポーラ高周波電流をワイヤー本体10に供給する。
このモノポーラ高周波電流は、例えば周波数が0.2〜5MHz、電力が0.1〜5W程度であることが好ましい。1回の電流供給時間は例えば1〜10秒間である。
【0044】
このような操作により、ワイヤー本体10の先端部における電解液(血液)が高周波電流によって自己発熱して高温となり、接続部材15が加熱され、これにより、当該接続部材が溶融して切断されるため、生体内留置部材16がワイヤー本体10から離脱し、これにより、コイル体からなる血栓形成部材の留置が達成される。
【0045】
然るに、上記の医療用ワイヤーによれば、既述のように、接続部材15が繊維体素子の集合体または多孔性ロッドによって形成されていることにより膨潤処理において十分な膨潤状態が達成されているため、例えば1回の切断用電流の供給操作によって確実に当該接続部材15を切断することができ、従って所期の生体内留置部材の留置を短時間のうちに、かつ確実に実施することができ、高い信頼性が得られる。
そして、膨潤処理が短時間のうちに完了することも加わり、所期の生体内留置部材の留置に要する全体の時間を非常に短いものとすることができる。
【0046】
具体的には、接続部材15を構成する水膨潤性材料がポリビニルアルコール系重合体または共重合体よりなるものである場合には、例えば1秒間以内のきわめて短時間の高周波電流の供給により、確実に当該接続部材15を離脱させることができる。従って、術者のみでなく施術される生体に対する負担が非常に軽いものとなる。
【0047】
また、ワイヤー本体10が導電性を有するものであるため、これを利用して、当該ワイヤー本体10を介して、例えばモノポーラ高周波電流を供給することにより、接続部材15を確実に加熱することができる。従って、この場合には、接続部材15に至るリード線を設けることが全く不要であり、従って操作性が高く、しかもリード線が破断されるおそれも全くない。従って、一旦配置した生体内留置部材16の位置を修正するために引き戻すような場合にも、当該操作を確実に実行することができるので、高い信頼性が得られる。
【0048】
以上、本発明の実施例について具体的に説明したが、本発明においては、種々の変更が可能である。例えば、生体内留置部材16としては種々のものを利用することができ、具体的には、コイル体またはコイル体以外の塞栓形成部材、留置されて徐々に薬剤を放出する薬剤内包カプセル、管状器官を閉塞するバルーンなどの塞栓形成部材、その他の留置によって医療作用あるいは医療上の補助作用などを有する適宜の部材を用いることができる。
【0049】
また、ワイヤー本体の外周表面に電気絶縁性被覆を設けることができる。この電気絶縁性被覆は、各種重合体、例えばポリウレタン、フッ素樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、シリコーン樹脂、ナイロンなどのポリアミド樹脂などにより形成することができるが、この樹脂の被膜の外表面に更に親水性ポリマーを塗布したものとすることもできる。
そして、このような医療用ワイヤーによれば、上述のようにワイヤー本体を介してモノポーラ高周波電流を供給することにより、生体内留置部材を離脱させて留置することができるが、ワイヤー本体の生体組織に接触する部分の表面が電気絶縁性被覆で被われているので、当該組織に対して悪影響を与えることが防止され、そのため、生体内に挿入、留置する操作において、カテーテルを使用することが不要となる。
【0050】
本発明において、接続部材を切断する手段は、導電性を有するワイヤー本体を介してモノポーラ高周波電流を供給する手段に限定されず、例えば、接続部材の外周面上に設けた電極、あるいはカテーテルの先端開口の位置に設けた電極にリード線を介して、生体に設けられた対電極との間にモノポーラ高周波電流を供給する手段、接続部材の外周面上に互いに離間して設けた一対の電極間にリード線を介してバイポーラ高周波電流を供給する手段、カテーテルの先端開口の位置に設けた一対の電極間にバイポーラ高周波電流を供給する手段、その他の手段を利用することができる。
【0051】
<実施例1>
(1)接続部材の作製
濃度20重量%のポリビニルアルコールの水溶液を、凝固用液体であるエタノール中に延伸しながら押出して紡糸し、得られるフィラメントを更に延伸処理することにより、外径0.005mmのポリビニルアルコールよりなる繊維体素子を製造した。
この繊維体素子の20本を束としてその60本を用い(繊維体素子の合計は1200本)、各束を単位として編成することにより、図4に示された状態の編成集合体(15c)を形成し、外径が0.2mm、長さが5.0mmの接続部材を作製した。
【0052】
(2)医療用ワイヤーの作製
図1の構成に従い、直径0.05mmのテーパー状芯線に直径0.08mmの巻線を密に巻回すことにより、外径0.4mm、全長1800mmのステンレス鋼製のワイヤー本体10を用意し、その先端部に、上記の編成集合体15cよりなる接続部材15の後端部をシアノアクリレートよりなる接着剤により接着し、更にこの接続部材の先端部に、直径0.05mmのプラチナ合金線により構成された、一次コイル径が0.3mm、二次コイル径が3〜12mmの二重コイル体よりなる生体内留置部材16の基端部を、シアノアクリレートよりなる接着剤により接着して医療用ワイヤーを作製した。
【0053】
(3)離脱実験
以上のようにして得られた医療用ワイヤーの接続部材の個所を生理食塩水中に1秒間浸漬することにより、膨潤処理を行った。
そして、図8に示すように、ステンレス鋼製の容器30にアース電極31を装着した上当該容器30内に生理食塩水32を満たし、外径1mm、全長1500mmのマイクロカテーテル33を、その先端が生理食塩水32中に没した状態となるよう容器30に固定し、マイクロカテーテル33の容器30外の手元操作部34より、上記の医療用ワイヤーを、その生体内留置部材16を先頭として導入して行き、接続部材15がマイクロカテーテル33の先端開口の位置に到達するまで進入させたところ、容器30内において、生体内留置部材16は完全に初期の形態を有する二重コイル体に復元した。
【0054】
この状態で、ワイヤー本体10の手元側後端における端子部分18に、高周波電源装置35の出力端子をコードで接続し、周波数300kHz、電力0.5〜0.6W程度の高周波電流を5秒間供給する操作を1回行ったところ、瞬時に接続部材が切断して生体内留置部材が離脱された。
【0055】
<実施例2>
(1)接続部材の作製
濃度20重量%のポリビニルアルコール水溶液に、30容量%となる割合のグリセリンを混入し、得られる混合水溶液を円筒状の型内に封入した後、冷凍処理と解凍処理を繰り返して行うことにより、架橋構造を有するポリビニルアルコールを得た。
この架橋ポリビニルアルコールを取り出し、50℃の温水中に168時間放置してグリセリンを水に溶出させることにより、多孔性のポリビニルアルコール材料を作製し、これを延伸処理することにより、多孔性ロッド(15d)よりなる外径が0.2mm、長さが5.0mmの接続部材を作製した。ここに、多孔性のポリビニルアルコール材料は、空隙率が約60%のものであった。
【0056】
(2)医療用ワイヤーの作製および離脱実験
この接続部材を用いたこと以外は、実験例1と同様にして医療用ワイヤーを作製した。そして、この医療用ワイヤーを用いて、実験例1と同様にして切断実験を行ったところ、接続部材が瞬時に切断して生体内留置部材が離脱された。
【0057】
<比較実験例1>
外径が0.2mm、長さが5.0mmのポリビニルアルコールよりなる密実のロッド状の接続部材を作製し、この接続部材を用いたこと以外は、実施例1と全く同様にして医療用ワイヤーを作製し、同様の膨潤処理を施し、更に同様の離脱実験を行ったところ、1回の切断用電流の供給操作によっては接続部材を切断することができず、生体内留置部材が離脱するに至るまでに合計5回の高周波電流の供給が必要であった。
【0058】
<比較実験例2>
比較実験例1において、膨潤処理における生理食塩水への浸漬時間を次第に長くして同様の実験を繰り返したところ、1回の切断用電流の供給によって接続部材が切断されるためには、生理食塩水への浸漬時間を3分間以上とすることが必要であることが確認された。
【0059】
【発明の効果】
本発明の生体内留置部材を有する医療用ワイヤーによれば、接続部材を形成する水膨潤性材料が大きな表面積を有する形態であるため、膨潤処理においてきわめて短時間のうちに十分な膨潤状態とすることができ、従って膨潤処理に要する時間を大幅に短縮することができる。
そして、生体内に配置されて切断用電流が供給されたときには、当該接続部材に十分な水が含有されているため、容易にかつ確実に当該接続部材が切断し、従って高い信頼性が得られる。
【0060】
また、本発明の医療用ワイヤーを用いることにより、上記の医療用ワイヤーの特長的性能を十分に発揮させることができ、膨潤処理を含め、全体としてきわめて短時間のうちに所期の生体内留置部材の留置処置を確実に達成することができ、従って患者および術者にかかる負担を大幅に軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の生体内留置部材を有する医療用ワイヤーの構成の一例を示す説明図である。
【図2】 図1の例において、接続部材が繊維体素子の束状集合体よりなる場合を示す拡大図である。
【図3】 図1の例において、接続部材が繊維体素子の編成集合体よりなる場合を示す拡大図である。
【図4】 図1の例において、接続部材が繊維体素子の束の編成集合体よりなる場合を示す拡大図である。
【図5】 図1の例において、接続部材が多孔性ロッドよりなる場合を示す拡大図である。
【図6】 図1の例の医療用ワイヤーを適用するための具体的手段の一例を示す説明図である。
【図7】 本発明の医療用ワイヤーを生体の脳動脈瘤に適用する場合を示す模式的説明図である。
【図8】 実験例の医療用ワイヤーにおける生体内留置部材の離脱実験についての説明図である。
【符号の説明】
10 ワイヤー本体
11 手元側部分
12 柔軟性部分
13 先端造影部分
15 接続部材
15a 束状集合体
15b、15c 編成集合体
15d 多孔性ロッド
16 生体内留置部材
18 端子部分
20 カテーテル
21 手元操作部
22 生体
23 アース電極
24 高周波電源装置
30 容器
31 アース電極
32 生理食塩水
33 マイクロカテーテル
34 手元操作部
35 高周波電源装置

Claims (5)

  1. ワイヤー本体と、このワイヤー本体の先端部に接続部材を介して接続された生体内留置部材とからなり、
    前記接続部材は、水膨潤性材料からなる複数の繊維体素子の集合体により形成され、
    切断用電流が供給されることにより前記接続部材が加熱されて切断し、これによって前記生体内留置部材が離脱されることを特徴とする生体内留置部材を有する医療用ワイヤー。
  2. 接続部材は、複数の繊維体素子の編成集合体よりなることを特徴とする請求項1に記載の生体内留置部材を有する医療用ワイヤー。
  3. ワイヤー本体と、このワイヤー本体の先端部に接続部材を介して接続された生体内留置部材とからなり、
    前記接続部材は、多孔性の水膨潤性材料により形成され、
    切断用電流が供給されることにより前記接続部材が加熱されて切断し、これによって前記生体内留置部材が離脱されることを特徴とする生体内留置部材を有する医療用ワイヤー。
  4. 水膨潤性材料がポリビニルアルコール系重合体よりなることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の医療用ワイヤー。
  5. ワイヤー本体が導電性を有し、当該ワイヤー本体を介して切断用電流が供給されることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の医療用ワイヤー。
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