JP4190812B2 - ファイバグレーティングの製造方法及びその製造装置 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信に用いられるファイバブラッググレーティング(FBG:Fiber Bragg Grating;以下、単に、FBG又はファイバグレーティングと呼ぶ)に関し、とくに、ファイバグレーティングの波形整形に必要なファイバアポタイズ法(単にアポタイズ法とも呼ばれる)を実施したファイバグレーティングの製造方法及びその製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、高速かつ大容量の光ネットワークの研究及び実用化が進んでいるが、このネットワークの構築には様々な光機能部分が必要になっている。かかる光機能部品の1つに、ファイバグレーティングがある。このファイバグレーティングは、非常に狭帯域な波長の反射波を得るための反射型フィルタであり、波長フィルタや分散補償器などの光フィルタとして機能させることができ、波長多重(WDM)通信のキーデバイスとして注目されている。
【0003】
ファイバグレーティングは、具体的には、位相マスクを介して光ファイバに紫外レーザ光を照射することで光ファイバのコアに形成した、屈折率が周期的に変化するブラッグ回折格子であり、このファイバグレーティングに入射した光のうち、ブラッグ回折条件に適合する波長成分のみがファイバグレーティングにより反射される。
【0004】
このファイバグレーティングを製造する場合、ファイバグレーティングから反射される光波形を整形させるために、図1に示すように、紫外レーザ光の照射強度をファイバ長手方向において変化(変調)させる手法が採られることが多い。この波形整形の目的の多くは、反射波形のS/N(クロストーク)を改善することである。この照射強度のファイバ長手方向における変調がアポタイズ(アポタイズ法)と呼ばれている。
【0005】
ファイバグレーティングの反射スペクトルは、屈折率上昇Δnのプロファイルのフーリエ変換値で近似される。このため、S/Nを向上させるため、屈折率上昇Δnのプロファイルは通常、ガウシャン関数の形状に設定される。したがって、この場合には、照射レーザ光のビームプロファイルがガウシャン関数の形状をなしていると、そのまま利用されて、アポタイズが実行される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ファイバグレーティングの製造に利用するレーザは、必ずしも上述したように、ガウシャン関数の形状のビームプロファイルを有するレーザには限られず、例えばエキシマレーザのように均一なビームプロファイルを有するレーザのこともある。
【0007】
このように、均一なビームプロファイルのレーザ光を照射してファイバグレーティングを製造する場合、そのまま照射するだけではアポタイズは掛からず、屈折率上昇Δnのプロファイルは図2に示すようにファイバ長手方向の距離に関して矩形状に変化するだけである。このため、得られる反射波のプロファイルは図3に示すようにSinc関数の形状になり、メインピークの両側にそれぞれ不要なサイドローブが出現し、S/Nが低下するという問題が依然として放置されていた。
【0008】
本発明は、上述した未解決の問題に鑑みてなされたもので、ファイバグレーティングの製造に使用するレーザ光が均一なビームプロファイルを有するレーザ光の場合であっても、反射波のプロファイルが所望の形状になるようにアポタイズを施すことができるとともに、反射波のサイドローブの発生を抑圧又は排除してS/Nを改善することを、その目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成するため、本発明に係るファイバグレーティングの製造方法によれば、均一なビームプロファイルを有するレーザ光を光ファイバに照射しながら、光ファイバの長手方向におけるレーザ光の照射強度の積分値がベル状に変化するように当該レーザ光の照射量が制御される。
【0010】
このため、光ファイバのコアに回折格子を形成するときに、レーザ光の照射量が制御され、光ファイバの長手方向におけるレーザ光の照射強度の積分値がベル状に変化するように照射強度に変調が掛けられる。したがって、例えばエキシマレーザのように、均一なプロファイルのレーザ光を用いてファイバグレーティングを製造する場合であっても、FBGの反射スペクトルもガウシャン形状又はこれに近い形状になり、S/N(すなわち、クロストーク)が改善される。すなわち、前述した図2及び3で説明したように、FBGからの反射波のスペクトルに含まれるサイドローブが解消又は抑制され、S/Nが改善された良好な反射特性が得られる。
【0011】
上述したレーザ光の照射量の制御は、更に、様々な態様で実施できる。
【0012】
好適な1つの態様は、レーザ光及びファイバのうちの少なくとも一方を所定の速度変調パターンに基づいて長手方向に相対的に移動させることで前記照射量を制御することである。この制御法は、ファイバグレーティングのグレーティング長が、レーザ光のビームプロファイルの長手方向における長さよりも長いときに好適である。
【0013】
また好適な別の態様によれば、レーザ光を照射するレーザ光源と光ファイバとの間に位置してレーザ光を遮蔽可能なシャッタを、所定の速度変調パターンに基づいて光ファイバの長手方向に相対的に移動させることで照射量を制御することができる。この制御法は、とくに、ファイバグレーティングのグレーティング長が、レーザ光のビームプロファイルの長手方向における長さよりも短いときに好適である。
【0014】
さらに別の好適な態様によれば、レーザ光を照射するレーザ光源と光ファイバとの間に配置され且つ当該レーザ光を遮蔽可能な、半径距離が非等方のプレートを回転させることで照射量を制御するようにしてもよい。前記プレートは、例えば楕円形の形状を有する。
【0015】
一方、上述した目的を達成するため、本発明に係るファイバグレーティングの製造装置によれば、均一なビームプロファイルのレーザ光を発するレーザ光源と、このレーザ光源からのレーザ光を光ファイバに照射させながら、当該光ファイバの長手方向におけるレーザ光の照射強度の積分値がベル状に変化するように当該レーザ光の照射量を制御する制御手段とを備える。
【0016】
これにより、上述した如く、エキシマレーザのように、均一なプロファイルのレーザ光を用いてファイバグレーティングを製造する場合であっても、FBGの反射スペクトルもガウシャン形状又はこれに近い形状になり、S/Nが改善される。すなわち、FBGからの反射波のスペクトルに含まれるサイドローブが解消又は抑制され、S/Nが改善された良好な反射特性が得られる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付の図面を参照して説明する。
【0018】
(第1の実施形態)
図4〜6を参照して、本発明の第1の実施形態を説明する。
【0019】
図4には、第1の実施形態を示す。同図に示すように、光ファイバ1には位相マスクPMを介してレーザ光2が照射される。
【0020】
光ファイバ1は、図示しないが、細い円柱形状のコアと、このコアの周囲に密着させて設けた円筒形状のクラッドとを備える。コア及びクラッドは酸化シリコン(SiO2)や酸化ゲルマニウム(GeO2)を主成分とする材料で形成されている。この材料の成分比を調節して、コアの屈折率をクラッドのそれよりも大きくなるように設定されている。コアの直径は10μm程度であり、一方、クラッドの直径は110〜130μm程度である。コアにドープされているゲルマニウム(Ge)は紫外線に対する感光性を有している。
【0021】
レーザ光2は、そのプロファイルが一定のエキシマレーザから照射される。形成するグレーティング長(すなわち領域Rの長さ)は、レーザ光2のプロファイルよりも長くなっている。
【0022】
この場合、位相マスクPMを介してレーザ光2を光ファイバ1に照射しながら、矢印A又はBに示すように、ファイバ1又はレーザ光2がファイバ長手方向に沿って所定の速度変調パターンに基づいて相対的にスキャン(移動)される。この速度変調パターンは、例えば図5に示すように、回折格子を書き込む領域Rの一端部から中央部に照射レーザ光2が進むにつれて、スキャン速度を低下させる。そして、かかる中央部からもう一方の端部に進むにつれてスキャン速度を再び速める。これにより、回折格子を書き込む領域Rの両端部から中央部にかけてレーザ照射量(積分値)は滑らかに多くなる。
【0023】
したがって、照射するレーザ光(紫外線光)に応答して光ファイバ1のコアの屈折率が変化して回折格子が形成される。
【0024】
また、上述した如く、レーザ照射量が回折格子の領域Rの中央部に進むほど徐々に大きくなるように制御されているので、回折格子を形成しながらも、その中央部に至るほど、光屈折率が徐々に大きくなる。すなわち、図6に示す如く、周期的な屈折率変化のエンベロープがその中央部で大きく、かつ、両端部になるほど徐々に低下するという所望の屈折率上昇(Δn)のプロファイルが得られる。
【0025】
このように、ファイバグレーティングの製造時に使用するレーザ光が均一なビームプロファイルを有するレーザ光の場合であっても、上述したアポタイズによって、回折格子の反射スペクトルもガウシャン形状又はこれに近い形状になり、S/N(すなわち、クロストーク)が改善される。すなわち、前述した図2及び3で説明したように、FBGからの反射波のスペクトルに含まれるサイドローブが解消又は抑制され、S/Nが改善された良好な反射特性が得られる。
【0026】
(第2の実施形態)
図7を参照して、本発明の第2の実施形態を説明する。
【0027】
図7には、第2の実施形態に係るファイバグレーティングの製造方法の概要を示す。
【0028】
上述の第1の実施形態と同様に、光ファイバ1には位相マスクPMを介してレーザ光2が照射される。また、直動ステージなどで構成されるシャッタ3がレーザ光路における光ファイバ1の近傍に配置されており、レーザ光2はこのシャッタ3を介して光ファイバ1に照射されるようになっている。シャッタ3は例えばアルミニウム、スチール、又はステンレスで形成され、好適には、その表面に紫外線光に対して実質的に無反射となるコーティングが施される。また、この第2の実施形態にあっては、形成するグレーティング長(回折格子を形成する領域Rのファイバ長手方向の長さ)がレーザ光2のプロファイルよりも小さくなっている。
【0029】
レーザ光2(紫外線光)はシャッタ3の開口OPを通り、さらに位相マスクPMを介して光ファイバ1に照射される。この照射状態において、図示しない駆動制御機構によってシャッタ3のファイバ長手方向に沿った開口幅Wが所定の速度変調パターンに基づいて開閉制御される。例えば、回折格子を書き込む領域Rの中央部では開口幅Wを広げる速度を遅くし、その状態から徐々に速く広げるように制御される。
【0030】
これにより、回折格子を書き込む領域Rの両端部から中央部にかけてレーザ照射量(積分値)は滑らかに多くなる。このため、周期的な屈折率変化を得るとともに、その周期的な屈折率変化のエンベロープを中央部で大きく、かつ、両端部になるほど徐々に低下するという所望の屈折率上昇(Δn)のプロファイルが得られる。したがって、前述した第1の実施形態と同等の作用効果を得ることができる。
【0031】
(第3の実施形態)
図8及び9を参照して、本発明の第3の実施形態を説明する。
【0032】
図8には、この実施形態で使用するファイバグレーティングの製造装置の外観を示す。
【0033】
この製造装置は、側面方向から見て略L字状の架台20を備え、この架台20の底部20Aの上面には支持板21が配置されている。この支持板21の上には、前述した光ファイバ1が載せられる。
【0034】
また、架台20の直立部20Bの側面には、例えば精密な螺子機構を有する駆動系22が、光ファイバ配置時の長手方向Xに沿って配置されている。駆動系22は、直立部20Bの壁面に固設された保持体23と、この保持体23に保持されたラック24、このラック24に噛み合って移動可能な移動体25と、ラックの一端部に軸結合されたモータ26とを有する。このモータ26はモータ制御装置27から駆動信号を受けて回転し、その回転力がラック25に伝達される。このため、ラック25も回転し、この回転に伴って、ラック25に沿って移動体25が移動できるようになっている。
【0035】
移動体25は上下方向(Z軸方向)からみた場合、コ字状に形成されており、その下面に一定幅のスリットSが形成されたスリット板28が取り付けられている。このため、移動体25が長手方向(X軸方向)に沿って移動すると、同時にスリット板28、すなわちスリットSもその長手方向に移動する。スリットSが光ファイバ1を覗くことができるように、スリットSを形成する位置、又は、スリット板28を取り付ける位置が設定されている。移動体25及びスリット板28は例えばステンレスなどで形成され、その表面に紫外線光に対して実質的に無反射となるコーティングが施される。
【0036】
スリット板28と光ファイバ1の支持板21との間には、位相マスクPMが図示しない支持機構により配置される。
【0037】
さらに、架台20の直立部20Bの側面における上側の位置には、レーザ光源29が下向きに固設されている。このレーザ光源29は、プロファイルが一定のレーザ光2を出射する、例えばエキシマレーザで構成される。このため、レーザ光源29が出射されたレーザ光2は下方に位置するスリット板28のスリットS及び位相マスクPMを通して光ファイバ1に到達する。
【0038】
モータ制御装置27は、時間と伴に回転速度vを変化させる駆動信号をモータ26に送出して、モータ26を回転させる。この回転速度vの変調パターンは例えば図9に示すように予め設定されている。具体的には、初めは所定速度でモータ26を回転させ、その後、徐々に速度vを低下させ、再び徐々に元の所定速度に戻すという変調パターンを採っている。
【0039】
そこで、モータ26の回転速度vが所定値になるときに、スリットSが、回折格子の領域の一端部に到達させる。この後、モータ26の回転速度vが徐々に低下するので、スリットSがかかる領域の中央部に移動するにつれて、その移動速度が遅くなる。これにより、スリットSを通過するレーザ光2の光量の積分値(強度の積分値)が徐々に上昇する。中央部を過ぎると、モータ26の回転速度vが徐々に上げられるので、スリットSの移動速度が速められ、スリットSを通過するレーザ光2の光量の積分値も徐々に減少する。
【0040】
この結果、光ファイバ1のコアに周期的な屈折率変化を得るとともに、その周期的な屈折率変化のエンベロープが中央部で大きく、かつ、両端部になるほど徐々に低下するという所望の屈折率上昇(Δn)のプロファイルが得られる。したって、第1及び第2の実施形態のときと同等の作用効果を得ることができる。
【0041】
(第4の実施形態)
図10〜12には、第4の実施形態を示す。
【0042】
上述の第1及び2の実施形態と同様に、光ファイバ1にはレーザ光2が照射される。また、モータなどの回転駆動機構により回転駆動される2枚のプレート4が光ファイバ1の近傍に配置される。
【0043】
2枚のプレート4は、それぞれ、回転角度θ及び半径r(θ)とする楕円形状に形成される。各プレート4の短軸方向が互いに向き合っているときに当該短軸方向に形成される空隙距離をf(θ)とすると、この距離f(θ)の部分がグレーティング長に相当するように、各プレート4の中心位置、すなわち両プレート間の中心位置間の距離Lが決められる。例えば、形成するグレーティング長が長い場合には、空隙距離f(θ)が大きくなるように、中心位置が決められるとともに、より長い長軸の楕円形状に形成される。各プレート4は例えばアルミニウム、スチール、又はステンレスで形成され、好適には、その表面に紫外線光に対して実質的に無反射となるコーティングが施される。
【0044】
両プレート4を回転させるとともに、レーザ光2は、この両プレート4間の空隙部分(距離f(θ)の部分)を通過させる。この空隙部分は、両プレート4それぞれの回転に伴って、光ビーム2を徐々に遮断又は照射させる一種のシャッタとして機能する。つまり、各プレート4の短軸が互いに向き合っているときには(図10の実線で示す状態)、最も広い空隙部分を形成し、一方、各プレート4の長軸が互いに向き合っているときには(図10の仮想線で示す状態)、最も狭い空隙部分が形成される。両プレート4それぞれの1/4回転に伴い、この最も広い空隙部分から徐々に且つ連続的に最も狭い空隙部分に移行する。したがって、空隙部分を通過するレーザ光の光量は、楕円形状に応じて、グレーティングの端部側では少ないが中心部に進むほど滑らかに且つ連続的に多くなる。
【0045】
これによって、光ファイバ2の所定部分が上述した空隙部分の下側に配置されるように位置決めする。この状態で、レーザ光(紫外線光)2を照射しながら、両プレート4を所定時間、回転させる。これにより、両プレート4が有する連続的に照射量を調整するシャッタ機能を用いて、光ファイバ1の回折格子を書き込む領域Rにその長手方向に沿って光ビーム2の強度変調を確実に掛けることができる。
【0046】
つまり、回折格子を書き込む領域Rの両端部から中央部にかけてレーザ照射量(積分値)は滑らかに多くなる。このため、第1及び2の構成のときと同様に、周期的な屈折率変化を得るとともに、その周期的な屈折率変化のエンベロープが中央部で大きく、かつ、両端部になるほど徐々に低下するという所望の屈折率上昇(Δn)のプロファイルが得られる。
【0047】
回転させるプレート4の形状は、上述したように、必ずしも楕円に限定されない。回転に伴って半径が連続的に異なる形状であればよい。
【0048】
図10に示すように、楕円形状のプレート4を用いてアポタイズを掛ける場合の楕円の形状及びサイズは以下のようにして決定される。
【0049】
例えばガウシャン形状のアポタイズを施すためには、
f(θ)=Cexp(−aθ2)
から、
L−2×r(θ)=Cexp(−aθ2)
r(θ)=(−Cexp(−aθ2)+L)/2 … (1)
と変形できるので、これを、X=rcosθ、Y=rsinθを用いて変数変換すれば、プレートの形状及びサイズを決定できる。
【0050】
図11には、上述した原理に基づいて構成されるファイバグレーティングの製造装置の概要を示す。この製造装置は、前述した図8に記載した構成要件のうち、駆動系22の構成が異なる。この駆動系22は、直立部20Bから突設された1対の梁部31、31と、この梁部31、31それぞれの一端部に設けたモータ32、32とを有する。また、梁部31、31それぞれの他端部には上述した楕円形状のプレート4、4がそれぞれ回転自在に取り付けられている。各梁部31は、その内部の駆動力伝達機構によってモータ32の回転力をプレート4に伝達し、プレート4を回転させる。モータ32、32はそれぞれモータ制御装置27から駆動信号を受けて回転可能になっている。
【0051】
したがって、前述した原理に基いてアポタイズを施したファイバグレーティングを製造することができ、前述と同等の作用効果を得る。また、とくに、この製造装置は、プレート4のほかに、制御手段としての電気モータなどの駆動系22やモータ制御装置27の程度で済み、比較的簡単な機能で実現できる。
【0052】
図12には、上述したプレート4を利用して、アポタイズ法に拠り製造したファイバグレーティングの反射スペクトルの解析例を示す。この解析の条件は以下のようである。
【0053】
プレートの形状及びサイズ: 前記(1)式に従う形状及びサイズ
レーザ光: KrF 248nm
プレートの回転数: 2Hz
プレート間の距離: 0.25mm(半値幅)
グレーティングピッチ: 496.2nm
この図12に示す反射光のスペクトルから分かるように、サイドローブが殆ど確実に抑制されているので、S/Nが大幅に改善されることが分かる。
【0054】
(その他の実施形態)
その他の実施形態として、図13に示すように、シャッタ41に所定形状の開口を空けておいて、このシャッタ41を、レーザ光2の光ファイバ1への入射直前で移動させるようにしてもよい。
【0055】
具体的には、このシャッタ41には、例えばガウシャン形状の開口42が空けられ、光伝搬路における光ファイバ1への直前に、図13における上下方向、すなわちY軸方向に移動可能に設けられる(矢印C参照)。レーザ光2は、図13では模式的に斜めに記載されているが、実際にはZ軸方向に沿って出射される。なお、このシャッタ41と光ファイバ1との間には、図示しないが位相マスクが配置される。レーザ光2を開口42及び図示しない位相マスクを介して出射させながら、この開口42がY軸方向に所定の一定速度で移動させられる。このため、光ファイバ1のコアにおける回折格子を設ける領域Rの中心部分では開口42を通過して光ファイバ1に入射する光ビーム2の強度積分値が大きく、その周辺部になるほど少なくなる。これによって、前述した各実施形態のものと同等の作用効果を得ることができる。
【0056】
なお、本発明は前述した各実施形態で示した構成に限定されることなく、さらに様々な態様で実施してもよい。
【0057】
【発明の効果】
以上、本発明に係るファイバグレーティングの製造方法及びその製造装置によれば、ファイバグレーティングの製造に使用するレーザ光が均一なビームプロファイルを有するレーザ光の場合であっても、反射波のプロファイルが所望の形状になるようにアポタイズを施すことができるとともに、反射波のサイドローブの発生を抑圧又は排除してS/Nを改善することができるファイバグレーティングを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ファイバグレーティングに施されるアポタイズ(ファイバ長手方向におけるレーザ光の照射強度変調)を説明する図。
【図2】ビームプロファイルが一定のレーザビーム光を説明する図。
【図3】サイドローブが存在するFBGの反射スペクトルを示す図。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る、アポタイズと伴に行うファイバグレーティングの製造を説明する図。
【図5】第1の実施形態で採用される速度変調パターンの一例を示す図。
【図6】アポタイズが施された光ファイバのコアの屈折率上昇Δnを例示する図。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る、アポタイズと伴に行うファイバグレーティングの製造を説明する図。
【図8】本発明の第3の実施形態に係る、アポタイズと伴に行うファイバグレーティングの製造を行う製造装置の概要図。
【図9】第3の実施形態で採用される速度変調パターンの一例を示す図。
【図10】本発明の第4の実施形態に係るアポタイズの原理を説明する図。
【図11】第4の実施形態に係る、アポタイズと伴に行うファイバグレーティングの製造を行う製造装置の概要図。
【図12】第4の実施形態の構成に基づいて製造されたファイバグレーティングで実験した光ビームの反射スペクトルを示すグラフ。
【図13】本発明のその他の実施形態に係るファイバグレーティングの製造方法を説明する説明図。
【符号の説明】
1 光ファイバ
2 レーザ光
3 シャッタ
4 プレート
22 駆動系(制御手段)
27 モータ制御装置(制御手段)
28 スリット板(シャッタ)
29 レーザ光源
41 シャッタ
42 開口
OP 開口
S スリット
Claims (4)
- 均一なビームプロファイルを有するレーザ光を光ファイバに照射しながら、当該光ファイバの長手方向における前記レーザ光の照射強度の積分値がベル状に変化するように当該レーザ光の照射量を制御して前記光ファイバのコアに屈折率が周期的に変化する回折格子を形成するファイバグレーティングの製造方法であって、
前記レーザ光を照射するレーザ光源と前記光ファイバとの間に位置した、前記レーザ光の遮蔽が可能な、半径距離が非等方の2枚のプレートを回転させることで、前記照射量を制御することを特徴とするファイバグレーティングの製造方法。 - 請求項1に記載のファイバグレーティングの製造方法において、
前記プレートは楕円形であることを特徴とするファイバグレーティングの製造方法。 - 均一なビームプロファイルのレーザ光を発するレーザ光源と、
前記レーザ光源からのレーザ光を光ファイバに照射させながら、当該光ファイバの長手方向における前記レーザ光の照射強度の積分値がベル状に変化するように当該レーザ光の照射量を制御する制御手段とを備えた、前記光ファイバのコアに屈折率が周期的に変化する回折格子を形成するファイバグレーティングの製造装置であって、
前記制御手段が、前記レーザ光を照射するレーザ光源と前記光ファイバとの間に位置した、前記レーザ光の遮蔽が可能であり、回転することで前記照射量を制御する、半径距離が非等方の2枚のプレートを備えることを特徴とするファイバグレーティングの製造装置。 - 請求項3に記載のファイバグレーティングの製造装置において、
前記プレートは楕円形であることを特徴とするファイバグレーティングの製造装置。
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2002
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