JP4187967B2 - インクジェットプリントヘッドにインクを供給する装置 - Google Patents

インクジェットプリントヘッドにインクを供給する装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は一般にインクジェットプリントの分野に関し、より詳細には、インクジェットプリントヘッドへのインクの送出に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット技術は、比較的よく開発されている。この技術の基本原理は、Output Hardcopy Devices(Ed.R.C.Durbeck and S.Sherr,Academic Press,San Diego,1988)の第13章「Ink-Jet Devices」においてW.J.LloydおよびH.T.Taubによって説明され、またHewlett-Packard Journal,Vol.36,No.5(May 1985)、Vol.39,No.4(August 1988)、Vol.39,No.5(October 1988)、Vol.43,No.4(August 1992)、Vol.43,No.6(December 1992)、およびVol.45,No.1(February 1994)における様々な論文において説明されている。
【0003】
インクジェットプリンタのコストおよび大きさを低減し、プリントページ当たりのコストを低減しようとして、技術者達は、柔軟性を有するインクチューブによって大型の静止したインク槽に接続されている小型で動くプリントヘッドを有する、インクジェットプリンタを開発している。この開発結果は、「オフアクシス」プリントと呼ばれている。このようなプリンタにおいては、プリントヘッドの大きさを厳しく低減して、プリントヘッド駆動システムのコストおよびプリンタ全体の大きさを最小限にすることができるようになっている。さらに、インク槽をプリントヘッドから分離することによってインクを使い果たしても、高価なプリントヘッドを頻繁に交換する必要なしに、インクを交換することができる。
【0004】
オフアクシスのプリントシステムにおいて、通常、インクは、槽から圧力の掛かった状態で、プリントヘッドの近くに配置された圧力調整器に供給されている。圧力調整器は、インクの圧力を低減し、インクを必要に応じてプリントヘッドの背圧動作範囲内でプリントヘッドに送出している。
【0005】
オフアクシスプリントという開発結果における問題の1つは、プリントヘッドにおけるインクの背圧の変動範囲をできるだけ狭く維持する必要がますます増大している、ということである。背圧が変化すると、プリント密度およびプリント品質に大きな影響を及ぼし、また背圧が大きく変化すると、インクがノズルから垂れてしまうか、あるいはプリントカートリッジをデプライミングしてしまうかになる可能性がある。
【0006】
このような背圧の変化には、いくつか原因がある。原因の1つは、プリントヘッドの動作によって生じる背圧の変動に対し、圧力調整器が十分追従することができない、ということである。プリントカートリッジ内に空気が閉じ込められ、そのプリントカートリッジが、標高、加速度および温度等の環境パラメータの変化にさらされると、別の原因が生じる。プリントカートリッジ内に閉じ込められた空気が、理想気体の法則PV=nRTに従って挙動するならば、こういったパラメータのいずれのいかなる変化も、対応する背圧の変化を引き起こす。
【0007】
インクジェットプリンタの背圧調整器については、以下の各特許においてさらに説明されている。
Saitoへの、「Fluid Tank and Device for Detecting Remaining Fluid」という名称の米国特許第4,422,084号、
Seccombe他への、「Apparatus for Providing Ink to a Print Head」という名称の米国特許第5,650,811号、
Pawlowskiへの、「Back Pressure Regulator Ink Jet Pen」という名称の米国特許第5,844,577号、
Hauck他への、「Apparatus for Providing Ink to an Ink Jet Print Head and for Compensating for Entrapped Air」という名称の米国特許第5,872,584号。
【0008】
内部にばねがあり、かつ柔軟性を有するフィルムから製造されているインクバッグを有する背圧調整器については、以下の各特許において説明されている。
Fongへの、「Variable Rate Spring Ink Pressure Regulator for a Thermal Ink Jet Printer」という名称の米国特許第5,325,119号、
Kaplisky他への、「Negative Pressure Ink Delivery System」という名称の米国特許第5,757,406号。
【0009】
従来の圧力調整器は、現在開発されている新しいプリンタにとっては大きすぎる、ということがわかっている。最近の設計上の目標の1つは、プリントヘッドの走査軸、すなわち、プリントヘッドがプリント媒体を横切って走査する左右方向に沿って圧力調整器の大きさを1/2小さくする、ということである。さらに、圧力調整器が大きければ、従来のプリンタキャリッジにおいて対応することができるインクの色相の数が限定されてしまう、ということが観察されている。言い換えれば、写真品質の出力を達成するためには、プリンタの現在利用可能であるのと略同じだけのキャリッジスペース内に、少なくとも6つの互いに異なるインクの色相を設ける必要がある。
【0010】
しかし、調整器の大きさを低減するという問題に対する解決法は、従来の圧力調整器を単にスケールダウンするということよりも複雑である。従来の調整器における内部機構およびレバーは、高い信頼性で動作し、許容圧力耐性を達成すると共に、匹敵する機能性を提供するために、最低限度の大きさである必要がある。このような従来の設計は、走査軸に沿った寸法が本質的に低減される場合には使えないことがわかっている。
【0011】
さらに、従来の圧力調整器には、プリントヘッドに対して一定の背圧を維持するために、膨張および収縮するフィルムバッグを用いたものもある。このようなバッグは、フィルムのシートを折り畳み、互いに熱かしめで接合することによって作られる。しかし、このようなバッグの縁はインクに冒されるので、このように冒されることによって経時的に各層がはがれる可能性があり、その結果、プリントヘッドが故障してしまう可能性がある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
前述のことから、熱インクジェットの背圧調整器には多くのタイプがあるが、走査軸方向の寸法を著しく低減しながら、従順なフィルムがインクに冒されて故障しないように保護し、なおも同レベルの調整器の機能性を提供するような方法が依然として必要とされている、ということが明白であろう。
【0013】
【課題を解決するための手段】
簡潔かつ一般的に言えば、本発明による装置は、インク滴16をプリント媒体18上に噴出するプリントヘッド41と、インク29をインク槽28から受け取りインク29をプリントヘッド41に送出する背圧調整器55とを含んでいる。調整器は、一方で大気圧に、他方で調整器55内のインクの圧力に応答する、弾性(従順な壁70を有している。調整器内には弁81があり、この弁は、壁70によって作動して、プリントヘッド41に送出されるインクの圧力を調整している。また、調整器内には、弁81が閉じるように予め荷重をかけると同時に、弾性(従順な壁70を大気圧に抗して付勢する圧縮ばね75もある。
【0014】
本発明の他の態様において、互いに色相が異なるインクを別個に送出して、プリントヘッド41上のノズルアレイを区分けする、2つのノズルアレイ42,42’と2つの背圧調整器55とを有するプリントヘッド41を備えた装置が提供される。
【0015】
また、本発明による装置は、2つの弁アセンブリを含んでいる。一方のアセンブリ81には、細長いステム82と、ステムに直交して取り付けられたディスク(弁座ポケット)83と、ディスク上に接着したエラストマーの弁座84とを有する弁が設けられている。弁は、軸85によって回転するように支持され、弁が軸85を中心として回転することによって、弁座84が弁ノズル86を閉じるかまたは開くようになっている。他方のアセンブリには、細長いステム141と、ステムに直交して取り付けられたエラストマーのディスク142とを有する弁140が設けられている。このアセンブリは弁本体143を有し、弁本体は、そこを通ってステムが延びる開口部と、開口部を取り囲む弁座144とを有している。エラストマーのディスク142を、シールする関係になるように弁座144に当たった状態に付勢する弁ばね145もある。弁のステムが作動すると、ディスクが弁座の一部を支点にして回転し、弁座の別の部分のシールが開放されるようになっている。
【0016】
本発明はさらに、調整器およびプリントヘッドをプリンタキャリッジに対して配置することによって、色相シフトのない二方向インクジェットカラープリントを意図している。
【0017】
本発明の他の態様および利点は、以下の詳細な説明を添付図面と共に検討すれば、明白になろう。以下の詳細な説明は、本発明の原理を例として示すものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
例示の目的のための図面において示すように、本発明は、インクをプリントヘッドに供給する装置において実施される。本装置は、互いに色相が異なるインクを別個に送出して、共通のプリントヘッド上のノズルアレイを区分けする、2つの背圧調整器を含んでいる。
【0019】
それぞれの背圧調整器は、プリントヘッドの走査軸に沿った幅が従来の調整器の約半分となっている。すなわち、従来の調整器は幅が約13ミリメートル以上であるのに対し、本調整器は幅が約6〜6.5ミリメートルである。
【0020】
このように大きさを低減することによって、非常に多くの利点が提供されることになる。第1に、6つの互いに異なるインクを3つだけのプリントヘッドに送出することができる。これまでは、これと同数のプリントヘッドでは、互いに異なる4つのインクにしか対応することができなかった。各プリントヘッドは2つのノズルアレイを有し、それぞれの背圧調整器は、ノズルアレイのうちの1つにインクを別個に送出している。すなわち、1つのプリントヘッドはマゼンタおよびライトマゼンタを、1つのプリンタヘッドはシアンおよびライトシアンを、1つのプリントヘッドはイエローのみを、そして1つのプリントヘッドはブラックのみを噴射することができる。4つのインクについてこれまで必要とされてきた同じだけのキャリッジスペース内に、6つの互いに異なるインクの色相を設けることができれば、写真品質の画像を達成することができる。さらに、この装置であれば、はるかに多い機能性、すなわち、従来のプリンタとほぼ同じ大きさのプリンタ内で、より多くかつ様々なインクの組が可能である。この構成は、図17に示されている。
【0021】
圧力調整器の大きさをこのように低減することの第2の利点は、色相シフトなしで2方向にカラー画像をプリントすることができる、ということである。二方向プリントは、それ自体でプリンタ出力速度を2倍に増大する。従来のインクジェットプリンタにおいては、高品質のカラー画像は1走査方向でしかプリントすることができなかった。滴がプリント媒体上に置かれる順番を維持しなければならないからである。滴の順番を維持しなければ、キャリッジの通過同士の間で、目に見える色相シフトが生じてしまう。例えば、プリンタキャリッジが、ブラック、シアン、イエロー、およびマゼンタのプリントヘッドを、この順に左から右に配置して収容している場合には、キャリッジが右から左に走査すると、まずシアン、次にイエロー、最後にマゼンタの滴が噴射される。キャリッジが反対方向に左から右に走査すると、まずマゼンタ、次にイエロー、最後にシアンの滴が噴射される。二方向カラープリント用の調整器/プリントヘッドの構成は、図18に示されている。
【0022】
調整器の大きさを低減することのさらに他の利点は、システムのコストが低減されるということである。本装置では、1つのプリントヘッドが、互いに異なる色相の2つのインクを送出して噴射することができる。したがって、インクが4つのプリンタでは、必要なプリントヘッドは2つのみである。さらに、このようなプリンタでは、全体の大きさが小型になり、その有する機能は、インクが4つの従来のプリンタと同じである。この調整器/プリントヘッドの構成は、図16に示されている。
【0023】
図1を参照すると、参照符号12は一般的にプリンタを表しており、プリンタ12は、命令に基づいてインク滴16を噴出するプリントカートリッジ14を含んでいる。滴によって、紙等のプリント媒体18上には画像が形成されている。プリント媒体18は、当該プリント媒体18と係合する2つのプリントローラ20,20’およびモータ21によって、プリントカートリッジ14に対して横方向に動くようになっている。プリントカートリッジ14は、駆動ベルト23およびモータ24によって、プリント媒体18を横切って前後に動くようになっている。駆動ベルト23およびモータ24によって生じるプリントカートリッジ14の動きによって、走査軸25が規定される。プリントカートリッジ14は、図示しない複数の発射抵抗器を含み、発射抵抗器は、命令に基づいて電気回路26によって通電される。回路26は、プリントカートリッジ14が紙を横切って横方向に動き、紙がローラ20,20’によって動く時に、滴16によってプリント媒体18上に画像が形成されるような方法で、発射抵抗器を順次通電している。
【0024】
図1において、薄質な(flaccid)バッグである2つのインク槽28,28’がある。インク槽28,28’はそれぞれインク29,29’を収容している。必要であるというわけではないが、各バッグ内のインク29,29’は、プリントカートリッジ14に送出するために+100水柱インチ(+254水柱センチメートル)のレベルまで加圧してもよい。インク槽28,28’はそれぞれ、流体相互接続31,31’によって、柔軟性を有する管30,30’でできた管路に接続されている。管30,30’は、プリントカートリッジ14上に配置された流体相互接続32,32’で終わっている。したがって、インク槽28,28’とプリントカートリッジ14との間には、液通が確立されることになる。
【0025】
図2を参照すると、参照符号34は、2つのインク入口ポート35,35’を含む流体相互接続プレートを表している。これらのポートには、図1の流体相互接続32,32’および管30,30’が取り付けられている。流体相互接続プレートは硬質であって、米国ニュージャージー州サミット市のチコナ社から入手可能な液晶ポリマー(LCP)等のポリマー材料から形成されている。流体相互接続プレート34と、プリントカートリッジ14を構成しているすべてのLCP部品とは、従来の射出成形技術によって形成されている。流体相互接続プレート34の機能は、インクを調整器ハウジング内へとルーティングすることである。これについては以下で詳細に説明する。
【0026】
図2および図3におけるプリントカートリッジ14はさらに、本体37を含んでいる。この本体37は、2つの圧力調整器と、図3における熱インクジェットプリントヘッド41のノズル板40とを含むハウジングである。2つの圧力調整器は、互いに隣接する関係にあり、すなわち、壁を共有している。本体37は硬質でLCPから製造されており、プリントヘッド41は従来の構成からなる。ノズル板40は2つのノズルアレイ42,42’を有し、それぞれのアレイは個々に、圧力調整器のうちの1つと接続されており、一方の圧力調整器からのインクが一方のノズルアレイから噴射され、他方の圧力調整器からのインクが他方のアレイから噴射されるようになっている。本体37上には、TAB回路43も配置されている。TAB回路43は、図1のプリントカートリッジ14と図1の電気回路26との間の電気的相互接続としての役割を果たすものである。TAB回路43は従来の構成からなり、これによって図1のプリンタ12が、発射抵抗器(図示せず)に電気パルスを送ることにより、プリントカートリッジ14を発射することができる。
【0027】
図5および図6を参照すると、流体相互接続プレート34は、図6のラビリンス46と接続するラビリンスホール45を含んでいる。ラビリンスホール45およびラビリンス46によって、大気圧の空気が本体37の内部に入ることができると同時に、プリントカートリッジ14からの水蒸気の損失を制限することができる。
【0028】
図5および図6において、参照符号47は、流体相互接続プレート34の一端に配置されたスナップヨークを表している。このスナップヨーク47は、本体37上に取付けられた図2および図4のスナップ軸48と係合するようになっている。スナップ軸48がスナップヨーク47を受容すると、流体相互接続プレート34は、スナップ軸48を中心として回転することができ、プリントカートリッジ14の組立が簡単かつ容易になる。流体相互接続プレート34上でスナップヨーク47の反対側には、スナップフック49がある。流体相互接続プレート34がスナップ軸48を中心として回転すると、スナップフック49は、図2および図3に示すように、本体37の壁上に配置されたスナップリップ50と係合してロックされる。これによってもまた、プリントカートリッジの組立が簡単かつ容易になる。
【0029】
図6において、流体相互接続プレート34の底側には、2つのインクチャネル51,52がある。インクチャネル51,52は、インクを、図5のインク入口ポート35,35’から2つの圧力調整器へとルーティングする。これについては以下でより詳細に説明する。
【0030】
図4および図9を参照すると、参照符号54は一般的に、図4の本体37内に収容されている調整器ハウジングを表している。この調整器ハウジングは、従来の成形技術によってポリエチレンから製造されており、完全に組み立てると、並んで(互いに隣接する関係で)配置され、中央壁を共有する2つの圧力調整器を形成している。2つの圧力調整器は、一方が他方の鏡像であるという点を除けば、構成、組立および動作が同じである。したがって、簡潔にするため、一方の圧力調整器のみを説明する。
【0031】
図9の調整器空洞55内には、焼結金属から製造されたフィルタ57がある。フィルタ57は、インクが図3のプリントヘッド41に達する前にインクからいかなる粒子も取り除き、プリントカートリッジ14がゴミで詰まるのを防止するものである。また、調整器空洞55内には、4つのスエージポスト58も配置されている。スエージポスト58は、ハウジング54の共有の中央壁に成形され、突出した特徴を有している。図12の調整ばね75は、4つの共通の取付開口部76を有している。すなわち、これら開口部を組立中にポスト58に滑り込ませ、その後加熱した工具で、当該ばねの各開口部を通したそれぞれのポストをつぶすと、調整ばね75は調整器空洞55内の所定位置にロックされる。
【0032】
図9の調整器空洞55の頂壁には、弁ポケット61が配置されている。この弁ポケット61は、組立中に図10のインク入口弁81を収容し、入口弁81は、調整器の動作中、弁ポケット61内に配置された2つの弁ヨーク62に対して回転するように支持されるようになっている。図9では一方の弁ヨーク62しか見えないが、それぞれの弁ポケット61は弁ヨークを2つ収容している。それぞれの弁ヨーク62は、側面が3つで上向きのU字型の特徴を有している。また、調整器空洞55の頂壁には、組立中に図4の入口マニホルド65を整合する2つのアラインメントホール63も配置されている。これについては以下で詳細に説明する。
【0033】
図9を参照すると、調整器ハウジング54の底には、2つの出口66がある。それぞれの出口66は、噴射するために図3のプリントヘッド41の流体的に区分けされた部分にフィルタをかけたインクを送出している。一方の出口は一方のノズルアレイ42に接続し、他方の出口は他方のノズルアレイ42’に接続している。それぞれの出口66付近には、図4のスタンドパイプガスケット67が配置されている。調整器ハウジング54を本体37内に滑り込ませると、出口66と本体37の内壁との間にスタンドパイプが形成されることになる。ガスケット67は、当該スタンドパイプをシールするものである。
【0034】
図4を参照すると、参照符号70は、ポリエチレンおよびサランから製造された、粘弾性で変形可能な多層フィルムを表している。このフィルムの縁は、図9の調整器空洞55の狭い周辺リム74に熱かしめされ、周辺リム74を完全に取り囲んでいる。このような方法でかしめることによって、プリントカートリッジの寿命にわたってフィルムの縁がインクによって化学的に冒されないように保護されている。これは、インクが空洞のリム74とフィルムのかしめていない内部縁との間の境界面のみにさらされているからである。フィルムはいくらかあそびがある状態で(with same slack)所定位置にかしめられ、フィルム表面を横切る圧力差に応答してつぶれたり、膨張したりすることができるようになっており、それによって従順な壁を作成している。プリントカートリッジ14の動作中、図4において、調整器ハウジング54の外側、フィルム70の外面、および本体37の内側には、大気圧である周囲の空気が存在している。この空気の源は、図5および図6における流体相互接続プレート34のラビリンスホール45およびラビリンス46である。調整器空洞55自体の中でフィルム70の内面上では、調整器の動作および図3のプリントヘッド41によるプリントカートリッジ14からのインクの噴射のために、インクがわずかな負圧に維持されている。調整器における負圧は、約1水柱インチから15水柱インチ(約2.54水柱センチメートルから38.1水柱センチメートル)の範囲である。
【0035】
図4および図13において、参照符号71は、硬質プラスチックの部品であるプレッシャープレートを表している。図13に示すように、それぞれのプレッシャープレートの内側上には、4つの位置決めポスト72がある。これらのポスト72は、図12の調整ばね75と係合し、調整ばね75に対してプレッシャープレート71を整合している。これについては以下で詳細に説明する。フィルム70はプレッシャープレート71に支えられており、プレッシャープレート71は、フィルム70がその表面を横切って生じる圧力差に応答して収縮および膨張すると、フィルム70と共に動くようになっている。さらに、プレッシャープレート71は、U字型の切り欠き73を含んでいる。この切り欠き73によって、プレッシャープレート71は、弁ステム82の下部のみにおいて図10のインク入口弁81に接触することができる。U字型の切り欠き73の基底表面80は、弁ステム82の接点である。U字型の切り欠き73の機能は、プレッシャープレート71によってインク入口弁81についてより機械的な利点を得る、ということである。
【0036】
図12を参照すると、参照符号75は一般的に、打ち抜きによるステンレス鋼の部品である調整ばねを表している。調整ばね75は、調整器空洞55の共有壁上に配置されたスエージポスト58を収容する、4つの取付開口部76を有している。組立中、取付開口部76をポスト58に滑り込ませ、図示しない加熱した工具で調整ばね75を覆うようにポスト58をつぶすと、調整ばね75は調整器空洞55内にロックされて取付けられる。さらに、調整ばね75は4つの調整アーム77を有している。調整アーム77はそれぞれ弾性的に変形可能であり、それぞれが図13のプレッシャープレート71の内側へ向かう動きに対して圧縮されている。各調整アーム77は、図13のプレッシャープレート71上の位置決めポスト72のうちの1つを収容する、細長い調整開口部78を有している。しかし、位置決めポスト72はスエージポストではない。位置決めポスト72は、プレッシャープレート71が弾性的に調整ばね75を縮めたり伸ばしたりすると、細長い調整開口部78内を前後に摺動するようになっている。調整ばね75の機能の1つは、フィルム70を横切って生じる圧力差に抗して、プレッシャープレート71を、次にフィルム70を、調整器ハウジング54の外側で本体37の内側の大気圧に抗して外向きに付勢することである。
【0037】
図12において、調整ばね75はまた、予荷重アーム79も含んでいる。予荷重アーム79は、弾性的に変形可能であり、圧縮された状態で作用するものである。調整器空洞55においてさらなるインクが不要な場合には、予荷重アーム79が図10のインク入口弁81を片寄らせて閉じる。これは調整ばね75の第2の機能であり、調整アーム77がプレッシャープレート71およびフィルム70を外向きに付勢するのと同時に起こる。
【0038】
図10を参照すると、参照符号81は一般的に、調整器のインク入口弁を表している。インク入口弁81は、その上にオーバーモールドしたエラストマーの部分についてすぐ後に説明する特徴を有する、硬質プラスチックの部品を含んでいる。入口弁81は、硬質の細長い弁ステム82を有している。弁ステム82は、弁のうちで、図12の調整ばね75の予荷重アーム79が絶えず係合している、細長い部分である。また、弁ステム82は、図13のプレッシャープレート71が断続的に係合して、インクを圧力調整器空洞55に入れている。プレッシャープレート71と弁ステム82とは、機械的に結合しているわけではない。したがって、入口弁81が閉じている場合には、動作可能に係合を外すことができる。この特徴によって、圧力調整器内に閉じ込められたいかなる空気も補償することができる。さらに、入口弁81は、弁ステム82と共に硬質に形成された弁座ポケット83を含んでいる。弁座ポケット83は、弁ステム82の長さ方向の軸と直交している。弁座ポケット83の上面には、エラストマーで、弾性的に変形可能な弁座84が接着されている。弁座84は、シリコンゴムから製造されている。弁座84は、図8の弁ノズル86のシールおよびシール開放を行い、インクが必要に応じて調整器空洞55に入ってプリントヘッド41に送出されるインクの圧力を維持することができるようにする。入口弁81はまた、弁軸85も含んでいる。弁軸85は、弁ステム82および弁座ポケット83と共に、1つの硬質の一体になったプラスチック部品を形成している。弁軸85の長さ方向の軸は、弁座ポケット83の接線と平行であり、調整器ハウジング54の弁ポケット61内で、図9の2つの弁ヨーク62に対して回転するように取付けられている。調整ばね75の予荷重アーム79および図13のプレッシャープレート71と接触することによって、入口弁81は弁軸85および弁座84を中心にして回転し、図8の弁ノズル86を開閉するようになっている。動作中、入口弁81は、図9の調整器ハウジング54の弁ポケット61内を前後に揺動している。
【0039】
図13のプレッシャープレート71のU字型の切り欠き73は、プレッシャープレート71が図10の弁ステム82と、ステムの遠端のみにおいて係合するように機能している、ということが理解されるべきである。これによって、弁の作動により機械的な利点が生じ、弁ステム82のレバーアームの長さが確実に最大になるのを保証している。
【0040】
さらに、入口弁81が略上述のように機能している限り、弁座ポケット83および弁座84は、弁ステム82の長さ方向の軸と直交している必要はなく、弁軸85も弁座ポケット83の接線と平行である必要はない、ということが理解されるべきである。
【0041】
図10の入口弁81は、図11の軸保持プレート87によって、調整器ハウジング54内で図9の弁ポケット61内に保持されている。軸保持プレート87は、ステンレス鋼のシートから製造され、上で詳細に説明した図9の弁ヨーク62に対する第4の壁として機能している。したがって、図10の弁軸85は、弁ポケット61内に捕捉され、その中で回転することができるようになっている。
【0042】
図7および図8を参照すると、参照符号65は一般的に、インクを図4の入口ポート35,35’から図4の入口弁81,81’へと導管で送る、入口マニホルドを表している。入口マニホルド65は、硬質プラスチック基板(LCP)から製造され、シリコンゴムでオーバーモールドされて、図6の流体相互接続プレート34と共に6つの流体シールが形成されるようになっている。すなわち、入口マニホルド65は、高くなった壁を有する2つのインクチャネル89,90を有している。それぞれの壁の外側には、グランドシールが成形されている。このような2つのグランドシールは、図6で示すように、流体相互接続プレート34上のそれぞれのインクチャネル51,52内でシールを行うものである。インクチャネル89,90は、図8の2つの弁ボス91,91’上に配置された弁ノズル86,86’に通じている。弁ノズル86,86’は、図4の入口弁81,81’の揺動により開閉されるようになっている。この揺動によって、インクが必要に応じて調整器空洞55,56に流入したり、または流入しなかったりする。さらに、入口マニホルド65は、図6の流体相互接続プレート34内に配置されたラビリンス46用に床を提供する、ラビリンス壁92を含んでいる。これは第5の流体シールである。ラビリンスは、入口マニホルド65内に配置されたラビリンスホール93に通じている。このラビリンスによって、大気圧の空気が2つの調整器の外側を取り囲むことができ、水分がプリントカートリッジ14から逃げるのが遅くなる。入口マニホルド65はさらに、図8の2つの組立ポスト94,94’を含んでいる。ポスト94,94’は、プリントカートリッジ14の組立中に、図9の調整器ハウジング54上のアラインメントホール63,63’内に収容される。入口マニホルド65の縁95は、流体相互接続プレート34の側壁すなわちへりに対する第6の流体シールを形成して、プリントカートリッジに出入りするいかなる空気も、ラビリンス46を通り抜けなければならず、入口マニホルド65の縁95の周囲を流れてはいけないようになっている。
【0043】
インクは、2つの互いに平行で別個の流路に沿ってプリントカートリッジ14へまたはプリントカートリッジから流れる。一方の流路は、他方の鏡像である。簡潔にするため、一方のみを説明する。図1を参照すると、インク槽28内のインク29は、管30を通って、プリンタ12内に配置されたプリントカートリッジ14へと流れる。インクは、図5の流体相互接続プレート34上の入口ポート35を通って、プリントカートリッジ14に入る。その後、インクは、図7の入口マニホルド65内に成形したインクチャネル89に沿って流れる。このインクチャネルに関連する図4の入口弁81が開であり、図8の弁ノズル86が開であれば、インクは図9の弁ポケット61を通って、図9の調整器ハウジング54内の調整器空洞55に流入する。その後、インクはフィルタ57を通って、この調整器に関連する図9の出口66に流入する。インクは、図3のプリントヘッド41によって、図1の滴16になってプリント媒体18上に噴射される。
【0044】
プリントカートリッジの動作は、図14および図15に示されている。図12に示す調整ばね75が、図14および図15においては2つのばね77,79として描かれている、ということに注意されたい。調整ばねには、予荷重アーム79で予荷重をかけて、すなわち片寄らせて入口弁81を閉じるのと同時に、プレッシャープレート71で、調整器ハウジング54の外側を取り囲む大気圧に抗して従順な壁70を付勢する、という2つの機能があるからである。
【0045】
図14において、圧力調整器は定常状態にあり、動作する準備ができている。これは、プリントカートリッジの通常の状態である。圧力調整器はインク29で満たされ、インクは約3.5水柱インチ(約8.89水柱センチメートル)の負圧になっている。調整ばね/アーム77は、プレッシャープレート71をフィルム70に当たった状態に付勢している。調整器の外側および従順な壁70の外面は、周囲の圧力である。予荷重ばね/アーム79は、入口弁81を付勢して閉じ、弁ボス91上の弁ノズル86が閉じるようにしている。
【0046】
命令に基づいて、図1のプリンタ12がプリントを開始し、図3のプリントヘッド41が従来の方法で発射して、インク滴16がプリント媒体18上に噴射されるようにしている。プリントヘッド41によるこのインクの噴射によって、調整器内の圧力は低下する。一方、大気圧によって、フィルム70およびプレッシャープレート71は、調整ばね/アーム77に当たった状態に付勢される。実際にはフィルム70は、従順な壁70を横切る圧力差のために、調整ばねに当たった状態でつぶされる。この動きは、図15の矢印97で示されている。
【0047】
プリントヘッド41がインクを噴射するにつれて、調整器内の圧力は低下し続け、ついには図13のプレッシャープレート71上の切り欠き73の基底表面が、入口弁81上の弁ステム82に接触することになる。プレッシャープレート71は、予荷重ばね/アーム79による付勢に打ち勝ち、切り欠き73の基底表面によって、入口弁81が弁軸85を中心として回転し、弁座84を弁ノズル86から遠ざかる方向に動かして弁ノズルを開けている。弁軸85を中心としたこの回転運動は、矢印98で示されている。インクは調整器空洞55に流入し、調整器空洞55内のインクの圧力は増大し、当該調整器空洞は図14に示す状態に戻る。弁ノズル86の開閉、入口弁81の前後への揺動、および調整器のインク充填の各段階は、所望の動作圧力でプリントヘッド41の背後にインクを供給するために何度も繰り返される。
【0048】
入口弁81上の弁ステム82は調整器内に配置されているので、プレッシャープレート71が調整ばね77を約3.5mm変位させた後だけ、弁ステム82とプレッシャープレート71上の切り欠き73の基底表面とが接触しないようになっている。この特徴によって、プリントカートリッジは、圧力調整器内に閉じ込められた空気を補償することができる。これは、弁ステム82とプレッシャープレート71とは機械的に結合しているわけではないからである。閉じ込められた空気のいかなる膨張中も、調整器内の背圧が低下し、調整ばね77によってプレッシャープレート71が弁ステム82から遠ざかり、ついには体積が十分増大して調整器が平衡に戻ることになる。
【0049】
図16において、参照符号110は、プリンタキャリッジの概略図を示している。プリンタキャリッジ110上には、2つのプリントカートリッジ111,114が並んで取付けられている。これらのプリントカートリッジは、上述した図3に示すタイプのものである。プリントカートリッジ111では、参照符号112で識別する一方の圧力調整器およびその関連するノズルアレイから、ブラックのインクが噴射される。隣接する圧力調整器およびその関連する、同じプリントヘッド上の他方のノズルアレイ113から、シアンのインクが噴射される。同様に、圧力調整器/プリントヘッド115からイエローのインクが噴射され、圧力調整器/プリントヘッド116からマゼンタのインクが噴射される。したがって、プリンタキャリッジ110は、4つの互いに異なる色相のインクを2つのみのプリントヘッドに供給する、4つの圧力調整器を保持している。このようなキャリッジが取付けられるプリンタは、従来の4つのインクプリンタと比べて全体の大きさが小さく、機能は同じである。これは、このような従来のプリンタでは、それぞれがプリントカートリッジ111と同じ大きさのプリントカートリッジが4つ必要であったからである。言い換えれば、従来のキャリッジは、少なくともキャリッジ110よりも2倍大きかったのである。
【0050】
図17は、潜在的に写真品質である非常に高品質の画像を作成するプリンタ用のキャリッジ119の概略図である。6つの色相の互いに異なるインクが、4つのプリントカートリッジ120〜123に送出され、それぞれのプリントカートリッジは、2つのノズルアレイがあるプリントヘッドを1つ有している。プリントカートリッジ120は、共にブラックのインクを噴射する2つのノズルアレイに接続された2つの圧力調整器を有し、プリントカートリッジ122は、イエローのインクであるが同様である。プリントカートリッジ121は、それぞれのノズルアレイから別個にシアンおよびライトシアンを噴射し、プリントカートリッジ123は、マゼンタおよびライトマゼンタであるが同様である。このキャリッジは、上述の色相シフトの問題があるため、1方向のみにプリントを行う。しかし、各インクは、キャリッジからいかなる順番でいかなる位置から噴射してもよい。
【0051】
また、両方のノズルアレイが同じ色相のインクを噴射するプリントカートリッジについては、2つの圧力調整器の間の共有壁に開口部を設けて、それぞれの圧力調整器内の圧力が等しくなるようにしてもよい、ということも意図されている。さらに、このようなプリントカートリッジについては、一方のノズルアレイから噴射されるインク滴の大きさが他方のノズルアレイから噴射されるインク滴と異なり、その結果、プリント品質がより良くなってもよい、ということもまた意図される。
【0052】
図18において、参照符号125は、色相シフトなしで両方の走査方向にカラーをプリントすることができるプリンタキャリッジを表している。2方向プリントの利点は、この特徴だけでプリンタの出力を2倍にすることができる、ということである。プリントカートリッジ126において、最も外側の圧力調整器/ノズルアレイはシアンのインクを噴射し、内側の方はマゼンタのインクを噴射している。プリントカートリッジ127からは、両方の圧力調整器/ノズルアレイによってブラックのインクが噴射され、同様に、プリントカートリッジ128からはイエローのインクが噴射される。プリントカートリッジ129において、最も外側の圧力調整器/ノズルアレイはシアンのインクを噴射し、内側の方はマゼンタのインクを噴射している。このプリンタキャリッジは、2方向にカラーをプリントすることができる。左から右へ行こうと、右から左へ行こうと、互いに異なる色相の重なり合う滴は、同じ順序に維持できるからである。
【0053】
図18に示す対称パターンが維持されている限り、中央のプリントカートリッジ127および128のインクを互いに取り替えてもよく、外側のプリントカートリッジ126および129のインクもまた互いに取り替えてもよい、ということを理解するべきである。
【0054】
図19は、図18のキャリッジ125と同様であるが、両端に2つのプリントカートリッジ132,133を付け加えた、カラープリント用の2方向キャリッジ131を示す概略図である。プリントカートリッジ132において、外側の圧力調整器/ノズルアレイ内には、ポリエチレンイミン(PEI)等の前処理化合物がある。この前処理化合物は、インク滴の前にプリント媒体上に噴射されて、媒体にインクの準備をさせている。この化合物の機能は、媒体がインクに依存しないようにし、インクで作成する画像が用いる媒体の影響を受けないようにする、ということである。内側の圧力調整器/ノズルアレイ内には、スチレン−無水マレイン酸(SMA)等のオーバーコート化合物が配置されている。オーバーコート化合物は、インク滴が噴射され画像が形成された後に、プリント媒体上に噴射される。このオーバーコート化合物の機能は、画像をより永久的にする、すなわち、耐光性、防汚性、または耐水性を高める、ということである。また、オーバーコート化合物は、インク内の着色料を封入してもよい。
【0055】
図20を参照すると、参照符号140は一般的に、図9、図10、および図11の入口弁アセンブリ81の他の実施形態を表している。入口弁アセンブリ81は、上述と同じ方法で図4のプレッシャープレート71が作動する、細長く硬質のステム141を含んでいる。ステム141と直交して、エラストマーの弁ディスク142がステム141に成形されている。弁ディスク142は円筒形で弾性的に変形可能であり、シリコンゴムから製造されている。ステム141および弁ディスク142は、弁本体143の弁ポケット内に収容されている。弁ポケットは円形であり、中央に開口部があって、その開口部を貫いてステム141が下方に延びている。中央開口部のリムの回りには、円形の弁座144があり、弁座144は弁本体143に成形されている。弁ディスク142は、弁座144に当たった状態でシールを行い、流体シールを形成している。弁ディスク142は、圧縮された状態で作用する弁ばね145によって、弁座に当たった状態に付勢されている。弁ばね145は、弁ディスク142の上方の頂壁に配置され、弁ばね145の内径に係合するばね保持装置146によって、所定位置に保持されている。弁ばね145の下部は、ステム141の細長い延長部147によって、所定位置に保持されている。ステム141とその延長部147とは、共通の長さ方向の軸に沿って同軸上にある。弁ばね145は、ステム141と直交してステム141およびその延長部147と共に単一の一体に成形したLCP部品を形成している、硬質のばね止め148と係合している。エラストマーの円筒形弁ディスク142は、ばね止め148の底に接着またはオーバーモールドされている。弁座144は、弁ディスク142に、ステム141が取り付けられているのと同じ側で係合している。
【0056】
動作中、図20の弁アセンブリ140は、弁ディスク142で普通閉じており、当該弁ディスク142は、弁ばね145によって弁座144に当たった状態に付勢されている。これが普通の非プリント状態である。弁ポケットおよび弁本体143の上方の領域は、弁ディスク142の下方や図4の調整器ハウジング54内の圧力よりもいくらか高い圧力のインク150で満たされている。プレッシャープレート71がステム141と係合して弁アセンブリ140を作動させると、弁ディスク142は、弁座144の一部を中心として回転し、弁ディスク142の別の部分のシールを開放する。この別の部分は、通常直径に沿って反対側である。すると、インク150は、弁ディスク142と弁座144との間で、今開いた空間を下向きに流れる。この流れを矢印151で示している。調整器ハウジング54内の圧力が正常に戻ると、上述と逆のプロセスで弁アセンブリ140が閉じる。弁ディスク142が弁座144に対して前後に傾くこと、および、調整器をインクで満たすことの各段階は、所望の動作圧力でプリントヘッド41の背後にインクを供給するために何度も繰り返される。
【0057】
本発明の具体的な実施形態を説明し例示したが、本発明は、このように説明し例示した具体的な各部分の形態または配置に限定されるものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理を実施しているインクジェットプリント装置の、一部断面および一部斜視の概略図である。
【図2】図1のプリントカートリッジを上側から見た斜視図である。
【図3】図1のプリントカートリッジを底側から見た斜視図である。
【図4】図1のプリントカートリッジの組立分解図である。
【図5】図4の背圧調整器の流体相互接続プレートを上側から見た斜視図である。
【図6】図4の背圧調整器の流体相互接続プレートを底側から見た斜視図である。
【図7】図4の背圧調整器の入口マニホルドを上側から見た斜視図である。
【図8】図4の背圧調整器の入口マニホルドを底側から見た斜視図である。
【図9】図4の背圧調整器の調整器ハウジングを上側から見た斜視図である。
【図10】図4の背圧調整器の弁アセンブリを上側から見た斜視図である。
【図11】図4の背圧調整器の軸保持プレートを上側から見た斜視図である。
【図12】図4の背圧調整器の調整ばねを上側から見た斜視図である。
【図13】図1の背圧調整器のプレッシャープレートを上側から見た斜視図である。
【図14】弁閉を示す、図1の背圧調整器の概略図である。
【図15】弁開を示す、図1の背圧調整器の概略図である。
【図16】プリンタキャリッジ内における背圧調整器/プリントヘッドの構成の概略図である。
【図17】プリンタキャリッジ内における背圧調整器/プリントヘッドの構成の概略図である。
【図18】プリンタキャリッジ内における背圧調整器/プリントヘッドの構成の概略図である。
【図19】プリンタキャリッジ内における背圧調整器/プリントヘッドの構成の概略図である。
【図20】 図10の弁アセンブリの他の実施形態を底側から見た斜視図である。
【符号の説明】
16 インク滴
18 プリント媒体
28,28’ インク槽
29,29’ インク
41 プリントヘッド
42,42’ ノズルアレイ
55 背圧調整器
70 従順な壁
75 ばね
81 弁アセンブリ
82 ステム
83 弁座ポケット
84 弁座
85 軸
86 弁ノズル
125 キャリッジ
126,127,128,129 背圧調整器
131 キャリッジ
133 プリントヘッド
141 ステム
142 ディスク
143 弁本体
144 弁座
145 弁ばね

Claims (2)

  1. インクをプリントヘッドに供給する装置において、
    命令に基づいてインク滴をプリント媒体上に噴出するプリントヘッドと、該プリントヘッドに液通し、インクをインク槽から受け取り、インクを前記プリントヘッドに送出する背圧調整器と、前記調整器内に配置される弁アセンブリと、前記調整器内で圧縮されて配置される調整ばねとを含み、
    前記背圧調整器を2つ備え、これら2つの背圧調整器は、前記プリントヘッドの本体内に収容される1つの調整ハウジング内に並んで配置され、中央壁を共有しており、該調整ハウジングの両側外側面には弾性壁がそれぞれ設けられ、前記調整ハウジングの外側、前記弾性壁及び前記プリントヘッドの本体の内側には大気圧である周囲の空気が存在し、一方、前記弾性壁の内側には、前記調整ばねと係合、かつ前記弾性壁と共に動くプレッシャープレートがそれぞれ配置され、該プレッシャープレートは切欠きを備え、該切欠きによって前記弁アセンブリの一部と接触するように構成され、これによって前記弾性壁は、一方で大気圧に他方で前記調整器内の前記インクの圧力に応答する2つの側面を有しており、前記弁アセンブリは、前記プリントヘッドに送出されるインクの圧力を制御すべく、前記弾性壁によって作動され、前記調整ばねが前記弁アセンブリを閉じるように予め荷重をかけると同時に、前記弾性壁を大気圧に抗して付勢するように構成されている、装置。
  2. 前記弁アセンブリと前記弾性壁とは機械的に結合しておらず、前記弁アセンブリが閉じている場合には、該弁アセンブリと前記壁との係合を動作可能に外すことができる、請求項1に記載の装置。
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