JP4187282B2 - リチウムイオン二次電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、カ─ボン材料からなる負極を使用したリチウムイオン二次電池に関し、さらに詳しくは負極活物質の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
高エネルギ―密度、高起電力を有する負極にリチウム金属を用いたリチウム電池は、充電の際、リチウム金属表面に針状の樹脂状生成物(デンドライト)が形成され、これがセパレ―タを貫通して正極と接触することにより、短絡を生じ、発熱、発火などの安全性に大きな問題を抱えている。
【0003】
リチウム金属負極に代わるものとして、特公平4−24831号、同5−17669号などの公報において、リチウムイオンをカ─ボン層間に吸蔵、放出させることで充放電反応を行うことができるカ─ボン材料が数多く検討されている。しかし、カ─ボン材料は、出発材料、黒鉛化度などにより電池特性に及ぼす影響が相違し、最適なカ─ボン材料を一義的に決定することは困難である。
【0004】
現在、商品化されているリチウムイオン二次電池に利用されているカ─ボン材料の多くは、積層構造を有する黒鉛化カ─ボンか、低結晶性カ─ボンである。このうち、黒鉛化カ─ボンは、カ─ボン重量当たりの容量が天然黒鉛の理論容量である372mAh/gに制限されるとともに、3次元方向に成長した積層構造が電解液との反応性を高め、分解ガスの発生による電池内圧の上昇が起こるため、安全性の問題や、電解液との組み合わせが制限されるという問題がある。実際、「第62回電気化学春期大会予稿集」(1995年)などには、黒鉛化カ─ボンを代表的な有機溶媒であるプロピレンカ―ボネ―トと組み合わせた場合、充電不可能であることが報告されている。
【0005】
これに対し、低結晶性カ─ボンの一部には、積層構造を有する部分以外に、未結晶部分にも多量のリチウムイオンを吸蔵することができるため、天然黒鉛より大きな容量を示すものがあり、しかも低結晶性カ─ボンは積層構造の発達が未熟であるため、充放電可能な電解液の組み合わせの制限が緩和できることから、リチウムイオン二次電池の負極活物質として期待されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、低結晶性カ─ボンは、黒鉛化カ─ボンと比べて、金属リチウムがカ―ボン表面で析出する可能性が高くなり、樹脂状の生成物が発生しやすく、この金属リチウムの析出によつて、安全性が損なわれたり、円滑な充放電反応が妨げられ、充電容量が劣るという問題があつた。
【0007】
したがつて、本発明は、負極活物質に低結晶性カ─ボンを用いた場合の上記問題を解決し、安全性にすぐれ、かつ充電容量の大きい、実用性にすぐれるリチウムイオン二次電池を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、まず、黒鉛化カ─ボンと低結晶性カ─ボンの充放電特性の相違を明らかにするため、メソカ─ボンマイクロビ─ズを3,000℃で焼成した黒鉛化カ─ボン(d002:3.37Å)と700℃で焼成した低結晶性カ─ボン(d002:3.61A)を用いて、負極充放電特性を検討した。
【0009】
図2に、この結果を示す。リチウムイオン二次電池では、充電を行うとカ─ボン中にリチウムイオンが吸蔵されて電位が金属リチウムの電位である0Vに近づく。ここで、同図に示すように、低結晶性カ─ボンは、黒鉛化カ─ボンに比べ、非常に高容量を示し、かつ高電位域に電圧変化の挙動がみられないことから、電解液の分解はほとんど起こらない。
【0010】
しかし、低結晶性カ─ボンの充電曲線からわかるように、低結晶性カ─ボンでは、充電容量の多くを0V付近で得るため、カ─ボン表面にリチウム金属が析出する可能性が高くなる。この原因を検討したところ、低結晶性カ─ボンはカ─ボン内へのリチウムイオンの拡散速度が遅く、その拡散過電圧により生じる充電電位が金属リチウムの析出電位に近いためであることがわかつた。
【0011】
反応種の移動に際して生じる抵抗を測定するには、定電位交流インピーダンス法があるが、これを用いて黒鉛化度を決定するパラメータのひとつである平均層間距離〔d002〕と金属リチウム電位付近の負極中におけるリチウムイオンの拡散係数との関係を調べた。この結果を示す図3から、d002が3.50Å以上になると、リチウムの拡散速度の著しい低下が起こる。この結果からもわかるように、d002が3.50Å以上の低結晶性カーボンでは、拡散過電圧が大きく、金属リチウムがカーボン表面に析出しやすい。
【0012】
本発明者らは、つぎに、このような低結晶性カ─ボンの表面に金属リチウムが析出するのを防ぐ方法について検討した。その結果、低結晶性カ─ボンの表面をリチウムイオン導電性を有しかつ電気伝導性の高い層で被覆すると、上記問題を解決できることがわかつた。図1に示すように、カ─ボン粒子1を高分子固体電解質膜2により被覆すると、この高分子固体電解質膜2の遮蔽効果により、有機電解液3がカ─ボン表面に直接接触するのが抑制される。
【0013】
ここで、高分子固体電解質膜を設けると、遮蔽効果によりリチウムイオンがカ─ボン内部に浸透できず、リチウムイオンの吸蔵が困難となるため、導電性を制限する必要がある。つまり、高分子固体電解質膜は、活物質である低結晶性カ─ボンに比べて、導電性が低くかつリチウムイオン伝導度が高いときに、リチウム金属の析出に対する過電圧が、カ─ボン粒子と上記膜との界面に比べて、上記膜と有機電解液との界面の方で大きくなり、カ─ボン電極表面上でのリチウムの樹脂状生成物の生成が防がれることになる。
【0014】
このような遮蔽効果を示して、充放電反応において十分な電池特性を得るためには、高分子固体電解質膜は、常温におけるリチウムイオン伝導度が5×10-5S/cm以上であることが必要であり、これより低くなると電池特性が悪化する。一方、このような高分子固体電解質膜は、カ─ボン粒子表面でリチウムが析出した場合に、内部からの樹脂状生成物の成長に対する遮蔽効果も兼ねており、セパレ―タの貫通による短絡を起こしにくく、安全性の高いリチウムイオン二次電池を提供するという効果をもたらすものである。
【0015】
本発明は、以上の知見に基づき完成されたものであり、リチウム遷移金属酸化物からなる正極、カーボン材料からなる負極および有機電解液を有するリチウムイオン二次電池において、負極活物質が平均層間距離〔d002〕が3.50Å以上のカーボン粒子からなり、かつこのカーボン粒子が常温におけるリチウムイオン伝導度が5×10-5S/cm以上であるイオン伝導性高分子固体電解質で被覆されていることを特徴とするリチウムイオン二次電池に係るものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明に用いるカーボン材料は、低結晶性カーボンとして、平均層間距離〔d002〕が3.50Å以上の(通常4.0Å程度までの)カーボン粒子であればよく、その原料や製法についてはとくに限定されない。c軸方向の結晶格子サイズ〔Lc〕が100Å以下であると、これは積層構造のより未発達のカーボンであるため、容量の大きな負極を得ることができ、とくに好ましい。
【0017】
本発明においては、このようなカ─ボン粒子を負極活物質として用いる一方、このカ─ボン粒子を常温におけるリチウムイオン伝導度が5×10-5S/cm以上、好ましくは1×10-4S/cm以上であるイオン伝導性高分子固体電解質で被覆する。上記のようなリチウムイオン伝導度を有する高分子固体電解質としては、ポリエチレングリコ―ル、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体、これらの混合物、あるいはこれらのイソシアネ―ト架橋体などを挙げることができる。
【0018】
上記のリチウムイオン伝導度とは、高分子固体電解質とリチウム電解質であるLiPF6 とを重量比5:1で溶媒を用いて混合し、これを乾燥して薄膜化したものをステンレスで挟んだセルを作製し、室温中FFT(周波数フ─リエ変換)アナライザ─を用いて、交流インピ─ダンス(周波数100mHz〜100kHz)測定を行い、そのバルクインピ─ダンス(抵抗)の値をいう。電池中では高分子固体電解質がカ─ボン粒子を被覆するため、上記電解質の直接のリチウムイオン伝導度を測定できないが、上記測定条件は電池内部の条件とほぼ同等と考えられるため、伝導度の変化は少ないものと考えられる。
【0019】
このような高分子固体電解質膜は、膜厚が薄すぎると、カ─ボン粒子の表面を完全に被覆することができず、この膜を設けたことによる遮蔽効果が低下するため、通常0.05μm以上、好ましくは0.1μm以上の平均膜厚とするのがよい。また、膜厚が厚くなりすぎると、リチウムイオンの移動抵抗が大きくなり、電池特性を低下させてしまうため、1μm以下であるのが好ましい。
【0020】
高分子固体電解質膜の形成は、一般には、高分子固体電解質をトルエン、キシレン、N−メチルピロリドンのような溶媒で溶解して樹脂液を調製し、これにカ─ボン粉末を浸漬したのち、溶媒を蒸発除去する方法で行えばよい。このようにカ─ボン粒子の表面に高分子固体電解質膜を形成したのち、このカ─ボン粉末をバインダや溶媒などと混練して負極合剤を調製し、これを銅箔などの集電材料に塗布乾燥してシ―ト状の負極成形体とする。
【0021】
また、生産性を考慮すると、カ─ボン粉末とバインダや溶媒を含む負極合剤を集電材料に塗布したのち、その上に高分子固体電解質の樹脂液を塗布し乾燥するという方法を採用してもよい。この場合、負極塗膜中に高分子固体電解質で被覆されない多量の空隙が残ると、リチウムイオンの伝導が阻害され、電池容量が低下するため、樹脂液を負極塗膜中に十分に充填させることが好ましい。
【0022】
図1は、集電材料4に上記の如く高分子固体電解質膜2により被覆したカ─ボン粒子1を含む負極塗膜を形成してシ―ト状の負極成形体5とし、これを電池内に装填した状態を模式的に示したもので、イオン伝導性高分子固体電解質膜2の遮蔽効果により、有機電解液3がカ─ボン粒子1表面に接触するのが防がれ、これにより上記表面へのリチウム金属の樹脂状生成物の析出が回避され、安全性や電池特性にすぐれるリチウムイオン二次電池の製造を可能とする。
【0023】
本発明において、負極と組み合わせて使用する正極は、リチウム遷移金属酸化物であればとくに限定されず、たとえば、LiNiO2 などのリチウムニツケル酸化物、LiCoO2 などのリチウムコバルト酸化物、LiMnO4 などのリチウムマンガン酸化物などの金属酸化物を正極活物質とし、これと導電助剤やポリテトラフルオロチレンなどのバインダなどを加えた合剤を、ステンレス鋼製網などの集電材料を芯材として、成形体に仕上げたものが用いられる。
【0024】
また、有機電解液の電解質としては、LiClO4 、LiPF6 、LiBF4 、LiAsF6 、LiSbF6 、LiCF3 SO3 、LiCF3 CO2 などや、その他、Li2 C2 F4 (SO3 )2 、LiN(CF3 SO 2)2 、LiC(CF3 SO2 )3 、LiCn F2n+1SO3 (n>=2)などが、単独でまたは2種以上混合して用いられる。これらの中でも、LiPF6 やLiCn F2n+1SO3 (n>=2)は充放電特性が良好なため、好ましく用いられる。これら電解質の電解液中の濃度は、とくに限定されないが、通常0.1〜2モル/リツトル、好ましくは0.4〜1モル/リツトル程度であるのがよい。
【0025】
有機電解液に用いる有機溶媒としては、ジエチレンカ―ボネ―ト、ジメチルカ―ボネ―ト、エチルメチルカ―ボネ―ト、プロピレンカ―ボネ―ト、エチレンカ―ボネ―ト、ブチレンカ―ボネ―ト、γ−ブチロラクタンなどのエステル類、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジメトキシメタンなどのエ―テル類などが挙げられるが、耐高電圧性のためにも炭酸エステル類が好ましい。
【0026】
【実施例】
つぎに、本発明の実施例を記載して、より具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例になんら制限されるものではない。以下、部とあるのは重量部を意味するものとする。
【0027】
実施例1
高分子固体電解質として、ポリエチレングリコ―ル(リチウムイオン伝導度:1.0×10-4S/cm)5部を用い、これとLiPF6 1部を、シクロヘキサノン/トルエン(重量比1:1)混合溶媒45部に溶解し、樹脂液を調製した。この樹脂液1部に、石油ピツチより抽出したカ―ボンマイクロビ─ズを900℃で熱処理したバルクカ─ボンを粉砕して得た平均粒径10μmのカ─ボン粉末(d002:3.50Å、Lc:18Å)15部を混合し、十分攪拌したのち、溶媒を除去し、高分子固体電解質膜で被覆したカ─ボン粉末を得た。上記膜の厚さは、走査線型電子顕微鏡による観察で、0.3μmであつた。
【0028】
つぎに、上記のカ─ボン粉末9部と、バインダとしてポリフツ化ビニリデン1部とを、溶媒としてN−メチルピロリドン8部を用いて混合し、負極合剤を調製した。これを厚さが18μmの銅箔上に塗布し、乾燥したのち、ロ─ルプレスを用いて全厚が60μmとなるシ―ト負極を作製した。このシ―ト負極を作用極とし、対極および参照電極にリチウム電極を用い、LiPF6 をエチレンカ―ボネ―トとエチルメチルカ―ボネ―トとの重量比1:1の混合溶媒に1モル/リツトルの濃度に溶解した溶液を有機電解液としたセルを作製した。
【0029】
実施例2
カ―ボン粉末として、ナフタレンピツチを1,000℃で熱処理したバルクカ─ボンを粉砕して得た平均粒径10μmのカ─ボン粉末(d002:3.80Å、Lc:12Å)15部を用いた以外は、実施例1と同様にして、セルを作製した。なお、高分子固体電解質膜の厚さは0.3μmであつた。
【0030】
実施例3
高分子固体電解質として、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体(リチウムイオン伝導度:8.0×10-5S/cm)5部を用いた以外は、実施例1と同様にして、セルを作製した。なお、高分子固体電解質膜の厚さは0.3μmであつた。
【0031】
実施例4
樹脂液として、ポリエチレングリコ―ル(リチウムイオン伝導度:1.0×10-4S/cm)5部、LiPF6 1部、シクロヘキサノン/トルエン(重量比1:1)混合溶媒30部の混合溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして、セルを作製した。なお、高分子固体電解質膜の厚さは0.5μmであつた。
【0032】
実施例5
石油ピツチより抽出したカ―ボンマイクロビ─ズを900℃で熱処理したバルクカ─ボンを粉砕して得た平均粒径10μmのカ─ボン粉末(d002:3.50Å、Lc:18Å)9部と、バインダとしてポリフツ化ビニリデン1部とを、溶媒としてN−メチルピロリドン8部を用いて混合して、負極合剤を調製した。これを厚さが18μmの銅箔上に塗布し、乾燥したのち、ロ─ルプレスを用いて全厚が60μmとなるシ―ト負極を作製した。つぎに、このシ―ト負極上に、ポリエチレングリコ―ル1部をシクロヘキサノン/トルエン(重量比1:1)混合溶媒9部に溶解した樹脂液を、乾燥後の平均膜厚が0.3μmとなるようにトツプコ─トし、乾燥した。このシ―ト負極を用いて、以下実施例1と同様にして、セルを作製した。
【0033】
比較例1
シ―ト負極の作製に際し、樹脂液による処理を行わなかつた以外は、実施例1と同様にして、セルを作製した。
【0034】
比較例2
シ―ト負極の作製に際し、樹脂液による処理を行わなかつた以外は、実施例2と同様にして、セルを作製した。
【0035】
比較例3
カ―ボン粉末として、石油ピツチを2,000℃で熱処理したバルクカ─ボンを粉砕して得た平均粒径10μmのカ─ボン粉末(d002:3.43Å、Lc:265Å)を用いた以外は、実施例1と同様にして、セルを作製した。なお、高分子固体電解質膜の厚さは0.3μmであつた。
【0036】
比較例4
高分子固体電解質として、ヒドロキシプロピルセルロ―ス(リチウムイオン伝導度:1.0×10-9S/cm)を用い、樹脂液の溶媒としてテトラヒドロフランを用いた以外は、実施例1と同様にして、セルを作製した。なお、高分子固体電解質膜の厚さは0.3μmであつた。
【0037】
比較例5
カ―ボン粉末として、石油ピツチを2,000℃で熱処理したバルクカ─ボンを粉砕して得た平均粒径10μmのカ─ボン粉末(d002:3.43Å、Lc:265Å)を用い、かつ樹脂液による処理を行わなかつた以外は、実施例1と同様にして、セルを作製した。
【0038】
以上の実施例1〜5および比較例1〜5の各セルについて、2mA/cm2 の充電を行い、リチウム金属が析出する充電電位とそのときの充電容量を測定した。これらの結果は表1に示されるとおりであつた。
【0039】
【0040】
上記の表1から、カ─ボン粒子表面に高分子固体電解質膜を形成した実施例1〜5のセルでは、低結晶性カ─ボンを用いた場合でも、高分子固体電解質膜を形成しなかつた比較例1、2のセルと比較して、リチウム金属析出電位を下げることが可能で、過電圧が増大しており、安全性が改善され、また高分子固体電解質膜を設けてもすぐれた充電容量が得られていることがわかる。
【0041】
これに対し、低結晶性カ─ボンの粒子表面に高分子固体電解質膜を形成したときでも、上記膜のリチウムイオン伝導度が5×10-5S/cm未満である比較例4のセルは、上記膜の形成による析出電位の低下効果が少なく、かつ充電容量が大きく低下する。さらに、d002が3.45Å未満となる黒鉛化カ─ボンを用いた比較例3、5のセルでは、充電容量が低く、また両者の対比より高分子固体電解質膜の形成による効果もほとんどみられない。
【0042】
なお、高分子固体電解質膜で被覆した黒鉛化カ─ボンを用いた比較例3のセルの方が、上記膜で被覆していない黒鉛化カ─ボンを用いた比較例5のセルより、低い充電容量となつているのは、黒鉛化カ─ボンではもともとリチウム金属析出電位が低く、金属の析出が起こりにくいため、高分子電解質膜の被覆によりむしろ分極が大きくなつて、充電容量が低下するものと思われる。
【0043】
【発明の効果】
以上のように、本発明は、負極活物質が平均層間距離〔d002〕が3.50Å以上のカーボン粒子を用い、かつこのカーボン粒子を常温におけるリチウムイオン伝導度が5×10-5S/cm以上であるイオン伝導性高分子固体電解質で被覆したことにより、リチウム金属の析出電位を下げ、安全性にすぐれるとともに、高い充電容量を持つリチウムイオン二次電池を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いるカ―ボン粒子がイオン伝導性高分子固体電解質で被覆された状態を示すカ─ボン負極の模式図である。
【図2】黒鉛化カ―ボンと低結晶性カ―ボンを用いた負極の充放電特性を示す特性図である。
【図3】カ―ボン粒子の平均層間距離〔d002〕と金属リチウム電位付近の負極中のリチウムイオンの拡散係数との関係を示す特性図である。
【符号の説明】
1 カ―ボン粒子
2 イオン伝導性高分子固体電解質膜
3 有機電解液
4 集電材料
5 シ―ト状の負極成形体
Claims (1)
- リチウム遷移金属酸化物からなる正極、カーボン材料からなる負極および有機電解液を有するリチウムイオン二次電池において、負極活物質が平均層間距離〔d002〕が3.50Å以上のカーボン粒子からなり、かつこのカーボン粒子が常温におけるリチウムイオン伝導度が5×10-5S/cm以上であるイオン伝導性高分子固体電解質で被覆されていることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
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