JP4186453B2 - 自動変速機のサーボ油圧制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両に搭載される自動変速機の制御装置に関し、特に、その変速機構中の摩擦要素を制御するサーボ油圧供給の学習制御に関する。
【0002】
【従来の技術】
近時の車両用自動変速機では、各変速段を達成するためのクラッチ及びブレーキ(本明細書において、これらを摩擦要素という)を制御する油圧回路中に、各摩擦要素の油圧サーボごとにそれぞれ専用の供給油圧制御弁(リニアソレノイドバルブ又はデューティソレノイドバルブ)を設けて、それぞれ独立して制御することで、制御性を向上させる構成が採られている。こうした油圧回路における前記各制御弁は、電子制御装置が出力するソレノイド制御信号により制御される。電子制御装置は、変速機の各種制御のためのプログラムやデータを格納したメモリと、マイクロコンピュータを内蔵し、変速機各部の状況を検出するセンサから入力される情報に基づき、必要なデータを参照するプログラムに従う演算処理を行ない、前記各制御弁にそれらの駆動のためのソレノイド制御信号を出力する。
【0003】
前記のような構成からなる自動変速機では、変速のために、油圧サーボのシリンダ内に油圧を供給することで、ピストンにより摩擦材を係合させる際に、それまで解放状態に置かれることで油が抜けた状態にあり、リターンスプリングの荷重で後退位置にあるピストンを、シリンダ内に迅速に油を満たすことで、摩擦材との係合開始位置までストロークさせ、係合のための昇圧制御を開始させるまでの間、その位置に保持する必要がある。こうした操作のために、通常、油圧サーボへの当初の油圧の供給は、ピストンを実際に摩擦材の係合を開始させる位置まで押出すストロークを得るための急速充填(ファストフィル)とされ、その後、昇圧制御開始までの期間、ファストフィル時の油圧より低い油圧(本明細書において、ストローク待機圧という。)に保持される。このストローク待機圧を供給するための電子制御装置の指令値上の油圧は、予め設定された油圧とされる。
【0004】
ところで、前記ストローク待機圧は、解放側摩擦要素から係合側摩擦要素へのトルク移管を生じさせるために係合側摩擦要素の油圧サーボに変速制御当初に供給すべき実際の油圧の電子制御装置指令値上の目標圧(本明細書において、係合保持圧という。)への昇圧制御の起点となることから、その後の昇圧制御により進行する変速と密接に関係する。
【0005】
一方、自動変速機の摩擦要素の油圧特性は、製造時の機械的調整では製品個体ごとの較差を完全に修正することは困難である。したがって、前記のように一定の設定値に従うストローク待機圧の制御では、良好な変速特性を当初から得ることはできない。そこで、従来は、このストローク待機圧の設定を、製品個体ごとの較差に応じて学習させて修正する処理を電子制御装置で行なっている。
【0006】
具体的には、自動変速機のアップシフト中に、ストローク待機圧の設定を高める方向への修正は、中・高トルク領域では、エンジン吹きが生じることで容易に判断可能であることから、エンジン吹き(入力軸回転数の上昇)を判断基準として、また低トルク領域では、エンジン吹きによる判断だけでは判定が困難なことから、その他に、変速時間が長い、変速指令から入力軸回転変化開始までの時間が長い、又は入力軸回転加速度が大きくかつ回転変化開始までの時間が長いといった判断基準によりなされる。これに対して、ストローク待機圧を低める方向への修正は、中・高トルク領域では、特に行なわず、低トルク領域では、回転加速度が大きい場合になされる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記のような学習制御により、ストローク待機圧の補正がなされた場合、ストローク待機圧を下げる方向への学習は、低トルク時のみであるのに対して、上げる方向への学習は全トルク領域でなされるため、エンジントルク出力が大きく、低トルク領域での走行や、そのときのアップシフトが稀にしか生じないような車両では、ストローク待機圧が高められた状態に収束しがちである。そして、このように一旦ストローク待機圧が収束してしまうと、その後に、シフトフィールの改善のためにストローク待機圧の低減で対応したい場合でも、そのための学習手段がない。
【0008】
また、同様にシフトフィールの改善のために変速を遅らせるべく、係合保持圧を下げ側に修正する場合、計算上求められる係合保持圧がストローク待機圧より低くなってしまうと、学習を行なっても、係合保持圧の設定値すなわち油圧指令値に変化は起こらない。そのため、係合保持圧の低減によるシフトフィールの改善がなされない。この意味からも低トルク領域に限定されずにストローク待機圧の低減が可能な制御が必要である。
【0009】
そこで、本発明は、シフトフィールの改善のために係合保持圧との関係でストローク待機圧の学習制御がなされる自動変速機のサーボ油圧制御装置を提供することを概括的な目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的は、請求項1に記載のように、摩擦要素の油圧サーボへ供給する油圧を、ストローク待機圧と係合保持圧の設定に従って、ストローク待機圧から係合保持圧へ昇圧させる制御を行う自動変速機のサーボ油圧制御装置において、入力軸回転数を監視する入力回転数監視手段と、該入力回転数監視手段の監視による係合保持圧への昇圧後から入力回転変化開始までの時間が目標時間未満であり、入力回転変化量が目標入力回転変化量より大きいときに、係合保持圧の設定を修正するとともに、設定されたストローク待機圧及び係合保持圧に基づき行われる判断手段による低減補正必要の判断に基づいてストローク待機圧の設定を修正する補正手段とを備えることを特徴とする構成により達成される。
【0011】
具体的には、請求項2に記載のように、前記判断手段による低減補正必要の判断は、設定された係合保持圧とストローク待機圧との差が所定の油圧条件より小さいことで成立する構成とされる。
【0012】
また、請求項3に記載のように、更に摩擦要素のトルク伝達量を監視するトルク伝達量監視手段を備え、前記判断手段は、トルク伝達量監視手段の監視によるトルク伝達量に基づき低減補正必要を判断するものとされ、前記判断手段による低減補正必要の判断は、トルク伝達量が所定のトルク条件より小さいことで成立する構成とされる。
【0013】
あるいは、請求項4に記載のように、更に自動変速機の入力トルクを検出する入力トルク検出手段を備え、前記判断手段は、入力トルク検出手段で検出した入力トルクに基づき低減補正必要を判断するものとされ、前記判断手段による低減補正必要の判断は、トルク伝達量が所定のトルク条件より小さいことで成立する構成とすることもできる。
【0014】
そして、請求項5に記載のように、前記補正手段は、判断手段による低減補正必要の判断が成立するときに、係合保持圧の設定とストローク待機圧の設定を同時に修正する構成とされる。
【0015】
また、請求項6に記載のように、前記補正手段は、判断手段による低減補正必要の判断が成立しないときに、係合保持圧の設定のみを修正する構成とされる。
【0016】
更に、請求項7に記載のように、前記補正手段による係合保持圧の修正は、一定の係合保持圧修正値を減算する処理によりなされる構成とされる。
【0017】
また、請求項8に記載のように、前記補正手段によるストローク待機圧の修正は、一定のストローク待機圧修正値を減算する処理によりなされる構成とされる。
【0018】
また、請求項9に記載のように、前記補正手段による係合保持圧の修正は、入力回転変化量を表す指標の関数に従って演算される可変の係合保持圧修正値を減算する処理によりなされる構成とすることもできる。
【0019】
また、請求項10に記載のように、前記補正手段によるストローク待機圧の修正は、入力回転変化量を表す指標の関数に従って演算される可変のストローク待機圧修正値を減算する処理によりなされる構成とすることもできる。
【0020】
【発明の作用及び効果】
上記請求項1記載の構成では、入力回転数監視手段の監視による係合保持圧への昇圧後から入力回転変化開始までの時間が目標時間未満であり、入力回転変化量が目標入力回転変化量より大きいときに、係合保持圧の設定が修正されるとともに、設定されたストローク待機圧及び係合保持圧に基づき行われる判断手段による低減補正必要の判断に基づいてストローク待機圧の設定が修正されるため、ストローク待機圧の低減が低トルク領域に限定されることがなくなり、ストローク待機圧が高い状態で収束し難くなる。また、ストローク待機圧を下げる学習頻度が増すことで、より良いシフトフィールを確保できる。
【0021】
次に、請求項2記載の構成では、ストローク待機圧の低減補正必要の判断が、係合保持圧との関係でなされるため、ストローク待機圧を係合保持圧に応じて低減する制御が可能となる。その結果、従来のように、係合保持圧がストローク待機圧を下回ることで係合保持圧の低減が阻害されることがなくなる。
【0022】
更に、請求項3又は4記載の構成では、トルク伝達量が小さい状態では、係合保持圧の設定とストローク待機圧の設定の関係に関わりなく、それらの設定が同時に修正されるため、低トルク領域でのストローク待機圧を下げる学習頻度を増すことができる。
【0023】
更に、請求項5記載の構成では、係合保持圧の設定とストローク待機圧の設定の低減補正必要の判断が成立するときに、係合保持圧の設定とストローク待機圧の設定を同時に修正することができる。その結果、従来のように、係合保持圧が計算上でストローク待機圧を下回ることで、係合保持圧の低減が阻害されることがなくなる。
【0024】
次に、請求項6記載の構成では、変速が早すぎる状態で、低減補正必要の判断が成立しないときに、係合保持圧の設定のみが修正されるため、ストローク待機圧と係合保持圧を関連補正することに伴う、不要なストローク待機圧の低減補正をなくすことができる。
【0025】
また、請求項7記載の構成では、係合保持圧の修正が一定値を用いてなされるため、補正のための複雑な修正値の演算処理を避けることができる。この結果、制御装置上の処理負荷を抑えた係合保持圧の補正が可能となる。
【0026】
また、請求項8記載の構成では、ストローク待機圧の修正が一定値を用いてなされるため、補正のための複雑な修正値の演算処理を避けることができる。この結果、制御装置上の処理負荷を抑えたストローク待機圧の補正が可能となる。
【0027】
また、請求項9記載の構成では、自動変速機個体間の較差に応じた係合保持圧の修正処理が可能となるため、係合保持圧の過剰を製品ごとの較差に応じてより短期間に解消することができる。
【0028】
また、請求項10記載の構成では、変速機個体間の較差に応じたストローク待機圧の修正処理が可能となるため、ストローク待機圧の過剰を製品ごとの較差に応じてより短期間に解消することができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、図面に沿い、本発明の実施形態を説明する。図1は本発明の一適用対象としての前進6速・後進1速の自動変速機のギヤトレインをスケルトンで示す。図に示すように、この自動変速機は、フロントエンジン・リヤドライブ用の縦置式とされ、ロックアップクラッチ付のトルクコンバータ2と遊星歯車変速装置1とで構成されている。
【0030】
遊星歯車変速装置1は、ラビニヨタイプのプラネタリギヤユニットGと、プラネタリギヤユニットGに減速回転を入力する減速用のプラネタリギヤG1とで構成されている。プラネタリギヤユニットGは、大径のサンギヤS2と、小径のサンギヤS3と、互いに噛合して且つ小径のサンギヤS3に噛合するショートピニオンP3と、大径のサンギヤS2に噛合するロングピニオンP2と、それら一対のピニオンを支持するキャリアC2と、ロングピニオンP2に噛合するリングギヤR2から構成されている。また、減速用のプラネタリギヤG1は、サンギヤS1と、それに噛合するピニオンP1を支持するキャリアC1と、ピニオンP1に噛合するリングギヤR1の3要素からなるシンプルプラネタリギヤから構成されている。
【0031】
プラネタリギヤユニットGの小径のサンギヤS3は、第1のクラッチC−1(以下、C1クラッチと略記する)により減速プラネタリギヤG1のキャリアC1に連結され、大径のサンギヤS2が第3のクラッチC−3(以下、C3クラッチと略記する)により減速プラネタリギヤG1の同じくキャリアC1に連結されるとともに第1のブレーキB−1(以下、B1ブレーキと略記する)によりケース10に係止可能とされ、キャリアC2が第2のクラッチC−2(以下、C2クラッチと略記する)により入力軸11に連結されるとともに第2のブレーキB−2(以下、B2ブレーキと略記する)によりケース10に係止可能とされ、リングギヤR2が出力軸19に連結されている。また、B2ブレーキに並列させてワンウェイクラッチF−1が配置されている。減速プラネタリギヤG1は、そのサンギヤS1を変速機ケース10に固定され、リングギヤR1を入力軸11に連結され、キャリアC1をC1クラッチを介してプラネタリギヤユニットGの小径のサンギヤS3に連結され、かつC3クラッチを介してプラネタリギヤユニットGの大径のサンギヤS2に連結されている。
【0032】
このように構成された遊星歯車変速装置1の上記各クラッチ及びブレーキは、周知のように、それぞれ摩擦材とそれらを係合・解放操作するピストン・シリンダ機構からなる油圧サーボを備えており、後に説明する電子制御装置と油圧制御装置とによる制御で、運転者により選択されたレンジに応じた変速段の範囲で車両負荷に基づき、変速機ケース10に付設した油圧制御装置による各油圧サーボに対する油圧の給排で摩擦材が係合・解放されて変速が行われる。図2は遊星歯車変速装置1中の各クラッチ及びブレーキ並びにワンウェイクラッチの作動とそれにより達成される変速段との関係を図表化して示す。図において○印は係合、△印はエンジンブレーキ達成のための係合を表す。
【0033】
このギヤトレインの各変速段での各変速要素の作動を図3に速度線図で示す。速度線図において、縦軸は、図の左側から順に、それぞれ減速プラネタリギヤG1のサンギヤS1、キャリアC1、リングギヤR1、プラネタリギヤユニットGの大径サンギヤS2、キャリアC2、リングギヤR2、小径サンギヤS3を示し、縦軸間の幅は、関連する要素間のギヤ比に従って配分されており、縦軸方向の位置は、歯車変速装置1への入力回転を1としたときの回転速度比、それらの値の正負は回転方向を示す。また、●印はそれらの直近に付記する摩擦要素による係合を示す。更に、出力要素を構成するリングギヤR2の速度比を示す○印の直近に変速段を付記する。
【0034】
例えば、第2速(2nd)は、C1クラッチとB1ブレーキの係合により達成される。この場合、入力軸11からサンギヤS1固定の減速プラネタリギヤG1のリングギヤR1に入力された速度比1の回転が、減速プラネタリギヤG1で減速されて、キャリアC1からC1クラッチ経由で小径サンギヤS3に入力され、B1ブレーキの係合により係止された大径サンギヤS2に反力を取って、リングギヤR2の減速回転が出力軸19に出力される。このときの減速比は、速度線図上で、小径サンギヤS3のC1クラッチ係合による減速プラネタリギヤG1の減速比に従う速度比と、大径サンギヤS2のB1ブレーキ係合による固定に従う速度比0の点を結ぶ直線がリングギヤR2を示す縦軸と交わる交点の速度比、すなわち第2速(2nd)ギヤ比の回転となる。
【0035】
同様に、第3速(3rd)は、C1クラッチとC3クラッチの同時係合により達成される。この場合、入力軸11から同様に減速プラネタリギヤG1を経て減速された回転がC1クラッチとC3クラッチ経由で同時に大径サンギヤS2と小径サンギヤS3に入力され、プラネタリギヤユニットGが直結状態となるため、両サンギヤへの入力回転と同速のリングギヤR3の回転が、入力軸11の回転に対しては減速された回転として、出力軸19に出力される。この状態が、速度線図上では、小径サンギヤS3のC1クラッチ係合による減速プラネタリギヤG1の減速比に従う速度比と、大径サンギヤS2のC3クラッチ係合による減速プラネタリギヤG1の減速比に従う速度比の点を結ぶ直線がリングギヤR2を示す縦軸と交わる交点の速度比、すなわち第3速(3rd)ギヤ比の回転となる。
【0036】
他の変速段についても、摩擦要素の係合と、それによるプラネタリギヤユニットG及びプラネタリギヤG1の各要素の相互連結又は係止による入力回転に対する出力回転の関係で、同様に達成されるが、この詳細については、速度線図の参照をもって説明に代える。
【0037】
このギヤトレインでは、図2の作動図表に端的に示すように、第2速から第3速へのアップシフト(以下、2−3変速という。他の変速について同様の略記を用いる。)において、B1ブレーキの解放とC3クラッチの係合(以下、摩擦要素のこうした解放と係合の入替わりを掴み替えという)、3−4変速において、C3クラッチとC2クラッチの掴み替え、4−5変速において、C1クラッチとC3クラッチの掴み替え、更に、5−6変速において、C3クラッチとB1ブレーキの掴み替えが行なわれる。
【0038】
図4はこうした掴み替えに関わる2つの摩擦要素の油圧サーボを一般化して符号A,Bで表し、それらの油圧サーボの油圧給排回路のみを略示して油圧制御装置の構成を示す。図示のように、それぞれの油圧サーボA,Bの油圧給排回路は、ソレノイドモジュレータ圧(ソレノイド弁による精密な調圧のためにライン圧をソレノイドモジュレータ弁で減圧した油圧PS M )を調圧の基圧とし、ソレノイド圧(PS L 1 ,PS L 2 )を出力する専用のリニアソレノイド弁31,32と、各リニアソレノイド弁31,32が出力するソレノイド圧(PS L 1 ,PS L 2 )をスプリング負荷に抗して印可され、ライン圧(PL )を基圧として調圧作動し、油圧サーボA,Bへのアプライ圧(PA ,PB )の供給と、油圧サーボA,Bからのサーボ圧の排出を制御する専用のコントロール弁41,42を備える構成とされている。これらリニアソレノイド弁31,32が電子制御装置から出力されるソレノイド制御信号で制御され、それによりコントロール弁41,42の出力油圧が定まることは、冒頭に述べたとおりである。
【0039】
電子制御装置を主体とする制御系は、図5にブロックで示すように構成されている。電子制御装置(ECU)5は、一般的構成として、冒頭に述べたように、変速機の各種制御のためのプログラムやデータを格納したメモリと、マイクロコンピュータを内蔵しており、変速機各部の状況を検出するセンサから入力される情報に基づき、必要なデータを参照するプログラムに従う演算処理を行ない、前記各制御弁にそれらの駆動のためのソレノイド制御信号を出力する。図は前記一般的構成のうち、本発明の主題に係る部分のみを示す。電子制御装置5は、その演算処理機能として構成される変速制御手段と、学習制御手段とを内包する。学習制御手段は、後に詳記する判断手段51と、補正手段52,53を備えている。そして、この演算処理のための情報取得手段としてのセンサは、エンジン回転数センサ61と、スロットル開度センサ62と、変速機入力軸回転数センサ63と、車速センサ64とされている。また、電子制御装置(ECU)5が出力するソレノイド制御信号は、前記のように一般化した掴み替え変速に関わるリニアソレノイド弁31,32のソレノイド1及びソレノイド2に印可されるものとして示されている。
【0040】
次に、掴み替え変速時の前記油圧回路の制御及びそれによるギヤトレインの作動について、図6及び図7の電子制御装置の処理内容のフローチャートと、図8のタイムチャートを併せ参照して説明する。まず、係合側の摩擦要素の油圧サーボAの制御については、図6を参照して、最初のステップS−1で、アップシフト指令に基づきタイマ制御のための計時を開始する処理を行なう。次に、ステップS−2で、ファストフィルのための油圧供給処理(PA =PS 1 )を行なう。この処理により、電子制御装置5からソレノイド駆動信号が出力され、その印可を受けるソレノイド弁31からソレノイド圧(PS L 1 )が出力される。したがって、このソレノイド圧(PS L 1 )を印可されるコントロール弁41が、ライン圧(PL )を調圧してアプライ圧(PA =PS 1 )として油圧サーボAに供給する。この供給状態は、次のステップS−3の経時判断(t≧tS A )により監視される。ここに、tS A は、図8に示す既定の初期値に従うピストンストローク時間である。この経時判断が成立(Y)したところで、ピストンストローク完了として、次のピストンストローク待機処理に移行する。
【0041】
次のステップS−4では、油圧サーボAへのアプライ圧(PA )を、時間(tS B )で待機圧(PS 2 )まで降下させるべく、(PS 1 −PS 2 )/tS B の勾配でスイープダウンする処理を行なう。この処理により油圧サーボAへのアプライ圧(PA )を降下させながら、この降圧の状況は、次のステップS−5による降圧達成判断(PA ≦PS 2 )で監視される。この判断指標は、ソレノイド駆動信号の変化とすることができるが、供給回路に油圧センサを備える場合は、その出力信号とすることもできる。この判断が成立(Y)したところで、次のステップS−6のストローク待機圧維持処理(PA =PS 2 )を実行する。この処理の実行時間は、次のステップS−7により決定される。ステップS−7の判断は、タイマ計時(t≧tS E )により成立させることができるが、他の指標として、変速機入力軸回転数センサ63で検出される入力回転数(NI N )の微小変化(dNS )の蓄積による回転数変化量(ΔN)を用い、この値が所定値に達したか否かの判断(ΔN≧dNS )とすることもできる。
【0042】
次のステップS−8からは、油圧サーボAへアプライ圧(PA )を調圧供給する第1段階の係合保持圧への昇圧制御処理である。ステップS−8では、タイマ計時上で昇圧時間(tT A )後にアプライ圧(PA )を目標圧(PT A )とするための昇圧勾配を、各時点のトルク伝達量(Tt)の関数として決定する(PT A =fPT A (Tt))。このトルク伝達量(Tt)は、摩擦要素の伝達量が求められる場合は、その値とするが、自動変速機の入力トルクとしてもよい。この場合の入力トルクは、エンジン回転数、スロットル開度及びトルクコンバータの速度比に基づいて求めるか、あるいは、エンジンの出力トルクのデータ(エンジン制御装置(ECU)からCAN(コントローラエリアネットワーク)通信で送信される)とトルクコンバータの速度比を基に求める。こうして決定された目標圧(PT A )に所定時間で到達するように、次のステップS−9で(PT A −PS 2 )/tT A の勾配でスイープアップ処理を行なう。そして、次のステップS−10で、アプライ圧の監視判断(PA ≧PT A )を行なう。この判断が成立(Y)すると、次の段階の調圧制御に移行する。
【0043】
第2段階の調圧制御では、解放側摩擦要素のトルク容量がなくなるのを待つべく、ステップS−11によりアプライ圧の漸増(δPT A )をωa’の関数として制御する昇圧勾配を鈍らせる処理が行なわれる(δPT A =δPT A f(ωa’))。この処理の達成の監視は、次のステップS−12により、変速機入力軸回転数センサで検出される入力回転数(NI N )の微小変化(dNS )の和(ΔN)を指標として行なわれる(ΔN≧dNS )。こうしてステップS−12の判断が成立(Y)すると、更に昇圧勾配を鈍らせるべく、第3段階の調圧制御に入る。なお、入力トルクが小さいオフアップ時は、前記第1段階や第2段階の調圧制御を行なうまでもなく変速が始まることで、入力軸回転数変化が生じる場合があるので、こうした場合は、ステップS−7の後、直ちに次の第3段階の調圧制御に入る。
【0044】
第3段階の調圧制御では、ステップS−13によりアプライ圧を所定の勾配(δPI )でスイープアップする処理を行なう。この処理の監視は、次のステップS−14により、変速後のギヤ段に同期したときの出力回転数(Nout(gi −gi + 1 )に対する入力回転数の変化割合(ΔN×100)を変速の進行度合(α2 [%])を指標として監視することで行なわれる(ΔN×100/{Nout(gi −gi + 1 )}≧α2 )。この判断が成立(Y)したところで、次のステップS−15により第4段階の調圧制御に移行する。このステップでの処理は、所定勾配(δPL )でスイープアップする処理である。この処理の監視は次のステップS−16により、係合側摩擦要素へのトルク移管開始からの入力軸回転数変化量の総和(ΔN)を変速前後のギヤ比分の回転数変化(β[rpm])と比較する判断で行なう。この判断は、次変速段の達成確認の判断である。したがって、この判断が成立したところで、次のステップS−17により変速終了のタイマ設定を行なう(tF =t)。そして次のステップS−18により変速終了時の昇圧処理として、所定勾配(δPF )で一気にライン圧まで昇圧させる最終処理を行なう。その後、ステップS−19で、先に設定した変速終了からの時間からの経過(t−tF )を変速制御終了タイマ時間(tF E )と比較し、このタイマ判断(t−tF ≧tF E )が成立したところで、係合側の変速制御を終了させる。
【0045】
一方、解放側の摩擦要素の油圧サーボBの制御については、図7を参照して、最初のステップS−21で、係合側と同様にアップシフト指令に基づきタイマ制御のための計時を開始(タイマリセットt=0)する処理を行なう。次に、ステップS−22で、解放側摩擦要素の係合を維持しつつ、後で説明するステップS−30で解放圧をスイープダウンする際の制御を容易にすべく、解放圧(PB )を一旦待機状態の棚圧(PW )に保持する処理を行なう(PB =PW )。この状態で、次のステップS−23により、タイマ計時(t≧tS E )による成立判断又は変速機入力軸回転数センサで検出される入力回転数(NI N )の微小変化(dNS )の和(ΔN)を用いる成立判断(ΔN≧dNS )で、係合側油圧サーボAのピストンストローク待機状態の確立の確認を行なう。
【0046】
ステップS−23により係合側油圧サーボAのピストンストローク待機状態の確立が確認されると、以下、係合側の摩擦要素へのトルク移管に合わせて解放側の摩擦要素のトルク分担を減じて行くためのトルク計算と、それに応じた油圧の算出のための油圧計算のための各ステップS−24〜S−27を実行し、ステップS−28により上記計算結果に基づき油圧勾配(δPI N )を算出する。こうして得られた油圧勾配(δPI N )を用いて、次のステップS−30で、実際に解放圧をδPI N の勾配でスイ−プダウンする処理を実行する。この状態で、次のステップS−31により入力回転数(NI N )の変化を監視し、ΔN≧dNS の回転変化判断が成立したところで、最終的に油圧サーボBの油圧を抜くためのステップS−32によるδPE の勾配でスイ−プダウンする処理を行ない、最後にステップS−33で完全な圧力解放を確認(PB ≦0)して解放制御を終了する。
【0047】
前記のようにして行なわれる係合及び解放制御に対して、係合側油圧サーボAのストローク待機圧の設定が過剰な場合、図8のタイムチャートを参照して、ストローク待機圧(PS 2 )を起点とし、係合保持圧(PT A )に向かうアプライ圧(PA )が、上昇中を通して高められる。そのため、解放側摩擦要素のトルク容量が高い状態であるにも拘らず、係合側摩擦要素が入力軸の回転変化の変化の生じるトルク容量に達した時点では回転変化が発生しない。その後、解放側摩擦要素のトルク容量が低くなり回転変化が生じたときには、係合側摩擦要素が十分以上にトルク容量を持っているため、回転変化が急激に発生してしまう。その結果、変速時間が短くなってしまうことで、変速ショックが生じる。この変速ショックは、中・高トルク領域では殆ど体感されない程度のものであっても、低トルク領域(例えば、最大トルクの10%〜20%以下)で体感されることがある。この場合、変速が早めに進行することで、タイムチャート上では、入力回転数の下降が早めに生じる。すなわち、変速開始(Time Start)時間が短くなる。
【0048】
これに対して、従来のストローク待機圧の学習制御では、入力回転数の下降変化の度合い、すなわち回転加速度を指標とする補正が行なわれており、変速開始(Time Start)時間に対する考慮がなされていない。また、図8に示すような中・高トルク領域での学習により収束するストローク待機圧は、比較的低い係合保持圧(PT A )で変速が開始されるときのストローク待機圧にも適合するものとはならないため、低トルク領域で係合保持圧(PT A )が計算上低減されてストローク待機圧(PS 2 )と同等又はそれ以下となってしまった場合、係合保持圧(PT A )も学習上で低減されず、変速ショックが改善されないという事態が生じる。
【0049】
そこで、本発明に従う学習制御では、図9に示すフローに従う制御がなされる。この制御においては、当初のステップS−51で、自動変速機の入力軸回転数(NI N )を監視し、その変化開始時期から学習制御の要否を判断する。この判断ステップは、変速ショックの発生を変速開始時間から判断するもので、具体的には、変速制御開始(変速指令成立)からの入力回転数の変化開始時間(tS T )がピストンストローク待機終了時間(tS E )と、そこから係合保持圧(PT A )までの昇圧時間(tT A )に、係合側摩擦要素へのトルク移管開始から回転変化開始までの目標時間(α)を加えた時間より短い時間(tS T <tS E +tT A +α[msec])であることで成立する。このステップS−51の判断が不成立の場合は、変速が適当又は遅れ側にあることになるので、変速を遅れ側に補正する趣旨の本学習制御が不要又はなじまない状態であるので、以後のステップを飛ばして、この制御を終了する。
【0050】
ステップS−51の判断が成立(Y)する場合は、次のステップS−52に進み、第2段階の要否判断を実行する。この判断ステップは、係合側摩擦要素へのトルク移管後の変速の進行速度を判断する趣旨のものである。具体的には、この第2段階の要否判断は、入力回転加速度(ωS T )を監視し、この値が目標の回転変化量(β)を超えることで成立する。このステップS−52の判断が不成立の場合も、回転変化開始後の変速が適当又は遅れ側にあることになるので、変速を遅れ側に補正する趣旨の本学習制御が不要又はなじまない状態であるので、以後のステップを飛ばして、この制御を終了する。
【0051】
こうしてステップS−51及びステップS−52の判断の成立を条件として、次のステップS−53で、トルク条件(γ)と油圧条件(Δ)の成立を選択的に判断する。この場合のトルク条件は、摩擦要素Aのトルク伝達量(Tt)がトルク条件(γ)未満であることで成立し、油圧条件は、係合保持圧すなわち解放側摩擦要素から係合側摩擦要素へのトルク移管時の係合保持圧(PT A )とストローク待機圧(PS 2 )との差、すなわち、ストローク待機圧(PS 2 )からの油圧上昇が、油圧条件(Δ)未満であることで成立する。なお、前記トルク伝達量(Tt)の監視は、例えば、摩擦要素Aに対する供給油圧から逐次演算で求めることができるが、油圧供給とトルク容量の関係を定めたメモリ上のトルクマップを参照する処理で行なうこともできる。これら両条件とも不成立の場合は、次のステップS−54によるストローク待機圧の補正を行なわずに次のステップS−55に進む。
【0052】
以上3つの判断が全て成立する場合にストローク待機圧の設定を修正する補正を行なう。この補正ステップS−54は、本発明の補正手段を構成する。具体的には、この補正は、既定のストローク待機圧(PS 2 )から一定の補正値(dPS 2 )を減算し、新たなストローク待機圧として設定する処理(PS 2 =PS 2 −dPS 2 )によりなされる。
【0053】
更に、最後のステップS−55では、係合保持圧(PT A )の設定値を下げる補正処理を行なう。この処理は、油圧指令値の計算上で係合保持圧(PT A )を下げるために予め設定された重み(SG A )を小さくする処理である。この重み(SG A )の補正は、予め定められた重み補正値(dSG A )を既定の重み(SG A )から減算する処理(SG A =SG A −dSG A )により行なわれる。こうしてこのアップシフト時のストローク待機圧学習制御を終了する。
【0054】
この学習制御は、この油圧サーボAに油圧が供給される変速が行なわれる度に実行され、トルク伝達量(Tt)がトルク条件(γ)を超え且つ係合保持圧(PT A )とストローク待機圧(PS 2 )との差が油圧条件Δ(Press_Diff)を超える場合には、重み(SG A )だけが補正されることで、係合保持圧が低減される。また、トルク伝達量(Tt)がトルク条件(γ)未満の場合には、ストローク待機圧(PS 2 )と重み(SG A )が共に補正されることで、ストローク待機圧と係合保持圧が同時に低減される。また、トルク伝達量(Tt)がトルク条件(γ)を超え且つ係合保持圧(PT A )とストローク待機圧(PS 2 )との差が油圧条件Δ(Press_Diff)以下の場合にも、ストローク待機圧(PS 2 )と重み(SG A )が共に補正されることで、ストローク待機圧と係合保持圧が同時に低減される。この繰返しで、上記ステップS−51とステップS−52が共に不成立の状態となり、ストローク待機圧の適正化が達成される。
【0055】
こうした学習制御によりストローク待機圧(PS 2 )と係合保持圧(PT A )が修正されることで、アップシフト時の指令値上の油圧特性は、図10のタイムチャートに示すように変化する。この場合、係合側油圧サーボAのサーボ圧(PA )は、図(A)に示すようなトルク伝達量が大きく、係合保持圧(PT A )がストローク待機圧(PS 2 )に対して十分大きい場合は、係合保持圧(PT A )を低減する重み(SG A )を補正することで、図に点線で示すような上昇特性に変わる。この結果、昇圧時間(tT A )中の油圧の上昇勾配が緩くなり、その後の油圧変化も遅れ側に補正される。そして、これにより、ストローク待機圧(PS 2 )に対する係合保持圧(PT A )の過剰による変速ショックの発生は回避される。
【0056】
次に、図(B)に示すようなトルク伝達量が小さい場合は、ストローク待機圧(PS 2 )と係合保持圧(PT A )を低減する重み(SG A )を共に補正することで、図に点線で示すような上昇特性に変わる。この結果、昇圧時間(tT A )中の油圧は、全体に低くなり、その後の油圧変化も遅れ側に補正される。そして、これにより、ストローク待機圧(PS 2 )又は係合保持圧(PT A )若しくはそれら両方の過剰による変速ショックの発生は回避される。
【0057】
更に、図(C)に示すようなトルク伝達量が大きく、係合保持圧(PT A )がストローク待機圧(PS 2 )に対して極めて小さい場合は、ストローク待機圧(PS 2 )と係合保持圧(PT A )を低減する重み(SG A )を共に補正することで、図に点線で示すような上昇特性に変わる。この結果、昇圧時間(tT A )中の油圧は、全体に低くなり、その後の油圧変化も遅れ側に補正される。そして、これにより、ストローク待機圧(PS 2 )又は係合保持圧(PT A )若しくはそれら両方の過剰による変速ショックの発生は回避される。
【0058】
ところで、上記学習制御におけるストローク待機圧の補正量(dPS 2 )は、演算を簡略化する意味では、補正が過剰とならないような、経験的に割出される一定値とするのが有効であるが、ストローク待機圧(PS 2 )を製品ごとの較差に応じてより短期間に整合する意味では、可変値とすることもできる。この場合の補正量としては、種々のものが考えられるが、例えば、前記学習制御過程で得られる数値を用いる場合、入力回転加速度(ωS T )の関数,すなわち、dPS 2 =G1 ・f1 (ωS T )とすることができる。ここにG1 は所定のゲインを表し、このゲインG1 を経験的に最適化できれば、事実上1回の補正でストローク待機圧(PS 2 )の過剰を修正することも可能となる。
【0059】
同様に、上記学習制御における重みの補正量(dPS 2 )も可変値とすることができる。この場合の補正量も、種々のものが考えられるが、例えば、前記学習制御過程で得られる数値を用いる場合、入力回転加速度(ωS T )の関数,すなわち、dSG A =G2 ・f2 (ωS T )とすることができる。ここにG2 は所定のゲインを表し、このゲインG2 を経験的に最適化できれば、事実上1回の補正で係合保持圧(PT A )の過剰を修正することも可能となる。
【0060】
以上、本発明を一実施形態を挙げて詳説したが、本発明の思想は例示の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の事項に基づく種々の具体的構成の変更を包含するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の適用に係る実施形態の自動変速機のギヤトレインを示すスケルトン図である。
【図2】ギヤトレインの作動を示す係合図表である。
【図3】ギヤトレインの作動を示す速度線図である。
【図4】ギヤトレインを制御する油圧制御装置の部分回路図である。
【図5】自動変速機の制御系のシステム構成を示すブロック図である。
【図6】油圧制御装置を制御する電子制御装置による摩擦要素係合制御のフローチャートである。
【図7】油圧制御装置を制御する電子制御装置による摩擦要素解放制御のフローチャートである。
【図8】アップシフト掴み替え変速時の自動変速機の作動を示すタイムチャートである。
【図9】電子制御装置による学習制御のフローチャートである。
【図10】学習制御による油圧特性の補正を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
A 油圧サーボ
51 判断手段
52,53 補正手段
63 入力軸回転数センサ(入力回転数監視手段)
PS 2 ストローク待機圧
PT A 係合保持圧
Tt トルク伝達量
tS T 入力回転数の変化開始時間
α 目標時間
ωS T 入力回転変化量(入力回転加速度)
β 目標入力回転変化量
Claims (10)
- 摩擦要素の油圧サーボへ供給する油圧を、ストローク待機圧と係合保持圧の設定に従って、ストローク待機圧から係合保持圧へ昇圧させる制御を行う自動変速機のサーボ油圧制御装置において、
入力軸回転数を監視する入力回転数監視手段と、
該入力回転数監視手段の監視による係合保持圧への昇圧後から入力回転変化開始までの時間が目標時間未満であり、入力回転変化量が目標入力回転変化量より大きいときに、係合保持圧の設定を修正するとともに、設定されたストローク待機圧及び係合保持圧に基づき行われる判断手段による低減補正必要の判断に基づいてストローク待機圧の設定を修正する補正手段とを備えることを特徴とする自動変速機のサーボ油圧制御装置。 - 前記判断手段による低減補正必要の判断は、設定された係合保持圧とストローク待機圧との差が所定の油圧条件より小さいことで成立する、請求項1記載の自動変速機のサーボ油圧制御装置。
- 更に前記摩擦要素のトルク伝達量を監視するトルク伝達量監視手段を備え、
前記判断手段は、トルク伝達量監視手段の監視によるトルク伝達量に基づき低減補正必要を判断するものとされ、
前記判断手段による低減補正必要の判断は、トルク伝達量が所定のトルク条件より小さいことで成立する、請求項1記載の自動変速機のサーボ油圧制御装置。 - 更に自動変速機の入力トルクを検出する入力トルク検出手段を備え、
前記判断手段は、入力トルク検出手段で検出した入力トルクに基づき低減補正必要を判断するものとされ、
前記判断手段による低減補正必要の判断は、トルク伝達量が所定のトルク条件より小さいことで成立する、請求項1記載の自動変速機のサーボ油圧制御装置。 - 前記補正手段は、判断手段による低減補正必要の判断が成立するときに、係合保持圧の設定とストローク待機圧の設定を同時に修正する、請求項2〜4のいずれか1項記載の自動変速機のサーボ油圧制御装置。
- 前記補正手段は、判断手段による低減補正必要の判断が成立しないときに、係合保持圧の設定のみを修正する、請求項2〜5のいずれか1項記載の自動変速機のサーボ油圧制御装置。
- 前記補正手段による係合保持圧の修正は、一定の係合保持圧修正値を減算する処理によりなされる、請求項1〜6のいずれか1項記載の自動変速機の油圧サーボ待機圧制御装置。
- 前記補正手段によるストローク待機圧の修正は、一定のストローク待機圧修正値を減算する処理によりなされる、請求項1〜5のいずれか1項記載の自動変速機の油圧サーボ待機圧制御装置。
- 前記補正手段による係合保持圧の修正は、入力回転変化量を表す指標の関数に従って演算される可変の係合保持圧修正値を減算する処理によりなされる、請求項1〜6のいずれか1項記載の自動変速機の油圧サーボ待機圧制御装置。
- 前記補正手段によるストローク待機圧の修正は、入力回転変化量を表す指標の関数に従って演算される可変のストローク待機圧修正値を減算する処理によりなされる、請求項1〜5、8のいずれか1項記載の自動変速機の油圧サーボ待機圧制御装置。
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