JP4186359B2 - 熱交換器および該熱交換器を備えた空調冷凍装置 - Google Patents

熱交換器および該熱交換器を備えた空調冷凍装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、冷媒と空気等、2つの流体間で熱交換を行うフィンチューブ型熱交換器と該熱交換器を備えた空調冷凍装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図17は、例えば、特開平2−33595号公報に開示された従来のフィンチューブ型熱交換器の構成を表す図であり、(a)は板状フィン1に対して垂直な方向から見た場合の平面断面図、(b)は上記(a)図のC−C面を矢印方向から見た場合の部分側断面図である。図において、1は一定間隔で多数平行に配置され、その間を気体(空気)が流れる(図中、気体の流動方向を矢印で示す)板状フィン、2はこの板状フィン1の配列方向に沿って各板状フィン1に対して直角に挿入され、内部を冷媒が流れる円形の伝熱管であり、千鳥状に配置された各伝熱管2の外周面には板状フィン1が密着されるとともに、各伝熱管2の間の板状フィン1上には、(b)図に示すように、段方向(気体の通過する方向に対して直角方向)に板状フィン1を切り起こして形成したスリット50が気体の流動方向に沿って多数設けられ、スリット群を構成している。
【0003】
こうして、この従来の熱交換器によれば、スリット群を構成する各スリット50が板状フィン1間を通過する気体の速度境界層および温度境界層の発達を阻止するため、伝熱性能が向上し、熱交換能力が増大するとされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記図17に示された従来の熱交換器においては、スリット50の両端の切り起こし脚部が気体の通過方向に対して角度をなして形成されるとともに、これらのスリット50が気体の流動方向に沿って多数形成されているため、スリット50が設置された部分の通風抵抗が増大し、板状フィン1間に流入した空気が専ら伝熱管2の近傍を選択的に流れることとなり、この結果、スリット50を流れる空気の流速が減少して、十分な伝熱促進効果が得られないといった問題点があった。
【0005】
また、スリット50を上流と下流とで板状フィン1上に同数切り起こしているため、伝熱管2の外側を流れる空気の温度と内側の冷媒の温度が近い下流側においては熱交換量が少ないにもかかわらず、スリット50によって空気の通風抵抗のみが増大してしまうといった問題点があった。
【0006】
また、伝熱管2が円形であるため、伝熱管2の下流に大きな死水域(伝熱管2の後流部分に生じる速度欠損領域)が発生し、伝熱性能が低下するといった問題点もあった。
【0007】
一方、例えば、特開昭60−108689号公報には、伝熱管2の形状を楕円形状とし、その長軸/短軸比を変化させて伝熱管2の外側の空気の流路抵抗の減少効果と伝熱管2の内側の冷媒の圧力損失の増大とのトレードオフを行い、長軸/短軸比を1超3以下とするとともに、伝熱管2の直径(D)と伝熱管間のピッチ(L)の比を1以上4以下とすることにより、管内の流路抵抗および管外の通風抵抗を低減した熱交換器が開示されている。
【0008】
しかしながら、この従来の熱交換器においては、専ら、伝熱管2の管内外の流路抵抗のみによって形状や各寸法比が決定され、伝熱性能に対する評価が考慮されていないため、例えば、伝熱管2の直径と伝熱管2間のピッチの比が大きい領域等では、管外側の熱伝達率が低下して十分な熱交換性能が得られないといった問題点があった。
【0009】
この発明は、従来装置の上記のような問題点を解決するためになされたもので、この発明の第1の目的は、伝熱管による死水域の発生を抑制するとともに、伝熱管の配置を最適化することにより、通風抵抗が小さく、高い熱交換能力を有する熱交換器を得ることを目的とする。
【0010】
また、この発明の第2の目的は、板状フィン上に形成されるスリットの数や配置等を適正化することにより、伝熱管の管外側の通風抵抗および熱伝達率を最適化し、伝熱性能および通風抵抗に優れた熱交換器を得ることを目的とする。
【0011】
また、この発明の第3の目的は、通風抵抗が小さく、高い熱交換能力を有する熱交換器を備えることにより、エネルギー効率の高い空調冷凍装置を得ることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る熱交換器は、上記の目的を達成するために、多数平行に配置され、その間を気体が流動する板状フィンと、前記板状フィンに対して直角に挿入され、前記気体の流動方向および該流動方向と垂直な方向に、それぞれ、複数列および複数段配置された複数の伝熱管とを備え、前記気体と前記伝熱管の内部を流れる作動流体との間で熱交換を行なうよう構成した熱交換器において、前記伝熱管を楕円形状とするとともに、その長軸方向を前記気体の流動方向に平行に配置し、前記伝熱管の列ピッチLp(前記伝熱管の前記気体の流動方向の中心間距離)を、前記伝熱管と等断面積の円管直径Dに対して、0≦Lp≦1.8Dとし、前記気体の流動方向に前記板状フィンを切り起こして形成した脚部を有するスリットを前記板状フィン上に設けるとともに、前記板状フィンのフィン幅方向の中心線に対して、前記気体の流動方向の上流側の前記スリットの数を、下流側より多くし、上流側の 前記スリットの幅を、下流側の前記スリットの幅より小さくしたものである。
【0013】
また、この発明に係る熱交換器は、多数平行に配置され、その間を気体が流動する板状フィンと、前記板状フィンに対して直角に挿入され、前記気体の流動方向および該流動方向と垂直な方向に、それぞれ、2列および複数段配置された複数の伝熱管とを備え、前記気体と前記伝熱管の内部を流れる作動流体との間で熱交換を行なうよう構成した熱交換器において、前記伝熱管を楕円形状とするとともに、その長軸方向を前記気体の流動方向に平行に配置し、前記板状フィンの前記気体の流動方向のフィン幅 L を、前記伝熱管と等断面積の円管直径 D に対して、 2D L 3.8D とし前記気体の流動方向に前記板状フィンを切り起こして形成した脚部を有するスリットを前記板状フィン上に設けるとともに、前記板状フィンのフィン幅方向の中心線に対して、前記気体の流動方向の上流側の前記スリットの数を、下流側より多くし、上流側の前記スリットの幅を、下流側の前記スリットの幅より小さくしたものである。
【0014】
また、この発明に係る熱交換器は、前記伝熱管の列ピッチ Lp を、前記伝熱管の長軸長さ da に対して、 0 Lp da とし、前記気体の流動方向に、前記伝熱管がオーバーラップする領域を構成したものである。
【0015】
また、この発明に係る熱交換器は、前記板状フィンの前縁から最上流の前記伝熱管までの距離 a 1 と、前記板状フィンの後縁から最下流の前記伝熱管までの距離 a 2 とを a 1 a 2 としたものである。
【0016】
また、この発明に係る熱交換器は、下流側の前記スリットを脚部のみからなる脚部のみスリットとしたものである。
【0017】
また、この発明に係る熱交換器は、前記脚部のみスリットを、その脚部が前記伝熱管の外側面に略沿うように形成したものである。
【0018】
また、この発明に係る熱交換器は、前記脚部のみスリットの少なくともひとつに沿って、前記気体の流動方向に平行な脚部を有する補助スリットを形成したものである。
ある。
【0019】
また、この発明に係る熱交換器は、前記気体の流動方向の、前記伝熱管がオーバーラップする領域に前記板状フィンを前記気体の流動方向に切り起こして形成した脚部を有するスリットを設けたものである。
【0020】
また、この発明に係る熱交換器は、前記スリットの脚部が、前記板状フィン面を流れる前記スリット近傍の局所的な前記気体の流線と平行であるものである。
【0021】
また、この発明に係る熱交換器は、多数平行に配置され、その間を気体が流動する板状フィンと、前記板状フィンに対して直角に挿入され、前記気体の流動方向および該流動方向と垂直な方向に、それぞれ、複数列および複数段配置された複数の伝熱管とを備え、前記気体と前記伝熱管の内部を流れる作動流体との間で熱交換を行なうよう構成した熱交換器において、前記伝熱管を偏平形状とするとともに、前記伝熱管の長軸を重力方向に傾斜させ、前記伝熱管の長軸の重力方向となす角度(θ)を、前記気体の流動方向の下流の前記伝熱管ほど小さくしたものである。
【0022】
また、この発明に係る熱交換器は、多数平行に配置され、その間を気体が流動する板状フィンと、前記板状フィンに対して直角に挿入され、前記気体の流動方向および該流動方向と垂直な方向に、それぞれ、複数列および複数段配置された複数の伝熱管とを備え、前 記気体と前記伝熱管の内部を流れる作動流体との間で熱交換を行なうよう構成した熱交換器において、前記伝熱管を楕円形状とするとともに、前記伝熱管の長軸を前記気体の流動方向に対して傾斜させ、前記伝熱管の長軸が前記気体の流動方向となす角度を、前記気体の流動方向の下流の前記伝熱管ほど大きくしたものである。
【0023】
また、この発明に係る熱交換器は、前記伝熱管と前記板状フィンとを同一材質で構成したものである。
【0024】
また、この発明に係る熱交換器は、前記気体が空気であり、前記作動流体が冷媒であるものである。
0025
また、この発明に係る空調冷凍装置は、熱交換器部に前記の熱交換器を備えたものである。
【0026】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1であるフィンチューブ型熱交換器の構成を表す図であり、(a)は板状フィン1に対して垂直な方向から見た場合の平面断面図、(b)は上記(a)図のA−A面を矢印方向から見た場合の部分側断面図である。図において、1は一定間隔で多数平行に配置され、その間を気体(空気)が流れる(図中、気体の流動方向を矢印で示す)板状フィン、2は内部を冷媒が流れる楕円形の伝熱管であり、伝熱管2は、その外周面が板状フィン1に密着するように各板状フィン1に対して直角に挿入され、空気の流動方向に対して千鳥状に配置されている。
【0027】
また、板状フィン1の厚さ(Ft)および積層方向のピッチ(Fp)は、それぞれ、Ft=0.0001m、Fp=0.0012mであり、空気の流れ方向のフィン幅(L)は、L=0.0254mである。また、伝熱管2は、外径=0.00952mの円形伝熱管を管外径での伝熱管断面積が直径D=0.007mの円管と同一となるよう偏平させた楕円形状とし、長軸長さ(da)をda=0.01301m、短軸長さ(db)をdb=0.00377m、偏平率をda/db=3.455とし、空気の流れ方向に平行に長軸を配置している。また、各伝熱管2は前列と後列の2列にわたって千鳥状に配置され、段ピッチ(空気流と垂直方向の伝熱管2の中心間距離)(Dp)、列ピッチ(空気流と平行方向の伝熱管2の中心間距離)(Lp)、板状フィン1の前縁から前列の伝熱管2までの距離(a1)および板状フィン1の後縁から後列の伝熱管2までの距離(a2)は、それぞれ、Dp=0.0204m、Lp=0.005m、a1=0.0025m、a2=0.00489mである。
【0028】
以下、この実施の形態1の熱交換器の伝熱性能と通風抵抗の特性について説明する。まず、この実施の形態1の特徴点である楕円管の効果について、図2を用いて説明する。図2は、円管と楕円管を風洞内においた場合の死水域10(伝熱管後流部に生じる速度欠損領域)の発生状況を示した図であり、伝熱管2を楕円管で構成することにより、死水域10を小さくすることができる。この死水域10は、偏平率(=長軸da/短軸db)を上げるにしたがって小さくなるため、熱伝達率が向上し、この結果、伝熱性能が向上するとともに、圧力損失(通風抵抗)の低減が可能となる。
【0029】
また、ある円形伝熱管と同一断面積の楕円伝熱管を考えた場合、偏平率を大きくすることにより、管外側(空気側)の通風抵抗は減少する。また、偏平率を大きくすると、伝熱管2の周長が増大し伝熱管2の外周部の伝熱面積が大きくなること、板状フィン1と伝熱管2の接触部の面積が増大すること、板状フィン1のフィン効率が向上し、空気側熱伝達率が向上すること、から管外側の熱交換量は増大し、伝熱性能は向上する。一方、管内側では、冷媒の圧力損失が増大するものの、伝熱面積が大きくなり、しかも、圧力損失と熱伝達のアナロジーによって管内側の熱伝達率が向上するため、管内側の熱交換量は大きくなる。
【0030】
以上のように、この実施の形態1によれば、伝熱管2として楕円管を用いたため、円管の場合に比べて、管外側の熱交換能力および圧力損失が改善され、伝熱性能や通風抵抗に優れた熱交換器が得られる効果がある。なお、管内側の圧力損失および熱伝達率の影響に関しては、上記したように、圧力損失が増大するものの管内側の熱交換量が大きくなるため、偏平率が極端に大きい領域以外ではこれらの効果が相殺されて、熱交換器の特性は管外側の熱交換能力および通風抵抗によってほぼ決定されることとなる。また、この種の熱交換器においては伝熱管2の管内側に液体を、管外側に気体を流す場合が多く、このような場合には、管内側の熱伝達率が管外側に比べて大きいため、熱交換器の性能は管外側の熱伝達率や通風抵抗の特性によって支配される。特に、空調冷凍装置用熱交換器では、管内側の熱伝達率が管外側に比べて1〜2桁ほど大きく(典型的な例では、管内側熱伝達率は7000〜8000W/m2/K、管外側熱伝達率は70〜80W/m2/K程度である)、従って、管外側の熱交換能力と通風抵抗を評価することにより、熱交換器の性能を評価することが可能となる。
【0031】
以下では、この実施の形態1の構成において、偏平率(=da/db)や列ピッチLp、フィン幅L等の形状パラメータを変更しつつ、熱交換器の伝熱性能と通風抵抗を具体的な計算式に基いて定量的に評価した結果について説明する。
【0032】
まず、伝熱管2の管外を流れる空気と板状フィン1の間の熱伝達率α[W/(m2K)]は、一般に次式によって与えられる。
α=Nu×λ/De (1)
Nu=C1×(Re×Pr×De/L/Ln/2)C 2 (2)
Re=U×De/ν (3)
ここで、Nuはヌセルト数、Reはレイノルズ数、Prは空気のプラントル数、λは空気の熱伝導率、νは空気の動粘性係数であり、それぞれ、常温常圧の場合にPr=0.72、λ=0.0261[W/(mK)]、ν=0.000016[m2/s]である。また、Lnは伝熱管2の列数、Deは伝熱管2の代表長さ、Uは板状フィン1間の自由通過体積基準の風速、C1、C2は係数である。
【0033】
また、伝熱管2の代表長さDe[m]、板状フィン1間の自由通過体積基準の風速U[m/s]および熱交換器の前面風速Uf[m/s]は、以下の式によって定義される。すなわち、
De=4×(L×Dp/2−π×da×db/4)×(Fp-Ft)/
{2×(L×Dp/2−π×da×db/4)+π×((da2+db2)/2)1/2×(Fp−Ft)}
(4)
U=Uf×L×Dp×Fp/((L×Dp/2−π/4×da×db)×(Fp−Ft))/2 (5)
Uf=Q/ρ/(W×Dp×Dn) (6)
なお、(6)式において、Q[kg/s]は熱交換器を通過する空気の流量、ρは空気の密度であり、W[m]およびDnは伝熱管2の長手方向の長さと段数を表している。
【0034】
また、(1)式によって算出された熱伝達率α[W/(m2K)]から、フィン効率ηが次式によって与えられる。
η=1/(1+ψ×α) (7)
ここで、
ψ={(2×L×Dp/π)0.5−((da2+db2)/2)1/2}2×(2×L×Dp/π)0.5
/((da2+db2)/2)1/4/6/Ft/λf×(L/Lp/2)0.5×(L/a1/6)0.2
(8)
であり、λf[W/(mK)]は板状フィン1の熱伝導率である。
【0035】
以上より、熱交換器の伝熱性能の指標として単位温度当たりの熱交換量E[W/K]を用いると、この熱交換量Eは、(7)式で与えられるフィン効率ηを用いて
E=Q×H×ε (9)
ε=1−exp(−T) (10)
T=Ao×K/(Q×H) (11)
K=1/(1/αo+Ao/Ai/αi) (12)
αo=1/(Ao/(Ap+η×Af) (13)
によって算出される。なお、ここで、H[W/(Kg・K)]は空気の比熱、αiは伝熱管2の管内側の冷媒の熱伝達率(αi=6000W/m2/K)である。また、εは温度効率、K[W/(m2K)]は熱通過率、Ao[m2]は熱交換器の空気側の全伝熱面積、Ap[m2]は熱交換器の空気側の伝熱管2の伝熱面積、Af[m2]は熱交換器の空気側の板状フィン1の伝熱面積、Ai[m2]は熱交換器の冷媒側伝熱面積であり、いずれも、熱交換器の形状に関するパラメータ、すなわち、段ピッチDpや列ピッチLp、フィン幅L、板状フィン1の前縁から最上流の伝熱管2までの距離a1、フィンピッチFp、フィン厚さFt、伝熱管2の長軸長さdaおよび短軸長さdbが決まれば算出できる値である。
【0036】
一方、空気と板状フィン1の間の圧力損失(通風抵抗)ΔP[Pa]は次式によって算出される。
ΔP=F×L×Ln×ρ×U2/De (14)
F=C3×De/L/Ln/2+C4×ReC 5×(De/L/Ln/2)1+C 5 (15)
ここで、Fは摩擦損失係数で、C3、C4、C5は係数である。また、ρは空気の密度で、常温常圧の場合には、1.2[kg/m3]程度となる。
【0037】
上記した空気と板状フィン1の間の圧力損失(通風抵抗)ΔPと、熱交換器を通過する空気の流量Q[kg/s]から、送風に必要な動力Pf[W]は次式によって与えられる。
Pf=ΔP×Q (16)
【0038】
こうして、熱交換器の形状パラメータ(伝熱管2の偏平率(長軸短軸比)da/db、列ピッチLp、フィン幅L、板状フィン1の前縁から最上流の伝熱管2までの距離a1)を変えながら、(16)式で与えられる送風機動力Pfが一定となるよう空気流量Qを決定し、この時の熱交換器の熱交換能力Eを(9)式によって計算すれば、熱交換器性能の形状パラメータに対する依存性を伝熱性能と通風抵抗の両面から評価することができ、各パラメータの最適値を決定することができる。
【0039】
以下、図3〜6では、上記した実施の形態1の構成において、送風機動力Pfを一定に保ちながら、熱交換器の形状パラメータと熱交換能力Eとの関係を上記の計算式に基いて算出した結果を示す。なお、これらの図において、熱交換能力E[W/K]は、段数が1段当たりで、伝熱管2の長手方向の長さWの単位長さ当たりの値である。また、図中の白丸は、この実施の形態1の構成において、形状パラメータを変更しながら実際に熱交換器を構成し、熱交換能力を測定した結果である。
【0040】
図3には、段ピッチDp、列ピッチLp、フィンピッチFp、フィン厚さFt、フィン幅Lおよび板状フィン1の前縁から最上流の伝熱管2までの距離a1をほぼ最適値の範囲内で一定とし、伝熱管2の外径基準の断面積を一定に保ちながら、伝熱管2の偏平率(=da/db)を変化させ、熱交換能力Eを計算した結果を示す。図3より、円管(偏平率=1)の場合に比べて、楕円管(偏平率>1)とすることにより、熱交換能力Eが向上すること、また、この偏平率が大きくなるほど熱交換能力Eが大きくなることが分かる。なお、偏平率を大きくした場合、円管時の最大1.5倍程度まで熱交換能力が上昇する。これは、偏平率が大きくなるほど伝熱管2の管外側の通風抵抗が減少するため、送風機動力Pf一定の条件から空気流量Qが増加し、その結果、熱交換能力Eが大きくなるためである。なお、楕円管の偏平率を大きくすれば性能は向上するが、伝熱管の長軸長さdaは熱交換器の板状フィン1のフィン幅Lに対して、L以下とする必要があることはいうまでもない。
【0041】
図4には、段ピッチDp、フィンピッチFp、フィン厚さFt、フィン幅L、板状フィン1の前縁から最上流の伝熱管2までの距離a1、伝熱管2の長軸長さda、短軸長さdbをほぼ最適値の範囲内で一定とし、列ピッチLpをパラメータとして熱交換能力Eを計算した結果を示す。図4より、列ピッチLpが伝熱管2の等断面積円管(伝熱管2と同一の外径基準の断面積を有する円管)の直径Dに対して、Lp=0.9D付近で熱交換能力Eが最大となること、また、0≦Lp≦1.8Dの範囲であれば最大値に対して5%以内の減少量となり、十分な熱交換能力Eが得られることが分かる。これは、列ピッチLpが小さくなると、図1に示した最小流路断面積(b×(Fp−Ft))が小さくなって通風抵抗が増大するものの、板状フィン1のフィン効率ηが大きくなって熱交換能力が向上するといった通風抵抗と熱交換能力のトレードオフによるものであり、0≦Lp≦0.9Dの範囲では、Lpを大きくすることにより空気流の最小流路断面積(b×(Fp−Ft))が大きくなって通風抵抗が減少するとともに、風量が増加して熱交換能力Eが向上するが、0.9D≦Lpでは板状フィン1のフィン効率ηが低下することにより熱交換能力Eが減少し、1.8D≦Lpでは、このフィン効率ηの低下が支配的となって熱交換能力Eが急激に低下するためである。
【0042】
なお、0≦Lp≦1.8Dの範囲では、伝熱管2の長軸が互いに列方向(空気の流動方向)にオーバーラップする領域が生じるが、伝熱管2として楕円管を用いたこの実施の形態1によれば、このように列ピッチLpが小さくなった場合でも、伝熱管2の短軸長さdbが円管に比べて小さいため、最小流路断面積(b×(Fp−Ft))を大きくすることができ、従って、風速が局所的に大きくなる場所がなくなって通風抵抗を増大させることなく、フィン効率を上げることができ、熱交換能力を向上させることが可能である。なお、伝熱管2が重複するLpの条件は、0≦Lp≦da=D×(da/db)0.5である。
【0043】
図5には、段ピッチDp、列ピッチLp、フィンピッチFp、フィン厚さFt、板状フィン1の前縁から最上流の伝熱管2までの距離a1、伝熱管2の長軸長さda、短軸長さdbをほぼ最適値の範囲内で一定とし、フィン幅Lをパラメーターとして熱交換能力Eを計算した結果を示す。図5より、伝熱管2の等断面積円管の直径Dに対して、フィン幅LがL=2.9D付近で最大の熱交換能力Eとなり、2D≦L≦3.8Dの範囲では、最大値に対して95%以上の熱交換能力Eを有することが分かる。これは、0≦L≦2.9Dの範囲内では、フィン幅Lの増加によって伝熱面積が増加し、熱交換能力Eが向上するが、2.9D≦Lでは、フィン幅Lの増加に伴って通風抵抗が増大することにより、風量および熱交換能力Eが低下し、3.8D≦Lでは、この減少が支配的となって熱交換能力Eが急激に低下するものである。なお、楕円形の伝熱管2を用いたこの実施の形態1では、円管の場合と比べて伝熱管2の通風抵抗が小さいため、フィン幅Lの減少に伴う通風抵抗の減少がより顕著となる。
【0044】
図6には、段ピッチDp、列ピッチLp、フィンピッチFp、フィン厚さFt、伝熱管2の長軸長さdaおよび短軸長さdbをほぼ最適値の範囲内で一定とし、板状フィン1の前縁から最上流の伝熱管2までの距離a1をパラメータとして熱交換能力Eを計算した結果を示す。図6より、距離a1が小さいほど熱交換能力Eが大きいことが分かる。これは、上流ほど空気と板状フィン1の温度差が大きく、伝熱管2の前縁効果による伝熱促進効果が上流ほど大きいためである。従って、同一のフィン幅Lに対しては、大きな前縁効果が期待できる上流の距離a1を板状フィン1の後縁から最下流の伝熱管2までの距離a2よりも小さくすることにより、熱交換器の伝熱性能を向上させることができる。
【0045】
なお、図3〜図6に示したように、上記の計算式に基づく計算結果は実験結果(白丸)と非常に良く一致しており、この実施の形態1による熱交換器の特性および効果を実証している。
【0046】
以上、この実施の形態1によれば、既述の定性的な議論で明らかにしたように、伝熱管2として楕円管を用いたため、通風抵抗が少なく、熱交換能力に優れた熱交換器が得られる効果がある。
【0047】
また、列ピッチLpと伝熱管2の等断面積円管の直径Dの比(Lp/D)を、0≦Lp/D≦1.8の範囲内に設定したため、通風抵抗と熱交換能力の最適化を図ることができ、伝熱性能に優れた熱交換器が得られる効果がある。
【0048】
また、伝熱管2の等断面積円管の直径Dに対して、フィン幅Lを2≦L/D≦3.8としたため、通風抵抗と熱交換能力の最適化を図ることができ、伝熱性能に優れた熱交換器が得られる効果がある。
【0049】
また、板状フィン1の前縁から最上流の伝熱管2までの距離a1を板状フィン1の後縁から最下流の伝熱管2までの距離a2よりも小さく設定したため、伝熱管2の前縁効果によって熱交換器の熱交換能力が向上する効果がある。
【0050】
なお、上記実施の形態1では、伝熱管2を空気の流動方向に対して2列だけ配置した例について説明したが、上記の議論から明らかなように、偏平率(da/db)や列ピッチ(Lp/D)、a1とa2の関係は列数が3列以上の場合にも適用できるものであり、同様の構成により全く同様の効果を奏する。
【0051】
実施の形態2.
図7には、この発明の実施の形態2である熱交換器の構成を示す。この実施の形態2は上記実施の形態1の構成において、板状フィン1上にスリットを形成したものであり、図7において、(a)は板状フィン1に対して垂直な方向から見た場合の平面断面図、(b)は上記(a)図のB−B面を矢印方向から見た場合の部分側断面図である。図に示すように、各伝熱管2の間の板状フィン1上には、段方向(気体の通過する方向に対して直角方向)に板状フィン1を切り起こして形成したスリット3、4、5および脚部のみを切り起こして形成した脚部のみスリット6、7が、それぞれ、気体の流動方向に沿って設けられ、スリット群を構成している。なお、図中、図1と同一または相当部分は同一符号を付し、説明を省略する。
【0052】
図8には、スリット3、4、5および脚部のみスリット6、7の詳細な配置と形状を示す。図8において、(a)はスリット3、4、5および脚部のみスリット6、7の板状フィン1上での配置を表す平面図であり、(b)はスリット3の形状を、また、(c)は脚部のみスリット7の形状を表す斜視図である。なお、スリット4、5の形状はスリット3と、また、脚部のみスリット6の形状は脚部のみスリット7とほぼ同様である。
【0053】
図に示すように、板状フィン1の上流側(L/2より前方)には板状フィン1を(b)図のように板状フィン1の積層方向に斜めに切り起こして形成した脚部3a、4a、5aと平行部3b、4b、5bを有するスリット3、4、5が、また、下流側には(c)図のように脚部のみを板状フィン1の積層方向に斜めに切り起こして形成した脚部のみスリット6、7が設けられ、それぞれ、後列の伝熱管2の前方に設けられたスリット3、4については1つずつ、また、伝熱管2のオーバーラップ領域に設けられたスリット5および脚部のみスリット6、7については2つずつ、後列の伝熱管2の中心線に対して対称に配置されている。
【0054】
また、この実施の形態2においては、スリット3、4、5のスリット幅(e1、e2、e3)およびスリット長さ(f1、f2、f3)は、それぞれ、e1=e2=e3=e=0.001m、f1=0.0138m、f2=0.0122m、f3=0.003mであり、脚部のみスリット6、7のスリット幅(e4、e5)はe4=e5=0.002mである。また、各スリット間の間隔(W1、W2、W3、W4、W5)は、風上側から、板状フィン1の前縁とスリット3の間がw1=0.0015m、スリット3および4の間がw2=0.003m、スリット4および5の間がw3=0.003m、スリット5および6の間がw4=0.0055m、スリット6および7の間がw5=0.003mである。
【0055】
また、図9および図10には、それぞれ、スリット3、4、5および脚部のみスリット6、7と空気の流線との関係を示す。図9に示すように、スリット3、4、5の脚部3a、4a、5aは、その側面が伝熱管2の外側面に略沿うように気流方向に対して斜めに切り起こされており、このため、伝熱管2近傍の流れがこの脚部3a、4a、5aによって伝熱管2の外側面に沿って流れることにより、伝熱管2の下流で剥離を生じて伝熱量が低下することを防止している。また、図10に示すように、脚部のみスリット6、7も、その脚部の側面が伝熱管2の外側面に略沿うように気流方向に対して斜めに切り起こされ、伝熱管2近傍の流れが脚部のみスリット6、7によって伝熱管2の外側面に沿って流れるよう構成されている。
【0056】
以下、この実施の形態2の伝熱特性および通風抵抗について説明する。上記したように、この実施の形態2では、フィン幅Lの半分L/2の中心線に対して空気流の上流部に3本、下流部に2本のスリットを設けており、下流部に比べて上流部により多くのスリットを設けている。従って、この実施の形態2によれば、空気と板状フィン1間の温度差が大きい上流部に多くのスリットを形成したため、スリットの前縁効果により伝熱を促進することができるとともに、熱交換量の少ない下流部のスリット数を削減したためスリットによる通風抵抗を減少させることができ、熱交換能力および通風抵抗に優れた熱交換器が得られる効果がある。
【0057】
また、スリット5を空気の通過断面積が小さくなっている楕円伝熱管2のオーバーラップ領域に配置したため、スリット5の前縁効果が顕著となり、より伝熱が促進される効果がある。
【0058】
また、空気と板状フィン1間の温度差が小さく、大きな熱交換がなされない下流側のスリットを、脚部のみのスリット6、7としたため、上下流とも平行部を有するスリットで構成した場合に比べて通風抵抗を減少させることができる。
【0059】
また、スリット3、4、5および脚部のみスリット6、7の脚部を伝熱管2の外側面に沿って切り起こし、この脚部によって伝熱管2近傍の流れが整流され、伝熱管2の外側面に沿って流れるよう構成したため、通風抵抗を増やすことなく、伝熱性能を向上できる効果がある。
【0060】
また、伝熱管2として楕円管2を用いているため、板状フィン1内での風速が円管熱交換器と比べて小さくなり、スリットを設けた場合の通風抵抗の増分が円管の場合と比べて小さくなるとともに、下流部に多数のスリットを設けて整流を行う必要がなく、通風抵抗の点で有利な熱交換器が得られる。
【0061】
また、この実施の形態2においては、スリット長さf1、f2、f3を上流ほど長く設定している。上述したように、風上部では空気と板状フィン1間の温度差が大きく、スリットの前縁効果による伝熱促進が下流よりも期待できるため、この実施の形態2のように上流のスリットの長さf1を下流f2より大きくすることにより、伝熱性能を向上させることができる。また、下流部では空気と板状フィン1との温度差が小さく、スリットでの熱交換量が小さいにもかかわらず通風抵抗が増大するため、下流側のスリット長さを上流より小さくすれば、通風抵抗を減少できる効果がある。
【0062】
以下では、この実施の形態2の構成において、上流側のスリット3、4、5の本数を変更しながら、熱交換器の伝熱性能と通風抵抗を具体的な計算式に基いて定量的に評価し、スリットの効果について検討した結果について説明する。なお、段ピッチDp、列ピッチLp、フィン幅L、フィン前縁から最上流の伝熱管2までの距離a1、楕円管の長軸長さda、短軸長さdb等の形状パラメータは、上記実施の形態1と同一である。
【0063】
まず、スリット3、4、5によって伝熱が促進されるための条件として、スリット3、4、5のスリット幅(e1、e2、e3)と板状フィン1の間隔の関係について説明する。図11は、スリット3、4、5上で発達する温度境界層の様子を示した図であり、スリット3、4、5の表面では図11(a)に示すように温度境界層30が発達し、熱伝達はこの温度境界層30を介して行われる。一般に、温度境界層30が薄いほど空気と板状フィン1との単位温度差あたりの伝熱量は大きく、図11(b)に示すように、スリット3、4、5の風上側の先端では温度境界層30が更新され、上流側の温度境界層30の厚みが非常に薄くなる。一方、板状フィン1はフィンピッチFpで積層されているため、たとえば、スリット3によって形成された温度境界層30は、下流において隣り合うスリット4によって形成された温度境界層と干渉する。こうして、干渉が発生した位置より下流では、温度境界層の厚みが一定となるため、空気の流動方向の単位長さあたりの伝熱量は一定値となり、伝熱促進の効果は生じない。
【0064】
ここで、温度境界層30の厚みをdtとすると、スリット3の上流端から流れ方向の距離x[m]における温度境界層の厚みdt[m]は、下式で表される。
dt=5.0×(ν×x/U)0.5/Pr0.3 (17)
ここで、νおよびPrは、動粘性係数およびプラントル数であり常温常圧の空気の場合、それぞれ、ν=0.000016[m2/s]およびPr=0.72である。
【0065】
いま、板状フィン1の間隔HfをHf=Fp−Ftと定義し、スリット3の平行部3bを各板状フィン1の積層方向の中間、すなわち、板状フィン1からHf/2の位置に配置した場合を考えると、上記の議論から明らかなように、スリット3の表面と空気間で伝熱が促進されるためには、スリット3の下流端、すなわち、x=e1=e(e[m]は、スリット3、4、5のスリット幅)での温度境界層30の厚みdtがHf/2よりも小さいことが必要である。
【0066】
従って、スリット幅eは、
e≦U/ν×Pr0.6×(Hf/10)2=510×U×Fp2 (18)
の条件を満たすように設定される。特に、空調用熱交換器の標準的な使用範囲では、自由通過体積基準の風速はU=0.5〜2m/sであるので、この場合、上式は、
e≦255×Hf2〜1020×Hf2 (19)
となり、たとえば、Fp=0.0012m、Ft=0.0001mとすれば、Hf=0.0011mとなるため、(19)式は、
e≦0.00031〜0.00123m (20)
の範囲となる。
【0067】
なお、各スリットは、上流のスリットの影響を避けるため、スリットの前後の間隔を開けるよう概ね等間隔に並べることが望ましい。また、スリットの平行部の位置が、Hf/2以外の場合においては、上記の考え方に基いて温度境界層30の厚さがスリットの下流端で板状フィン1に到達しないようスリット幅eを設定すればよい。
【0068】
次に、上記のように設定されたスリット3、4、5を用いた場合の伝熱性能および通風抵抗について説明する。スリット3、4、5の単位面積当たり、単位温度当たりの伝熱量を表す熱伝達率αs[W/m2K]は以下のように与えられる。すなわち、
αs=K/e×0.664×Rea0.5×Pr0.3 (21)
ここで、Kは空気の熱伝導率、Prはプラントル数であり、それぞれ常温常圧の場合に、K=0.0261[W/mK]、Pr=0.72である。また、Reaはレイノルズ数で、下式で定義される。
Rea=U×e/ν (22)
【0069】
従って、(21)式は、
αs=3.914×{U/e}0.5 (23)
となり、これに
e≦510×U×Hf2 (24)
を代入すれば、
αs≧0.173/Hf (25)
が得られる。
【0070】
一方、スリットが無い部分の板状フィン1の熱伝達率αb[W/m2K]はおよそ以下のように計算できる。すなわち、
αb=K/(Hf×2)×4.3 (26)
であり、したがって、
αb=0.056/Hf (27)
となる。
【0071】
ここで、空気の流れ方向に沿った板状フィン1上のスリット本数をNとすると、有効熱伝達率αeffは上記の2つの熱伝達率αsおよびαbの面積加重平均で与えられ、
αeff=αb+(N×e/L)×(αs−αb)
=0.056/Hf×{1+N×(1274×U×Hf2/L)} (28)
となって、αeffはNが大きくなると増加する。
【0072】
一方、スリット部分およびスリットのないフィン間の単位長さあたりの圧力損失(通風抵抗)ΔPsおよびΔPbは、それぞれ、
ΔPs=2×1.328/Rea0.5×(1/Hf)×1/2×(γ/g)×U2 (29)
ΔPb=32/Refp×(1/Hf)×1/2×(γ/g)×U2 (30)
により与えられる。なお、Refpは
Refp=U×(2×Hf)/ν (31)
であり、また、γは常温常圧の空気の比重量[N/m3]、gは重力加速度[m/s2]である。
【0073】
こうして、圧力損失(通風抵抗)の和ΔP*
ΔP*=L×ΔPb+N×e×(ΔPs−ΔPb)
={(L−N×e)×32/Refp×(1/Hf)
+N×e×2.656/Rea0.5×(1/Hf)}×1/2×(γ/g)×U2
(32)
となり、スリットの個数Nに比例して通風抵抗は増大する。
【0074】
以上より、(1)式の熱伝達率αとして、(28)式で与えられるαeffを用い、(14)式のΔPとして(32)式のΔP*を代入し、実施の形態1の場合と同様に、送風機動力Pfを一定にしながら、単位長さ当たりの熱交換能力E*を計算することにより、熱交換器の伝熱性能および通風抵抗の特性を評価することができる。
【0075】
図12は、スリットの個数Nをパラメータとして、伝熱管2の長手方向の単位長さ当たりの熱交換能力E*を計算したものである。図12より、熱交換能力E*がN=3付近で最大値をとることが分かる。これは、スリットの個数Nが増加すると温度境界層の更新効果によって伝熱量が増加するものの、伝熱量がやがて一定値に漸近するのに対して、熱交換器の通風抵抗がスリット数に対して線形的に増加するため、3本以上のスリットを切り起こすと圧力損失(通風抵抗)の増分が、伝熱量の増分よりも大きくなるためである。
【0076】
なお、図12には、この実施の形態2による実際の熱交換器の熱交換能力測定結果を白丸で示す。図に示すように、計算結果と実験結果とは非常に良く一致しており、以上より、この実施の形態2によれば、スリットの本数を最適値の3本としたため、通風抵抗が小さく、伝熱性能に優れた熱交換器が得られる効果があることが分かる。
【0077】
また、スリット3、4、5のスリット幅(e1、e2、e3)をスリット下流端での温度境界層30の厚さがフィン間隔(Hf)の半分以下となるように設定したため、温度境界層の更新効果によってスリットからの伝熱が促進され、熱交換能力が向上する効果がある。
【0078】
なお、上記実施の形態2ではスリット本数を3本としたが、図12から明らかなように、2本〜5本の範囲であれば、十分大きな熱交換能力E*を得ることができ、スリットの効果を発揮することが可能である。
【0079】
また、上記実施の形態2では、伝熱管2として楕円管を用いた例を示したが、脚部のみスリット6、7は円管を用いた場合にも上記と同様の効果を奏することができる。
【0080】
また、下流側の脚部のみスリット6、7、のスリット幅e4およびe5を、上流のスリット3、4、5のスリット幅e1、e2、e3よりも大きくしたため、下流側での空気流の整流効果を高めることができ、伝熱性能を向上することができる。
【0081】
実施の形態3.
図13には、この発明の実施の形態3として、別のスリットの構成例を示す。図において、8は脚部のみから構成された補助スリットであり、この補助スリット8の脚部を脚部のみスリット7の近傍に空気の流動方向とほぼ平行に配置することにより伝熱管2の後流の空気流の整流作用を更に向上させることができ、より伝熱性能を向上させることができる。
【0082】
実施の形態4.
図14には、この発明の実施の形態4である熱交換器の板状フィン1および伝熱管2の配置を表す平面図を示す。図において、gは重力の作用方向、矢印は空気流の流動方向であり、図に示すように、この実施の形態4では、上流列および下流列の楕円伝熱管2の長軸を重力の作用方向に対して、それぞれ、θ1およびθ2だけ傾斜させ、0≦θ2≦θ1となるよう構成するとともに、これらの伝熱管2の長軸が空気流の方向に対しても傾斜して配置されている。
【0083】
こうして、この実施の形態4によれば、楕円形の伝熱管2の長軸を重力方向に傾斜させたため、楕円管の長軸を水平に配置した場合に比べて、空気中に含まれている水蒸気が伝熱管2の外周面に凝縮した場合に、この水分が伝熱管2の外周面を伝って水滴となって下方に落下しやすくなり、伝熱管2の外周面に付着した水膜によって熱通過率が減少し、伝熱性能が低下することを防止できる効果がある。
【0084】
また、板状フィン1や伝熱管2の外周面に付着した水滴が重力方向に落下するため、空気を送風する送風機がこの熱交換器の下流に配置されている場合、空気流によって水滴が送風機に吸い込まれることを防止できる効果がある。特に、この実施の形態においては、送風機との距離が短い下流列の傾斜θ2を上流列の傾斜θ1に比べてθ2≦θ1としたため、水滴が送風機に吸込まれることを一層防止できる効果がある。
【0085】
また、伝熱管2の長軸を空気流の方向に対して傾斜して配置したことにより、伝熱管2の後流に生じる死水域が風向に対して斜め方向に伸びるため、死水域が送風機に届きにくくなり、送風機の騒音を低減することが可能となる。特に、この実施の形態においては、送風機との距離が短い下流列の傾斜を上流列の傾斜より大きくしたため、死水域が一層送風機に届きにくくなり、送風機の騒音をより低減できる効果がある。
【0086】
なお、上記実施の形態4では、伝熱管2の管外を水蒸気を含んだ空気が流れる場合について説明したが、管外を凝縮性のガスを含んだ気体が流動する場合については、伝熱管2上に凝縮した流体が外周面から落下しやすくなり、上記と全く同様の効果を得ることができる。また、伝熱管2として楕円形状のものを用いたが、長円形状等、伝熱管2が偏平な形状を有する場合、その長軸方向を重力方向に傾斜させることにより、上記と全く同様の効果が得られる。
【0087】
また、2列の伝熱管2により熱交換器を構成した例を示したが、伝熱管2を3列以上に配列しても同様の効果を有することはいうまでもない。
【0088】
実施の形態5.
図15には、この発明の実施の形態5として、熱交換器部に上記実施の形態2の熱交換器を用いた空調や冷凍用の空調冷凍装置の構成図を示す。図において、21は冷媒を圧縮する圧縮機、22は圧縮機21で圧縮された冷媒を冷却する凝縮熱交換器、23は凝縮熱交換器22で冷却された冷媒を等エンタルピー膨張させて液化する絞り装置、24は液化された冷媒を気化させることにより外部を冷却する蒸発熱交換器、25は凝縮熱交換器22および蒸発熱交換器24に空気を送風する送風機、26は送風機25を駆動する送風機用モータであり、この実施の形態5では、凝縮熱交換器22および蒸発熱交換器24として上記した実施の形態2の熱交換器を用いている。
【0089】
図16には、この実施の形態5における蒸発熱交換器24(冷房モード時の室内側熱交換器)の構成を示す。図において、24は上記実施の形態2の熱交換器によって構成された蒸発熱交換器、25は蒸発熱交換器24の外部に空気を供給する貫流送風機であり、貫流送風機25によって供給された空気が蒸発熱交換器24の板状フィン1間を流れることにより、板状フィン1との間で熱交換し冷却される。また、この図には、楕円形の伝熱管2によって生成される死水域10も模式的に示している。
【0090】
なお、これらの冷媒回路に用いる冷媒としては、HCFC(R22)やHFC(R116、R125、R134a、R14、R143a、R152a、R227ea、R23、R236ea、R236fa、R245ca、R245fa、R32、R41、RC318およびこれらの冷媒の数種の混合冷媒R407A、R407B、R407C、R407D、R407E、R410A、R410B、R404A、R507A、R508A、R508Bなど)の他、HC(ブタン、イソブタン、エタン、プロパン、プロピレンおよびこれら冷媒の数種混合冷媒)や自然冷媒(空気、炭酸ガス、アンモニアおよびこれら冷媒の数種の混合冷媒)などを用いることができる。
【0091】
こうして、この実施の形態5によれば、凝縮熱交換器22および蒸発熱交換器24として上記実施の形態2の熱交換器を用いたため、伝熱管2内の冷媒と管外の空気との間での伝熱性能が向上し、空気の通風抵抗も減少するため、エネルギ効率の高い空調冷凍装置が得られる効果がある。
【0092】
また、凝縮熱交換器22および蒸発熱交換器24として上記実施の形態2の熱交換器を用いたため、伝熱管2によって生成される死水域を小さくすることができ、貫流送風機25によって生じる騒音を抑えることができる。
【0093】
また、脚部のみスリット6、7の脚部が伝熱管2の外側面に沿って切り起こされ、この脚部によって伝熱管2近傍の流れが伝熱管2の外側面に沿って流れるよう構成されているため、貫流送風機25による騒音や伝熱量低下を抑制することができる。
【0094】
なお、上記実施の形態5では、上記実施の形態2の熱交換器を凝縮熱交換器22および蒸発熱交換器24の両方に使用した例について説明したが、どちらか一方のみに適用してもよいことはいうまでもない。
【0095】
また、上記実施の形態1ないし実施の形態5では、伝熱管2の内外を流れる流体として、各種冷媒および空気を想定して説明したが、上記したように、伝熱管2の内部の熱伝達率が外部の熱伝達率に対して大きい場合には、上記の議論をそのまま適用することが可能であり、他の気体、液体、気液混合流体等を用いても、同様の効果を奏する。
【0096】
また、伝熱管2と板状フィン1を銅やアルミ等の同一材料で構成すれば、板状フィン1と伝熱管2とをロウ付けで接合することが可能となり、板状フィン1と伝熱管2との接触熱伝達率が飛躍的に向上して、熱交換能力を大幅に向上させることができるとともに、廃棄時に、伝熱管2から板状フィン1を取りはずす必要がなくなり、リサイクル性も向上させることができる。
【0097】
【発明の効果】
この発明による熱交換器は、以上説明したように構成されているので、以下に示すような効果を奏する。
【0098】
多数平行に配置され、その間を気体が流動する板状フィンと、前記板状フィンに対して直角に挿入され、前記気体の流動方向および該流動方向と垂直な方向に、それぞれ、複数列および複数段配置された複数の伝熱管とを備え、前記気体と前記伝熱管の内部を流れる作動流体との間で熱交換を行なうよう構成した熱交換器において、前記伝熱管を楕円形状とするとともに、その長軸方向を前記気体の流動方向に平行に配置し、前記伝熱管の列ピッチLp(前記伝熱管の前記気体の流動方向の中心間距離)を、前記伝熱管と等断面積の円管直径Dに対して、0≦Lp≦1.8Dとし、前記気体の流動方向に前記板状フィンを切り起こして形成した脚部を有するスリットを前記板状フィン上に設けるとともに、前記板状フィンのフィン幅方向の中心線に対して、前記気体の流動方向の上流側の前記スリットの数を、下流側より多くし、上流側の前記スリットの幅を、下流側の前記スリットの幅より小さくしたため、熱交換能力が高くかつ通風抵抗が小さい熱交換器が得られる効果がある。また、熱交換能力が高くかつ通風抵抗が小さい熱交換器が得られる効果がある。また、下流側での空気流の整流効果を高めることができ、伝熱性能が向上する効果がある。
【0099】
多数平行に配置され、その間を気体が流動する板状フィンと、前記板状フィンに対して直角に挿入され、前記気体の流動方向および該流動方向と垂直な方向に、それぞれ、2列および複数段配置された複数の伝熱管とを備え、前記気体と前記伝熱管の内部を流れる作動流体との間で熱交換を行なうよう構成した熱交換器において、前記伝熱管を楕円形状とするとともに、その長軸方向を前記気体の流動方向に平行に配置し、前記板状フィンの前記気体の流動方向のフィン幅 L を、前記伝熱管と等断面積の円管直径 D に対して、 2D L 3.8D とし前記気体の流動方向に前記板状フィンを切り起こして形成した脚部を有するスリットを前記板状フィン上に設けるとともに、前記板状フィンのフィン幅方向の中心線に対して、前記気体の流動方向の上流側の前記スリットの数を、下流側より多くし、上流側の前記スリットの幅を、下流側の前記スリットの幅より小さくしたため、熱交換能力が高くかつ通風抵抗が小さい熱交換器が得られる効果がある。また、熱交換能力が高くかつ通風抵抗が小さい熱交換器が得られる効果がある。また、下流側での空気流の整流効果を高めることができ、伝熱性能が向上する効果がある。
【0100】
また、前記伝熱管の列ピッチLpを、前記伝熱管の長軸長さdaに対して、
0≦Lp≦da
とし、前記気体の流動方向に、前記伝熱管がオーバーラップする領域を構成したしたため、楕円管がオーバーラップする領域で伝熱性能を向上させることができ、熱交換能力が高くかつ通風抵抗が小さい熱交換器が得られる効果がある。
【0101】
また、多数平行に配置され、その間を気体が流動する板状フィンと、前記板状フィンに対して直角に挿入され、前記気体の流動方向および該流動方向と垂直な方向に、それぞれ、複数列および複数段配置された複数の伝熱管とを備え、前記気体と前記伝熱管の内部を流れる作動流体との間で熱交換を行なうよう構成した熱交換器において、前記伝熱管を楕円形状とするとともに、その長軸方向を前記気体の流動方向に平行に配置し、前記板状フィンの前縁から最上流の前記伝熱管までの距離a1と、前記板状フィンの後縁から最下流の前記伝熱管までの距離a2とを
a1≦a2
としたため、伝熱管2の前縁効果による伝熱促進効果を有効に利用することができ、熱交換器の伝熱性能を向上させることができる。
【0102】
また、下流側の前記スリットを脚部のみからなる脚部のみスリットとしたしたため、通風抵抗の増大を抑制しつつ熱交換能力を向上できる効果がある。
【0103】
また、前記脚部のみスリットを、その脚部が前記伝熱管の外側面に略沿うように形成したため、前記伝熱管近傍の流れが整流され、通風抵抗の増大を抑制しつつ熱交換能力を向上できる効果がある。
【0104】
また、前記脚部のみスリットの少なくともひとつに沿って、前記気体の流動方向に平行な脚部を有する補助スリットを形成したため、前記気体の流れが整流され、伝熱性能が向上する効果がある。
【0105】
また、前記気体の流動方向の、前記伝熱管がオーバーラップする領域に前記板状フィンを前記気体の流動方向に切り起こして形成した脚部を有するスリットを設けたため、スリットの前縁効果が顕著となり、より伝熱が促進される効果がある。
【0106】
また、前記スリットの脚部を、前記板状フィン面を流れる前記スリット近傍の局所的な前記気体の流線と平行としたため、整流効果によって伝熱性能が向上する効果がある。
【0107】
また、多数平行に配置され、その間を気体が流動する板状フィンと、前記板状フィンに対して直角に挿入され、前記気体の流動方向および該流動方向と垂直な方向に、それぞれ、複数列および複数段配置された複数の伝熱管とを備え、前記気体と前記伝熱管の内部を流れる作動流体との間で熱交換を行なうよう構成した熱交換器において、前記伝熱管を偏平形状とするとともに、前記伝熱管の長軸を重力方向に傾斜させ、前記伝熱管の長軸の重力方向となす角度(θ)を、前記気体の流動方向の下流の前記伝熱管ほど小さくしたため、前記伝熱管上に凝縮した流体が落下し易くなり、熱通過率が向上して、熱交換器の伝熱性能が向上する効果がある。また、前記伝熱管の長軸の重力方向となす角度(θ)を、前記気体の流動方向の下流の前記伝熱管ほど小さくしたため、前記伝熱管に凝縮した流体が送風機に吸込まれにくくなる効果がある。
【0108】
また、多数平行に配置され、その間を気体が流動する板状フィンと、前記板状フィンに対して直角に挿入され、前記気体の流動方向および該流動方向と垂直な方向に、それぞれ、複数列および複数段配置された複数の伝熱管とを備え、前記気体と前記伝熱管の内部を流れる作動流体との間で熱交換を行なうよう構成した熱交換器において、前記伝熱管を偏平形状とするとともに、前記伝熱管の長軸を重力方向に傾斜させ、前記伝熱管の長軸の重力方向となす角度(θ)を、前記気体の流動方向の下流の前記伝熱管ほど小さくしたため、前記伝熱管の後流に生じる死水域が送風機に届きにくくなり、送風機の騒音を低減できる効果がある。また、前記伝熱管の長軸が前記気体の流動方向となす角度を、前記気体の流動方向の下流の前記伝熱管ほど大きくしたため、前記伝熱管の後流に生じる死水域が一層送風機に届きにくくなり、送風機の騒音を低減できる効果がある。
【0109】
また、前記伝熱管と前記板状フィンとを同一材質で構成したため、前記伝熱管と前記板状フィンとをロー付けで接合することができ、接触熱伝達率が向上して、熱交換能力を大幅に向上させることができるとともに、廃棄時に、前記伝熱管と前記板状フィンとを取りはずす必要がなくなり、リサイクル性も向上させることができる。
【0110】
また、この発明による空調冷凍装置は、熱交換器部に前記の熱交換器を備えたため、熱交換器び通風抵抗と伝熱性能が向上し、エネルギー効率に優れた空調冷凍装置が得られる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1の熱交換器の構成を表す平面断面図および部分側断面図。
【図2】 円管および楕円管の死水域10の発生状況を表す比較図。
【図3】 この発明の実施の形態1の伝熱管の偏平率と熱交換能力との関係を示す特性図。
【図4】 この発明の実施の形態1の伝熱管の列ピッチと熱交換能力との関係を示す特性図。
【図5】 この発明の実施の形態1のフィン幅と熱交換能力との関係を示す特性図。
【図6】 この発明の実施の形態1のフィン前縁から伝熱管最上流の伝熱管までの距離と熱交換能力との関係を示す特性図。
【図7】 この発明の実施の形態2の熱交換器の構成を表す平面断面図および部分側断面図。
【図8】 この発明の実施の形態2の熱交換器のスリットの配置および形状の詳細を表す図。
【図9】 この発明の実施の形態2の熱交換器の上流側におけるスリットと空気流の流線の関係を表す図。
【図10】 この発明の実施の形態2の熱交換器の下流側におけるスリットと空気流の流線の関係を表す図。
【図11】 板状フィンとスリット上の温度境界層の発達状況との関係を示す説明図。
【図12】 この発明の実施の形態2のスリットの数と熱交換能力との関係を示す特性図。
【図13】 この発明の実施の形態3の熱交換器の構成を表す平面図。
【図14】 この発明の実施の形態4の熱交換器の構成を表す平面図。
【図15】 この発明の実施の形態5の空調冷凍装置の構成を表す冷媒回路図。
【図16】 この発明の実施の形態5の空調冷凍装置に用いられる熱交換器の構成を表す平面図。
【図17】 従来の熱交換器の構成を表す平面断面図および部分側断面図。
【符号の説明】
1 板状フィン
2 伝熱管
3、4、5 スリット
3a、4a、5a 脚部
3b、4b、5b 平行部
6、7 脚部のみスリット
6a、7a 脚部
8 補助スリット
1 板状フィン1の前縁から最上流の伝熱管2までの距離
2 板状フィン1の後縁から最下流の伝熱管2までの距離
D 伝熱管2と等断面積(外径)を有する円管の直径
da 楕円伝熱管2の長軸長さ
db 楕円伝熱管2の短軸長さ
L 板状フィン1のフィン幅
Lp 伝熱管2の列方向(気体の流動方向)の中心間距離
θ 楕円伝熱管2の長軸と重力方向との角度

Claims (14)

  1. 多数平行に配置され、その間を気体が流動する板状フィンと、
    前記板状フィンに対して直角に挿入され、前記気体の流動方向および該流動方向と垂直な方向に、それぞれ、複数列および複数段配置された複数の伝熱管とを備え、
    前記気体と前記伝熱管の内部を流れる作動流体との間で熱交換を行なうよう構成した熱交換器において、
    前記伝熱管を楕円形状とするとともに、その長軸方向を前記気体の流動方向に平行に配置し、前記伝熱管の列ピッチLp(前記伝熱管の前記気体の流動方向の中心間距離)を、前記伝熱管と等断面積の円管直径Dに対して、
    0≦Lp≦1.8D
    とし、
    前記気体の流動方向に前記板状フィンを切り起こして形成した脚部を有するスリットを前記板状フィン上に設けるとともに、前記板状フィンのフィン幅方向の中心線に対して、前記気体の流動方向の上流側の前記スリットの数を、下流側より多くし、
    上流側の前記スリットの幅を、下流側の前記スリットの幅より小さくしたことを特徴とする熱交換器。
  2. 多数平行に配置され、その間を気体が流動する板状フィンと、
    前記板状フィンに対して直角に挿入され、前記気体の流動方向および該流動方向と垂直な方向に、それぞれ、2列および複数段配置された複数の伝熱管とを備え、
    前記気体と前記伝熱管の内部を流れる作動流体との間で熱交換を行なうよう構成した熱交換器において、
    前記伝熱管を楕円形状とするとともに、その長軸方向を前記気体の流動方向に平行に配置し、前記板状フィンの前記気体の流動方向のフィン幅 L を、前記伝熱管と等断面積の円管直径 D に対して、
    2D L 3.8D
    とし
    前記気体の流動方向に前記板状フィンを切り起こして形成した脚部を有するスリットを前記板状フィン上に設けるとともに、前記板状フィンのフィン幅方向の中心線に対して、前記気体の流動方向の上流側の前記スリットの数を、下流側より多くし、
    上流側の前記スリットの幅を、下流側の前記スリットの幅より小さくしたことを特徴とする熱交換器。
  3. 前記伝熱管の列ピッチLpを、前記伝熱管の長軸長さdaに対して、
    0≦Lp≦da
    とし、前記気体の流動方向に、前記伝熱管がオーバーラップする領域を構成したことを特徴とする請求項1ないし2のいずれかに記載の熱交換器。
  4. 前記板状フィンの前縁から最上流の前記伝熱管までの距離a1と、前記板状フィンの後縁から最下流の前記伝熱管までの距離a2とを
    a1≦a2
    としたことを特徴とする請求項1ないし2のいずれかに記載の熱交換器。
  5. 下流側の前記スリットを脚部のみからなる脚部のみスリットとしたことを特徴とする請求項に記載の熱交換器。
  6. 前記脚部のみスリットを、その脚部が前記伝熱管の外側面に略沿うように形成したことを特徴とする請求項に記載の熱交換器。
  7. 前記脚部のみスリットの少なくともひとつに沿って、前記気体の流動方向に平行な脚部を有する補助スリットを形成したことを特徴とする請求項に記載の熱交換器。
  8. 前記気体の流動方向の、前記伝熱管がオーバーラップする領域に前記板状フィンを前記気体の流動方向に切り起こして形成した脚部を有するスリットを設けたことを特徴とする請求項1ないし請求項のいずれかに記載の熱交換器。
  9. 前記スリットの脚部が、前記板状フィン面を流れる前記スリット近傍の局所的な前記気体の流線と平行であることを特徴とする請求項ないし請求項のいずれかに記載の熱交換器。
  10. 多数平行に配置され、その間を気体が流動する板状フィンと、
    前記板状フィンに対して直角に挿入され、前記気体の流動方向および該流動方向と垂直な方向に、それぞれ、複数列および複数段配置された複数の伝熱管とを備え、
    前記気体と前記伝熱管の内部を流れる作動流体との間で熱交換を行なうよう構成した熱交換器において、
    前記伝熱管を偏平形状とするとともに、前記伝熱管の長軸を重力方向に傾斜させ、
    前記伝熱管の長軸の重力方向となす角度(θ)を、前記気体の流動方向の下流の前記伝熱管ほど小さくしたことを特徴とする熱交換器。
  11. 多数平行に配置され、その間を気体が流動する板状フィンと、
    前記板状フィンに対して直角に挿入され、前記気体の流動方向および該流動方向と垂直な方向に、それぞれ、複数列および複数段配置された複数の伝熱管とを備え、
    前記気体と前記伝熱管の内部を流れる作動流体との間で熱交換を行なうよう構成した熱交換器において、
    前記伝熱管を楕円形状とするとともに、前記伝熱管の長軸を前記気体の流動方向に対して傾斜させ、
    前記伝熱管の長軸が前記気体の流動方向となす角度を、前記気体の流動方向の下流の前記伝熱管ほど大きくしたことを特徴とする熱交換器。
  12. 前記伝熱管と前記板状フィンとを同一材質で構成したことを特徴とする請求項1ないし請求項11のいずれかに記載の熱交換器。
  13. 前記気体が空気であり、前記作動流体が冷媒であることを特徴とする請求項1ないし請求項12のいずれかに記載の熱交換器。
  14. 請求項1ないし請求項13のいずれかに記載の熱交換器を備えたことを特徴とする空調冷凍装置。
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