JP4186265B2 - 機械読取用紙及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、機械読取用紙及びその製造方法並びにその製造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
各種証券用紙の偽造防止策としては、例えば蛍光材料などの機械読取に適した材料を用紙表面又は紙層内部に付与する方法が従来から試みられている。
【0003】
ここで、機械読取に適した材料を用紙の表面に付与する方法としては、印刷による付与と、コーターでコーティングする付与が一般的である。
【0004】
機械読取に適した材料をワニスや顔料と混合してインキ化し、フレキソ印刷、オフセット印刷等の各種印刷方式で印刷する方法では、通常は文字や図柄の一部分としてデザインを有する状態で付与される。上記の各種印刷方式を用いて、用紙表面に機械読取に適した材料を肉眼で不可視の状態で付与することを試みた場合、インキ中のワニス成分のために、用紙上の印刷部分と非印刷部分で明らかな光沢差が生じてしまい、肉眼で不可視の状態で付与することが難しい。
【0005】
機械読取に適した材料をバインダーと混合して塗工液とし、コーターを用いてコーティングする方法では、用紙表面の全面にコーティングする方法が公知であり、部分的にコーティングする方法としては、特開平8−49198号の方法がある。
【0006】
また、用紙の製造段階で顔料等を用紙表面に付与する方法としては、特表平10−500901号のように、多量低速霧化スプレーミストの状態で、用紙表面全面に顔料をコーティングする方法がある。このコーティング方法は、コーティング物質を空気圧で霧状にして、低圧状態で用紙表面の全面に噴霧付与することを目的としたものであり、コーティング物質は用紙の表面の全面に付与される。
【0007】
他方、機械読取に適した材料を用紙の紙層内部に全面にわたって付与する方法としては、前記材料を紙料中に混合して抄造し、機械読取に適した材料を用紙全体に分散させて付与する方法が公知である。
【0008】
更に、機械読取に適した材料を紙層内部に部分的に付与する方法としては、特公平6−63200号のように、円網抄紙機の円網槽内において繊維状の材料を部分的に混抄する方法がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従来の技術のうち、機械読取に適した材料をフレキソ印刷、オフセット印刷等の各種印刷方式で印刷する方法及びコーターを用いてコーティングする方法では、前記材料を用紙に付与するための印刷やコーティング等の加工工程を必要とする。
【0010】
また、印刷により機械読取に適した材料をデザインを有する状態で用紙に付与する場合、前記材料の識別に適するようにデザインを考慮する必要があり、前記材料の存在を肉眼では視認できない状態に付与するためには、印刷のデザインによってこれを隠ぺいする必要があり、いずれの場合もデザイン上の制約を受けなければならなかった。
【0011】
特表平10―500901号のように、機械読取に適した材料をコーターを用いて用紙表面の全面にコーティングする方法、特開平8―49198号のように、多量低速霧化スプレーミストの状態で用紙表面の全面にコーティングする方法では、前記材料を部分的に付与することができないため、前記材料の有無を検出するには部分的に用紙表面を隠ぺいするための加工が必要である。
【0012】
また、機械読取に適した材料を紙料中に混合して抄造することによって前記材料を用紙全体に分散付与する方法を含め、用紙の全面に付与する方法は、高額な前記材料を付与する方法としては経済的に引き合わない。
【0013】
更に、特公平6―63200号のように、円網抄紙機の円網槽内において繊維状の材料を部分的に混抄する方法では、材料の形状に制約があり、また、長網抄紙機で同じ方法を試みても、用紙紙層を乱してしまうために採用できない。
【0014】
そこで、本発明は、機械読取に適した材料を用紙表面の任意部分に、しかも、紙層内部に至る領域にまで分布させて、肉眼では視認することのできない不可視の状態で付与した偽造防止効果の高い機械読取用紙及びその経済的な製造方法並びにその製造装置を得ることを目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明では、抄紙機の紙層を形成する過程で、機械読取に適した材料を湿紙表面の任意部分に、連続又は間欠にスプレー噴霧することによって、前記材料は用紙表面及び紙層内部に至るまでの所望の領域に十分な堅牢性を持って付与され、工程の簡略化、前記材料使用量の低減を図ることができる。
【0016】
すなわち、本発明の機械読取用紙は、請求項1記載のように、抄紙機の紙層を形成する過程において、スプレーノズルを有するスプレー装置を設置し、前記スプレー装置を用いて抄紙機上の湿紙の表面に向かって機械読取に適した材料を噴霧するにあたって、湿紙の表面と前記ノズルの距離、機械読取に適した材料を噴霧する圧力を制御することによって、用紙の表面から所望される内部に至るまでの領域に機械読取に適した材料を付与したことを特徴としている。
【0017】
また、本発明の機械読取用紙は、請求項2記載のように、機械読取に適した材料として、紫外線吸収材料、赤外線吸収材料、蛍光発光材料のいずれかの材料を使用したことを特徴としている。
【0018】
また、本発明の機械読取用紙は、請求項3記載のように、機械読取に適した材料として、用紙と同色又は近似色の材料を使用することによって、用紙に付与された機械読取に適した材料を通常の状態で不可視状態としたことを特徴としている。
【0019】
また、本発明の機械読取用紙は、請求項4記載のように、紙料がすき網上に流れ出る際の流量を調節するスライスの下流側で、ダンディーロールへ入るまでの湿紙の水分がすき網により初期脱水されつつある部位において、湿紙の表面に向かって機械読取に適した材料を噴霧したことを特徴としている。
【0020】
また、本発明の機械読取用紙は、請求項5記載のように、湿紙表面を滑らかにするダンディーロールの下流側で、サクションボックスの吸引により強制脱水されつつある部位において、湿紙の表面に向かって機械読取に適した材料を噴霧したことを特徴としている。
【0021】
また、本発明の機械読取用紙は、請求項6記載のように、機械読取に適した材料を連続して帯状に付与したことを特徴としている。
【0022】
また、本発明の機械読取用紙は、請求項7記載のように、機械読取に適した材料を断続して間欠に付与したことを特徴としている。
【0023】
また、本発明の機械読取用紙の製造方法は、請求項8記載のように、抄紙機の紙層を形成する過程において、スプレーノズルを有するスプレー装置を設置し、前記スプレー装置を用いて抄紙機上の湿紙の表面に向かって機械読取に適した材料を噴霧するにあたって、湿紙の表面と前記ノズルの距離、機械読取に適した材料を噴霧する圧力を制御することによって、用紙の表面から所望される内部に至るまでの領域に機械読取に適した材料を付与することを特徴としている。
【0024】
また、本発明の機械読取用紙の製造方法は、請求項9記載のように、機械読取に適した材料として、紫外線吸収材料、赤外線吸収材料、蛍光発光材料のいずれかの材料を使用することを特徴としている。
【0025】
また、本発明の機械読取用紙の製造方法は、請求項10記載のように、機械読取に適した材料として、用紙と同色又は近似色の材料を使用することによって、用紙に付与された機械読取に適した材料を通常の状態で不可視状態とすることを特徴としている。
【0026】
また、本発明の機械読取用紙の製造方法は、請求項11記載のように、紙料がすき網上に流れ出る際の流量を調節するスライスの下流側で、ダンディーロールへ入るまでの湿紙の水分がすき網により初期脱水されつつある部位において、湿紙の表面に向かって機械読取に適した材料を噴霧することを特徴としている。
【0027】
また、本発明の機械読取用紙の製造方法は、請求項12記載のように、湿紙表面を滑らかにするダンディーロールの下流側で、サクションボックスの吸引により強制脱水されつつある部位において、湿紙の表面に向かって機械読取に適した材料を噴霧することを特徴としている。
【0028】
また、本発明の機械読取用紙の製造方法は、請求項13記載のように、湿紙の任意部分へ連続して機械読取に適した材料を噴霧することによって、湿紙の進行方向に帯状に機械読取に適した材料を付与することを特徴としている。
【0029】
また、本発明の機械読取用紙の製造方法は、請求項14記載のように、湿紙の任意部分へ断続して機械読取に適した材料を噴霧することによって、湿紙の進行方向に間欠に機械読取に適した材料を付与することを特徴としている。
【0030】
また、本発明の機械読取用紙の製造装置は、請求項15記載のように、抄紙機の紙層を形成する過程において、スプレーノズルを有するスプレー装置を設置し、前記スプレー装置を用いて抄紙機上の湿紙の表面に向かって機械読取に適した材料を噴霧するにあたって、湿紙の表面と前記ノズルの距離、機械読取に適した材料を噴霧する圧力を制御することによって、用紙の表面から所望される内部に至るまでの領域に機械読取に適した材料を付与することを特徴としている。
【0031】
【発明の実施の形態】
本発明は、前記した目的を達成するために、スプレーノズルを有するスプレー装置を用いて、抄紙機で紙層を形成する過程の湿紙に向けて、機械読取に適した材料を前記ノズルから連続又は間欠に噴霧する。抄紙機上の噴霧位置、湿紙表面と前記ノズルの距離、前記ノズルの形状、噴霧圧力、噴霧時間、噴霧間隔を調整することで、機械読取に適した材料の量、位置、形状、紙層中への分布状態を制御する。
【0032】
【実施例】
実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこの実施例によってなんら限定されるものではない。
【0033】
すなわち、以下に示す実施例では、機械読取に適した材料として紫外線吸収材料の一つである二酸化チタンを使用する場合の例を示すが、他の紫外線吸収材料には、例えば硫化亜鉛、硫化亜鉛カドミウム、硫化カルシウム等の無機物質や、イミダゾール系、ジアミノジフェニル系、チアゾール系等の有機物質があり、これらの物質を使用することもできる。
【0034】
また、以下に示す実施例と同じ方法で、機械読取に適した材料として赤外線吸収材料である、例えばインジウム系化合物、ジルコニウム系化合物、アントラキノン系化合物等を用いることもできる。
【0035】
また、機械読取に適した材料として、可視領域、紫外領域、又は、赤外領域のいずれかの領域の波長を発光する蛍光発光材料を用いることもできる。可視領域の波長を発光する材料には、例えば硫化亜鉛系化合物、酸化亜鉛系化合物、ケイ酸亜鉛系化合物等があり、紫外領域の波長を発光する材料には、例えばBaSi2O5::Pb、SrB4O7:Eu、Ca3(PO4)2:Tl等があり、赤外領域の波長を発光する材料には、例えばLiAlO2:Fe、(Zn・Cd)S:Cu、YVO4:Nd等がある。
【0036】
更に、以下に示す実施例は長網抄紙機を想定したものとなっているが、短網抄紙機や円網抄紙機においても、紙料の初期脱水時に同様の方法を用いることによって同様の効果を得ることができる。
【0037】
(実施例1)
図1は本発明の実施例を示す概略図である。図1において、(1)はすき網であり、(2)はスライス、(3)はサクションボックス、(4)はダンディーロール、(5)はプレスロール、(6)は機械読取に適した材料を噴霧するスプレーノズル、(7)は前記材料を送り出すポンプ、(8)は前記材料を循環させる循環パイプ、(9)は前記材料を噴霧する時間及び間隔を調整する電磁弁、(10)は上記電磁弁を制御する制御盤、(11)は前記材料のタンク、(12)は前記材料を撹拌する撹拌機、(13)は針葉樹漂白クラフトパルプに、白土、内添薬品を加えた紙料が、上記すき網(1)上で脱水されつつある湿紙である。機械読取に適した材料(14)の組成は、二酸化チタンを水に対して0.5部、ヘキサメタリン酸ナトリウムを二酸化チタンに対して0.1部混合したものであるが、この割合は、機械読取に適した材料を検知するために必要とされる出力レベルに応じて、適宜、変化させることができる。なお、二酸化チタンの代わりに、前記した機械読取に適した材料のいずれかの材料を用いてもよい。
【0038】
機械読取に適した材料のタンク(11)中の前記材料を前記材料を送り出すポンプ(7)で送り出し、前記材料は、前記材料を循環させる循環パイプ(8)を通って、前記材料を噴霧するスプレーノズル(6)ですき網上の湿紙(13)に噴霧される。前記材料を噴霧するスプレーノズル(6)は、すき網上を自由に移動することができるので、すき網(1)上の任意の部位で噴霧を行うことができる。噴霧されなかった前記材料は前記材料を循環させる循環パイプ(8)を通って、再び前記材料のタンク(11)に戻ることで、循環パイプ(8)の中に沈降することを防ぐ。前記材料を撹拌する撹拌機(12)は、前記材料が前記材料のタンク(11)の中に沈降することを防ぐ。スプレーノズル(6)から噴霧される前記材料の量、湿紙(13)に付与される形状、湿紙(13)の内部への分布は、前記材料を噴霧するスプレーノズル(6)のタイプ、前記材料を噴霧するスプレーノズル(6)と湿紙(13)の距離、前記材料を送り出すポンプ(7)の圧力、前記材料を噴霧する時間及び間隔を調整する電磁弁(9)、電磁弁を制御する制御盤(10)によって自由に制御される。
【0039】
図2は、図1の機械読取に適した材料を噴霧するスプレーノズル(6)を、湿紙の水分がすき網を通して初期脱水されつつある部位、この実施例では、スライス(2)の下流側で50mmの部位に、湿紙表面とスプレーノズルの距離が60mmとなるように設置し、前記材料(14)を圧力0.25 Kgf/cm2で連続的に噴霧し、抄造した用紙(P1)の実際には肉眼で見えない機械読取に適した材料部分(16)を想定して示した図である。噴霧された二酸化チタン(16)は、用紙(P1)の紙層を乱すことなく帯状に付与されており、紫外線モニタでは確認できるが肉眼では視認できない。図3(a)は図2の用紙(P1)において、前記材料を噴霧した部分(16)のA―B間の断面の反射電子像(17)である。また、図3(b)は、図3(a)における二酸化チタンの分布状態(18)を蛍光X線分析によって図示したものである。図3の(a)及び(b)から、紙層の中心部まで二酸化チタンが付与されていることが確認できる。この実施例の部位で付与することの利点は、紙層のより深い部分に付与されることで、機械読取の機能を堅牢に保つことができることである。
【0040】
図4は、図2の用紙A−B間における紫外線波長365nmの分光反射量を示した図である。この図4において、機械読取に適した材料を噴霧した部分である図2の(16)に対応した波形 (16')は、図2の前記材料を噴霧していない部分(15)の波形 (15')と比較して反射量が低いため、この差の有無や大きさ等を判定することで、真偽判別を行うことができる。前記材料が帯状に付与されていることの利点は、用紙製造時の流れ方向のどの部位にも前記材料が付与されているために、肉眼では見えない前記材料の検知が容易に行えることである。
【0041】
(実施例2)
図5は、図1の機械読取に適した材料を噴霧するスプレーノズル(6)を、湿紙の初期脱水が終わり残りの水分がサクションボックス(3)の吸引により強制脱水されつつある部位、この実施例ではダンディーロール(4)の下流側で50mmの位置に、湿紙表面とノズルの距離が50mmとなるように設置し、前記材料(14)を圧力 3Kgf/cm2、噴霧時間0.01秒で間欠に噴霧し、抄造した用紙(P2)の実際には肉眼で見えない機械読取に適した材料部分(20)、(21
)、(22)を想定して示した図である。噴霧された前記材料(20)、(21)、(22)は、用紙(P2)の紙層を乱すことなく、楕円様の形状で間欠に付与されており、紫外線モニタでは確認できるが肉眼では視認できない。この実施例の部位で付与することの利点は、付与した形状が脱水作用によって変化することがなく、当初に意図した形状を付与できることである。図6(a)は図5の用紙(P2)において、前記材料を噴霧した部分(20)のA―B間の断面の反射電子像(23)である。また、図6(b)は、図6(a)における二酸化チタンの分布状態(24)を蛍光X線分析によって図示したものである。図6の(a)及び(b)から、紙層の表面付近及び内部に二酸化チタンが付与されていることが確認できる。
【0042】
図7は、図5の用紙A−B間における紫外線波長365nmの分光反射量を示した図である。この図7において、機械読取に適した材料を噴霧した部分である図5の(20)、(21)、(22)に対応した波形 (20')、(21')、(22')は、図5の前記材料を噴霧していない部分(19)の波形 (19')と比較して反射量が低いため、この差の有無や大きさ等を判定することで、真偽判別を行うことができる。前記材料を間欠に付与することの利点は、高価な前記材料の使用量低減を図ることができ、前記材料を付与する部位を特定することで、真偽判別の精度を高めることができることである。
【0043】
図2及び図5の用紙(P1)、(P2)に印刷を施す場合、機械読取に適した材料は肉眼で不可視の状態で付与されているため、印刷物は自由にデザインすることができる。
【0044】
(実施例3)
図8は、図5の用紙(P2)の機械読取に適した材料を噴霧した部分(20)をJIS L 0849に規定される摩擦試験機II形(学振形)を用いて、先端に絹布を取り付けた摩擦子に200gの加重をかけ、500回摩擦した前後の紫外線波長365nmの分光反射量を示した図である。図8(a)の摩擦する前の波形と、図8(b)の摩擦した後の波形を比較した場合、出力の強度に差は殆ど生じていない。このことから、前記材料は十分な堅牢性を持って付与されていることがわかる。
【0045】
(比較例)
図9は、図1の機械読取に適した材料(14)を噴霧するスプレーノズル(6)を、湿紙の水分が6割乃至7割程度まで脱水された後の部位、この比較例では、プレスロール(5)の下流側50mmに位置に湿紙表面とノズルの距離が50mmとなるように設置し、前記材料(14)を圧力 3Kgf/cm2、噴霧時間0.01秒で間欠に噴霧して抄造した用紙(P')である。
【0046】
図10(a)は、図9の用紙(P')における機械読取に適した材料を噴霧した部分(25)のA―B間の断面の反射電子像(26)である。また、図10(b)は、図10(a)における二酸化チタンの分布状態(27)を蛍光X線分析によって図示したものである。図10の(a)及び(b)から、紙層表面にのみ二酸化チタンが付与されていることが確認できる。
【0047】
印刷で機械読取に適した材料を付与した一般の用紙(図示せず)においても、前記した分析手法を用いて観察すれば、前記材料の分布状態は図10の(a)及び(b)と同様であり、前記材料は紙層の表面にのみ確認することができた。
【0048】
更に、印刷で機械読取に適した材料を付与した一般の用紙(図示せず)では、前記材料はバインダーと共に紙層表面に付与されているため、上記した実施例1で作製された図2の用紙(P1)、又は、実施例2で作製された図5の用紙(P2)と比較して前記材料を肉眼で見た場合の不可視効果が劣っていた。
【0049】
図11は、図9の用紙の機械読取に適した材料を噴霧した部分(25)をJIS L 0849に規定される摩擦試験機II形(学振形)を用いて、先端に絹布を取り付けた摩擦子に200gの加重をかけ、500回摩擦した前後の紫外線波長365nmの分光反射量を示した図である。図11(a)の摩擦する前の波形と比較して、図11(b)の摩擦した後の波形は出力の強度が低下している。このことから、前記材料が紙層表面にのみ存在するため、摩擦に対して十分な堅牢性が得られていないことがわかる。
【0050】
このように、機械読取に適した材料が紙層表面にのみ存在する状態で十分な堅牢性を得るためには、前記材料にバインダーを添加する必要があるが、当然にもバインダーを添加した場合は、添加しない場合と比較して肉眼で見た場合の不可視効果が劣っていた。
【0051】
【発明の効果】
本発明では、機械読取に適した材料は、紙層内部にまで付与されるため、用紙の繊維と絡み合うことによって、バインダーを用いなくとも十分実用に耐える堅牢性を有し、ひとたび製品となった用紙から容易に脱落することがない。また、スプレー噴霧する位置や時間、圧力等を制御することで、前記材料は、抄造段階で紙層を乱すことなく、製品となった用紙表面の任意部分の紙層内部にまで、十分な堅牢性を持って付与されるので、従来の技術と比較して工程の簡略化、前記材料の使用量の低減を図ることができる。このとき、前記材料を肉眼では不可視の状態で付与した場合には、印刷時にデザイン上の配慮をする必要がない。
【0052】
また、紙層内部の機械読取に適した材料を検出することによって、印刷等の方法を用いて表面にのみ前記材料を付与した偽造物に対して、その真偽判別を有効におこなうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】機械読取に適した材料を抄紙機上で噴霧するためのスプレー装置の説明図。
【図2】スライス下流側での初期脱水時に、スプレー装置によって機械読取に適した材料が帯状に付与された用紙を示す図。
【図3】図2の用紙の二酸化チタンが付与された部分のA−B間の断面図。
【図4】図2の用紙のA−B間の紫外線分光反射量の波形図。
【図5】サクションボックス上での強制脱水時に、スプレー装置によって機械読取に適した材料が間欠で付与された用紙を示す図。
【図6】図5の用紙の二酸化チタンが付与された部分のA−B間の断面図。
【図7】図5の用紙のA−B間の紫外線分光反射量の波形図。
【図8】図5の用紙を摩擦する前後の紫外線分光反射量の波形図。
【図9】水分が6割乃至7割程度まで脱水されたプレスロール下流側で、スプレー装置によって機械読取に適した材料が間欠で付与された用紙を示す図。
【図10】図9の用紙の二酸化チタンが付与された部分のA−B間の断面図。
【図11】図9の用紙を摩擦する前後の紫外線分光反射量の波形図。
【符号の説明】
(1) 長網抄紙機のすき網
(2) スライス
(3) サクションボックス
(4) ダンディーロール
(5) プレスロール
(6) 機械読取に適した材料を噴霧するスプレーノズル
(7) 前記材料を送り出すポンプ
(8) 前記材料を循環させる循環パイプ
(9) 前記材料を噴霧する時間及び間隔を調整する電磁弁
(10) (9)の電磁弁を制御する制御盤
(11) 前記材料のタンク
(12) 前記材料を撹拌する撹拌機
(13) (1)のすき網にある湿紙
(14) 機械読取に適した材料
(15) 前記材料が付与されていない部分
(15') (15)の紫外線分光反射量の波形
(16) 前記材料が付与された部分
(16') (16)の紫外線分光反射量の波形
(17) 前記材料が付与された用紙の断面の反射電子像
(18) 紙層内部に存在する二酸化チタン
(19) 前記材料が付与されていない部分
(19') (19)の紫外線分光反射量の波形
(20) 前記材料が付与された部分
(20') (20)の紫外線分光反射量の波形
(21) 前記材料が付与された部分
(21') (21)の紫外線分光反射量の波形
(22) 前記材料が付与された部分
(22') (22)の紫外線分光反射量の波形
(23) 前記材料が付与された用紙の断面の反射電子像
(24) 紙層内部に存在する二酸化チタン
(25) 前記材料が付与された部分
(26) 前記材料が付与された用紙の断面の反射電子像
(27) 紙層表面に存在する二酸化チタン
(P1) 湿紙が初期脱水されつつある部位で前記材料を噴霧した用紙
(P2) 湿紙が強制脱水されつつある部位で前記材料を噴霧した用紙
(P') 湿紙が6割乃至7割程度まで脱水された後に前記材料を噴霧した用紙

Claims (7)

  1. 機械読取に適した材料が紙層内部にまで付与されていることで、前記機械読取に適した材料が不可視状態となっている機械読取用紙であって、前記機械読取に適した材料は、用紙と同色又は近似色の前記機械読取に適した材料を用いることで通常の状態では不可視状態とし、前記機械読取に適した材料を抄紙機の紙層を形成する過程において、前記機械読取に適した材料は、バインダーを用いずに前記機械読取に適した材料と水とを混合した状態で、スプレーノズルを有するスプレー装置により湿紙の表面に向かって噴霧し、湿紙の脱水作用を利用しながら紙層内部まで付与したことを特徴とする機械読取用紙。
  2. 前記機械読取に適した材料として、紫外線吸収材料、赤外線吸収材料、蛍光発光材料のいずれかの材料を使用したことを特徴とする請求項1記載の機械読取用紙。
  3. 前記機械読取に適した材料を連続して帯状又は断続して間欠に付与されていることを特徴とする請求項1又は2記載の機械読取用紙。
  4. 機械読取に適した材料を、抄紙機の紙層を形成する過程において紙層内部にまで付与することで、前記機械読取に適した材料を不可視状態とする機械読取用紙の製造方法であって、前記機械読取に適した材料は、用紙と同色又は近似色の前記機械読取に適した材料を用いることで、通常の状態では不可視状態とし、前記機械読取に適した材料は、バインダーを用いずに前記機械読取に適した材料と水とを混合した状態で、前記紙層を乱さないようにスプレーノズルを有するスプレー装置により、前記スプレーノズルと湿紙表面との距離及び圧力を制御しながら湿紙の表面に向かって噴霧し、湿紙の脱水作用を利用しながら紙層内部まで付与することを特徴とする機械読取用紙の製造方法。
  5. 前記機械読取に適した材料として、紫外線吸収材料、赤外線吸収材料、蛍光発光材料のいずれかの材料を使用することを特徴とする請求項4記載の機械読取用紙の製造方法。
  6. 前記スプレー装置により前記機械読取に適した材料と水とを混合した状態で湿紙表面に噴霧する位置は、紙料がすき網上に流れ出る際の流量を調節するスライスの下流側で、ダンディーロールへ入るまでの湿紙の水分がすき網により初期脱水されつつある部位又は湿紙表面を滑らかにするダンディーロールの下流側で、サクションボックスの吸引により強制脱水されつつある部位であることを特徴とする請求項4又は5記載の機械読取用紙の製造方法。
  7. 前記機械読取に適した材料を連続して帯状又は断続して間欠に付与することを特徴とする請求項4、5又は6記載の機械読取用紙の製造方法
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