以下、本発明にかかわる光ディスク装置の具体的な実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1の光ディスク装置の構成図である。本実施の形態の光ディスク装置は、従来例で説明した図13と同じ光ピックアップ11と、液晶収差補正素子(収差補正手段)4を駆動する収差補正素子駆動回路8と、光ピックアップ11から得られる信号を受けたり、対物レンズ5を駆動したりする制御回路118と、光ディスクの種類を判別するディスク判別手段12と、ディスク判別手段12の出力であるディスク判別信号13により液晶収差補正素子4で補正する球面収差補正量を選択し、切り替える収差補正量切替手段14とを具備している。
光ピックアップ11の構成は図13において説明したのと同様であり、図13と同一の構成要素には同一の符号を付して、これらの詳細な説明を省略する。
本発明の収差補正量切替手段14について説明する。例えば基準ディスクの基材厚みを100μmとする。収差補正量切替手段14には、収差補正量(a)(球面収差補正量0mλ)、収差補正量(b)(基準ディスクに対して基材厚みが10μm薄い光ディスクを補正する場合の球面収差補正量)、及び収差補正量(c)(基準ディスクに対して基材厚みが10μm厚い光ディスクを補正する場合の球面収差補正量)からなる3種類の収差補正量が予め設定されている。これらの収差補正量のうちから、ディスク判別手段12からのディスク判別信号13に応じて適切な球面収差補正量を選択し、切り替える。
図2A及び図2Bは、光ディスクの断面構成例である。図2Aは、記録層が単層の第1の光ディスク(単層ディスク)71を示し、図2Bは、記録層が2層の第2の光ディスク(2層ディスク)75を示している。
図2Aに示す第1の光ディスク71は、光ピックアップ側から基材72、記録層73、裏面の保護層74という順番に構成されている。基材72は樹脂などの透明な材質であり、第1の光ディスク71の光ピックアップ側の表面から記録層までの厚さは0.1mmである。
図2Bに示す第2の光ディスク75は、光ピックアップ側から基材76、L0層(第1の記録層)77、中間層78、L1層(第2の記録層)79、裏面の保護層80という順番に構成されている。基材76及び中間層78は樹脂などの透明な材質であり、第2の光ディスク75の光ピックアップ側の表面からL0層及びL1層までの厚さは、それぞれ0.09mmおよび0.11mmである。
次に本実施の形態の球面収差補正の手順について説明する。球面収差補正の動作は、例えば光ディスクが光ディスク装置に装着された時、又は光ディスク装置の電源を入れた時に開始することができる。最初にディスク判別手段12により光ディスクの種類が判別される。単層の記録層を有する光ディスク(第1の光ディスク71)であると判定された場合には、ディスク判別信号13の指令により収差補正量切替手段14で収差補正量(a)が選択され、基準ディスクとの基材厚誤差0μmに相当する球面収差が液晶収差補正素子4により補正される。この結果、その後、この記録層に対して行なわれるフォーカス制御において安定なフォーカスエラー信号を得ることができる。
次に2層ディスクの場合の球面収差補正に関して説明する。
ディスク判別手段12により2層の記録層を有する光ディスク(第2の光ディスク75)であると判定され、フォーカス制御をL0層77に対して行う場合には、ディスク判別信号13の指令により収差補正量切替手段14で収差補正量(b)が選択され、基準ディスクとの基材厚誤差が薄い側に10μmに相当する球面収差が液晶収差補正素子4により補正される。この結果、その後、このL0層77に対して行なわれるフォーカス制御において安定なフォーカスエラー信号を得ることができる。
同様に、ディスク判別手段12により2層の記録層を有する光ディスク(第2の光ディスク75)であると判定され、フォーカス制御をL1層79に対して行う場合には、ディスク判別信号13の指令により収差補正量切替手段14で収差補正量(c)が選択され、基準ディスクとの基材厚誤差が厚い側に10μmに相当する球面収差が液晶収差補正素子4により補正される。この結果、その後、このL1層79に対して行なわれるフォーカス制御において安定なフォーカスエラー信号を得ることができる。
本実施の形態の光ディスク装置ではフォーカス制御を動作させる前に、フォーカス制御を行う光ディスクの記録面に対して予め球面収差補正を行うことにより、その後のフォーカス制御において良好なフォーカスエラー信号を得ることができ、安定にフォーカス制御を動作させることができるという効果がある。
本実施の形態ではフォーカス制御を動作させる前に球面収差補正を開始する。球面収差の補正量は、フォーカス制御を行う光ディスクの記録面ごとに予め決めておき、ディスクの種類と対象とする記録面に応じて選択して切り替える。本実施の形態では、収差補正量切替手段14で選択できる収差補正量を基準ディスクに対して±10μmの基材厚誤差を想定したが、本発明はこの基材厚誤差に限定されない。例えば2層ディスクの標準的な中間層厚に基づいて収差補正量を決めても同様の結果を得ることができる。即ち、2層ディスクの一方の記録面に対する球面収差補正量を0mλとし、他方の記録面に対する球面収差補正量は、標準的な中間層厚を考慮して設定することができる。
なお、本実施の形態に用いるディスク判別手段12による光ディスクの種類の判別方法としては、光ディスクを収納するカートリッジに判別用の穴を開け、この穴を検出して判別する方法、カートリッジの形状により判別する方法、光ディスクからの反射光量より単層ディスクと2層ディスクを判別する方法など、光ディスクの種類を判別できる手法であれば何れでも適用できる。
(実施の形態2)
次に実施の形態2について説明する。なお、上述した実施の形態1と同じ構成要素に関しては同じ符号を付して、これらの詳細な説明を省略する。
図3は本発明の実施の形態2の光ディスク装置の構成図である。本実施の形態の光ディスク装置は、従来例で説明した図13と同じ光ピックアップ11と、液晶収差補正素子(収差補正手段)4を駆動する収差補正素子駆動回路8と、光ピックアップ11から得られる信号を受けたり、対物レンズ5を駆動したりする制御回路118と、基準厚みを有する光ディスクに対して液晶収差補正素子4を用いて球面収差を最適に補正したのときの球面収差補正量を記憶している基準値記憶手段16とを具備している。
基準値記憶手段16には、基準厚みを有する光ディスク(例えば基材厚み100μm)を用いて光ピックアップ11を組立調整したときの液晶収差補正素子4の球面収差補正量が予め記憶されている。基準となるディスク厚みは、図2Aに示した第1の光ディスク71あるいは図2Bに示した第2の光ディスク75の基材厚みの規格値より設定してもよい。
基準値記憶手段16としては、可変抵抗、FLASHメモリーやEEPROMなど第2の球面収差補正量を格納しておける手段であればいずれであっても良く、同等の効果を得ることができる。
次に本実施の形態の球面収差補正の手順について説明する。球面収差補正の動作は、例えば光ディスクが光ディスク装置に装着された時、又は光ディスク装置の電源を入れた時に開始することができる。基準値記憶手段16からの出力信号を収差補正素子駆動回路8に入力する。光ピックアップ11ごとに異なる固有の球面収差を考慮して液晶収差補正素子4により球面収差を補正するため、その後、この記録層に対して行なわれるフォーカス制御において安定なフォーカスエラー信号を得ることができる。
以上のように本実施の形態の光ディスク装置では、基準厚みを有する光ディスクを用いて光ピックアップを組立調整したときの液晶収差補正素子4の球面収差補正量が予め基準値記憶手段16に記憶される。そして、フォーカス制御を行なう前に、この球面収差補正量を用いて、フォーカス制御を行う光ディスクの記録面に対して球面収差補正を行う。これにより、その後のフォーカス制御において良好なフォーカスエラー信号を得ることができ、安定にフォーカス制御を動作させることができるという効果がある。
レンズ単体や光ピックアップ組立時の調整誤差などによって、個々の光ピックアップ毎に球面収差にバラツキが生じる場合がある。本実施の形態では、この光ピックアップに固有の球面収差を補正するための補正量(補正量は光ピックアップごとに異なる)を、基準値記憶手段16に記憶しておく。そして、フォーカス制御を行なう前に、この光ピックアップに固有の球面収差を考慮した球面収差補正を行なう。これにより、その後のフォーカス制御において安定したフォーカスエラー信号振幅を得ることができる。
(実施の形態3)
次に実施の形態3について説明する。なお、上述した実施の形態1,2と同じ構成要素に関しては同じ符号を付して、これらの詳細な説明を省略する。
図4は本発明の実施の形態3の光ディスク装置の構成図である。本実施の形態の光ディスク装置は、従来例で説明した図13と同じ光ピックアップ11と、液晶収差補正素子(収差補正手段)4を駆動する収差補正素子駆動回路8と、光ピックアップ11から得られる信号を受けたり、対物レンズ5を駆動したりする制御回路118と、光ディスクの種類を判別するディスク判別手段12と、ディスク判別手段12の出力であるディスク判別信号13により液晶収差補正素子4で補正する球面収差補正量(第1の球面収差補正量)を選択し、切り替える収差補正量切替手段14と、基準厚みを有する光ディスクに対して液晶収差補正素子4を用いて球面収差を最適に補正したときの球面収差補正量(第2の球面収差補正量)を記憶している基準値記憶手段16と、収差補正量切替手段14からの出力信号である第1の球面収差補正量と、基準値記憶手段16からの出力信号である第2の球面収差補正量とを加算する回路である加算器17とを具備している。
基準値記憶手段16には、基準厚みを有する光ディスク(例えば基材厚み100μm)を用いて光ピックアップ11を組立調整したときの液晶収差補正素子4の球面収差補正量(第2の球面収差補正量)が予め記憶されている。基準となるディスク厚みは、図2Aに示した第1の光ディスク71あるいは図2Bに示した第2の光ディスク75の基材厚みの規格値より設定してもよい。
基準値記憶手段16としては、可変抵抗、FLASHメモリーやEEPROMなど第2の球面収差補正量を格納しておける手段であればいずれであっても良く、同等の効果を得ることができる。
次に本実施の形態の球面収差補正の手順について説明する。球面収差補正の動作は、例えば光ディスクが光ディスク装置に装着された時、又は光ディスク装置の電源を入れた時に開始することができる。最初にディスク判別手段12により光ディスクの種類が判別される。単層の記録層を有する光ディスク(第1の光ディスク71)であると判定された場合には、ディスク判別信号13の指令により収差補正量切替手段14で基準ディスクとの基材厚誤差0μmに相当する球面収差を補正するための収差補正量(a)が選択され、収差補正量切替手段14からの出力信号(第1の球面収差補正量)が加算器17に入力される。さらに基準値記憶手段16からの出力信号(第2の球面収差補正量)も加算器17に入力される。加算器17は、第1の球面収差補正量と第2の球面収差補正量とを加算して得た球面収差補正量を収差補正素子駆動回路8に出力する。光ピックアップ11ごとに異なる固有の球面収差を考慮して液晶収差補正素子4により球面収差を補正するため、その後、この記録層に対して行なわれるフォーカス制御において安定なフォーカスエラー信号を得ることができる。
次に2層ディスクの場合の球面収差補正に関して説明する。
ディスク判別手段12により2層の記録層を有する光ディスク(第2の光ディスク75)であると判定され、フォーカス制御をL0層77に対して行う場合には、ディスク判別信号13の指令により収差補正量切替手段14で基準ディスクとの基材厚誤差が薄い側に10μmに相当する球面収差を補正するための収差補正量(b)が選択され、収差補正量切替手段14からの出力信号(第1の球面収差補正量)が加算器17に入力される。さらに基準値記憶手段16からの出力信号(第2の球面収差補正量)も加算器17に入力される。加算器17は、第1の球面収差補正量と第2の球面収差補正量とを加算して得た球面収差補正量を収差補正素子駆動回路8に出力する。光ピックアップ11ごとに異なる固有の球面収差を考慮して液晶収差補正素子4により球面収差を補正するため、その後、このL0層77に対して行なわれるフォーカス制御において安定なフォーカスエラー信号を得ることができる。
同様に、ディスク判別手段12により2層の記録層を有する光ディスク(第2の光ディスク75)であると判定され、フォーカス制御をL1層79に対して行う場合には、ディスク判別信号13の指令により収差補正量切替手段14で基準ディスクとの基材厚誤差が厚い側に10μmに相当する球面収差を補正するための収差補正量(c)が選択され、収差補正量切替手段14からの出力信号(第1の球面収差補正量)が加算器17に入力される。さらに基準値記憶手段16からの出力信号(第2の球面収差補正量)も加算器17に入力される。加算器17は、第1の球面収差補正量と第2の球面収差補正量とを加算して得た球面収差補正量を収差補正素子駆動回路8に出力する。光ピックアップ11ごとに異なる固有の球面収差を考慮して液晶収差補正素子4により球面収差を補正するため、その後、このL1層79に対して行なわれるフォーカス制御において安定なフォーカスエラー信号を得ることができる。
以上のように本実施の形態の光ディスク装置では、基準厚みを有する光ディスクを用いて光ピックアップを組立調整したときの液晶収差補正素子4の球面収差補正量が予め基準値記憶手段16に第2の球面収差補正量として記憶される。そして、フォーカス制御を動作させる前に、さらにディスクの種類とフォーカス制御を行なう記録面とに応じた球面収差補正量(第1の球面収差補正量)を選択し、第1の球面収差補正量と第2の球面収差補正量とを加算して得られる球面収差補正量を用いて、フォーカス制御を行う光ディスクの記録面に対して球面収差補正を行う。これにより、その後のフォーカス制御において良好なフォーカスエラー信号を得ることができ、安定にフォーカス制御を動作させることができるという効果がある。
レンズ単体や光ピックアップ組立時の調整誤差などによって、個々の光ピックアップ毎に球面収差にバラツキが生じる場合がある。本実施の形態では、この光ピックアップに固有の球面収差を補正するための補正量(補正量は光ピックアップごとに異なる)を、基準値記憶手段16に記憶しておく。そして、フォーカス制御を行なう前に、この光ピックアップに固有の球面収差を考慮した球面収差補正を行なう。これにより、その後のフォーカス制御において安定したフォーカスエラー信号振幅を得ることができる。
本実施の形態ではフォーカス制御を動作させる前に球面収差補正を開始する。球面収差の補正量は、フォーカス制御を行う光ディスクの記録面ごとに予め決めておき、光ディスクの種類と対象とする記録面により選択して切り替える。
上記の例では、基準値記憶手段16には、1つの光ディスクを用いて光ピックアップを組立調整したときの液晶収差補正素子4の球面収差補正量が記憶されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、複数種類の基準となる光ディスク(2層ディスク、基材厚の異なる単層ディスクなど)に対してそれぞれ最適化した複数の球面収差補正量(第2の球面収差補正量)を基準値記憶手段16に記憶しておき、ディスク判別手段12の判別結果に応じて対応する第2の球面収差補正量を加算器17に入力しても良い。
なお、本実施の形態に用いるディスク判別手段12による光ディスクの種類の判別方法としては、光ディスクを収納するカートリッジに判別用の穴を開け、この穴を検出して判別する方法、カートリッジの形状により判別する方法、光ディスクからの反射光量より単層ディスクと2層ディスクを判別する方法など、光ディスクの種類を判別できる手法であれば何れでも適用できる。
(実施の形態4)
次に実施の形態4について説明する。なお、上述した実施の形態1〜3と同じ構成要素に関しては同じ符号を付して、これらの詳細な説明を省略する。
図5は本発明の実施の形態4の光ディスク装置の構成図である。本実施の形態の光ディスク装置は、従来例で説明した図13と同じ光ピックアップ11と、液晶収差補正素子(収差補正手段)4を駆動する収差補正素子駆動回路8と、光ピックアップ11から得られる信号を受けたり、対物レンズ5を駆動したりする制御回路118と、光ディスクの種類を判別するディスク判別手段12と、フォーカスエラー(FE)信号を生成するFE信号生成回路31と、フォーカスエラー信号の振幅を検出するFE振幅検出手段32と、フォーカスエラー信号を記憶する記憶手段34と、液晶収差補正素子4の球面収差補正量を変更する前後のフォーカスエラー信号の振幅を比較するFE振幅比較手段33とを具備している。
図6は、光ディスク6の基材厚み誤差により生じる球面収差の計算結果の一例である。点線が球面収差補正前の球面収差、実線が球面収差補正後の球面収差を示す。基材厚誤差±20μmの対して約190mλの球面収差が生じ、球面収差補正を行うことにより、図6の実線で示すように球面収差を良好に補正することができる。
次に図7A、図7Bに基材厚誤差が−20μmある光ディスクに対するフォーカスエラー信号の計算結果の一例を示す。縦軸のフォーカスエラー信号は、球面収差補正により球面収差を0mλに補正した場合のフォーカスエラー信号の振幅で規格化している。横軸は、光ディスクの記録層と対物レンズとの距離を示している。計算に用いた対物レンズの開口数は0.85である。
図7Aは球面収差補正前のフォーカスエラー信号を示す。図6より基材厚み誤差が−20μmある場合には約190mλの球面収差が生じているため、この球面収差の影響によりフォーカスエラー信号の振幅が低下するとともに、形状が非対称になっている。
次に図7Bは球面収差補正後のフォーカスエラー信号を示す。球面収差補正後にはフォーカスエラー信号の振幅及び形状は大幅に改善されている。
図7A、図7Bから分かるように、球面収差補正を行うことにより、フォーカスエラー信号の振幅が増大し、その形状の直線性と対称性が改善されて、良好なフォーカスエラー信号を得ることができる。本実施の形態では、光ディスク毎に異なる基材厚み誤差により生じる球面収差を補正するのに必要な補正量を予め求め、その球面収差補正量による球面収差補正を行なった後にフォーカス制御を行なう。
次に本実施の形態の球面収差補正の手順について説明する。
最初にディスク判別手段12により光ディスクの種類が判別される。例えば、光ディスク装置に装着された光ディスク装置が、単層ディスク(図2A)か2層ディスク(図2B)かが判別される。多層ディスクの場合には、どの記録層に対ししてフォーカス制御を行なうかが決定される。
図2Aの第1の光ディスク71に対して球面収差補正を行う場合を例にとって説明する。まず、FE信号生成回路31から出力されたフォーカスエラー信号の振幅(第1の振幅FE0)をFE振幅検出手段32で測定し、これを記憶手段34に格納する。次に、液晶収差補正素子4の球面収差補正量を変化させる。変化後にFE信号生成回路31から出力されたフォーカスエラー信号の振幅(第2の振幅FE1)をFE振幅検出手段32で測定する。次いで、FE振幅比較手段33は、記憶手段34に格納されている第1の振幅FE0と新たに得た第2の振幅FE1とを比較する。以下、このような一連の行程を、フォーカスエラー信号の振幅が最大になるまで繰り返して行なう。そして、フォーカスエラー信号の振幅が最大となったときの液晶収差補正素子4の球面収差補正量が、第1の光ディスク71の記録層に対する液晶収差補正素子4の最適な球面収差補正量である。
本発明の光ディスク装置では、フォーカス制御を動作させる前に、フォーカス制御を行う光ディスクの記録面に対して最適な球面収差補正量を取得するための学習動作を行なう。その後、液晶収差補正素子4を用いて、得られた最適球面収差補正量で収差補正を行なって、フォーカス制御の動作を行なう。この結果、フォーカス制御において良好なフォーカスエラー信号を得ることができ、安定にフォーカス制御を動作させることができるという効果がある。
本実施の形態の光ディスク装置では、フォーカス制御の動作を行なう前に球面収差補正の動作を開始する。上記の最適な球面収差補正量を取得するための学習動作を開始するタイミングとしては、フォーカス制御動作に入る直前にその都度行なっても良いが、例えば、光ディスク装置に光ディスクを装着したときや、光ディスク装置の電源を入れたときに、すべての記録層に対して最適な球面収差補正量を取得するための学習動作を行なって、取得した各記録層に対応する補正量をメモリー内に保存しておいても良い。
上記の例では液晶収差補正素子4における最適な球面収差補正量を取得するために、フォーカスエラー信号の振幅を最大とする方法を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、フォーカスエラー信号ではなく再生信号の振幅を最大とする方法、あるいは全光量を最大とする方法などでも同様の効果を得ることができる。
なお、本実施の形態に用いるディスク判別手段12による光ディスクの種類の判別方法としては、光ディスクを収納するカートリッジに判別用の穴を開け、この穴を検出して判別する方法、カートリッジの形状により判別する方法、光ディスクからの反射光量より単層ディスクと2層ディスクを判別する方法など、光ディスクの種類を判別できる手法であれば何れでも適用できる。
(実施の形態5)
図8は本発明の実施の形態5の光ディスク装置の構成図である。本実施の形態の光ディスク装置は、従来例で説明した図13の光ピックアップ11の液晶収差補正素子4を収差補正レンズ群(収差補正手段)201に変更した光ピックアップ51と、収差補正レンズ群201を駆動する収差補正素子駆動回路8と、光ピックアップ51から得られる信号を受けたり、対物レンズ5を駆動したりする制御回路118と、光ディスクの種類を判別するディスク判別手段12と、ディスク判別手段12の出力であるディスク判別信号13により収差補正レンズ群201で補正する球面収差補正量を選択し、切り替える収差補正量切替手段14とを具備している。
収差補正レンズ群201は、正レンズ群22及び負レンズ21からなる2群レンズと、負レンズ群21を光軸方向に変位させる駆動部25とで構成される。
光ピックアップ51の構成は、収差補正レンズ群201を除いて図13において説明したのと同様であり、図13と同一の構成要素には同一の符号を付して、これらの詳細な説明を省略する。
本発明の収差補正量切替手段14について説明する。例えば基準ディスクの基材厚みを100μmとする。収差補正量切替手段14には、収差補正量(a)(球面収差補正量0mλ)、収差補正量(b)(基準ディスクに対して基材厚みが10μm薄い光ディスクを補正する場合の球面収差補正量)、及び収差補正量(c)(基準ディスクに対して基材厚みが10μm厚い光ディスクを補正する場合の球面収差補正量)からなる3種類の収差補正量を予め設定されている。これらの収差補正量のうちから、ディスク判別手段12からのディスク判別信号13に応じて適切な球面収差補正量を選択し、切り替える。
次に本実施の形態の球面収差補正の手順について説明する。球面収差補正の動作は、例えば光ディスクが光ディスク装置に装着された時、又は光ディスク装置の電源を入れた時に開始することができる。最初にディスク判別手段12により光ディスクの種類が判別される。単層の記録層を有する光ディスク(第1の光ディスク71)であると判定された場合には、ディスク判別信号13の指令により収差補正量切替手段14で収差補正量(a)が選択され、基準ディスクとの基材厚誤差0μmに相当する球面収差が収差補正レンズ群201により補正される。この結果、その後、この記録層に対して行なわれるフォーカス制御において安定なフォーカスエラー信号を得ることができる。
次に2層ディスクの場合の球面収差補正に関して説明する。
ディスク判別手段12により2層の記録層を有する光ディスク(第2の光ディスク75)であると判定され、フォーカス制御をL0層77に対して行う場合には、ディスク判別信号13の指令により収差補正量切替手段14で収差補正量(b)が選択され、基準ディスクとの基材厚誤差が薄い側に10μmに相当する球面収差が収差補正レンズ群201により補正される。この結果、その後、このL0層77に対して行なわれるフォーカス制御において安定なフォーカスエラー信号を得ることができる。
同様に、ディスク判別手段12により2層の記録層を有する光ディスク(第2の光ディスク75)であると判定され、フォーカス制御をL1層79に対して行う場合には、ディスク判別信号13の指令により収差補正量切替手段14で収差補正量(c)が選択され、基準ディスクとの基材厚誤差が厚い側に10μmに相当する球面収差が収差補正レンズ群201により補正される。この結果、その後、このL1層79に対して行なわれるフォーカス制御において安定なフォーカスエラー信号を得ることができる。
本実施の形態の光ディスク装置ではフォーカス制御を動作させる前に、フォーカス制御を行う光ディスクの記録面に対して予め球面収差補正を行うことにより、その後のフォーカス制御において良好なフォーカスエラー信号を得ることができ、安定にフォーカス制御を動作させることができるという効果がある。
本実施の形態ではフォーカス制御を動作させる前に球面収差補正を開始する。球面収差の補正量は、フォーカス制御を行う光ディスクの記録面ごとに予め決めておき、ディスクの種類と対象とする記録面に応じて選択して切り替える。本実施の形態では、収差補正量切替手段14で選択できる収差補正量を基準ディスクに対して±10μmの基材厚誤差を想定したが、本発明はこの基材厚誤差に限定されない。例えば2層ディスクの標準的な中間層厚に基づいて収差補正量を決めても同様の結果を得ることができる。即ち、2層ディスクの一方の記録面に対する球面収差補正量を0mλとし、他方の記録面に対する球面収差補正量は、標準的な中間層厚を考慮して設定することができる。
なお、本実施の形態に用いるディスク判別手段12による光ディスクの種類の判別方法としては、光ディスクを収納するカートリッジに判別用の穴を開け、この穴を検出して判別する方法、カートリッジの形状により判別する方法、光ディスクからの反射光量より単層ディスクと2層ディスクを判別する方法など、光ディスクの種類を判別できる手法であれば何れでも適用できる。
(実施の形態6)
次に実施の形態6について説明する。なお、上述した実施の形態1〜5と同じ構成要素に関しては同じ符号を付して、これらの詳細な説明を省略する。
図9は本発明の実施の形態6の光ディスク装置の構成図である。本実施の形態の光ディスク装置は、実施の形態5と同じ光ピックアップ51と、収差補正レンズ群(収差補正手段)201を駆動する収差補正素子駆動回路8と、光ピックアップ51から得られる信号を受けたり、対物レンズ5を駆動したりする制御回路118と、基準厚みを有する光ディスクに対して収差補正レンズ群201を用いて球面収差を最適に補正したときの球面収差補正量を記憶している基準値記憶手段16とを具備している。
収差補正レンズ群201は、正レンズ群22及び負レンズ21からなる2群レンズと、負レンズ群21を光軸方向に変位させる駆動部25とで構成される。
基準値記憶手段16には、基準厚みを有する光ディスク(例えば基材厚み100μm)を用いて光ピックアップ51を組立調整したときの収差補正レンズ群201の球面収差補正量が予め記憶されている。基準となるディスク厚みは、図2Aに示した第1の光ディスク71あるいは図2Bに示した第2の光ディスク75の基材厚みの規格値より設定してもよい。
基準値記憶手段16としては、可変抵抗、FLASHメモリーやEEPROMなど第2の球面収差補正量を格納しておける手段であればいずれであっても良く、同等の効果を得ることができる。
次に本実施の形態の球面収差補正の手順について説明する。球面収差補正の動作は、例えば光ディスクが光ディスク装置に装着された時、又は光ディスク装置の電源を入れた時に開始することができる。基準値記憶手段16からの出力信号を収差補正素子駆動回路8に入力する。光ピックアップ51ごとに異なる固有の球面収差を考慮して収差補正レンズ群201により球面収差を補正するため、その後、この記録層に対して行なわれるフォーカス制御において安定なフォーカスエラー信号を得ることができる。
以上のように本実施の形態の光ディスク装置では、基準厚みを有する光ディスクを用いて光ピックアップを組立調整したときの収差補正レンズ群201の球面収差補正量が予め基準値記憶手段16に記憶される。そして、フォーカス制御を行なう前に、この球面収差補正量を用いて、フォーカス制御を行う光ディスクの記録面に対して球面収差補正を行う。これにより、その後のフォーカス制御において良好なフォーカスエラー信号を得ることができ、安定にフォーカス制御を動作させることができるという効果がある。
レンズ単体や光ピックアップ組立時の調整誤差などによって、個々の光ピックアップ毎に球面収差にバラツキが生じる場合がある。本実施の形態では、この光ピックアップに固有の球面収差を補正するための補正量(補正量は光ピックアップごとに異なる)を、基準値記憶手段16に記憶しておく。そして、フォーカス制御を行なう前に、この光ピックアップに固有の球面収差を考慮した球面収差補正を行なう。これにより、その後のフォーカス制御において安定したフォーカスエラー信号振幅を得ることができる。
(実施の形態7)
次に実施の形態7について説明する。なお、上述した実施の形態1〜6と同じ構成要素に関しては同じ符号を付して、これらの詳細な説明を省略する。
図10は本発明の実施の形態7の光ディスク装置の構成図である。本実施の形態の光ディスク装置は、実施の形態5と同じ光ピックアップ51と、収差補正レンズ群(収差補正手段)201を駆動する収差補正素子駆動回路8と、光ピックアップ51から得られる信号を受けたり、対物レンズ5を駆動したりする制御回路118と、光ディスクの種類を判別するディスク判別手段12と、ディスク判別手段12の出力であるディスク判別信号13により収差補正レンズ群201で補正する球面収差補正量(第1の球面収差補正量)を選択し、切り替える収差補正量切替手段14と、基準厚みを有する光ディスクに対して収差補正レンズ群201を用いて球面収差を最適に補正したときの球面収差補正量(第2の球面収差補正量)を記憶している基準値記憶手段16と、収差補正量切替手段14からの出力信号である第1の球面収差補正量と、基準値記憶手段16からの出力信号である第2の球面収差補正量とを加算する回路である加算器17とを具備している。
収差補正レンズ群201は、正レンズ群22及び負レンズ21からなる2群レンズと、負レンズ群21を光軸方向に変位させる駆動部25とで構成される。
基準値記憶手段16には、基準厚みを有する光ディスク(例えば基材厚み100μm)を用いて光ピックアップ51を組立調整したときの収差補正レンズ群201の球面収差補正量(第2の球面収差補正量)が予め記憶されている。基準となるディスク厚みは、図2Aに示した第1の光ディスク71あるいは図2Bに示した第2の光ディスク75の基材厚みの規格値より設定してもよい。
基準値記憶手段16としては、可変抵抗、FLASHメモリーやEEPROMなど第2の球面収差補正量を格納しておける手段であればいずれであっても良く、同等の効果を得ることができる。
次に本実施の形態の球面収差補正の手順について説明する。球面収差補正の動作は、例えば光ディスクが光ディスク装置に装着された時、又は光ディスク装置の電源を入れた時に開始することができる。最初にディスク判別手段12により光ディスクの種類が判別される。単層の記録層を有する光ディスク(第1の光ディスク71)であると判定された場合には、ディスク判別信号13の指令により収差補正量切替手段14で基準ディスクとの基材厚誤差0μmに相当する球面収差を補正するための収差補正量(a)が選択され、収差補正量切替手段14からの出力信号(第1の球面収差補正量)が加算器17に入力される。さらに基準値記憶手段16からの出力信号(第2の球面収差補正量)も加算器17に入力される。加算器17は、第1の球面収差補正量と第2の球面収差補正量とを加算して得た球面収差補正量を収差補正素子駆動回路8に出力する。光ピックアップ51ごとに異なる固有の球面収差を考慮して収差補正レンズ群201により球面収差を補正するため、その後、この記録層に対して行なわれるフォーカス制御において安定なフォーカスエラー信号を得ることができる。
次に2層ディスクの場合の球面収差補正に関して説明する。
ディスク判別手段12により2層の記録層を有する光ディスク(第2の光ディスク75)であると判定され、フォーカス制御をL0層77に対して行う場合には、ディスク判別信号13の指令により収差補正量切替手段14で基準ディスクとの基材厚誤差が薄い側に10μmに相当する球面収差を補正するための収差補正量(b)が選択され、収差補正量切替手段14からの出力信号(第1の球面収差補正量)が加算器17に入力される。さらに基準値記憶手段16からの出力信号(第2の球面収差補正量)も加算器17に入力される。加算器17は、第1の球面収差補正量と第2の球面収差補正量とを加算して得た球面収差補正量を収差補正素子駆動回路8に出力する。光ピックアップ51ごとに異なる固有の球面収差を考慮して収差補正レンズ群201により球面収差を補正するため、その後、このL0層77に対して行なわれるフォーカス制御において安定なフォーカスエラー信号を得ることができる。
同様に、ディスク判別手段12により2層の記録層を有する光ディスク(第2の光ディスク75)であると判定され、フォーカス制御をL1層79に対して行う場合には、ディスク判別信号13の指令により収差補正量切替手段14で基準ディスクとの基材厚誤差が厚い側に10μmに相当する球面収差を補正するための収差補正量(c)が選択され、収差補正量切替手段14からの出力信号(第1の球面収差補正量)が加算器17に入力される。さらに基準値記憶手段16からの出力信号(第2の球面収差補正量)も加算器17に入力される。加算器17は、第1の球面収差補正量と第2の球面収差補正量とを加算して得た球面収差補正量を収差補正素子駆動回路8に出力する。光ピックアップ51ごとに異なる固有の球面収差を考慮して収差補正レンズ群201により球面収差を補正するため、その後、このL1層79に対して行なわれるフォーカス制御において安定なフォーカスエラー信号を得ることができる。
以上のように本実施の形態の光ディスク装置では、基準厚みを有する光ディスクを用いて光ピックアップを組立調整したときの収差補正レンズ群201の球面収差補正量が予め基準値記憶手段16に第2の球面収差補正量として記憶される。そして、フォーカス制御を動作させる前に、さらにディスクの種類とフォーカス制御を行なう記録面とに応じた球面収差補正量(第1の球面収差補正量)を選択し、第1の球面収差補正量と第2の球面収差補正量とを加算して得られる球面収差補正量を用いて、フォーカス制御を行う光ディスクの記録面に対して球面収差補正を行う。これにより、その後のフォーカス制御において良好なフォーカスエラー信号を得ることができ、安定にフォーカス制御を動作させることができるという効果がある。
レンズ単体や光ピックアップ組立時の調整誤差などによって、個々の光ピックアップ毎に球面収差にバラツキが生じる場合がある。本実施の形態では、この光ピックアップに固有の球面収差を補正するための補正量(補正量は光ピックアップごとに異なる)を、基準値記憶手段16に記憶しておく。そして、フォーカス制御を行なう前に、この光ピックアップに固有の球面収差を考慮した球面収差補正を行なう。これにより、その後のフォーカス制御において安定したフォーカスエラー信号振幅を得ることができる。
本実施の形態7ではフォーカス制御を動作させる前に球面収差補正を開始する。球面収差の補正量は、フォーカス制御を行う光ディスクの記録面ごとに予め決めておき、光ディスクの種類と対象とする記録面により選択して切り替える。
上記の例では、基準値記憶手段16には、1つの光ディスクを用いて光ピックアップを組立調整したときの収差補正レンズ群201の球面収差補正量が記憶されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、複数種類の基準となる光ディスク(2層ディスク、基材厚の異なる単層ディスクなど)に対してそれぞれ最適化した複数の球面収差補正量(第2の球面収差補正量)を基準値記憶手段16に記憶しておき、ディスク判別手段12の判別結果に応じて対応する第2の球面収差補正量を加算器17に入力しても良い。
なお、本実施の形態に用いるディスク判別手段12による光ディスクの種類の判別方法としては、光ディスクを収納するカートリッジに判別用の穴を開け、この穴を検出して判別する方法、カートリッジの形状により判別する方法、光ディスクからの反射光量より単層ディスクと2層ディスクを判別する方法など、光ディスクの種類を判別できる手法であれば何れでも適用できる。
(実施の形態8)
次に実施の形態8について説明する。なお、上述した実施の形態1〜7と同じ構成要素に関しては同じ符号を付して、これらの詳細な説明を省略する。
図11は本発明の実施の形態8の光ディスク装置の構成図である。本実施の形態の光ディスク装置は、実施の形態5と同じ光ピックアップ51と、収差補正レンズ群(収差補正手段)201を駆動する収差補正素子駆動回路8と、光ピックアップ51から得られる信号を受けたり、対物レンズ5を駆動したりする制御回路118と、光ディスクの種類を判別するディスク判別手段12と、フォーカスエラー(FE)信号を生成するFE信号生成回路31と、フォーカスエラー信号の振幅を検出するFE振幅検出手段32と、フォーカスエラー信号を記憶する記憶手段34と、収差補正レンズ群201の球面収差補正量を変更する前後のフォーカスエラー信号の振幅を比較するFE振幅比較手段33とを具備している。
収差補正レンズ群201は、正レンズ群22及び負レンズ21からなる2群レンズと、負レンズ群21を光軸方向に変位させる駆動部25とで構成される。
次に本実施の形態の球面収差補正の手順について説明する。
最初にディスク判別手段12により光ディスクの種類が判別される。例えば、光ディスク装置に装着された光ディスク装置が、単層ディスク(図2A)か2層ディスク(図2B)かが判別される。多層ディスクの場合には、どの記録層に対ししてフォーカス制御を行なうかが決定される。
図2Aの第1の光ディスク71に対して球面収差補正を行う場合を例にとって説明する。まず、FE信号生成回路31から出力されたフォーカスエラー信号の振幅(第1の振幅FE0)をFE振幅検出手段32で測定し、これを記憶手段34に格納する。次に、収差補正レンズ群201の球面収差補正量を変化させる。変化後にFE信号生成回路31から出力されたフォーカスエラー信号の振幅(第2の振幅FE1)をFE振幅検出手段32で測定する。次いで、FE振幅比較手段33は記憶手段34に格納されている第1の振幅FE0と新たに得た第2の振幅FE1とを比較する。以下、このような一連の行程を、フォーカスエラー信号の振幅が最大になるまで繰り返して行なう。そして、フォーカスエラー信号の振幅が最大となったときの収差補正レンズ群201の球面収差補正量が、第1の光ディスク71の記録層に対する収差補正レンズ群201の最適な球面収差補正量である。
本発明の光ディスク装置では、フォーカス制御を動作させる前に、フォーカス制御を行う光ディスクの記録面に対して最適な球面収差補正量を取得するための学習動作を行なう。その後、収差補正レンズ群201を用いて、得られた最適球面収差補正量で収差補正を行なって、フォーカス制御の動作を行なう。この結果、フォーカス制御において良好なフォーカスエラー信号を得ることができ、安定にフォーカス制御を動作させることができるという効果がある。
本実施の形態の光ディスク装置では、フォーカス制御の動作を行なう前に球面収差補正の動作を開始する。上記の最適な球面収差補正量を取得するための学習動作を開始するタイミングとしては、フォーカス制御動作に入る直前にその都度行なっても良いが、例えば、光ディスク装置に光ディスクを装着したときや、光ディスク装置の電源を入れたときに、すべての記録層に対して最適な球面収差補正量を取得するための学習動作を行なって、取得した各記録層に対応する補正量をメモリー内に保存しておいても良い。
上記の例では収差補正レンズ群201における最適な球面収差補正量を取得するために、フォーカスエラー信号の振幅を最大とする方法を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、フォーカスエラー信号ではなく再生信号の振幅を最大とする方法、あるいは全光量を最大とする方法などでも同様の効果を得ることができる。
なお、本実施の形態に用いるディスク判別手段12による光ディスクの種類の判別方法としては、光ディスクを収納するカートリッジに判別用の穴を開け、この穴を検出して判別する方法、カートリッジの形状により判別する方法、光ディスクからの反射光量より単層ディスクと2層ディスクを判別する方法など、光ディスクの種類を判別できる手法であれば何れでも適用できる。
(実施の形態9)
次に実施の形態9について説明する。なお、上述した実施の形態1〜8と同じ構成要素に関しては同じ符号を付して、これらの詳細な説明を省略する。
図12は本発明の実施の形態9の光ディスク装置の構成図である。本実施の形態の光ディスク装置は、実施の形態5と同じ光ピックアップ51と、収差補正レンズ群(収差補正手段)201を駆動する収差補正素子駆動回路8と、光ピックアップ51から得られる信号を受けたり、対物レンズ5を駆動したりする制御回路118と、光ディスクの種類を判別するディスク判別手段12と、ディスク判別手段12の出力であるディスク判別信号13により収差補正レンズ群201で補正する球面収差補正量(第1の球面収差補正量)を選択し、切り替える収差補正量切替手段14と、収差補正レンズ群201を構成する正レンズ群22と負レンズ群21との間隔が重力によって変化するのを補正するための補正量(自重垂れ補正量、即ち、第3の球面収差補正量)を記憶している自重垂れ補正量記憶手段18と、収差補正量切替手段14からの出力信号である第1の球面収差補正量と、自重垂れ補正量記憶手段18からの出力信号である第3の球面収差補正量とを加算する回路である加算器17とを具備している。
収差補正レンズ群201は、正レンズ群22及び負レンズ21からなる2群レンズと、負レンズ群21を光軸方向に変位させる駆動部25とで構成される。
収差補正レンズ群201の光軸が垂直方向に設置されている場合について説明する。
自重垂れ補正量記憶手段について説明する。従来の技術として図18Bに示したように2群のレンズより構成される収差補正レンズ群をその光軸を垂直方向にして設置した場合、負レンズ群21及びレンズホルダー24の自重により、負レンズ群21の位置Y1は、設計位置Y0より距離α(位置ずれ量)だけ位置ずれしている。その結果、位置ずれ量αに起因する球面収差が生じる。本実施の形態ではこの位置ずれ量αによる球面収差を補正するのに必要な補正量(自重垂れ補正量)を予め測定しておき、その値を自重垂れ補正量記憶手段18に記憶している。このため、負レンズ群21の自重により生じる位置ずれ量αを補正する様にレンズホルダー24を駆動して球面収差を補正することができる。
次に本実施の形態の球面収差補正の手順について説明する。球面収差補正の動作は、例えば光ディスクが光ディスク装置に装着された時、又は光ディスク装置の電源を入れた時に開始することができる。最初にディスク判別手段12により光ディスクの種類が判別される。単層の記録層を有する光ディスク(第1の光ディスク71)であると判定された場合には、ディスク判別信号13の指令により収差補正量切替手段14で基準ディスクとの基材厚誤差0μmに相当する球面収差を補正するための収差補正量(a)が選択され、収差補正量切替手段14からの出力信号(第1の球面収差補正量)が加算器17に入力される。さらに自重垂れ補正量記憶手段18からの出力信号(第3の球面収差補正量)も加算器17に入力される。加算器17は、第1の球面収差補正量と第3の球面収差補正量とを加算して得た球面収差補正量を収差補正素子駆動回路8に出力する。収差補正レンズ群201の重力によるレンズ群間隔の変化に起因する球面収差を考慮して収差補正レンズ群201により球面収差を補正するため、その後、この記録層に対して行なわれるフォーカス制御において安定なフォーカスエラー信号を得ることができる。
次に2層ディスクの場合の球面収差補正に関して説明する。
ディスク判別手段12により2層の記録層を有する光ディスク(第2の光ディスク75)であると判定され、フォーカス制御をL0層77に対して行う場合には、ディスク判別信号13の指令により収差補正量切替手段14で基準ディスクとの基材厚誤差が薄い側に10μmに相当する球面収差を補正するための収差補正量(b)が選択され、収差補正量切替手段14からの出力信号(第1の球面収差補正量)が加算器17に入力される。さらに自重垂れ補正量記憶手段18からの出力信号(第3の球面収差補正量)も加算器17に入力される。加算器17は、第1の球面収差補正量と第3の球面収差補正量とを加算して得た球面収差補正量を収差補正素子駆動回路8に出力する。収差補正レンズ群201の重力によるレンズ群間隔の変化に起因する球面収差を考慮して収差補正レンズ群201により球面収差を補正するため、その後、このL0層77に対して行なわれるフォーカス制御において安定なフォーカスエラー信号を得ることができる。
同様に、ディスク判別手段12により2層の記録層を有する光ディスク(第2の光ディスク75)であると判定され、フォーカス制御をL1層79に対して行う場合には、ディスク判別信号13の指令により収差補正量切替手段14で基準ディスクとの基材厚誤差が厚い側に10μmに相当する球面収差を補正するための収差補正量(c)が選択され、収差補正量切替手段14からの出力信号(第1の球面収差補正量)が加算器17に入力される。さらに自重垂れ補正量記憶手段18からの出力信号(第3の球面収差補正量)も加算器17に入力される。加算器17は、第1の球面収差補正量と第3の球面収差補正量とを加算して得た球面収差補正量を収差補正素子駆動回路8に出力する。収差補正レンズ群201の重力によるレンズ群間隔の変化に起因する球面収差を考慮して収差補正レンズ群201により球面収差を補正するため、その後、このL1層79に対して行なわれるフォーカス制御において安定なフォーカスエラー信号を得ることができる。
自重垂れ補正量記憶手段18としては、可変抵抗、FLASHメモリーやEEPROMなど第3の球面収差補正量を格納しておける手段であればいずれであっても良く、同等の効果を得ることができる。
以上のように本実施の形態の光ディスク装置では、フォーカス制御を動作させる前に球面収差補正を開始する。第1の球面収差補正量は、フォーカス制御を行う光ディスクの記録面ごとに予め決めておき、ディスクの種類と対象とする記録面に応じて選択して切り替えられる。第3の球面収差補正量は、収差補正レンズ群201の重力によるレンズ群間隔の変化に起因する球面収差を考慮して設定される。そして、フォーカス制御を動作させる前に、ディスクの種類とフォーカス制御を行なう記録層とに応じた球面収差補正量(第1の球面収差補正量)と、第3の球面収差補正量とを加算して得られる球面収差補正量を用いて、フォーカス制御を行う記録面に対して球面収差補正を行う。これにより、その後のフォーカス制御において良好なフォーカスエラー信号を得ることができ、安定にフォーカス制御を動作させることができるという効果がある。
なお、上記の説明では収差補正素子駆動回路8は、収差補正量切替手段14からの第1の球面収差補正量と自重垂れ補正量記憶手段18からの第3の球面収差補正量とを足し合わせて得られた球面収差補正量で収差補正レンズ群201を駆動する構成を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、実施の形態7で説明した基準値記憶手段16を設け、基準値記憶手段16からの第2の球面収差補正量をさらに足し合わせて得られる球面収差補正量で収差補正レンズ群201を駆動する構成であっても良い。あるいは、図12の構成においてディスク判別手段12と収差補正量切替手段14とを取り除き、代わりに実施の形態6で説明した基準値記憶手段16を設け、基準値記憶手段16からの第2の球面収差補正量と自重垂れ補正量記憶手段18からの第3の球面収差補正量とを足し合わせて得られる球面収差補正量で収差補正レンズ群201を駆動する構成であっても良い。
なお、本実施の形態に用いるディスク判別手段12による光ディスクの種類の判別方法としては、光ディスクを収納するカートリッジに判別用の穴を開け、この穴を検出して判別する方法、カートリッジの形状により判別する方法、光ディスクからの反射光量より単層ディスクと2層ディスクを判別する方法など、光ディスクの種類を判別できる手法であれば何れでも適用できる。