JP4184728B2 - 化合物およびそれを用いた位相差板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なシクロヘキシル化合物、およびそれを含有するセルロースエステルフィルムからなる位相差板の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
λ/4板およびλ/2板等の位相差板は、反射防止膜や液晶表示装置に関連する多くの用途を有しており、すでに実際に使用されている。しかし、従来のものは、λ/4板あるいはλ/2板と称していても、ある特定の波長でλ/4やλ/2を達成しているに過ぎないものが大部分である。
特開平5−27118号公報および同5―27119号公報には、レターデーションが大きい複屈折性フィルムと、レターデーションが小さい複屈折性フィルムとを、それらの光軸が直交するように積層させた位相差板が開示されている。二枚のフィルムのレターデーションの差が可視光域の全般にわたりλ/4またはλ/2であれば、位相差板は理論的には可視光域の全体にわたりλ/4板またはλ/2板として機能する。特開平10−68816号公報、および同10−90521号公報にも二枚のフィルムを積層することによって広い波長領域でλ/4を達成できる位相差膜が開示されている。しかし、これら従来の積層型の位相差板は、二枚のフィルムを貼り合せる際に、各々のフィルムの光軸が所定の角度で交差する様に貼り合せる必要があり、この様な貼り合わせ工程があることにより、位相差板の製造を煩雑化および製造コストを増加させていた。
単層構成で、広帯域に広い波長領域において所望の位相差能を示す位相差板が提供できれば、製造の簡略化および生産コストの軽減が可能となる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この様な背景の下、近年、一枚で広い波長領域においてλ/4を達成できる、所定のアセチル化度を有するセルロースエステルフィルムが提案されている(特開2000−137116号公報)。また、延伸フィルムにレターデーション調整剤を含有させることによって、一枚のフィルムによって所望のレターデーションを発現させる試みも種々なされている。しかし、従来のレターデーション調整剤として知られている材料は、レターデーション上昇能が不充分であるか、もしくはレターデーション上昇能が充分であっても、セルロースエステルフィルム中に安定的に配合できないという問題がある。生産性を向上させるために、フィルム乾燥時間を短縮した場合に、この問題が顕著になり、調整剤がフィルムからブリードアウトする場合がある。
【0004】
本発明は前記諸問題に鑑みなされたものであって、位相差板等の光学フィルムのレターデーション調整剤として有用な新規な化合物を提供することを課題とする。また、本発明は、高い生産性で製造可能であるとともに、単層でも、レターデーションが波長依存性(波長が大きくなる程、レターデーションも大きくなる特性)を示す、広帯域(可視光波長域)位相差板を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、セルロースエステルフィルムの添加剤について種々検討した結果、溶液でのUV吸収のλmaxが250nm以下であり、かつ棒状構造を有する化合物は、セルロースエステルフィルムに添加した場合に、優れたレターデーション調整剤として機能し得るとの知見を得た。さらにこの知見に基づいて鋭意検討を図った結果、特定の構造を有するシクロヘキシル化合物は、優れたレターデーション調整能を有すること、さらに、該化合物はセルロースエステルフィルム中に安定的に含有させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
即ち、前記課題を解決するため、本発明は下記一般式(I)で表される化合物を提供する。
【0007】
一般式(I)
【化2】
【0008】
一般式(I)において、R1およびR2は各々独立して、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アシルチオ基、アルコキシカルボニル基を表し、X1およびX2は各々独立して、置換基(但しフッ素原子を除く)を表し、Y1およびY2は各々独立して、水素原子または置換基を表し、n1およびn2は各々独立して0〜3までのいずれかの整数を表すが、n1およびn2がそれぞれ2以上のとき、2以上のY1およびY2は互いに同一でも異なっていてもよい。但し、R1またはR2がアシルオキシ基である場合、該アシルオキシ基はアルキルチオ基、アリールチオ基およびヘテロチオ基によって置換されていることはない。
【0009】
また、前記課題を解決するため、本発明の位相差板は、前記一般式(I)で表される化合物を含むセルロースエステルフィルムからなることを特徴とする。
さらに、別の観点から、本発明により、上記位相差板と直線偏光膜とを、前記位相差板の面内の遅相軸と前記直線偏光膜の偏光軸との角度が実質的に45度になるように積層させてなる円偏光板;反射板、液晶セルおよび偏光板がこの順に積層された反射型液晶表示装置であって、さらに、前記反射板と前記偏光板との間にλ/4板が配置され、且つ、前記λ/4板が前記一般式(I)で表される化合物を含有するセルロースエステルフィルムからなることを特徴とする反射型液晶表示装置;が提供される。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
まず、下記一般式(I)で表される化合物について説明する。
【0011】
一般式(I)
【化3】
【0012】
前記一般式(I)中、R1およびR2は各々独立して、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アシルチオ基またはアルコキシカルボニル基を表す。R1およびR2がそれぞれ表すアルキル基は、直鎖、分岐または環状の置換もしくは無置換のアルキル基である。具体的には、直鎖または分岐の置換もしくは無置換のアルキル基(好ましくは炭素数1〜30の直鎖または分岐の置換もしくは無置換のアルキル基であり、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、n−オクチル基、エイコシル基、2−クロロエチル基、2−シアノエチル基、2―エチルヘキシル基)、置換もしくは無置換のシクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシクロアルキル基であり、例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基)が挙げられる。
【0013】
前記アルキル基は置換基を有していてもよく、該置換基としては、以下のものが挙げられる。
置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基(1以上の環を含むシクロアルキル基を含む)、アルケニル基(1以上の環を含むシクロアルケニル基を含む)、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ、アミノ基(アニリノ基を含む)、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキルおよびアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキルおよびアリールスルフィニル基、アルキルおよびアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリールおよびヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基が例として挙げられる。
【0014】
さらに詳しくは、置換基としては、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基〔直鎖、分岐もしくは環状の置換または無置換のアルキル基が含まれ、アルキル基(好ましくは炭素数1〜30のアルキル基であり、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、エイコシル基、2−クロロエチル基、2−シアノエチル基、2―エチルヘキシル基)、およびシクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシクロアルキル基であり、例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基)、ビシクロアルキル基(好ましくは炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基であり、つまり、炭素数5〜30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル基、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル基)、さらに環構造が多いトリシクロ構造なども包含するものである。以下に説明する置換基の中のアルキル基(例えばアルキルチオ基のアルキル基)もこのような概念のアルキル基を表す〕、アルケニル基[直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルケニル基を表す。それらは、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30の置換もしくは無置換のアルケニル基であり、例えば、ビニル基、アリル基、プレニル基、ゲラニル基、オレイル基)、シクロアルケニル基(好ましくは炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシクロアルケニル基であり、つまり、炭素数3〜30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、2−シクロペンテン−1−イル基、2−シクロヘキセン−1−イル基)、ビシクロアルケニル基(置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基であり、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル基、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル)基を包含するものである。]、
【0015】
アルキニル基(好ましくは炭素数2〜30の置換もしくは無置換のアルキニル基であり、例えば、エチニル基、プロパルギル基、トリメチルシリルエチニル基)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリール基であり、例えばフェニル基、p−トリル基、ナフチル基、m−クロロフェニル基、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル基)、ヘテロ環基(好ましくは5もしくは6員の置換または無置換の、芳香族性もしくは非芳香族性のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、さらに好ましくは炭素数3〜30の5または6員の芳香族性のヘテロ環基である。例えば、2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルコキシ基であり、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、tert−ブトキシ基、n−オクチルオキシ基、2−メトキシエトキシ基)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシ基であり、例えば、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−tert−ブチルフェノキシ基、3−ニトロフェノキシ基、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ基)、シリルオキシ基(好ましくは炭素数3〜20のシリルオキシ基であり、例えば、トリメチルシリルオキシ基、tert−ブチルジメチルシリルオキシ基)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは炭素数2〜30の置換もしくは無置換のヘテロ環オキシ基であり、1−フェニルテトラゾールー5−オキシ基、2−テトラヒドロピラニルオキシ基)、
【0016】
アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルオキシ基であり、例えば、ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ基)、カルバモイルオキシ基(好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイルオキシ基であり、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ基、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ基、モルホリノカルボニルオキシ基、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ基、N−n−オクチルカルバモイルオキシ基)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルオキシ基であり、例えば、メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、tert−ブトキシカルボニルオキシ基、n−オクチルカルボニルオキシ基)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基であり、例えば、フェノキシカルボニルオキシ基、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ基、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ基)、アミノ基(好ましくは無置換アミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアニリノ基であり、例えば、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アニリノ基、N−メチル−アニリノ基、ジフェニルアミノ基)、
【0017】
アシルアミノ基(好ましくはホルミルアミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基であり、例えば、ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ基)、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ基であり、例えば、カルバモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ基、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ基、モルホリノカルボニルアミノ基)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルアミノ基であり、例えば、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、tert−ブトキシカルボニルアミノ基、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ基、N−メチルーメトキシカルボニルアミノ基)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基であり、例えば、フェノキシカルボニルアミノ基、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ基、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ基)、スルファモイルアミノ基(好ましくは炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基であり、例えば、スルファモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ基、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ基)、アルキルおよびアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルスルホニルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールスルホニルアミノ基であり、例えば、メチルスルホニルアミノ基、ブチルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ基、p−メチルフェニルスルホニルアミノ基)、メルカプト基、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルチオ基であり、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基)、
【0018】
アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールチオであり、例えば、フェニルチオ基、p−クロロフェニルチオ基、m−メトキシフェニルチオ基)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数2〜30の置換もしくは無置換のヘテロ環チオ基であり、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ基、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ基)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイル基であり、例えば、N−エチルスルファモイル基、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N−アセチルスルファモイル基、N−ベンゾイルスルファモイル基、N−(N‘−フェニルカルバモイル)スルファモイル基)、スルホ基、アルキルおよびアリールスルフィニル基(好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルスルフィニル基、6〜30の置換もしくは無置換のアリールスルフィニル基であり、例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、p−メチルフェニルスルフィニル基)、アルキルおよびアリールスルホニル基(好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基、6〜30の置換もしくは無置換のアリールスルホニル基であり、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、フェニルスルホニル基、p−メチルフェニルスルホニル基)、アシル基(好ましくはホルミル基、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基、炭素数4〜30の置換もしくは無置換の炭素原子でカルボニル基と結合しているヘテロ環カルボニル基であり、例えば、アセチル基、ピバロイル基、2−クロロアセチル基、ステアロイル基、ベンゾイル基、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル基、2―ピリジルカルボニル基、2―フリルカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基であり、例えば、フェノキシカルボニル基、o−クロロフェノキシカルボニル基、m−ニトロフェノキシカルボニル基、p−tert−ブチルフェノキシカルボニル基)、
【0019】
アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニル基であり、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、n−オクタデシルオキシカルボニル基)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイル基であり、例えば、カルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル基、N−(メチルスルホニル)カルバモイル基)、アリールおよびヘテロ環アゾ基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールアゾ基、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のヘテロ環アゾ基であり、例えば、フェニルアゾ基、p−クロロフェニルアゾ基、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ基)、イミド基(好ましくはN−スクシンイミド基、N−フタルイミド基)、ホスフィノ基(好ましくは炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィノ基であり、例えば、ジメチルホスフィノ基、ジフェニルホスフィノ基、メチルフェノキシホスフィノ基)、ホスフィニル基(好ましくは炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニル基であり、例えば、ホスフィニル基、ジオクチルオキシホスフィニル基、ジエトキシホスフィニル基)、ホスフィニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニルオキシ基であり、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ基、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ基)、ホスフィニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニルアミノ基であり、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ基、ジメチルアミノホスフィニルアミノ基)、シリル基(好ましくは炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシリル基であり、例えば、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、フェニルジメチルシリル基)が挙げられる。
【0020】
上記の置換基の例示の中で、水素原子を有するものは、これを取り去りさらに上記の基で置換されていてもよい。そのような置換基の例としては、アルキルカルボニルアミノスルホニル基、アリールカルボニルアミノスルホニル基、アルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニルアミノカルボニル基が挙げられる。より具体的には、メチルスルホニルアミノカルボニル基、p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル基、アセチルアミノスルホニル基、ベンゾイルアミノスルホニル基が挙げられる。
【0021】
R1およびR2でそれぞれ表されるアルコキシ基としては、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルコキシ基が好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基、n−オクチルオキシ基、2−メトキシエトキシ基が挙げられる。R1およびR2でそれぞれ表されるアルキルチオ基としては、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルチオ基が好ましく、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基が挙げられる。R1およびR2でそれぞれ表されるアシル基には、ホルミル基、置換もしくは無置換の、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基およびヘテロ環カルボニル基(ヘテロ環を構成している炭素原子がカルボニル基と結合している基)が含まれる。前記アシル基としては、ホルミル基、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基、炭素数4〜30の置換もしくは無置換の炭素原子でカルボニル基と結合しているヘテロ環カルボニル基が好ましく、例えば、アセチル基、ピバロイル基、2−クロロアセチル基、ステアロイル基、ベンゾイル基、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル基、2―ピリジルカルボニル基、2―フリルカルボニル基が挙げられる。
【0022】
R1およびR2でそれぞれ表されるアシルオキシ基には、ホルミルオキシ基、置換もしくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基が含まれる。但し、前記アシルオキシ基はアルキルチオ基、アリールチオ基およびヘテロチオ基によって置換されていることはない。前記アシルオキシ基としては、ホルミルオキシ基、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルオキシ基が好ましく、例えば、ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ基が挙げられる。
【0023】
R1およびR2でそれぞれ表されるアシルアミノ基には、ホルミルアルミノ基、置換もしくは無置換の、アルキルカルボニルアミノ基およびアリールカルボニルアミノ基が含まれる。前記アシルアミノ基としては、ホルミルアミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基が好ましく、例えば、ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基が挙げられる。R1およびR2でそれぞれ表されるアシルチオ基には、ホルミルチオ基、置換もしくは無置換のアルキルカルボニルチオ基およびアリールカルボニルチオ基が含まれる。前記アシルチオ基としては、ホルミルチオ基、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルチオ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルチオ基が好ましく、例えば、ホルミルチオ基、アセチルチオ基、ピバロイルチオ基、ステアロイルチオ基、ベンゾイルチオ基、p−メトキシフェニルカルボニルチオ基が挙げられる。R1およびR2でそれぞれ表されるアルコキシカルボニル基としては、炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニル基が好ましく、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、n−オクタデシルオキシカルボニルが挙げられる。
いずれも置換基を有していてもよく、該置換基としてはアルキル基の置換基の例示と同様である。
【0024】
前記一般式(I)中、X1およびX2は各々独立して置換基を表すが、X1およびX2がフッ素原子になることはない。但し、X1およびX2がそれぞれ表す置換基は、フッ素原子を含んでいてもよく、例えば、CF3基などフッ素原子を含む置換基になり得る。前記置換基としては塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜5のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、2−クロロエチル基、2−シアノエチル基)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜6の置換もしくは無置換のシクロアルキル基であり、例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、シクロブチル基、シクロプロピル基)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜5の置換もしくは無置換のアルケニル基であり、例えば、ビニル基、アリル基、プレニル基)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜5の置換もしくは無置換のアルキニル基であり、例えば、エチニル基、プロパルギル基、トリメチルシリルエチニル基)、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜5の置換もしくは無置換のアルコキシ基であり、例えば、メトキシ基、エトキシ基、2−メトキシエトキシ基)、アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2〜5の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基であり、例えば、アセチルオキシ基、プロピロイルオキシ基)、カルバモイルオキシ基(好ましくは炭素数1〜5の置換もしくは無置換のカルバモイルオキシ基であり、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ基、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ基、モルホリノカルボニルオキシ基)、
【0025】
アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜5の置換もしくは無置換のアルコキシカルボニルオキシ基であり、例えば、メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基)、アミノ基(好ましくは無置換アミノ基、炭素数1〜5の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基であり、例えば、無置換アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基)、アシルアミノ基(好ましくはホルミルアミノ基、炭素数1〜5の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基であり、例えば、ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基)、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜5の置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ基であり、例えば、カルバモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ基、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ基)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜5の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルアミノ基であり、例えば、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基)、スルファモイルアミノ基(好ましくは炭素数0〜5の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基であり、例えば、スルファモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ基)、アルキルスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜5の置換もしくは無置換のアルキルスルホニルアミノ基であり、例えば、メチルスルホニルアミノ基、ブチルスルホニルアミノ基)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜5の置換もしくは無置換のアルキルチオ基であり、例えばメチルチオ基、エチルチオ基)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜5の置換もしくは無置換のスルファモイル基であり、例えば、N−エチルスルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N−アセチルスルファモイル基)、アルキルスルフィニル基(好ましくは炭素数1〜5の置換もしくは無置換のアルキルスルフィニル基であり、例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基)、アルキルスルホニル基(好ましくは炭素数1〜5の置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基であり、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基)、アシル基(好ましくはホルミル基、炭素数2〜5の置換もしくは無置換のアルキルカルボニル基であり、例えば、アセチル基、2−クロロアセチル基)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜5の置換もしくは無置換のアルコキシカルボニル基であり、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜5の置換もしくは無置換のカルバモイル基であり、例えば、カルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基)、ホスフィノ基(好ましくは炭素数2〜5の置換もしくは無置換のホスフィノ基であり、例えば、ジメチルホスフィノ基)、ホスフィニル基(好ましくは炭素数2〜5の置換もしくは無置換のホスフィニル基であり、例えば、ホスフィニル基、ジエトキシホスフィニル基)、ホスフィニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜5の置換もしくは無置換のホスフィニルオキシ基)、ホスフィニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜5の置換もしくは無置換のホスフィニルアミノ基であり、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ基、ジメチルアミノホスフィニルアミノ基)を表わす。
【0026】
X1およびX2は各々独立して、好ましくは、塩素原子、臭素原子、ニトロ基、シアノ基、ホルミル基、アセチル基、炭素数4以下のアルキル基、炭素数4以下のアルコキシ基、炭素数4以下のアルキルチオ基または炭素数4以下のアシルオキシ基を表し、より好ましくは塩素原子、臭素原子、シアノ基、ホルミル基、アセチル基、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、メチルチオ基、エチルチオ基、ホルミルオキシ基またはアセチルオキシ基を表す。
【0027】
前記一般式(I)中、Y1およびY2は各々独立して置換基を表す。Y1およびY2がそれぞれ表す置換基としては、X1およびX2が表す置換基として挙げた例示およびフッ素原子が挙げられる。Y1およびY2は各々独立して、好ましくは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ニトロ基、シアノ基、ホルミル基、アセチル基、炭素数4以下のアルキル基、炭素数4以下のアルコキシ基、炭素数4以下のアルキルチオ基または炭素数4以下のアシルオキシ基を表し、より好ましくは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、ホルミル基、アセチル基、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、メチルチオ基、エチルチオ基、ホルミルオキシ基またはアセチルオキシ基を表す。
【0028】
前記一般式(I)中、n1およびn2は各々独立して、0〜3のいずれかの整数を表す。n1およびn2がそれぞれ2または3のとき、複数のY1およびY2は同一でも異なっていてもよい。
【0029】
以下に、前記一般式(I)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0030】
【化4】
【0031】
【化5】
【0032】
【化6】
【0033】
前記一般式(I)で表される化合物は、文献既知の合成方法に準じて合成できる。例えば、Mol. Cryst. Liq. Cryst., 53巻、229ページ(1979年);同89巻、93ページ(1982年);同145巻、111ページ(1987年);同170巻、43ページ(1989年);J.Am. Chem. Soc., 113巻、1349ページ(1991年);同118巻、5346ページ(1996年);同92巻、1582ページ(1970年);J. Org. Chem., 40巻、420ページ(1975年);Tetrahedron、48巻16号、3437ページ(1992年);などに類似化合物の合成方法が記載されている。
【0034】
前記一般式(I)で表される化合物は、棒状の分子構造を有する化合物であって、液晶性等を有する。従って、液晶表示装置の液晶セルに利用することができる。さらに、前記一般式(I)で表される化合物は、位相差板に添加することによって、位相差板のレターデーションを所望の特性に制御するレターデーション調整剤として用いることができる。
【0035】
本発明の位相差板は、前記一般式(I)で表される化合物を含むセルロースエステルフィルムからなることを特徴とする。セルロースエステルフィルムからなる位相差板のレターデーション値とその波長依存性は、(1)セルロースエステルの組成(特に平均酢化度)の調整、(2)レターデーション上昇剤の種類と使用量の調整、および(3)フィルムの厚さにより制御できる。本発明では、(2)のレターデーション上昇剤として、前記一般式(I)で表される化合物を用いることによって、レターデーションが波長依存性(波長が長くなる程、レターデーションが大きくなる特性)を有する広帯域(可視光波長域)の位相差板としている。さらに、前記一般式(I)で表される化合物は、セルロースエステルフィルム中に安定的に含有させることができ、フィルムの乾燥速度を短縮してもブリードアウトを起こさず、位相差板の生産性向上にも寄与する。
なお、本発明の位相差板は、単層でもレターデーションが波長依存性を示す、優れた位相差能を有するが、他のフィルムと積層した態様も本発明に含まれることはいうまでもない。
【0036】
本実施の形態に用いられるセルロースエステルには、セルロースの低級脂肪酸エステルを用いることが好ましい。低級脂肪酸とは、炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味する。炭素原子数は、2(セルロースアセテート)、3(セルロースプロピオネート)または4(セルロースブチレート)であることが好ましい。セルロースアセテートが特に好ましい。セルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートのような混合脂肪酸エステルを用いてもよい。セルロースアセテートの平均酢化度(アセチル化度)は、45.0〜62.5%であることが好ましく、55.0〜61.0%であることがさらに好ましい。
【0037】
本実施の形態の位相差板は、ソルベントキャスト法により製造することができる。ソルベントキャスト法では、セルロースエステルおよび前記一般式(I)で表される化合物を、有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いてフィルムを製造する。
ドープの調製に用いられる有機溶媒は、炭素原子数が3〜12のエーテル、炭素原子数が3〜12のケトン、炭素原子数が3〜12のエステルおよび炭素原子数が1〜6のハロゲン化炭化水素から選ばれる少なくとも1種の溶媒を含むことが好ましい。エーテル、ケトンおよびエステルは、環状構造を有していてもよい。エーテル、ケトンおよびエステルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も、有機溶媒として用いることができる。有機溶媒は、アルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。用いる有機溶媒が二種類以上の官能基を有する場合は、その炭素原子数は、いずれかの官能基を有する有機溶媒として、前述の好ましい範囲であればよい。
【0038】
炭素原子数が3〜12のエーテル類の例には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトールが含まれる。炭素原子数が3〜12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびメチルシクロヘキサノンが含まれる。炭素原子数が3〜12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテートおよびペンチルアセテートが含まれる。二種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノールおよび2−ブトキシエタノールが含まれる。ハロゲン化炭化水素の炭素原子数は、1または2であることが好ましく、1であることが最も好ましい。ハロゲン化炭化水素のハロゲンは、塩素であることが好ましい。ハロゲン化炭化水素の水素原子が、ハロゲンに置換されている割合は、25〜75モル%であることが好ましく、30〜70モル%であることがより好ましく、35〜65モル%であることがさらに好ましく、40〜60モル%であることが最も好ましい。メチレンクロリドが、代表的なハロゲン化炭化水素である。
二種類以上の有機溶媒を混合して用いてもよい。
【0039】
前記ドープには、セルロースエステルおよび前記一般式(I)で表される化合物以外にも、作製するフィルムの機械的物性を改良するため、または乾燥速度を向上するために、可塑剤を添加することができる。可塑剤としては、リン酸エステルまたはカルボン酸エステルが用いられる。リン酸エステルの例には、トリフェニルホスフェート(TPP)およびトリクレジルホスフェート(TCP)が含まれる。カルボン酸エステルとしては、フタル酸エステルおよびクエン酸エステルが代表的である。フタル酸エステルの例には、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジフェニルフタレート(DPP)およびジエチルヘキシルフタレート(DEHP)が含まれる。クエン酸エステルの例には、O−アセチルクエン酸トリエチル(OACTE)およびO−アセチルクエン酸トリブチル(OACTB)が含まれる。その他のカルボン酸エステルの例には、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが含まれる。フタル酸エステル系可塑剤(DMP、DEP、DBP、DOP、DPP、DEHP)が好ましく用いられる。DEPおよびDPPが特に好ましい。
可塑剤の添加量は、セルロースエステルの量に対して、0.1〜25質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることがさらに好ましく、3〜15質量%であることが最も好ましい。
【0040】
また、前記ドープには、フィルムの用途に応じて、劣化防止剤(例、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン)や紫外線防止剤を添加してもよい。劣化防止剤については、特開平3−199201号、同5−1907073号、同5−194789号、同5−271471号および同6−107854号の各公報に記載がある。劣化防止剤の添加量は、調製する溶液(ドープ)の0.01〜1質量%であることが好ましく、0.01〜0.2質量%であることがさらに好ましい。添加量が0.01質量%未満であると、劣化防止剤の効果がほとんど認められない。添加量が1質量%を越えると、フィルム表面への劣化防止剤のブリードアウト(滲み出し)が認められる場合がある。特に好ましい劣化防止剤の例としては、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を挙げることができる。紫外線防止剤については、特開平7−11056号公報に記載がある。
【0041】
前記ドープは、一般的な方法により調製することができる。一般的な方法とは、0℃以上の温度(常温または高温)で、処理することを意味する。溶液の調製は、通常のソルベントキャスト法におけるドープの調製方法および装置を用いて実施することができる。なお、一般的な方法の場合は、有機溶媒としてハロゲン化炭化水素(特にメチレンクロリド)を用いることが好ましい。
前記ドープ中におけるセルロースエステルの含有量は、10〜40質量%であるのが好ましく、10〜30質量%であるのがより好ましい。有機溶媒(主溶媒)中には、後述する任意の添加剤を添加しておいてもよい。一方、前記ドープ中における前記一般式(I)で表される化合物の含有量は、0.01〜4質量%であるのが好ましく、0.01〜3質量%であるのがより好ましい。
【0042】
前記ドープは、常温(0〜40℃)でセルロースエステルと有機溶媒とを攪拌することにより調製することができる。高濃度の溶液は、加圧および加熱条件下で攪拌することによって調製するのが好ましい。具体的には、セルロースエステルと有機溶媒とを加圧容器に入れて密閉し、加圧下で溶媒の常温における沸点以上、かつ溶媒が沸騰しない範囲の温度に加熱しながら攪拌する。加熱温度は、通常は40℃以上であり、好ましくは60〜200℃であり、さらに好ましくは80〜110℃である。
【0043】
前記ドープの調製時には、各成分を順次容器に投入して混合する。各成分を予め粗混合してから、容器に投入し、さらに混合してもよい。各成分を投入する容器は、内容物を攪拌可能な攪拌機構を備えている必要がある。加圧下で攪拌する場合は、該容器は加圧に耐え得る耐性および加圧機構を備えていることが必要である。加圧下で攪拌を行う場合は、各成分を容器内に投入した後、窒素ガス等の不活性気体を注入して容器内を加圧することができる。また、加熱による溶媒の蒸気圧の上昇を利用して、容器内を加圧してもよい。あるいは、容器を密閉後、各成分を加圧下で添加してもよい。加熱する場合、容器の外部より加熱することが好ましい。例えば、ジャケットタイプの加熱装置を用いることができる。また、容器の外部にプレートヒーターを設け、配管して液体を循環させることにより容器全体を加熱することもできる。攪拌機構として、容器は内部に攪拌翼を備えているのが好ましい。攪拌翼は、容器の壁付近に達する長さのものが好ましい。攪拌翼の末端には、容器の壁の液膜を更新するため、掻取翼を設けることが好ましい。その他、容器は、圧力計、温度計等の計器類を備えていてもよい。
【0044】
容器内において、各成分は有機溶媒中に溶解し、ドープが得られる。得られたドープは、冷却後容器から取り出すか、もしくは取り出した後熱交換器等を用いて冷却する。
【0045】
ドープは、冷却溶解法を利用して調製することもできる。冷却溶解法では、通常の溶解方法では溶解させることが困難な有機溶媒(ハロゲン化炭化水素以外の有機溶媒)中にも、セルロースエステルを溶解させることができる。また、通常の溶解法でもセルロースエステルを溶解可能な有機溶媒(例えば、ハロゲン化炭化水素)を用いた場合は、迅速に均一な溶液が得られるという効果がある。
冷却溶解法では、まず、室温で有機溶媒中にセルロースエステルおよび前記一般式(I)で表される化合物を各々または同時に撹拌しながら徐々に添加する。ドープ中のセルロースエステルの含有量が、10〜40質量%となるように、セルロースエステルを添加するのが好ましく、10〜30質量%となるように、添加するのがより好ましい。さらに、混合物中には後述する任意の添加剤を添加してもよい。
【0046】
次に、この混合物を−100〜−10℃(好ましくは−80〜−10℃、さらに好ましくは−50〜−20℃、最も好ましくは−50〜−30℃)に冷却する。冷却は、例えば、ドライアイス・メタノール浴(−75℃)や冷却したジエチレングリコール溶液(−30〜−20℃)中で行うことができる。前記温度範囲まで冷却すると、セルロースエステルと有機溶媒の混合物が固化する。冷却速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/分以上であることがより好ましく、12℃/分以上であることが最も好ましい。冷却速度は、速いほど好ましいが、10000℃/秒が理論的な上限であり、1000℃/秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が実用的な上限である。なお、冷却速度は、冷却を開始する時の温度と最終的な冷却温度との差を、冷却を開始してから最終的な冷却温度に達するまでの時間で割った値である。
【0047】
さらに、これを0〜200℃(好ましくは0〜150℃、さらに好ましくは0〜120℃、最も好ましくは0〜50℃)に加温すると、有機溶媒中にセルロースエステルが溶解する。昇温は、室温中に放置するだけでもよし、温浴中で加温してもよい。加温速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/分以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上であることが最も好ましい。加温速度は、速いほど好ましいが、10000℃/秒が理論的な上限であり、1000℃/秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が実用的な上限である。なお、加温速度は、加温を開始する時の温度と最終的な加温温度との差を、加温を開始してから最終的な加温温度に達するまでの時間で割った値である。
以上のようにして、均一な溶液が得られる。なお、溶解が不充分である場合は冷却、加温の操作を繰り返してもよい。溶解が充分であるかどうかは、目視により溶液の外観を観察するだけで判断することができる。
【0048】
冷却溶解法においては、冷却時の結露による水分混入を避けるため、密閉容器を用いることが望ましい。また、冷却加温操作において、冷却時に加圧し、加温時に減圧すると、溶解時間を短縮することができる。加圧および減圧を実施するためには、耐圧性容器を用いることが望ましい。なお、セルロースアセテート(酢化度:60.9%、粘度平均重合度:299)を冷却溶解法によりメチルアセテート中に溶解した20質量%の溶液は、示差走査熱量測定(DSC)によると、33℃近傍にゾル状態とゲル状態との擬似相転移点が存在し、この温度以下では均一なゲル状態となる。従って、この溶液は擬似相転移温度以上、好ましくはゲル相転移温度プラス10℃程度の温度で保存する必要がある。ただし、この疑似相転移温度は、セルロースアセテートの平均酢化度、粘度平均重合度、溶液濃度や使用する有機溶媒により異なる。
【0049】
調製したセルロースエステル溶液(ドープ)を用いて、ソルベントキャスト法によりセルロースエステルフィルムを製造する。具体的には、ドープを、ドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフィルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が18〜35%となるように濃度を調整することが好ましい。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。ソルベントキャスト法における流延および乾燥方法については、米国特許2336310号、同2367603号、同2492078号、同2492977号、同2492978号、同2607704号、同2739069号、同2739070号、英国特許640731号および同736892号の各明細書、特公昭45−4554号、同49−5614号、特開昭60−176834号、同60−203430号および同62−115035号の各公報に記載がある。
【0050】
ドープは、表面温度が10℃以下のドラムまたはバンド上に流延することが好ましい。流延した後、2秒以上風に当てて乾燥することが好ましい。次に、得られたフィルムをドラムまたはバンドから剥ぎ取り、さらに100〜160℃まで逐次温度を変えた高温風で乾燥して、残留溶剤を蒸発させることもできる。以上の方法の詳細については、特公平5−17844号公報に記載がある。この方法によると、流延から剥ぎ取りまでの時間を短縮することができる。この方法を実施するためには、流延時のドラムまたはバンドの表面温度においてドープがゲル化することが必要である。製造されるフィルムの厚さは、40〜120μmであることが好ましく、70〜100μmであることがさらに好ましい。位相差板(セルロースエステルフィルム)の厚さは、5〜1000μmであることが好ましく、10〜500μmであることがさらに好ましい。
【0051】
以上の工程により、セルロースエステルフィルムが得られる。得られたセルロースエステルフィルムはそのまま位相差板として用いることができるが、所望のレターデーションを示す様に、その後、延伸処理を施すこともできる。延伸処理については、種々の一般的な方法を適用することができる。
【0052】
前記セルロースエステルフィルムをλ/4板として使用する場合は、波長450nmで測定したレターデーション値が100〜125nmで、且つ波長590nmで測定したレターデーション値が135〜160nmとなるようにする。波長450nmで測定したレターデーション値が108〜117nmであり、波長550nmで測定したレターデーション値が133〜142nmであり、且つ波長590nmで測定したレターデーション値が143〜152nmであることが好ましい。
前記セルロースエステルフィルムをλ/2板として使用する場合は、波長450nmで測定したレターデーション値が200〜250nmで、且つ波長590nmで測定したレターデーション値が270〜320nmとなるようにする。波長450nmで測定したレターデーション値が216〜234nmであり、波長550nmで測定したレターデーション値が266〜284nmであり、且つ波長590nmで測定したレターデーション値が286〜304nmであることが好ましい。
なお、レターデーション値(Re)は、下記式に従って算出される。
レターデーション値(Re)=(nx−ny)×d
式中、nxは位相差板の面内の最大屈折率(x方向)であり;nyは位相差板の面内のx方向に垂直な方向(y方向)の屈折率であり;そしてdは位相差板の厚さ(nm)である。
【0053】
本発明の位相差板は、液晶表示装置において使用されるλ/4板またはλ/2板、光ディスクの書き込み用のピックアップに使用されるλ/4板、あるいは反射防止膜として利用されるλ/4板として有用である。
λ/4板として機能する本発明の位相差板を、直線偏光膜と組み合わせることによって、円偏光板を作製することができる。λ/4板と直線偏光膜との積層は、λ/4板の面内の遅相軸と直線偏光膜の偏光軸との角度が実質的に45゜になる条件に積層する。実質的に45゜とは、40〜50゜であることを意味する。λ/4板の面内の遅相軸と偏光膜の偏光軸との角度は、41〜49゜であることが好ましく、42〜48゜であることがより好ましく、43〜47゜であることがさらに好ましく、44〜46゜であることが最も好ましい。
偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜があり、いずれも使用することができる。ヨウ素系偏光膜および染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。偏光膜の偏光軸は、フィルムの延伸方向に垂直な方向に相当する。
さらに、偏光膜のλ/4板との積層面と反対側の面には、透明保護膜を設けることが好ましい。
【0054】
本発明の位相差板は、反射型液晶表示装置にλ/4板として用いることができる。通常、反射型液晶表示装置は、反射板、液晶セルおよび偏光板がこの順に積層された構造であるが、本発明のλ/4板を、前記反射板と前記偏光板との間にλ/4板が配置することによって、コントラストが高く、視野角が広い反射型液晶表示装置が作製できる。
【0055】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、割合、操作等は、本発明の精神から逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例に制限されるものではない。
【0056】
[実施例1]
(化合物(I−1)の合成)
以下に示す合成経路にしたがってI−1を合成した。
【0057】
【化7】
【0058】
《I−1A体の合成》
2−クロロハイドロキノン 36.1g(0.25mol)およびピリジン20mL(0.25mol)をアセトニトリル 200mLに溶解し、5℃以下に冷却した。そこにオクタノイルクロリド 40.7g(0.25mol)を滴下し、滴下後、室温にて1時間攪拌した。反応液を水に加えて酢酸エチルで抽出し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を留去して透明な液体を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液ジクロロメタン)にて精製し、I−1A体 20g(0.075mol))を得た。
【0059】
《化合物(I−1)の合成》
trans−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸 4.48g(0.026mol)をトルエン20mLに懸濁させ、N,N−ジメチルホルムアミド 0.2mLを加えた後、チオニルクロリド 6.5g(0.0546mol)を滴下した。滴下後、内温が60℃になるように加熱して2時間放置し、さらに85℃で1時間加熱した。室温に冷却後、I−1A体 15g(0.055mol)のトルエン溶液40mLを滴下して、滴下後、内温が90℃になるように加熱して2時間放置した。室温に冷却後、反応液をメタノール250mLに注ぎ、化合物(I−1)を白色結晶として11.3g(0.017mol)を得た。
化合物(I−1)の相転移温度を測定したところ、加熱時の相転移は結晶相→ネマティック相→等方相であり、各相転移温度は116℃、156℃であった。
【0060】
[実施例2]
(位相差板の作製)
室温において、平均酢化度60.5%のセルロースアセテートを120質量部、化合物(I−1)を3.0質量部、トリフェニルホスフェートを9.36質量部、ビフェニルジフェニルホスフェートを4.68質量部、メチレンクロリドを718質量部、メタノールを62.4質量部、混合して、溶液(ドープ)を調製した。得られたドープを、ガラス板上に流延して、室温にて1分間乾燥後、45℃にて5分間乾燥させた。セルロースアセテートフィルムをガラス板から剥離し、100℃で30分間乾燥させ、140℃で20分間乾燥させた。乾燥後の溶媒残存量は0.5質量%であった。
フィルムを適当な大きさに切断した後、130℃で、流延方向に対して平行な方向に1.33倍の長さに延伸した。延伸方向と垂直な方向は自由に収縮できるようにした。流延後、そのままの状態で室温まで冷却し、延伸フィルムを取り出した。延伸後の溶媒残存量は0.1質量%であった。
このようにして得られたフィルムの厚さは、102μmであった。また、延伸倍率の比(SA/SB)は1.48であった。
【0061】
得られたフィルム(位相差板)について、エリプソメーター(「M−150」;日本分光(株)製)を用いて、波長450nm、550nmおよび590nmにおけるレターデーション値(Re)を測定したところそれぞれ、112.0nm、137.3nm、および144.2nmであった。
【0062】
[実施例3]
(反射型液晶表示装置の作製)
市販の反射型液晶表示装置(「カラーザウルス MI−310」;シャープ(株)製)の偏光板と位相差板とを剥ぎとり、代わりに上記実施例2で作製した位相差板と偏光板(表面がAR処理された保護膜を積層した偏光板)を取り付けた。作製した反射型液晶表示装置について、目視で評価したところ、白表示、黒表示、そして中間調のいずれにおいても、色味がなく、ニュートラルグレーが表示されていることがわかった。
次に、測定機(EZcontrast160D、Eldim社製)を用いて反射輝度のコントラスト比を測定したところ、正面からのコントラスト比は20であり、コントラスト比が3となる視野角は上下120°以上、左右120°以上であった。
【0063】
[比較例]
実施例2で用いた化合物(I−1)の代わりに、下記に示す化合物(ref−1)を2.0質量部用いた以外は、実施例2と同様な方法にて位相差板を作製した。140℃で20分間乾燥させた後、室温に冷却する途中で位相差板の表面に化合物(ref−1)が析出(ブリードアウト)し、白くなってしまった。乾燥時間を40分まで伸ばしたところ添加剤の析出(ブリードアウト)はなくなった。得られたフィルムを適当な大きさに切断した後、130℃で流延方向に対して平行な方向に、1.33倍の長さに延伸した。延伸方向と垂直な方向は自由に収縮できるようにした。流延後、そのままの状態で室温まで冷却し、延伸フィルムを取り出した。延伸後の溶媒残存量は0.1質量%であった。
このようにして得られたフィルムの厚さは、102μmであった。また、延伸倍率の比(SA/SB)は1.48であった。
【0064】
得られた位相差板について、エリプソメーター(「M−150」;日本分光(株)製)を用いて、波長450nm、550nmおよび590nmにおけるレターデーション値(Re)を測定したところそれぞれ、111.6nm、137.3nmおよび145.2nmであった。
なお、Mol. Cryst. Liq. Cryst., 45巻、111ページ(1987年)によると、ref−1の加熱時の相転移は結晶相→スメクティック相→ネマティック相→等方相であり、各相転移温度は140℃、198℃、200℃である。
【0065】
【化8】
【0066】
一般的に、乾燥時間は製造機における製造速度と関連し、乾燥時間が長い場合は製造速度を落とす必要がある。実施例の位相差板は、乾燥時間が短くても添加剤の析出(ブリードアウト)がなく、結果的に製造速度を落とさずに製造できる。即ち、単位時間当たりに、より大面積の位相差板を作製することができる。
【0067】
【発明の効果】
以上説明した様に、本発明によれば、位相差板等の光学フィルムのレターデーション調整剤として有用な新規な化合物を提供することができる。また、本発明によれば、高い生産性で製造可能であるとともに、単層でも、レターデーションが波長依存性(波長が大きくなる程、レターデーションも大きくなる特性)を示す、広帯域(可視光波長域)位相差板を提供することができる。
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