JP4184456B2 - 空気入りタイヤ及びその空気入りタイヤの装着方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は空気入りタイヤ及びその空気入りタイヤの装着方法に係り、特に、トレッドに傾斜溝を有した高速走行に適した乗用車用の空気入りタイヤ及びその空気入りタイヤの装着方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
高速走行で使用される乗用車用高性能偏平空気入りラジアルタイヤに要求される重要な性能として、操縦安定性、低車外騒音性が挙げられる。
【0003】
特に、低車外騒音性に関しては、加速通過騒音が近年注目されるようになり、その低減手法に関しては未だ有効な手法がないのが実情である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、慣行走行騒音については、パターンの各ブロック剛性を下げることで打音の発生を抑え、低減しうることは従来から知られているが、これが加速通過騒音に対しては必ずしも有効な手法ではない。
【0005】
また、パターンの各ブロック剛性を下げることは、操縦安定性には逆効果であり、両立という意味でも効果的な手法ではない。
【0006】
本発明は上記事実を考慮し、操縦安定性と低車外騒音性、特に加速通過騒音とを両立することのできる空気入りタイヤ及びその空気入りタイヤの装着方法を提供することが目的である。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、トレッドのタイヤ赤道面の両側に隔てたそれぞれの位置からトレッド端側へ、タイヤ周方向に対して傾斜して相互に逆向きに延びる各傾斜主溝がタイヤ周方向に沿って多数配置され、前記傾斜主溝は、タイヤ赤道面側に配置されタイヤ周方向に対して傾斜する傾斜縦主溝部、及び前記傾斜縦主溝部の前記トレッド端側に連続して形成され前記傾斜縦主溝部よりもタイヤ周方向に対する角度が大きく設定された横主溝部を備え、前記トレッドに前記傾斜主溝で複数のブロックが区画されている空気入りタイヤであって、前記傾斜主溝で区画されている前記ブロックの内で、少なくともタイヤ周方向に並列された前記傾斜主溝を連通する補助溝よりもタイヤ幅方向外側に区画されている側部ブロックにおいて、前記傾斜主溝の開口端を通り、かつトレッド踏面に対して垂直にたてた垂線に対する踏み込み側の溝壁面の傾斜角度θ1 が蹴りだし側の溝壁面の傾斜角度θ2 よりも小さくされていることを特徴としている。
【0008】
次に、請求項1に記載の空気入りタイヤの作用を説明する。
タイヤの加速通過騒音に対するパターンの寄与は、ブロックの踏み込み時の打音と、ブロックの蹴りだし時の滑り音が大きい。また、加速通過騒音に対しては、駆動輪の寄与が遊輪の寄与よりも圧倒的に高い。
【0009】
請求項1に記載の空気入りタイヤでは、傾斜主溝で区画されているブロックの内で、少なくともタイヤ周方向に並列された傾斜主溝を連通する補助溝よりもタイヤ幅方向外側に区画されている側部ブロックにおいて、傾斜主溝の開口端を通り、かつトレッド踏面に対して垂直にたてた垂線に対する踏み込み側の溝壁面の傾斜角度θ1 が蹴りだし側の溝壁面の傾斜角度θ2 よりも小さくされているので、該側部ブロックにおいては、相対的に踏み込み側の剛性が低くなり、路面との当接時の衝撃が緩和され、加速時の打音を低減できる。
【0010】
また、ブロックは、相対的に蹴りだし側の剛性が高くなるので、ブロックの蹴りだし直前の変形量を小さくでき、これによってブロックの蹴りだし時の滑り量を小さくでき、加速時の滑り音を低減できる。
【0011】
このように、請求項1に記載の空気入りタイヤでは、加速時の打音と滑り音とを共に低減できるので、加速通過騒音を大きく低減することができる。
【0012】
また、コーナリング等で、横力が作用するブロックでは、横力の入力方向下流側の壁面の傾斜角度θ2 が大となるので、横力に対してブロックの倒れ込みを少なくでき、ブロックの接地面積が確保されるので横滑りがし難くなり、操縦安定性の向上を図ることができる。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の空気入りタイヤにおいて、前記踏み込み側の溝壁面の傾斜角度θ1 を−5°〜10°に設定し、前記蹴りだし側の溝壁面の傾斜角度θ2 を10°〜30°に設定したことを特徴としている。
【0014】
請求項2に記載の空気入りタイヤでは、踏み込み側の溝壁面の傾斜角度θ1 を−5°〜10°に設定したことにより、傾斜主溝で区画されたブロックの踏み込み側部分の剛性を小さく保つことができ、打音を十分に低減することができる。
【0015】
なお、傾斜角度θ1 が−5°未満になると(−側に大きくなると)、金型の溝形成用の凸部分が引っ掛かり、タイヤを金型から抜き出すのが困難となる。一方、傾斜角度θ1 が10°を越えると、ブロックの剛性が高くなるため、打音の低減が十分でなくなる。
【0016】
また、蹴りだし側の溝壁面の傾斜角度θ2 を10°〜30°に設定したことにより、ブロックの蹴りだし側部分の体積が大となって剛性を大とすることができ、蹴りだし時の滑り量を十分に小さくすることができ、滑り音を十分に低減することができる。
【0017】
なお、傾斜角度θ2 が10°未満になると、剛性を大とする効果がなくなる。一方、傾斜角度θ2 が30°を越えると、もはや飽和してしまい、それ以上の効果は無く、逆に溝断面積が低下することによって排水性が低下する。
【0018】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の空気入りタイヤのタイヤ装着方法であって、傾斜角度θ 1 を有する溝壁面が踏み込み側となるように前記空気入りタイヤを車両の駆動輪に装着し、傾斜角度θ 1 を有する溝壁面が蹴りだし側となるように前記空気入りタイヤを車両の遊輪に装着することを特徴としている。
【0019】
請求項3に記載のタイヤ装着方法では、傾斜角度θ 1 を有する溝壁面が踏み込み側となるように、請求項1または請求項2に記載の空気入りタイヤを、加速通過騒音に最も寄与する駆動輪に装着するので、車両の加速通過騒音の低減に最も効果がある。
また、傾斜角度θ 1 を有する溝壁面が蹴りだし側となるように、請求項1または請求項2に記載の空気入りタイヤを遊輪にすると、遊輪には偏摩耗を起こし難いタイヤを装着することになり、全体的にバランスのとれた車両とタイヤのマッチングを得ることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の空気入りタイヤの一実施形態を図1乃至図3にしたがって説明する。
【0021】
本実施形態の空気入りタイヤ10の基本構成は、1対のサイドウォール部と、それらのサイドウォール部を相互連結するクラウン部とを、サイドウォール部内周縁のビード部に埋設されるビードコアの回りに巻返して固着したコードのプライからなるラジアル構造のカーカスによって補強し、またクラウン部の周りに、周方向に対して小さい角度で交わる、相互に平行配列のコードの複数層の交差積層体からなるベルトを配設して、クラウン部に配置したトレッドを補強したものである。
【0022】
図1には、空気入りタイヤ10のトレッド12の平面図であり、Eはトレッド端を示し、TC はタイヤ赤道面CLを中心にその両側にトレッド踏面幅Wの5〜15%で広がるトレッド中央域、TM はトレッド中央域TC の両側にトレッド踏面幅Wの20〜40%で広がるトレッド中間域、そしてTS はトレッド中間域TM とトレッド端Eとの間に広がるトレッド側域である。
【0023】
トレッド12には、タイヤ赤道面CLの両側で交互に配置された傾斜主溝14がタイヤ周方向(矢印A方向及び矢印B方向)に沿って多数並列されている。
【0024】
これらの傾斜主溝14は、矢印B方向側へ向かうに従ってタイヤ赤道面CLから除々に離れるように傾斜している。
【0025】
傾斜主溝14は、タイヤ赤道面CLの両側で所定距離を隔てたそれぞれの位置からそれぞれのトレッド端E側へ、タイヤ周方向に対して15〜45°、より好ましくは20〜40°の傾斜角度αで相互に逆向きに延び、かつトレッド端E側の端末近傍、具体的にはトレッド側域TS で延びる横主溝部としての端末域14Aがタイヤ周方向に対して75〜105°の傾斜角度βで延びてトレッド端Eに狭い幅で開口する一方、タイヤ赤道面CL側の端末近傍、具体的にはトレッド中央域TC で延びる端末域14Bがこれとタイヤ周方向で隣接する傾斜主溝14のトレッド中間域TM に向かって、タイヤ赤道面CL側に凸となる円弧状に延びて隣接する傾斜主溝14に開口することによって、タイヤ赤道面CL上に、タイヤ周方向に連続するリブ16を区画している。
【0026】
この空気入りタイヤ10は、車両の車輪の内、駆動力の大きい車輪に用いることによって本発明の機能が発揮され、例えば、後輪駆動の車両では後輪に用いられ、前輪駆動の車両では前輪に用いられる。また、4駆動の車両では駆動力の大きい方の車輪に用いられる。
【0027】
さらに、タイヤ周方向に並列した傾斜主溝14は、その端末域14A側において、傾斜主溝14に比して狭い幅でタイヤ周方向に対して25°以下の傾斜角度γで延びる補助溝18で連通することによって、リブ16の両側でタイヤ周方向に並列する複数のブロック20を区画する。図示例では、補助溝18をトレッド中間域TM とトレッド側域TS との境界付近に配置した。
【0028】
このブロック20は、それと隣接する補助溝18と同じ向き、好ましくは傾斜主溝14とほぼ直交する向きに延びるサイプ22にて複数区画に、図示例では3本のサイプ22にて4区画に分割してなる。
【0029】
また、各トレッド側域TS には、タイヤ周方向に並列する傾斜主溝14の端末域14A、補助溝18及びトレッド端Eにて、側部ブロック24を区画し、この側部ブロック24はトレッド端Eから延びる切欠き溝26を有する。
【0030】
ここで、傾斜主溝14は、5〜10mmの深さで、トレッド中間域TM において幅W0 がトレッド踏面幅Wの3〜7%で延び、端末域14Aにおいてトレッド端Eでの端末の開口幅W1 がトレッド踏面幅Wの1〜4%となるまで漸減する一方、端末域14Bにおいて隣接する傾斜主溝14での端末の開口幅W2 がトレッド踏面幅Wの1〜4%となるまで漸減することが好ましい。
【0031】
さらに、タイヤ赤道面CL側で円弧状をなす端末14Bの曲率半径Rは、30〜150mmが好適であり、これら端末域14Bに挟まれて区画されるリブ16は、最大幅W4 がトレッド踏面幅Wの5〜15%および最小幅W5 が同Wの3〜12%でタイヤ周方向へジグザグ状に延びる陸部となる。
【0032】
また、補助溝18は、幅W3 が踏面幅Wの1〜3%及び深さ4〜7mmで、そしてトレッド端E付近の剛性を最適化するために形成する切欠き溝26は、端末域14Aの開口に準じた幅で、それぞれ形成することが好ましい。
【0033】
さらに、サイプ22は負荷転動に伴う接地中に閉じ合わさる程度の幅、具体的には、0.5〜3mm程度とする。
【0034】
また、図2に示すように、傾斜主溝14を溝中心線に対して直角に断面にしたときに、接地面12Aに対して90°とされ、かつ傾斜主溝14の開口端を通る垂線Sに対する溝壁面の傾斜角度θは、矢印A方向側の溝壁面21Aが矢印B方向側の溝壁面21Bよりも小さく設定されている。
【0035】
矢印A方向側の溝壁面21Aの傾斜角度θ1 は−5°〜10°(ここで、マイナスの角度は、溝底部へ向かうに従ってブロック20側へ入り込む方向へ傾斜していることを意味する。)が好ましく、−5°〜5°が更に好ましい。
【0036】
一方、矢印B方向側の溝壁面21Bの傾斜角度θ2 は10°〜30°が好ましい。
【0037】
以上のような溝配列の下でトレッド12を区画したこの空気入りタイヤ10では、トレッド踏面部全体のネガティブ比を25〜35%とするとともに、トレッド踏面部の、幅方向の各位置でのネガティブ比を、図3にグラフで示すように、リブ16に隣接する区域で最大とし、そこからトレッド端E側に向けて傾向的に減少させ、より好ましくは、トレッド踏面全体のネガティブ比の70%以上が存在する領域、たとえば、トレッド中央部側でトレッド踏面幅Wの70〜90%を占める領域では、その領域内のトレッド側域TS のネガティブ比を最大ネガティブ比の50〜80%とし、また、その領域よりトレッド端E側の部分のネガティブ比を最大ネガティブ比の15〜30%とする。
【0038】
次に、本実施形態の空気入りタイヤ10の作用を説明する。
この空気入りタイヤ10は、例えば、後輪駆動の車両では後輪に用い、前輪駆動の車両では前輪に用い、かつ、図1の矢印A方向側が踏み込み側(転動回転時に始めに路面に接触する側)となる方向に装着することによって機能が発揮される。なお、4輪駆動車の場合には、駆動力配分の高い方の車輪に用いる。
【0039】
先ず、濡れた路面でのトレッド踏面内での水の挙動は、トレッド踏面の踏み込み付近においてはトレッド中央域TC 近傍では、タイヤ周方向または周方向に対して20°未満で前方へ流れ、次いでトレッド中間域TM では、タイヤ周方向に対して20〜40°で前方へ流れ、そしてトレッド側域TS では、タイヤ周方向に対して40°をこえるタイヤの外側方向へと流れる。 したがって、この空気入りタイヤ10では、トレッド中間域TM では、タイヤ周方向に対して15〜45°の傾斜角度で延び、かつ、トレッド中央域TC に延びる端末14Bで円弧状に、即ち、タイヤ周方向に対する傾きを小さくする一方、トレッド側域TS に延びる端末14Aでほぼトレッド幅方向、即ち、タイヤ周方向に対する傾きを大きくして、上記のトレッド踏面内での水の挙動に合致する向きに延びる、傾斜主溝14にてトレッド踏面を区画したので、優れた排水性能が確保される。
【0040】
ここで、トレッド中間域TM における傾斜主溝14のタイヤ周方向に対す傾斜角度αを15°未満とすると、傾斜主溝14間のブロック20に必要とさる剛性を付与できずに操縦安定性の悪化や偏摩耗の発生を招き、一方、傾斜角度αが45°を越えると、上記した排水性能を確保できない。
【0041】
同様に、トレッド側域TS に於ける傾斜主溝14の端末14Aのタイヤ周方向に対する傾斜角度βを75°〜105°としたのは、75°未満ではトラクションが不足し、一方、105°を越えると偏摩耗が発生するからである。
【0042】
なお、傾斜主溝14の幅をトレッド中間域TM で広く、その両側の端末に向けて漸減したのは、ネガティブ比を変化させるためであり、詳しくは後述する。
【0043】
また、トレッド中央域TC に形成されたリブ16によって、パターンノイズへの影響の大きいトレッド中央域TC のインパクト成分が抑えられ、低ノイズ化が実現される。
【0044】
ここで、端末14B域での円弧の曲率半径が大きすぎると、傾斜主溝14が周方向に延びるストレート溝と同様に気柱共鳴の発生を招き、一方、小さすぎると、傾斜主溝14の端末付近でのリブ16の剛性が極端に低下して偏摩耗が発生し易くなる。そこで、端末14B域での円弧の曲率半径は、30〜150mmとすることが好ましい。
【0045】
特に、この実施形態のトレッドパターンでは、トレッド中央域TC に於ける傾斜主溝14の円弧状をなす端末14Bの連なり、そしてトレッド側域TS における補助溝18の傾斜主溝14の一部を介在させた連なりが、それぞれ実質上タイヤ周方向にジグザグ状に連続してのびる溝を構成するところに特徴がある。
【0046】
まず、実質上タイヤ周方向に溝を連続させることによって、排水性能の一層の向上が図られる。また、タイヤ周方向にジグザグ状に延ばすことによって、タイヤの転動時の踏み込み側における路面との衝突による振動エネルギーは溝の側壁で吸収されるため、ノイズ低減に有効である。さらに、これらの溝に区画されるリブ16およびブロック20の剛性を最適化し、操縦安定性を向上し偏摩耗を回避することができる。
【0047】
すなわち、溝の介在によって剛性が小さくなる部分のトレッド幅方向における位置が周上で変化するため、ストレート溝のように剛性の小さい部分が同一周上にある場合と比較して、幅方向において低剛性部分にトレッド変形が集中するのが抑制されて接地圧の均一化を図ることができる。また、溝をストレート状にした場合には、ブロック隅部がより鋭角になって偏摩耗が促進されるが、溝をジグザグ状にすることによって、この偏摩耗を回避することができる。
【0048】
ここで、トレッド側域TS における補助溝18は、その開口位置をタイヤ赤道面CL側からトレッド端Eへ、トレッド踏面部の1/2幅の50〜85%の範囲にすることが好ましい。なぜなら、85%を越えると、側部ブロック24の剛性が低下し、トラクションの不足及び運動性能の不足を招いて操縦安定性が損なわれ、一方、50%未満では、所望の接地圧分布が得られない。より好ましくは60〜75%である。
【0049】
同様に、トレッド中央域TC における傾斜主溝14のタイヤ赤道面CLを挟んだ円弧状をなす端末14Bの間隔、つまりリブ16の最大幅は、トレッド踏面部の1/2幅の10〜30%であることが好ましい。なぜなら、10%未満では、トレッド中央域TC のネガティブ比が極端に大きくなるから操縦安定性や操舵時のリニアリティ(操舵角と操舵力との関係が線形に変化すること)が悪化し、一方、30%を越えると、排水性能の向上が望めないためである。より好ましくは7〜13%である。
【0050】
さらに、トレッド踏面部のネガティブ比がトレッド中央部からトレッド端E向けて漸減されている。すなわち、ハイドロプレーニング現象を観察すると、トレッド踏面部のトレッド中央域TC からトレッド中間域TM に水膜が発生していることから、ここでは、トレッド中央域TC からトレッド中間域TM にかけて形成した傾斜主溝14によるネガティブ比の、踏面全体のネガティブ比に対する比率を十分に大きくして排水性に寄与させることとし、リブ16の両側部分におけるネガティブ比を最も大きくすると共に、そのネガティブ比をトレッド端E側へ漸減している。
【0051】
ここで、トレッド踏面部全体のネガティブ比の70%以上を占めるトレッド踏面幅の例えば70〜90%のトレッド中央域TC 及びトレッド中間域TM において、その領域内のトレッド端E側部分のネガティブ比をリブ16に隣接する部分の最大ネガティブ率の50〜80%とすることにより排水性が良くなり、また、そのトレッド中間域TM 側の領域よりトレッド端E側の部分は、排水性より操縦安定性に影響が大きい部分であるので、その部分のネガティブ比をトレッド剛性を確保するために、最大ネガティブ比の15〜30%に設定することにより操縦安定性が良くなる。
【0052】
次に、この空気入りタイヤ10の加速通過騒音低減作用について説明する。
タイヤの加速通過騒音に対するパターンの寄与は、ブロックの踏み込み時の打音と、ブロックの蹴りだし時の滑り音が大きい。また、加速通過騒音に対しては、駆動輪の寄与が遊輪の寄与よりも圧倒的に高い。
【0053】
本実施形態では、上記のように装着することにより、踏み込み側に傾斜角度θ1 が小とされた溝壁面21Aが配置され、ブロック20及び側部ブロック24の踏み込み側の剛性が低くなるので、路面との当接時の衝撃が緩和され、加速時の打音を低減できる。
【0054】
また、蹴りだし側に傾斜角度θ2 が大とされた溝壁面21Bが配置され、ブロック20の蹴りだし側の剛性が高くなるので、ブロック20及び側部ブロック24の蹴りだし直前の変形量を小さくできる。これによって、ブロック20及び側部ブロック24の蹴りだし時の滑り量を小さくでき、加速時の滑り音を低減できる。
【0055】
このように、本実施形態の空気入りタイヤ10では、加速時の打音と滑り音とを共に低減できるので、加速通過騒音を大きく低減することができる。
【0056】
さらに、図1で示すように、コーナリング等で、横力が図1の矢印C方向に向けて入力した場合には、接地形状28は、タイヤ赤道面CLに対して横力の入力方向上流側の面積が大となる。この接地面積が大とされた側のブロック20及び側部ブロック24では、横力の入力方向下流側の傾斜角度θ2 が大とされているので(図2参照)、横力に対してブロック20の倒れ込みを少なくでき、ブロック20及び側部ブロック24の接地面積が確保されるので横滑りがし難くなり、操縦安定性の向上を図ることができる。
【0057】
なお、本実施形態の空気入りタイヤ10を駆動輪と同様の方向に向けて遊輪(例えば、後輪駆動車では前輪)に用いる場合、踏み込み側に対して蹴りだし側の摩耗量が大きくなり、ブロック20にヒール・アンド・トウ摩耗と呼ばれる偏摩耗を起こしやすい。したがって、好ましくは、遊輪には、駆動輪と逆向きに空気入りタイヤ10を装着することが望ましい。
【0058】
こうすることによって、駆動輪には加速通過騒音と操縦安定性の良いタイヤ、遊輪には偏摩耗を起こし難いタイヤを装着することになり、全体的にバランスのとれた車両とタイヤのマッチングを得ることができる。
(試験例)
試験タイヤを実車(ポルシェ社製ポルシェ911カレラ:後輪駆動車)に装着し、加速通過騒音を測定すると共に、ドライ操縦安定性試験及びウエット操縦安定性試験を実施した。
【0059】
比較例及び実施例1〜3に用いたタイヤ(前輪:タイヤサイズ205/50ZR17、後輪:タイヤサイズ255/40ZR17)は、何れも同一のトレッドパターン(図1のトレッドパターン)であるが、それぞれ傾斜主溝の溝壁面の傾斜角度が表1に示すように異なっている。
【0060】
加速通過騒音は、ISO362の規定する方法に従い測定した。
ドライ操縦安定性は、半径50mのドライサーキットを各種走行モードで走行したときのテストドライバーのフィーリングでもって評価した。なお、評価は比較例を100とする指数表示で表しており、数値が大きいほどドライ操縦安定性に優れていることを表す。
【0061】
ウエット操縦安定性は、半径50mのウエットサーキットを各種走行モードで走行したときのテストドライバーのフィーリングでもって評価した。なお、評価は比較例を100とする指数表示で表しており、数値が大きいほどウエット操縦安定性に優れていることを表す。
【0062】
【表1】
【0063】
試験の結果、本発明の適用された実施例1乃至実施例3では、比較例に対して加速通過騒音が低下していると共に、ドライ操縦安定性及びウエット操縦安定性も向上していることが分かる。
【0064】
また、実施例3のように、前輪の溝壁面の角度を実施例2と逆にすることにより、加速通過騒音及び操縦安定性を保ったまま、偏摩耗特性を向上できることが分かる。
【0065】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、車両の操縦安定性の向上と、低車外騒音性、特に加速通過騒音の低減とを同時に達成することができる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤのトレッドパターンである。
【図2】傾斜主溝部分の断面図である。
【図3】タイヤ幅方向のネガティブ比分布を示すグラフである。
【符号の説明】
10 空気入りタイヤ
12 トレッド
CL タイヤ赤道面
14 傾斜主溝
20 ブロック
24 側部ブロック24
21A 溝壁面
21B 溝壁面
Claims (3)
- トレッドのタイヤ赤道面の両側に隔てたそれぞれの位置からトレッド端側へ、タイヤ周方向に対して傾斜して相互に逆向きに延びる各傾斜主溝がタイヤ周方向に沿って多数配置され、前記傾斜主溝は、タイヤ赤道面側に配置されタイヤ周方向に対して傾斜する傾斜縦主溝部、及び前記傾斜縦主溝部の前記トレッド端側に連続して形成され前記傾斜縦主溝部よりもタイヤ周方向に対する角度が大きく設定された横主溝部を備え、前記トレッドに前記傾斜主溝で複数のブロックが区画されている空気入りタイヤであって、
前記傾斜主溝で区画されている前記ブロックの内で、少なくともタイヤ周方向に並列された前記傾斜主溝を連通する補助溝よりもタイヤ幅方向外側に区画されている側部ブロックにおいて、前記傾斜主溝の開口端を通り、かつトレッド踏面に対して垂直にたてた垂線に対する踏み込み側の溝壁面の傾斜角度θ1 が蹴りだし側の溝壁面の傾斜角度θ2 よりも小さくされていることを特徴とする空気入りタイヤ。 - 前記踏み込み側の溝壁面の傾斜角度θ1 を−5°〜10°に設定し、前記蹴りだし側の溝壁面の傾斜角度θ2 を10°〜30°に設定したことを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 請求項1または請求項2に記載の空気入りタイヤの装着方法であって、
傾斜角度θ 1 を有する溝壁面が踏み込み側となるように前記空気入りタイヤを車両の駆動輪に装着し、傾斜角度θ 1 を有する溝壁面が蹴りだし側となるように前記空気入りタイヤを車両の遊輪に装着することを特徴とする空気入りタイヤの装着方法。
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