JP4184356B2 - センサ、測定装置および測定方法 - Google Patents
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Description
大規模自動化機器は、病院の中央臨床検査部門や臨床検査受託業務を中心とする会社に設置されており、これを用いれば多数の患者の検体を多項目にわたり検査することができる(例えば、特許文献1)。例えば、株式会社日立製作所製の7170型の大型自動化機器は、最大36項目について毎時800テストの検査を完了することができる。したがって、上記大規模自動化機器は、検査の効率化に大きく貢献してきており、多くの被験者を抱える病院向きの装置であるといえる。
そこで、毛細管作用により試料液が流入するキャビティを備え、生化学または臨床試験に使用されるデバイスであって、試料の電気的特性を測定する電極構造と、キャビティ内に放出可能な抗体や酵素等の試薬とを有し、キャビティ内を光学的に測定できるようにキャビティの壁が透明であるデバイスが提案されている(例えば、特許文献4参照)。その他、本発明に関連し得る文献として特許文献5を挙げることができる。
そこで、本発明は、上記のような従来の問題点に鑑み、簡易な構成を有し、試料の光学測定および電気化学測定を同時に行うことにより、複数の項目を迅速かつ正確に測定することのできるセンサを提供することを目的とする。また、本発明は、かかるセンサを用い、複数の項目を迅速かつ正確に測定することのできる測定装置および測定方法を提供することを目的とする。
(A)前記試料保持部に前記試料を供給する工程と、
(B)前記検出部に電圧を印加する工程と、
(C)前記検出部からの電気信号を測定する工程と、
(D−1)前記工程(C)において測定された前記電気信号に基づいて前記第2の被検物質を定量する工程と、
(D−2)前記試料に含まれる第1の被検物質と、前記試薬保持部に保持された抗体との間で抗原抗体反応を生じさせる工程と、
(E)前記試料保持部内に保持された前記試料に前記光入射部を通して入射光を照射する工程と、
(F)前記入射光の照射に起因して前記試料保持部内から前記試料保持部外に前記光出射部を通して出射した出射光を測定する工程と、
(G)前記工程(F)において測定された前記出射光と、前記第2の被検物質の定量結果に基づいて前記第1の被検物質を定量する工程と、
を含む被検物質の測定方法を提供する。
本発明のセンサは、被検物質を含む試料を保持するための試料保持部と、試料保持部に試料を供給するための試料供給口と、試料保持部内に設けられた電気化学測定を行うための検出部と、試料保持部内に設けられた光学測定を行うための光学測定部と、試料保持部内に設けられた、前記光学測定のための試薬を保持するための試薬保持部と、を備え、前記試料供給口から供給された前記試料が前記試薬保持部内を流れる方向において、前記試料供給口、前記検出部および前記試薬保持部の順に配置されている。
また、試料供給口から供給された試料がセンサ内を流れる方向において、検出部が試薬保持部よりも上流側に位置するため、光学測定のために用いる試薬が試料保持部内に供給された試料に溶解して検出部に到達することが抑制されるので、光学測定のために用いる試薬が電気化学測定に悪影響を及ぼすという問題を最小限に抑制することができる。
コスト削減および作製工程の簡易化という観点からは、単一の材料で前記センサ全体を構成するのが好ましい。また、センサを使い捨てにする場合には、コスト削減の観点から、ポリスチレンを用いるのが好ましい。
例えば、試料保持部が直方体の形状である場合には、直方体の互いに異なるいずれかの面に光入射部と光出射部とをそれぞれ設け、光入射部および光出射部が設けられた面とは異なる面上に検出部を設けてもよい。
ここで、前記試料供給口から供給された前記試料が前記試料保持部内を流れる方向において、前記光学測定部が、前記試薬保持部と略同じ位置かまたは前記試薬保持部よりも下流側に位置することが好ましい。このようにすると、光学測定のために用いる試薬が試料保持部内に供給された試料に溶解した後、その試薬を含む試料が光学測定部に到達するので、試料保持部内を強制的に攪拌しなくても、光学測定を迅速に行うことができる。
例えば、ガラス繊維または濾紙などで構成された多孔性の担体に、試薬の溶液を含浸させ、乾燥することにより試薬を担持し、当該担体を試料保持部内および/または試料導入路内に配置すればよい。また、試料保持部および/または試料導入路を構成する壁面に、試薬の溶液を直接塗布し、乾燥して担持させてもよい。
試薬と試料中の被検物質との特異的な反応としては、抗体試薬を用いる抗原抗体反応や生化学反応などが挙げられる。ここで、生化学反応としては、例えば尿蛋白の測定に用いられるCBB G−255法およびピロガロールレッド法、ならびに尿糖の測定に用いられるベネディクト法およびニーランデル法などが挙げられる。
例えば、アルブミンなどの蛋白またはhCGおよびLHなどのホルモンを抗原として用い、マウスやウサギなどに免疫することにより、前記抗原に対する抗体を得ることができる。抗体としては、尿中に含まれるアルブミンなどの蛋白に対する抗体、ならびに尿中に含まれるhCGおよびLHなどのホルモンに対する抗体などが挙げられる。
このような構成とすることにより、入射光の光路および出射光の光路を規定することができ、散乱光、透過光および反射光を、容易かつ確実に測定することができる。
なかでも、検出部は、試料の導電率測定を行なうための少なくとも一対の電極を備えていることが好ましい。このような構成によれば、光学測定に加えて試料の塩濃度測定を容易かつ確実に実施することが可能となる。また、塩濃度により光学測定結果が影響を受ける場合には、光学測定の測定値を補正することも容易となる。
ここで、イオン選択膜は、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、塩化物イオン、アンモニウムイオンおよび水素イオンなどのイオンのうちのいずれかを選択的に透過させる機能を有するものであればよい。
リチウムイオンに対しては、例えばフォスフォドデシル−14−クラウン−4(phosphododecyl−14−crown−4)などが挙げられ、マグネシウムイオンに対しては、例えば4,13−ビス[N−(1−アダマンチル)カルバモイルアセチル]−8−テトラデシル−1,7,10,16−テトラオキサ−4,13−ジアザシクロオクタデカン(4,13−bis[N−(1−adamantyl)carbamoylacetyl]−8−tetradecyl−1,7,10,16−tetraoxa−4,13−diazacyclooctadecane)などが挙げられる。
さらに、アンモニウムイオンに対しては、例えば2,6,13,16,23,26−ヘキサオクサヘプタシクロ[25.4.4.47,12.417,22.01,17.07,12.017,22]トリテトラコンタン(2,6,13,16,23,26−hexaoxaheptacyclo[25.4.4.47,12.417,22.01,17.07,12.017,22]tritetracontane)などを用いることができる。
上記包接化合物は、いずれも市販品として、例えば同仁化学(株)から入手することができる。
つぎに、本発明の測定装置は、上記センサを取付けるためのセンサ取付け部と、前記センサの前記光学測定部に入射する入射光を出射するための光源と、前記光学測定部から出射した出射光を受光するための受光部と、前記検出部に電圧を印加するための電圧印加部と、前記検出部からの電気信号を測定するための電気信号測定部と、前記受光部により受光された前記出射光および前記電気信号測定部により測定された前記電気信号のうちの少なくとも一方に基づき、前記被検物質を検出または定量するための演算部と、を備える。
また、先に述べたような、試料供給口から供給された試料がセンサ内を流れる方向において、検出部が試薬保持部よりも上流側に位置するセンサを用いるため、光学測定のために用いる試薬が試料保持部内に供給された試料に溶解して検出部に到達することが抑制されるので、光学測定のために用いる試薬が電気化学測定に悪影響を及ぼすという問題を最小限に抑制することができる。
また、本発明の測定装置は、さらに、センサ取付け部に取付けられたセンサの試料保持部内に試料を吸引するための吸引部を備えていることが好ましい。このような構成によれば、センサ取付け部にセンサを取付けた状態で、吸引部を用いて、センサの試料保持部内に容易に試料を供給することができる。吸引部は手動であっても自動であってもよく、例えば、シリンジやディスペンサーなどと同様のピストン機構などが挙げられる。
このような構成によれば、検出または定量した結果を取り外し可能な記憶媒体に保存することができ、前記結果を測定装置から容易に取り出すことができる。したがって、前記記憶媒体を分析専門業者に持参したり郵送したりして容易に分析を依頼することができる。
このような構成によれば、試料中の被検物質を検出または定量した結果が、測定した時間とともに記憶部に保存されているため、経時的な分析を行うことができる。
加えて、本発明の測定装置は、前記分析関連部門または分析関連業者等において分析した結果を受信するための受信部を備えていることが好ましい。このような構成によれば、分析結果を迅速に被験者にフィードバックすることができる。
本発明の測定方法は、先に述べた本発明のセンサと、第1の被検物質および第2の被検物質を含む試料の測定方法であって、(A)前記試料保持部に前記試料を供給する工程と、(B)前記検出部に電圧を印加する工程と、(C)前記検出部からの電気信号を測定する工程と、(D)前記工程(C)において測定された前記電気信号に基づいて前記第2の被検物質を検出または定量する工程と、(E)前記試料保持部内に保持された前記試料に前記光入射部を通して入射光を照射する工程と、(F)前記入射光の照射に起因して前記試料保持部内から前記試料保持部外に前記光出射部を通して出射した出射光を測定する工程と、(G)前記工程(F)において測定された前記出射光に基づいて前記第1の被検物質を検出または定量する工程と、を含む。
また、試料供給口から供給された試料がセンサ内を流れる方向において、検出部が試薬保持部よりも上流側に位置するため、光学測定のために用いる試薬が試料保持部内に供給された試料に溶解して検出部に到達することが抑制されるので、光学測定のために用いる試薬が電気化学測定に悪影響を及ぼすという問題を最小限に抑制することができる。
なかでも、前記工程(C)において前記電気信号を検知した際に、前記工程(E)において前記入射光を照射するのが好ましい。このような構成によれば、試料保持部内に試料が供給されたことを自動的に検知すると同時に光学測定の準備をすることができ、電気化学測定および光学測定を行うのに要する時間を短縮することができる。
在宅での日常の健康管理を目的として本発明のセンサや測定装置を用いる場合、測定は非侵襲であることが好ましいため、試料としては尿が好ましい。
第2の被検物質としては、例えばナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、塩化物イオン、アンモニウムイオンおよび水素イオンなどのうちの少なくとも1種が挙げられる。
一方、尿の塩分(ナトリウムイオンおよびカリウムイオンなど)ならびにpHなどは、主として、電気化学測定に基づいて測定される。特に尿の塩分は、食事などの生活習慣を反映するものであり、健康管理に関するソリューションを提案するために重要な情報である。
したがって、複数の塩分濃度における、抗原濃度と出射光強度との関係を表すデータを検量線として用い、導電率測定(電気化学測定)により求められた塩分値を使って、光学測定により求められた抗原濃度を補正するのが好ましい。これにより、検体差を補正することができる。このようにすると、定量結果の精度を向上させることができる。
また、水素イオン濃度の測定により、尿のpHを求めれば、pHによる影響をも考慮した補正が可能である。
本実施の形態のセンサの構成を、図1〜3を用いて説明する。本実施の形態のセンサは光学測定に散乱光を用いることを意図して構成されている。図1は、本発明のセンサの実施の形態1を示す斜視図であり、図2は、図1における矢印Bの方向からみたセンサの斜視図であり、図3は、図1におけるA−A線断面図である。
図1に示すように、本実施の形態のセンサ1は、ポリスチレンで構成された試料保持部104で構成されている。
試料保持部104を囲む4つの面のうちの第1の面には、図3に示すように、尿中のヒトアルブミンに対する抗体が試薬として乾燥状態で担持されたガラス繊維製の多孔質担体を貼付することによって、試薬保持部108が形成されている。
すなわち、試料供給口101から供給された試料がセンサ1内を流れる方向(センサ1の長さ方向に略平行な矢印Xの方向)において、試料供給口101、検出部111および試薬保持部108の順に配置されており、試料供給口101から検出部111までの距離D1と、試料供給口101から試薬保持部108までの距離D2とが、関係式:D1<D2を満たしている。
また、上記のシリコン基板上には参照電極106が配置され、参照電極106とイオン選択膜を露出させつつ、他の部分を覆うように絶縁膜113が設けられている。
試料保持部104を構成する4つの面のうち、検出部111が設けられた面および試薬保持部108が設けられた面以外の2つの面が、それぞれ光入射部109および光出射部110として機能する。
本実施の形態のセンサの構成を、図4〜6を用いて説明する。本実施の形態のセンサは光学測定に透過光を用いることを意図して構成されている。図4は、本発明のセンサの実施の形態2を示す斜視図であり、図5は、図4における矢印Bの方向からみたセンサの斜視図であり、図6は、図4におけるA−A線断面図である。
図4に示すように、本実施の形態のセンサ1は、ポリスチレンで構成された試料導入部203と試料保持部204で構成されており、試料導入部203と試料保持部204とは一体的に成形されている。
試料保持部204を囲む4つの面のうちの第1の面には、図6に示すように、尿中のヒトアルブミンに対する抗体が試薬として乾燥状態で担持されたガラス繊維製の多孔質担体を貼付することによって、試薬保持部208が形成されている。
すなわち、試料供給口201から供給された試料がセンサ1内を流れる方向(センサ1の長さ方向に略平行な矢印Xの方向)において、試料供給口201、検出部211および試薬保持部208の順に配置されており、試料供給口201から検出部211までの距離D1と、試料供給口201から試薬保持部208までの距離D2とが、関係式:D1<D2を満たしている。
また、上記のシリコン基板上には参照電極206が配置され、参照電極206とイオン選択膜を露出させつつ、他の部分を覆うように絶縁膜213が設けられている。
試料保持部204を構成する4つの面のうち、検出部211が設けられた面および試薬保持部208が設けられた面以外の2つの面が、それぞれ光入射部109および光出射部110として機能する。
本実施の形態のセンサの構成を、図7〜9を用いて説明する。本実施の形態のセンサは光学測定に散乱光を用いることを意図して構成されている。図7は、本発明のセンサの実施の形態3を示す斜視図であり、図8は、図7における矢印Bの方向からみたセンサの斜視図であり、図9は、図7におけるA−A線断面図である。
図7に示すように、本実施の形態のセンサ1は、ポリスチレンで構成された試料導入部303と試料保持部304で構成されており、試料導入部303と試料保持部304とは一体的に成形されている。
上記第1の面には、図9に示すように、尿中のヒトアルブミンに対する抗体が試薬として乾燥状態で担持されたガラス繊維製の多孔質担体を貼付することによって、試薬保持部307が形成されている。
すなわち、試料供給口301から供給された試料がセンサ1内を流れる方向(センサ1の長さ方向に略平行な矢印Xの方向)において、試料供給口301、検出部311および試薬保持部307の順に配置されており、試料供給口301から検出部311までの距離D1と、試料供給口301から試薬保持部307までの距離D2とが、関係式:D1<D2を満たしている。
試料保持部304を構成する4つの面のうち、検出部311が設けられた面および試薬保持部307が設けられた面以外の2つの面が、それぞれ光入射部308および光出射部309として機能する。
本実施の形態の測定装置の構成を、図10〜12を用いて説明する。図10は本実施の形態における測定装置2を示す斜視図であり、図11は、図10に示す測定装置2に上記実施の形態1のセンサ1を取り付けた様子を示す斜視図である。また、図12は、測定装置2の構成を示すブロック図である。
本実施の形態の測定装置2は、センサ取付け部401、測定結果が表示される表示部402、試料吸引開始ボタン403およびセンサ取外しボタン404を有する。センサ取付け部401には、センサ1の試料供給口101と反対側の開口部102を挿入することにより、測定装置2内にセンサ1を取付けることができる。
まず、測定装置2のセンサ取付け部401にセンサ1の一部を挿入することにより、測定装置2内に設けられた3つの端子とセンサ1に設けられた3つの端子107とがそれぞれ接触する。このとき、測定装置2内に設けられたマイクロスイッチからなるセンサ挿入検知スイッチ(図示せず)が作動し、制御部として機能するCPU601がセンサ1の挿入を検知し、電圧印加部602によりセンサ1の検出部603に電圧が印加される。
また、散乱光を測定することができるように、センサ1の光出射部110から出射する光の直進方向に対して、センサ1を中心として、垂直方向に交わる軸上に別の受光部608が設けられている。
試料保持部104内に供給された尿が検出部603に到達すると、検出部603における電位状態が変化するため、それに起因する電気信号の変化を電気信号測定部605が検知し、CPU601が計時部606による計時を開始させるとともに、電圧印加部602による電圧の印加を遮断する。試料保持部104内に供給された尿は、試薬保持部に担持された乾燥状態の抗体を溶解し、尿中の抗原との免疫反応が進行する。
一方、検出部603からの電気信号を電気信号測定部605で測定する。この電気信号に基づき、記憶部であるメモリ609に保存されている電気信号とナトリウム濃度との関係を表す検量線を参照して、演算部として機能するCPU601が電気信号を尿中のナトリウム濃度に換算する。
こうして得られたナトリウム濃度および抗原濃度は、図11に示すように、表示部402に表示される。また、得られたナトリウム濃度および抗原濃度は、計時部606により計時された時刻とともにメモリ609に保存される。
さらに、得られたナトリウム濃度および抗原濃度は、記録部611によりSDカードなどの記憶媒体に記録することができる。取り外し可能な記憶媒体に保存することにより、測定結果を測定装置2から容易に取り出すことができるので、前記記憶媒体を分析専門業者に持参もしくは郵送して、分析を依頼することができる。
さらにまた、前記分析関連部門または分析関連業者などにおいて分析した結果を受信するための受信部613を備えている。これにより、分析結果を迅速に被験者にフィードバックすることができる。
本実施の形態の測定装置の構成を、図13、14および12を用いて説明する。図13は本実施の形態における測定装置2を示す斜視図であり、図14は、図13に示す測定装置2に上記実施の形態3のセンサ1を取り付けた様子を示す斜視図である。また、図12は、測定装置2の構成を示すブロック図である。
本実施の形態の測定装置2は、センサ取付け部501、測定結果が表示される表示部502、試料吸引開始ボタン503およびセンサ取外しボタン504を有する。センサ取付け部501には、センサ1の試料供給口301と反対側の開口部302を挿入することにより、測定装置2内にセンサ1を取付けることができる。
まず、測定装置2のセンサ取付け部501にセンサ1の一部を挿入することにより、測定装置2内に設けられた2つの端子とセンサ1に設けられた2つの端子306とがそれぞれ接触する。このとき、測定装置2内に設けられたマイクロスイッチからなるセンサ挿入検知スイッチ(図示せず)が作動し、制御部として機能するCPU601がセンサ1の挿入を検知し、電圧印加部602によりセンサ1の検出部603に電圧が印加される。
また、散乱光を測定することができるように、センサ1の光出射部309から出射する光の直進方向に対して、センサ1を中心として、垂直方向に交わる軸上に別の受光部608が設けられている。
試料保持部304内に供給された尿が検出部603に到達すると、検出部603における一対の電極305の間の抵抗値(すなわち導電率)が、試料中の塩分の濃度に依存して変化するため、それに起因する電気信号の変化を電気信号測定部605が検知し、CPU601が計時部606による計時を開始させる。試料保持部304内に供給された尿は、試薬保持部に担持された乾燥状態の抗体を溶解し、尿中の抗原との免疫反応が進行する。
一方、検出部603からの電気信号を電気信号測定部605で測定する。この電気信号に基づき、記憶部であるメモリ609に保存されている電気信号と塩濃度との関係を表す検量線を参照して、演算部として機能するCPU601が電気信号を尿中の塩分濃度に換算する。
こうして得られた塩分濃度および抗原濃度は、図14に示すように、表示部502に表示される。また、得られた塩分濃度および抗原濃度は、計時部606により計時された時刻とともにメモリ609に保存される。
さらに、得られた塩分濃度および抗原濃度は、記録部611によりSDカードなどの記憶媒体に記録することができる。取り外し可能な記憶媒体に保存することにより、測定結果を測定装置2から容易に取り出すことができるので、前記記憶媒体を分析専門業者に持参もしくは郵送して、分析を依頼することができる。
さらにまた、前記分析関連部門または分析関連業者などにおいて分析した結果を受信するための受信部613を備えている。これにより、分析結果を迅速に被験者にフィードバックすることができる。
実験においては、各塩が0M、0.050M、0.15Mおよび0.30Mの濃度で反応液に存在した場合の影響について調べた。本実施例における緩衝液などの調製には、Milli−Q SP TOC(Millipore社製)でろ過した純水を使用した。また、特に記載の無い塩および緩衝剤などの試薬としては、和光純薬(株)製のものを使用し、ポリエチレングリコール6000(PEG6000)としては1級試薬を使用し、それ以外の試薬としては特級試薬を使用した。
精製した抗体は、分画分子量1万の透析チューブを用い、100倍容量の0.05M 3−(N−Morpholino)propane sulfonic acid(MOPS)、0.15M NaClおよび0.04%(w/v)NaN3を含む緩衝液(pH7.4)で数回透析した。透析緩衝液の0.15M NaClは保存時の抗体による自己凝集防止のために添加した。透析により緩衝液が置換されたものを抗ヒトアルブミンポリクローナル抗体保存溶液とし、280nmの吸光度測定により、その濃度を推定した(3.2mg/ml)。
また、本実施例における緩衝剤にはMOPSを使用した。MOPSはGoodらにより考案された種々のアミン化合物からなるGood緩衝剤の1つであり、その特徴の1つとして、双極イオン緩衝液であるため、イオン性の緩衝液に比べ、塩効果が少ない。このため、本実施例での結果の対比がより明確になるとの観点から使用した。MOPSはDojin社製のものを使用した。
添加塩を含まない緩衝液としては、0.050M MOPS緩衝液(pH7.4)と、0.050M MOPSおよび6%(w/v)PEG6000を含む緩衝液(pH7.4)とを用意した。
また、添加塩としてNaClを含む緩衝液としては、0.050M、0.15Mおよび0.30MのNaClを含む0.050M MOPS緩衝液(pH7.4)と、0.050M MOPSおよび6%(w/v)PEG6000を含む緩衝液(pH7.4)とを用意した。添加塩としてKClを含む緩衝液としては、0.050M、0.15Mおよび0.30MのKClを含む0.050M MOPS緩衝液(pH7.4)と、0.050M MOPSおよび6%(w/v)PEG6000を含む緩衝液(pH7.4)とを用意した。添加塩としてCaCl2を含む緩衝液としては、0.050M、0.15Mおよび0.30MのCaCl2を含む0.050M MOPS緩衝液(pH7.4)と、0.050M MOPSおよび6%(w/v)PEG6000を含む緩衝液(pH7.4)とをそれぞれ用意した。
分光蛍光光度計の測定条件は、励起波長および蛍光波長を共に660nmとし、励起側のバンド幅を1.5nm、蛍光側のバンド幅を3nm、感度をHighに設定した。
また、抗ヒトアルブミンポリクローナル抗体溶液は、上記で作製したPEGを含まず、測定対象とした添加塩およびその濃度が一致する緩衝液で1.0mg/mlの濃度に希釈した。また同じ緩衝液を用いて、ヒトアルブミン保存溶液を希釈して、濃度が0、1、5、10、50、100mg/dlの各ヒトアルブミン溶液を作製した。
続いてこれに上記で調製した0.3mlの抗ヒトアルブミンポリクローナル抗体溶液を加えて攪拌混合し、更に、上記で調製した0.03mlのヒトアルブミン溶液を加え攪拌混合した。抗ヒトアルブミンポリクローナル抗体およびヒトアルブミンの最終濃度は、抗ヒトアルブミンポリクローナル抗体が約0.10mg/ml、ヒトアルブミンが反応に使用したヒトアルブミン溶液の濃度に0.01を乗じた値である。また、PEG6000の最終濃度は4%(w/v)である。
図15〜17に示すように、塩の濃度により抗原抗体反応に差が生じている。この結果から、同じ濃度のヒトアルブミンを持つ検体であっても、検体の塩濃度の差により異なった抗原抗体反応量を示す場合のあることがわかる。上記の結果から、各々の塩について、各塩濃度における抗原濃度と出射光強度との関係を表すデータを得ることができた。これを検量線とし、電気化学測定により求めた塩濃度を用いて、光学測定により測定された出射光強度を補正することにより、試料液中の抗原濃度を高精度に求めることができる。
したがって、本発明は、医療分野および医療関連の検査分野における検査、特に尿の検査に有用である。
2 測定装置
101 試料供給口
102 開口部
104 試料保持部
105 イオン選択性電極
106 参照電極
107 端子
108 試薬保持部
109 光入射部
110 光出射部
111 検出部
112 リード線
113 絶縁膜
201 試料供給口
202 開口部
203 試料導入路
204 試料保持部
205 イオン選択性電極
206 参照電極
207 端子
208 試薬保持部
209 光入射部
210 光出射部
211 検出部
212 リード線
213 絶縁膜
301 試料供給口
302 開口部
303 試料導入路
304 試料保持部
305 電極
306 端子
307 試薬保持部
308 光入射部
309 光出射部
310 リード線
311 検出部
401 センサ取付け部
402 表示部
403 試料吸引開始ボタン
404 センサ取外しボタン
501 センサ取付け部
502 表示部
503 試料吸引開始ボタン
504 センサ取外しボタン
Claims (11)
- 抗原からなる第1の被検物質およびイオンからなる第2の被検物質を含む試料を保持するための空間を有する試料保持部と、前記空間に連結し、前記試料保持部に前記試料を供給するための試料供給口と、前記試料保持部内に設けられた電気化学測定を行うための検出部と、前記試料保持部内に設けられ、前記試料保持部に入射光を入射させるための光入射部と、前記試料保持部内に設けられ、前記試料保持部内から前記試料保持部外に出射光を出射させるための光出射部と、前記試料保持部内に設けられた、前記光学測定のための抗体からなる試薬を保持するための試薬保持部と、を備え、前記試料供給口から供給された前記試料が前記試料保持部内を流れる方向において、前記試料供給口、前記検出部および前記試薬保持部の順に配置されているセンサを用いる、被検物質の測定方法であって、
(A)前記試料保持部に前記試料を供給する工程と、
(B)前記検出部に電圧を印加する工程と、
(C)前記検出部からの電気信号を測定する工程と、
(D−1)前記工程(C)において測定された前記電気信号に基づいて前記第2の被検物質を定量する工程と、
(D−2)前記試料に含まれる第1の被検物質と、前記試薬保持部に保持された抗体との間で抗原抗体反応を生じさせる工程と、
(E)前記試料保持部内に保持された前記試料に前記光入射部を通して入射光を照射する工程と、
(F)前記入射光の照射に起因して前記試料保持部内から前記試料保持部外に前記光出射部を通して出射した出射光を測定する工程と、
(G)前記工程(F)において測定された前記出射光と、前記第2の被検物質の定量結果に基づいて前記第1の被検物質を定量する工程と、
を含む被検物質の測定方法。 - 前記工程(C)において前記電気信号を検知した際に、前記工程(E)において前記入射光を照射する請求項1記載の測定方法。
- 前記検出部がイオン選択性電極を備えている、請求項1に記載の被検物質の測定方法。
- 抗原からなる第1の被検物質およびイオンからなる第2の被検物質を含む試料を保持するための空間を有する試料保持部と、
前記空間に連結し、前記試料保持部に前記試料を供給するための試料供給口と、
前記試料保持部内に設けられ、前記第2の被検物質の電気化学測定を行うための検出部と、
前記試料保持部内に設けられ、前記第1の被検物質の光学測定を行うための光学測定部と、
前記試料保持部内に設けられた、前記光学測定のための抗体からなる試薬を保持するための試薬保持部と、を備え、
前記試料供給口から供給された前記試料が前記試料保持部内を流れる方向において、前記試料供給口、前記検出部および前記試薬保持部の順に配置されているセンサ。 - 前記光学測定部が、入射光を入射させるための光入射部と、前記試料保持部内から前記試料保持部外に出射光を出射させるための光出射部と、を備える請求項4記載のセンサ。
- 前記試料供給口から供給された前記試料が前記試料保持部内を流れる方向において、前記光学測定部が、前記試薬保持部と略同じ位置かまたは前記試薬保持部よりも下流側に位置する請求項4記載のセンサ。
- 前記試薬保持部が、前記被検物質と特異的に反応する試薬を備える請求項4記載のセンサ。
- 前記検出部が、少なくとも一対の電極を備える請求項4記載のセンサ。
- 前記検出部が、イオン選択性電極を備える請求項4記載のセンサ。
- 請求項4記載のセンサを取付けるためのセンサ取付け部と、
前記センサの前記光学測定部に入射する入射光を出射するための光源と、
前記光学測定部から出射した出射光を受光するための受光部と、
前記検出部に電圧を印加するための電圧印加部と、
前記検出部からの電気信号を測定するための電気信号測定部と、
前記受光部により受光された前記出射光および前記電気信号測定部により測定された前記電気信号に基づき、前記被検物質を定量するための演算部と、を備える測定装置。 - 前記センサ取付け部に取付けられた前記センサの前記試料保持部内に前記試料を吸引するための吸引部を備える請求項10記載の測定装置。
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