JP4183430B2 - チラー装置 - Google Patents

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JP4183430B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、半導体製造装置などにおける冷却すべき負荷を冷却するためのチラー装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種のチラー装置として、例えば特許第3095377号に記載されたチラー装置が知られている。この従来の装置における実施形態を図4に図示する。
この従来のチラー装置は、各々冷媒が循環する一次側回路C1、二次側回路C2及び負荷側回路C3から構成されている。
一次側回路C1は、圧縮器を構成する冷却器1及び一次側ポンプP1を備えている。また、二次側回路C2は、二次側ポンプP2、バッファタンク3及び抵抗流路10を備えている。上記一次側回路C1及び二次側回路C2は、熱交換器4を介して接続されており、一次側回路C1において冷却された冷媒と二次側回路C2の冷媒との熱交換を可能にしている。
【0003】
負荷側回路C3は、負荷Wを冷却するための回路であり、ヒータ9、負荷側ポンプP3、抵抗流路11を備えている。上記二次側回路C2及び負荷側回路C3は、連絡流路5、6を介して接続されている。このうちの一方の連絡流路5には、制御バルブ8が設けられており、該制御バルブ8は、負荷側回路C3の冷媒温度の変動を検出する温度調節器7の出力信号に対応するパルス数に応じてその開度が制御される。
【0004】
上記した従来のチラー装置において、冷却器1、ポンプP1、P2、P3を駆動すると冷却器1で冷却された一次側回路C1の冷媒が熱交換器4において二次側回路C2の冷媒と熱交換され、二次側回路C2の冷媒が冷却される。冷却された二次側回路C2の冷媒はバッファタンク3に蓄えられ、制御バルブ8の開度に応じて抵抗流路10を介して二次側回路C2を循環し、或いは一部の冷媒が負荷側回路C3に流入することとなる。
【0005】
制御バルブ8は、負荷側回路C3の冷媒温度を検出する温度検出器7の出力によって制御されているので、負荷側回路C3の冷媒温度が設定温度であるときには閉じられ、これにより二次側冷媒はバッファタンク3、抵抗流路10、ポンプP2及び熱交換器4を経由して二次側回路C2
を循環し、他方負荷側回路C3の冷媒も負荷W、ポンプP3及び抵抗流路11を経由して負荷側回路C3を循環する。一方、負荷側回路C3の冷媒が負荷Wによって加熱されるなどして設定温度より上昇すると、温度検出器7の出力に対応したパルス数に応じて制御バルブ8が開かれ、これにより二次側回路C2の冷媒はバッファタンク3抵抗流路10、ポンプP2及び熱交換器4を経由して二次側回路C2
を循環すると共に、一部が連絡流路5を介して負荷側回路C3に流入して負荷側回路C3の冷媒と混合されこれを冷却することとなる。他方、負荷側回路C3の冷媒は二次側回路C2の冷媒が負荷側回路C3に流入した流量に対応して連絡流路6を介して二次側回路に還流され、二次側冷媒に混合される。
【0006】
上記したように、従来のチラー装置は、負荷側回路C3の冷媒温度と設定温度の差信号をパルス数に変換し、当該パルス数に対応して制御バルブ8の開度を制御して二次側回路C2の冷媒を負荷側回路C3へ供給する量を制御し、これによって負荷側回路C3冷媒温度を設定温度に近づける制御を行っている。
従来のチラー装置において、このような制御を行うためには実際には二次側回路C2の冷媒温度を設定温度に対して厳密に制御を行う必要があった。例えば、二次側回路C2のタンク3内の冷媒温度を設定温度よりも僅かに低い温度である、例えば、設定温度に対して3℃(±1〜0.5℃)と、低くなるように二次側回路C2の冷媒を一定温度となるように厳密に制御する必要があった。
【0007】
二次側回路C2の冷媒温度を厳密に保つための手段として、タンク3内の温度と二次側回路C2の冷媒の目標温度との差信号をパルス数に変換して一次側回路C1の冷却器1の冷却動作を制御することが行われる。例えば、一次側回路C1に図示しないホットガスバイパス回路と呼ばれる制御手段を設け、冷却器1で圧縮された高温・高圧ガスを凝縮・膨張させて熱交換器4に導く冷却回路と、上記高温・高圧ガスを凝縮・膨張させることなく熱交換器4に導く非冷却回路(ホットガスバイパス回路)の流量を制御することが行われる。これによって、熱交換器4において二次側回路C2の冷媒の冷却制御及び加熱制御が行われる。また、他の制御手段としては、冷却器1としてインバータ制御が可能な冷却器を用い、冷却器1の冷却能力を低下させるように制御することが行われている。
【0008】
また、従来のチラー装置においては、上記二次側回路C2の冷媒温度を負荷側回路C3の冷媒の設定温度に対して極端に低い温度に制御することができない。このように、二次側回路C2の冷媒温度を極端に低い温度に設定すると、二次側回路C2から負荷側回路C3への僅かな冷媒の供給によって負荷側回路C3の冷媒温度が設定温度を越えて低下してしまう。このように、負荷側回路C3の冷媒温度が設定温度より低下すると、負荷側回路C3の冷媒に対してヒータ9を適用して温度を上げる操作が必要となってくる。そこで、現実には、上記二次側(タンク内)冷媒温度は、負荷側冷媒の設定温度に対して僅かに低い一定温度、例えば、設定温度に対して−3℃(±1〜0.5℃)、に設定されることが通常である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記したように、従来のチラー装置によれば、二次側回路C2の冷媒温度を負荷側回路C3の冷媒に要求される設定温度より僅かに低い一定温度に制御することによって、負荷側回路C3の冷媒を設定温度に制御するものであるから、第一に、一次側回路C1の冷却器1を常時運転状態に維持しておくと共に、当該一次側回路C1のホットガスバイパス制御或いは冷却器1のインバータ制御により二次側回路C2との熱交換器4へ供給される一次側回路C1の冷媒温度を制御すると共に、第二、に負荷側回路C3の冷媒温度が設定温度よりも下回らないように負荷側回路C3の冷媒に対してヒータ9による加熱制御を頻繁に行う必要があった。これらの制御はいずれにしても、チラー装置に求められる消費エネルギーの立場から好ましいものではない。
【0010】
本発明者は、二次側回路から負荷側回路への冷媒の供給量を制御する制御バルブの流量制御を大流量から微細流量まで制御することにより、冷却器を停止させることが可能であること及びこのように制御することにより通常の動作においてはヒータを用いない制御が可能であることを見出した。即ち、このように制御することによって、例えば、二次側回路の冷媒を負荷側回路の冷媒に要求される設定温度に対して−25℃である下限設定温度になるまで一次側回路の冷却器を駆動した後に停止し、その後、二次側冷媒が温度上昇して設定温度に対して−5℃である上限設定温度となるまで冷却器1停止させることが可能となることを見出した。
【0011】
さらに本発明者は、上記に加え、負荷側冷媒を一次冷却水との間で熱交換する熱交換器を設ければ、負荷側冷媒の温度上昇を抑えることができ、その結果、冷却器の運転停止期間を長くすることができることを見出した。又、二次側回路の冷媒の温度設定範囲を、制御バルブによる供給流量の制御によって負荷側冷媒の温度を設定温度に制御可能な温度範囲に設定すれば、負荷側冷媒が当該設定温度よりも低下することがなくなり、通常の運転状態において負荷側冷媒を加熱するヒータを使用する必要がなくなることを見出した。
【0012】
さらに付随的な効果として、二次側回路の冷媒の冷却温度を負荷側冷媒に要求される設定温度よりも遥かに低い温度になるまで冷却することが行われるので、冷却器における冷却効率のよい領域で冷却器を運転させることができ、消費エネルギーを少なくする効果が大きくなる。
従って、この発明の目的は、消費エネルギーが少ないチラー装置を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、冷媒を冷却する冷却器および該冷媒を循環させる第1循環機構を備えた一次側回路と、上記一次側回路の冷媒と熱交換する冷媒を循環させる第2循環機構および冷媒を貯留するタンクを備えた二次側回路と、負荷を冷却する負荷側の冷媒を循環させる第3循環機構を備えた負荷側回路と、二次側回路の冷媒を負荷側回路に供給する供給流路と、負荷側回路の冷媒を二次側回路に戻す戻り流路と、上記二次側回路から負荷側回路へ供給する冷媒の供給量を制御する第1の制御バルブと、上記負荷側回路に設け、上記負荷側回路を循環する負荷側冷媒を一次冷却水と熱交換する熱交換器と、この熱交換器への一次冷却水の流入を制御して負荷側回路を循環する冷媒の放熱を制御する第2の制御バルブと、上記負荷側回路の冷媒の温度を検出する負荷側温度センサーと、上記二次側回路の冷媒の温度を検出する二次側温度センサーと、上記二次側温度センサーの出力に応じて一次側回路に設けた冷却器の作動を制御すると共に、二次側温度センサーの出力及び上記負荷側温度センサーの出力に基づいて上記第1の制御バルブの開度を制御するコントローラとを備え、上記コントローラは、上記二次側温度センサーで検出した二次側回路の冷媒温度が下限設定温度に達するまで前記冷却器を作動させ、上記二次側回路の冷媒温度が当該下限設定温度に達したとき上記冷却器の作動を停止すると共に、該二次側回路の冷媒が負荷側回路の設定温度よりも低い上限設定温度に上昇するまで上記冷却器の作動停止状態に保つように制御し、さらに、上記コントローラは、上記下限設定温度から上限設定温度の間で変化する二次側温度センサーの出力及び上記負荷側温度センサーの出力に基づいて、負荷側回路の冷媒温度が負荷側の設定温度になるように上記第1の制御バルブの開度を制御すると共に、負荷側温度センサーの出力に基づいて上記第2の制御バルブの開度を制御して、負荷側回路を循環する冷媒の熱を上記一次冷却水との熱交換により放熱させることを特徴とする。
【0015】
の発明は、上記第1の発明において、第1の制御バルブとしてニードル式の制御バルブを用いると共に、上記コントローラは、この第1の制御バルブの開度をパルス信号によって制御するようにしたことを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1に示した参考例においては、一次側回路C1と、二次側回路C2と、負荷側回路C3とが備えられている。上記一次側回路C1には、この発明の第1循環機構に相当する一次側ポンプP1および冷却器21が設けられるとともに、熱交換機22が設けられており、該一次側回路C1の冷媒を上記二次側回路C2の冷媒と熱交換するようにしている。
【0017】
上記二次側回路C2には、この発明の第2循環機構に相当する二次側ポンプP2を設けるとともに、この二次側ポンプP2の下流側に、前記熱交換器22及びバイパス流路23と供給流路24とが並列接続されている。
上記バイパス流路23には、バルブ25が設けられ、このバルブ25の下流側がメインタンクTに接続されている。
【0018】
供給流路24には、制御バルブ26が設けられるとともに、この制御バルブ26の下流側が合流タンク27に接続されている。
合流タンク27は、流路30を介してタンクTに接続されるとともに、負荷側回路C3に設けられた負荷側ポンプP3の吸い込み側の流路28と、負荷Wよりも下流側である戻り側の流路29とに接続している。
なお、この合流タンク27内には、図示していないヒータが組み込まれている。
【0019】
上記バルブ25はバイパス流路23を抵抗流路として機能させるもので、二次側ポンプP2の吐出冷媒を、制御バルブ26が閉じられるときには二次側回路C2を循環させ、制御バルブ26が開かれたときには制御バルブ26を介して合流タンク27に導くためのものである。したがって、このバルブ25の開度は、制御バルブ26の開度制御範囲に応じて決定される。
上記負荷側回路C3には、負荷Wに供給される冷媒の温度を検出する温度センサー31が設けられ、該温度センサー31はコントローラ32に接続されている。又、前記制御バルブ26は、該コントローラ32の出力信号に応じてその開度が制御されるようになっている。
【0020】
上記コントローラ32には、タンクTから流出する冷媒の温度を検出する温度センサー40も接続されている。温度センサー40は、タンクT内の冷媒の温度を直接検出するようにしてもよい。
更に、上記コントローラ32の出力には、一次側回路C1の一次側ポンプP1および冷却器21も接続されており、これらの作動制御も行われる。
【0021】
次に、この参考例の作用を説明する。
冷却器21とともに各回路C1〜C3のポンプP1〜P3が駆動されると、冷却器21によって冷却された一次側回路C1の冷媒と、二次側回路C2の冷媒とが、熱交換器22を介して熱交換される。このとき、温度センサー31によって検出される負荷Wに供給される冷媒の温度が、予め設定した温度以下であれば制御バルブ26は閉じられる。そのため、二次側ポンプP2から吐出された冷媒の全量がバイパス流路23を経由してメインタンクTに戻される。このとき、負荷側回路C3においては、負荷側ポンプP3から吐出された冷媒がこの負荷側回路C3を循環することになる。
【0022】
一方、負荷Wに供給される冷媒の温度が設定した温度以上になると、コントローラ32はその検出温度に応じたパルス数の信号を出力し、制御バルブ26の開度を制御する。このとき、コントローラ32は検出した温度と設定した温度との差が大きいほど制御バルブ26の開度を大きくするように制御する。制御バルブ26が開くと、その開度に応じた流量の冷媒が二次側回路C2から合流タンク27に流入する。また、このとき制御バルブ26を通過しない二次側回路C2の冷媒は抵抗バルブ25を通過してタンクTに戻される。
【0023】
二次側回路C2から冷媒が流入する合流タンク27内では、二次側回路C2の冷媒と負荷側回路C3の冷媒とが合流してミキシングされ、供給流路24からの冷却された冷媒と流路29からの温度が上昇した冷媒との混合された温度になる。そして、この冷媒が、合流タンク27から負荷側ポンプP3に吸い込まれて負荷Wに導かれ負荷Wを冷却することになる。
このようにして、負荷Wによって加熱されて温度が上昇した負荷側冷媒の温度が温度センサー31によって検出され、コントローラ32は該負荷側回路の冷媒温度が予め設定された温度になるまで制御バルブ26の開度を制御し、二次側回路の冷媒を負荷側回路に供給する制御を行う。
【0024】
負荷Wによって加熱され温度が上昇した負荷側回路の冷媒は、制御バルブ26を経由して新たに供給された冷媒流量に相当する流量が流路29から再び合流タンク27、流路30を経由してタンクTに戻される。このようにして、負荷側回路C3の冷媒が温度制御される。
【0025】
コントローラ32によって、メインタンクTから流出する冷媒の温度に応じて冷却器21及び一次側ポンプP1の制御も行われる。即ち、コントローラ32はメインタンクTから流出する冷媒の温度を検出する温度センサー40の検出信号に応じ、この温度が予め設定した下限設定温度に冷却されるまで冷却器21および一次側ポンプP1を作動させ、下限設定温度まで下がった時点で冷却器21および一次側ポンプP1の作動を停止する。つまり、冷却器21は冷媒が設定した下限設定温度に冷却されるまで二次側回路C2の冷媒を冷却し続ける制御を行う。
【0026】
このようにして冷却器21の作動を停止すると、時間の経過とともにタンクT内の冷媒の温度が徐々に上昇してくるが、コントローラ32はタンクT内の冷媒の温度が予め設定した上限設定温度を越えると冷却器21および一次側ポンプP1を作動させる。このようにして、タンクT内の温度が予め設定した下限設定温度に達するまで二次側回路の冷媒を冷却し、該下限設定温度に達したら冷却器21および一次側ポンプP1の作動を停止し、その後タンクT内の温度が予め設定した上限設定温度を越えると冷却器21および一次側ポンプP1を作動させる制御を繰り返すことにより二次側回路の冷媒温度の制御が行われる。
【0027】
この参考例では、上記したように、下限設定温度に達するまで冷却器21によって冷媒を冷却し続けるので、冷却器21を冷却効率のよい領域で運転することができる。また、下限設定温度まで冷媒が冷却された時点から、タンクT内の冷媒の温度が上限設定温度に達するまでの期間、冷却器21の作動を停止させることができるので消費エネルギーを少なくする効果は大きい。
【0028】
上記下限設定温度は、二次側回路の冷媒を負荷側回路に流入させたとき、負荷側回路の冷媒温度が設定温度を越えて冷却されることがないように制御バルブ26の制御可能範囲に基づいて定められることが好ましい。例えば、制御バルブ26として流量制御を大流量から微細流量まで制御可能なニードル式のバルブ、例えば、株式会社鷺宮製作所製の汎用型電子膨張弁PKV形またはEKV形にするとともにこの制御バルブの開度をパルス信号によって制御することによって、二次側回路C2の冷媒を負荷側回路C3の冷媒に要求される設定温度に対して、例えば−25℃になるまで一次側回路の冷却器21を駆動した後に停止し、その後、二次側冷媒が温度上昇して設定温度に対して−5℃となるまで冷却器21を停止させることが可能となる。この下限設定温度を二次側回路から負荷側回路への冷媒の供給量を制御する制御バルブ26の流量制御によって負荷側回路の冷媒が設定温度を越えて低下することがない範囲に設定したので、通常の冷却動作において合流タンク27内に設けられたヒータを用いる必要がなくなる。
【0029】
また、上記上限設定温度は、負荷側回路C3が要求する温度に応じて決めればよい。ただし、この上限設定温度は、負荷側回路C3が要求する設定温度よりも低いことが要求され、例えば、負荷側回路の冷媒設定温度に対して−5℃とすることができる。
以上のように冷却器21および一次ポンプP1を制御すれば、冷却器21の冷却能力を十分発揮させると共に冷却器21を二次側回路の冷媒が下限設定温度に達してから上限設定温度に加熱するまでの期間停止させることができるので、チラー装置の消費エネルギーを低下させることができる。また、上記のように下限設定温度を負荷側回路の冷媒温度が設定温度を越えて冷却されることがないよう制御バルブ26の制御可能範囲に基づいて定められるので、通常の使用状態においては合流タンク内に設けられたヒータを用いることもなく、従ってこの点からもチラー装置の消費エネルギーを低下させることができる。
【0030】
図2に示す第1実施形態は、一次側回路C1の構成を変更した点と、外部から導いた工業用水や水道水などを一次冷却水として利用する点とに特徴を有するものであり、上記参考例と同じ構成要素については同じ符号を付して説明する。
【0031】
一次側回路C1には、圧縮器33と、凝縮器42と、膨張弁43及び熱交換器35とを備えている。一次側回路C1内の冷媒ガスは、上記圧縮器33によって圧縮されて高圧・高温になり、この高圧・高温になった冷媒ガスが、凝縮器42によって液化された後、膨張弁43によってガス化した後、熱交換器35を通して二次側回路C2の冷媒を冷却するようになっている。
上記圧縮器33の作動は、コントローラ32によって制御されており、この圧縮器33と凝縮器42、膨張弁43及び熱交換器35とによって、冷却器および第1循環機構が構成されている。
【0032】
上記凝縮器42には、外部から工業用水や水道水などの一次冷却水が導かれる配管36が接続されている。この一次冷却水は、季節に応じて温度差があるものの、通常10〜30℃の範囲である。そして、この一次冷却水を凝縮器42に導くことによって、高圧・高温の冷媒ガスが凝縮され液化される。
【0033】
また、上記配管36には、分岐管37が接続されており負荷側回路C3の熱交換機38に一次冷却水を導くようになっている。この熱交換機38は、負荷側回路C3の冷媒を冷却する放熱機構として作用する。上記分岐管37には、コントローラ32によってその開度が制御される制御バルブ39が接続されている。この制御バルブ39は、温度センサー41によって検出された負荷Wの戻り側の冷媒温度が設定温度よりも高く、かつ分岐管37を介して導かれた一次冷却水の温度が上記戻り側の冷媒温度よりも低いことを条件として開き、一次冷却水を熱交換機38に導くようになっている。このようにして一次冷却水を熱交換機38に導くことによって、上記戻り側の冷媒を冷却する。
【0034】
このように熱交換機38によって冷媒が冷却されるので、流路29を介して合流タンク27に導かれる冷媒の温度が低下するので、二次側回路C2から供給される冷媒の供給量を減少させることができると共に、タンクTに還流される負荷側回路C3の冷媒が二次側回路C2の冷媒の温度を高めることが少なくなり、結果的に二次側回路C2の冷媒の温度を上記参考例よりも長時間低温に保つことができる。このように二次側回路C2の冷媒の温度を長時間低温に保つことができるので、圧縮器33の作動停止時間を、より長く維持することができ、消費エネルギーをさらに少なくすることができる。
発明者らによる実験の結果では、通常のチラー装置の駆動状態において、平均的に冷却器を約60%の時間停止することができ、チラー装置全体の消費エネルギーを約35%減少することが可能となることがわかっている。
【0035】
なお、この第1実施形態においても、上記参考例と同様に負荷Wに供給される冷媒の温度を温度センサー31によって検出し、この検出した温度が予め設定した温度以下であれば制御バルブ26を閉じ、設定した温度以上になると、制御バルブ26を開くようにしている。そして、負荷Wに供給される冷媒の温度が設定した温度になるように、コントローラ32が制御バルブ26の開度を常に制御するようにしている。
この制御バルブ26の制御方法としては、上記の方法に限られるものではなく以下の方法を採用することが可能である。
【0036】
第1の方法は、負荷Wの戻り側の冷媒温度を温度センサー41によって検出し、この戻り側の冷媒温度と設定温度との差に基づいて、制御バルブ26の開度を制御する方法である。すなわち、設定温度よりも戻り側の冷媒温度が低い場合には制御バルブ26は閉じられ、戻り側の冷媒温度が設定温度よりも高い場合には制御バルブ26は開かれるように制御が行われる。このような制御方法によっても、負荷側回路C3の冷媒を設定した温度に制御することができる。
【0037】
第2の方法は、負荷Wに供給される冷媒の温度と設定温度との差、あるいは負荷Wからの戻り冷媒の温度と設定温度との差を求めるとともに、温度センサー40によってタンクT内の冷媒温度も検出し、このタンクT内の冷媒の温度を考慮して制御バルブ26の開度を制御する方法である。すなわち、タンクT内の冷媒を合流させて、負荷側回路C3の冷媒をある温度に冷却する際、合流させるタンクT内の冷媒の温度を特定することにより、負荷側回路の冷媒を設定温度にするための二次側回路の冷媒の供給量を計算によって求めることが可能となる。このようにして、タンクT内の冷媒の温度と、設定温度との差との関係を予め求めておき、そのデータをコントローラ32に記憶させ、この記憶したデータと、各センサー31,40,41の検出値とに基づいて制御バルブの開度を制御する方法である。このようにすれば、負荷側回路C3の冷媒を設定温度に高速に精度よく制御することが可能となる。
なお、上記2つの制御方法は参考例にも適用することができ、また、以下に説明する第2実施形態にも適用することができる。
【0038】
上記第1実施形態では、二次側回路C2に単一の負荷側回路C3を接続した例を示しているが、二次側回路C2に複数の負荷側回路C3を接続することが可能である。例えば、図3に示す第2実施形態は、第1実施形態の二次側回路C2に2つの負荷側回路C3を接続した例を示す。この第2実施形態では、二次側回路C2に2つの制御バルブ26,26を介して各々に合流タンク27,27を接続し、各々負荷側回路C3、C3を接続したものである。また、各負荷側回路C3には各々熱交換器38が設けられている。
このように1つの二次側回路C2に複数の負荷側回路C3を接続した場合においても、タンクT内に蓄えた冷媒を必要な量だけ各負荷側回路C3、C3に供給することにより各負荷側回路C3、C3の温度を個別に制御することが可能となる。
【0039】
上記第1、第2実施形態では、二次側回路C2の冷媒を合流させることによって負荷側の温度を制御しているため、冷媒を供給する制御バルブ18の開度の制御が重要となる。一般に、液体の流量を制御するバルブとして、ボール弁とバタフライ弁があるが、これらのバルブは、微少流量の制御には精度が低く好ましいものではない。本発明においては、制御バルブ26としてニードル式のバルブが有利に用いられ、バルブの開度がコントローラから出力されるパルス信号によって比例的に制御するようにしている。このようにすれば、微少流量から大流量まで、高い精度で流量制御することができ、その結果、二次側冷媒を負荷側冷媒の設定温度に対して例えば−25℃になるまで一次側回路の冷却器1を駆動した後に停止し、その後、二次側冷媒が温度上昇して設定温度に対して例えば−5℃となるまで冷却器を停止させることが可能となる。このニードル式のバルブとしては、株式会社鷺宮製作所製の汎用型電子膨張弁PKV形またはEKV形が適している。
【0040】
【発明の効果】
第1の発明によれば、二次側回路の冷媒が下限設定温度に下がるまで冷却器を作動させ、二次側回路の冷媒が下限設定温度に達すると冷却器の作動を停止して、二次側回路の冷媒が上限設定温度に上昇するまでこの作動停止状態に保つようにしたので、消費エネルギーを少なくすることができる。また、冷却器を冷却効率の高い領域で動作させることができるので、上記消費エネルギーを更に少なくすることができる。
しかも、負荷側回路に一次冷却水との間で熱交換する熱交換器を設け負荷側回路の冷媒を冷却する構成にしたので、二次側回路の冷媒を長時間低温に保つことができ、冷却器の作動停止状態をより長く保つことができる。したがって、消費エネルギーを更に少なくすることができる。
【0042】
の発明によれば、制御バルブをニードル式にするとともに、この制御バルブの開度をパルス信号によって制御する構成にしたので、微少流量から大流量まで制御することができるので、二次側冷媒の下限設定温度と上限設定温度の範囲を広く設定することが可能となり、その結果、冷却器1を長時間停止させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 参考例を示す回路図である。
【図2】 この発明の第1実施形態を示す回路図である。
【図3】 この発明の第2実施形態を示す回路図である。
【図4】 従来のチラー装置の回路図である。
【符号の説明】
C1 一次側回路
C2 二次側回路
C3 負荷側回路
P1 この発明の第1循環機構に相当する一次側ポンプ
P2 この発明の第2循環機構に相当する二次側ポンプ
P3 この発明の第3循環機構に相当する負荷側ポンプ
T タンク
W 負荷
21 冷却器
26 (第1の)制御バルブ
31、40,41 温度センサー
32 コントローラ
38 熱交換器
39 (第2の)制御バルブ

Claims (2)

  1. 冷媒を冷却する冷却器および該冷媒を循環させる第1循環機構を備えた一次側回路と、上記一次側回路の冷媒と熱交換する冷媒を循環させる第2循環機構および冷媒を貯留するタンクを備えた二次側回路と、負荷を冷却する負荷側の冷媒を循環させる第3循環機構を備えた負荷側回路と、二次側回路の冷媒を負荷側回路に供給する供給流路と、負荷側回路の冷媒を二次側回路に戻す戻り流路と、上記二次側回路から負荷側回路へ供給する冷媒の供給量を制御する第1の制御バルブと、上記負荷側回路に設け、上記負荷側回路を循環する負荷側冷媒を一次冷却水と熱交換する熱交換器と、この熱交換器への一次冷却水の流入を制御して負荷側回路を循環する冷媒の放熱を制御する第2の制御バルブと、上記負荷側回路の冷媒の温度を検出する負荷側温度センサーと、上記二次側回路の冷媒の温度を検出する二次側温度センサーと、上記二次側温度センサーの出力に応じて一次側回路に設けた冷却器の作動を制御すると共に、二次側温度センサーの出力及び上記負荷側温度センサーの出力に基づいて上記第1の制御バルブの開度を制御するコントローラとを備え、上記コントローラは、上記二次側温度センサーで検出した二次側回路の冷媒温度が下限設定温度に達するまで前記冷却器を作動させ、上記二次側回路の冷媒温度が当該下限設定温度に達したとき上記冷却器の作動を停止すると共に、該二次側回路の冷媒が負荷側回路の設定温度よりも低い上限設定温度に上昇するまで上記冷却器の作動停止状態に保つように制御し、さらに、上記コントローラは、上記下限設定温度から上限設定温度の間で変化する二次側温度センサーの出力及び上記負荷側温度センサーの出力に基づいて、負荷側回路の冷媒温度が負荷側の設定温度になるように上記第1の制御バルブの開度を制御すると共に、負荷側温度センサーの出力に基づいて上記第2の制御バルブの開度を制御して、負荷側回路を循環する冷媒の熱を上記一次冷却水との熱交換により放熱させることを特徴とするチラー装置。
  2. 第1の制御バルブとしてニードル式の制御バルブを用いると共に、上記コントローラはこの第1の制御バルブの開度をパルス信号によって制御するようにしたことを特徴とする請求項1記載のチラー装置。
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