JP4181311B2 - 難聴者用のコミュニケーション・システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、難聴者用の補聴システム、特に、難聴者用コミュニケーション・システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
難聴者用の補聴手段として、補聴器を単独に使用することが一般的である。しかし、補聴器は、補聴器を携帯する者の直近で発せられた声を聴取するのには有効であるが、離れた場所から発せられた声は聞こえにくいという問題があった。この問題を解決するため、補聴器を1台の送信機と関連して使用するようにした補聴システム(松下通信工業株式会社が製造)が提供されている。詳細には、図4に示すように、この補聴システムにおいては、補聴器に受信部を内蔵する一方で送信機にマイクロホンを内臓したものを用い、そしてこの送信機を難聴者から離れたところに据え置く。送信機は、無線によって補聴器に音声を通信することによって、難聴者から離れたところの音声等を難聴者が聴取できるようにしている。このシステムでは、従来からある補聴器のみを使用するのと比べ、少し離れたテレビや人の声などを聞くのに有効である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この補聴システムにおいては、1台の据置式の送信機に近い部分で発せられる会話等の音は、検知して送信することができるが、送信機から離れた場所で発せられる音を検知することは困難である。このため、複数人の家族環境においては、送信機のマイクロホンの近くの人の声は聞こえるが、このマイクロホンから離れた人の声は聞こえにくいという問題が依然としてある。この結果、難聴者は、家族との会話等において、健常者と同様のコミュニケーションをとることができなかった。
【0004】
したがって、本発明の目的は、複数人の家族環境を含む複数人とのコミュニケーション環境において、難聴者のコミュニケーションをより容易にするコミュニケーション・システムを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明による難聴者用のコミュニケーション・システムは、イ)難聴者自身の近辺の第1の領域内の音を収集可能な第1のユニットと、ロ)複数の第2のユニットであって、前記第1の領域とは異なった複数の第2の領域内の音を収集可能であり、該収集した第2領域内の音を前記第1ユニットに送信する、前記の複数の第2ユニットと、を備え、前記第1ユニットが、前記複数の第2ユニットから送信された前記複数の第2領域内の音を受信する受信手段を有し、これによって、前記難聴者が、前記第1ユニットが収集した前記第1領域内の音に加え、前記複数の第2ユニットが収集した前記複数の第2領域内の音を、前記第1ユニットを介して聴取可能とすること、を特徴とする。
【0006】
本発明によれば、イ)前記第1ユニットと前記複数の第2ユニットとの間の通信のため、複数の通信チャンネルを有し、ロ)前記第1ユニットは、前記複数の通信チャンネルを受信チャンネルとして有する複数の受信部を備え、ハ)前記複数の第2ユニットの各々は、前記複数の通信チャンネルの内の1つのチャンネルを使用して送信する送信部を備えるようにすることができる。この場合、前記複数の第2ユニットの前記送信部は、前記複数の通信チャンネルの内の現在使用されていない空きチャンネルを判定する空きチャンネル判定手段、を含むようにできる。前記空きチャンネル判定手段は、空きチャンネル・サーチを行って空きチャンネル判定を行ったり、あるいは前記第1ユニットとの間での制御通信によって、前記空きチャンネル情報を前記第1ユニットから取得することによって空きチャンネル判定を行ったりするようにできる。
【0007】
本発明によれば、イ)前記複数の第2ユニットの各々は、マイクロホンを備え、ロ)前記第2ユニットの前記送信部は、該マイクロホンからの音声信号を増幅する増幅手段を含むようにできる。
【0008】
本発明によれば、前記第1ユニットは、難聴者が携帯可能とすることができる。この場合、前記第1ユニットは、イ)マイクロホンと、ロ)イヤホンと、ハ)前記マイクロホンからの音声信号と、前記複数の受信部からの音声信号とを加算する加算手段と、ニ)前記加算した音声信号を増幅して前記イヤホンに出力する増幅手段と、を含むようにできる。
【0009】
また、本発明によれば、前記複数の第2ユニットの各々は、難聴者以外の者が携帯可能とすることができる。また、前記複数の第2ユニットの少なくとも1つは、据え置き可能とすることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明による難聴者用のコミュニケーション・システムAの概略図である。尚、説明の都合上、以下においては、本システムは、複数人の家族環境で使用する場合と関連させて説明する。図1に示したシステムAは、1つの補聴器ユニット10と、複数の送信機ユニット12−1〜12−kとから構成している。送信機ユニット12−1〜12−kは、マイクロホンと送信部を内蔵(図2に例示)しており、マイクロホンで収集した音声等を送信することができる。これに対し、補聴器ユニット10は、マイクロホンの他に、送信機ユニットからの信号を受信するため、複数の受信部(図2に例示)を有している。図1のシステムAにおいては、補聴器ユニット10と複数の送信機ユニット12−1〜12−kとの間の通信のため、複数の通信チャンネルを使用する。通信チャンネルとしては、無線チャンネルがあるが、但し、その他の通信チャンネルも使用可能である(例えば、赤外線による通信)。通信チャンネルの数は、送信機ユニットの数と同じ数だけ設けたり、あるいはそれより少ない数とすることもできる。少ない数とする場合には、後述のように、空きチャンネル判別等の現在使用可能なチャンネルを見つけるための手段を用いる必要がある。
【0011】
補聴器ユニット10は、難聴者が携帯可能なユニットであって、音声を聴取可能な領域として、難聴者の近辺の領域14を有している。一方、送信機ユニット12−1は、据置型のものであり、テレビ等の音源18の近くに配置するためのものであり、そして他の送信機ユニット12−2〜12−kは、家族の難聴者以外の健常者である者が携帯可能なように構成している。個々の送信機ユニットは、領域14と同様に、音声を聴取可能な領域として、携帯する健常者の近辺の各領域16−1〜16−kを有している。
【0012】
このシステムAを用いることにより、難聴者が、その他の家族の健常者との間でコミュニケーションを図ることが従来と比べより一層容易となる。具体的には、難聴者が補聴器ユニット10を携帯し、そして送信機ユニット12−2〜12−kを健常者が携帯し、そして送信機ユニット12−1をテレビの上に据え置く。このようにすれば、難聴者は、据え置いた送信機ユニット12−1からの音だけでなく、送信機ユニットを携帯する他の健常者の家族の音声も、健常者が据置の送信機ユニット12−1の近くにいるか否かにかかわらず聞こえる。このため、難聴者にとっては、健常者との距離に特に制約されずに、会話をすることができ、しかもテレビ等を視聴しながらでも家族との会話を十分に行うことができる。また、健常者にとっても、難聴者との十分な意思の疎通を図るために特定の据え置きの送信機ユニットの近くにいることを強制されず、自由に動き回ることができ、これにより、日常生活上必要な動きあるいは会話中に必要な動きを特に制約されずに、難聴者とコミュニケーションを図ることができる。この結果として、難聴者は、健常者に対し、健常者と同様のコミュニケーションをとることができると供に、健常者も、難聴者に対し健常者に対するのと同様にコミュニケーションを円滑に行うことができる。
【0013】
次に、図2を参照して、本発明のより具体化した実施形態であるコミュニケーション・システムBを説明する。本実施形態のシステムBは、図1のシステムAと同様であり、したがって類似の要素には記号“B”を番号に付してある。尚、本実施形態では、補聴器ユニット10B内の受信部は3つであって、3つの通信チャンネルCH1〜CH3を使用する。また、設けている送信機ユニットが12B−1〜12B−4の4つである。詳細には、システムBの補聴器ユニット10Bは、マイクロホン100と、これからの入力を受けるマイクアンプ102と、アンテナからの入力を受ける3つの受信部104−1〜104−3と、アンプ102と受信部からの出力を加算する加算部106(図示では単なる接続で示す)と、加算部からの出力を増幅する増幅器108とを備え、そしてこの増幅器からの増幅された音声出力がイヤホン109に出力される。図示例では、受信部104−1〜104−3は、それぞれ通信チャンネルCH1〜CH3を使用し、したがって特定の無線周波数を受信するように構成している。
【0014】
一方、送信機ユニット12B−1〜12B−4の各々は、マイクロホン120−1〜120−4と、マイクロホンからの入力を受けてこれを増幅する増幅器122−1〜122−4と、この増幅器の出力を受けてアンテナを介して送信する送信部124−1〜124−4とから成っている。送信部124−1〜124−4の各々は、図示では、チャンネルCH1、CH2およびCH3のそれぞれで送信するように示している。チャンネル割当は、送信機の数が受信部の数以下のときには、固定的な割当で行うことができる。但し、図示例では、受信部の数3より1つ多い送信機を設けているため、各送信機は、空きチャンネルを判定して使用するように構成している。
【0015】
図3には、この空きチャンネル判定に関して、送信機ユニット内の送信部をより詳細に示している。図示のように、送信部124−1〜124−4の各々は、増幅器122からの出力を受けて変調出力を発生する変調部1240と、空きチャンネルを検出する空きチャンネル検出部1244と、空きチャンネル検出部1244および変調部1240のチャンネル制御を行う制御部1242と、空きチャンネル検出部1244と変調部1240の切替えを行う切替部1246とを備えている。変調部1240は、受信部104−1〜104−3の3つのチャンネルCH1〜CH3に対応した無線周波数に設定可能である。
【0016】
制御部1242は、予め定めたテーブルに基づいて通信チャンネルのいずれかを、空きチャンネル検出部1244に設定し、空きチャンネル検出部は、そのチャンネルを受信し、使用中であるか否かを判断する。その結果として、制御部1242へ「空」もしくは「空でない」の信号を出力し、空である場合、制御部1242は、そのチャンネルを変調部1240へ設定して送信を開始する。
【0017】
空でない場合、制御部1242は、空きチャンネル検出部へ別のチャンネルを設定し、上記動作を繰り返す。空きチャンネルがない場合には、送信をすることができないため、変調部の動作を停止させる信号を出力する。尚、この送信不可能状態は、送信機ユニットの携帯者にランプの点灯等の任意の方法で通知することができる。
【0018】
また、空きチャンネルを知る別の方法といて、補聴器ユニットが空きチャンネル判定を行って、送信機ユニットとの間で空きチャンネルの情報を通信することで実現することも可能である。この場合、送信機ユニットは、補聴器ユニットに対し空きチャンネル番号を要求し、そして補聴器ユニットは、この要求に対し空きチャンネルがある場合にはその有ることとそのチャンネル番号を、そして空きチャンネルがない場合にはその無いことを表す応答を、その要求側の送信機ユニットに返す。空きチャンネル番号が有ることを示す応答を受けた場合には、送信部は、空きチャンネルのチャンネルに設定され、空きチャンネルが無いことを示す応答の場合には、送信部の動作を停止させる。この場合、補聴器ユニットでは、上記の送信機ユニットと同様にチャンネルサーチの機能を有する。
【0019】
次に、このシステムBの動作について説明する。尚、このシステムBの動作はシステムAで説明したのとほぼ同じであるため、異なっている点について説明すると、健常者は、会話を始める際に、送信機ユニットの送信スイッチ(図示せず)をオンにし、そして会話中におけるチャンネルは、上述のように自動割当がされる。これ以外は、システムAと同様であり、したがって、システムAで述べたのと同じ作用効果が得られる。
【0020】
以上に説明した本発明の実施形態においては、種々の変更が可能である。第1に、通信チャンネルの数は、図2の実施形態では3つに限定したが、使用可能なチャンネル数を必要に応じてこれよりも多い数としたりあるいはそれよりも少なくするすることができる。第2に、必要に応じて携帯型の送信機ユニットの数と据え置く送信機ユニットの数を変更することもできる。第3に、送信機の数が受信部の数以下で使用し、チャンネルを固定的な割当とする場合には、空きチャンネル検出部、制御部を設ける必要はない。
【0021】
【発明の効果】
以上に詳細に説明した本発明によれば、複数の固定あるいは移動する領域からの音を聴取可能となるため、難聴者にとって他人数の家族との会話が容易になり、難聴者を含む複数の者のコミュニケーションがより円滑に行うことができる。また、難聴者を含む複数人の間でのコミュニケーションが、テレビの音声の聴取、その他の音源の聴取と同時に可能となり、通常の家族環境での会話が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による難聴者用のコミュニケーション・システムAの概略図。
【図2】図1のシステムをより具体化した本発明の1実施形態であるコミュニケーション・システムBを示すブロック図。
【図3】図2の送信機ユニットの送信部をより詳細に示すブロック図。
【図4】補聴器と据置式の1台の送信機とから成る従来の補聴システムを示すブロック図。
【符号の説明】
10 補聴器ユニット
12−1〜12−k 送信機ユニット
14,16−1〜16−k 領域
18 音源
10B 補聴器ユニット
12B−1〜12B−4 送信機ユニット
104−1〜104−3 受信部
124−1〜124−4 送信部
1240 変調部
1242 制御部
1244 空きチャンネル判定部

Claims (6)

  1. 難聴者用のコミュニケーション・システムであって、
    イ)難聴者自身の近辺の第1の領域内の音を収集可能な、難聴者が携帯するための第1のユニットと、
    ロ)複数の第2のユニットであって、難聴者以外の者が携帯するための少なくとも1つの第2のユニットと、据え置き可能な少なくとも1つの第2のユニットとを含み、各前記第2ユニットが、前記第1の領域とは異なった複数の第2の領域内の音を収集可能であり、該収集した第2領域内の音を前記第1ユニットに送信し、前記第1ユニットと前記複数の第2ユニットとが複数の通信チャンネルを使用する、前記の複数の第2ユニットと、
    を備え、
    前記第1ユニットが、
    マイクロホンと、
    イヤホンと、
    前記複数の通信チャンネルを受信チャンネルとして有する複数の受信部と、
    前記マイクロホンからの音声信号と、前記複数の受信部からの音声信号とを加算する加算手段と、
    前記加算した音声信号を増幅して前記イヤホンに出力する増幅手段と、
    を含む、
    難聴者用コミュニケーション・システム。
  2. 請求項1記載のシステムにおいて、
    記複数の第2ユニットの各々は、前記複数の通信チャンネルの内の1つのチャンネルを使用して送信する送信部を備えたこと、
    を特徴とする難聴者用コミュニケーション・システム。
  3. 請求項2記載のシステムにおいて、
    前記複数の第2ユニットの前記送信部は、前記複数の通信チャンネルの内の現在使用されていない空きチャンネルを判定する空きチャンネル判定手段、を含むこと、
    を特徴とする難聴者用コミュニケーション・システム。
  4. 請求項3記載のシステムにおいて、
    前記空きチャンネル判定手段は、空きチャンネル・サーチを行って空きチャンネル判定を行うこと、
    を特徴とする難聴者用コミュニケーション・システム。
  5. 請求項3記載のシステムにおいて、
    前記空きチャンネル判定手段は、前記第1ユニットとの間での制御通信によって、前記空きチャンネル情報を前記第1ユニットから取得することによって空きチャンネル判定を行うこと、
    を特徴とする難聴者用コミュニケーション・システム。
  6. 請求項2から5のいずれかに記載のシステムにおいて、
    イ)前記複数の第2ユニットの各々は、マイクロホンを備え、
    ロ)前記第2ユニットの前記送信部は、該マイクロホンからの音声信号を増幅する増幅手段を含むこと、
    を特徴とする難聴者用コミュニケーション・システム。
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