JP4181047B6 - 薬剤容器およびその製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、薬剤容器およびその製造方法、特に、少なくとも1つの個別用量の薬剤を収容する、もしくは収容するための容器、並びにその製造方法に関する。
乾燥粉末薬物送達の分野では、薬剤の個別単位用量を予め計量してパックの各々のコンパートメントに収納することにより、個々のコンパートメントを開いて、個別単位用量の薬剤を分配できるようにすることが知られている。
このコンパートメントはいわゆるブリスターパックとして形成され、この場合、予備成形されたポケットまたはブリスターがリッドホイルでシールされる。
コンパートメントを開くためには、鋭いエッジを用いてリッドホイルを突き刺して、ホイルに穴をあけることにより、コンパートメントに空気を流出入させる。このようにすると、ホイルがコンパートメントの中に押し込まれるため、コンパートメントを完全に開くのが妨げられ、コンパートメントから粉末を出して完全にまたは反復して空にすることができない。
また、底部からホイルを剥がすことによりコンパートメントを開くことも可能である。しかし、これを行なうのに用いられる分配装置はより複雑である。なぜなら、リッドホイルの張力を制御すると同時に、非剥離の量を正確に制御して、一度に1つのコンパートメントしか開かないようにする必要があるためである。加えて、位置制御を単純化するために、コンパートメント同士は間隔を置いて配置しなければならない。その結果、ブリスターパックおよび分配装置のサイズが大きくなる。
本発明は、ブリスターパックの各ポケット内での、ほぼカップ形状のインサートの使用を意図している。各カップ形状インサートは、単位用量の薬剤を含み、ブリスターパックの下面から押すと、ブリスターパックのリッドシートが外側に向かって破れ、分配のために薬剤を露出させる。
従って、リッドシートを外側に向けて破断するように、底部およびリッドシートとは別に、ある部材が設けられる。この方法では、複雑な非剥離機構を備える必要はなく、しかもパックのコンパートメントを互いに接近して配置することができる。さらに、リッドシートをくぼみの外側に向けて開くことができるため、くぼみは完全に開いて空気を流出入させ、コンパートメントからの粉末の完全な取り出しを可能にする。コンパートメント内に硬質部材としてインサートを設けることにより、リッドシートの破断を起こすための下面からの圧力がパック内の薬剤を圧縮したり凝集したりすることはない。このことは、薬剤が乾燥粉末形態(例えば、肺または鼻腔への吸入用)である場合、明らかに顕著な利点となる。
残念ながら、ブリスターパックの個々のポケット内にインサートを設けると、製造上の複雑さおよびコストが増してしまう。さらに、フィルムまたはシートの深絞り成形によりポケットが形成される従来のブリスターパックの使用には、もともと設計上の制約事項が存在する。
本発明の課題は、先に述べた利点を利用すると同時に、製造上の複雑さおよびコストを低減させることを特徴とする薬剤容器およびその製造方法を提供することである。
本発明によれば、向き合う第1および第2面と、向き合う第1および第2面の間に延びる貫通孔を画定する貫通壁とを有する支持体を用いて、少なくとも1つの個別用量の薬剤を収容するための容器を製造する方法が提供され、この方法は、
第1面から貫通孔の中に突き出る部材を有する型に支持体を挿入することにより、貫通壁と共にほぼカップ形状の空間を画定し;
ほぼカップ形状の空間に成形材料を充填することにより、貫通孔内にほぼカップ形状のインサートを形成し;
型から支持体およびインサートを取り外す;
ことを含み、これによって、個別用量の薬剤をほぼカップ形状のインサート内に配置し、第1および第2面にそれぞれシールした第1および第2シートを用いて、貫通孔内の薬剤およびインサートをシールすることができる。
第1面から貫通孔の中に突き出る部材を有する型に支持体を挿入することにより、貫通壁と共にほぼカップ形状の空間を画定し;
ほぼカップ形状の空間に成形材料を充填することにより、貫通孔内にほぼカップ形状のインサートを形成し;
型から支持体およびインサートを取り外す;
ことを含み、これによって、個別用量の薬剤をほぼカップ形状のインサート内に配置し、第1および第2面にそれぞれシールした第1および第2シートを用いて、貫通孔内の薬剤およびインサートをシールすることができる。
また本発明によれば、少なくとも1つの個別用量の薬剤を収容するための容器が提供され、この容器は、
向き合う第1および第2面と、向き合う第1および第2面の間に延びる貫通孔を画定する貫通壁とを有する支持体;および
第1面から貫通孔の中に突き出る部材を有する型に支持体を挿入することにより、貫通壁と共にほぼカップ形状の空間を画定し、次に、ほぼカップ形状の空間に成形材料を充填して貫通孔内にほぼカップ形状のインサートを形成することにより、貫通孔内に形成されたほぼカップ形状のインサート;
を含み、これによって、個別用量をほぼカップ形状のインサート内に配置し、第1および第2面にそれぞれシールした第1および第2シートを用いて、貫通孔内の薬剤およびインサートをシールすることができる。
向き合う第1および第2面と、向き合う第1および第2面の間に延びる貫通孔を画定する貫通壁とを有する支持体;および
第1面から貫通孔の中に突き出る部材を有する型に支持体を挿入することにより、貫通壁と共にほぼカップ形状の空間を画定し、次に、ほぼカップ形状の空間に成形材料を充填して貫通孔内にほぼカップ形状のインサートを形成することにより、貫通孔内に形成されたほぼカップ形状のインサート;
を含み、これによって、個別用量をほぼカップ形状のインサート内に配置し、第1および第2面にそれぞれシールした第1および第2シートを用いて、貫通孔内の薬剤およびインサートをシールすることができる。
これは、薬剤供給業者の要求に応じて薬剤を充填することができる容器を提供する。
これに関して、本発明によれば、向き合う第1および第2面と、向き合う第1および第2面の間に延びる貫通孔を画定する貫通壁とを有する支持体と、
第1面から貫通孔の中に突き出る部材を有する型に支持体を挿入することにより、貫通壁と共にほぼカップ形状の空間を画定し、次に、ほぼカップ形状の空間に成形材料を充填して貫通孔内にほぼカップ形状のインサートを形成することにより、貫通孔内に形成されたほぼカップ形状のインサートと、
を用いる容器で、少なくとも1つの個別用量の薬剤を提供する方法も提供し、この方法は、
個別用量の薬剤をほぼカップ形状のインサート内に配置し;
第1シートを第1面に、第2シートを第2面にシールすることにより、貫通孔内の薬剤およびインサートをシールすることを含む。
第1面から貫通孔の中に突き出る部材を有する型に支持体を挿入することにより、貫通壁と共にほぼカップ形状の空間を画定し、次に、ほぼカップ形状の空間に成形材料を充填して貫通孔内にほぼカップ形状のインサートを形成することにより、貫通孔内に形成されたほぼカップ形状のインサートと、
を用いる容器で、少なくとも1つの個別用量の薬剤を提供する方法も提供し、この方法は、
個別用量の薬剤をほぼカップ形状のインサート内に配置し;
第1シートを第1面に、第2シートを第2面にシールすることにより、貫通孔内の薬剤およびインサートをシールすることを含む。
第2シートは、上記方法の一環として第2面にシールしてもよいし、あるいは、すでに第2面に第2シートをシールした容器を用意することにより、個別用量を配置し、第1シートをシールする工程を実施するだけにすることもできる。
本発明によれば、向き合う第1および第2面と、向き合う第1および第2面の間に延びる貫通孔を画定する貫通壁とを有する支持体を用いて、少なくとも1つの個別用量の薬剤を収容する容器を製造する方法も提供され、この方法は、
第1面から貫通孔の中に突き出る部材を有する型に支持体を挿入することにより、貫通壁と共にほぼカップ形状の空間を画定し;
ほぼカップ形状の空間に成形材料を充填して、貫通孔内にほぼカップ形状のインサートを形成し;
型から支持体およびインサートを取り出し;
ほぼカップ形状のインサート内に個別用量の薬剤を配置し;
第1および第2シートをそれぞれ第1および第2面にシールすることにより、貫通孔内の薬剤およびインサートをシールする;
ことを含む。
第1面から貫通孔の中に突き出る部材を有する型に支持体を挿入することにより、貫通壁と共にほぼカップ形状の空間を画定し;
ほぼカップ形状の空間に成形材料を充填して、貫通孔内にほぼカップ形状のインサートを形成し;
型から支持体およびインサートを取り出し;
ほぼカップ形状のインサート内に個別用量の薬剤を配置し;
第1および第2シートをそれぞれ第1および第2面にシールすることにより、貫通孔内の薬剤およびインサートをシールする;
ことを含む。
本発明によれば、少なくとも1つの個別用量の薬剤を収容する容器も提供され、この容器は、
向き合う第1および第2面と、向き合う第1および第2面の間に延びる貫通孔を画定する貫通壁とを有する支持体;
第1面から貫通孔の中に突き出る部材を有する型に支持体を挿入することにより、貫通壁と共にほぼカップ形状の空間を画定し、次に、ほぼカップ形状の空間に成形材料を充填して貫通孔内にほぼカップ形状のインサートを形成することにより、貫通孔内に形成されたほぼカップ形状のインサート;
ほぼカップ形状のインサート内の個別用量の薬剤;および
第1および第2面にそれぞれシールされた第1および第2シート;
を含んでなる。
向き合う第1および第2面と、向き合う第1および第2面の間に延びる貫通孔を画定する貫通壁とを有する支持体;
第1面から貫通孔の中に突き出る部材を有する型に支持体を挿入することにより、貫通壁と共にほぼカップ形状の空間を画定し、次に、ほぼカップ形状の空間に成形材料を充填して貫通孔内にほぼカップ形状のインサートを形成することにより、貫通孔内に形成されたほぼカップ形状のインサート;
ほぼカップ形状のインサート内の個別用量の薬剤;および
第1および第2面にそれぞれシールされた第1および第2シート;
を含んでなる。
複数の貫通孔とインサートを含む容器をまったく同様に製造して、複数の個別用量の薬剤を提供できることは理解されよう。
このようにして、同じ製造工程で、容器内にインサートを形成しかつ位置づけることができる。外側に破断するインサートを有するパックについて上述した利点を有すると共に、コストおよび複雑さの低減だけではなく、許容差および信頼性の向上ももたらす薬剤容器が提供される。特に、カップ形状空間の容積の許容差は、以前の薬剤収容空間の容積より正確でありうる。
また、深絞りブリスターパッケージングの場合、約2:5の従来の最大値よりはるかに高い深さ:幅比のポケットを設けることが可能である。これにより、所与の表面積に対して含まれる用量の数を大幅に増加することができる。
さらに、インサートと貫通壁との間を薬剤が通過しないように貫通壁に対し十分密着してインサートが嵌め合い、しかも押したときにインサートの動きを妨げるほど堅くならないように、要求される形状およびサイズを有するインサートを各貫通孔に設けることが可能である。突出部材により、インサート空間のサイズおよび形状を容易に選択および変更することができる。
この方法はさらに、貫通孔を有する支持体を形成する工程を含む。この支持体は、射出成形、ダイカスト、プレス成形、押出し、注入成形、焼結成形、型打ち、孔あけおよびコイニングのうちの1つにより形成することができ、ポリマー、金属、セラミックおよび複合材料のうちの1つで形成することができる。
支持体は、湿気に対する遮断層を形成すべきであり、従って、完全に不透過性でなければならない。これは、支持体を金属化プラスチック材料またはアルミニウムで形成することにより達成される。
アルミニウムは、要求される貫通孔を有する適切な形状に容易に形成することができる比較的安価な軽い材料である。
インサートは、熱可塑性または熱硬化性ポリマー、樹脂、もしくは液体として射出した後、現場で固体に変換することができるその他のあらゆる材料から形成することができる。例えば、ポリマー、エラストマーおよびモノマーのうちの1つからインサートを形成することができる。
これにより、支持体の貫通孔内にインサートを容易に成形することができる。
好ましくは、第1および第2シートはアルミニウムから形成される。これらは、アルミニウム複合材料またはラミネートであってよく、良好な耐湿性をもたらし、特に支持体もアルミニウムの場合は、支持体に容易に気密シールすることができる。
前記部材の形状およびサイズを選択することにより、インサート内に画定される空間の容積および形状を画定するのが好ましい。
このように、成形型の形状が、インサートの内面の特徴(容積、形状など)を画定することができる。これにより、正確な容積を有するインサート空間の成形が可能になるため、収容しようとする粉末または液体の計量に空間容積を用いることができる。さらに、インサート空間の容積は、成形型の単一の構成部品、すなわち、前記部材を改変することにより容易に変更することができる。また、カップ形状インサートは、収容する薬剤を取り囲んでいるため、第1シートを第1面にヒートシールする間、薬剤に断熱を提供する。
貫通孔へのインサートの嵌め合いは、射出圧力、射出温度、貫通壁の表面仕上げ、並びに貫通壁の抜き勾配の少なくとも1つを制御することにより調整するのが好ましい。
これにより、薬剤はインサートと貫通壁の間を通過できないが、インサートをその軸に沿って貫通孔から押し出せるように、インサートを貫通孔に嵌め合わせることができる。さらに、インサートが貫通孔から押し出されるのを妨げることなく、インサートと貫通壁との接触により、インサートを貫通孔内の適切な位置に保持することができる。
好ましくは、貫通孔へのインサートの付着は、支持体の予熱温度、インサートの材料およびインサートの嵌め合い(例えば、前述したもの)のうち少なくとも1つを制御することにより調整するのが好ましい。貫通壁の表面仕上げは、インサートの運動抵抗に影響を与えると考えられる。実際に、貫通壁は、突起またはインデント(貫通孔から軸方向に押し出されるとき、インサートはそれを逸れなければならない)のような特定の特徴を備えて形成してもよい。
ほぼカップ形状の空間には、第2面から成形材料を充填するのが好ましい。
これ以外にも、カップ形状の空間を第1面から、例えば、突出部材内の供給路を通して、成形材料を充填することもできる。この方法では、インサートの成形前に第2シートを第2面にすでにシールしておくことができる。あるいは、支持体と一緒に第2シートを型内に配置し、インサートの成形工程中に支持体にシールすることも可能である。
従って、インサートは現場で支持体内に充填され得る。
好ましくは、第2面における型は、第2面とほぼ同じ高さであり、かつ同一平面にある。従って、カップ形状インサートの閉鎖端は、第2面とほぼ同じ高さであり、かつ同一平面にある。
インサートの壁は、貫通壁の上縁に接近して終わるのが好ましいが、インサートが第2面の裏側でくぼみを形成するように、型は第2面から貫通孔の中まで延びていてもよい。しかし、型の構成および加工は、型が第2面と同一平面にある方が簡単になる。さらに、これによって、インサートの閉鎖端が得られ、これは、第1面からインサートを押し出すのにすぐに使用可能である。これに関して、型は、インサートの閉鎖端が第2面から突出するように形成してもよい。
好ましくは、インサートが貫通孔の空間を占める。これは、現場でインサートを成形する方法の結果であり、インサートが貫通孔に良好に嵌め合い、移動して第1シートを破断する際に適正に案内され、しかも空間に無駄がないことを確実にするものである。特に、インサートは、粒子状の薬剤が関係する限り、貫通孔をシールするのに十分効果的に、貫通壁間の空間を完全に占める。言い換えれば、インサートの外周が貫通壁と嵌め合うことにより、粒子(典型的には、例えば、乾燥粉末吸入器で用いる、大きさが1ミクロン程度の薬剤粒子)がそれらの間を通過するのを妨げる。
薬剤は、鼻腔または肺への吸入に適した乾燥粉末形態であるのが好ましい。
本発明の容器は、このような用途に特に適している。
本発明によれば、貫通孔をあけることを含む支持体の製造方法も提供される。これに好ましい方法を以下に記載する。
本発明は、添付の図面を参照しながら、以下に示す説明からさらに明瞭に理解されよう。なお、この説明は例として挙げるにすぎない。
本発明に従って構成される容器は多数の異なる形態をとることができる。特に、それぞれの用量の薬剤のための1つのまたは複数のポケットを含むことができる。これらのポケットは、どのような所望のパターンの配列に配置してもよく、また、どのような所望の形状の支持体中に形成してもよい。
図1(a)〜(e)は、様々な例を示す。
すべての場合に、支持体10は、第1面上にリッドシート12を、第2面上にリッドシート14を備えている。シート12および14は、支持体10中の1以上の貫通孔をシールしている。いったんシート12および14でシールされると、貫通孔は見えなくなる。しかし、構成を理解しやすくするために、図中では貫通孔を破線で示す。従って、図1(a)の容器は単一のポケットを含み、図1(b)の容器は細長い配列のポケットを備えるストリップまたはテープのような形状をしており、図1(c)の容器は二次元配列のポケットを備える平面状であり、図1(d)の容器は円周配列のポケットを備える円板形状をしており、また、図1(e)の容器は周辺配列のポケットを備えるドラム形状をしているのが見てとれる。
図2は、1つのポケットを有する支持体の断面を示している。支持体10における貫通壁16が貫通孔18を画定する。貫通孔18内には、ほぼカップ形状のインサート20が形成されている。図示するように、カップ形状のインサート20の外容積は貫通孔18を概ね満たすものである。実際、インサート20の閉鎖端22は、支持体10の第2面とほぼ同一平面上にあり、それと同じ高さである。
図示するように、ほぼカップ形状のインサート20はくぼんだ内容積24を有し、これは、粉末26のような薬剤を収容する空間を形成している。インサート20の開放端28は、リッドシート12に隣接する外周壁を形成している。
図3に示すように、使用の際には、シート14を通して支持体10の第2面からインサート20の閉鎖端22に圧力を加える。このようにすると、インサート20が貫通孔18から出て上方に動くことにより、開放端28の壁がシート12を破断する。このようにして、インサート20の空間24内の薬剤の取り出しが可能になり、必要に応じて薬剤を分配することができる。
図4は、支持体10の第1面から突出するインサート20を示している。単純化のため、シート12および14は示してない。
以下の説明から理解されるように、貫通孔18内のインサート20の構成は、その製造方法の点で特に有利である。とりわけ、インサート20は支持体10内に現場で成形される。
最初に、1以上の貫通孔を有する支持体10を用意する。図5は、単純化のため、ただ1つの貫通孔を有する支持体10を示している。しかし、これ以外の支持体、例えば、図1(a)〜(e)に示すものを用意してもよいことは理解されよう。支持体10は、あらゆる好適な材料、例えば、ポリマー、金属、セラミック、複合材料などから製造することができる。材料の選択は、要求される耐湿性、柔軟性、重量およびコストなどに応じて違ってくる。以下に説明するように、インサート20を現場で成形するために、支持体10も型内に配置しなければならないことから、支持体10の材料は、この工程を実施可能にするように選択する必要がある。
好ましい実施形態では、支持体10は、低透水性のプラスチックもしくは複合プラスチックまたはアルミニウムから構成される。
支持体10は、あらゆる適切な方法、例えば、射出成形、ダイカスト、プレス成形、押出し、注入成形、焼結成形、型打ち、孔あけまたはコイニングにより製造することができる。特に、支持体10として選択した材料に応じて、インサート20を受け入れるのに適した貫通孔18を形成することができる方法を選択する。
支持体10には、図面に示すような円形に限らず、あらゆる所望の形状の貫通孔を設けることができる。実際に、図1(d)の実施形態の場合には、孔は半径方向に細長い形状であるのが好ましい。耐湿性のために、隣接する孔同士の間に最小限の間隔を置くが、孔の円周方向の範囲が狭く、半径方向の範囲が広いほど、有効なパッキングが達成される。
インサート20は、その軸に沿って貫通孔18内で、第1面から外側に滑動できるようにする必要がある。しかし、これ以外にも、貫通孔18の形状を自由に設計してもよく、支持体10を製造する方法はそれに応じて選択する。
インサート20は、成形方法、好ましくは射出成形法、により形成する。
支持体10は、インサート20を形成するための型に挿入する。図6に示すように、支持体10は第1成形型40と第2成形型42との間に配置する。第1成形型40は支持体10の第1面でほぼシールされ、また第2成形型42は支持体10の第2面でほぼシールされる。このようにして、貫通孔18内に成形キャビティが形成される。
第2成形型42には供給路44が形成されている。これにより、貫通孔18により形成されたキャビティ中に成形材料を射出することが可能になる。
図示するように、第1成形型40は突出部材46を備えるように形成されており、突出部材46は支持体10の第1面から貫通孔18の中へ延びている。突出部材46の外側表面48は、型により成形されるインサート20の内側表面を画定する。一方、貫通壁16は、インサート20の外周壁を画定し、第2成形型42の面はインサート20の閉鎖端を画定する。図示するように、こうして得られるインサートは、薬剤を収容するためのカップ形状の空間24と、第1シートを破断するための外周壁28を備えている。
この方法により、支持体10へのインサート20の嵌め合いは、突出部材46により形成されるインサート空間24の形状および大きさとは無関係であることが理解されよう。同様に、インサート空間24も自由に設計することができ、これは支持体10へのインサート20の嵌め合いとは無関係である。
支持体を射出成形用の型に配置し、支持体自体が型キャビティの一部を形成するようにする。成形型、特に、突出部材46の形状は、インサート20の内部表面の特徴(容積、形状など)を画定することができる。これにより、正確な容積を有するインサート空間24を形成することができる。これは、収容しようとする薬剤(例えば、粉末または液体)の必要量を計量するために空間の容積を用いる場合に、特に有利である。とりわけ、インサート空間24を完全に薬剤で充填することができ、薬剤の単一用量に必要な量となるようにインサート空間24の容積を選択することができる。
また、この製造方法を用いて、成形型の小部品、すなわち、突出部材46を改変することにより、インサート空間24の容積を容易に変更できることも理解されるだろう。実際に、同じ容器であっても、様々な異なるインサート空間容積を提供することが容易になる。
以下にさらに詳しく述べるように、いくつかのパラメーター(射出圧力および温度、貫通孔18の内部表面(すなわち、貫通壁16)の表面仕上げ、もしくは貫通孔18の抜き勾配)を改変することにより、支持体10へのインサート20の嵌め合いを制御する。さらに、貫通壁には、特定の特徴、例えば、図7(a)および(b)に示すように、くぼみ50または突起部52を設けることにより、インサートの動きを阻止することができる。
従って、このコンセプトの特定の実施形態について優れた性能を達成するために、支持体プレートにおける孔形状の要件を考慮することが望ましい。
図2および3に示す実施形態(インサート20を第1面上のホイル12を通して押すことにより、ホイルを完全に破断する)について、支持体プレートにおける孔の要件を、図8および9を参照しながら説明する。ここで、図8は孔の特定の要件を示し、また図9はホイルの破断を制御するアンビルプレート62中へ押し上げられたインサートを示す。アンビルプレート62は、ホイルの制御された破断を達成するように、ホイルをその上面で支持しかつ保持する。
支持体プレート56の貫通孔の上面の周縁アール(丸み)57(これを通してインサート55が押される)は、容器の最終的性能および有用性に影響を及ぼしうる。このアールが小さすぎ、しかも、かどが鋭すぎる場合には、ホイル59をプレスして支持体56にシールする際、ホイルが裂ける可能性がある。しかし、アールが大きすぎ、かつ、かどが丸すぎる場合には、インサートの上部63が周縁リップを形成し、これがアンビルプレート62のかど64にひっかかり、インサートが上方に動くのを妨害する恐れがある。
好ましくは、アール57は、0.3mmのインサート壁厚に対して、0.025mmより大で0.10mmより小(壁厚の30%を超えない)でなければならない。
貫通孔の底面の周縁アール58(ここからインサートを押す)も容器の性能および有用性に影響を及ぼしうる。このアールが小さすぎ、しかも、かどが鋭すぎる場合には、シーリングの際にホイル60に損傷を与える可能性がある。しかし、アールが大きすぎ、かつ、かどが丸すぎる場合には、インサートの底部が孔の幅より大きく広がる周縁リップを形成し、インサートを押し上げるのに必要な力が大きくなりすぎる。
アール58は、アール57について上に記載したものと同じ範囲内にあるのが好ましい。実際に、アール58は、アール57について記載したものと実質的に同じでありうる。
典型的には、支持体プレート56に貫通孔を製造する方法では、かど57および58にばり(すなわち、鋭い材料の小片)が残ることがある。特に、孔を機械加工する場合、上面および底面かど57、58にはばりが残り、また、孔抜き、孔あけ、ブローチもしくはプレスにより孔を形成する場合には、入口に丸み、出口側にばりが残ることになる。
ばりが上面または底面を超えて延在すると、これらのばりがホイル59または60を破る可能性があるため、不利である。
貫通孔にまで達するばりは、成形工程中にインサート55内に閉じ込められ、インサートを押したときにそれが動くのを妨害する。従って、製造工程全体に、貫通孔の製造中に生じたすべてのばりの除去または縮小を含めることが好ましい。具体的には、上面および底面を超えて延在するばりはすべて、25ミクロン未満(好ましくは5ミクロン未満)にまで、また、貫通孔にまで達するばりはすべて、100ミクロン未満(好ましくは50ミクロン未満)にまで縮小すべきである。
また、貫通孔の内壁65の粗さも、支持体56へのインサート55の嵌め合いに影響を及ぼす。壁65が粗すぎる場合には、インサート壁の動きに対する摩擦抵抗が高くなりすぎる。反対に、壁65が滑らかすぎると、インサートは脱落する恐れがある。
孔の製造方法は、ポケット壁の粗さの状態に影響を与えうる。機械加工はかどの平面に溝を形成し、押抜き/打抜きは支持体面に直交する溝を形成しうる。
押抜きした孔は、最適な仕上げをもたらすという理由で好適である。プレートを横断する溝が若干の摩擦をもたらすが、インサートを押し出すための滑らかな動きを可能にする。
粗さは、インサート壁厚の0.03〜0.3の範囲にあるのが好ましい。
孔をあける際、材料が出口面に向けて裂けないように注意する必要がある。これは孔の周囲にリッジを生じさせることがあり、このリッジはインサートの動きに対して過度の抵抗を与える可能性がある。
以下の説明は、アルミニウムシートの孔あけの好ましい製造工程に関する。例えば、図1(d)に示す形状の支持体は円板の形をしており、この円板を貫通してほぼ平行の側面を有する孔の円形配列が設けられている。
この形状の支持体は、孔あけ(drilling)またはフライス(milling)作業により孔を機械加工することで形成することができる。自動フライス装置(CNC)を用いた通常のフライス作業が可能であるが、比較的高価である。孔あけは、円形孔に対しては比較的費用効率がよいが、他の形状にはそうではない。いくつかの孔形状については、複数のフライスヘッドを用いた特注の機械加工具が費用効率的となることもある。
本出願では、プレートの材料および厚さが許す場合、その材料を貫通して押抜き(punching)により孔をあけることを認めている。アルミニウムは、5mmまでの厚さについて孔を押抜きすることができる材料である。この手法により、適切な工具設計を用いて、どのような数の孔も同時に押抜きすることが可能になる。従って、これは高度に有利かつ費用効率的な製造方法である。これにより、1秒から10秒の1サイクル時間内に全配列の孔を形成することができる。
厚いプレートに孔を押抜きすると、孔の周囲の材料が変形することがある。具体的には、入口縁の丸み、孔の壁に沿った材料の裂け目、出口縁のばりおよび/または孔周囲の表面にくぼみが発生しうる。
本出願は、インサートを収容するのに必要な孔について高品質を達成するために、押抜き工程に対する改善を提案する。いくつかの手法を用いることができ、その選択は、特に、要求される材料および寸法に左右される。
1つの手法は、精密打抜き(fine blanking)と呼ばれるものを用いて、押抜きしようとする材料に、孔の周囲全体に精密許容差型締めを行い、押抜き型と周囲のクランプとの間の隙間の正確な制御を確実にするプレスおよび成形用具を用いる。このレベルの精度で、厚さ3mmまでのアルミニウムシート材料を用いた場合の丸みおよび裂け目を低減することが可能である。
より深い孔が必要な場合には、要求される許容差制御を達成するのにブローチ(broaching)が必要になる。最初の孔をあけ、これを一連のカッター(それぞれ前のものより少しずつ大きい)で段階的に広げる。
どの孔あけ手法を用いても、出口のかどに鋭いばりを確実に残さないことが好ましい。従って、仕上げ工程で、ばりが残っていないことを確認するのが好ましい。
これには、グリット、石もしくはボールを用いたバレル磨き;砂またはグリットブラスト仕上げ、電気エッチング/ばり取り;および/または化学ばり取りを用いる。選択する方法は、支持体プレートの表面および壁の表面仕上げの要件に応じて異なる。例えば、グリットによるバレル磨きでは、すべての表面が荒くなったり、あるいは、表面にランダムな掻き傷ができたりする。ホイルを表面にシールして遮断層を形成しようとする場合には、ホイルと表面の間の接着層より深い掻き傷があると、シールの保全性を損なうことになる。これとは別に、非常に滑らかな表面が得られる仕上げ工程では、ホイルの優れた付着を達成するのに十分な、またはホイル付け前にインサートを適切な位置に保持するのに十分な摩擦が得られない可能性がある。
また、プラスチック材料のシートに孔あけすることも可能である。要求される許容差までプラスチック材料を孔あけするのに必要な製造工程は、金属の場合に必要な工程とは異なる。例えば、図1(d)に記載した支持体の場合、孔あけしようとする3mmのHDPE材料を例に取ると、孔あけにより出口孔の周囲に波状のすじ(strings)が残る可能性がある。これは、HDPEがアルミニウムよりはるかに軟質の材料であることと、バイト(切削工具)の前方に生じる圧力波がプレス成形用金型と支持プレートとの間の隙間を通して材料を押し出すことがあるためである。
従って、プラスチック材料に孔あけを用いる場合には、各材料および孔の大きさに応じて異なる工具と条件が求められる。
本出願は、以下に示す手法を考慮する。すなわち、プラスチックを冷却することにより、単純な孔あけ作業を可能にするのに十分その剛性を高める;ブローチで孔をあける;孔あけ後、鋭利にしたナイフの刃を用いて壁から薄層を削りとる仕上げ作業を実施する;および/または加熱したナイフの刃を用いて、刃先でプラスチックを局部的に溶融する。
厚さ3mmのHDPEに、幅2.5mm、長さ8.0mmの両端が丸みをおびた細長い孔を形成する場合には、2段階の工程が好ましい。最初に、幅1.9mm、長さ7.4mmの両端が丸みをおびた孔をあける。その後、所望の孔の形状に形成されたブレードを用いて、残る0.3mmの壁を除去する。出口孔でのすじ形成を防止するために、3mmのHDPEシートは、出口面上のもう一枚のプラスチック材料シートと一緒に、硬質プレートで挟んで締め付ける。HDPEシートにブレードを駆動することにより、下面のプラスチックシートにまでブレードを入り込ませる。
典型的には、シートの厚さは0.25mm〜1.0mmであり、ブレードはシートに少なくとも0.2mmの深さまで入り込む。
ブレードの刃先は、孔側に対しては角度がつけてあり、外側に対しては平坦であるのが好ましい。望ましくは、切断ブレードの中心は中空になっていて、切断工程中に切断された材料にこの空間を占有させ、該材料がブレードに対して横方向の力を生じないようにする。このときの切り屑は切断後に取り出すことができる。
孔あけとは別に、プラスチック材料支持体を成形することも可能である。
図1(d)を例に取ると、前述した孔あけに代わり、支持体プレートを射出成形することができる。ホイルをシールしようとする表面が平らであれば、ホイルシーリング工程を単純化する上で利点がある。従って、このようなプレートを成形する場合、成形工程では、これらの表面が平らであるのを妨害するあらゆるエジェクターピンきず、ひけ(sink mark)もしくはゲートばり形成を最小限にすることが望ましい。記載する例については、50ミクロン以下の平面度を有するのが好ましく、さらには10ミクロンであるのが好ましい。
これを達成するために、用いる特定の工具について成形条件を最適化すると共に、大きな面積のエジェクター表面および分布ゲートを用いることにより、流れ距離を最小限にする必要がある。
内壁65の角度も考慮することができる。
どのような要求される値の、孔の壁65の角度を有する孔をも製造することができる。孔あけにより、支持体56の両面に実質的に直交する壁が形成され、これがほとんどの場合好ましい。
しかし、インサートが押し出される面でやや大きくなっている孔は、インサートの移動を案内する能力は保持しながら、より小さい抵抗をもたらす。
これはいくつかの実施形態に求められることである。
必要であれば、このような孔を機械加工してもよいし、あるいは、孔あけ製造方法の場合であっても、適切な条件および材料を用いて、十分な角度を達成することができる。
本実施形態に好ましい壁角度は、垂直(面に対し90度)と、垂直から3度、さらに好ましくは1度の間である。
インサート成形工程では、プラスチックを必要なインサート形状に限定するよう設計された成形型内に支持体プレートを配置しなければならない。
支持体プレートが非圧縮性材料から作られており、成形型がそれ自体の上で閉じる場合には、支持体プレートの厚さがそれを収容する空間より小さければ、隙間が生じ、そこにプラスチックが流れ込んで、ばり形成を起こす。
容器が吸入物質のために用いられる場合には、いかなるばりも使用中に破損して遊離し、吸入される可能性がある。これは許容されない。
これを防ぐために、支持体プレートの厚さに関する許容差を十分小さくし、成型中、プラスチックが流れ込むような隙間が決してできないようにしなければならない。
好ましくは、これは0.1mm未満、さらに好ましくは0.05mmまたはそれ以下であり、このような許容差制御が達成不可能な場合には、成形型の他方の部品に対してではなく、支持体プレート表面に対してシールを形成するように成形型を設計することができる。
以上説明した製造方法はあらゆる形状の孔に適用することができるが、設計全体において考慮される形状の影響がある。
インサート成形材料は、プラスチック材料の射出中、許容容積を完全に充填する。しかし、材料が冷えて固化するに従い、これは膨脹または収縮する可能性がある。この変化の量は、材料および工程条件により制御することができる。
収縮が大きすぎる場合には、インサートはゆるくなって脱落しうる。また、インサート壁と孔壁との間に隙間ができると、収容される材料(例えば、粉末)がこのような隙間に入り込んでしまう。
膨脹が大きすぎる場合には、すべての垂直な側壁が内側にそり、ポケットの容積を小さくしてしまう。同様にインサートはその場から動かなくなる。
凸形状を有する壁は、低レベルの圧縮荷重下では内側に曲がらないため、どのような膨脹にも許容度が大きい。これは垂直または凹状の壁とは対照的である。
しかし、図9に示す実施形態では、ポケットの形状およびアンビル62は、ホイルを3辺のまわりで破断し、ホイルのフラップ61を第4辺で上方に持ち上げるように設計されている。これは、ホイルが持ち上がる第4辺でアンビル縁とポケット縁の間に隙間を生じさせることにより達成される。
しかし、この操作は、持ち上がる辺が実質的に一直線であればさらに確実である。従って、この実施形態の場合、ポケットを形成する材料および方法は、冷却時のいかなる実質的な膨脹をも回避するように選択するのが好ましい。
好ましい製造方法では、支持体プレートを成形型に配置して、成形型の壁部分が孔の中心に位置するようにし、そのまわりの隙間に、インサートを形成するプラスチックを充填する。しかし、突出部が孔の中心に正確に位置しない場合には、一方の壁がその向き合う壁より厚くなる。ある箇所での薄い壁厚はその機械的強度の要件を満たさないか、あるいは、成形工程中プラスチックを十分に充填するに足る厚さでないことさえある。
従って、成形型の突出部に対する孔の大きさおよび位置についての許容差要件が存在する。
0.2mmより薄い壁を成形することは困難になることが理解されている。従って、0.3mmの壁厚の場合には、位置許容差は±0.1mmとすべきである。
特定の実施形態についての具体的許容差は、全体的な機械的要件によって決定することができる。
単一の孔をインサート成形する場合には、許容差要件を容易に達成することができる。しかし、共通の支持体プレート上に孔の配列をワンショット法で成形しようとする場合には、その許容差の達成はより難しくなる。例えば、0.3mmの壁の正方形インサートを有する、一辺の長さが100mmの正方形アレイは、±0.05mmの配置アラインメントおよび2弧−分(0.03度)の角度アラインメントを有するのが好ましい。
アラインメント要件は、配列を注意深く設計することにより少なくすることができる。例えば、円周方向より半径方向に長いインサートを有する直径100mmの円形配列は、角度のミスアラインメントに対して正方形配列よりはるかに感受性が低い。さらに、正方形配列よりも、2つの円形配列の方が成形型を心合わせするのに機械的に容易である。
加えて、貫通孔18へのインサート20の付着は、いくつかのパラメーター、例えば、支持体10の予熱温度、インサート20および支持体10として選択した材料、並びに前述した嵌め合いに影響を与えるパラメーターなどに左右される。インサート20は、熱可塑性または熱硬化性ポリマー、樹脂、または、液体として射出した後に現場で固体に変換されるあらゆる材料(例えば、ポリマー、エラストマーもしくはモノマー)から製造するのが好ましい。
支持体プレートが金属製である場合には、インサート成形工程による影響を受けないと考えられる。
しかし、プラスチック製の支持体プレートを用いてもよい。この場合、インサート成形工程中に起こりうる相互作用を考慮する必要がある。
支持体プレート材料の融点が、射出時のインサートプラスチックの融点よりはるかに高い場合には、相互作用はほとんどないであろう。
しかし、支持体プレート材料の融点がインサート材料の融点と同等か、もしくはこれより低い場合には、成形工程を制御して、ポケット周辺の支持体プレート材料の融解を最小限にしなければならない。
シール用ホイルを支持体プレートに溶接しようとする場合には、ホイルと接触する表面を溶融する必要がある。その際、インサート材料の融点よりも低い融点を有する支持体プレート材料を用いることにより、シール工程中にインサートに損傷を与えないようにする必要がある。
反直観的に、ポリプロピレンの融点はポリエチレンよりはるかに高いにもかかわらず、ポリエチレン支持体プレート中にポリプロピレンインサートを成功裏に成形することが可能であるとわかった。
これは、用いる特定の形状および材料に対して成形工程の時間、圧力および温度を最適化することにより達成される。前述した材料で、厚さ3mmの支持体プレートにおける、厚さ0.3mmの壁を有するインサートの場合、以下に示す成形パラメーターが好ましいことがわかった:
圧力−100バール
温度−215℃
時間−2秒
圧力−100バール
温度−215℃
時間−2秒
しかし、上記のような条件では、支持体プレートの少量の融解が起こる可能性があり、これは、インサートと支持体プレートとの接着を招くおそれがある。この結合は、いずれの部品にも損傷を与えずに破壊できることがわかっているが、これはルーチンな作業に望ましい力より大きい力を必要とする。これを解決するために、各インサートをその孔から部分的に押し出し、これによって結合を破壊することができる。次に、インサートを本来の位置に戻す。それ以後は、はるかに小さい力でインサートを動かすことができる。
典型的には、厚さ3mmのHDPE支持体プレートにおいて面積20mm2のインサートを最初に放出するのに必要な力は、50N〜100Nである。初期結合の破壊後、必要な力は30Nに満たないと考えられる。
ゲート形成技術の注意深い選択は、インサート20へのゲートマークの防止、並びに構成部品からの成形スプルーの分離に役立つだろう。
プラスチックは、インサート成形中、成形型の壁に設けられた1以上の供給路から型に流し込む。型が一杯になると、1以上のゲートが閉じて、供給路内のまだ溶融状態のプラスチックから型内のプラスチックを分離する。
ゲート位置でインサートの表面を滑らかにすることは難しく、ばりまたはピップが生じることがある。好ましい実施形態では、ゲート区域はインサートの底部にあり、それをホイルで覆うことによりコンパートメントをシールする。
表面から延びるばりまたは鋭いピップは、ホイルに穴をあける恐れがある。
従って、これを防止するゲート構成が好ましい。この実施例を図10に示す。
図10(a)は、ゲートが構成部品の表面に位置するときに生じうるばりを示す。
図10(b)は、ゲートが表面よりやや下に位置し、そのために中空が形成され、その中でばりにくぼみが生じうる変形例を示す。これは十分であると考えられる。しかし、鋭いエッジが表面より上にあるという可能性がまだある。
図10(c)は、突出した材料が平坦化され、くぼみに変形している状態を示す。これは、熱、超音波もしくはその他の手段によってプラスチックを局部的に溶融し、硬質の平らな工具を用いてこれを表面より下に押し下げることにより達成される。
このようにして、表面より上にある鋭いエッジがホイルを損傷しないようにすることができる。
従って、インサート20が支持体10の壁16にぴったりと嵌まるように、要求される形状をした各貫通孔18にインサート20を形成することが可能である。これは、薬剤がインサート20から浸透するのを防止し、しかもインサートが下方から押されたとき自由に動くのを可能にする。この方法は一般に、滑り嵌めまたは回転嵌めを有する多く構成部品を含む集成体(この方法でなければ、個別に組み立てなければならない)の製造に適している。従って、材料の取扱いおよび組立て費用の節約が達成される。
支持体10を型40、42から取り外すとき、これはインサート20を含んでいる。前記のパラメーターによれば、好ましい実施形態では、インサート20は支持体10内の適切な位置に弾力的に保持される。こうすれば、インサート20を適切な位置に維持するための追加の工程が必要なくなる。
次に、支持体10の1以上のインサートに薬剤を充填することができる。薬剤は、どのような好適な形態で提供されてもよく、例えば、錠剤、粉末または液体として提供される。しかし、本明細書に記載するように構成される容器は特に、乾燥粉末と共に使用するのに有利である。
薬剤は、予め定めた量の用量を分配する装置からインサート20のインサート空間24中に分配される。しかし、前述したように、インサート空間24を充填することにより、必要用量の薬剤を収容した容器が得られるように、予め定めた容積を有するインサート空間24を選択することができる。
次に、リッドシート12および14を支持体10の第1および第2面に固定することにより、貫通孔18内のインサート20および薬剤をシールする。好ましくは、シートを気密シールする。これは、乾燥粉末の場合、特に有利である。リッドシートはアルミニウムホイルから製造することができるが、要求される遮蔽特性を提供するものであれば、その他の好適な材料を用いてもよい。
薬剤の充填工程の前に、第2シートを第2面にシールすることも可能である。
さらに、以上述べた方法に代わり、例えば突出部材内の供給路を通して、第1面から成形材料をカップ形状の空間に充填してもよい。この場合には、成形工程の前、もしくはその間に、第2シートを第2面にシールすることができる。第2シートを下方の型と支持体10との間に配置する場合には、成形材料をカップ形状の空間に充填すると同時に、例えば加熱により、第2シートを支持体にシールすることができる。
Claims (26)
- 向き合う第1および第2面と、向き合う第1および第2面の間に延びる貫通孔(18)を画定する貫通壁(16)とを有する支持体(10、56)を用いて、少なくとも1つの個別用量の薬剤を収容するための容器を製造する方法であって、
第1面から貫通孔(18)の中に突き出る部材(46)を有する型(40)に支持体(10、56)を挿入することにより、貫通壁(16)と共にほぼカップ形状の空間を画定し;
ほぼカップ形状の空間に成形材料を充填することにより、貫通孔(18)内にほぼカップ形状のインサート(20)を形成し;
型(40、42)から支持体(10、56)およびインサート(20)を取り外す;
ことを含み、これによって、個別用量の薬剤をほぼカップ形状のインサート(20)内に配置し、第1および第2面にそれぞれシールした第1および第2シート(12,14;59、60)を用いて、貫通孔(18)内の薬剤およびインサート(20)をシールすることができる、上記方法。 - 向き合う第1および第2面と、向き合う第1および第2面の間に延びる貫通孔(18)を画定する貫通壁(16)とを有する支持体(10、56)と、
第1面から貫通孔(18)の中に突き出る部材(46)を有する型(40)に支持体(10、56)を挿入することにより、貫通壁(16)と共にほぼカップ形状の空間を画定し、次に、ほぼカップ形状の空間に成形材料を充填して貫通孔(18)内にほぼカップ形状のインサート(20)を形成することにより、貫通孔(18)内に形成されたほぼカップ形状のインサート(20)と、
を用いる容器で少なくとも1つの個別用量の薬剤を提供する方法であって、
個別用量の薬剤をほぼカップ形状のインサート(20)内に配置し;
第1シート(12、59)を第1面に、第2シート(14、60)を第2面にシールすることにより、貫通孔(18)内の薬剤およびインサート(20)をシールする;
ことを含む、上記方法。 - 向き合う第1および第2面と、向き合う第1および第2面の間に延びる貫通孔(18)を画定する貫通壁(16)とを有する支持体(10、56)を用いて、少なくとも1つの個別用量の薬剤を収容する容器を製造する方法であって、
第1面から貫通孔(18)の中に突き出る部材(46)を有する型(40)に支持体(10、56)を挿入することにより、貫通壁(16)と共にほぼカップ形状の空間を画定し;
ほぼカップ形状の空間に成形材料を充填して、貫通孔(18)内にほぼカップ形状のインサート(20)を形成し;
型(40、42)から支持体(10,56)およびインサート(20)を取り外し;
ほぼカップ形状のインサート(20)内に個別用量の薬剤を配置し;
第1および第2シート(12,14;59、60)をそれぞれ第1および第2面にシールすることにより、貫通孔(18)内の薬剤およびインサート(20)をシールする;
ことを含む、上記方法。 - 前記貫通孔(18)を有する支持体(10、56)を形成することをさらに含む、請求項1、2または3に記載の方法。
- 射出成形、ダイカスト、プレス成形、押出し、注入成形、焼結成形、型打ち、孔あけおよびコイニングのうちの1つにより前記支持体(10、56)を形成することをさらに含む、請求項4に記載の方法。
- ポリマー、金属、セラミックおよび複合材料のうちの1つから前記支持体(10、56)を形成することをさらに含む、請求項4または5に記載の方法。
- 低透過性プラスチック、複合材料またはアルミニウムのような不透湿性材料から前記支持体(10、56)を形成することをさらに含む、請求項4または5に記載の方法。
- ポリマー、エラストマーおよびモノマーのうちの1つから前記インサート(20)を形成することをさらに含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
- アルミニウム、またはAclar、CTEもしくはBarrexのような低透過性シート材料から前記第1および第2シート(12,14;59、60)を形成することをさらに含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
- 前記部材(46)の形状およびサイズが、インサート(20)内に画定される空間の容積および形状を画定するように選択される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
- 射出圧力、射出温度、貫通壁(16)の表面仕上げ、および貫通壁(16)の抜き勾配のうち少なくとも1つを制御することにより、前記貫通孔(18)へのインサート(20)の嵌め合いを制御する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
- 支持体(10、56)の予熱温度、インサート(20)の材料、およびインサート(20)の嵌め合いのうち少なくとも1つを制御することにより、前記貫通孔(18)へのインサート(20)の付着を制御する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
- 前記型(40、42)は、前記支持体(10,56)の第1面から貫通孔(18)の中に突き出る部材(46)を有する第1の型(40)と、前記支持体(10,56)の第2の面に接触する面を有する第2の型(42)とを具備し、該第2の型(42)の面が、該支持体(10、56)の第2面とほぼ同じ高さであり、かつ同一平面にある、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
- 前記第2シート(14、60)を第2面にシールした後、薬剤をカップ形状のインサート(20)内に配置する、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
- ほぼカップ形状の空間に第2面から成形材料を充填する、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
- カップ形状の空間に成形材料を充填する工程の前またはその間に、前記第2シート(14、60)を第2面にシールする、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
- 請求項1および3〜16のいずれか1項に記載の方法を用いて、個別用量の薬剤を収容するための容器を製造する方法であって、
前記部材(46)のサイズを変更することにより、容器ごとにカップ形状の空間の容積を変動させることをさらに含む、上記方法。 - 少なくとも1つの個別用量の薬剤を収容するための容器であって、
向き合う第1および第2面と、向き合う第1および第2面の間に延びる貫通孔(18)を画定する貫通壁(16)とを有する支持体(10、56);および
第1面から貫通孔(18)の中に突き出る部材(46)を有する型(40)に支持体(10、56)を挿入することにより、貫通壁(16)と共にほぼカップ形状の空間を画定し、次に、ほぼカップ形状の空間に成形材料を充填して貫通孔(18)内にほぼカップ形状のインサート(20)を形成することにより、貫通孔(18)内に形成されたほぼカップ形状のインサート(20);
を含んでなり、
これによって、個別用量をほぼカップ形状のインサート(20)内に配置し、第1および第2面にそれぞれシールした第1および第2シート(12,14;59、60)を用いて、貫通孔(18)内の薬剤およびインサート(20)をシールすることができる、上記容器。 - 少なくとも1つの個別用量の薬剤を収容する容器であって、
向き合う第1および第2面と、向き合う第1および第2面の間に延びる貫通孔(18)を画定する貫通壁(16)とを有する支持体(10、56);
第1面から貫通孔(18)の中に突き出る部材(46)を有する型(40)に支持体(10、56)を挿入することにより、貫通壁(16)と共にほぼカップ形状の空間を画定し、次に、ほぼカップ形状の空間に成形材料を充填して貫通孔(18)内にほぼカップ形状のインサート(20)を形成することにより、貫通孔(18)内に形成されたほぼカップ形状のインサート(20);
ほぼカップ形状のインサート(20)内の個別用量の薬剤;および
第1および第2面にそれぞれシールされた第1および第2シート(12,14;59、60);
を含んでなる、上記容器。 - 前記ほぼカップ形状のインサート(20)の閉鎖端(22)が、第2面とほぼ同じ高さであり、かつ同一平面にある、請求項18または19に記載の容器。
- 前記ほぼカップ形状のインサート(20)が貫通孔(18)の空間を占める、請求項18、19もしくは20に記載の容器。
- 前記カップ形状のインサート(20)の外周が貫通壁(16)にシール的に嵌め合う、請求項18〜21のいずれか1項に記載の容器。
- 前記支持体(10、56)がアルミニウムから形成される、請求項18〜22のいずれか1項に記載の容器。
- 前記インサート(20)がポリマー、エラストマーおよびモノマーのうちの1つから形成される、請求項18〜23のいずれか1項に記載の容器。
- 前記第1および第2シート(12,14;59、60)がアルミニウムから形成される、請求項18〜24のいずれか1項に記載の容器。
- 前記薬剤が鼻腔または肺への吸入に適した乾燥粉末形態である、請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法または請求項18〜25のいずれか1項に記載の容器。
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