JP4180815B2 - 医療用酸素濃縮装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気中から酸素を分離し濃縮する酸素濃縮装置に関する。更に詳細には、医療目的で使用される酸素濃縮装置から送り出される酸素濃縮空気の酸素濃度を測定する手段を備えた医療用酸素濃縮装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
サンプルガス中を伝播する超音波の伝播速度は、サンプルガスの濃度、温度の関数として表されることが広く知られている。サンプルガスの平均分子量をM、温度をT[K]とすれば、サンプルガス中の超音波伝播速度C[m/sec]は、次式(1)で表される。
【0003】
【数1】
Figure 0004180815
ここで、k、Rは定数(k:比熱比、R:気体定数)である。すなわち、サンプルガス中の超音波伝播速度C[m/sec]とサンプルガスの温度T[K]が測定できれば、サンプルガスの平均分子量Mを決定できる。該サンプルガスが、例えば酸素と窒素の2分子からなるガスであれば、k = 1.4となることが知られている。該サンプルガスの平均分子量Mは、酸素の分子量をMO2、窒素の分子量をMN2として、例えば酸素100×P[%](0≦P≦1)と窒素100×(1‐P)[%]の場合においては、
M = MO2 P+MN2 (1‐P) ---------- 式(2)
と記述することができ、測定された平均分子量Mから酸素濃度Pを決定できる。
【0004】
また、サンプルガス中の超音波伝播速度がC[m/sec]、サンプルガスの流速がV[m/sec]であったとき、サンプルガスの流れに対して順方向に超音波を送信したときに測定される超音波伝播速度V1[m/sec]は、V1 = C+V、逆方向に超音波を送信したときに測定される超音波伝播速度V2[m/sec]は、V2 = C‐Vとなるので、サンプルガスの流速V[m/sec]は、次式(3)で求めることができる。
【0005】
【数2】
Figure 0004180815
これにサンプルガスの流れている配管の内面積[m2]を乗じることで、サンプルガスの流量[m3/sec]を求めることができる。さらに体積換算、時間換算を行えば、流量を[L/min]で求めることも容易である。該原理を利用し、サンプルガス中を伝播する超音波の伝播速度もしくは伝播時間からサンプルガスの濃度、或は流量を測定する方法及び装置に関しては、種々の提案が行われている。たとえば、特開平6-213877には、サンプルガスが通る配管中に超音波振動子2つを対向させて配置し、該超音波振動子間を伝播する超音波の伝播時間を計測することによってサンプルガスの濃度及び流量を測定する装置が記載されている。また、たとえばUS Patent No。5060506には、超音波の音速変化を測定することにより、2種類の分子から構成されるサンプルガスの濃度を測定する装置が記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このような超音波の伝播速度等を用いてサンプルガスの濃度を正確に測定する方法を用いて、酸素濃縮装置から発生する酸素濃縮空気中の酸素濃度を測定する場合においては、酸素と窒素の濃度のみが変化し、酸素と窒素以外の分子がサンプルガス中に存在する場合には、酸素と窒素以外の分子は濃度が常に一定である、もしくは、酸素と窒素以外の分子は、酸素または窒素の濃度と常に一定の比率で存在する必要性があった。すなわち、式(1)からも明らかなように、サンプルガスの温度T、および、音速Cが測定できた場合に導出できる変数はサンプルガスの平均分子量Mであり、平均分子量Mからサンプルガスの濃度を求めるためには、平均分子量は単一の変数のみで表現されなければならなかった。
【0007】
しかしながら、実際に酸素濃縮装置から出力されるサンプルガスには、酸素と窒素以外に、アルゴンが含まれる。さらにアルゴンの濃度は常に一定ではなく、酸素濃縮装置の設定流量に伴って変化するため、従来の超音波式酸素濃度測定手段では、酸素濃度を正確に測定できないという問題点があった。
【0008】
本発明は、超音波式酸素濃度測定手段にて測定されるサンプルガスの流量を用いて、流量に伴うアルゴン濃度を補正する係数を導出し、各流量における酸素濃度を正確に測定可能な超音波式酸素濃度測定手段を備えた酸素濃縮装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる目的を達成するために鋭意研究した結果、同一種類の酸素濃縮装置から出力されるサンプルガスに含まれる酸素/アルゴン濃度の比率は、同一サンプルガス流量において、ほぼ等しく、超音波式酸素濃度測定手段によって測定されるサンプルガス流量からアルゴン濃度の補正係数を導出してフィードバックすることで、アルゴンが存在する場合においても正確に酸素濃度を測定可能であることを見出したものである。
【0010】
すなわち本発明は、空気中から酸素を分離する酸素濃縮手段、酸素濃縮手段の下流の配管中に対向させて配置した超音波を送受信する2つの超音波振動子及び温度センサを備えた酸素濃縮装置において、使用者に供給する酸素濃縮空気の設定流量に対する酸素濃縮空気中の酸素、アルゴン比の補正係数テーブルを備え、該補正係数値に基づいて、酸素濃縮空気の酸素濃度を演算する濃度演算手段を備えたことを特徴とする医療用酸素濃縮装置を提供するものである。
【0011】
また本発明は、かかる濃度演算手段が、該超音波振動子の各々から送信された超音波を他方の超音波振動子で受信するまでの伝播速度を検出し、超音波の伝播速度及びガス温度から酸素濃度を演算する手段であることを特徴とするものであり、特に該濃度演算手段が、所定濃度の酸素及び窒素の混合ガスを該配管中に導入した時の、該超音波振動子の各々から送信された超音波を他方の超音波振動子が受信するまでの伝播時間を演算する機能を備え、その結果から超音波振動子間を結ぶ配管の基準長さ及び基準内径を同時に演算する演算手段、演算した基準長さ及び基準内径の結果を記憶する記憶手段を備えたことを特徴とする医療用酸素濃縮装置を提供するものである。
【0012】
更に本発明は、使用者に供給する酸素濃縮空気の設定流量を検出する手段が、該配管中に対向させて配置した超音波を送受信する2つの超音波振動子の各々から送信された超音波を他方の超音波振動子で受信するまでの伝播速度を検出し、該検出結果に基づいて酸素濃縮空気のガス流量を演算する手段であることを特徴とする医療用酸素濃縮装置を提供するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
酸素濃縮装置から出力される酸素/アルゴン濃度の比率は、該酸素濃縮装置の出力するサンプルガスの流量によって変化するものであり、該酸素/アルゴン濃度比率は、サンプルガス流量の関数として表すことが可能である。また、式(3)からも明らかなように、超音波式酸素濃度/流量測定装置にて測定されるサンプルガス流量はサンプルガスを構成する分子の種類に無関係であり、濃度が変化したとしても、流量は正確に測定できるため、測定される流量から正確なアルゴン濃度の補正係数を導出することが可能である。
【0014】
本発明は、酸素、窒素、アルゴンから構成されるサンプルガスを出力する酸素濃縮装置に搭載するために好適な超音波式酸素濃度・流量測定手段において、サンプルガス流量の正確な測定のみならず、測定されるサンプルガス流量からアルゴン濃度の補正係数を導出し、該補正係数を用いることでサンプルガスの酸素濃度も正確に測定できる医療用酸素濃縮装置を提供するものである。
【0015】
以下に実施例を示す。本発明の酸素濃縮装置は、図2に概略フローを示すように、酸素よりも窒素を選択的に吸着する吸着剤として高性能のLi―X型ゼオライトを充填した2本の吸着筒、加圧空気を該吸着筒に供給するコンプレッサ、吸着筒から生成する酸素濃縮空気を使用者に供給する酸素供給手段を備え、吸着塔下流側の配管途中に超音波式酸素濃度(流量)測定手段を備える。
【0016】
超音波式酸素濃度(流量)測定手段の構成は図1に示すとおりであり、配管に対向して配置した2つの超音波振動子及び温度センサを備える。
【0017】
超音波振動子間の配管1の基準長さL0、基準内径D0を校正する際には、校正用ガスとして酸素濃度100×P[%]、窒素100×(1−P)[%]のガスをガスボンベ等で準備し、流量設定器等を用いて、流量Q0[m3/sec]で配管1に投入する。このとき、2つの温度センサ3の出力を平均した温度T0[K]を測定しておき、該温度を基準温度として、不揮発性メモリ9に保存しておく。このときの温度T0[K]は、装置の使用温度範囲として設定している温度を逸脱しなければ、何[K]であっても構わない。
【0018】
該校正用ガス投入中において、マイクロコンピュータ7より超音波の送信パルスをドライバ5に送り、送受信切り替え器4によって校正用ガスの流れと順方向に超音波を送信するように選択された超音波振動子2にパルス電圧が印加され、超音波が送信される。もう一方の超音波振動子2によって受信された超音波は、送受信切り替え器4、レシーバ6を介してマイクロコンピュータ7に入力され、超音波伝播時間t1[sec]が測定される。該伝播時間t1[sec]が測定された後、送受信切り替え器4によって超音波振動子2の送受信を切り替え、今度は校正用ガスの流れと逆方向に超音波の送信を行い、先と同様に超音波伝播時間t2[sec]を測定する。このとき、2つの超音波伝播時間の関係は、t1<t2となる。ここで、該配管中の流量がゼロであるときの超音波伝播時間t0[sec]として、t0=(t1+t2)/2を計算しておく。
【0019】
酸素濃度100×P[%]、窒素100×(1−P)[%]、温度T0[K]のガス中の超音波伝播速度C0[m/sec]は、前述の式(1)を用いて、以下の式(4)のようになる。
【0020】
【数3】
Figure 0004180815
該校正用ガスを投入した際に測定された超音波伝播時間はt0[sec]であったため、基準温度T0[K]における超音波振動子間を結ぶ配管1の基準長さをL0[m]とすると、以下の関係が成立する。
【0021】
【数4】
Figure 0004180815
すなわち、基準温度T0[K]における基準長さL0[m]は、以下の式(6)で求めることができる。
【0022】
【数5】
Figure 0004180815
上記の計算は、マイクロコンピュータ7において実施され、ここで求めた基準長さL0[m]は、不揮発性メモリ9に保存される。
【0023】
さらに、該基準長さL0を利用し、校正用ガスの流れに対して順方向に超音波を送信したときに測定される超音波伝播速度V01[m/sec]、逆方向に超音波を送信したときに測定される超音波伝播速度V02[m/sec]は、それぞれV01=L0/t1、V02=L0/t2となる。すなわち、配管1中を流れる校正用ガスの流速V0[m/sec]は、前述の式(2)を用いて、以下の式(7)で求めることができる。
【0024】
【数6】
Figure 0004180815
流速[m/sec]を流量[m3/sec]に換算する際には、流速Vに配管1の内面積[m2]を乗じればよく、すなわち、基準温度T0[K]における超音波振動子間を結ぶ配管1の基準内径をD0[m]とすると以下の関係が成立する。
【0025】
【数7】
Figure 0004180815
すなわち、基準温度T0[K]における基準内径D0[m]は、以下の式(9)で求めることができる。
【0026】
【数8】
Figure 0004180815
上記の計算は、マイクロコンピュータ7において実施され、ここで求めた基準内径D0[m]は、不揮発性メモリ9に保存される。
【0027】
以上の方法により、既知濃度、既知流量の校正用ガス1種類を装置に投入することで、温度T0[K]における超音波振動子間を結ぶ配管1の基準長さL0[m]と基準内径D0[m]を同時に校正できる。該方法は、装置に校正用ガスを投入中に、装置に装備されたボタンを1回押すだけで実現でき、計算自体も簡便なものなので、瞬時に校正を終えることが可能である。また、装置の経年劣化等により、超音波振動子2の位置関係が変わってしまい、超音波の伝播距離が変化してしまった場合等においても、簡単に装置を校正し直し、不揮発性メモリ9に保存された基準温度、基準長さ、基準内径を更新することが可能である。
【0028】
かかる酸素濃縮装置から出力されるサンプルガスの各流量においてガス成分分析を行った結果を表1に示す。ガス成分分析はガスクロマトグラフ法で行なった。
【0029】
【表1】
Figure 0004180815
表1に示すように、流量により酸素、アルゴンの比が異なることが明らかになった。表1には、前記酸素濃縮装置1台にて測定された結果を示しているが、同じ種類の酸素濃縮装置においても、出力される酸素濃度には多少のばらつきはあるものの、酸素/アルゴン濃度の比率は同じである。一方、吸着剤の種類や量、吸着筒の形状など機台の種類が異なればかかる酸素/アルゴン比は異なる。
【0030】
表1の結果より、サンプルガス流量に伴うアルゴン濃度の補正係数を導出し、酸素濃度を正確に測定する方法を以下に示す。流量変化に伴うアルゴン濃度の補正を行う方法は様々ある。例えば、表1より、酸素とアルゴンの存在比率を用いて、直接的に式(1)における平均分子量Mを記述する方法が考えられる。すなわち、酸素、窒素、アルゴンの分子量を、それぞれ32、28、40とし、酸素濃度を100×P[%]で表せば、酸素濃縮装置からの出力流量が1.00L/minの時、平均分子量Mは、以下のように式(10)で表すことが可能となる。
【0031】
M = 32P + 40*(6.4/93.5)P + 28(1-P-(6.4/93.5)P) ----- 式(10)
さらに、比熱比kに関しても、2原子分子(酸素、窒素)の比熱比1。4、1原子分子(アルゴン)の比熱比1。67を用いて、次式のように表すことが可能である。
【0032】
k = 1.4*(1-(6.4/93.5)P) + 1.67*(6.4/93.5)P ----- 式(11)
したがって、サンプルガス中の音速、及び温度を測定できれば、式(1)(10)(11)から、未知数はPのみとなり、酸素濃度100×P[%]を求めることができる。
【0033】
上術の例は、サンプルガス流量が1.00L/minの場合であり、その他流量の時には、式(10)、式(11)における(6.4/93.5)とした酸素/アルゴン存在比率を、他の流量における酸素/アルゴン存在比率に置きかえればよい。この場合、酸素/アルゴン存在比率そのものがアルゴン濃度の補正係数となり、超音波式酸素濃度/流量測定装置そのもので測定された流量から該アルゴン濃度補正係数をテーブル参照する、もしくは、あらかじめ測定された流量に対する酸素/アルゴン濃度の比率の関係を近似式で求めておき、該アルゴン濃度補正係数を流量の関数として導出すれば、正確な酸素濃度を測定できる。
【0034】
または、計算を簡単にするため、次のような方法も考えられる。すなわち、サンプルガスの成分は酸素と窒素のみから構成されるものと仮定し、式(2)を用いて酸素濃度を計算する。ここで得られる酸素濃度はアルゴンの存在を無視した値であるため、実際の酸素濃度とは異なる値となる。しかしながら、特定流量における酸素とアルゴンの存在比率が分かっているため、一旦計算された酸素濃度の値に特定の係数を乗じることで、正確な酸素濃度を近似して求めることが可能である。この場合においては、該特定の係数がアルゴン濃度の補正係数となる。
【0035】
例えば、サンプルガスの流量が1.00L/minの場合、式(2)を用い、比熱比k=1.4としてアルゴンの存在を無視して酸素濃度を計算した時、酸素濃度は102.8[%]と計算されてしまう。しかしながら、実際の酸素濃度は93.5[%]であることがあらかじめ分かっていれば、1.00L/minの際のアルゴン濃度補正係数として(93.5/102.8)を求めることができ、超音波式酸素濃度/流量測定装置そのもので測定された流量が1.00L/minの時には式(2)で求まる酸素濃度にアルゴン濃度補正係数(93.5/102.8)を乗じることで、他の酸素濃度の場合においても正確に酸素濃度を測定できる。
【0036】
1.00L/min以外の時にも同様に、あらかじめアルゴン濃度補正係数を求めておけば、超音波式酸素濃度/流量測定装置そのもので測定された流量から該アルゴン濃度補正係数をテーブル参照する、もしくは、流量に対するアルゴン濃度補正係数を近似式で求めておけば、各流量におけるアルゴン濃度補正係数を決定することが可能であり、正確な酸素濃度を測定できる。
【0037】
図1に装置の構成を示す概略図を示す。2つの超音波振動子2を結ぶ部分の配管1は円筒形状をしており、超音波振動子2は、サンプルガスの流れる配管1の中に対向させて配置する。温度センサ3は、超音波伝播経路上のガスの流れを乱すことのないように、サンプルガスの出入り口付近に2つ配置する。2つの温度センサ3を配管1の出入り口に配置することで、配管1を流れるサンプルガスの平均温度を測定できるようにしている。サンプルガスの温度変化が大きくない場合には、温度センサ3は1つでも良い。2つの超音波振動子2は、それぞれ超音波の送受信が可能であり、送受信の切り替えは送受信切り替え器4によって実施される。不揮発性メモリ9には、前述された流量vs。アルゴン濃度補正係数テーブルが保存されている。表示器8は、測定されたサンプルガスの流量、及び、酸素濃度を表示する。
【0038】
サンプルガスの流量を測定する際には、該サンプルガス投入中において、マイクロコンピュータ7より超音波の送信パルスをドライバ5に送り、送受信切り替え器4によってサンプルガスの流れと順方向に超音波を送信するように選択された超音波振動子2にパルス電圧が印加され、超音波が送信される。もう一方の超音波振動子2によって受信された超音波は、送受信切り替え器4、レシーバ6を介してマイクロコンピュータ7に入力され、超音波伝播時間ts1[sec]が測定される。該伝播時間ts1[sec]が測定された後、送受信切り替え器4によって超音波振動子2の送受信を切り替え、今度はサンプルガスの流れと逆方向に超音波の送信を行い、先と同様に超音波伝播時間ts2[sec]を測定する。次に、2つの超音波振動子2を結ぶ配管の長さをL[m]とすれば、サンプルガスの流れに対して順方向に超音波を送信したときに測定される超音波伝播速度Vs1[m/sec]、逆方向に超音波を送信したときに測定される超音波伝播速度Vs2[m/sec]はそれぞれ次式(12)、(13)で求めることができる。
【0039】
Vs1 = L / ts1 ---------- 式(12)
Vs2 = L / ts2 ---------- 式(13)
で求めることができ、式(3)より、サンプルガスの流速Vs[m/sec]は次式(14)で求めることができる。
【0040】
【数9】
Figure 0004180815
流速Vs[m/sec]を流量Qs[L/min]に換算する際には、配管1の内面積をS[m2]とすれば、Qs[L/min]は次式のように求めることができる。
【0041】
Qs = 60×1000×S×Vs ---------- 式(15)
流量を測定することができれば、上述のようにアルゴン濃度の補正係数を求めることは容易である。アルゴン補正係数は不揮発性メモリ9に蓄えられた流量vsアルゴン濃度補正係数テーブルを参照することで導出され、酸素濃度計算時に利用される。酸素濃度測定時には、サンプルガスの温度とサンプルガス中の音速を求めれば良く、サンプルガスの温度Ts[℃]は温度センサ3によって検出され、サンプルガスの音速Cs[m/sec]は、式(12)、(13)で求めたVs1[m/sec]、Vs2[m/sec]を用いて、次式(16)のように求めることができる。
【0042】
【数10】
Figure 0004180815
サンプルガスの音速Cs[m/sec]、温度Ts[℃]、及び、既に計算されているサンプルガス流量からアルゴン濃度補正係数が分かれば、先述したいずれかの方法を用いて酸素濃度を正確に求めることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の医療用酸素濃縮装置の超音波式酸素濃度流量測定手段の構成を示す概略図。
【図2】本発明の医療用酸素濃縮装置の概略構成図。
【符号の説明】
1 配管
2 超音波振動子
3 温度センサ
4 送受信切り替え器
5 ドライバ
6 レシーバ
7 マイクロコンピュータ
8 表示器
9 不揮発性メモリ
10 医療用酸素濃縮装置
11 吸着筒
12 コンプレッサ
13 フィルタ
14 切り替え弁
15 逆止弁
16 製品タンク
17 調圧弁
18 超音波式酸素濃度流量測定手段
19 製品フィルタ

Claims (4)

  1. 空気中から酸素を分離する酸素濃縮手段として、酸素よりも窒素を選択的に吸着する吸着剤を充填した吸着筒、該吸着筒加圧空気を供給するコンプレッサを備え、吸着筒から生成する酸素、窒素、アルゴンから構成される所定酸素濃度の酸素濃縮空気を使用者に供給する酸素供給手段を備えた酸素濃縮装置において該吸着筒の下流の配管中に対向させて配置した超音波を送受信する2つの超音波振動子及び温度センサを備え、使用者に供給する酸素濃縮空気の設定流量に対する酸素濃縮空気中の酸素、アルゴン比の補正係数テーブルを備え、該補正係数値に基づいて、酸素濃縮空気の酸素濃度を演算する濃度演算手段を備えたことを特徴とする医療用酸素濃縮装置。
  2. 該濃度演算手段が、該超音波振動子の各々から送信された超音波を他方の超音波振動子で受信するまでの伝播速度を検出し、超音波の伝播速度及びガス温度から酸素濃度を演算する手段であることを特徴とする請求項1記載の医療用酸素濃縮装置。
  3. 該濃度演算手段が、所定濃度の酸素及び窒素の混合ガスを該配管中に導入した時の、該超音波振動子の各々から送信された超音波を他方の超音波振動子が受信するまでの伝播時間を演算する機能を備え、その結果から超音波振動子間を結ぶ配管の基準長さ及び基準内径を同時に演算する演算手段、演算した基準長さ及び基準内径の結果を記憶する記憶手段を備えたことを特徴とする請求項1、2記載の医療用酸素濃縮装置。
  4. 該配管中に対向させて配置した超音波を送受信する2つの超音波振動子が、使用者に供給する酸素濃縮空気のガス流量を検出する手段であり、該2つの超音波振動子の各々から送信された超音波を他方の超音波振動子で受信するまでの伝播速度を検出し、該検出結果に基づいて酸素濃縮空気のガス流量を演算する手段であることを特徴とする請求項1〜3記載の医療用酸素濃縮装置。
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