JP4180734B2 - 感光性ペースト組成物及びそれを用いて焼成物パターンを形成したパネル - Google Patents

感光性ペースト組成物及びそれを用いて焼成物パターンを形成したパネル Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマディスプレイパネル(以下、PDPと略称する)の隔壁(バリヤーリブ)パターン、さらには誘電体パターン、電極(導体回路)パターン、ブラックマトリックスの形成に有用な感光性ペースト組成物及びそれを用いて焼成物パターンを形成したパネルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
PDPは、プラズマ放電による発光を利用して映像や情報の表示を行う平面ディスプレイであり、パネル構造、駆動方法によってDC型とAC型に分類される。PDPによるカラー表示の原理は、リブ(隔壁)によって離間された前面ガラス基板と背面ガラス基板に形成された対向する両電極間のセル空間(放電空間)内でプラズマ放電を生じさせ、各セル空間内に封入されているHe、Xe等のガスの放電により発生する紫外線で背面ガラス基板内面に形成された蛍光体を励起し、3原色の可視光を発生させるものである。各セル空間は、DC型PDPにおいては格子状のリブにより区画され、一方、AC型PDPにおいては基板面に平行に列設されたリブにより区画されるが、いずれにおいてもセル空間の区画は、リブによりなされている。
【0003】
図1は、フルカラー表示の3電極構造の面放電方式PDPの構造例を示している。前面ガラス基板1の下面には、放電のための透明電極3a又は3bと該透明電極のライン抵抗を下げるためのバス電極4a又は4bとから成る一対の表示電極2a、2bが形成されている。これらの表示電極2a、2bの上には、電荷を蓄積するための透明誘電体層5(低融点ガラス)が印刷、焼成によって形成され、その上に保護層(MgO)6が蒸着されている。保護層6は、表示電極の保護、放電状態の維持等の役割を有している。
【0004】
一方、背面ガラス基板7の上には、放電空間を区画するストライプ状のリブ(隔壁)8と各放電空間内に配されたアドレス電極(データ電極)9が所定のピッチで形成されている。また、各放電空間の内面には、赤(10a)、緑(10b)、青(10c)の3色の蛍光体膜が規則的に配されている。フルカラー表示においては、前記のように赤、緑、青の3原色の蛍光体膜で1つの画素が構成される。
上記PDPでは、一対の表示電極2aと2bの間に交流のパルス電圧を印加し、同一基板上の電極間で放電させるので、「面放電方式」と呼ばれている。また、放電により発生した紫外線は背面基板7の蛍光体膜10a、10b、10cを励起し、発生した可視光を前面基板1の透明電極3a、3bを透して見る構造となっている(反射型)。
【0005】
近年、回路基板やディスプレイにおけるパターン加工において高密度化、高精細化の要求が高まっており、それに伴って材料、パターン加工技術にも、高い信頼性で高精細なパターン形成が求められている。特に、プラズマディスプレイパネルの隔壁形成には、ガラスなどの無機成分比の高い組成物を高精細かつ高アスペクト比でのパターン加工が望まれている。
【0006】
従来のPDP隔壁のパターン形成方法としては、スクリーン印刷法、サンドブラスト法、リフトオフ法(ドライフィルム埋め込み法ともいう)等種々の方法が知られている。
しかしながら、スクリーン印刷は、熟練度、印刷時に於ける掠れや滲み、スクリーンの伸縮に起因する位置合わせ精度等の問題があり、歩留まりが低い。しかも、一回の印刷で得られる膜厚に限界があるため、高アスペクト比の隔壁を形成するためには多数回の重ね合わせ印刷が必要になり、作業性が悪いという問題がある。
【0007】
そこで、スクリーン印刷法に代わりうる隔壁形成方法として、フォトリソグラフィー法が提案されている(特開平2−165538号参照)。しかし、感光性ペーストの感度や解像度が低いために、スクリーン印刷法と同様に、高アスペクト比の厚みのあるパターンを得るには複数回の加工工程(印刷・露光・現像)を必要とし、工程が長くなる問題があった。すなわち、感光性組成物は、比較的に薄い皮膜を形成する場合には問題はないが、皮膜厚さが厚くなると、露光条件によっては、露光の際の光硬化深度の不足により現像後に解像性不良が生じたり、また焼成時にパターンのよれや線幅収縮、反り等の問題が発生する場合がある。特に、隔壁パターンや導体パターン、誘電体パターンなどの焼成物パターンの形成に用いられる感光性ペースト組成物は、粒径の極めて小さいガラス微粒子や金属微粒子等の無機粉体を極めて多量に含有しているため、露光の際に光の透過性が悪く、そのため光硬化不充分となり、また光硬化むらも生じ易くなり、このような現象は、皮膜厚さが厚くなる程、また皮膜の深部になる程顕われ易い。従って、厚みのあるパターン形成のためには、上記工程を繰り返し行なう必要があり、作業性や精度等の点で問題があった。
【0008】
一方、サンドブラスト法は、ガラスペーストを基板全面に所定厚みに塗布した後、その上に耐ブラスト性を有する感光性ドライフィルムを重ね合わせ、次いで該感光性フィルムを隔壁形状にパターンニングした後、研磨粉を噴きつけてフィルムで被覆されていないガラスペースト部分を削り取る方法である。この方法では、高精細な隔壁を形成することは可能であるが、大量の研削粉が出るために作業環境が悪化すると共に、歩留まりが低下する問題がある。また、大画面にスケールアップすると、全面均一に同一寸法の隔壁を形成することが難しくなり、パネル化した際の画質低下や駆動マージンが得難くなるなどの問題が生じてくる。
【0009】
リフトオフ法では、用いる感光性ドライフィルムが200μm程度の膜厚でも対角40インチクラスの大画面で均一な寸法でパターンニングすることが容易であり、この特色をパネル製造に役立てることができる。
リフトオフ法による隔壁形成においては、まず、電極などの下部部材を形成した透明ガラス基板上に、所定厚みの感光性ドライフィルムをラミネートした後、所定の隔壁形状パターンを有するフォトマスクを重ね合わせ、しかる後、露光、現像を行ない、フォトマスクを通して露光されなかった感光性フィルムの部分を除去して溝部を形成する。次いで、上記の露光、現像によって形成された感光性フィルムの溝部に、ガラスペーストを埋め込むように塗布し、これを乾燥し、加熱硬化させた後に感光性フィルムの除去とガラスペーストの焼成を行ない、隔壁を形成するものである。この方法で形成した隔壁は、前述したスクリーン印刷法やサンドブラスト法と比較して寸法安定性に優れるため、高精細なPDP用の隔壁を高い歩留まりで製造できる方法として注目されている。
【0010】
しかし、リフトオフ法では、一般に熱硬化に先立って、感光性フィルムの溝部内へのガラスペーストの埋め込み、減圧下での脱泡、及び乾燥が行なわれるが、この脱泡や、乾燥工程における溶剤成分の揮発によりガラスペーストが沈み込むため、埋め込み−脱泡−乾燥のサイクルを数回繰り返す必要があり、工程の複雑化につながり、生産性を下げる要因の一つになっている。その後さらに、硬化を目的とした加熱処理を行ない、さらに感光性フィルムを剥離剤により剥離した後、焼成を目的とした高温加熱が行なわれる。このように多数の加熱工程を必要とするため、生産工程が複雑化すると共にエネルギー消費が大きくなり、生産コストを上げる要因となっている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記したような従来技術の問題点を解決すべくなされたものであり、特に、高アスペクト比かつ高精度のパターン加工を可能にする感光性ペースト組成物を提供することを目的とする。
また、本発明は、上記特性に加え、優れた光硬化深度を示す感光性ペースト組成物を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、上記感光性ペースト組成物を用いて、PDPの所望の焼成物パターンを形成したパネル及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明によれば、(A)無機微粒子、(B)光重合性化合物を含む有機成分、及び(C)ビスアシルホスフィンオキシド系光重合開始剤を含有することを特徴とする焼成物パターン形成用感光性ペースト組成物が提供される。
【0013】
さらに本発明によれば、前記のような感光性ペースト組成物を用いて隔壁パターン、誘導体パターン、電極パターン、ブラックマトリックスパターンなどの所望の焼成物パターンを形成したプラズマディスプレイパネル(PDP)が提供される。
その方法は、前記感光性ペースト組成物を用いたリフトオフ法又はフォトリソグラフィー法によりパターン形成後、焼成する工程を含むことを特徴としている。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明に係る感光性ペースト組成物は、多量の無機微粒子成分と、光重合性化合物を含む有機成分を主成分としており、感光性有機成分の光硬化によりパターンを形成した後に焼成を行ない、無機物の焼成物パターンを形成するものである。
本発明者らは、前記したような光硬化性、生産性等の問題は、多量の無機微粒子成分を含む感光性ペースト組成物中に光重合開始剤として(C)ビスアシルホスフィンオキシド系光重合開始剤を添加することによって大幅に改善されることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明で用いるビスアシルホスフィンオキシド系光重合開始剤(C)は、従来一般的に用いられるアセトフェノン系、ベンゾフェノン系、ベンゾイン系、アミノケトン系などの光重合開始剤を用いた場合と比較して、照射された活性エネルギー線に対して高感度に反応し、光重合性化合物の光重合速度が大きく、そのため光硬化深度が大きくなり、解像性が向上することを見出した。そのため、感光性ペースト組成物の光硬化性が大幅に向上し、厚膜であっても形成された皮膜の深部に至るまで光硬化が充分に進行でき、焼成の際の反りや線幅収縮が生じ難く、高アスペクト比かつ高精度のパターン加工が可能となる。また、同一膜厚の場合には従来一般的に用いられる光重合開始剤を用いた場合よりも露光量を少なくすることができ、省エネルギー化を実現することができる。
【0015】
前記のように、本発明に係る感光性ペースト組成物は、(A)無機微粒子、(B)光重合性化合物を含む有機成分、及び(C)ビスアシルホスフィンオキシド系光重合開始剤を必須成分として含有しているが、上記(A)成分及び(B)成分の内容は、所望の焼成物パターンによって異なり、またパターン形成方法によっても異なる。
まず、前記(A)成分の無機微粒子としては、隔壁パターン及び誘電体パターンの形成の場合にはガラス微粒子が用いられ、ブラックマトリックスパターンの場合にはガラス微粒子と黒色顔料が用いられる。一方、電極パターン形成の場合には、導電性粉末(導電性金属粉又は/及び金属酸化物)が用いられるが、後述するように焼成性を向上させるために適量のガラス微粒子を併用することが好ましく、また黒色電極パターンを形成する場合にはさらに黒色顔料も用いられる。その他、所望に応じて骨材(無機フィラー)を感光性ペースト組成物に添加できる。
【0016】
次に、前記(B)成分の「光重合性化合物を含む有機成分」とは、光重合性成分を必須成分として含むことを意味している。光重合性成分としては、後述するような(B−1)感光性モノマー、オリゴマー及び/又はポリマー、(B−3)カルボキシル基含有感光性樹脂(オリゴマーもしくはポリマー)の他、感光性バインダー(感光性プレポリマー)が挙げられる。
任意の有機成分としては、組成物のペースト化に有用な溶剤や分散剤がある。分散剤を用いた場合、有機溶剤を用いることなく容易にペースト化可能なため、無溶剤型ペーストに組成できるという利点が得られる。その他の任意の有機成分としては、バインダー、前記(C)成分以外の他の光重合開始剤、光増感剤、安定剤、消泡・レベリング剤、シランカップリング剤、酸化防止剤などが挙げられる。
【0017】
また、パターン形成方法としてリフトオフ法を採用する場合には、現像工程が不要であるため、光重合性成分や有機バインダーとして、後述するようなカルボキシル基を有するものを用いる必要はない。但し、カルボキシル基を有する光重合性成分や有機バインダーを用いることは何ら差し支えない。しかしながら、パターン形成にフォトリソグラフィー法を採用し、しかもアルカリ水溶液により現像を行なう場合には、光重合性成分として用いる感光性樹脂(オリゴマーもしくはポリマー)にはカルボキシル基を有するものを用いるか、あるいは有機バインダーとしてはアルカリ可溶性バインダーを用いるか、いずれかの対処が必要となる。
【0018】
以下、本発明の感光性ペースト組成物の各成分について説明する。
前記無機微粒子(A)におけるガラス微粒子としては、ガラス転移点(Tg)300〜500℃、ガラス軟化点(Ts)400〜600℃を有するもの、例えば酸化鉛、酸化ビスマス、又は酸化亜鉛を主成分とするものが好適に使用できる。また、解像度の点からは、平均粒径10μm以下のガラス微粒子が好ましい。
ガラス微粒子の配合量は、ガラス微粒子以外のペースト中の成分の合計量を100重量部としたときに50〜2,000重量部となる割合が適当である。
【0019】
酸化鉛を主成分とするガラス微粒子の好ましい例としては、酸化物基準の重量%で、PbOが48〜82%、B23が0.5〜22%、SiO2が3〜32%、Al23が0〜12%、BaOが0〜10%、ZnOが0〜15%、TiO2が0〜2.5%、Bi23が0〜25%の組成を有し、軟化点が420〜590℃である非結晶性フリットが挙げられる。
【0020】
酸化ビスマスを主成分とするガラス微粒子の好ましい例としては、酸化物基準の重量%で、Bi23が35〜88%、B23が5〜30%、SiO2が0〜20%、Al23が0〜5%、BaOが1〜25%、ZnOが1〜20%の組成を有し、軟化点が420〜590℃である非結晶性フリットが挙げられる。
【0021】
酸化亜鉛を主成分とするガラス微粒子の好ましい例としては、酸化物基準の重量%で、ZnOが25〜60%、K2Oが2〜15%、B23が25〜45%、SiO2が1〜7%、Al23が0〜10%、BaOが0〜20%、MgOが0〜10%の組成を有し、軟化点が420〜590℃である非結晶性フリットが挙げられる。
【0022】
前記無機微粒子(A)における無機フィラーとしては、アルミナ、シリカ、ジルコン、酸化チタンなど、隔壁等の焼成物パターン内部の緻密性向上に寄与できるものは全て用いることができる。つまり、ガラス成分は焼成時に収縮するが、無機フィラーの配合量によって収縮率と内部緻密性を調整することができる。すなわち、前記ガラス微粒子100重量部当たり無機フィラーを0.1〜50重量部配合することによって、緻密で収縮率の小さい隔壁等の焼成物パターンを得ることができる。この際、無機フィラーの配合量が上記範囲よりも過剰になると基板に対する接着性が劣るようになるので好ましくない。
【0023】
前記無機微粒子(A)における黒色顔料としては、焼成物パターンに黒色が求められる場合に使用され、Fe、Co、Ni、Cu、Mn、Al等の1種又は2種類以上の金属酸化物からなる黒色顔料を添加することができる。
黒色顔料の配合量としては、前記ガラス微粒子100重量部当り10〜100重量部が適当である。
【0024】
前記無機微粒子(A)における導電性金属粉又は金属酸化物としては、比抵抗値が1×103Ω・cm以下の導電性粉末であれば幅広く用いることができ、銀(Ag)、金(Au)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、錫(Sn)、鉛(Pb)、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)などの単体とその合金の他、酸化錫(SnO2)、酸化インジウム(In23)、ITO(Indium Tin Oxide)、酸化ルテニウム(RuO2)などを用いることができる。これらは単独で又は2種以上の混合粉として用いることができる。
【0025】
上記導電性金属粉又は金属酸化物の形状は球状、フレーク状、デンドライト状など種々のものを用いることができるが、光特性、分散性を考慮すると、球状のものを用いることが好ましい。また、平均粒径としては、解像度の点から20μm以下のもの、好ましくは5μm以下のものを用いることが好ましい。また、導電性金属粉の酸化防止、組成物内での分散性向上、現像性の安定化のため、特にAg、Ni、Alについては脂肪酸による処理を行うことが好ましい。脂肪酸としては、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ステアリン酸等が挙げられる。
【0026】
導電性金属粉又は金属酸化物の配合量は、導電性金属粉又は金属酸化物以外のペースト中の成分の合計量を100重量部としたときに50〜2,000重量部となる割合が適当である。導電性金属粉又は金属酸化物の配合量が50重量部未満の場合、導体回路の線幅収縮や断線が生じ易くなり、一方、2,000重量部を超えて多量に配合すると、光の透過を損ない、組成物の充分な光硬化性が得られ難くなる。
さらに焼成後の皮膜の強度、基板への密着性向上のために、前記したようなガラス微粒子を金属粉100重量部当たり1〜30重量部の割合で添加することができる。
【0027】
光重合性化合物を含む有機成分(B)としては、(B−1)1分子中に少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を有する感光性モノマー、オリゴマー及び/又はポリマー、(B−2)カルボキシル基を有する重量平均分子量1,000〜100,000及び酸価20〜150mgKOH/gのオリゴマーもしくはポリマー、(B−3)カルボキシル基とエチレン性不飽和基を有する重量平均分子量1,000〜100,000、酸価20〜150mgKOH/g、かつその二重結合当量が350〜2,000のオリゴマーもしくはポリマーのような有機成分の他、バインダー、光重合開始剤、光増感剤、有機溶剤、安定剤、シリコーン系及びアクリル系の消泡・レベリング剤、シランカップリング剤、酸化防止剤のようなペースト中の有機成分を含み、これらは、目的とする光硬化パターン形成方法の必要に応じて任意に選択することができる。
【0028】
前記(B−1)1分子中に少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を有する感光性モノマー、オリゴマー及び/又はポリマーの代表的な例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;エチレングリコール、メトキシテトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコールのモノ又はジ(メタ)アクリレート類;N、N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類;N、N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノアルキル(メタ)アクリレート類;ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、トリスヒドロキシエチルイソシアヌレート等の多価アルコール又はこれらのエチレンオキサイド付加物あるいはプロピレンオキサイド付加物の多価(メタ)アクリレート類;フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのポリエトキシジ(メタ)アクリレート等のフェノール類のエチレンオキサイド付加物あるいはプロピレンオキサイド付加物の(メタ)アクリレート類;グリセリンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレートなどのグリシジルエーテルの(メタ)アクリレート類;及びメラミン(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート類などが挙げられる。なお、本明細書中において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート、メタクリレート及びそれらの混合物を総称する用語であり、他の類似の表現についても同様である。
【0029】
前記(B−2)及び(B−3)のオリゴマーもしくはポリマーとは、エチレン性不飽和二重結合を有さないカルボキシル基含有樹脂及びそれ自体がエチレン性不飽和二重結合を有するカルボキシル基含有感光性樹脂である。好適に使用できる樹脂(オリゴマー及びポリマーのいずれでもよい)としては、以下のようなものが挙げられる。
(1)(a)不飽和カルボン酸と(b)不飽和二重結合を有する化合物の共重合体に、カルボキシル基と反応する官能基を有するエチレン性不飽和化合物を反応させ、エチレン性不飽和基をペンダントとしたカルボキシル基含有感光性樹脂(2)(c)グリシジル基と不飽和二重結合を有する化合物と(b)不飽和二重結合を有する化合物の共重合体に、(a)不飽和カルボン酸を反応させ、生成した2級の水酸基に(d)多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂
(3)(e)不飽和二重結合を有する酸無水物と(b)不飽和二重結合を有する化合物の共重合体に、(f)水酸基と不飽和二重結合を有する化合物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂
(4)(g)エポキシ化合物に(h)不飽和モノカルボン酸を反応させ、生成した2級の水酸基に(d)多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂
(5)(b)不飽和二重結合を有する化合物とグリシジル(メタ)アクリレートの共重合体のグリシジル基に、(i)1分子中に1つのカルボキシル基を有し、エチレン性不飽和結合を持たない有機酸を反応させ、生成した2級の水酸基に(d)多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有樹脂
(6)(j)水酸基含有ポリマーに(d)多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有樹脂
(7)(j)水酸基含有ポリマーに(d)多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有樹脂に、(c)グリシジル基と不飽和二重結合を有する化合物をさらに反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂
【0030】
前記(1)のカルボキシル基含有感光性樹脂の一例として、不飽和カルボン酸(a)と不飽和二重結合を有する化合物(b)の共重合体のカルボキシル基の一部に、充分な光硬化深度が得られる程度にまで光硬化性を向上させる割合で、例えばグリシジル(メタ)アクリレートを反応させ、該グリシジル(メタ)アクリレートの不飽和二重結合を側鎖に導入した樹脂がある。上記共重合体の一方のモノマー成分である不飽和カルボン酸(a)の有するカルボキシル基の一部は未反応のまま残存するため、得られるカルボキシル基含有感光性樹脂は、アルカリ水溶液に対して可溶性である。そのため、このような樹脂を含有する感光性ペースト組成物から形成した皮膜は、選択的露光後にアルカリ水溶液により安定した現像が可能となる。
【0031】
前記不飽和カルボン酸(a)の具体的な例としては、アクリル酸、メタアクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸、又はこれらの酸無水物、さらには、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水ピロメリット酸などの酸無水物と2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類などの水酸基を有する不飽和化合物との反応生成物等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でもアクリル酸及び/又はメタアクリル酸が好ましい。
【0032】
前記不飽和二重結合を有する化合物(b)の具体例としては、スチレン、クロロスチレン、α−メチルスチレン;置換基としてメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、アミル、2−エチルヘキシル、オクチル、カプリル、ノニル、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、シクロヘキシル、イソボルニル、メトキシエチル、ブトキシエチル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル等を有する(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールのモノ(メタ)アクリレート又はポリプロピレングリコールのモノ(メタ)アクリレート;酢酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド、N−ヒドロキシメチルメタクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−エトキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、アクリロニトリル、ビニルエーテル類、もしくはイソブチレン等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの化合物の中でも、好ましくは、スチレン、α−メチルスチレン、低級アルキル(メタ)アクリレート、イソブチレンが用いられ、特に樹脂の熱分解性の点からはメチルメタアクリレートが好ましい。
【0033】
エチレン性不飽和基を有するペンダントとしては、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基などがある。このようなペンダントを前記共重合体に付与させる方法は、共重合体のカルボキシル基に、グリシジル基を有するエチレン性不飽和化合物や(メタ)アクリル酸クロライドを付加反応させる方法が一般的である。
ここでいうグリシジル基を有するエチレン性不飽和化合物や(メタ)アクリル酸クロライドとしては、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、α−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、α−エチルグリシジル(メタ)アクリレート、クロトン酸グリシジルエーテル、イソクロトン酸グリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸クロライド、(メタ)アリルクロライドや、下記一般式(1)〜(4)で示される化合物などが挙げられる。これらの中でもグリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。
【化1】
Figure 0004180734
【0034】
前記(2)のカルボキシル基含有感光性樹脂は、(c)分子中にグリシジル基と不飽和二重結合を有する化合物と前記(b)不飽和二重結合を有する化合物の共重合体のエポキシ基に、充分な光硬化深度が得られる程度にまで光硬化性を向上させるために、前記(a)不飽和カルボン酸のカルボキシル基を反応させ、該不飽和カルボン酸の不飽和二重結合を側鎖に導入すると共に、上記付加反応で生成した2級の水酸基に(d)多塩基酸無水物をエステル化反応させ、側鎖にカルボキシル基を導入した樹脂である。
【0035】
上記分子中にグリシジル基と不飽和二重結合を含有する化合物(c)の具体例としては、グリシジル(メタ)アクリレート、α−メチルグリシジル(メタ)アクリレートや、前記式(1)〜(4)で示される化合物などが挙げられ、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
一方、多塩基酸無水物(d)の具体例としては、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水アジピン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水イタコン酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0036】
前記(3)のカルボキシル基含有感光性樹脂は、(e)不飽和二重結合を有する酸無水物と前記(b)不飽和二重結合を有する化合物の共重合体の酸無水物基の一部に、充分な光硬化深度が得られる程度にまで光硬化性を向上させるために、(f)水酸基と不飽和二重結合を有する化合物の水酸基を反応させてハーフエステルとし、該化合物(f)の不飽和二重結合を側鎖に導入した樹脂である。
【0037】
前記不飽和二重結合を有する酸無水物(e)の具体的な例としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、さらには無水ピロメリット酸と2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類などの水酸基を有する不飽和化合物との部分反応生成物等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、ポリマーを安定して合成できる無水マレイン酸が好ましい。
【0038】
水酸基と不飽和二重結合を有する化合物(f)の具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリル酸にカプロラクトンを反応させたモノマー、(メタ)アクリル酸にポリカプロラクトンオリゴマーを反応させたマクロモノマー等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
前記したようなカルボキシル基含有感光性樹脂(1)〜(3)は、光硬化性、焼成性に優れると共に、組成物の保存安定性に寄与する。
【0039】
前記(4)のカルボキシル基含有感光性樹脂は、(g)エポキシ化合物のエポキシ基に、充分な光硬化深度が得られる程度にまで光硬化性を向上させるために、(h)不飽和モノカルボン酸のカルボキシル基を反応させ、例えばエポキシアクリレートを生成させると共に、上記付加反応で生成した2級の水酸基に前記(d)多塩基酸無水物をエステル化反応させ、側鎖にカルボキシル基を導入した樹脂である。このようなカルボキシル基含有感光性樹脂は、光硬化性に優れると共に、バックボーンポリマーのエポキシアクリレートは疎水性を示す。従って、該樹脂を含有する感光性ペースト組成物を用いた場合、エポキシアクリレートの疎水性が有利に利用され、光硬化しにくいパターン深部の耐現像性が向上する。その結果、現像及び露光工程における条件設定の余裕度が広がり、量産時の歩留まりを向上できると共に、焼成後のパターンエッジのカール発生を大幅に低減でき、高アスペクト比、高精細なパターンを形成できる。
なお、焼成時の熱により解重合し易いアクリル系共重合樹脂を上記カルボキシル基含有感光性樹脂と混合し、それによって感光性ペースト組成物の焼結温度を下げ、また、使用する全樹脂中の二重結合濃度を調整することもできる。
【0040】
前記エポキシ化合物(g)としては、全てのエポキシ樹脂が使用可能であるが、代表的な例としては、ビスフェノールA型、水添ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型、ビスフェノールAのノボラック型、ビフェノール型、ビキシレノール型、N−グリシジル型等の公知慣用のエポキシ化合物や、市販品として好適なものとしてはダイセル社製EHPE−3150等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0041】
不飽和モノカルボン酸(h)の具体例としては、アクリル酸、メタアクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、α−シアノケイ皮酸、β−スチリルアクリル酸、β−フルフリルアクリル酸等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0042】
前記エポキシ化合物(g)と不飽和モノカルボン酸(h)の反応は、エポキシ基の当量数/カルボキシル基の当量数が0.8〜1.2、好ましくは0.9〜1.05となる割合で行うことが好ましい。エポキシ基の当量数/カルボキシル基の当量数が0.8未満では、不飽和モノカルボン酸が残るため臭気の問題があり、一方、上記当量数が1.2を越えた場合、エポキシ基が多く残るため、多塩基酸無水物を反応させる段階でゲル化し易くなるので好ましくない。また、生成した2級の水酸基に対する多塩基酸無水物の反応比率は、最終的に得られる樹脂の酸価が好ましくは30〜160mgKOH/gの範囲内となるように調整する。一般的には、エポキシ化合物と不飽和モノカルボン酸の反応で生成する水酸基1当量に対し、多塩基酸無水物の当量が0.3以上、好ましくは0.5以上である。
【0043】
前記(5)のカルボキシル基含有樹脂は、前記(b)不飽和二重結合を有し、水酸基や酸性基を持たないアルキル(メタ)アクリレート、置換もしくは非置換スチレンなどの化合物とグリシジル(メタ)アクリレートを主鎖とする共重合体のグリシジル基に、(i)1分子中に1つのカルボキシル基を有し、エチレン性不飽和結合を持たない有機酸を反応させ、生成した2級のOH基に前記(d)多塩基酸無水物を付加反応させて得られる樹脂である。この樹脂におけるカルボキシル基の導入は、上記共重合体のペンダントのグリシジル基に有機酸を反応させることによって生成し、かつ主鎖近傍に位置する2級の水酸基に、多塩基酸無水物を付加反応させて行なわれるものであるため、カルボキシル基は側鎖の主鎖近傍部位に結合しており、主鎖と側鎖の立体的障害により塩基性のガラス微粒子や導電性金属粉との接触が制御される。その結果、ガラス微粒子、導電性金属粉と共にこのようなアルカリ可溶性のカルボキシル基含有樹脂を含有する組成物は、優れた保存安定性を示し、保存中に粘度の変化やゲル化を生ずることは殆どない。
【0044】
前記1分子中に1つのカルボキシル基を有し、エチレン性不飽和二重結合を持たない有機酸(i)としては、酢酸、プロピオン酸、n−酪酸、イソ−酪酸、n−ジメチル酪酸、エチル酪酸、ヘキサン酸、2−メチルペンタン酸、2−エチルペンタン酸、ヘプタン酸、2−メチルヘプタン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、n−ヘプタデカン酸など、炭素数2〜17のアルキルカルボン酸、あるいは置換もしくは非置換安息香酸、(R)、(S)−2−フェニルプロピオン酸、(R)−フェニルイソプロピオン酸、2−フェニル酪酸、4−フェニル酪酸等の芳香族基含有アルキルカルボン酸などが挙げられ、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0045】
前記(6)のカルボキシル基含有樹脂は、(j)水酸基含有ポリマーに酸性度の比較的弱い前記(d)多塩基酸無水物を反応させてカルボキシル基を導入した樹脂である。このようなカルボキシル基含有樹脂は、親水性基(カルボキシル基、水酸基)を含有するため、基板に対する良好な濡れ性を示し、また高温において容易に熱分解し、これを含有する感光性ペースト組成物は乾燥、露光、現像、焼成の各工程において基板に対する安定した密着性や良好な保存安定性を示し、しかも焼成性にも優れている。
【0046】
一方、前記(7)のカルボキシル基含有感光性樹脂は、前記カルボキシル基含有樹脂(6)のカルボキシル基に、充分な光硬化深度が得られる程度にまで光硬化性を向上させる割合で、前記(c)グリシジル基と不飽和二重結合を有する化合物のエポキシ基を反応させ、該化合物(c)の不飽和二重結合を側鎖に導入した樹脂である。このようなカルボキシル基含有感光性樹脂は、光硬化性に優れ、多量の無機微粒子成分と共に配合してペースト組成物を構成しても、充分な光硬化深度を示す。また、焼成性に優れると共に、組成物の保存安定性向上に寄与する。
【0047】
前記水酸基含有ポリマー(j)としては、オレフィン系水酸基含有ポリマー、アクリル系ポリオール、ゴム系ポリオール、ポリビニルアセタール系樹脂、スチレンアリルアルコール系樹脂、セルロース系樹脂などを用いることができる。
オレフィン系水酸基含有ポリマーとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン等を主鎖とし、主鎖又は側鎖に水酸基を有する樹脂を用いることができ、また、アリルアルコールとエチレン又はブタジエンの共重合物などを用いることができる。
【0048】
アクリル系ポリオールの具体例としては、三菱レイヨン(株)製のLR2507,LR2516,LR257,LR989,LR2536,LR532,LR598,LR566,LR286,LR511,LR2528等が挙げられ、ゴム系ポリオールの具体例としては三井石油化学(株)製のユニストールP901,クラレ(株)製のクラプレンLIR−506,TL−20,TH−1,TH−21,TH−31,クラポールP−510,クラポールP−15610,クラポールP−5010等が挙げられ、また、スチレンアリルアルコール樹脂の具体例としてはモンサント(株)製のRJ100,RJ101,アーコケミカル(株)製のSAA100,SAA101等が挙げられる。
【0049】
ポリビニルアセタール系樹脂としては、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルホルマール等を用いることができ、積水化学工業(株)製のエスレックBMS、エスレックBLS、エスレックBHS、エスレックBLSH、エスレックBMSH等が挙げられる。
【0050】
セルロース系樹脂としては、セルロース、セルロースの水酸基の一部をエステル化したアセチルセルロース、ニトロセルロースをはじめ、プロピオン酸、酪酸、リン酸、硫酸、フタル酸等の酸のセルロースエステルが挙げられる。また酸を混合した混合エステルを用いることができる。さらにセルロースエーテルとして、セルロースの水酸基の一部をエーテル化したメチルセルロース、エチルセルロース、ベンジルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。
【0051】
使用する水酸基含有ポリマー(j)としては、上記以外のいかなるポリマーも使用可能であるが、水酸基価が50〜250mgKOH/gのものが好ましい。なお、信越化学工業(株)製のヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、セルロースアセテートヘキサヒドロフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースヘキサヒドロフタレート等は、そのままカルボキシル基含有樹脂(6)として使用できる。
【0052】
また、上記カルボキシル基含有感光性樹脂及びカルボキシル基含有樹脂としては、それぞれ重量平均分子量1,000〜100,000,好ましくは5,000〜50,000,及び酸価20〜150mgKOH/g、好ましくは40〜100mgKOH/gを有し、かつ、カルボキシル基含有感光性樹脂の場合、その二重結合当量が350〜2,000、好ましくは400〜1,500のものを好適に用いることができる。
上記樹脂の分子量が1,000より低い場合、現像時の皮膜の密着性に悪影響を与え、一方、100,000よりも高い場合、現像不良を生じ易いので好ましくない。また酸価が20mgKOH/gより低い場合、アルカリ水溶液に対する溶解性が不充分で現像不良を生じ易く、一方、150mgKOH/gより高い場合、現像時に皮膜の密着性の劣化や光硬化部(露光部)の溶解が生じるので好ましくない。
さらに、感光性樹脂の二重結合当量が350よりも小さい場合、焼成時に残渣が残り易くなり、一方、2,000よりも大きい場合、現像時の作業余裕度が狭く、また光硬化時に高露光量を必要とするので好ましくない。
【0053】
前記したような(B−1)(メタ)アクリロイル基を有する感光性モノマー、オリゴマー及び/又はポリマー、(B−2)カルボキシル基含有樹脂及び(B−3)カルボキシル基含有感光性樹脂は、単独で又は混合して用いてもよいが、いずれの場合でもこれらは合計で組成物全量の0〜50重量%の割合で配合することが好ましい。特に、上記(B−1)成分及び(B−3)成分は、合計で組成物全量の5重量%以上配合することが好ましい。これら感光性成分の配合量が上記範囲よりも少な過ぎる場合、充分な光硬化性及び光硬化深度が得られ難く、選択的露光、現像によるパターンニングが困難となる。一方、上記範囲よりも多すぎると、焼成時のパターンのよれや線幅収縮を生じ易くなるので好ましくない。
【0054】
光重合性化合物を含む有機成分(B)中のバインダーとしては、ペーストの安定性や塗布作業性を向上させることを目的とし、それ自体が感光性を有するものあるいは有しないもののいずれでもよい。但し、前記した(B−1)(メタ)アクリロイル基を有する感光性モノマー、オリゴマー及び/又はポリマー並びに(B−3)カルボキシル基含有感光性樹脂のいずれも用いられていない場合、感光性のバインダーを使用することが好ましい。
感光性のバインダーとしては、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基等のエチレン性不飽和結合やプロパルギル基などの感光性基を有する従来公知の各種感光性樹脂(感光性プレポリマー)を用いることができる。
一方、感光性を有しないバインダーとしては、前記した水酸基含有ポリマー(j)や、これらの水酸基又はアミノ基にラクトンを付加したラクトン変成ポリマー、1分子中に水酸基又はアミノ基と不飽和基を併せ持つモノマーの水酸基又はアミノ基にラクトンを付加したラクトン変成モノマーの単独重合体、該ラクトン変成モノマーと他の不飽和基を有するモノマーとの共重合体等が挙げられる。
【0055】
前記ビスアシルホスフィンオキシド系光重合開始剤(C)としては、例えば、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)メチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)エチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)イソプロピルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−n−プロピルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−n−ブチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−t−ブチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−(2−メチル−プロプ−1−イル)−ブチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−(1−メチル−プロプ−1−イル)−ブチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)シクロヘキシルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−n−ペンチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−n−ヘキシルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−(2−エチル−ヘキシ−1−イル)ホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−n−オクチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−(2,4、6−トリメチル−ペントー1−イル)ホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−n−デシルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−(4−メチルフェニル)ホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメチルベンゾイル)メチルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメチルベンゾイル)エチルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメチルベンゾイル)−i−プロピルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメチルベンゾイル)−n−プロピルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメチルベンゾイル)−(2,4,4−トリメチル−ペント−1−イル)ホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメチルベンゾイル)−(2−メチル−プロプ−1−イル)ホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメチルベンゾイル)−n−ブチルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメチルベンゾイル)−t−ブチルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメチルベンゾイル)−(1−メチル−プロプ−1−イル)ホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメチルベンゾイル)シクロヘキシルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメチルベンゾイル)−n−ペンチルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメチルベンゾイル)−n−ヘキシルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメチルベンゾイル)−(2−エチル−ヘキシ−1−イル)ホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメチルベンゾイル)−n−オクチルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメチルベンゾイル)−(2,5−ジメチルフェニル)ホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメチルベンゾイル)−n−オクチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリエチルベンゾイル)メチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリエチルベンゾイル)エチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリエチルベンゾイル)−i−プロピルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリエチルベンゾイル)−n−プロピルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリエチルベンゾイル)−n−ブチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリエチルベンゾイル)−t−ブチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリエチルベンゾイル)−(2−メチル−プロプ−1−イル)ホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリエチルベンゾイル)−(1−メチル−プロプ−1−イル)ホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリエチルベンゾイル)シクロヘキシルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリエチルベンゾイル)−n−ペンチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリエチルベンゾイル)−n−ヘキシルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリエチルベンゾイル)−(2−エチル−ヘキシ−1−イル)ホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリエチルベンゾイル)−n−オクチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリエチルベンゾイル)−(2,4,4−トリメチル−ペント−1−イル)ホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリエチルベンゾイル)−n−ドデシルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリエチルベンゾイル)−n−フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジエチルベンゾイル)−(2,4,4−トリメチル−ペント−1−イル)ホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジエチルベンゾイル)−(2−メチル−プロプ−1−イル)ホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジエチルベンゾイル)−n−ブチルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジエチルベンゾイル)−t−ブチルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジエチルベンゾイル)−(1−メチル−プロプ−1−イル)ホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジエチルベンゾイル)シクロヘキシルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジエチルベンゾイル)−n−ペンチルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジエチルベンゾイル)−n−ヘキシルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジエチルベンゾイル)−(2−エチル−ヘキシ−1−イル)ホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジエチルベンゾイル)−n−オクチルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジエチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリイソプロピルベンゾイル)−n−ブチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリイソプロピルベンゾイル)−t−ブチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリイソプロピルベンゾイル)−(2−メチル−プロプ−1−イル)ホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリイソプロピルベンゾイル)−(1−メチル−プロプ−1−イル)ホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリイソプロピルベンゾイル)シクロヘキシルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリイソプロピルベンゾイル)−n−ペンチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリイソプロピルベンゾイル)−n−ヘキシルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリイソプロピルベンゾイル)−(2−エチル−ヘキシ−1−イル)ホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリイソプロピルベンゾイル)−n−オクチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリイソプロピルベンゾイル)−(2,4,4−トリメチル−ペント−1−イル)ホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリイソプロピルベンゾイル)−n−デシルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリイソプロピルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリ−n−プロピルベンゾイル)−(2−メチル−プロプ−1−イル)ホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリ−n−プロピルベンゾイル)−n−ブチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリ−(1−メチル−プロプ−1−イル)ベンゾイル)−n−オクチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリ−(1−メチル−プロプ−1−イル)ベンゾイル)−n−ブチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリ−(2−メチル−プロプ−1−イル)ベンゾイル)−(2,4,4−トリメチル−ペント−1−イル)ホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリ−(2−メチル−プロプ−1−イル)ベンゾイル)−(2メチル−プロプ−1−イル)ホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリ−t−ブチル−ベンゾイル)−n−ブチルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメチル−4−n−ブチルベンゾイル)−(2メチル−プロプ−1−イル)ホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメチル−4−n−ブチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−(2,5−ジメチルフェニル)ホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメチル−4−n−ブチルベンゾイル)−(2,5−ジメチルフェニル)ホンスフィンオキシドなどのビスアシルホスフィンオキシド系光重合開始剤を挙げることができる。
これらのビスアシルホスフィンオキシド系光重合開始剤は、単独でも、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0056】
上記ビスアシルホスフィンオキシド系光重合開始剤(C)の配合量は、ペースト中の感光成分100重量部当たり、通常0.01〜20重量部が適当である。0.01重量部より少ない場合には、硬化が充分に進行せず、一方、20重量部より多い場合には、ラジカルの発生量が極めて多くなりすぎ、光硬化(露光)の工程において硬化むらが生じ易くなる。
【0057】
本発明の感光性ペースト組成物において、上記ビスアシルホスフィンオキシド系光重合開始剤は、従来公知の光重合開始剤の1種又は2種以上と組み合わせあるいはさらに光増感剤と組み合わせて用いることができる。
従来公知の光重合開始剤の代表的なものの具体例としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインとベンゾインアルキルエーテル類、アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン等のアセトフェノン類、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1等のアミノアセトフェノン類、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン等のアントラキノン類、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類、アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類、ベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、又はキサントン類、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルフォスフィネイト等のフォスフィンオキサイド類、各種パーオキサイド類、ジメチルチタノセン、ジフェニルチタノセン、ビス(ペンタフルオロフェニル)チタノセン、ビス(η5−シクロペンタジエニル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピル−1−イル)フェニル)チタニウム等の各種チタノセン系光重合開始剤類、フェロセニウム塩系開始剤類、アルミネート錯体系開始剤類、ハロゲン系開始剤類、ビスイミダゾール系開始剤類、過酸化エステル系開始剤類、ケトクマリン系開始剤類、アクリジン系開始剤類などが挙げられ、光増感剤の代表例としてはロイコ染料、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等の三級アミン類などが挙げられる。これらの光重合開始剤の配合量(光増感剤との組合せの場合には合計量)は、ペースト中の感光性成分100重量部当たり20重量部以下、好ましくは0.1〜20重量部が適当である。
【0058】
本発明の感光性ペースト組成物は、組成物を希釈することによりペースト化し、容易に塗布工程を可能とし、次いで乾燥させて造膜し、接触露光を可能とさせるために、適宜の量の有機溶剤を配合することができる。具体的には、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類;セロソルブ、メチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどの酢酸エステル類;エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルコール類;オクタン、デカンなどの脂肪族炭化水素;石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサなどの石油系溶剤が挙げられ、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0059】
また、本発明の感光性ペースト組成物は、組成物の保存安定性向上のため、ガラス微粒子や導電性金属粉の成分である金属、あるいは酸化物粉末との錯体化あるいは塩形成などの効果のある化合物を添加することができる。具体的には無機酸、有機酸、リン酸化合物(無機リン酸、有機リン酸)などの酸が挙げられる。このような安定剤は、前記無機微粒子(A)100重量部当たり5重量部以下、好ましくは0.1〜5重量部の割合で添加することが好ましい。
無機酸としては、硝酸、硫酸、塩酸、ホウ酸等が挙げられる。
また、有機酸としては、ギ酸、酢酸、アセト酢酸、クエン酸、イソクエン酸、アニス酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、アゼライン酸、カプロン酸、イソカプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、ウンデカン酸、ラウリル酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸(ベヘニン酸)、シュウ酸、マロン酸、エチルマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、ピルビン酸、ピペロニル酸、ピロメリット酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、酒石酸、レブリン酸、乳酸、安息香酸、イソプロピル安息香酸、サリチル酸、イソカプロン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、アクリル酸、メタアクリル酸、チグリン酸、エチルアクリル酸、エチリデンプロピオン酸、ジメチルアクリル酸、シトロネル酸、ウンデセン酸、ウンデカン酸、オレイン酸、エライジン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、フェニル酢酸、ケイ皮酸、メチルケイ皮酸、ナフトエ酸、アビエチン酸、アセチレンジカルボン酸、アトロラクチン酸、イタコン酸、クロトン酸、ソルビン酸、バニリン酸、パルミチン酸、ヒドロキシケイ皮酸、ヒドロキシナフトエ酸、ヒドロキシ酪酸、ビフェニルジカルボン酸、フェニルケイ皮酸、フェニル酢酸、フェニルプロピオル酸、フェノキシ酢酸、プロピオル酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、ベラトルム酸、ベンジル酸、オキサロコハク酸、オキサロ酢酸、オクタン酸、没食子酸、マンデル酸、メサコン酸、メチルマロン酸、メリト酸、ラウリン酸、リシノール酸、リノール酸、リンゴ酸等が挙げられる。
【0060】
無機リン酸としては、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、オルトリン酸、二リン酸、トリポリリン酸、ホスホン酸等が挙げられる。
また、有機リン酸としては、リン酸メチル、リン酸エチル、リン酸プロピル、リン酸ブチル、リン酸フェニル、リン酸ジメチル、リン酸ジエチル、リン酸ジブチル、リン酸ジプロピル、リン酸ジフェニル、リン酸イソプロピル、リン酸ジイソプロピル、リン酸nブチル、亜リン酸メチル、亜リン酸エチル、亜リン酸プロピル、亜リン酸ブチル、亜リン酸フェニル、亜リン酸ジメチル、亜リン酸ジエチル、亜リン酸ジブチル、亜リン酸ジプロピル、亜リン酸ジフェニル、亜リン酸イソプロピル、亜リン酸ジイソプロピル、亜リン酸nブチル−2−エチルヘキシル、ヒドロキシエチリレンジホスホン酸、アデノシン三リン酸、アデノシンリン酸、モノ(2−メタクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、モノ(2−アクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、ジ(2−メタクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、ジ(2−アクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、エチルジエチルホスホノアセテート、エチルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、ブチルピロホスフェート、ブトキシエチルアシッドホスフェート、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート、オレイルアシッドホスフェート、テトラコシルアシッドホスフェート、ジエチレングリコールアシッドホスフェート、(2−ヒドロキシエチル)メタクリレートアシッドホスフェート等が挙げられる。
【0061】
その他の酸として、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ナフタリンスルホン酸、エタンスルホン酸、ナフトールスルホン酸、タウリン、メタニル酸、スルファニル酸、ナフチルアミンスルホン酸、スルホ安息香酸、スルファミン酸等のスルホン酸系の酸も用いることができる。
以上に列挙したような安定剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0062】
本発明の感光性ペースト組成物は、さらに必要に応じて、シリコーン系、アクリル系等の消泡・レベリング剤、皮膜の密着性向上のためのシランカップリング剤等の他の添加剤を配合することもできる。さらにまた、必要に応じて、導電性金属粉の酸化を防止するための公知慣用の酸化防止剤や、保存時の熱的安定性を向上させるための熱重合禁止剤を添加することもできる。
【0063】
本発明の組成物においてペースト化剤として用いられる分散剤(D)は、組成物をペースト化する際に、有機溶剤を用いなくともペースト化するために用いられるものであり、無溶剤型感光性ペースト組成物、特に無溶剤型感光性ガラスペースト組成物を可能とする。分散剤(D)としては、カルボキシル基、水酸基、酸エステルなどのガラス微粒子と親和性のある極性基を有する化合物や高分子化合物、例えばリン酸エステル類などの酸含有化合物や、酸基を含む共重合物、水酸基含有ポリカルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと酸エステルの塩などを用いることができる。市販されている分散剤で特に好適に用いることができるものとしては、Disperbyk(登録商標)−101,−103,−110,及び−111(いずれもビック・ケミー社製)が挙げられる。
このような分散剤(D)の配合量は、前記無機微粒子(A)100重量部当たり5重量部以下、好ましくは0.01〜5重量部が適当である。分散剤(D)を配合しない場合には、有機溶剤を用いないと組成物をペースト化することが困難になり、一方、上記範囲よりも過剰に分散剤を配合すればコスト増大の要因となるので好ましくない。
【0064】
次に、本発明による感光性ペースト組成物を用いたパターン形成方法の例を説明する。
まず、感光性ペースト組成物を用いたリフトオフ法による隔壁パターン形成方法を、図2を参照して説明する。図2(A)及び(B)に示すように、PDPの背面板となる透明基板11(一般にガラス基板)上に感光性フィルム12を積層し、写真法により所定のパターンの溝部13を形成する。その方法は従来通りでよく、まず図2(A)に示すように、透明基板11の表面に感光性フィルム12を貼り付けた後、所定のパターン状透孔部15を有するフォトマスク14を重ね合わせ、しかる後、露光、現像を行ない、図2(B)に示すようにフォトマスクを通して露光されなかった感光性フィルムの部分を除去する。なお、基板表面に所定パターンの電極が形成された透明基板を用いる場合、フォトマスクのパターン状透孔部が電極位置と整合するように感光性フィルム上に重ね合わせる。
【0065】
次いで、上記の露光、現像によって形成された感光性フィルム12のパターン間の溝部13に、図2(C)に示すように、適宜の方法で前記した組成の本発明の感光性ペースト組成物16を埋め込むように塗布し、好ましくは減圧下で脱泡した後、露光して光硬化させる。露光光源としては、低圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、蛍光灯、ハロゲンランプ、アルゴンイオンレーザー、ヘリウムカドミウムレーザー、ヘリウムネオンレーザー、クリプトンイオンレーザー、各種半導体レーザー、YAGレーザー、発光ダイオードなどを用いることができる。
その後、感光性フィルム12が見えるようになるまで、硬化したガラスペースト表面を研磨する(図2(D))。
【0066】
このようにして得られた基板11を、剥離剤としてアルカリ水溶液、例えば40℃、3〜5%NaOH水溶液や10wt%モノエタノールアミン水溶液などを用い、剥離剤溶液に約15〜20分浸積した後、40℃前後の水に数十秒浸積することによって、感光性フィルム12が直ちに膨潤し剥がれる。
図2(E)に示すように感光性フィルム12を剥離した基板11は、洗浄し、乾燥した後、ガラスペースト硬化物を例えば空気中又は窒素雰囲気下で約380℃〜600℃程度の温度で焼成する。また、この時、焼成工程の前段階として、約300℃〜500℃に加熱してその温度で所定時間保持し、有機成分を除去する工程を入れることが好ましい。
【0067】
このような工程により、幅30〜100μm、高さ約100〜200μmの乱れのない均一な高さの高精度のPDP隔壁パターン16aが得られる。
なお、基板上に積層し、所定パターンの溝部を形成するフィルムの材料としては、感光性フィルム(ドライフィルム)の他、液状の現像型感光性レジストを用いることができる。
上記フィルムの材料としては、感光性ペースト組成物の光硬化を経た後であってもアルカリ水溶液で容易に剥離できるものが好適に用いられる。
【0068】
前記した方法においては、感光性フィルムの除去方法として薬剤(剥離剤)により剥離させる方法を説明したが、その他に、ガラスペーストの焼成と同時に感光性フィルムを焼失させる方法も可能である。しかしながら、ガラスペーストの焼成の際に同時に感光性フィルムも焼いて除去する方法の場合、隔壁間に感光性フィルムの焼失残渣が残存して画像に黒い汚点を生ずる恐れがあり、これはPDPの品質を大きく低下させる要因となる。従って、感光性フィルムの除去方法としては、前記したように剥離剤を用いる方法が好ましい。
【0069】
次に、アルカリ現像型感光性ペースト組成物を用いたフォトリソグラフィー法による焼成物パターン形成方法を、図3を参照して説明する。まず、図3(A)に示すように、アルカリ現像型感光性ペースト組成物をスクリーン印刷、バーコーター、ブレードコーターなど適宜の塗布方法で透明基板11、例えばPDPの前面基板となるガラス板に塗布し、次いで有機溶剤を組成物中に使用する場合、指触乾燥性を得るために熱風循環式乾燥炉、遠赤外線乾燥炉等で例えば約60〜120℃で5〜40分程度乾燥させて有機溶剤を蒸発させ、タックフリーの皮膜を17を形成する。その後、図3(B)に示すように、所定の露光パターンを有するフォトマスク14を上記皮膜に重ね合わせ、選択的露光、現像を行なって所定パターンの皮膜17を形成する(図3(C))。次いで、焼成を行なって、図3(D)に示すような所定の焼成物パターン17aを形成する。
【0070】
露光工程としては、所定の露光パターンを有するネガマスクを用いた接触露光及び非接触露光が可能であるが、解像度の点からは接触露光が好ましい。露光光源としては、ハロゲンランプ、高圧水銀灯、レーザー光、メタルハライドランプ、ブラックランプ、無電極ランプなどが使用できる。
【0071】
現像工程としてはスプレー法、浸積法等が用いられる。現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、珪酸ナトリウム等の金属アルカリ水溶液や、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン水溶液、特に約1.5重量%以下の濃度の希アルカリ水溶液が好適に用いられるが、組成物中のカルボキシル基含有樹脂のカルボキシル基がケン化され、未硬化部(未露光部)が除去されればよく、上記のような現像液に限定されるものではない。また、現像後に不要な現像液の除去のため、水洗や、酸中和を行なうことが好ましい。
【0072】
焼成工程においては、現像後の基板を空気中又は窒素雰囲気下で約380〜600℃の加熱処理を行ない、所望のパターンを形成する。またこの時、焼成工程の前段階として、約300〜500℃に加熱してその温度で所定時間保持し、有機物を除去する工程を入れることが好ましい。
【0073】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明が下記実施例に限定されるものでないことはもとよりである。なお、「部」及び「%」とあるのは、特に断りがない限り全て重量基準である。
【0074】
感光性ペースト組成物の調製:
下記に示す組成比にて配合し、攪拌機により攪拌後、3本ロールミルにより練肉してペースト化を行なった。
なお、ガラス微粒子としては、PbO 60%、B23 20%、SiO2 15%、Al23 5%の組成のガラスフリットを粉砕し、線膨張係数α300=70×10-7/℃、ガラス転移点445℃、平均粒径1.6μmのものを使用した。
【0075】
組成物例1
ガラス微粒子 83.3部
アルミナ 12.5部
酸化チタン 4.2部
共重合オリゴアクリレート
(大阪有機化学工業(株)製、ルーラーM101;
メタアクリル酸エステル共重合体のアクリル酸付加物) 2.0部
ジエチレングリコールジメタクリレート 15.0部
ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、イルガキュア−819) 2.0部
分散剤(ビック・ケミー社製、Disperbyk-101) 0.5部
【0076】
比較組成物例1
ガラス微粒子 83.3部
アルミナ 12.5部
酸化チタン 4.2部
共重合オリゴアクリレート
(大阪有機化学工業(株)製、ルーラーM101) 2.0部
ジエチレングリコールジメタクリレート 15.0部
2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−
(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン
(イルガキュア−369、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製) 2.0部
分散剤(ビック・ケミー社製、Disperbyk-101) 0.5部
【0077】
上記組成物例1及び比較組成物例1を、ガラス基板上に感光性ドライフィルムを貼り付け写真法により所定のパターンを形成してできた高さ170μm、幅55μmの溝部にスキージを用いて埋め込むように塗布した。次いで、このようにガラスペースト組成物を塗布したガラス基板を、メタルハライドランプ(HMW−680GW、7kW)を用いてペースト表面の露光量が140mJ/cm2となるように露光してガラスペーストを硬化させた。
その後、硬化したペースト表面をドライフィルムが見えるようになるまで研磨した後、このガラス基板を40℃、5%NaOH水溶液に15分間浸した後、引き上げ、次に40℃の水に浸すと直ちにドライフィルムが剥離した。ドライフィルムを剥離したガラス基板は軽く水洗いした。
このようにガラスペースト硬化物を形成した後、電気炉を用いて空気中で焼成した。なお、焼成は室温から450℃まで10℃/分の昇温速度で昇温して30分間保持し、その後、10℃/分の昇温速度で525℃まで昇温して30分間保持して焼成し、その後室温まで放冷する工程で行なった。
【0078】
アルカリ現像型感光性ペースト組成物の調製:
合成例:
温度計、攪拌機、滴下ロート、及び還流冷却器を備えたフラスコに、メチルメタクリレートとメタアクリル酸を0.76:0.24のモル比で仕込み、溶媒としてジプロピレングリコールモノメチルエーテル、触媒としてアゾビスイソブチロニトリルを入れ、窒素雰囲気下、80℃で2〜6時間攪拌し、樹脂溶液を得た。
この樹脂溶液を冷却し、重合禁止剤としてメチルハイドロキノン、触媒としてテトラブチルホスホニウムブロミドを用い、グリシジルメタクリレートを、95〜105℃で16時間の条件で、上記樹脂のカルボキシル基1モルに対し0.12モルの割合の付加モル比で付加反応させ、冷却後取り出した。
上記反応により生成した樹脂Aの重量平均分子量は約10,000,酸価は59mgKOH/g、二重結合当量は950であった。なお、得られた共重合樹脂の重量平均分子量の測定は、(株)島津製作所製ポンプLC−6ADと昭和電工(株)製カラムShodex(登録商標)KF−804,KF−803,KF−802を三本つないだ高速液体クロマトグラフィーにより測定した。
【0079】
上記合成例にて得られた樹脂Aを用い、下記に示す組成比にて配合し、攪拌機により攪拌後、3本ロールミルにより練肉してペースト化を行なった。
なお、ガラス微粒子としては、PbO 60%、B23 20%、SiO2 15%、Al23 5%の組成のガラスフリットを粉砕し、線膨張係数α300=70×10-7/℃、ガラス転移点445℃、平均粒径1.6μmのものを使用した。
【0080】
組成物例2
樹脂A 100.0部
ペンタエリスリトールトリアクリレート 50.0部
ジプロピレングリコールモノメチルエーテル 80.0部
黒色顔料 150.0部
ガラス微粒子 500.0部
(2,4,6−ジメトキシベンゾイル)−フェニル
ホスフィンオキシド 10.0部
【0081】
組成物例3
樹脂A 100.0部
ペンタエリスリトールトリアクリレート 50.0部
ジプロピレングリコールモノメチルエーテル 80.0部
銀粉 450.0部
ガラス微粒子 22.0部
(2,4,6−ジメトキシベンゾイル)−フェニル
ホスフィンオキシド 5.0部
【0082】
組成物例4
樹脂A 100.0部
ペンタエリスリトールトリアクリレート 50.0部
ジプロピレングリコールモノメチルエーテル 80.0部
銀粉 150.0部
ガラス微粒子 25.0部
黒色顔料 100.0部
ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニル
ホスフィンオキシド 10.0部
【0083】
比較組成物例2
樹脂A 100.0部
ペンタエリスリトールトリアクリレート 50.0部
ジプロピレングリコールモノメチルエーテル 80.0部
黒色顔料 150.0部
ガラス微粒子 500.0部
2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−
(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン 10.0部
【0084】
比較組成物例3
樹脂A 100.0部
ペンタエリスリトールトリアクリレート 50.0部
ジプロピレングリコールモノメチルエーテル 80.0部
銀粉 450.0部
ガラス微粒子 22.0部
2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−
(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン 5.0部
【0085】
比較組成物例4
樹脂A 100.0部
ペンタエリスリトールトリアクリレート 50.0部
ジプロピレングリコールモノメチルエーテル 80.0部
銀粉 150.0部
ガラス微粒子 25.0部
黒色顔料 100.0部
2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−
(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン 10.0部
【0086】
上記組成物例2〜4及び比較組成物例2〜4を用い、ガラス基板上に300メッシュのポリエステルスクリーンを用いて全面に塗布した。次に、熱風循環式乾燥炉を用い、90℃で20分間乾燥して指触乾燥性の良好な皮膜を形成した。
次いで、ライン幅100μm、スペース幅100μmとなるストライプ状のパターンのネガフィルムを用い、光源をメタルハライドランプとし、組成物上の積算光量が500mJ/cm2となるように露光した。その後、液温30℃の1wt%Na2CO3水溶液を用いて現像を行ない、水洗した。最後に電気炉を用いて空気中にて焼成した。なお、焼成は室温から450℃まで5℃/分の昇温速度で昇温し、450℃で30分間保持し、その後、5℃/分の昇温速度で550℃まで昇温し、30分間保持して焼成し、その後室温まで放冷する工程を行なった。
【0087】
得られた各基板について、評価した各特性の評価結果を表1に示す。
【表1】
Figure 0004180734
なお、表1中の評価方法は以下のとおりである。
【0088】
(1)パターン形成後のライン形状
感光性ペースト組成物におけるドライフィルム剥離後の硬化物によるパターン、及びアルカリ現像型感光性ペースト組成物における現像後のパターンを顕微鏡で観測し、ラインに不規則なばらつきがなく、よれ等がないかどうかで評価した。評価基準は以下のとおりである。
○:不規則なばらつきがなく、よれ等がない。
△:若干不規則なばらつき、よれ等がある。
×:不規則なばらつき、よれ等がある。
【0089】
(2)焼成後のライン形状
焼成後のライン形状は、焼成まで終了したパターンを顕微鏡で観測し、ラインに不規則なばらつきがなく、よれ等がないかどうかで評価した。評価基準は以下のとおりである。
○:不規則なばらつきがなく、よれ等がない。
△:若干不規則なばらつき、よれ等がある。
×:不規則なばらつき、よれ等がある。
【0090】
(3)密着性
密着性は、セロハン粘着テープによるピーリングを行ない、パターンの剥離がないかどうかで評価した。評価基準は以下のとおりである。
○:パターンの剥離がない。
△:若干パターンの剥離がある。
×:パターンの剥離がよくある。
【0091】
(4)パターンエッジのカール
パターンエッジのカールは、表面粗さ計でパターンエッジの表面粗さを測定し、評価した。評価基準は以下のとおりである。
○:エッジカールがほとんどない。
△:若干エッジカールがある。
×:エッジカールがひどい。
【0092】
【発明の効果】
以上のように、本発明の感光性ペースト組成物によれば、光硬化性や解像度に優れ、優れた光硬化深度を示すため、光硬化むらが生じ難くなり解像性を向上させることができる。そのため、焼成の際の反りや線幅収縮が生じ難く、高アスペクト比かつ高精度のパターン加工が可能となる。また、同一膜厚の場合には、同じライン/スペースパターンを形成可能な最小露光量を少なくすることができ、省エネルギー化を実現することができる。従って、プラズマディスプレイパネルの作製にあたり、高アスペクト比かつ高精度な隔壁パターン、電極パターン、誘電体パターン、ブラックマトリックスパターンなどの焼成物パターンを高歩留まりで生産性良く形成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】面放電方式のAC型PDPの部分分解斜視図である。
【図2】リフトオフ法による焼成物パターン形成方法の概略工程説明図である。
【図3】フォトリソグラフィー法による焼成物パターン形成方法の概略工程説明図である。
【符号の説明】
1 前面ガラス基板
2a,2b 表示電極
3a,3b 透明電極
4a,4b バス電極
5 誘電体層
6 保護層
7 背面ガラス基板
8 リブ
9 アドレス電極
10a,10b,10C 蛍光体膜
11 透明基板
16 感光性ペースト組成物
16a 隔壁パターン
17 皮膜
17a 焼成物パターン

Claims (10)

  1. (A)無機微粒子、(B)光重合性化合物を含む有機成分、及び(C)ビスアシルホスフィンオキシド系光重合開始剤を含有することを特徴とする焼成物パターン形成用感光性ペースト組成物。
  2. 前記無機微粒子(A)がガラス微粒子、無機フィラー、顔料、導電性金属粉又は金属酸化物の1種もしくは2種以上を含むことを特徴とする請求項1に記載の焼成物パターン形成用感光性ペースト組成物。
  3. 前記ガラス微粒子がガラス転移点(Tg)300〜500℃、ガラス軟化点(Ts)400〜600℃を有するものである請求項2に記載の焼成物パターン形成用感光性ペースト組成物。
  4. 前記導電性金属粉がAg,Au,Pd,Ni,Cu,Al及びPtよりなる群から選ばれた少なくとも1種の金属粉又は金属酸化物であり、感光性導電性ペーストに組成されている請求項2に記載の焼成物パターン形成用感光性ペースト組成物。
  5. 前記光重合性化合物を含む有機成分(B)が、1分子中に少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を有する感光性モノマー、オリゴマー及び/又はポリマーを含む請求項1乃至4のいずれか一項に記載の焼成物パターン形成用感光性ペースト組成物。
  6. 前記光重合性化合物を含む有機成分(B)が、カルボキシル基を有する重量平均分子量1,000〜100,000及び酸価20〜150mgKOH/gのオリゴマーもしくはポリマーを含み、アルカリ現像型に組成されている請求項1乃至5のいずれか一項に記載の焼成物パターン形成用感光性ペースト組成物。
  7. 前記光重合性化合物を含む有機成分(B)が、カルボキシル基とエチレン性不飽和基を有する重量平均分子量1,000〜100,000、酸価20〜150mgKOH/g、かつその二重結合当量が350〜2,000のオリゴマーもしくはポリマーを含み、アルカリ現像型に組成されている請求項1乃至6のいずれか一項に記載の焼成物パターン形成用感光性ペースト組成物。
  8. さらに(D)ガラス微粒子と親和性のある極性基を有する分散剤を含有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の焼成物パターン形成用感光性ペースト組成物。
  9. プラズマディスプレイパネル用であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の焼成物パターン形成用感光性ペースト組成物。
  10. 請求項1乃至のいずれか一項に記載の焼成物パターン形成用感光性ペースト組成物を用い、プラズマディスプレイパネルの隔壁パターン、誘電体パターン、電極パターン及びブラックマトリックスパターンよりなる群から選ばれた少なくとも1種の焼成物パターンを形成したパネル。
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