JP4180731B2 - 摩擦ヒンジ及び携帯用事務機器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、ラップトップ型のノートパソコンなどの携帯用事務機器の開閉蓋やディスプレイを揺動支持するために用いられるヒンジを始め、その他、任意の開閉角度での途中停止を含む各種の蓋部材を開閉させるのに適した摩擦ヒンジに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、蓋部材等を任意の角度まで回転させて停止、固定するための回転ヒンジにおける回転トルク抑制のための摩擦構造としては、例えば、特開平5−154864号公報に開示されるようなものが挙げられる。これは、内部軸と、この内部軸とモールド一体成形された樹脂製の外部軸とによって構成され、内部軸と外部軸とが面摩擦抵抗を持ちつつ、相対回転自在とされることにより、これら軸が任意の角度に回転及び固定自在とされるものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような構造の摩擦ヒンジにおいては、内部軸と外部軸の関係が適切でないために回転トルクのばらつきが大きく、また、回転中にスティックスリップが発生し異音が出たり、あるいは耐久性が低く摩耗によりトルクが保持できななくなるといった問題はあった。
【0004】
本発明は、蓋部材等を開閉した場合に、任意の角度で容易に固定させることができる安定した摩擦力を長期にわたって維持する摩擦ヒンジを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、請求項1では、両端の径小部を挟んで中間に径大部を設け、ノートパソコンのディスプレイである蓋部材と嵌合させるためのほぞが一方側の径小部に形成され、前記蓋部材とともに一体回動する鋼またはステンレス製で円柱状の軸部材と、前記蓋部材を開閉させるため、前記軸部材の前記径大部の外側に覆い被さる様に密着して回動自在に支持する樹脂製の軸回動支持部材とからなり、該軸回動支持部材と前記軸部材との間で面摩擦抵抗を発生させる摩擦ヒンジであって、該摩擦ヒンジは、前記軸部材を予め金型内に配置し樹脂材料を射出成形することにより軸回動支持部材内へ前記軸部材をモールドして形成され、前記軸部材の前記径大部の表面粗さRaは、表面加工によって0.15μm〜0.35μmに仕上げられ、前記軸回動支持部材の樹脂材料は、PS(ポリスチレン)、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)、PPE(ポリフェニレンエーテル)、PC(ポリカーボネイト)、PAR(ポリアリレート)、PAI(ポリアミドイミド)、PES(ポリエーテルサルホン)、PSF(ポリサルフォン)、またはPEI(ポリエーテルイミド)の何れかから一つ選ばれる非結晶性樹脂の樹脂材料、あるいは、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、芳香族PA(芳香族ポリアミド)、PMP(ポリメチルペンテン)、またはPEK(ポリエーテルケトン)の何れかから一つ選ばれる結晶性樹脂の樹脂材料の何方か一方であり、前記軸回動支持部材の温度範囲−20℃〜80℃における曲げ弾性率の保持率(当該温度範囲での最小値/最大値)が80%以上である樹脂材料を用いることを特徴とする。
【0006】
請求項2では、請求項1のディスプレイ摺動支持用摩擦ヒンジにおいて、摺動剤を混合した樹脂材料によって、前記軸回動支持部材を前記軸部材と一体成形したことを特徴とする。
【0007】
請求項3では、請求項2のディスプレイ摺動支持用摩擦ヒンジの摺動剤は、弗素系樹脂、オレフィン系樹脂、鯨油、カーボン繊維、またはグラファイトの何れかから一つ選ばれる有機系添加剤であることを特徴とする。
請求項4では、請求項2のディスプレイ摺動支持用摩擦ヒンジの摺動剤は、二硫化モリブデン、酸化アンチモン、チタン酸カリウム、タルク、ガラス球、金属石鹸、カオリンクレーの何れかから一つ選ばれる無機系添加剤であることを特徴とする。
請求項5では、請求項1から4の何れか1項に記載のディスプレイ摺動支持用摩擦ヒンジにおいて、ミネラル、ガラス繊維、カーボン繊維の何れか二種類以上を混合させた樹脂材料によって、前記軸回動支持部材を前記軸部材と一体成形したことを特徴とする。
【0010】
【発明の作用・効果】
(請求項1)
摩擦ヒンジの円柱状の軸部材(鋼またはステンレス製)は、両端の径小部を挟んで中間に径大部を設け、ノートパソコンのディスプレイである蓋部材と嵌合させるためのほぞが一方側の径小部に形成され、蓋部材とともに一体回動する。
軸回動支持部材(樹脂製)は、蓋部材を開閉させるため、軸部材の径大部の外側に覆い被さる様に密着して回動自在に支持する。
この摩擦ヒンジは、軸回動支持部材と軸部材との間で面摩擦抵抗を発生させる。
摩擦ヒンジは、軸部材を予め金型内に配置し、高温にした金型内へ樹脂材料を射出成形することにより軸回動支持部材内へ軸部材をモールドして形成される。
従って、モールド一体成形後、軸部材および樹脂製部材の温度が低下すると、樹脂製部材は収縮して締め代による応力が発生して軸部材に対して密着する。
また、軸部材の径大部の表面粗さRaは、表面加工によって0.15μm〜0.35μmに仕上げられる。
軸回動支持部材の樹脂材料は、PS(ポリスチレン)、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)、PPE(ポリフェニレンエーテル)、PC(ポリカーボネイト)、PAR(ポリアリレート)、PAI(ポリアミドイミド)、PES(ポリエーテルサルホン)、PSF(ポリサルフォン)、またはPEI(ポリエーテルイミド)の何れかから一つ選ばれる非結晶性樹脂の樹脂材料、あるいは、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、芳香族PA(芳香族ポリアミド)、PMP(ポリメチルペンテン)、またはPEK(ポリエーテルケトン)の何れかから一つ選ばれる結晶性樹脂の樹脂材料の何方か一方である。
軸回動支持部材の温度範囲−20℃〜80℃における曲げ弾性率の保持率(当該温度範囲での最小値/最大値)が80%以上である樹脂材料を用いることにより、繰り返し耐久試験後の操作トルクが初期値の80%以上を維持する。
【0011】
円柱状の軸部材に密着した軸回動支持部材は、軸部材の回転力に対して密着面で摩擦力を発生し、軸部材が軸回動支持部材との摩擦力に対して大きな力で外部より回転トルクを受けた場合には、軸部材が軸回動支持部材に対して、相対的に回転し、摩擦力より小さな回転トルクに対しては回転せず、摩擦力によってその回動角度を維持する。
つまり、ノートパソコンのディスプレイである蓋部材をパソコン本体に対して任意の角度に設定することができ、軸回動支持部材と軸部材とに加わる相対的なトルクが所定トルク以下の場合には、その相対角度を維持し、所定トルク以上の場合には、円滑な回動を保持できる。
このように、本発明では、軸部材と軸回動支持部材とが、モールド成形によって組み付けられるため、安価に製造できるとともに、必要な摩擦力を容易に設定することができ、任意の回動角度で軸部材を停止維持させることができる。
【0012】
軸回動支持部材を構成する樹脂材料に、非晶性または結晶性の樹脂材料であって、軸回動支持部材の温度範囲−20℃〜80℃における曲げ弾性率の保持率(当該温度範囲での最小値/最大値)が80%以上である樹脂材料を用いることにより、繰り返し耐久試験後の操作トルクが初期値の80%以上を維持できる。
【0013】
(請求項2〜4)
摩擦ヒンジは、摺動剤を混合した樹脂材料によって、軸回動支持部材を軸部材と一体成形した。
円柱状の軸部材の円滑な回動を実現でき、しかも、軸部材と軸回動支持部材との間に、別途にグリス等の摺動剤を塗布するものではないため、塗布剤による周辺部材への汚染の恐れがない。
また、軸部材と軸回動支持部材との摩擦によって生じる摩擦粉の発生を著しく低減させることができる。このため、摩擦面の摩耗が少なく長期に亙り安定した摩擦力を維持できる。
【0014】
(請求項5)
摩擦ヒンジは、ミネラル、ガラス繊維、カーボン繊維の何れか二種類以上を混合させた樹脂材料によって、軸回動支持部材を軸部材と一体成形した。
軸回動支持部材を形成する樹脂材料内に強度向上のための繊維を混合させることで、耐久性を向上させることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の実施例を図に基づいて以下に説明する。
図1に示す摩擦ヒンジ1は、携帯用事務機器としてのノート型パソコンなどにおいて、液晶ディスプレイが搭載された蓋の開閉用に用いられるもので、液晶ディスプレイの表示角度を調節するめに、蓋を任意の開閉角度で固定するためのものである。
【0016】
摩擦ヒンジ1は、パソコンの蓋部材に取り付けられて、蓋部材とともに一体回動する軸部材10と、蓋部材を開閉させるために軸部材10を回動自在に支持する軸回動支持部材20とからなる。
【0017】
軸部材10は、図2に示すとおり、SUS材(ステンレス)、鋼等の金属製の円柱形状の棒素材の中間部を径大部11(例えば、直径5mm)として、その両端側を径大部11より小径の径小部12、13(例えば、直径4mm)として成形し、さらに、一方の径小部13の先端に、蓋部材と嵌合するためのほぞ14を形成したものである。
【0018】
軸回動支持部材20は、図3に示すように、軸部材10の径大部11の外側に覆い被さるようにようにして密着して形成された樹脂製部材で、軸部材10を予め金型内に配置しておき、樹脂材料を射出成形することによって軸部材11とともにモールド成形して形成されたものである。尚、ここでは、金型温度を140℃前後に設定して、モールド成形を行っている。
【0019】
この摩擦ヒンジ1は、上述のとおり、蓋部材をパソコン本体に対して任意の角度に設定する必要があるため、軸回動支持部材20と軸部材10とに加わる相対的なトルクが所定トルク以下の場合には、その相対角度を維持し、所定トルク以上の場合には、円滑な回動を確保する必要がある。
具体的には、1〜20kg・cm程度の安定した摩擦トルクを必要とし、耐久回数は、5万回程度が要求され、この耐久回数使用時に、トルク保持率は初期トルクの80%以上であることが条件となる。
【0020】
上記条件を満足するための軸部材10の径大部11の表面粗さ(面粗度)Raを見つけるべく、表面粗さRaを変えて試験を行った結果を、図4に示す。
図4に示したとおり、所望の耐久回数使用時にトルク保持率が80%以上であるためには、表面粗さRaが0.02〜0.14μmでは細かすぎて満足できないが、0.15〜0.35μmでは満足できる。また、表面粗さRaが細かいと、トルクのばらつき自体が多くなるとともに、操作中(回転中)にスティックスリップが発生し、きしみ音のような異音が発生するという問題も明らかとなった。
【0021】
また、表面粗さRaが0.7μm以上になると、回動初動時のひっかかりが大きく、またスティックスリップが大きいとともに、耐久回数1000回程度で樹脂製部材である軸回動支持部材20の摩耗が大きくなり、収縮により発生した締め代による発生応力を保持できなくなり、表面粗さRaが0.2μmを越えると、トルク保持率が著しく低下することが判明した。
上記の試験結果から、軸回動支持部材20によって回動支持される軸部材10の径大部11の表面粗さRaは、0.15〜0.35μmが適していることが明らかとなった。
【0022】
上述の軸部材10の径大部11の表面は、成形時に表面粗さ(面粗度)Raを3.2S以下にした棒素材に対して、防錆および耐久性向上のための表面処理として、膜厚5〜15μmのNi−Pメッキ、或いは硬質Crメッキ及びバフ研磨が施してあり、この表面処理によって、軸部材10の表面粗さ(面粗度)Raを、0.15〜0.35μmに設定してある。
【0023】
軸回動支持部材20としてPAR(ポリアリレート)樹脂を使用し、軸部材10の径大部11を直径5mm、径小部12を直径4mmとした場合の回動角度とトルクについて、軸部材10の径大部11の表面の表面粗さ(面粗度)Raを0.18μmに仕上げた本実施例の場合を図5に示し、比較のため、表面粗さ(面粗度)Raを0.75μmに仕上げた場合について図6に示す。
表面粗さ(面粗度)Raが0.75μmの場合には、図6のXで示すとおり、初動時のひっかかりが大きく、また、Yで示すとおり、スティックスリップが大きいのに対し、本発明の表面粗さ(面粗度)Raが0.18μmの場合には、図5に示すとおりこれらをほとんど認識できない程度に小さくなっていることが分かる。
反対に、表面粗さ(面粗度)Raを0.02、0.04μmにした場合には、図7のZに示すとおり、回動時のスティックスリップが大きくなっていることが分かる。
【0024】
表1に、各表面粗さ(面粗度)Raに対する回転に必要なトルク、スティックスリップ、初動時のひっかかりの値を整理して示す。
【表1】
【0025】
このように表面処理を施された軸部材11を回転摺動させる軸回動支持部材20に用いられる樹脂材料としては、軸部材11に対して安定した摩擦力を確保するために、摩擦ヒンジ1を温度範囲(例えば、−20℃〜80℃)における曲げ弾性率(GPa)の変化の割合が小さい樹脂を用いている。
これは、様々な樹脂について、トルク保持率と曲げ弾性率保持率との関係を調べたところ、図8に示すとおり、トルク保持率が80%以上となる樹脂材料では、曲げ弾性率保持率が80%以上であることに基づくもので、曲げ弾性率保持率が高い(使用温度範囲内における曲げ弾性率の変化の割合が小さい)樹脂材料を用いることで、高いトルク保持率を実現できるからである。
尚、トルク保持率は、以下の式で定義される。
トルク保持率(%)=(熱劣化および耐久後トルク/初期トルク)×100
【0026】
図9、図10に、周囲の環境温度と樹脂製部材の曲げ弾性率との関係を示す。図9に示すPAR(ポリアリレート)では、実際に機器等が使用される周辺の環境温度範囲内では、曲げ弾性率が大きく変化しないため、軸回動支持部材20として適しているが、図10に示すような一般の結晶性樹脂では、使用温度範囲内で温度によって曲げ弾性率が大きく変化する。このため、こうした一般の結晶性樹脂では、使用温度が変化した場合に軸部材11に対して適切な摩擦力を与えることができず、軸回動支持部材20には適していないことが分かる。
【0027】
以上の観点から、軸回動支持部材20として用いるのに適した樹脂材料の具体例としては、結晶化による物性低下のない非晶性樹脂材料として、PS(ポリスチレン)、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)、PPE(ポリフェニレンエーテル)、PC(ポリカーボネイト)、PAR(ポリアリレート)、PAI(ポリアミドイミド)、PES(ポリエーテルサルホン)、PSF(ポリサルフォン)、PEI(ポリエーテルイミド)などが挙げられる。
また、−20〜80℃における結晶化による物性低下の少ない結晶性樹脂材料としては、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、芳香族PA(芳香族ポリアミド)PMP(ポリメチルペンテン)、PEK(ポリエーテルケトン)などが挙げられる。
【0028】
次に第2実施例を説明する。
第2実施例では、軸回動支持部材20に用いられる樹脂材料として、上述のPAR(ポリアリレート)、PC(ポリカーボネイト)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PES(ポリエーテルサルホン)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)などの単一材料ではなく、フッ素系樹脂、オレフィン系樹脂、鯨油等の有機系の摺動剤を15wt%以内で添加して用いる。また、カーボン繊維、グラファイト等、二硫化モリブデン、酸化アンチモン、チタン酸カリウム、タルク、ガラス球、金属石鹸、カスリンクレー等などの無機系摺動剤を15wt%以内で添加してもよい。
【0029】
樹脂材料にPTFEを3wt%添加した場合を図11に、添加しない場合を図12にそれぞれ示す。添加した場合には、初動時に滑らかに回動を開始することが分かる。
これによって、軸部材10と軸回動支持部材20との摩擦に伴って発生する摩擦粉を著しく低減させることができる。
図13に、これらの摺動剤を添加した場合の耐久性について、添加しないものと比較して示す。
図から明らかなとおり、摺動剤を添加した場合には、トルク保持率の低下の度合いが著しく小さくなっており、長寿命のヒンジとすることができる。
【0030】
次に、第3実施例について説明する。
第3実施例では、軸回動支持部材20の強度を向上させるために、ミネラル、カーボン繊維、ガラス繊維などを40wt%以内で添加する。
【0031】
以上のとおり、本発明では、軸部材の外側に温度範囲(例えば、−20℃〜80℃)内における曲げ弾性率の変化の割合が小さく、最大でも30%以内の樹脂材料をモールド成形して、樹脂製部材の収縮時の締め代により軸部材に対して密着させるため、安価に製造できるとともに、必要な摩擦力を容易に設定することができ、任意の回動角度で軸部材を停止維持させることができる。
また、温度範囲(例えば、−20℃〜80℃)内における曲げ弾性率の変化の割合が小さく、最大でも30%以内の樹脂材料を用いているため、通常使用する環境温度が変化した場合にも、軸部材に対して同等の摩擦力を保持できるとともに、摩擦面での摩耗による劣化が少なくなるため、長期間に亙って、安定した摩擦力を維持することができる。
また、金属製の軸部材と樹脂製部材による軸回動支持部材との摩擦によって摩擦ダンパを構成するため、油等を塗布する必要がなく、周辺部材への塗布物質の汚染の心配がない。 従って、蓋部材等の開閉において、蓋部材を容易に任意の開閉角度で固定することができ、様々な使用環境においても、安定した摩擦力を維持することができるため、蓋部材等を備えた機器の使い勝手をよくすることができる。
【0032】
上記実施例では、表面粗さRaを設定するために、表面仕上げを施した例を示したが、軸部材の加工時の表面仕上げができる工程(一例、転造加工)を設け、表面粗さRaを直接0.15〜0.35μmに仕上げ、表面仕上げ加工を省略しても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の摩擦ヒンジを示す斜視図である。
【図2】実施例の摩擦ヒンジの軸部材を示す図で、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図3】実施例の摩擦ヒンジを示す図で、(a)は側面図、(b)は正面図である。
【図4】本発明の性能を説明するため軸部材の表面粗さと所定回数使用後におけるトルク保持率との関係を示す特性図である。
【図5】本実施例の軸部材の表面粗さが最適と考える場合の回動角度とトルクとの特性図である。
【図6】図5と比較するための軸部材の表面粗さが大きい場合の回動角度とトルクとの特性図である。
【図7】図5と比較するための軸部材の表面粗さが小さい場合の回動角度とトルクとの特性図である。
【図8】各種の樹脂材料に於ける曲げ弾性率保持率とトルク保持率との関係を示す特性図である。
【図9】本実施例に用いた曲げ弾性率の変化が小さい樹脂材料における温度と曲げ弾性率との関係を示す特性図である。
【図10】図9と比較するための一般の結晶性樹脂における温度と曲げ弾性率との関係を示す特性図である。
【図11】第2実施例を説明するための図で、軸回動支持部材の樹脂材料に摺動剤を添加した場合の回動角度とトルクとの関係を示す特性図である。
【図12】図11と比較するための図で、軸回動支持部材の樹脂材料に摺動剤を添加しない場合の回動角度とトルクとの関係を示す特性図である。
【図13】第2実施例の軸回動支持部材の樹脂材料に摺動剤を添加した場合の耐久回数とトルクの変化との関係を、摺動剤を添加しない場合と合わせて示した図である。
【符号の説明】
1 摩擦ヒンジ
10 軸部材
20 軸回動支持部材
Claims (5)
- 両端の径小部を挟んで中間に径大部を設け、ノートパソコンのディスプレイである蓋部材と嵌合させるためのほぞが一方側の径小部に形成され、前記蓋部材とともに一体回動する鋼またはステンレス製で円柱状の軸部材と、
前記蓋部材を開閉させるため、前記軸部材の前記径大部の外側に覆い被さる様に密着して回動自在に支持する樹脂製の軸回動支持部材とからなり、
該軸回動支持部材と前記軸部材との間で面摩擦抵抗を発生させる摩擦ヒンジであって、 該摩擦ヒンジは、前記軸部材を予め金型内に配置し樹脂材料を射出成形することにより軸回動支持部材内へ前記軸部材をモールドして形成され、
前記軸部材の前記径大部の表面粗さRaは、表面加工によって0.15μm〜0.35μmに仕上げられ、
前記軸回動支持部材の樹脂材料は、
PS(ポリスチレン)、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)、PPE(ポリフェニレンエーテル)、PC(ポリカーボネイト)、PAR(ポリアリレート)、PAI(ポリアミドイミド)、PES(ポリエーテルサルホン)、PSF(ポリサルフォン)、またはPEI(ポリエーテルイミド)の何れかから一つ選ばれる非結晶性樹脂の樹脂材料、
あるいは、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、芳香族PA(芳香族ポリアミド)、PMP(ポリメチルペンテン)、またはPEK(ポリエーテルケトン)の何れかから一つ選ばれる結晶性樹脂の樹脂材料
の何方か一方であり、
前記軸回動支持部材の温度範囲−20℃〜80℃における曲げ弾性率の保持率(当該温度範囲での最小値/最大値)が80%以上である樹脂材料を用いることを特徴とする摩擦ヒンジ。 - 請求項1において、摺動剤を混合した樹脂材料によって、前記軸回動支持部材を前記軸部材と一体成形したことを特徴とする摩擦ヒンジ。
- 請求項2において、前記摺動剤は、弗素系樹脂、オレフィン系樹脂、鯨油、カーボン繊維、またはグラファイトの何れかから一つ選ばれる有機系添加剤であることを特徴とする摩擦ヒンジ。
- 請求項2において、前記摺動剤は、二硫化モリブデン、酸化アンチモン、チタン酸カリウム、タルク、ガラス球、金属石鹸、カオリンクレーの何れかから一つ選ばれる無機系添加剤であることを特徴とする摩擦ヒンジ。
- 請求項1から4の何れか1項において、
ミネラル、ガラス繊維、カーボン繊維の何れか二種類以上を混合させた樹脂材料によって、前記軸回動支持部材を前記軸部材と一体成形したことを特徴とする摩擦ヒンジ。
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