JP4180198B2 - 二重梃子を有する電子天秤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は電子秤に係り、特に小型で高い梃子比を実現することが可能な電磁平衡式の電子秤に関する。
【0002】
【従来の技術】
電磁平衡式の電子秤(以下「電子天秤」とする)は最小表示が1μg程度の極めて微量の測定が可能な所謂分析天秤がある一方、最近では秤量が数kgの汎用品から数百kgの大型の装置まで提供されている。
【0003】
図6は発明者が別途提案しているバーバル機構を有する電子天秤の荷重伝達機構部の構造を示す。なおこのロバーバル機構は一つの金属ブロックから形成されているため、以下本発明も含め、このような一つの金属ブロックから形成されたロバーバル機構を「一体型ロバーバル機構」と称することにする。
【0004】
一体型ロバーバル機構部51は機構部支持部材53に固定されることにより全体が片持に支持され、かつ上下4か所に薄肉部51a〜51dが形成されることによりロバーバル部が形成されている。このロバーバル部に突出形成された支点取付部55に支点59を有するようにして荷重伝達用ビーム57が設けられ、当該ビーム57の一端は吊りバンド61によりロバーバル機構の荷重受け部51Bと接続し他端は電磁部58に接続している。
【0005】
即ち、荷重伝達用ビーム57は、支点59と吊りバンド61との距離aと、当該支点59と電磁部58の接続部までの距離bとによるa/bを梃子比とするよう設定され、秤量物の荷重WAは、当該荷重伝達用ビーム57を介して前記梃子比a/bをもって電磁部58に伝達されるよう構成されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記の構成における荷重伝達用ビームにあってはその梃子比a/bは1/数百程度であり、特に秤量の比較的小さい電子天秤に効果的な構成である。しかし電子天秤の秤量を大きく設定する場合にはこの構成では下記のような問題が生じ、何らかの対策が必要となる。
【0007】
先ず、大きな秤量に対応する方策としては、電磁部の電磁力を大きくして大きな秤量に対応する方法と、荷重伝達用ビームの梃子比を大きく設定する方法とが考えられるが、電磁部の電磁力を大きくする方法は電磁部の大型化、大重量化を招き、かつ電磁部に印加される電力の増加による発熱や強力な磁界形成による影響を受けるため現実的ではない。このため荷重伝達用ビームの梃子比を大きく設定することにより対応することになる。このように大きな梃子比で対応するには、例えば電磁部における電磁力が30gであり、かつ電子天秤の秤量が60kg(60,000g)である場合には梃子比a/bは1/2000若しくはこれ以上に設定する必要がある。
【0008】
上記梃子比を実現するためには図6の構成では、その構成上距離aの短縮二は限界があるため、bを大きく設定すること、即ち荷重伝達用ビーム57の全長を長く設定する必要が生じ、荷重伝達機構全体が大型化することになる。つまり図示の構成では荷重WAの負荷部分と、電磁部58とは荷重伝達用ビーム57を介して両端部に位置することになるため、荷重伝達用ビーム57を長く設定すると、秤量皿Pを含めると電子天秤全体がかなり大型のものとなってしまう。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の問題点に鑑み構成された電子天秤であって、二重梃子を構成する二つの荷重伝達用ビームと、この二つの荷重伝達用ビームを支点を介して支持しかつ当該各荷重伝達用ビームの動作を案内するよう構成した一体型ロバーバル機構とを有し、かつ一体型ロバーバル機構のうち秤量物の荷重を受ける部分と、電磁部とが隣接するよう構成し、上記二重梃子は、例えば当該一体型ロバーバル機構に対して、一端が一次側支点を支持し、かつ他端は二次側支点を支持するようにした展出部を設けることによって構成され、これにより高い梃子比を実現すると共に、秤量皿を設置しても電子天秤全体がその秤量に比較して小型に形成されるよう構成したことを特徴とする電子天秤である。
【0010】
【発明の実施の形態】
一体的に形成されたロバーバル機構のうち、秤量物の荷重を受ける荷重受け部側に隣接して電磁部が配置される。ロバーバル機構の荷重受け部と第1の荷重伝達用ビームの一端とは吊りバンドと称される接続部材で接続されると共に、この吊りバンドに近接した位置に板ばね等からなる支点部材が当該第1の荷重伝達用ビームとロバーバル機構の間に介在配置され、これにより第1の荷重伝達用ビームはこの支点部材を支点として揺動動作するよう構成される。
【0011】
上記第1の荷重伝達用ビームの他端は第2の吊りバンドを介して第2の荷重伝達用ビームと接続している。この第2の荷重伝達用ビームの端部とロバーバル機構と間には第2の支点部材が介在配置され、これにより第2の吊りバンドに近接して第2の支点部材が配置されることにより、第2の荷重伝達用ビームはこの第2の支点部材を中心として揺動動作するよう構成されている。
【0012】
前記第2の荷重伝達用ビームの他端は電磁部に接続し、これにより秤量物の荷重は先ず第1の荷重伝達用ビームに伝達され、かつこの第1の荷重伝達用ビームの持つ梃子比に対応して当該荷重は第2の荷重伝達用ビームに伝達され、かつこの伝達された荷重は更に当該第2の荷重伝達用ビームの梃子比に対応して最終的に電磁部に伝達される。
【0013】
【実施例】
以下本発明の実施例を図面を参考に具体的に説明する。
図1乃至図4は本発明の実施例を示し、図5は本発明の機能を簡略化して示した図である。
まず図中矢印1は一体型に形成されたロバーバル機構を示す。2はこのロバーバル機構部のうち秤量物の荷重を受ける荷重受け部であり、この荷重受け部2に対向する端部は固定部3となっており、基台4に連設する支持部4Aに対して当該固定部3が固定されることにより一体型ロバーバル機構1全体がこの支持部2Aに片持で支持される構成となっている。6a、6b、6c、6dは一体型ロバーバル機構1の薄肉部であって、これら薄肉部を形成することにより当該一体型ロバーバル機構1がロバーバルとして作動するようになっている。
【0014】
次に符号5は上記一体型ロバーバル機構1の一部を成す梁部であって、一端はロバーバルを構成する空間部7側に展出し、他端は一対の支持ビーム5a、5bとして基台4側の支持部4Aの後方に突出位置している。
【0015】
符号8は二重梃子を構成する部材の一つを成す第1の荷重伝達用ビーム(以下「第1ビーム」と称する)である。この第1ビームの一端は一体型ロバーバル機構1の空間部7に位置し、この第1ビームと梁部5との間には板ばね等からなる支点部材9が介在配置されている(図3参照)。更に第1ビーム8の先端部8aには第1吊りバンド10の一端が取り付けられ、この第1吊りバンド10の他端は一体型ロバーバル機構1の荷重受け部2に接続し、秤量物による荷重受け部2の変位が第1ビーム8に伝達されるようになっている。
【0016】
第1ビーム8の後端部8bは梁部5に沿って位置する中央部8cから直角に屈曲するようにして位置し、この後端部8bの後部端縁には第2吊りバンド11の一端が取り付けられている。次に符号12は第2の荷重伝達用ビーム(以下「第2ビーム」と称する)であって、前記梁部5を介して第1ビーム8と平行に配置されている。即ち、第1ビームの後端部8bと同様に中央部12cに対して直角に屈曲するようにして位置する後端部12bのうち、後端部内側縁に対して前記第第2吊りバンド11の他端が接続している。
【0017】
上記後端部12bのうち第2吊りバンド11が接続している側縁と対向する位置の後端縁には板ばね等の支点部材13、13がそれぞれ固定され、かつこれら支点部材13、13の他端は前記梁部5の支持ビーム5a、5bの後端縁に固定され、第2ビーム12は当該第2ビームの後端に位置する支点部材13を中心として揺動するよう構成されている。第2ビーム12の先端部12aは前記中央部12cに対して所定の角度で屈曲し、一体型ロバーバル機構1の荷重受け部2に隣接して配置されている電磁部14に接続している。
【0018】
図5は以上の第1ビーム8及び第2ビーム12による二重梃子構造を概念的に示した図である。同図において第1ビーム8の梃子比はa/bであり、第2ビーム12の梃子比はc/dであるが、各ビームにおいては、梃子比を1/数百程度とすることは容易に実現可能であるため、当該二重梃子の梃子比a/b×c/dにおいて梃子比を1/数千とすることは容易に実現可能である。また本構成においては図示の如く第1ビーム8及び第2ビーム12を配置することにより一体型ロバーバル機構1の荷重受け部2と電磁部14とが隣接する構造となる。このため秤量皿Pは秤量機構のほぼ中心部に位置するよう配置されることになる。
【0019】
【発明の効果】
本発明は以上の構成とすることにより秤量物の荷重を受ける荷重受け部と電磁部が隣接する構造となり、この結果荷重を受ける部分が電子天秤を構成する機構の中央部に近い位置となるため、高い梃子比を実現し、しかも秤量皿も含めた電子天秤全体をコンパクトに構成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す電子天秤の荷重伝達機構の斜視図である。
【図2】図1に示す荷重伝達機構の平面図である。
【図3】図1及び図2に示す荷重伝達機構の断面図である。
【図4】図1のA方向視図である。
【図5】本発明に掛かる機構の概念図である。
【図6】発明者が別途提案している荷重伝達機構の側面図である。
【符号の説明】
1 一体型ロバーバル機構
2 荷重受け部
3 固定部
4A 支持部
5 梁部
5a、5b (梁部後端の)支持ビーム
6a、6b、6c、6d 薄肉部
7 空間部
8 第1の荷重伝達用ビーム
8a 第1の荷重伝達用ビーム先端部
8b 第1の荷重伝達用ビーム後端部
8c 第1の荷重伝達用ビーム中央部
9 支点部材
10 第1吊りバンド
11 第2吊りバンド
12 第2の荷重伝達用ビーム
12a 第2の荷重伝達用ビーム先端部
12b 第2の荷重伝達用ビーム後端部
12c 第2の荷重伝達用ビーム中央部
13 支点部材
14 電磁部
Claims (3)
- 秤量物の荷重を荷重伝達用ビームを介して電磁部に伝達するよう構成した電子秤において、秤量物の荷重を受ける荷重受け部(2)に近接して電磁部(14)が配置され、所定の梃子比をもって当該荷重受け部(2)と接続する第1の荷重伝達用ビーム(8)と、この第1の荷重伝達用ビーム(8)に対して、所定の梃子比をもって接続する第2の荷重伝達用ビーム(12)とを有し、荷重受け部(2)に加わった秤量物の荷重はこれら第1及び第2の荷重伝達用ビーム(8)、(12)を介して荷重受け部(4)に近接位置する電磁部(14)に伝達されるよう構成したことを特徴とする二重梃子を有する電子天秤。
- 前記第1及び第2の荷重伝達用ビーム(8)及び(12)は何れも一体型ロバーバル機構(1)により支持され、一体型ロバーバル機構(1)は、荷重受け部(2)と、ロバーバル作動部を介して当該荷重受け部(2)と対向位置する固定部(3)と、固定部(3)から荷重受け部(2)に向かって展出しかつ他端は前記一体型ロバーバル機構を支持する部材側に突出位置するよう構成した梁部(5)とを有し、第1及び第2の荷重伝達用ビーム(8)及び(12)は、この梁部(5)を介して上下に平行に配置され、第1の荷重伝達用ビーム(8)は前記梁部(5)に支持された支点を介してその一端が荷重受け部(2)に接続し、かつ他端は第2の荷重伝達用ビーム(12)と接続し、当該第2の荷重伝達用ビーム(12)は前記梁部(5)の後端に設けられた支点を介して当該一体型ロバーバル機構(1)に支持され、かつ他端は当該一体型ロバーバル機構(1)の荷重受け部(2)に近接位置する電磁部(14)に接続するよう構成したいことを特徴とする請求項1記載の二重梃子を有する電子天秤。
- 第1及び第2の荷重伝達用ビーム(8)及び(12)は一本の中央部(8c)、(12c)と、この中央部(8c)、(12c)に対して屈曲して位置する先端部(8a)、(12a)および後端部(8b)、(12b)を有するよう構成され、各荷重伝達用ビームの中央部(8c)、(12c)は一体型ロバーバル機構(1)の梁部(5)の何れかの側に沿ってそれぞれ位置するよう構成したことを特徴とする請求項1又は2記載の二重梃子を有する電子天秤。
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JP24448199A Expired - Lifetime JP4180198B2 (ja) | 1999-08-31 | 1999-08-31 | 二重梃子を有する電子天秤 |
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1999
- 1999-08-31 JP JP24448199A patent/JP4180198B2/ja not_active Expired - Lifetime
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