JP4178504B2 - 光送信器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光送信器に関し、より詳細には、発光素子から発生する熱を筐体に放熱するためのペルチエ素子を有する光送信器に関する。
【0002】
【従来の技術】
光送信器は、発光素子と、発光素子を駆動する駆動回路とから構成されている。駆動回路は、光送信器を搭載する装置からの入力信号を増幅し、光伝送路のクロックに同期させ、発光素子を駆動するための電圧または電流に変換して出力する。
【0003】
図1に、従来の光送信器の構造を示す。光送信器は、筐体10の前面板に、光ファイバを接続するための光コネクタを収容するハウジング11が固定されている。筐体10の底板には、駆動回路21を戴置する基板22と、発光素子23を戴置する基板24を上面に載せ、発光素子23の素子温度を一定に保つペルチエ素子25とが備えられている。発光素子23の出力光は、コリメート光に変換する第1レンズ系31を通過し、サファイア窓32を通過して、ハウジング11に送られる。ハウジング11には、コリメート光を光ファイバに集光する第2レンズ系33が備えられている。
【0004】
光送信器は、発光素子23を、環境条件によらず安定して発光させるために、筐体10全体を気密封止している。ペルチエ素子25は、発光素子から発生する熱を吸熱し、筐体10の底板を介して外部に放熱する。
【0005】
図2に、従来の光送信器の構造を示す。図1に示した光送信器の筐体10に、光モジュール12と駆動回路21を戴置する基板22とが備えられている。光モジュール12全体が気密封止されており、ペルチエ素子25で発生する熱は、光モジュール12と筐体10の底板を介して外部に放熱される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来の光送信器は、筐体10の底板から放熱するために、光送信器を搭載する装置の筐体にねじ止めしたり、放熱器にねじ止めを行っていた。このとき、筐体10の底板に歪みが生じ、ペルチエ素子25と基板24とを介して底板に戴置されている発光素子23の光軸に、角度ずれが生ずる。このような角度ずれは、第1レンズ系31と第2レンズ系33とから構成される光学系の角度ずれとなり、光ファイバに入射するパワーが減少するという問題があった。
【0007】
また、従来の光送信器は、筐体10または光モジュール12での気密封止が必要であり、コストが高いという問題があった。発光素子を内蔵し、気密封止されたメタルキャン型または同軸型のパッケージを使用すれば、コストを抑えることができる。しかしながら、これらパッケージを固定するため、基板24として熱伝導のよい特殊な形状の支持体が必要であり、光送信器のサイズが大きくなるという問題もあった。
【0008】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、筐体の機械的ひずみに強く、部品点数が少なく、コストの低い光送信器を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、発光素子と、該発光素子から発生する熱を筐体に放熱するためのペルチエ素子とを有する光送信器において、前記ペルチエ素子は、前記発光素子の出力光が通過する光軸上に貫通孔が開けられ、前記筐体の光コネクタを接続する側の前面板に固定され、前記発光素子は、前記ペルチエ素子に固定された基板を介して、前記光軸上に固定されていることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、発光素子の出力光をコリメート光に変換して出力する光モジュールと、該光モジュールから発生する熱を筐体に放熱するためのペルチエ素子とを有する光送信器において、前記ペルチエ素子は、前記発光素子の出力光が通過する光軸上に貫通孔が開けられ、前記筐体の光コネクタを接続する側の前面板に固定され、前記光モジュールが前記ペルチエ素子に固定され、前記発光素子は、前記光軸上に固定されていることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の前記光モジュールは、メタルキャン型パッケージまたは同軸型パッケージであることを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項2または3に記載の前記ペルチエ素子と前記光モジュールとは、気密封止されていることを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、発光素子と、該発光素子から発生する熱を筐体に放熱するためのペルチエ素子と、前記発光素子の出力光をコリメート光に変換する第1レンズ系と、前記コリメート光を光ファイバに集光する第2レンズ系とを有する光送信器において、前記ペルチエ素子は、前記発光素子の出力光が通過する光軸上に貫通孔が開けられ、前記筐体の光コネクタを接続する側の前面板に固定され、前記発光素子と前記第1レンズ系とは、前記ペルチエ素子に固定された基板を介して、前記光軸上に固定され、前記第2レンズ系は、前記前面板に固定されたハウジングを介して、前記第1レンズ系と対向して前記光軸上に固定されていることを特徴とする。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の前記発光素子と前記第1レンズ系とは、気密封止されて前記ペルチエ素子に固定されていることを特徴とする。
【0015】
請求項7に記載の発明、請求項6に記載の前記ペルチエ素子と、気密封止された前記発光素子および前記第1レンズ系とは、さらに気密封止されていることを特徴とする。
【0016】
請求項8に記載の発明は、請求項1ないし7のいずれかに記載の前記筐体は、プラスチックケースまたはトランスファーモールドであることを特徴とする。
【0017】
請求項9に記載の発明は、請求項1ないし8のいずれかに記載の光送信器において、前記ペルチエ素子と前記筐体の底板とを熱結合するためのヒートパイプを備えたことを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図3に、本発明の第1の実施形態にかかる光送信器の構造を示す。光送信器の筐体40は、光ファイバを接続するための光コネクタを収容するハウジング41が固定された前面板と、駆動回路51を戴置する基板52が固定された底板とを含む。筐体40とハウジング41とが接続されている前面板には、ペルチエ素子55が固定されている。ペルチエ素子55には、発光素子53の出力光が通過する光軸上に貫通孔が開けられている。発光素子53を戴置する基板54と、発光素子53の出力光をコリメート光に変換する第1レンズ系61とが、ペルチエ素子55に固定され、発光素子53と第1レンズ系61とが、それぞれ光軸上に固定される。発光素子53の出力光は、第1レンズ系61と、ペルチエ素子55に設けられた貫通孔を通過し、サファイア窓62を通過して、ハウジング41に送られる。ハウジング41には、コリメート光を光ファイバに集光する第2レンズ系63が備えられている。
【0019】
光送信器は、発光素子53を、環境条件によらず安定して発光させるために、筐体40全体を気密封止している。ペルチエ素子は、発光素子から発生する熱を吸熱し、筐体40の前面板を介して外部に放熱する。筐体は、プラスチックケースまたはトランスファーモールドを使用する。
【0020】
このような構成により、発光素子53は、第1レンズ系61とともに、ペルチエ素子55と基板54とを介して前面板に固定されているので、第1レンズ系61と第2レンズ系63とから構成される光学系の光軸に、角度ずれが生ずることがない。すなわち、光送信器を搭載する装置にねじ止めする際の、筐体の機械的ひずみに対して、影響を受けることがない。
【0021】
また、図1に示した光送信器は、発光素子23の光軸と底板との間に、発光素子23を戴置する基板24とペルチエ素子25とが配置される構造となっている。一方、図3に示した光送信器は、発光素子53の光軸と底板との距離は、筐体設計において任意の高さに設定できることから、光送信器の低背化を図ることができる。
【0022】
(第2の実施形態)
図4に、本発明の第1の実施形態にかかる光送信器の構造を示す。光送信器は、筐体40の前面板に、光ファイバを接続するための光コネクタを収容するハウジング41が固定されている。筐体40の底板には、光モジュール42と、駆動回路51を戴置する基板52とが備えられている。光モジュール42の前面板には、ペルチエ素子55が固定されている。ペルチエ素子55には、発光素子53の出力光が通過する光軸上に貫通孔が開けられている。発光素子53を戴置する基板54と、発光素子53の出力光をコリメート光に変換する第1レンズ系61とが、ペルチエ素子55に固定されている。発光素子53の出力光は、第1レンズ系61と、ペルチエ素子55に設けられた貫通孔を通過し、サファイア窓62を通過して、ハウジング41に送られる。ハウジング41には、コリメート光を光ファイバに集光する第2レンズ系63が備えられている。光モジュール42全体が気密封止されており、ペルチエ素子55で発生する熱は、光モジュール42の前面板および底板と、筐体40の底板を介して外部に放熱される。
【0023】
(第3の実施形態)
図5に、本発明の第3の実施形態にかかる光送信器の構造を示す。光送信器は、筐体40の前面板に、光ファイバを接続するための光コネクタを収容するハウジング41が固定されている。筐体40の底板には、駆動回路51を戴置する基板52が備えられている。筐体40とハウジング41とが接続されている前面板には、ペルチエ素子55が固定されている。ペルチエ素子55には、発光素子53の出力光が通過する光軸上に貫通孔が開けられ、光モジュール43が固定されている。
【0024】
図6に、本発明の第3の実施形態にかかる光モジュールの構造を示す。光モジュール43は、発光素子53を戴置する基板54と、発光素子53の出力光をコリメート光に変換する第1レンズ系61とから構成されている。光モジュール43は、発光素子53を、環境条件によらず安定して発光させるために、全体を気密封止し、発光素子53の出力光が通過する光軸上にサファイア窓64が開けられている。
【0025】
このような構成により、光モジュール43を気密封止したので、筐体40全体を気密封止する必要がなく、光送信器の製造コストを低く抑えることができる。また、発光素子と光学系の一部をモジュール化したことにより、光送信器の部品点数を少なくすることができる。
【0026】
図7に、第3の実施形態において気密封止を追加した光送信器の構造を示す。気密封止された光モジュール43と、ペルチエ素子55と、駆動回路51とを、さらに気密封止した。ペルチエ素子55の一端と光モジュール43との接合部付近は、温度が低くなって結露を生じやすいので、気密封止を追加することにより、光送信器の信頼性の向上を図っている。
【0027】
(第4の実施形態)
図8に、本発明の第4の実施形態にかかる光送信器の構造を示す。光送信器は、筐体40の前面板に、光ファイバを接続するための光コネクタを収容するハウジング41が固定されている。筐体40の底板には、駆動回路51を戴置する基板52が備えられている。筐体40とハウジング41とが接続されている前面板には、ペルチエ素子55が固定されている。ペルチエ素子55には、光モジュール44に内蔵された発光素子の出力光が通過する光軸上に貫通孔が開けられ、光モジュール44が固定されている。
【0028】
光モジュール44は、発光素子を内蔵し、気密封止されたメタルキャン型または同軸型のパッケージのモジュールである。前面板に固定されたペルチエ素子55に、直接光モジュール44を固定するので、光送信器の小型化を図ることができ、光送信器の部品点数を減らすことができる。また、光モジュール44が気密封止されているので、筐体40全体を気密封止する必要がなく、光送信器の製造コストを低く抑えることができる。
【0029】
図9に、第4の実施形態において気密封止を追加した光送信器の構造を示す。気密封止された光モジュール44と、ペルチエ素子55とを、さらに気密封止した。ペルチエ素子55の一端と光モジュール44との接合部付近は、温度が低くなって結露を生じやすいので、気密封止を追加することにより、光送信器の信頼性の向上を図っている。
【0030】
(第5の実施形態)
図10に、本発明の第5の実施形態にかかる光送信器の構造を示す。第4の実施形態にかかる光送信器において、ペルチエ素子55から発生する熱を効率よく放熱するために、ヒートパイプ71を備えたものである。ペルチエ素子25で発生する熱は、筐体40の前面板とヒートパイプ71と筐体40の底板とを介して、光送信器を搭載する装置の筐体または放熱器に放熱される。
【0031】
上述した各実施形態において、筐体40とハウジング41とが接続されている前面板に、ペルチエ素子55を固定する構造とした。発光素子の出力光が通過する光軸上に貫通孔が開けられた板状またはブロック状の固定板を、前面板と発光素子53との間に設けて、この固定板にペルチエ素子55を固定する構造としてもよい。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、発光素子の出力光が通過する光軸上に貫通孔が開けられたペルチエ素子を、筐体の光コネクタを接続する側の前面板に固定し、ペルチエ素子に固定された基板を介して、発光素子を光軸上に固定したので、筐体の機械的ひずみに対して強くすることが可能となる。
【0033】
また、本発明によれば、発光素子の光軸と底板との距離を任意の高さに設定できることから、光送信器の低背化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の光送信器における第1例の構造を示す断面図である。
【図2】従来の光送信器における第2例の構造を示す断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態にかかる光送信器の構造を示す断面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態にかかる光送信器の構造を示す断面図である。
【図5】本発明の第3の実施形態にかかる光送信器の構造を示す断面図である。
【図6】本発明の第3の実施形態にかかる光モジュールの構造を示す断面図である。
【図7】第3の実施形態において気密封止を追加した光送信器の構造を示す断面図である。
【図8】本発明の第4の実施形態にかかる光送信器の構造を示す断面図である。
【図9】第4の実施形態において気密封止を追加した光送信器の構造を示す断面図である。
【図10】本発明の第5の実施形態にかかる光送信器の構造を示す断面図である。
【符号の説明】
10,40 筐体
11,41 ハウジング
12,42〜44 光モジュール
21,51 駆動回路
22,24,52,54 基板
23,53 発光素子
25,55 ペルチエ素子
31,61 第1レンズ系
32,62,64 サファイア窓
33,63 第2レンズ系
Claims (9)
- 発光素子と、該発光素子から発生する熱を筐体に放熱するためのペルチエ素子とを有する光送信器において、
前記ペルチエ素子は、前記発光素子の出力光が通過する光軸上に貫通孔が開けられ、前記筐体の光コネクタを接続する側の前面板に固定され、
前記発光素子は、前記ペルチエ素子に固定された基板を介して、前記光軸上に固定されていることを特徴とする光送信器。 - 発光素子の出力光をコリメート光に変換して出力する光モジュールと、該光モジュールから発生する熱を筐体に放熱するためのペルチエ素子とを有する光送信器において、
前記ペルチエ素子は、前記発光素子の出力光が通過する光軸上に貫通孔が開けられ、前記筐体の光コネクタを接続する側の前面板に固定され、
前記光モジュールが前記ペルチエ素子に固定され、前記発光素子は、前記光軸上に固定されていることを特徴とする光送信器。 - 前記光モジュールは、メタルキャン型パッケージまたは同軸型パッケージであることを特徴とする請求項2に記載の光送信器。
- 前記ペルチエ素子と前記光モジュールとは、気密封止されていることを特徴とする請求項2または3に記載の光送信器。
- 発光素子と、該発光素子から発生する熱を筐体に放熱するためのペルチエ素子と、前記発光素子の出力光をコリメート光に変換する第1レンズ系と、前記コリメート光を光ファイバに集光する第2レンズ系とを有する光送信器において、
前記ペルチエ素子は、前記発光素子の出力光が通過する光軸上に貫通孔が開けられ、前記筐体の光コネクタを接続する側の前面板に固定され、
前記発光素子と前記第1レンズ系とは、前記ペルチエ素子に固定された基板を介して、前記光軸上に固定され、
前記第2レンズ系は、前記前面板に固定されたハウジングを介して、前記第1レンズ系と対向して前記光軸上に固定されていることを特徴とする光送信器。 - 前記発光素子と前記第1レンズ系とは、気密封止されて前記ペルチエ素子に固定されていることを特徴とする請求項5に記載の光送信器。
- 前記ペルチエ素子と、気密封止された前記発光素子および前記第1レンズ系とは、さらに気密封止されていることを特徴とする請求項6に記載の光送信器。
- 前記筐体は、プラスチックケースまたはトランスファーモールドであることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の光送信器。
- 前記ペルチエ素子と前記筐体の底板とを熱結合するためのヒートパイプを備えたことを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の光送信器。
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