JP4178120B2 - プレスフェルト - Google Patents

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Description

本発明は、総括的には製紙に関し、特に、製紙の際に使用される織物に関するものである。
従来の長網式製紙法において、セルロース繊維(紙“原料”として知られている)の水スラリー、即ち、懸濁液は、2つ以上のローラ間を走行する金網及び/又は合成材料のエンドレスベルトの上側走行部の上に供給される。“形成織物”としてしばしば言及されるベルトは、その上側走行部の上にある製紙表面を提供しており、これは、水状媒体から紙原料のセルロース繊維を分離するフィルタとして働き、それにより湿った紙ウェブを形成する。水状媒体は、水抜き穴として知られる形成織物の網目開口を通り、重力のみにより、或いは織物の上側走行部の下面(即ち、マシン側)に配置された1つ以上のサクションボックスからの助けを借りて、排水される。
紙ウェブは、地合形成部を出た後、抄紙機のプレス部に搬送され、そこで、代表的には“プレスフェルト”と言われる別の織物で覆われた一対以上の加圧ローラのニップを通り圧縮される。ローラからの圧力によって、紙ウェブから余計な湿分が除去される。湿分の除去は、プレスフェルトにある“バット”層の存在によりしばしば促進される。次いで、紙は更なる湿分除去のためドライヤ部に運ばれる。乾燥後、紙は、二次処理及び包装の準備が可能となる。
プレスフェルトは、1つ以上の基布層を備えているのが一般的である。これらは、“パイルなしに織られ(flat-woven)”、織成後にエンドレスベルトに形成されることができ、或いはエンドレスの形に織ることができる。一般に、パイルなし織りプロセスが好ましいが、その理由は、通常、パイルなし織りプロセスの方がエンドレス織りプロセスよりも経費が安く且つ用途が広いからである。また、多くの場合に、フェルトは、抄紙機への掛け入れを簡単にするため、横方向に切断され、再度取り付けられるが、その場合は、エンドレス織りの利点のうちの幾つか(例えば、織物における継ぎ目の不存在)が失われることになる。
もちろん、基布層をパイルなし織りにすることは、それを継ぎ合せてエンドレスベルトにする準備がなされることを必要としている。このような継ぎ目は、プレスフェルトが遭遇する過酷な負荷、温度及び摩耗条件に耐えるのに十分な強さがあるような方法で構成されていながら、それでもなお継ぎ目の上方にあるプレスフェルトの表面により紙に過度にマークを付けないようにしなければならない。プレスフェルトの基布を継ぎ合せる一般的な方法の一つは、基布の各端についてマシン方向ヤーンを用いてループを形成することである。パイルなし織りの基布をエンドレスベルトに形成するために、織物の両端部は、一端部にあるループの各々を他端部にある2つのループ間に互いに組み合う仕方で位置決めし、互いに接近して配置されている。次に、両端部を継ぎ合せるために、全ループには“ピン”(通常、1本のモノフィラメント又はモノフィラメント束から形成される)が挿入されることになる。バット層が基布層に針打ちされた後、或いは他の手段で取り付けられた後、バット層は継ぎ目位置で切断され、ピンは除去されると共に、完成プレスフェルトは製紙工場に向けて出荷される。一旦、製紙工場においてプレスフェルトを抄紙機に掛け入れて設置することができれば、別の(通常もっと可撓性のある)モノフィラメントピン又はピントルがループに挿入されることになる。この形式の継ぎ目の例は、グリャ(Gulya)に対する米国特許第4,764,417号及び第4,737,241号、リルヤ(Lilja)等に対する米国特許第4,601,785号、並びにライディン(Rydin)に対する米国特許第5,476,123号に記載されており、それらの開示内容の全体は参照によりここに組み込まれる。
意外にもということではないが、ピン式継ぎ目の存在は、このピン式継ぎ目領域においてプレスフェルトに不均一性を生じさせることになる。例えば、圧縮性、並びに水及び空気の透過性は、継ぎ目領域でプレスフェルトの残りの領域と比較して異なってくる可能性がある。更に、基布ヤーンの密度は継ぎ目領域においてより低いので、バット繊維は継ぎ目においてあまり効果的には固定されない傾向がある。これらの問題の幾つかに取り組む解決策の1つは、1本以上の追加のヤーンをピン式継ぎ目領域の中に織り込むことであり、該ヤーンが織物の紙側におけるヤーンの密度を高くしている。この解決策の例は、前述したライディン(Rydin)に対する米国特許第5,476,123号、リー(Lee)に対する米国特許第5,913,339号及びシプリー(Shipley)に対する米国特許第5,799,709号に記載されている。
本発明は、ピン式継ぎ目ループの中に配置した追加CMDヤーンを有するピン継ぎ式プレスフェルトに向けられている。第1の形態として、本発明は、抄紙機のためのプレスフェルトであって、複数のマシン横断方向(CMD)ヤーンと所定の正規織成パターンで織り合わせられる複数のマシン方向(MD)ヤーンを有する基布を備え、前記MDヤーンは、上MDヤーンと、下MDヤーンと、該上MDヤーン及び下MDヤーンの両端と一体化する継ぎ目ループとに分けることが可能であり、該継ぎ目ループは、前記プレスフェルトの長手方向端部を画定すると共に、上部分及び下部分を有しており、更に、前記継ぎ目ループに最も近くに配置した前記正規織成パターンのCMDヤーンと共に、前記プレスフェルトの少なくとも1端部の前記継ぎ目ループの前記上部分とドレーアー(Dreher)織りで織り合わせられる第1のドレーアーCMDヤーンを備える、プレスフェルトに向けられている。この構成において、プレスフェルトは、継ぎ目のところで高い糸密度を有し、継ぎ目でのプレスフェルトの一様性を向上させることができる。また、ドレーアーヤーンの使用は、正規織成の最終CMDヤーンの位置を正確に固定させることができる。
第2の形態として、本発明は、抄紙機のためのプレスフェルトであって、複数のマシン横断方向(CMD)ヤーンと所定の正規織成パターンで織り合わせられる複数のマシン方向(MD)ヤーンを有する基布を備え、前記MDヤーンは、上MDヤーンと、下MDヤーンと、該上MDヤーン及び下MDヤーンの両端と一体化する継ぎ目ループとに分けることが可能であり、該継ぎ目ループは、前記プレスフェルトの長手方向端部を画定すると共に、上部分及び下部分を有しており、更に、前記継ぎ目ループの各々の上部分及び下部分の間を通る追加CMDヤーンと、該追加CMDヤーンと共に、前記プレスフェルトの少なくとも1端部の前記継ぎ目ループの前記上部分とドレーアー織りで織り合わせられる第1のドレーアーCMDヤーンとを備える、プレスフェルトに向けられている。この構成は、上記したと同様の利点をもたらすことができる。
本発明の実施形態を示す添付図面を参照しながら、本発明について以下により詳しく説明する。しかし、本発明は、種々の異なる形態で実施可能であり、ここに示された実施形態に限定されるものと解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、その開示内容が徹底しており且つ完全であり、本発明の範囲を当業者に十分に伝達するように提示されている。図面において、同様の数字は、終始、同様の要素を示している。構成要素の中には、明瞭にするために太さ及び寸法が誇張されているものがある。
ここで使用されているように、“マシン方向(MD)”及び“マシン横断方向(CMD)”という用語は、それぞれ、抄紙機における製紙業者の織物の走行方向に一致した方向と、織物表面に平行で且つ走行方向に対し横断する方向とを示している。また、上述したパイルなし織成法及びエンドレス織成法は、技術的に良く知られており、ここで使用されている“エンドレスベルト”という用語は、どちらの方法によって製作されたベルトも示している。
図面を参照すると、図1には、広範囲に符号10で表わされた抄紙機プレス部が示されている。このプレス部10は、一組のローラ12に掛けられ、それらにより搬送されるプレスフェルト14を備えている。プレスフェルト14は、その走行に際し、プレスロール15を通って走行するようになっている。対峙するプレスロール17は、プレスフェルト14及びプレスロール15と関連して、プレスロール15及び17間にニップNを形成するように、位置決めされている。
作動中、紙ウェブPは、地合形成部16からプレスロール15,17により形成されたニップNを通って搬送され、このニップNでプレスロール15,17により紙ウェブPに圧力が加えられるようになっている。この圧力は、紙ウェブPから湿分を強制排出し、湿分はプレスフェルト14により吸収されることになる。プレスフェルト14がその一組のプレスローラ12の周りを搬送されるときに、湿分がそこから除去され、プレスフェルト14は1つ以上のサクションボックス20により適当な状態に置かれることになる。
図2、図3A及び図3Bは、プレスフェルト14の拡大断面を例示している。前述した図面に見られるように、プレスフェルト14は、一組のマシン方向ヤーン26(上MDヤーン26a及び下MDヤーン26bに分けられる)と、該マシン方向ヤーン26と通常(正規)のパターンで織り合わせられる一組のマシン横断方向ヤーン28とを有する基布22を備えている。これらのCMDヤーン28は、各CMDヤーン28が1本の上MDヤーン26aの上、次の対の上及び下MDヤーン26a,26bの間、次の下MDヤーン26bの下、次の対の上及び下MDヤーン26a,26bの間を次々と通るように、MDヤーン26と織り合わせられている。隣り合うCMDヤーン28は、1本以上のMDヤーン26分だけ互いにずれて置かれており、例示した実施形態において、基布22の上面に1×4のしゅ子(サテン)織りパターンを形成している。
基布22は、パイルなしの織り方で織成されている。従って、広げた状態において、基布22は2つの自由な端部29a,29bを有しており、そのうちの一方(29a)は、(MDヤーン26により形成された)継ぎ目ループ30を含み、他方(29b)は、MDヤーン26の他端により形成された継ぎ目ループ32を含んでいる。基布22が図2及び図3Aに例示されたようなエンドレス状態にある場合、ループ30,32は互いに入り込んだ仕方で配置されており、ピン34はループ30,32に挿通されて基布22の端部29a,29bを結合し、継ぎ目40を形成している。継ぎ目ループ30は、上部分41及び下部分42を有することが図から明らかである。
当業者は、単層織物、二層織物(二組のMDヤーン及び一組のCMDヤーンを有するもの)及び三層織物(即ち、二組のMDヤーン及び二組のCMDヤーンを有するもの)を含め、他の形式の織物がプレスフェルト14の基布22の下織物層として採用可能であることが分かるであろう。実際上、例示された平織,綾織,しゅ子織等のような当業者に知られた任意の織成パターンは、この織物層のために使用することができる。
次に図3A及び図3Bを参照すると、継ぎ目40において、継ぎ目ループ30の上部分41は、2本の追加のヤーン、固定ヤーン44及びドレーアー(Dreher)ヤーン46と相互に織り合わせられている。固定ヤーン44は、継ぎ目ループ30の各々の上部分41及び下部分42の間を通っている。ドレーアーヤーン46は、以下に詳細に記載するドレーアー織りにおける継ぎ目ループ30の上部分41及び固定ヤーン44と相互に織り合わせられている。
ドレーアー織りは、第1のヤーンが形の上で同一方向に延びる第2のヤーンの両側で織り合わせられている織り方であり(即ち、第1及び第2のヤーンの双方がMDヤーンかあるいは双方がCMDヤーンである)、第1のヤーンは、第2のヤーンの下を通ると共に、形の上で反対方向に延びる複数のヤーンの上を通りそれらと織り合わせられるようになっている。したがって、ドレーアー織りの第2のヤーンは、第1のヤーンの上方を通り、反対方向に延びるヤーンの下を通ることによりそれらと織り合わせられることになる。その結果、ヤーンのうちの少なくとも1本は追従する幾分蛇行した通路となる。ドレーアー織りに関する追加情報は、例えばゲヴィーバテヒニック(Gewebetechnik)[国有企業―織物技術発行所ライプチヒ、1978(VEB-Fachbuchverlag Leipzig, 1978)]に記載されている。
ドレーアー織りは、図3Bに示された基布22において、ドレーアーヤーン46及び固定ヤーン44と継ぎ目ループ30の上部分41との織り合わせにより、実証されている。図3Bに見られるように、ドレーアーヤーン46は、継ぎ目40から離れた固定ヤーン44の側にある継ぎ目ループ30aの上部分41aの上、固定ヤーン44の下、継ぎ目40に隣接する固定ヤーン44の側にある次の継ぎ目ループ30bの上部分41bの上、固定ヤーン44の下、及び継ぎ目ループ30cの上部分41cの上、等を繰り返すパターンで通っている。こうして、例示した実施形態において、ドレーアーヤーン46は、継ぎ目ループの上部分41の各々の上に単一浮糸節部(single float knuckles)48a,48bを形成し、該節部は、ドレーアーヤーン46がマシン横断方向に延びるときに、固定ヤーン44の両側に交互に配置されることになる。
この構成において、固定ヤーン44は、継ぎ目40でのヤーン密度を高くするのに役立ち得ると共に、継ぎ目領域に挿入されたバット繊維の固定を支援することができるヤーンを提供すべく、継ぎ目40に配置されている。また、ドレーアーヤーンは、継ぎ目領域において固定ヤーン44の位置を正確に固定するのに役立っている。
固定ヤーン44は、通常、モノフィラメント又は撚り糸が好ましいが、プレスフェルトで使用するのに適することが知られている任意の形(例えば、モノフィラメント、マルチフィラメント、ハイブリッドヤーン、可溶モノフィラメント、及び撚り糸)のものでもよい。固定ヤーンは、通常、約0.2〜0.5mmの直径を有しており、或いは3プライの撚り糸であれば、各モノフィラメントは約0.1〜0.3mmの直径を有している。ドレーアーヤーンは、マルチフィラメントが好ましいが、任意の形(例えば、モノフィラメント、マルチフィラメント、ハイブリッドヤーン、可溶モノフィラメント、及び撚り糸)をとることが可能である。ドレーアーヤーンは、通常、約50〜500dtex(ヤーン10,000メートルの重量グラム)の繊度を有している。ドレーアーヤーン及び固定ヤーンに関するこれらの記載は、以下に説明するプレスフェルトの実施形態に対しても同様に適用可能である。
継ぎ目ループのところでドレーアー織りを採用する考え方は、他の構成にも拡張することが可能である。例えば、継ぎ目50sを形成する継ぎ目ループ50を備えたプレスフェルトの別の実施形態が図4に例示されている。この実施形態において、固定ヤーン54は、図3A及び図3Bの実施形態に関して説明した態様で継ぎ目ループ50の上部分51と下部分52との間を通っている。しかし、ドレーアーヤーン56は、固定ヤーン54の一方の側(継ぎ目50sから離れた側)で上部分51aの上に単一浮糸節部58を形成し、固定ヤーン54の反対の側で3本ヤーン浮糸59(即ち、ドレーアーヤーン56が引き続く3本のMDヤーンの継ぎ目ループ50の上部分51bの上を通る)を形成するように織り合わせられている。図3A及び図3Bの実施形態と同様に、ドレーアーヤーン56は固定ヤーン54の位置を正確に固定するのに役立ち、固定ヤーン54は継ぎ目での密度を高くしてバット繊維を固定することができるようになっている。
本発明のプレスフェルトの追加の実施形態は図5に例示されている。ここに例示されたプレスフェルトは、上部分61及び下部分62を有する継ぎ目ループ60の他に、この継ぎ目ループ60の上部分61及び下部分62の間を通る固定ヤーン64を備えている。1本のドレーアーヤーン66は、継ぎ目ループ60の上部分61の上を通りながら、固定ヤーン64の両側に節部67a,67bを交互に形成するものである。第2のドレーアーヤーン68は、ドレーアーヤーン66が継ぎ目60sに隣接して節部67bを形成しているときに継ぎ目60sから離れた上部分61の上に節部69aを形成すると共に、ドレーアーヤーン66が継ぎ目60sから離れた節部67aを形成しているときに、継ぎ目60sに隣接する継ぎ目ループ60の上部分61の上に節部69bを形成するように、織り合わせられている(即ち、第1及び第2のドレーアーヤーンは、対向するドレーアーパターンの状態で織り合わせられている)。第2のドレーアーヤーンの形式、材料及びサイズは、第1のドレーアーヤーンについて上述したのと同一であってよく、或いは機能などに応じて異なっていてもよい。
本発明のプレスフェルトの更なる実施形態は図6に例示されている。ここに例示されたプレスフェルトは、上部分71及び下部分72を有する継ぎ目ループ70の他に、該上部分71及び下部分72の間を通る固定ヤーン74を備えている。追加CMDヤーン73は、固定ヤーン74よりも継ぎ目70sに近い継ぎ目ループ70の上部分71と織り合わせられている。追加CMDヤーン73は、1本のMDヤーンの上部分71aの上、その後、次のMDヤーン71の上部分71b及び下部分72bの間、しかる後、次のMDヤーン71の上部分71cの上を繰り返しのパターンで交互に通過するようになっている。ドレーアーヤーン76は、追加CMDヤーン73及び固定ヤーン74の双方の両側で、交互する継ぎ目ループの上部分71の上に単一浮糸節部78a,78bを形成すると共に、前述した節部78a,78bを形成するために隣接するMDヤーン間を延びながら追加CMDヤーン73及び固定ヤーン74の双方の下を通っている。
追加CMDヤーン73は、通常、単層又は多層のヤーンの形式をとるが、任意の形式をとることは可能である。追加のCMDヤーンの直径は、通常、約0.2mm〜0.5mmの間であり、或いは追加CMDヤーンは、約50〜500dtexの繊度を有することが可能である。この記載は、他の実施形態において以下に記載される追加CMDヤーンに対しても同様に適用可能である。
本発明のプレスフェルトの別の実施形態は図7に例示されている。図7に例示されたプレスフェルトは、上部分81及び下部分82を有する継ぎ目ループ80を備えていると共に、図6の実施形態に関係して上述したものと同様に追加CMDヤーン83及び固定ヤーン84を備えている。ドレーアーヤーン86は、継ぎ目80sから離れた追加CMDヤーン83及び固定ヤーン84の側にある単一浮糸節部88と、継ぎ目80sの近くで継ぎ目ループの上部分81の上にある3本ヤーン浮糸89とを交互に形成している。
本発明のプレスフェルトの更なる実施形態は図8に例示されている。この実施形態において、プレスフェルトは、上部分91及び下部分92を有する継ぎ目ループ90を備えている。この実施形態においては、図3A〜図7に例示して上述したものと同様の固定ヤーンを採用するよりもむしろ、ドレーアーヤーン96は、継ぎ目ループ90に最も近く且つ正規織成パターンに従う織物のCMDヤーン94とドレーアーパターンで織り合わせられている。ドレーアーヤーン96は織り合わせられて、継ぎ目90sから離れたCMDヤーン94の側に単一浮糸節部98を形成し、継ぎ目90sに最も近いCMDヤーン94の側に3本ヤーン浮糸99を形成している。
継ぎ目90sに最も近いCMDヤーン94は、通常、プレスフェルトの他のCMDヤーンと同じ形式をとり、同じ材料から形成され、そして同じ直径を有している。しかし、これが必要であるということではなく、CMDヤーン94は、プレスフェルトにおいて使用するのに適するものとして当業者に知られている他の形式をとってもよい。この記載は、継ぎ目に最も近いCMDがドレーアーヤーンと織り合わせられる以下の実施形態にも同様に適用可能である。
次に図9を参照すると、本発明のプレスフェルトの別の実施形態がそこに例示されている。この実施形態では、上部分101及び下部分102を有する継ぎ目ループ100を備えている。CMDヤーン104は、継ぎ目100sの最も近くに配置される正規織成パターンのCMDヤーンである。追加CMDヤーン103は、“上/下/上/下”の順序で継ぎ目ループの上部分101と織り合わせられている。ドレーアーヤーン106は、それが織り合わせられて図3A、図5及び図6の実施形態について上述したような方法で、CMDヤーン104及び追加CMDヤーン103の両側で交互のMDヤーンの交互の継ぎ目ループの上部分101の上に節部108a,108bを形成すべく織り合わせるときに、CMDヤーン104及び追加CMDヤーン103の下を通っている。
図10を参照すると、本発明のプレスフェルトの更に別の実施形態が例示されている。この実施形態では、上部分111及び下部分112を有する継ぎ目ループ110を備えている。CMDヤーン114は、継ぎ目の最も近くに配置される正規織成パターンのCMDヤーンである。ドレーアーヤーン116は、ドレーアー織りでCMDヤーン114と織り合わせられて、継ぎ目110sから離れたCMDヤーンの側に節部117aを形成し、継ぎ目110sに最も近いCMDヤーンの側に3本ヤーン浮糸117bを形成している。第2のドレーアーヤーン118は、ドレーアーヤーン116とは反対の位置でCMDヤーン114とドレーアー織りで織り合わせられているので、それは継ぎ目110sに最も近いCMDヤーン114の側に節部119bを形成すると共に、継ぎ目110sから離れたCMDヤーン114の側に3浮糸節部119aを形成することになる。
当業者は、継ぎ目ループでのドレーアー織りのその他の組み合わせも可能であることが分かるであろう。例えば、プレスフェルトは、図10に示されたドレーアーヤーンパターンと組み合わせて図3A〜図7の実施形態で示された形式の固定ヤーンを備えていてもよい。別の実施形態として、プレスフェルトは、2本のドレーアーヤーンを図5に示すように織り込んだ図10に示す通常パターンの最も近いCMDヤーンを備えていてもよい。したがって、各ドレーアーヤーンは当該CMDヤーンの両側に節部を形成することになる。同様の利点並びに動作上の利点をもたらすことができるその他の変形例は、当業者にとって明らかであり、ここで詳細に記載する必要はない。
例示した又は記載した実施形態のいずれについても、本発明のプレスフェルトは、1つ以上のバット層を備えていてもよい。図2に戻り参照すると、プレスフェルト14は、2つのバット層、即ち、マシン側バット層120及び紙側バット層122を備えている。これらのバット層120,122は、例示すると、針打ちプロセスにより基布22に付着されているのが好ましいが、熱結合及び接着剤のような他の固着技術も本発明では使用することができる。マシン側バット層120及び紙側バット層122は、アクリル、アラミド、ポリエステル又はナイロンのような合成繊維、或いはウールのような天然繊維のように、水分を基布22から逃がすのを支援するような材料から形成されるべきである。バット層120,122についての好適な材料には、ポリアミド、ポリエステル及びそれらの混合物がある。バット層120,122の重量及び厚さは変更できるが、バット重量対織物重量の比は、約0.5〜2.0の間が好ましく、より好ましいのは1.0である。また、実施形態によっては、追加のバット層を有するか、或いはバット層120,122の一方又は双方を省略するのが望ましいかも知れない。
以上に述べたことは、本発明の例示であり、本発明を制限するものと考えるべきではない。本発明の典型的な実施形態について説明してきたが、多くの変形例が本発明の新規な教示事項及び利点から著しく逸脱することなく典型的な実施形態において可能であることは、当業者なら容易に分かるであろう。従って、このような全ての変形例は、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内に含まれることが企図されている。本発明は冒頭の請求項に規定されており、同請求項の均等物は本発明に含まれている。
本発明の実施形態によるプレスフェルトを採用し得る抄紙機のプレス部を示す概略図である。 図1のプレスフェルトのピン式継ぎ目を示す、図1のプレスフェルトの拡大部分切欠き斜視図である。 図2のピン式継ぎ目を組付け状態で示す、大きく拡大した部分斜視図である。 図2のピン式継ぎ目を未組付け状態で示す、大きく拡大した部分斜視図である。 本発明の別の実施形態による継ぎ目ループ及び追加ヤーンの大きく拡大した部分斜視図である。 本発明の追加の実施形態による継ぎ目ループ及び追加ヤーンの大きく拡大した部分斜視図である。 本発明の更なる実施形態による継ぎ目ループ及び追加ヤーンの大きく拡大した部分斜視図である。 本発明の更に別の実施形態による継ぎ目ループ及び追加ヤーンの大きく拡大した部分斜視図である。 本発明の更にもう1つの実施形態による継ぎ目ループ及び追加ヤーンの大きく拡大した部分斜視図である。 本発明の更なる別の実施形態による継ぎ目ループ及び追加ヤーンの大きく拡大した部分斜視図である。 本発明の更なるもう1つの実施形態による継ぎ目ループ及び追加ヤーンの大きく拡大した部分斜視図である。
符号の説明
14 プレスフェルト
22 基布
26 マシン方向(MD)ヤーン
26a 上MDヤーン
26b 下MDヤーン
28 マシン横断方向(CMD)ヤーン
30,30a,30b,30c,32,50,60,70,80,90,100,110 継ぎ目ループ
40,50s,60s,70s,80s,90s,100s,110s 継ぎ目
41,41a,41b,41c,51,51a,51b,61,71,71a,71b,71c,81,91,101,111,112 継ぎ目ループの上部分
42,52,62,72,72b,82,92,102 継ぎ目ループの上部分
44,54,64,74,84,94,104,114 固定ヤーン
46,56,66,68,76,86,96,106,116,118 ドレーアーヤーン
48a,48b,58,67a,67b,69a,69b,78a,78b,88,98,108a,108b,117a,119a,119b 節部
59,89,99,117b 浮糸
73,83,103 追加CMDヤーン

Claims (12)

  1. 抄紙機のためのプレスフェルトであって、
    複数のマシン横断方向(CMD)ヤーンと所定の正規織成パターンで織り合わせられる複数のマシン方向(MD)ヤーンを有する基布であって、前記MDヤーンは、上MDヤーンと、下MDヤーンと、該上MDヤーン及び下MDヤーンの両端と一体化する継ぎ目ループとに分けることが可能であり、該継ぎ目ループは、前記プレスフェルトの長手方向端部を画定すると共に、上部分及び下部分を有している、基布と
    前記継ぎ目ループに最も近くに配置した前記正規織成パターンのCMDヤーンと共に、前記プレスフェルトの少なくとも1端部の前記継ぎ目ループの前記上部分とドレーアー織りで織り合わせられる第1のドレーアーCMDヤーンであって、該第1のドレーアーCMDヤーンは、各継ぎ目ループの各上部分の上を通っている第1のドレーアーCMDヤーンと
    前記第1のドレーアーCMDヤーンの前記ドレーアー織りと向かい合うドレーアー織りで、前記継ぎ目ループの前記上部分と織り合わせられる第2のドレーアーCMDヤーンと、
    を備えている、プレスフェルト。
  2. 前記第1のドレーアーCMDヤーンは、各継ぎ目ループの各上部分の上に節部を形成している、請求項1に記載のプレスフェルト。
  3. 隣接する継ぎ目ループの上部分の上及び下を交互に通る追加CMDヤーンを更に備えている、請求項2に記載のプレスフェルト。
  4. 前記第1のドレーアーCMDヤーンは、隣接する継ぎ目ループの上部分の上に節部及び浮糸を交互に形成している、請求項に記載のプレスフェルト。
  5. 前記追加CMDヤーンにより形成された前記浮糸は、3本の隣接ヤーンの上に形成される浮糸である、請求項に記載のプレスフェルト。
  6. 抄紙機のためのプレスフェルトであって、
    複数のマシン横断方向(CMD)ヤーンと所定の正規織成パターンで織り合わせられる複数のマシン方向(MD)ヤーンを有する基布であって、前記MDヤーンは、上MDヤーンと、下MDヤーンと、該上MDヤーン及び下MDヤーンの両端と一体化する継ぎ目ループとに分けることが可能であり、該継ぎ目ループは、前記プレスフェルトの長手方向端部を画定すると共に、上部分及び下部分を有している、基布と、
    前記継ぎ目ループの各々の上部分及び下部分の間を通る固定CMDヤーンと、
    該固定CMDヤーンと共に、前記プレスフェルトの少なくとも1端部の前記継ぎ目ループの前記上部分とドレーアー織りで織り合わせられる第1のドレーアーCMDヤーンであって、該第1のドレーアーCMDヤーンは、各継ぎ目ループの各上部分の上を通っている第1のドレーアーCMDヤーンと、
    を備えている、プレスフェルト。
  7. 前記第1のドレーアーCMDヤーンは、各継ぎ目ループの各上部分の上に節部を形成している、請求項に記載のプレスフェルト。
  8. 前記第1のドレーアーCMDヤーンは、隣接する継ぎ目ループの上部分の上に節部及び浮糸を交互に形成している、請求項7に記載のプレスフェルト。
  9. 隣接する継ぎ目ループの上部分の上及び下を交互に通る追加CMDヤーンを更に備えている、請求項に記載のプレスフェルト。
  10. 隣接する継ぎ目ループの上部分の上及び下を交互に通る追加CMDヤーンを更に備えている、請求項に記載のプレスフェルト。
  11. 前記第1のドレーアーCMDヤーンの前記ドレーアー織りと向かい合うドレーアー織りで、前記継ぎ目ループの前記上部分と織り合わせられる第2のドレーアーCMDヤーンを更に備えている、請求項に記載のプレスフェルト。
  12. 前記第1のドレーアーCMDヤーンの前記ドレーアー織りと向かい合うドレーアー織りで、前記継ぎ目ループの前記上部分と織り合わせられる第2のドレーアーCMDヤーンを更に備えている、請求項に記載のプレスフェルト。
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