JP4177644B2 - 車両構成部品のカバー構造 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、車体に取付けられた車両構成部品の車室側露出部分をカバー部材により覆うようにしたカバー構造に関する。本発明の車両構成部品として、車体の後端部に配設されたハイマウントストップランプが好適であるので、以下これを例にとって説明する。
【0002】
【従来の技術】
自動車においては、後方車両への注意を喚起するとともに、外観の向上を図る観点から、例えば、図8に示すように、バックドア50のウィンドガラス53の車内側上端部にハイマウントストップランプ51を配設し、該ストップランプ51をバックドア50のインナパネル50aに取付ける場合がある。このハイマウントストップランプ51はバルブ(不図示)が着脱可能に装着されたハウジング54の後開口54aにレンズ52を配設したものである。
【0003】
ところで、上記ハイマウントストップランプ51をバックドア50に配置する場合、ハウジング54やバルブプラグ,配線,あるいは車体取付け部(不図示)等が車室内に露出し、見栄えが悪化するという問題がある。このような見栄えの悪化を防止するために、上記ハウジング54にカバー55を装着して上記車室側露出部分を覆う場合がある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この場合、上記ハウジング54に係合孔54bを有する係合片54cを車室側に突出形成し、カバー55の内底面に上記係合孔54bに嵌合する嵌合爪55aを起立形成し、該嵌合爪55aを係合孔54b内に挿入するとともに、弾性変形させて係合孔54bの前,後縁部に係合させることにより、カバー55の装着作業を容易に行えるようにすることが考えられる。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−207658号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のカバー構造では、バルブ等の部品交換を行う場合、カバーが爪嵌合していることから外側から外し難いという問題がある。また上記従来公報のように、ドライバー等の差し込み工具を差し込んで嵌合を解除する場合には、ストップランプやカバーを損傷させるおそれがある。
【0007】
本発明は、上記従来の状況に鑑みてなされたもので、部品交換時にカバーを損傷させることなく容易に取り外すことができる車両構成部品のカバー構造を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、車体に取付けられた車両構成部品の少なくとも車室側露出部分をカバー部材により覆うようにした車両構成部品のカバー構造において、上記車両構成部品に係合孔を形成し、上記カバー部材に、上記係合孔内に押し込むことにより、該係合孔の縁部に嵌合する嵌合爪を起立形成し、該嵌合爪とカバー部材との間に、前記嵌合爪の押し込み方向と略直交する嵌合解除方向に前記カバー部材を外方から押圧することにより、上記嵌合爪を上記嵌合を解除する方向に弾性変形させる押圧力伝達部を設けたことを特徴とを特徴としている。
【0009】
【発明の作用効果】
本発明のカバー構造によれば、カバー部材と嵌合爪との間に、該カバー部材を外方から押圧することにより上記嵌合爪を嵌合解除方向に弾性変形させる押圧力伝達部を設けたので、カバー部材を取り外す場合には、該カバー部材の押圧力伝達部を外方から押圧することにより、嵌合爪が弾性変形して係合孔との嵌合が解除されることとなり、カバー部材や車両構成部品を傷つけたりすることなく容易に取り外すことができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0011】
図1ないし図7は、本発明の一実施形態によるハイマウントストップランプ(車両構成部品)のカバー構造を説明するための図であり、図1は車両後方から見たハイマウントストップランプの正面図、図2はハイマウントストップランプの平面図、図3,図4,図5,図6はそれぞれカバー装着状態のハイマウントストップランプの断面図(図1のIII-III 線断面図,IV-IV線断面図,V-V 線断面図,VI-VI 線断面図) 、図7はカバー部材の平面図である。
【0012】
図において、1はハイマウントストップランプを示しており、このストップランプ1は自動車のバックドア2に配設されている。このバックドア2は、ドアアウタパネル2aとドアインナパネル2bとを結合した構造のもので、車体後端部3に形成されたドア開口3aを開閉するものであり、該ドア開口3aの周縁にはバックドア2との間をシールするウェザストリップ5が装着されている。
【0013】
また上記バックドア2の上半部には幅広のウィンド開口2cが形成されており、該ウィンド開口2cにはウィンドガラス4が配設されている。上記ストップランプ1はバックドア2のウィンド開口2c上辺部のウィンドガラス4の車室A側に位置するよう配置されている。
【0014】
上記ストップランプ1は、車両後方から見ると、概ね船型をなしており、内表面にアルミ蒸着による反射面が形成された横断面碗状の樹脂製ハウジング7のレンズ開口7aにレンズ8を固着した構造のものである。上記ハウジング7の上壁部7bの車幅方向中央部にはバルブ9が装着されたプラグ10が着脱可能に装着されており、該プラグ10にはバルブ9に電源を供給するハーネス11が接続されている。また上記上壁部7bには複数の切欠き開口7cが形成されている。
【0015】
上記レンズ8の上縁には上方に段付き状に延びる段部8aが形成されており、該段部8aは上記バックドア2のウィンド開口2cの上辺縁より覆われている。これによりレンズ8のみ外方に露出している。
【0016】
上記ハウジング7の上壁部7bの車幅方向左端部には非弾性部7c′と弾性部7c″とからなる概ね下向きV字状の取付け片7cが突出形成されている。この各弾性部7c′,7c″の基部には係合溝7d,7eが形成されている。また上記上壁部7bの右端部には車両前方に突出する締結片7gが一体が形成され、該締結片7gには締結孔7fが形成されている。
【0017】
上記バックドア2のドアインナパネル2bの上記取付け片7c,締結片7gに対応する部分には取付け孔2d,2eが形成されている。そして上記ハウジング7は、図5,図6に示すように、取付け片7cを内側に弾性変形させて取付け孔2d内に挿入するとともに係合溝7d,7eに取付け孔2dの縁部を係合させることにより位置決め支持され、さらに上記締結片7gに挿着されたスクリュウ13を取付け孔2eを介してドアインナパネル2bに締結することにより取付け固定されている。
【0018】
上記ハウジング7の左右側部には車両前方に略水平に延びる係合片7h,7hが一体形成されており、該各係合片7h,7hには四角形状の係合孔7h′,7h′が形成されている。またハウジング7の左右下端部には車両前方に突出する突起7i,7iが一体形成されている。
【0019】
上記ハウジング7には樹脂製カバー部材15が装着されており、このカバー部材15によりハウジング7の車室A側に露出する部分が覆われている。上記カバー部材15はレンズ8の下縁に沿う大略船底形状の底壁15aと、該底壁15aの前縁から斜め上方に湾曲して延びる縦壁15bとを有する横断面碗状のものであり、該縦壁15bの上端はドアインナパネル2bに当接又は近接している。
【0020】
上記カバー部材15内の底壁15aの左右端部には斜め上後方に突出する位置決め支持片15c,15cが一体形成されており、各位置決め片15cには上記ハウジング7の突起7iが係合している。
【0021】
上記カバー部材15の底壁15aと縦壁15bとの境界部には斜め上後方に延びる左右一対の嵌合爪15d,15dが起立形成されている。この左右の嵌合爪15dは、前後一対の帯板状爪部15e,15fを車外側に一体形成されたリブ15gにより連結した構造となっており、このリブ15gにはスリット15hが形成されている。これにより各爪部15e,15fの剛性を確保しつつ前後方向における弾性変形を許容する構造が実現されている。
【0022】
上記後側の爪部15fの左右側面は上記係合片7hの係合孔7h′の左右内面に当接しており、これにより車幅方向への移動が阻止されている。また前側の爪部15eは後側の爪部15fより車幅寸法が若干短く設定されている。
【0023】
そして上記前側の爪部15eと縦壁15bとの間には板状の押圧力伝達片15iが一体に架け渡して形成されている。この押圧力伝達片15iは、カバー部材15に車室A側から押圧力Fを上記爪部15eに伝達することにより、該爪部15eを嵌合解除方向bに弾性変形させるよう構成されている。ここで、上記押圧力伝達片15iは爪部15e又は縦壁15bの何れか一方に一体形成し、他方との間に若干の隙間をあけて形成してよく、要は上記押圧力を伝達できれば何れの形状,大きさであってもかまわない。
【0024】
また上記縦壁15bの車室A側表面の上記押圧力伝達片15iに臨む部分には凸部15jが形成されている。この凸部15jは押圧箇所を示すマーキングとして機能するとともに、カバー部材15を射出成形する際のひけ防止として機能している。
【0025】
次に本実施形態の作用効果を説明する。
【0026】
カバー部材15を取付けるには、先にハイマウントストップランプ1をバックドア2に取付ける。この場合、ハウジング7の取付け片7cをドアインナパネル2bの取付け孔2d内に係合させて位置決めし、この状態で締結片7gをスクリュウ13によりドアインナパネル2bに締結固定する。
【0027】
次いでハウジング7にカバー部材15を斜め下方(図4の矢印a方向)から装着する。具体的には、左右の位置決め支持片15c,15cにハウジング7の突起7iを係合させ、左右の嵌合爪15dを係合片7hの係合孔7h′内に押し込む。すると前後の爪部15e,15fが互いに内側に弾性変形して係合孔7h′の縁部に係合する。このようにしてカバー部材15を取付ける。
【0028】
カバー部材15を取り外すには、車室A側からカバー部材15の凸部15jを指で押し、カバー部材15に押圧力Fを加える。すると押圧力Fが押圧力伝達片15iを介して後側の爪部15eに伝達され、該爪部15eが車両後側(図4の矢印b方向)に弾性変形し、これにより嵌合が解除される。この状態でカバー部材15を下方に引き抜くこととなる。このようにしてバルブ9の交換を行う。
【0029】
このように本実施形態によれば、カバー部材15の縦壁15bと後側爪部15eとの間に押圧力伝達片15iを架け渡して一体形成し、縦壁15bの凸部15jを車室A側から押圧することにより上記押圧力伝達片15iを介して爪部15eを嵌合解除方向bに弾性変形させたので、カバー部材15を指で押圧することにより、ハウジング7との嵌合を解除することができ、カバー部材15やハウジング7を傷つけたりすることなく容易に取り外すことができる。
【0030】
また上記押圧力伝達片15iをカバー部材15と嵌合爪15dとの間に一体形成したので、カバー部材15の成形時に同時に形成でき、簡単な構造で実現できるとともにコストの上昇を防止できる。
【0031】
本実施形態では、上記縦壁15bの車室側表面の上記押圧力伝達片15iに臨む部分に凸部15jを形成したので、この凸部15jが押圧箇所を示すマーキングとして機能するとともに、カバー部材15を射出成形する際のひけ防止として機能することとなる。
【0032】
なお、上記実施形態では、車両構成部品としてハイマウントストップランプを例にとって説明したが、本発明の適用範囲はこれに限られるものではなく、車体に取付けられた車両構成部品の車室側露出部分をカバー部材により覆うようにした場合であれば何れにも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態によるハイマウントストップランプの車両後方から見た正面図である。
【図2】上記ハイマウントストップランプの平面図である。
【図3】上記ハイマウントストップランプのカバー装着状態の断面図(図1のIII-III 線断面図)である。
【図4】上記ハイマウントストップランプのカバー装着状態の断面図(図1のIV-IV 線断面図) である。
【図5】上記ハイマウントストップランプのカバー装着状態の断面図(図1のV-V 線断面図)である。
【図6】上記ハイマウントストップランプのカバー装着状態の断面図(図1のVI-VI 線断面図) である。
【図7】上記カバー部材の平面図である。
【図8】従来の一般的なカバー構造を示す断面図である。
【符号の説明】
1 ハイマウントストップランプ(車両構成部品)
2 バックドア(車体)
7h′ 係合孔
15 カバー部材
15d 嵌合爪
15i 押圧力伝達片
A 車室
Claims (1)
- 車体に取付けられた車両構成部品の少なくとも車室側露出部分をカバー部材により覆うようにした車両構成部品のカバー構造において、上記車両構成部品に係合孔を形成し、上記カバー部材に、上記係合孔内に押し込むことにより、該係合孔の縁部に嵌合する嵌合爪を起立形成し、
該嵌合爪とカバー部材との間に、前記嵌合爪の押し込み方向と略直交する嵌合解除方向に前記カバー部材を外方から押圧することにより、上記嵌合爪を上記嵌合を解除する方向に弾性変形させる押圧力伝達部を設けたことを特徴とする車両構成部品のカバー構造。
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