JP4176467B2 - 炭水化物ポリマーの比較分析のための方法 - Google Patents

炭水化物ポリマーの比較分析のための方法 Download PDF

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Description

【0001】
(発明の分野)
本発明は、一般に、多糖類を含む分子を分析するための方法に関し、そしてより特定すると、レクチンのような糖類結合因子を使用することに基づく多糖類の分析方法に関する。
【0002】
(発明の背景)
多糖類は、グリコシド結合を介してお互いに結合した単糖類(糖)単位を含むポリマーである。これらのポリマーは、単糖類サブユニットの直鎖状配列に関して記載され得る構造を有し、このことは多糖類の二次元構造として公知である。多糖類はまた、それらの成分の単糖類サブユニットにより空間的に形成される構造に関して記載され得る。
【0003】
多糖類を形成する一連の単糖類は、2つの異なる末端を有する。一方の末端はアルデヒド基を含み、そして還元性末端として公知である。もう一方の末端は非還元性末端として公知である。多糖類の鎖はまた、多糖類鎖に結合される糖単位がヘキソースの場合、C1、C2、C3、C4またはC6原子のうちの任意のものと結合され得る。さらに、ある所定の単糖類は2を超える異なる単糖類と結合され得る。その上、C1原子への結合は、α配置またはβ配置のどちらかであり得る。従って、炭水化物ポリマーの二次元構造および三次元構造の両者は、高度に複雑であり得る。
【0004】
多糖類の構造決定は、糖生物学の発展に基本的に重要である。糖生物学における研究は、細菌の細胞壁合成に影響する抗生物質の同定および特定、血液グリカンの同定および特定、ウイルス疾患および自己免疫疾患(例えば、インスリン依存性糖尿病、慢性関節リウマチおよび(例えば、癌で起こる)異常細胞増殖)に関係する増殖因子および細胞表面レセプター構造の同定および特定と同程度に多岐に渡る課題と関係する。
【0005】
多糖類はまた、コンタクトレンズ、人工皮膚およびプロテーゼデバイス用の生物材料の開発において使用されている。さらに、多糖類は多くの非医療分野(例えば、製紙業)において使用される。さらに、無論、食料産業および薬品産業が莫大な量の様々な多糖類および少糖類を使用する。
【0006】
上記分野の全てにおいて、改良された糖類分析技術が必要である。糖類分析情報は、例えば、品質管理、研究における構造決定、および構造−機能分析を実施することに対して、有用である。
【0007】
多糖類の構造的な複雑さは、それらの分析の障害となっている。例えば、糖類は鋳型非依存的な機構にて合成されると考えられる。従って、構造情報の無い場合、研究者は、今日まで公知であるあらゆる糖類単位から構成単位が選択されることを想定しなければならない。さらに、これらの単位は、合成中に、例えば硫酸基の付加によって、改変され得る。
【0008】
第2に、糖類は、糖類に結合される糖単位がヘキソースである場合、あらゆる炭素部分(例えば、C1原子、C2原子、C3原子、C4原子、またはC6原子)で結合され得る。さらに、C1原子への結合は、α配置またはβ配置のどちらかであり得る。
【0009】
第3に、糖類は分岐し得、このことは、糖単位の判明した数および種類を有する、糖類の構造および可能性ある構造の数をさらに複雑にする。
【0010】
第4の困難は、糖単位がヒドロキシル基(エピマー)の位置によってのみ別のものと区別され得るように、多くの糖の間の構造における差異が微細であるという事実より提供される。
【0011】
そのような糖類結合因子の複数の使用は、基盤に固定されるにせよ、そして/または第2(可溶性の)糖類結合因子として使用されるにせよ、単糖類の「フィンガープリント」を提供することにより、目的の炭水化物ポリマーを同定する。次いで、そのようなフィンガープリントは、その炭水化物ポリマーについてのさらなる情報を得るために分析され得る。残念ながら、炭水化物ポリマーのフィンガープリントについてのデータの特徴付け過程および解読過程は、例えばDNAのような、他の生物学的ポリマーについてよりもさらにずっと複雑である。特徴付けを目的として、DNAサンプルに対してDNAプローブを結合させることとは異なり、炭水化物ポリマーのフィンガープリントは、必ずしも炭水化物ポリマー自身の成分の直接的な表示でない。適切な条件下において、プローブがDNAを認識し、そして結合することは、かなり直接的な過程であるので、DNAプローブの結合は、DNAサンプル自身の配列について、比較的直接的な情報を提供する。従って、プローブの結合より得られる、DNA「フィンガープリント」は、サンプル中の実際のDNA配列についての直接的な情報を生み出し得る。
【0012】
対照的に、炭水化物ポリマーへの薬剤の結合は、あまり直接的でありそうではない。これまでに記載されるように、炭水化物ポリマーは分岐し得るので、炭水化物ポリマーの二次元構造(配列)ですら、DNAの配列よりも複雑である。これらの分岐は明らかにポリマーの三次元構造に影響し、そしてそれ故に結合因子に対する認識部位の構造に影響する。さらに、結合因子による炭水化物ポリマー上の結合性エピトーブの認識は、エピトーブを囲む分子の部位の「近隣のもの」によって影響され得る。従って、目的の炭水化物ポリマーへの薬剤の結合についての、そのような「フィンガープリント」データの分析は、例えばDNAプロ−ブの結合に対するデータよりも、明らかにより困難である。
【0013】
この問題に対する有用な解決策があれば、フィンガープリントデータが炭水化物ポリマーを特徴付けるために分析されることが可能となる。そのような分析は、糖類結合因子を炭水化物ポリマーとインキュベートする従来記載された工程より得られる生データを、それ自身が情報を含むフィンガープリントへと変換する必要がある。フィンガープリントはまた、異なる組み合わせの実験条件にわたる比較のために、そして異なる型の糖類結合因子のために、標準化される必要がある。残念ながら、そのような解決策は現在では使用可能ではない。
【0014】
これらの困難にもかかわらず、糖類の構造分析のための多くの方法が開発された。例えば、PCT出願第WO93/24503号は、還元性末端の単糖類をそのケト型またはアルデヒド型に変換し、次いで少糖類鎖中の単糖類とその隣の単糖類との間のグリコシド結合をヒドラジンを使用して切断することにより、少糖類の還元性末端より単糖類単位が連続して外されるという方法を開示する。遊離した単糖類は少糖類鎖から分離され、そしてクロマトグラフィー方法により同定される。この工程は、全ての単糖類が切断されるまで次いで繰り返される。
【0015】
PCT出願第WO93/22678号は、未知の少糖類の基本構造についての仮説を立て、そして次いで多くの配列決定ツール(例えば、グリコシダーゼ)から最も多量の構造情報を得ると予測されるツールを選択することにより、未知の少糖類の配列決定を行う方法を開示する。この方法は、少糖類の構造に関して幾つかの基礎情報(通常は単糖類の組成)を必要とする。この方法はまた、配列決定用の試薬を用いた反応が高額で時間が掛かり、そして従ってこれらの費用を低下させる方法の必要性があるという事実を例示する。
【0016】
PCT出願第WO93/22678号は、VLSIチップ上に固定化されたプローブ(例えば、オリゴデオキシヌクレオチド)のモノリシックアレイをプローブすることにより分子を検出する方法を開示する。この公報は、非常に多くのプローブが固定化された表面に結合され得ること、およびVLSIチップ上の論理的回路を使用する様々な方法により、分析物とのそれらプローブの反応が検出されることを教示する。
【0017】
欧州特許出願第421,972号は、少糖類の1つの末端を標識すること、標識された少糖類をアリコートに分配すること、およびそれぞれのアリコートを異なる試薬混合物(例えば、グリコシダーゼ混合物)と処理すること、異なる反応混合物を溜めること、そして次いでクロマトグラフィー方法を使用して反応生成物を分析することによる、少糖類の配列決定の方法を開示する。この方法は、糖鎖がタンパク質に連結する部位でN結合型グリカンが共通の構造を有するようなN結合型グリカンに対してのみ有用である。O結合型グリカンはより多様であり、そしてこの方法は、基本構造により広い多様性を有する、O結合型グリカンのような少糖類に対しては未だ適応されていない。
【0018】
従って、多糖類に結合する薬剤を同定するための正確なハイスループットの方法を使用した、多糖類を特徴付けるための系および方法が必要とされる。
【0019】
(発明の要旨)
本発明は、所定の炭水化物ポリマーに結合する薬物を短時間で正確に同定する方法の発見に一部基づく。また、本発明により、糖類結合因子に対する結合パターンに基づいた炭水化物ポリマーのフィンガープリントを作製する方法も提供される。
【0020】
1つの局面では、本発明は、第1炭水化物ポリマーおよび第2炭水化物ポリマー(例えば、第1糖タンパク質および第2糖タンパク質、または、第1多糖類および第2多糖類)の関連性を決定する方法を特徴とする。その方法は、第1炭水化物ポリマーの第1フィンガープリントを提供する工程を包含し、ここで第1フィンガープリントは、第1炭水化物ポリマーに関する、少なくとも第1糖類結合因子の結合情報、および第2糖類結合因子の結合情報を包含する。第2炭水化物ポリマーの第2フィンガープリントもまた提供される。第2フィンガープリントは、第2炭水化物ポリマーに関する、少なくとも第1糖類結合因子および第2糖類結合因子の結合情報を含む。
【0021】
第1フィンガープリントおよび第2フィンガープリントは、第1糖タンパク質および第2糖タンパク質が第1糖類結合因子に結合するかどうか、ならびに、第1糖タンパク質および第2糖タンパク質が第2糖類結合因子に結合するかどうかを決定することにより比較される。第1フィンガープリントと第2フィンガープリントとの間の類似性は、第1糖タンパク質および第2糖タンパク質の関連性を示す。
【0022】
さらなる局面において、本発明は、試験炭水化物ポリマーの第1フィンガープリントを提供することにより炭水化物ポリマー(例えば、糖タンパク質、多糖類、または糖脂質)を同定する方法を特徴とし、ここで、第1フィンガープリントは、第1炭水化物ポリマーに関する、少なくとも第1糖類結合因子の結合情報および第2糖類結合因子の結合情報を含む。第1フィンガープリントは少なくとも1つの参照フィンガープリントと比較され、ここで、参照炭水化物ポリマーのフィンガープリントは、少なくとも1つの参照炭水化物ポリマーに関する、少なくとも第1糖類結合因子および第2糖類結合因子の結合情報を含む。同様に、第1フィンガープリントと参照フィンガープリントとの間で類似の(例えば、同一な)フィンガープリントは、試験炭水化物ポリマーが参照炭水化物ポリマーに類似であること、例えば同一であること、を示す。
【0023】
なおさらなる局面において、本発明は、試験炭水化物ポリマーの第1フィンガープリントを提供することにより、炭水化物ポリマー(例えば、糖タンパク質、多糖類、または糖脂質)を改変する方法を包含する。第1フィンガープリントは、第1炭水化物ポリマーに関する、少なくとも第1糖類結合因子の結合情報および少なくとも第2糖類結合因子の結合情報を含む。
【0024】
第1フィンガープリントは、少なくとも1つの参照フィンガープリントと比較される。参照フィンガープリントは、参照炭水化物ポリマーに関する、少なくとも第1糖類結合因子の結合情報および第2糖類結合因子の結合情報を包含し得る。第1フィンガープリントと参照フィンガープリントとの間の差異が同定される。試験炭水化物ポリマーは、次いで、そのフィンガープリントが所望される場合、参照炭水化物ポリマーのフィンガープリントに関して増加または減少されるように改変される。
【0025】
本発明において、炭水化物ポリマーを含む化合物(例えば、糖タンパク質)の合成方法もまた包含される。例えば、1つの実施形態において、本発明は、ポリペプチドを提供すること、および/またはポリペプチドに炭水化物ポリマーを結合させて、所望される改変糖タンパク質を作製することにより、糖タンパク質を作製する工程を包含する。
【0026】
さらなる局面において、本発明は、炭水化物ポリマーを特徴付ける方法を特徴とする。炭水化物ポリマーは、第1糖類結合因子と炭水化物ポリマーとの間で第1複合体の形成を可能とする条件下において、表面上の予め決定された位置に結合した少なくとも1つの第1糖類結合因子を含む表面と接触される。その表面は次いで、第1複合体と第2糖類結合因子との間で第2複合体の形成を可能とする条件下において、少なくとも1つの第2糖類結合因子と接触される。第1糖類結合因子および第2糖類結合因子はついで同定され、それによって炭水化物ポリマーを特徴付ける。
【0027】
本発明により、炭水化物ポリマーを第1糖類結合因子と接触させる工程、この炭水化物ポリマーが糖類結合因子に結合するかどうかを決定する工程、炭水化物ポリマーを第2糖類結合因子と接触させる工程、および炭水化物ポリマーが第2糖類結合性試薬に結合するかどうかを決定する工程により、炭水化物ポリマーのフィンガープリントを製作する方法が提供される。第1糖類結合因子および第2糖類結合因子の同定は、炭水化物ポリマーのフィンガープリントを製作するために使用される。
【0028】
好ましい実施形態において、本明細書に記載される方法にて使用されるフィンガープリントは、炭水化物ポリマーを提供する工程、および炭水化物ポリマーを第1糖類結合因子と接触させる工程を包含する方法により同定される。次いで、炭水化物ポリマーが第1糖類結合因子と結合するか否かに関して決定がなされる。
【0029】
炭水化物ポリマーはまた、好ましくは検出可能な標識を含む第2糖類結合因子と接触される。炭水化物ポリマーが第2糖類結合因子と結合するか否かについてもまた、決定がなされる。第1糖類結合因子および第2糖類結合因子の結合に関して集められた情報は、炭水化物ポリマーのフィンガープリントを製作するために編集される。
【0030】
より好ましい実施形態において、第1および第2の糖類結合因子の結合は、表面上の予め決定された位置に結合された、少なくとも1つの第1糖類結合因子を含む表面を提供すること、および第1糖類結合因子と炭水化物ポリマーとの間で第1複合体の形成を可能とする条件下において、表面を炭水化物ポリマーと接触させることにより、決定される。表面はまた、第1複合体と第2糖類結合因子との間で第2複合体の形成を可能とする条件下において、少なくとも1つの第2糖類結合因子と接触される。表面上の特定の位置での第2結合因子の同定は、表面のその位置に結合された、対応する第1糖類結合因子の同定もまた可能とする。
【0031】
別の局面において、本発明は、(炭水化物ポリマー)を含む生物学的サンプルを試験薬剤と接触させること、およびサンプル中の1つ以上の炭水化物ポリマーの1つの炭水化物ポリマーフィンガープリントを同定することにより、炭水化物ポリマーの構造を調節する薬剤を同定する方法が提供される。炭水化物ポリマーフィンガープリントは、薬剤と接触されない試料中の炭水化物ポリマーの1つの炭水化物ポリマーフィンガープリントと比較される。炭水化物ポリマープロフィールにおける差異は、存在する場合には、試験フィンガープリントおよび参照フィンガープリントにおいて同定される。フィンガープリントプロフィールにおける差異は、試験薬剤が炭水化物ポリマーの構造を調節することを示す。
【0032】
本発明によりまた、炭水化物ポリマーに関連した病態生理学のための候補治療剤を同定する方法を特徴とする。その方法は、炭水化物ポリマーを含む試験生物学的サンプルを提供する工程、および試験の生物学的サンプルを試験薬剤と接触させる工程を包含する。生物学的サンプル中の1つ以上の炭水化物ポリマーの炭水化物ポリマーフィンガープリントは、同定され、そして病態生理学的機能が既知である参照生物学的サンプル中の1つ以上の炭水化物ポリマーからの1つの炭水化物ポリマープロフィールフィンガープリントと比較される。炭水化物フィンガープロフィールにおける差異は、存在する場合は、試料生物学的サンプルおよび参照の生物学的サンプル中にて同定され、それにより炭水化物ポリマーと関連した病体生理学についての治療剤を同定する。
【0033】
さらなる局面において、本発明は、被験体より炭水化物ポリマーを含む生物学的サンプルを提供すること、および試験生物学的サンプルを試験薬剤と接触させることにより、被験体において炭水化物ポリマーに関連する病態生理を処置するためにふさわしい、個別に処方した治療剤を同定する方法を特徴とする。生物学的サンプルにおける1つ以上の炭水化物ポリマーの炭水化物ポリマーフィンガープリントは同定され、病態生理学的な状態が既知である参照生物学的サンプル中の1つ以上の炭水化物ポリマーの炭水化物ポリマーフィンガープリントに対して比較される。そして試験生物学的サンプル中に炭水化物フィンガープリントのプロフィールおよび参照の生物学的サンプルにおける差異を、存在する場合には同定する。
【0034】
また本発明中に、炭水化物ポリマーに関連した病態生理の処置の有効性を評価する方法がある。その方法は、被験体より炭水化物ポリマーを含む試験生物学的サンプルを提供する工程、およびを炭水化物ポリマーの炭水化物フィンガープリントを決定する工程を包含する。炭水化物フィンガープリントは、参照炭水化物フィンガープリント(ここで参照炭水化物ポリマーフィンガープリントは、病態生理学的状況が既知である炭水化物ポリマーに由来する)と比較され、それにより被験体において病態生理の処置の有効性が評価される。
【0035】
また本発明中に、被験体中の炭水化物ポリマー媒介性の経路と関連した病態生理学の処置の方法があり、この方法は、患者中の炭水化物ポリマーを調節する薬剤を被験体に投与する工程を包含し、ここで、その調節は患者中の炭水化物フィンガープリントを変更する。患者は好ましくはヒトの患者である。
【0036】
また本発明中に、炭水化物ポリマーの構造を調節する薬剤を同定する方法がある。その方法は、炭水化物ポリマーを含む生物学的サンプルを提供する工程、および試験薬剤とサンプルとを接触させる工程を包含する。サンプル中の1つ以上の炭水化物ポリマーの炭水化物ポリマーフィンガープリントが同定され、薬剤と接触されないサンプル中の1つ以上の炭水化物ポリマーの炭水化物ポリマーフィンガープリントに対して比較される。炭水化物フィンガープリントプロフィールにおける差異は、存在する場合は、試験フィンガープリントおよび参照フィンガープリントにおいて同定され、これによって炭水化物ポリマーの構造を調節する薬剤を同定する。
【0037】
本発明はまた、炭水化物ポリマーを発現し得る細胞を含む試験生物学的サンプルを提供すること;生物学的サンプルを試験薬剤と接触させること;生物学的サンプル中の1つ以上の炭水化物ポリマーの炭水化物ポリマーフィンガープリントを同定すること;この炭水化物ポリマーフィンガープリントを、病態生理学的状態が既知の少なくとも1つの細胞を含む参照生物学的サンプル中の1つ以上の炭水化物ポリマーの炭水化物ポリマーフィンガープリントと比較すること;そして試験生物学的サンプルおよび参照生物学的サンプル中の炭水化物フィンガープリントプロフィールにおける差異(存在する場合)を同定し、それにより、炭水化物ポリマーに関連する病態生理のための治療剤を同定することによって、炭水化物ポリマーに関連した病態生理に対する候補治療剤の候補を同定する方法を提供する。
【0038】
本明細書においてまた、被験体中の炭水化物ポリマーに関連する病態生理を処置するために適した個々に処方した治療剤を同定する方法が提供される。その方法は、被験体より炭水化物ポリマーを含む生物学的サンプルを提供する工程;試験生物学的サンプルを試験薬剤と接触させる工程;生物学的サンプル中の1つ以上の炭水化物ポリマーの1つの炭水化物ポリマーフィンガープリントを同定する工程;この炭水化物ポリマーフィンガープリントを、病態生理学的な状態が既知である参照の生物学的サンプル中の1つ以上の炭水化物ポリマーの炭水化物の炭水化物ポリマーフィンガープリントと比較する工程;そして存在する場合には試験生物学的サンプルおよび参照生物学的サンプル中の炭水化物フィンガープリントプロフィールにおける差異を同定し、それによって被験体のための個別に処方した治療剤を同定する工程、を包含する。
【0039】
さらなる局面において、本発明は炭水化物ポリマーに関連する病態生理の処置の有効性を評価する方法を包含する。その方法は、被験体より炭水化物ポリマーを含む試験生物学的サンプルを提供する工程;炭水化物ポリマーの炭水化物フィンガープリントを決定する工程;そしてこのポリマーの炭水化物フィンガープリントを参照炭水化物フィンガープリントと比較し(ここで、参照炭水化物ポリマーフィンガープリントは、病態生理状態が既知である炭水化物ポリマーに由来する)、それにより、被験体における病態生理の処置の有効性を評価する工程を包含する。
【0040】
さらなる局面において、本発明は、患者における炭水化物ポリマーの活性またはレベルを調節する薬剤を被験体に投与することにより、被験体における炭水化物ポリマー媒介性の経路に関連する病態生理の処置の方法を包含する。ここで、この調節は、患者における炭水化物ポリマーフィンガープリントを変更する。
【0041】
好ましい実施形態において、本明細書に記載された方法にて同定されまたは利用されるフィンガープリントの少なくとも1つは、複数のアドレス(各々のアドレスは糖類結合因子の炭水化物ポリマーに対する結合に関係する多くの数値を含む)を特徴とし、そしてフィンガープリントは以下の工程を包含する方法によって分析される:(a)フィンガープリントの第1アドレスを少なくとも他のアドレスと結びつけて、マップを作成する工程;(b)第1アドレスが少なくとも1つの他のアドレスと一致する場合、マップが内部的に一致すると決定する工程;(c)工程(a)および工程(b)を少なくとも1度繰り返して、少なくとももう1つのマップを形成する工程;(d)上記マップを少なくとももう1つのマップと比較して、これらのマップが相互に一致するかどうかを決定する工程;ならびに(e)任意の相互に一致しないマップを除外する工程。好ましい実施形態において、その方法はさらに次の工程を包含する:(f)第2アッセイより実験データを受取る工程;(g)実験データを変換して第2フィンガープリントを形成する工程;(h)第2フィンガープリントを用いて工程(a)および工程(b)を実施して、第2フィンガープリントマップを形成する工程;(i)上記マップを第2フィンガープリントマップと比較して、これらのマップが相互に一致するかどうかを決定する工程;ならびに(j)任意の相互に一致しないマップを排除する工程。
【0042】
所望される場合、工程(g)は、(i)実験データの形式を分析する工程;(ii)形式が数値の形式ではない場合、実験データを少なくとも1つの数値に変換する工程;ならびに(iii)少なくとも1つの数値より第2フィンガープリントを作出する工程、をさらに包含し得る。
【0043】
いくつかの実施形態において、第2アッセイからの実験データは、既知の機能、既知の配列またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを有する既知の炭水化物ポリマーに対して、糖類結合因子を接触させることにより得られる。
【0044】
いくつかの実施形態において、第2アッセイは炭水化物ポリマーに関して同一な実験条件下で実施される。
【0045】
いくつかの実施形態において、第2アッセイは、炭水化物ポリマーに対する特定の炭水化物ポリマー物質(糖類結合因子の炭水化物ポリマーへの結合に関して同一である特定の炭水化物ポリマー物質)について、実施される。
【0046】
いくつかの実施形態において、比較する工程は、外部データをサンプルの炭水化物ポリマーフィンガープリントに組み込む工程を包含し、ここでフィンガープリントは複数のアドレスを特徴とし、各々のアドレスは糖類結合因子の、サンプルの炭水化物ポリマーへの結合に関係する数値であり、その方法は以下の工程を包含する:(a)外部データを変換して、外部フィンガープリントを形成する工程であって、この外部データは、炭水化物ポリマーに対して行われた少なくとも1つのアッセイを含む、工程;(b)外部フィンガープリントを、サンプルの炭水化物ポリマーに対するフィンガープリントと比較する工程;ならびに(c)外部のフィンガープリントが、サンプルの炭水化物ポリマーのフィンガープリントと一致するかどうかを決定する工程。
【0047】
いくつかの実施形態において、工程(a)はさらに以下の工程を包含する:(i)外部データの形式を分析する工程;(ii)形式が数値形式でない場合、外部データを少なくとも1つの数値に変換する工程;および(iii)少なくとも1つの数値から外部のフィンガープリントを作出する工程。
【0048】
あるいは、形式が数値の形式でない場合、外部フィンガープリントは外部データより直接作出され得る。
【0049】
いくつかの実施形態において、その方法は、さらに以下の工程により、炭水化物ポリマーを特徴付けるためのマップを製作する工程を包含する:(a)炭水化物ポリマーをフィンガープリントを用いて特徴付ける工程であって、そのフィンガープリントは多くのアドレスを特徴とし、各々のアドレスは炭水化物ポリマーについて実施された実験アッセイからのアッセイデータより得られる数値を含む、工程;(b)フィンガープリントに従い、多くのマップを製作する工程;(c)炭水化物ポリマーを特徴付けるために追加データを獲得する工程;(d)各々のマップが追加データに一致するかどうかを決定する工程;および(e)マップが追加データに一致しない場合、マップを棄却する工程。好ましくは、各々のマップは複数の要素を含み、各々の要素は、炭水化物ポリマーの少なくとも一部分の機能、炭水化物ポリマーの少なくとも一部分の配列の炭水化物ポリマーの少なくとも一部分の構造、およびそれらの組み合わせ、からなる群より選択される、炭水化物ポリマーの少なくとも1つの機能を含む。
【0050】
いくつかの実施形態において、炭水化物ポリマーは複数の単糖類を有する配列の特徴とし、マップがその配列の少なくとも一部を特徴とするような配列の、少なくとも一部分に対する配列情報に従って、工程(b)が実施される。
【0051】
いくつかの実施形態において、炭水化物ポリマーの少なくとも1つの機能性エピトープに従って工程(b)が実施され、少なくとも1つの機能性エピトープは、マップが機能性エピトープを特徴とするような機能を有する炭水化物ポリマーの少なくとも一部分である。
【0052】
いくつかの実施形態において、炭水化物ポリマーは複数の単糖類を有する配列の特徴とし、そして、マップが機能性エピトープおよび少なくとも配列の一部の両方を特徴とするような、配列の少なくとも一部の配列情報に従って工程(b)がまた実施される。
【0053】
好ましくは、工程(c)は、炭水化物ポリマー上で実行される少なくとも1つのさらなる実験的アッセイからのアッセイデータを用いて実行される。
【0054】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つのアッセイが、炭水化物ポリマーへの糖類結合因子の結合を決定するためであり、その結果、このアッセイデータは、炭水化物ポリマーへの糖類結合因子の結合が生じるか否かの検出から得られる。
【0055】
いくつかの実施形態において、この実験的アッセイは、炭水化物ポリマーに対して特異的な炭水化物ポリマー材料において実行され、そして少なくとも1つのさらなる異なるアッセイがまた、フィンガープリントに対するさらなるデータの直接的な比較のために工程(c)に対して特異的な炭水化物ポリマー材料において実行される。
【0056】
好ましい実施形態において、この炭水化物ポリマーは、複数の単糖類を有する配列を特徴とし、そしてここで工程(c)は、既知の機能、既知の配列、またはそれらの組み合わせの少なくとも1つを有する既知の炭水化物ポリマーにおいて実行される。
【0057】
好ましい実施形態において、この実験的なアッセイは、炭水化物ポリマーに対して特異的な炭水化物ポリマー材料において実行され、そしてこの実験的なアッセイはまた、フィンガープリントに対するさらなるデータの直接的な比較のために工程(c)について既知の炭水化物ポリマー上において実行される。いくつかの実施形態において、このマップは、炭水化物ポリマーの全体的な特徴に関連する。
【0058】
好ましくは、同定する工程はさらに、炭水化物ポリマーについてのマップを構築する工程を包含し、この方法は以下の工程を包含する:(a)炭水化物ポリマーにおいて実行される少なくとも1つの実験的アッセイから得られるアッセイデータに従って、炭水化物ポリマーを特徴付ける工程;(b)アッセイデータを、各アドレスがアッセイデータの値を特徴付ける複数のアドレスに分解する工程;(c)各アドレスを少なくとも1つの他のアドレスと結びつけることによって、複数のマップを形成する工程;および(d)炭水化物ポリマーの少なくとも1部の機能、炭水化物ポリマーの少なくとも1部の配列、炭水化物ポリマーの少なくとも1つの構造、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される炭水化物ポリマーの特徴に対して、各アドレスでの値を相関させることによって、各マップを特性ベクトルに変換する工程。
【0059】
好ましい実施形態において、工程(c)は、マップのためのアドレスの組み合わせ全てを決定するために徹底的に実行される。あるいは、またはさらに、工程(c)は、帰納的に実行される。
【0060】
好ましい実施形態において、工程(c)は、この特性が存在するか否かを決定するために、特性ベクトルのための少なくとも1つのテンプレートに対して、このアッセイを比較することによって実行される。
【0061】
この方法は、さらに以下の工程を含む方法によって炭水化物ポリマーについてマップを構築する工程を含み得る:(a)炭水化物ポリマーについての特徴データを提供する工程;(b)特徴データから複数のマップを誘導する工程;(c)炭水化物ポリマーを特徴付けるためのさらなるデータを得る工程;(d)さらなるデータが複数のマップのそれぞれと一致するか否かを決定する工程;(e)さらなるデータがマップと一致しない場合、そのマップを除外する工程;および(f)さらなるマップがさらなるデータおよび各残りのマップと一致する場合に限り、さらなるマップを加える工程。
【0062】
この方法は、既知の機能、既知の配列、またはこれらの組み合わせの少なくとも1つを有する既知の炭水化物ポリマーに従って、サンプルの炭水化物ポリマーを特徴付ける工程をさらに含み得る。この方法は、以下の工程を含む:(a)アッセイデータを得るために、サンプルの炭水化物ポリマーについて少なくとも1つの実験的アッセイを実行する工程;(b)比較のアッセイデータを得るために、既知の炭水化物ポリマーについて同一の実験アッセイを実行する工程;および(c)アッセイデータを比較のアッセイデータを比較することによって、既知の炭水化物ポリマーに照らしてサンプルの炭水化物ポリマーを特徴付ける工程。
【0063】
好ましくは、少なくとも1つの実験アッセイが、同一の実験アッセイとして同一のアッセイ条件下で実行される。
【0064】
特定の好ましい実施形態において、少なくとも1つの実験的アッセイは、炭水化物ポリマーおよび既知の炭水化物ポリマーに対する糖類結合因子の結合を測定するための少なくとも1つのアッセイを含む。
【0065】
好ましい実施形態において、炭水化物ポリマーのフィンガープリントは以下を包含する方法によって同定される:第1の炭水化物ポリマーを提供する工程;第1の炭水化物ポリマーを第1の糖類結合因子と接触させる工程;第1の炭水化物ポリマーが第1の糖類結合因子と結合するか否かを測定する工程;炭水化物ポリマーを、第2の糖類結合因子と接触させる工程で、ここで第2の糖類結合因子が、検出可能な標識を包含する工程;および第1の炭水化物ポリマーが、第2の糖類結合因子に結合するか否かを決定する工程で、これによって炭水化物ポリマーのフィンガープリントを作成する工程。
【0066】
本明細書中に開示されるように、この方法は、炭水化物ポリマーを、少なくとも5つの糖類結合因子と接触させる工程、および炭水化物ポリマーが少なくとも5つの各糖類結合因子に結合するか否かを測定する工程をさらに含み得る。
【0067】
いくつかの実施形態において、フィンガープリントは、実験データから得られるマップに従って炭水化物ポリマーを特徴付けるためのシステムおよび方法を用いて、同定および比較される。好ましくは、このデータは、炭水化物ポリマーを特徴付けるための複数の異なる型の実験アッセイから得られる。より好ましくは、少なくとも1つのこのようなアッセイは、糖類結合因子が炭水化物ポリマーに結合する工程を含む。次いで、好ましくは、1つ以上の炭水化物ポリマーの特徴が特徴付けられる。
【0068】
これらの特徴は、好ましくは、サンプルの炭水化物ポリマーを含むアッセイから得られるデータのマップに由来する。より好ましくは、これらのマップは、より抽象的な生物学的情報を提供する各レベルとともに複数のレベルで分析される。最も好ましくは、データのより複雑な分析を支持するために、新しい型の実験データが、各レベルで分析のプロセスに導入される。必要に応じて、そして最も好ましくは、マップは、各レベルで、実験データと一貫性がないとして除外される。データ分析の連続的なレベルでの組み合わせ的爆発を予防するために、新しいマップが、高いレベルで導入されている新しい実験的データに由来する場合に限り、新しいマップは、最も好ましくは高いレベルで添加される。
【0069】
本発明に従って、炭水化物ポリマーについてのフィンガープリントを分析するための方法が提供され、このフィンガープリントは、複数のアドレスを特徴とし、各アドレスは、炭水化物ポリマーに糖類結合因子が結合する工程に関する数値を含み、この方法は、以下の工程を包含する:(a)第1のアドレスを、マップを形成するフィンガープリントの少なくとも1つの他のアドレスに接触させる工程;(b)第1のアドレスについての値が、少なくとも1つの他のアドレスについての値と相反しない場合、内部干渉されるマップを測定する工程;(c)少なくとも1つのさらなるマップを形成するために、少なくとも1度(a)および(b)を反復する工程;(d)マップが、相互干渉するか否かを測定するために、このマップを、少なくとも1つのさらなるマップと比較する工程;および(e)任意の相互に相反するマップを除外する工程。
【0070】
好ましくは、この方法は以下の工程をさらに包含する:(f)第2のアッセイから実験データを受け取る工程;(g)第2のフィンガープリントを形成するために、実験データを変換する工程;(h)第2のフィンガープリントマップを形成するために、第2のフィンガープリントを用いて(a)および(b)の工程を実行する工程;(i)マップが相互干渉するか否かを決定するために、マップを、第2のフィンガープリントマップと比較する工程;および(j)任意の相互に相反するマップを除外する工程。
【0071】
より好ましくは、工程(g)は、以下の工程をさらに包含する:(i)実験データの形式を分析する工程;(ii)形式が、数値の形式でない場合、実験データを少なくとも1つの数値に変換する工程;および(iii)少なくとも1つの数値から第2のフィンガープリントを作成する工程。
【0072】
本発明の別の実施形態に従って、サンプルの炭水化物ポリマーについてのフィンガープリントに外部データを統合するための方法が提供され、このフィンガープリントは複数のアドレスを特徴とし、各々のアドレスは、サンプルの炭水化物ポリマーへの糖類結合因子の結合に関する数値を含み、この方法は以下の工程を包含する:(a)外部フィンガープリントを形成するために外部データを変換する工程で、この外部データが炭水化物ポリマーにおいて実行されるアッセイの少なくとも1つを含む工程;(b)外部フィンガープリントを、サンプルの炭水化物ポリマーについてのフィンガープリントと比較する工程;および(c)外部フィンガープリントが、サンプルの炭水化物ポリマーについてのフィンガープリントと一致するか否かを決定する工程;(d)フィンガープリントにおけるデータを用いて、外部データを、新しく決定されたフィンガープリントまたは「構造ベクトル」に組み込む工程。
【0073】
本明細書中以下で、用語「糖分子」は、多糖類成分を有する任意の分子を含む。例としては、多糖類、糖タンパク質、および糖脂質が挙げられる。
【0074】
本明細書中以下で、用語「糖類結合因子」は、単糖類、少糖類、多糖類、またはこれらの組み合わせである糖に結合し得る任意の実体をいい、レクチン、抗体、糖質に結合するか、さもなくば認識する別のタンパク質、および多糖類を切断するか、または改変する酵素を含むが、これらに限定されない。
【0075】
本明細書中以下で、用語「炭水化物ポリマー」は、任意の多糖類、または少糖類、または複数の結合した単糖類単位を含む他の構造をいう。
【0076】
本明細書中以下で、用語「サンプルの炭水化物ポリマー」は、さらなる分析の目的のために実験データが誘導される試験下の炭水化物ポリマーをいう。
【0077】
本明細書中以下で、用語「比較炭水化物ポリマー」は、そのデータが、サンプルの炭水化物ポリマーとの比較のために得られる炭水化物ポリマーをいう。この対照の炭水化物ポリマーは、必要に応じて、その構造が既知である標準的な既知の炭水化物ポリマーであり得る。
【0078】
本明細書中以下で、用語「コンピュータのデバイス」は、操作システム(例えば、DOS、Windows(登録商標)TM、OS/2TMもしくはLinux)を有するパソコン(PC);MacintoshTMコンピュータ;操作システムとしてJAVA(登録商標)TM−OSを有するコンピュータ;図面のワークステーション(例えば、Sun MicrosystemsTMおよびSilicon GraphicsTMのコンピュータ、およびいくつかのバージョンのUNIX(登録商標)操作システム(例えば、AIXTMもしくはSun MicrosystemsTMのSOLARISTM)を有する他のコンピュータ);または任意の他の公知かつ利用可能な操作システム、またはラップトップ、携帯型のコンピュータ、向上された携帯電話(例えば、WAPを可能にする携帯電話)、前記で定義されたようなネットワークに結合され得、そして操作システムを有する任意の分類の装着型コンピュータを含むがこれらに限定されない、任意のデバイスを含むがこれらに限定されない。本明細書中以下で、用語「Windows(登録商標)TM」は、Windows(登録商標)95TM、Windows(登録商標)NTTM、Windows(登録商標)98TM、Windows(登録商標)CETM、Windows(登録商標)2000TM、およびMicrosoft Corp.(USA)による任意のアップグレードされたバージョンのこれらの操作システムを含むが、これらに限られない。
【0079】
本発明について、ソフトウェアアプリケーションは、実質的に任意の適切なプログラミング言語に書き込まれ得、これは、当業者によって容易に選択され得る。この選択されたプログラミング言語は、ソフトウェアアプリケーションが実行されるものに従うコンピュータのデバイスと互換性があるべきである。適切なプログラミング言語の例としては、C,C++およびJava(登録商標)が挙げられるが、これらに限られない。
【0080】
加えて、本発明は、ソフトフェア、ファームウェアもしくはハードウェア、またはこれらの組み合わせとして実行され得る。任意のこれらの実行について、方法によって実行される機能的工程は、データプロセッサによって実行される複数の命令として記載され得る。
【0081】
特に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書中に記載されるものと類似または等価の方法および材料が、本発明の実行または試験において用いられ得るが、適切な方法および材料は、以下に記載される。本明細書中に記載される刊行物、特許明細書、特許および他の参考文献の全ては、その全体を参考として援用される。コンフリクトの場合、定義を含む本明細書を調節する。加えて、材料、方法、および例は、例示のみで限定を意図されない。
【0082】
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲から明らかにされる。
【0083】
(発明の詳細な説明)
糖類結合因子に対する炭水化物ポリマーの結合状態を記載する情報を用いる炭水化物ポリマーの同定および改変のための方法が、本発明によって提供される。本明細書中で記載する方法において使用される炭水化物ポリマーは、多糖類部分を含む任意の分子であり得る。従って、炭化水素は、多糖類および多糖類が第2の分子に結合する(例えば、共有結合によって)分子であり得る。第2の分子は、例えば、硫酸塩またはポリマーであり得る。炭水化物ポリマーは、例えば、糖タンパク質または糖脂質であり得る。糖タンパク質の例は、増殖因子(例えば、エリスロポエチン(EPO)、インターフェロン(インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγを含む)、ヒト慢性ゴナドトロピン(hCG)、GCSF、抗トロンビンIII、インターロイキン(例えば、IL−2)およびhCG)を含む。
【0084】
多糖類の例としては、例えば、グリコーゲン、デンプンセルロース、ヘパリン、硫酸ヘパリン、硫酸ヘパリンのフラグメント、および細胞壁成分(例えば、細菌のリポ多糖類または酵母の細胞壁において見出されるグルカン)が挙げられる。
【0085】
(炭水化物ポリマーの分析のための一般的な方法)
好ましい実施形態において、本明細書中に記載する方法において同定、改変または使用される炭水化物ポリマーは、多糖類の異型(例えば、ヘパリンまたは硫酸ヘパリン)であり得る。例えば、炭水化物ポリマーの異型は、炭水化物ポリマーの所望される構造的特性または機能的特性に基づいて選択され得る。例えば、ヘパリンもしくは硫酸ヘパリンの異型、またはこれらの分子のフラグメント(例えば、ヘパラナーゼによる切断に続いて生成されるもの)は、それらの高められた異型の能力に基づいて選択され得、細胞外基質の解離を調節するか、細胞移動を促進するか、ケモカインのようなポリペプチドまたは増殖因子に結合するか、炎症、脈管新生、腫瘍の転移、再狭窄、もしくは細胞増殖を調節するか、またはヘパラナーゼの活性を調節する。
【0086】
1つの局面において、本発明は、第1の炭水化物ポリマーおよび第2の炭水化物ポリマー(例えば、2つ以上の糖タンパク質)の関連性を決定するための方法を提供する。2つ以上の糖タンパク質の関連性を決定するために、第1の糖タンパク質の第1のフィンガープリントが、第2の糖タンパク質の第2のフィンガープリントと比較される。第1のフィンガープリントは、第1の糖タンパク質について、少なくとも第1の糖類結合因子および第2の糖類結合因子についての結合情報を含む。第2のフィンガープリントは、第2の糖タンパク質について、少なくとも第1の糖類結合因子および第2の糖類結合因子についての結合情報を含む。
【0087】
第1のフィンガープリントおよび第2のフィンガープリントは、第1の糖タンパク質および第2の糖タンパク質が、第1の糖類結合因子に結合するか否か、ならびに第1の糖タンパク質および第2の糖タンパク質が、第2の糖類結合因子に結合するか否かを測定することによって比較される。第1の糖タンパク質および第2の糖タンパク質が、第1の糖類結合因子および第2の糖類結合因子について同じ結合状態(すなわち、結合または非結合)を共有する程度は、第1の糖タンパク質と第2の糖タンパク質との関連性を示す。
【0088】
多糖類の関連性を決定するために、第1の多糖類の第1のフィンガープリントが提供される。第1のフィンガープリントは、第1の多糖類に対する少なくとも1つの第1の糖類結合因子および第2の糖類結合因子についての結合情報を含む。第1のフィンガープリントは、第2の多糖類の第2のフィンガープリントと比較され、ここで、第2のフィンガープリントは、第2の多糖類に対する少なくとも第1の糖類結合因子および第2の糖類結合因子についての結合情報を含む。この比較は、第1の多糖類および第2の多糖類が第1の糖類結合因子に結合するか否か、ならびに第1の多糖類および第2の多糖類が第2の糖類結合因子に結合するか否かを決定する工程を含む。
【0089】
本発明によって、炭水化物ポリマーのフィンガープリント情報を用いて炭水化物ポリマーを同定するための方法もまた提供される。例えば、1つの実施形態において、試験糖タンパク質の第1のフィンガープリントが提供される。第1のフィンガープリントは、第1の糖タンパク質について、少なくとも第1の糖類結合因子および第2の糖類結合因子についての結合情報を含む。この第1のフィンガープリントは、少なくとも1つの参照フィンガープリントと比較され、ここで、参照糖タンパク質フィンガープリントは、少なくとも1つの参照糖タンパク質について、少なくとも第1の糖類結合因子および第2の糖類結合因子についての結合情報を含む。
【0090】
試験フィンガープリントと参照フィンガープリントとの間のフィンガープリントパターンにおける類似性は、試験糖タンパク質と参照糖タンパク質が関連することを示す。例えば、同一のパターンは、試験糖タンパク質が参照糖タンパク質と同一であることを示す。
【0091】
フィンガープリント分析の情報は、所望の特性を含むか、または欠失する糖タンパク質を改変するために用いられ得る。改変された糖タンパク質を作製するために、第1の糖タンパク質について、少なくとも1つの第1の糖類結合因子および第2の糖類結合因子についての結合情報を含む、第1のフィンガープリントが、少なくとも1つの参照フィンガープリントと比較される。参照フィンガープリントは、少なくとも1つの参照糖タンパク質について、少なくとも第1の糖類結合因子および第2の糖類結合因子についての結合情報を含む。目的の特性に関する参照糖タンパク質の状態は、好ましくは既知である。第1のフィンガープリントおよび参照フィンガープリントにおける差異が検出され、そしてこの情報は、試験糖タンパク質の炭水化物ポリマー成分を変更して第1のフィンガープリントおよび参照フィンガープリントにおける差異を減少または増加するために用いられる。
【0092】
いくつかの実施形態において、変更された試験糖タンパク質のフィンガープリントが、生成され、そして参照フィンガープリントと比較される。
【0093】
本発明によって、糖タンパク質の所望のアミノ酸配列を含むポリペプチドを提供し、そして炭水化物ポリマーをこのポリペプチドに付着して所望の改変糖タンパク質を生成することによって、糖タンパク質を合成する方法がまた提供される。このポリペプチドは、所望される場合、化学的に合成され得る。あるいは、ペプチドは、組み換え的に発現され得る。
【0094】
本明細書中に記載される方法の1つによって生成された炭水化物ポリマーもまた、本発明内である。この炭水化物ポリマーは、その糖質剤結合特性についての情報を用いて精製され得る。例えば、3つの異なる糖質剤に結合する既知の炭化水素は、これらの薬剤を含むアフィニティーカラムを用いて精製され得る。
【0095】
本発明はまた、被験体における炭水化物ポリマーと関連する病理を診断する方法を含む。この病理を診断するために、病原性を有すると疑われる被験体からの炭水化物ポリマーの試験フィンガープリントが、参照フィンガープリントと比較される。試験フィンガープリントは、その病理学的状態が既知の参照サンプルにおける炭水化物ポリマーに由来する。試験フィンガープリントと参照フィンガープリントとの間の一致は、対象および参照サンプルが同じ病理学的状態を有することを示す。例えば、参照サンプルが、病原性を有しない被験体(または被験体の集団)に由来する場合、次いで試験対象と参照フィンガープリントとの間のフィンガープリントにおける類似性は、試験対象が病理学的状態を有しないことを示す。この参考のサンプルは、データベースから引き出され得る。
【0096】
試験サンプルから炭水化物ポリマーの試験フィンガープリントを提供し、そして試験フィンガープリントを参照フィンガープリントと比較することによって、炭水化物ポリマーと関連する機能を同定する方法もまた、本発明内である。この試験フィンガープリントは、その機能的状態が既知である炭水化物ポリマーに由来する。試験フィンガープリントと参照フィンガープリントとの一致は、対象と参照サンプルが同じ機能的状態を有することを示す。
【0097】
(炭水化物ポリマーフィンガープリントの同定)
フィンガープリントはまた、既知でない炭水化物ポリマーサンプルからの試験フィンガープリントを、その同一性が既知の炭水化物ポリマーに由来する参考のフィンガープリントと比較することによって、炭水化物ポリマーを同定するために用いられ得る。試験フィンガープリントと参考のフィンガープリントとの間の一致は、対象と参照炭化水素サンプルが同じであることを示す。
【0098】
本明細書中で使用される場合、炭水化物ポリマーのフィンガープリントは、炭水化物ポリマーおよび複数の散在した結合剤の結合状態についての情報の編集物である。いくつかの実施形態において、フィンガープリントは、糖類結合因子による炭水化物ポリマーへの結合の存在の検出の数値表現である。
【0099】
炭水化物ポリマーのフィンガープリントは、炭水化物ポリマーを第1の糖類結合因子と接触させる工程および炭水化物ポリマーが糖類結合因子に結合するか否かを測定する工程によって、生成され得る。この炭水化物ポリマーはまた、第2の糖類結合因子と接触させられ、そして、測定は、第2の結合剤が炭水化物ポリマーと結合するか否かに従う。
【0100】
炭水化物ポリマーは、好ましくは、少なくとも5つの糖類結合因子と接触させられ、そして測定は、炭水化物ポリマーが、少なくとも5つの各糖類結合因子に結合するか否かに従う。好ましい実施形態において、少なくとも10、15、20、または25以上の薬剤に対する炭水化物ポリマーの結合が、測定される。
【0101】
好ましい実施形態において、第1および第2の糖類結合因子の結合は、表面上の所定の位置に付着された少なくとも1つの第1の糖類結合因子を含む表面を提供する工程、および表面を、第1の糖類結合因子と炭水化物ポリマーとの間の第1の複合体の形成を可能にする条件下で、炭水化物ポリマーと接触させる工程によって、測定される。非結合ポリマーは、所望される場合、除去され、そして表面は、第1の複合体と第2の糖類結合因子との間で第2の複合体の形成を可能にする条件下で、少なくとも1つの第2の糖類結合因子と接触させられる。次いで、第1および第2の糖類結合因子は、同定され、そして発生した情報は、炭水化物ポリマーについてのフィンガープリントを提供する。複数の第1および/または第2糖類結合因子を含むことによって、炭水化物ポリマーの詳細なフィンガープリントを作成することが可能である。当然、炭水化物ポリマーに第1または第2の糖質剤が結合しないことがまた、多糖類について生成されるフィンガープリントに役立つことが、当業者に明らかである。
【0102】
第2の糖質剤は、好ましくは検出可能な標識を含む。第2の糖類結合因子が標識される場合、第2の標識の同一性は、第2の糖類結合因子の同一性を測定する。基質上の第2の標識の位置は、次に第1の糖類結合因子の同一性を明らかにする。
【0103】
結合状態を評価するために、炭水化物ポリマーは、表面の所定の位置に付着される少なくとも1つの糖類結合因子を含む表面に添加される。炭水化物ポリマーは、第1の糖類結合因子と炭水化物ポリマーとの間での複合体の形成を可能にする条件下で、表面と共にインキュベートされる。次いで、結合していない炭水化物ポリマーを除去することが所望される場合、この表面は、洗浄され得る。次いで、この表面は、第1の複合物と第2の糖類結合因子との間で第2の複合体の検出を可能にする条件下で、第2の糖類結合因子と接触させられる。第2の薬剤は、好ましくは、第2の複合体の形成を可能にする検出可能な標識を保有する。所定の結合剤の位置に対応する基質上の位置での第2の複合物の検出は、第1および第2の結合剤を炭水化物ポリマーに結合する薬剤として同定することを可能にする。第1および第2の結合剤を検出する工程は、炭水化物ポリマーについての構造の情報を提供する。
【0104】
この方法は、第1に炭水化物ポリマーを表面と接触させ、次いで検出可能な標識を添加することによって、説明されている一方で、この順序が必須でないことが理解される。従って、いくつかの実施形態において、第2の薬剤は、炭水化物ポリマーと混合され、そしてこの複合体が、表面に添加される。
【0105】
いくつかの実施形態において、複数の糖類結合因子が、表面に付着される。同様に、複数の第2の検出可能な糖類結合因子が、用いられ得る。好ましい実施形態において、複数の第1および第2の糖類結合因子の両方が、用いられる。
【0106】
従って、種々の実施形態において、少なくとも5、10、15、25、30、または50以上の、第1の糖類結合因子が、表面に結合される。好ましくは、第1の糖類結合因子は、基質の、空間的に別の領域に結合される。他の実施形態において、少なくとも5、10、15、25、30、または50以上の第2の糖類結合因子が、用いられる。好ましくは、各々の第2の糖類は、区別できるレベルでそれに対して結合される(すなわち、一方の第2の糖類結合因子と他方の第2の糖類結合因子を区別するレベル)。
【0107】
本明細書中に使用される場合、「炭水化物ポリマー」は、多糖類成分を有する任意の分子を含む。例としては、多糖類、糖タンパク質、および糖脂質が挙げられる。炭水化物ポリマーは、2つ以上の連結された単糖類残基を含む任意の糖類分子を含むが、ほとんどの実施形態において、炭水化物ポリマーは、10、25、50、1000、または10,000以上の単糖類単位を含むことが理解される。所望される場合、炭化水素ポリマーは、糖類切断因子を用いた消化の後に、その表面に付加され得る。あるいは、その炭化水素ポリマーは、その表面に付加され得、表面に結合された第1の糖類結合因子への結合を可能とし得、次いで、糖類切断因子を用いて消化され得る。
【0108】
一般的に、多糖類に結合する任意の因子は、第1の糖類結合因子または第2の糖類結合因子として用いられ得る。当該分野において知られるように、糖類に結合する多くの因子が、記載されている。1つのクラスの因子は、レクチンである。これらのタンパク質の多くは、特定の短い少糖類配列に、特異的に結合する。第2のクラスの因子は、糖類構造を特異的に認識する抗体である。第3のクラスの糖類結合因子は、炭水化物残基に結合するタンパク質である。例えば、グリコシダーゼは、糖類鎖の中のグリコシル結合を切断する酵素である。いくつかのグリコシダーゼは、特定の少糖類配列を特異的に認識し得る。別のクラスの酵素は、グリコシルトランスフェラーゼであり、この酵素は、糖類鎖を、切断するが、さらに、1つの新しく作製された末端に、1単位の糖を移動させる。
【0109】
本出願の目的のために、用語「レクチン」はまた、動物種由来の糖類結合タンパク質(例えば、「哺乳動物レクチン」)を包含する。従って、DNAまたはタンパク質のような炭水化物ポリマーは、より詳細に研究されるべき重要な生物学的機能を、明白に有する。
【0110】
好ましくは、糖類結合因子は、実質的に配列特異的因子である。本明細書中に使用される場合、「実質的に配列特異的因子」とは、糖類に結合し得る因子を意味する。その結合は、通常、配列特異的である(すなわち、その因子は、単糖類単位の特定の配列にのみ結合する)。しかし、この因子は、他の関連する配列(例えば、1つ以上の糖類が欠失、変更、または挿入された単糖類配列)に結合し得るので、この配列特異性は、絶対的であり得ない。この因子はまた、所定の配列の単糖類に加えて、1つ以上の関連しない配列、または単糖類と結合し得る。
【0111】
実質的に配列特異的な因子は、通常、タンパク質(例えば、レクチン、サッカリッド特異的抗体、またはグリコシダーゼもしくはグリコシルトランスフェラーゼ)である。
【0112】
糖類結合因子レクチンの例としては、以下の植物から単離されたレクチンが挙げられる:
【0113】
【数1】
Figure 0004176467
他の生物学的に活性な、炭水化物結合化合物としては、サイトカイン、ケモカイン、および増殖因子が挙げられる。これらの化合物もまた、本特許出願に関するレクチンであると考えられる。
【0114】
グリコシダーゼの例としては、α−ガラクトシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、N−アセチルヘキソサミニダーゼ、α−マンノシダーゼ、β−マンノシダーゼ、α−フルコシダーゼ等が挙げられる。いくつかのこれらの酵素は、それらの単離物の供給源に依存して、異なる特異性を有する。上記の酵素は、例えば、Oxford Glycosystems Ltd.、Abington、OX14 1RG、UK、Sigma Chemical Co.、St.Lois、Mo.、USA、またはPieace、POB.117、Rockford、61105 USAから市販されている。
【0115】
糖類結合因子はまた、切断因子でもあり得る。「切断因子」とは、その認識配列で、糖類鎖を切断する、実質的に配列特異的な因子である。代表的な切断因子は、グリコシダーゼであり、このグリコシダーゼとしては、エキソグリコシダーゼおよびエンドグリコシダーゼ、ならびにグリコシルトランスフェラーゼが挙げられる。しかし、グリコシド結合を切断し得る化学物試薬もまた、それらが実質的に配列特異的である限り、切断因子として作用し得る。用語「切断因子(cleaving agent)」または「切断因子(cleavage agent)」とは、本明細書の文脈において、用語「切断し得る、実質的に配列特異的な因子」と同意である。
【0116】
切断因子は、認識配列で、作用し得る。本明細書中に使用される場合、「認識配列」とは、実質的に配列特異的な因子によって認識される単糖類の配列である。認識配列は、通常、2〜4の単糖類単位を含む。認識配列の例は、Galβ1〜3 GalNAcであり、この配列は、Arachis hypogaeaより精製されたレクチンによって認識される。本開示の目的のために、単一単糖類は、実質的に配列特異的な因子によって特異的に認識される場合、認識配列として定義され得る。
【0117】
種々の実質的に配列特異的な因子についての反応条件は、当該分野において公知である。あるいは、当業者は、各々の実質的に配列特異的な因子を用いる一連の試験を、容易に実施し得、種々の反応条件下で、それらの結合活性を測定し得る。有利には、特定の実質的に配列特異的な因子が反応する反応条件およびそれが不活性のままである条件の知見は、多数の実質的に配列特異的な因子が存在する反応を制御するために用いられ得る。例えば、第2の配列特異的試薬および第3の配列特異的試薬は、この反応に同時に添加され得るが、反応条件の変化を介して、第2の実質的に配列特異的な因子のみが、活性であることを可能とされ得る。次いで、反応条件のさらなる変化は、第2の実質的に配列特異的な因子を不活性化するためおよび第3の実質的に配列特異的な因子を活性化するために選択され得る。反応条件のいくつかの例示的な例を、以下の表1に列挙する。表1に列挙したpHおよび温度のデータに加えて、他の要因(例えば、Znのような金属の存在、またはMn、Ca、Naのようなカチオンの塩(例えば、塩化ナトリウム塩)の存在)は、最適な反応条件または特定の実質的に配列特異的な因子が活性であり、一方で他の因子が不活性である条件を見出すために調査され得る。
【0118】
【表1】
Figure 0004176467
Figure 0004176467
・記号は、外因的な条件によって分離可能である酵素群を表す。
・Diversa Corp.は、種々のpHおよび温度において広範な種類の活性を有するThermophilic Endo/Exoグリコシダーゼを生産する。
・可能な条件はまた、金属および他のZn、Mn、Ca、NaClであり得る。
【0119】
第1の糖類結合因子は、任意の当該分野で認識された方法を用いて、固定化され得る。例えば、固定化は、タンパク質の官能基(例えば、アミノ基、カルボキシ基、ヒドロキシル基、またはチオール基)を使用し得る。例えば、ガラス支持体は、上記のPCT出願に記載されるように、エポキシシランとの反応によって、エポード(epode)基で官能基化される。エポード基は、リジン残基の遊離ε−アミノ基のようなアミノ基と反応する。別の機構は、PCT出願に記載されるように、金のような電位計物質で表面を覆うことにある。そのような物質が、チオール基と安定な結合体を形成する場合、タンパク質は、システイン残基の遊離チオール基によってそのような物質に直接的に連結され得る。あるいは、チオール基は、従来の化学物質によってか、1つ以上のチオール基および遊離アミノ基(例えば、システインのN−ヒドロキシルスクシンイミジルエステル)と反応する基を含む分子との反応によってタンパク質へと導入され得る。チオール切断可能な架橋剤(例えば、ジチオビス(スクシンイミジルプロピオネート))は、タンパク質のアミノ基と反応し得る。続くスルフヒドリル剤での還元は、架橋剤の遊離チオール基を曝露する。
【0120】
いくつかの適用のために、特定の目的の炭水化物ポリマーに結合することが知られているか、または結合することが予想される複数の糖類結合因子を含む基質を設計することが、好ましい。例えば、ヘパリン、硫酸ヘパリン、またはフラグメント(例えば、ヘパラナーゼ消化によって産生されたフラグメント)、およびそれらの多糖類の改変体形態は、それらの1種類以上のタンパク質(例えば、aFGF、bFGF、PDGF、VEGF、VEGF−R、HGF、EGF、TGF−β、MCP−1、MCP−2、およびMCP−3、IL−1、IL−2、IL−3、IL−6、IL−7、IL−8、IL−10、およびIL−12、アネキシンIV、アネキシンV、およびアネキシンVI、MIP−1 α、MIP−1 β、エコタキシン(ecotaxin)、トロンボスポンジン、PF−4、IP−10、インターフェロンα、インターフェロンγ、スレクチンL、およびスレクチンP、アンチトロンビン、プラスミノーゲン活性化因子、ビトロネクチン(vitronectin)、CD44、SOD、リポプロテインリパーゼ、ApoE、フィブロネクチン、およびラミニン)と結合する能力についてスクリーニングされ得る。これらの推定の因子は、表面に結合され得る(すなわち、第1の糖類結合因子)。
【0121】
他の実施形態において、特定の炭水化物ポリマーに結合することが知られているか、または予想される糖類結合因子は、第2の糖類結合因子として提供され得る。
第2の糖類結合因子に結合される標識は、検出されるか、または検出され得る任意の標識であり得る。適切な標識の例としては、例えば、色素性標識、放射性標識、蛍光標識、およびビオチン化標識が挙げられる。従って、その標識は、例えば、有色のレクチン、蛍光レクチン、ビオチン標識化レクチン、蛍光標識、蛍光抗体、ビオチン標識化抗体、および酵素標識化抗体であり得る。好ましい実施形態において、その標識は、色素性標識である。本明細書中に使用される場合、用語「染色体結合因子」とは、糖類に結合する全ての因子を含み、そしてその因子は、明確な色または他の検出可能なマーカーを有し、その結果、糖類への結合の後、その糖類は、色または他のマーカーを得る。固有の、可視領域内で容易に観察可能な色を有する化学的構造に加えて、用いられる他のマーカーとしては、蛍光基、ビオチンタグ、酵素(これは、有色の生成物の形成を生じる反応に用いられ得る)、磁性および同位体性マーカーなどが挙げられる。前出の検出可能なマーカーのリストは、例示目的のためのみのものであり、そして限定も、網羅も意図されない。類似する文脈において、本明細書中に使用される場合(例えば、上記の方法の工程(e)の文脈において)、用語「色」はまた、任意の検出可能なマーカーを含む。
【0122】
標識は、当該分野において公知の方法を用いて、第2の糖類結合因子に結合され得る。標識は、糖類または実質的に配列特異的な因子に結合され、その機能を妨害しない、任意の検出可能な基を含む。標識は、ペルオキシダーゼおよびホスファターゼのような酵素であり得る。原理的には、グルコースオキシダーゼ、およびβ−ガラクトシダーゼのような酵素もまた用いられ得る。その際、糖類が、そのような酵素と反応する単糖類単位を含む場合、その糖類は、改変され得ることが考慮されなくてはならない。用いられ得るさらなる標識としては、Fluorescein、Texas Red、Lucifer Yellow、Rhodamine、Nile−red、テトラメチル−ローダミン−5−イソチオシアネート、1,6−ジフェニル−1,3,5−ヘキサトリエン、cis−Parinaric acid、Phycoerythrin、Allophycocyanin、4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール(DAPI)、Hoechst 33258、2−アミノベンズアミドなどのような蛍光標識が挙げられる。さらなる標識は、高電子密度金属(例えば、金)、リガンド、ハプテン(例えば、ビオチン)、放射性標識が挙げられる。
【0123】
第2の糖類結合因子は、酵素標識を用いて検出され得る。酵素標識の検出は、ELISAおよび酵素的検出が通常用いられる他の技術の分野において周知である。酵素は、商業的に入手可能である(例えば、Pierceのような会社より)。
【0124】
いくつかの実施形態において、その標識は、蛍光標識を用いて検出される。蛍光標識は、特定の波長での励起および異なる波長での検出を必要とする。蛍光検出のための方法は、当該分野において周知であり、そして多くの論文および教科書が出版されている。この主題の刊行物のセレクションは、Pierceの1994年のカタログ中、p.O−124〜O−126に見出され得る。蛍光標識は、例えば、SIGMAのような会社、または上記のPierceのカタログより商業的に入手可能である。
第2の糖類結合因子自体は、炭水化物部分および/またはタンパク質部分を含む。タンパク質および糖への標識の結合は、当該分野において周知の技術である。例えば、蛍光標識または放射性標識を用いて糖類を標識するための商業的なキットは、Oxford Glycosystems、Abingdon、UKより入手可能である。タンパク質を標識するためのそれらの使用に関する試薬および指示は、上記のPierceのカタログより入手可能である。
【0125】
結合は、通常、ヒドロキシル、アルデヒド、ケト、アミノ、スルフヒドリル、カルボン酸などの基のような、官能基を用いて実施される。それらの基と反応する、多くの標識(例えば、蛍光標識)は、商業的に入手可能である。さらに、一方で標識と反応し、そして他方でタンパク質または糖類と反応する、二機能架橋剤が、用いられ得る。この架橋剤の使用は、タンパク質または糖類の機能の損失を回避するために、有利であり得る。
【0126】
この標識は、当該分野において公知の方法を用いて検出され得る。いくつかの検出方法は、上記のWO 93/22678に記載され、その開示は、その全体が、本明細書中に参考として援用される。CCD検出機法は、本発明の方法に特に適し、それは、本出願に記載される。本方法は、特定の周波数の光を吸収する標識と組み合わせて用いられ得、そしてVLSI表面への試験光源の経路をブロックし、その結果、CCDセンサーは、標識された因子が結合した領域中の減少された光量を検出する。この方法はまた、蛍光標識と共に用いられ得、そのような標識が励起周波数の光を吸収するという事実を利用する。あるいは、このCCDセンサーは、励起後の蛍光標識の発光を検出するために用いられ得る。発光シグナルの、励起光からの分離は、異なる波長についての異なる感度を有するセンサーを用いてか、または時間的分解能によって、あるいはそれらの両方の組み合わせによって達成され得る。
【0127】
いくつかの実施形態において、本方法は、さらに、第1の糖類結合因子および糖類結合因子の1つ以上の画像を得ることを含む。その情報は、例えば、写真またはデジタル化された画像として保存され得る。あるいは、第1の結合の画像および第2の結合の画像によって提供される情報は、データベース中に保存され得る。
【0128】
本発明はまた、複数の複合体を含む基質を含む。各々の複合体は、基質上の予め決定された位置に結合されている第1の糖類結合因子を含む。その基質はまた、必要に応じて、第1の糖類結合因子および/または検出可能な第2の糖類結合因子に結合されている糖類結合因子を含む。いくつかの実施形態において、この基質は、固体支持体の形態で提供され、その基質は、予め規定された配列の、複数の可視マーカーあるいは糖類または糖類配列もしくはフラグメントを代表する他の検出可能マーカーを含む。好ましい基質は、ニトロセルロースである。
【0129】
所望の場合、複数の第1の糖類結合因子を含む基質は、キットの形態で提供され得る。本発明の方法を用いる診断手順は、診断研究所、実験的研究所、開業医、または私的な個人によって実施され得る。本発明は、これらの施設で用いられ得る診断キットを提供する。特定の炭水化物ポリマーの存在または非存在は、糖類結合因子とのその反応パターンによって明らかされるように、提供されたサンプルにおいて明らかにされ得る。そのサンプルは、例えば、個体サンプルまたは他のサンプルより得られる臨床サンプルであり得る。
【0130】
好ましくは、各々のキットは、手順を特定にする糖類結合因子を含む。好ましくは、その試薬は、棚での保存、その後、試験が実施される場合の反応培地との置換または反応培地への添加に適切な固体形態または液体緩衝液で供給される。適切な包装が、提供される。そのキットは、必要に応じて、その手順に有用なさらなる成分を提供し得る。これらの任意の成分としては、緩衝液、補足剤、展開剤、標識、反応表面、検出のための方法、コントロールサンプル、指示、および解釈の情報が挙げられる。
【0131】
そのキットは、必要に応じて、検出可能な第2の糖類結合因子、および所望の場合、第2の結合因子を検出する試薬を含む。好ましくは、複数の第1の糖類結合因子は、基質上の予め決定された位置および検出可能な第2の糖類結合因子に結合されている。他の実施形態において、基質およびその基質に結合され得る第1の糖類結合因子、ならびに第2の糖類結合因子を備える、キットが、提供される。
【0132】
本明細書中に記載されるフィンガープリントにおいて提供される情報はまた、目的の炭水化物ポリマーを精製するために用いられ得る。例えば、炭水化物ポリマーは、それが結合する糖類結合因子に基づき精製機構を設計することによって精製され得る。1つの実施形態において、その糖類結合因子は、カラム中に提供され、そして炭水化物ポリマーを含む溶液は、そのカラムに導入される。目的の炭水化物ポリマーは、カラム上に保持される。次いで、目的の炭水化物ポリマーは、カラムより溶出され得る。1つの実施形態において、目的の炭水化物ポリマーは、糖類結合因子が結合するカラムへのさらなる糖類結合因子の添加によって用い、その因子は、目的の炭水化物ポリマーをカラムから取り除く。
【0133】
少なくとも1つの共通の機能または構造的特徴あるいはその両方を共有する、複数の炭水化物ポリマーまたはそのライブラリーを作製する方法もまた、本発明の範囲内にある。いくつかの実施形態において、その炭水化物ポリマーは、集団として提供される。所望の場合、それらは基質上に提供される。
【0134】
好ましい実施形態において、その炭水化物ポリマーは、フォーカスライブラリ(focus library)の形態で提供される(例えば、それらが共通のリガンドに結合するか、または別の共通の機能的特徴もしくは構造的特徴を共有することに起因して、そのフォーカスライブラリのメンバーは、選択される)。
【0135】
例えば、種々の実施形態において、炭水化物ポリマーのライブラリーは、種々の形態の多糖類(例えば、ラミナリン、ラミナリンスルフェート、ヘパリン、または硫酸ヘパリン)を含む。ヘパリンまたは硫酸ヘパリンの多糖類の改変体形態に基づくライブラリーのメンバーは、その候補形態がヘパリンに関連する変更された特性を実証する能力に基づいて、選択され得る。例えば、その改変体は、細胞外マトリクスの分離を調節すること、細胞の移動を促進すること、細胞の移動を促進すること、ポリペプチド(例えば、ケモカインまたは増殖因子)に結合すること、炎症、血管新生、腫瘍転移、再狭窄または細胞増殖を調節すること、あるいはヘパラナーゼ活性を調節することについてのそれらの増強された能力に基づき選択され得る。あるいは、そのライブラリーは、糖タンパク質の炭水化物ポリマー部分の改変体形態を含み得る。
【0136】
そのライブラリーは、炭水化物ポリマーの集団を提供することによって構築される。いくつかの実施形態において、その炭水化物ポリマーの集団は、コンビナトリアルケミストリーに関する分野において公知の技術を用いて構築され得る。炭水化物フィンガープリントは、その集団のうちの1つ以上のメンバーについて作製される。その集団のメンバーまた、それが目的の機能または構造を示す程度を決定するためにアッセイされる。所望の特性を有する集団のメンバーは、所望される場合、さらなる特徴づけまたは改変について選択される。さらに、さらなる改変体炭化水素ポリマーは、獲得した情報に基づき設計され得、所望される特性を有する、改変された炭化水素ポリマー、またはフォーカスされたライブラリーの集団を生じ得る。
【0137】
本明細書中に記載される方法に関して作製されたフィンガープリントデータは、さらに、USSN 60/246,009(2000年11月3日出願);およびUSSN 60/258,887(2000年11月3日出願)(これらの内容は、その全体が、参考として援用され、そしてそれらは、以下に概説される)に記載される手順を用いて分析され得る。
【0138】
例えば、複数のアドレスを特徴とするフィンガープリント(各々のアドレスは、炭水化物ポリマーへの、糖類結合因子の結合に関連する絶対値を有する)は、第1のアドレスを、そのフィンガープリントの少なくとも1つの他のアドレスに関連させることによって、マップを形成し得(第1のアドレスが少なくとも1つの他のアドレスと一致する場合)、そのマップが内部で一致していることを決定し、そして少なくとも1回、その関連付けおよび決定を繰り返して、少なくとも1つのさらなるマップを形成し;そのマップを少なくとも1つのさらなるマップと比較し、そしてそのマップが、相互に一致するか否かを決定し;そして任意の相互に一致しないマップを除去する。
【0139】
あるいは、またはさらに、フィンガープリントデータ分析は、複数のアドレスを特徴とするフィンガープリントを用いて、サンプルの炭水化物ポリマーについてのフィンガープリントに、外部データをあわせる方法を用いて実施され得る。各々のアドレスは、外部データを変換して外部フィンガープリントを形成することによる、サンプルの炭水化物ポリマーへの糖類結合因子の結合に関する絶対値を含み、そしてその外部データは、炭水化物ポリマー上で実施される少なくとも1つのアッセイを含む。その外部フィンガープリントは、サンプル炭水化物ポリマーについてのフィンガープリントと比較され;そしてその決定は、その外部フィンガープリントがサンプルについての炭水化物ポリマーと首尾一貫するか否かで行われる。
【0140】
本明細書中に記載される方法に関するフィンガープリントはまた、フィンガープリントを有する炭水化物ポリマーを特徴付けることによって構築され得る。そのフィンガープリントは、複数のアドレスを特徴とし得、各々のアドレスは、炭水化物ポリマーについて実施された実験的アッセイからのアッセイデータより得られる値を含む。その特徴づけは、フィンガープリントに従い複数のマップを構築すること;炭水化物ポリマーを特徴づけするためのさらなるデータを得ること;そのマップがさらなるデータと一致するか否かを決定すること;および各々のマップがさらなるデータと一致しない場合、そのマップを却下することを含む。
【0141】
別の好ましい実施形態において、本明細書中に記載される方法に用いられるフィンガープリントは、炭水化物ポリマーについてのマップを構築することによって分析され得、ここでこのマップは、以下を含む:その炭水化物ポリマーについて実施された少なくとも1つの実験的アッセイから得られたアッセイデータに従い、炭水化物ポリマーを特徴づけすること;そのアッセイデータを複数のアドレスに分解すること(各々のアドレスは、アッセイデータの値を特徴とする);少なくとも1つの他のアドレスに、各々のアドレスを関連させることによって複数のマップを形成すること;およびその炭水化物ポリマーの少なくとも一部分、炭水化物ポリマーの少なくとも一部分の配列、炭水化物ポリマーの少なくとも一部分の構造、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、炭水化物ポリマーの特徴に、各々のアドレスでの値を関連させることによって適切なベクトルに各々のマップを変換させること。
【0142】
別の好ましい実施形態において、本明細書中に記載される方法に用いられるフィンガープリントは、以下の工程を包含する方法でマップを構築することによって分析され得る:炭水化物ポリマーの特徴づけデータを提供する工程;この特徴づけデータから複数のマップを導く工程;炭水化物ポリマーを特徴付けるためのさらなるデータを得る工程;そのさらなるデータが複数のマップの各々と一致するか否かを決定する工程;そのさらなるデータがマップと一致しない場合、そのマップを却下する工程;およびそのさらなるマップがさらなるデータおよび各々の残っているマップと一致する場合のみさらなるマップを加える工程。
【0143】
別の好ましい実施形態において、その炭水化物ポリマーは、少なくとも1つの公知の機能、公知の配列、およびそれらの組合せのうち1つを有する公知の炭水化物ポリマーに従ってサンプル炭水化物ポリマーの特徴づけに関連して特徴付けられ得る。その方法は、以下の工程を含む:サンプル炭化水素ポリマーについての少なくとも1つの実験的アッセイを実施して、アッセイデータを得る工程;公知の炭水化物ポリマーについての同一の実験的アッセイを実施し、比較アッセイデータを得る工程;およびそのアッセイデータと比較アッセイデータとを比較することによって、サンプルの炭水化物ポリマーを、公知の炭水化物ポリマーに従い特徴付けする工程。
【0144】
別の好ましい実施形態において、本明細書中に記載される方法に用いられるフィンガープリントは、以下の工程によって構築される:炭水化物ポリマーへの糖類結合因子の結合を決定するための実験的アッセイを提供する工程;炭水化物ポリマーへの糖類結合因子が存在したか否かを生データとして検出する工程;その生データを絶対値に変換する工程;およびその絶対値をフィンガープリントのアドレスとして配置し、フィンガープリントを形成する工程。
【0145】
別の好ましい実施形態において、本明細書中に記載される方法に用いられるフィンガープリントは、複数のフィンガープリントと少なくとも1次炭水化物ポリマーおよび2次炭水化物ポリマーとを比較する方法を用いて比較され、各々のフィンガープリントは、複数のアドレスを特徴とし、各々のアドレスは、炭水化物ポリマーへの糖類結合因子の結合に関する絶対値を特徴とする。その方法は、以下の工程を含む:1次炭水化物ポリマーについての少なくとも1つのアドレスについての数値と、2次炭水化物ポリマーについてのフィンガープリントの対応するアドレスについての絶対値を比較する工程;および1次炭水化物ポリマーと2次炭水化物ポリマーとの間の類似性を、それらのアドレスについての数値の間の類似に従い決定する工程。
【0146】
別の好ましい実施形態において、そのフィンガープリントは、サンプルの炭水化物ポリマーのフィンガープリントを有するフィンガープリントデータのデータベースを通して検査する方法を用いて比較される(そのデータベースは、複数の類似の炭水化物ポリマーについてのフィンガープリントデータを含む)。その方法は、以下の工程を含む:アドレシングシステム(addressing system)に従いデータベースを構築する工程、(そのアドレッシングシステムは、少なくとも部分的に、複数の比較炭水化物ポリマーについてのフィンガープリントデータから得られる);サンプルの炭水化物ポリマーのフィンガープリントをキーに変換する工程;そのキーを用い、そのアドレシングシステムを通して調査する工程;および少なくとも1つの比較炭水化物ポリマーからフィンガープリントデータを検索する工程。
【0147】
別の好ましい実施形態において、フィンガープリントは、炭水化物ポリマー(複数のアドレスの特徴をなすフィンガープリントで、各アドレスは、糖類結合因子の炭水化物ポリマーへの結合に関する数値を含む)のに関するフィンガープリントデータを広げるためのフィンガープリントを内部的に解析する方法を使用して、内部的に解析される。本方法は以下を包含する:パターンを形成するために第1のアドレスを、少なくとも1つの他のフィンガープリントのアドレスに結合する工程;第1のアドレスに対する値が、少なくとも1つの他のアドレスに対する値と矛盾していない場合、内部干渉性となるパターンを決定する工程;および拡大されたフィンガープリントデータとしてのフィンガープリントに、各内部干渉パターン添加する工程。
【0148】
別の好ましい実施形態において、フィンガープリントは、炭水化物ポリマーサンプルのためのフィンガープリントを構築するための系によって、提供される。この系は、以下を含む:(a)付着された複数の糖類結合因子を有する基質を含む湿式アレイで、各糖類結合因子を、湿式アレイの前決定されたアレイ部分に配置し、その結果、炭水化物ポリマーサンプルが湿式アレイとインキュベートされ、糖類結合因子と複合体を形成する、湿式アレイ;(b)生データを形成するために複合体を検出するための、検出デバイス;および(c)フィンガープリントのアドレスに対する各アレイ部分の生データを変換するための、変換モジュール。
【0149】
いくつかの好ましい実施形態において、フィンガープリントは、炭水化物ポリマーサンプルに対するフィンガープリントを構築するための系において、炭水化物ポリマーに対するフィンガープリントを構築するための方法を使用して生成され、この系は湿式アレイを特徴とし、この湿式アレイは、付着された複数の糖類結合因子を有する基質を含み、付着された各糖類結合因子は、湿式アレイの前決定されたアレイ部分、および検出デバイスに配置される。この方法は、以下を包含する:炭水化物ポリマーと糖類結合因子の結合が生じるような条件下で、炭水化物ポリマーと湿式アレイをインキュベートする工程;糖類結合因子と炭水化物ポリマーの結合が生じたか否かを、検出デバイスによって検出する工程;および、結合が生じたか否かによってフィンガープリントにアドレスを添加する工程。
【0150】
別の好ましい実施形態において、フィンガープリントは、少なくとも1つの炭水化物含有物質を含むサンプルを分析するための方法で、分析される。この方法は、サンプル中の炭水化物含有物質の少なくとも1つの特徴を決定するための、候補スペースを定義する工程を、包含する。
【0151】
(一般的なスクリーニング法および診断法)
本明細書中で開示された種々の方法は、試験生物学的サンプルおよび参照生物学的サンプル由来の細胞中の、炭水化物ポリマーフィンガープリントを比較する工程に関する。従って、その様々な局面および実施形態において、本発明は、1つ以上の目的炭水化物ポリマーを含むか、または含むと疑われる生物学的サンプルを少なくとも1つ含む、試験生物学的サンプルを提供する工程を包含する。
【0152】
目的のポリマーに対する炭水化物フィンガープリントは、炭水化物ポリマーのための1つ以上の糖類結合因子に関する結合状態を決定することによって、同定される。次いで、試験生物学的サンプルにおける1つ以上の炭水化物ポリマーの炭水化物フィンガープリントは、1つ以上の参照生物学的サンプル由来である炭水化物ポリマーの炭水化物フィンガープリントと、比較される。様々な実施形態において、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、15個、20個、25個、28個、30個、35個、40個または全ての糖類結合因子の発現が、決定される。
【0153】
参照生物学的サンプルは、比較されるパラメータの状態が既知である細胞、または組織サンプル由来である1つ以上の炭水化物ポリマーを、含む。測定されたパラメータの様式(試験生物学的サンプル中の炭水化物フィンガープリントの存在または程度が明かされるような、様式)は、参照生物学的サンプルの組成物に依存する。例えば、参照生物学的サンプルが、目的のパラメータを有することが既知の細胞由来である場合、試験生物学的サンプルおよび参照生物学的サンプル中の類似した炭水化物フィンガープリントは、試験生物学的サンプルが目的のパラメータを有していることを、示唆する。
【0154】
種々の実施形態において、試験生物学的サンプル中の炭水化物ポリマーが、1個、2個、3個、5個、10個、15個、20個または25個よりも大きい糖類結合因子の差で、参照生物学的サンプル中の対応するフィンガープリントと異なる場合、これは、改変されたと見なされる。
【0155】
いくつかの実施形態において、試験生物学的サンプルの炭水化物フィンガープリントは、多数の参照生物学的サンプル由来の炭水化物フィンガープリントと、比較される。この比較は、個々の炭水化物ポリマーについてのフィンガープリントに関してか、または複数のポリマーについて作製された情報に基づく複合性のフィンガープリントに関して、なされ得る。
【0156】
試験リガンドに曝される(すなわち、接触される)試験生物学的サンプルは、かなり多数の細胞または組織(すなわち、1つ以上の細胞)から単離され得、そして、インビトロ、インビボ、またはエキソビボで提供され得る。様々な実施形態において、生物学的サンプルは、体液(例えば、血液、血液画分(例えば、血清または血漿)、尿、唾液、乳、腺液、涙および精液)由来であり得る。多糖類の精製は、当該分野において公知の方法を使用して、実施され得る。
【0157】
所望される場合、試験生物学的サンプルは、2つ以上の亜集団へ分割され得る。この亜集団は、できる限り同一である亜集団を作製するために、細胞、細胞抽出物、または画分を含む他の炭水化物ポリマーの第1集団を分割することによって、作製され得る。これは、例えば、インビトロ、またはエキソビボのスクリーニング法に適する。いくつかの実施形態において、種々の亜集団は、コントロール因子および/または試験因子、複数の試験因子、あるいは、例えば、一緒にかもしくは種々の組合せかで処方される、1つもしくは複数の種々の用量の試験因子に曝され得る。
【0158】
好ましくは、参照生物学的サンプルは、試験生物学的サンプルとできる限り類似した組織型由来である。いくつかの実施形態において、コントロール生物学的サンプルは、試験サンプルと同じ被験体由来(例えば、被験体の明確な領域由来、または異なる時期に採取された同じ被験体由来(例えば、サンプルは、治療を始める前、および後に、被験体から取られ得る))であり得る。他の実施形態において、参照生物学的サンプルは、複数の細胞由来である。例えば、参照生物学的サンプルは、本明細書に記載されたパラメータまたは状態(例えば、スクリーニング、診断、または治療適用)の1つが既知である、以前試験された細胞由来の発現パターンのデータベースであり得る。
【0159】
被験体は、好ましくは哺乳動物である。その哺乳動物は、例えば、ヒト、非ヒト霊長類、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ウマまたはウシであり得る。
【0160】
(炭水化物ポリマーに関連する病態生理学の治療または予防に関する候補治療因子の同定)
本明細書中に開示された方法はまた、特定の炭水化物ポリマーフィンガープリントに関連する病態生理学に関する候補治療因子を同定するために、使用され得る。病態生理学への治療的応答または予防的応答に関連する炭水化物フィンガープリントプロフィールの特性を有する試験生物学的試験サンプルにおいて、この方法は、候補治療因子が炭水化物フィンガープリントプロフィールを誘導するか否かを決定するために、候補治療因子のスクリーニングに基づく。
【0161】
この方法において、試験生物学的サンプルは、標的因子または標的因子の組合せ(経時的にまたは継続的に)に曝露され、そして、1つ以上の試験因子の炭水化物フィンガープリントが決定される。試験生物学的サンプル中のこの炭水化物フィンガープリントは、参照生物学的サンプル中の炭水化物フィンガープリントと比較される。炭水化物フィンガープリントプロフィールの誘導は、病態生理学への治療的または予防的応答を示す。
【0162】
標的因子は、以前記載されていない化合物であり得るか、または以前から既知の化合物であり得る。目的の炭水化物フィンガープリントをもたらすこと、または炭水化物ポリマー含有化合物の出現を抑制することにおいて有効な因子はさらに、病態生理学を予防または回復するための能力、およびこのような病態生理学の治療に対して潜在的に治療上有用であるものとしての能力を試験され得る。このような化合物の臨床上の有用性のさらなる評価は、治療因子の毒性および臨床的有効性を評価するための標準的方法を使用して、実施され得る。
【0163】
(特定の被検体に適切な炭水化物ポリマー治療因子の選択)
個々の遺伝的性質の差異は、種々の薬物を代謝するための相対的能力の差異を生じ得る。炭水化物ポリマー治療因子として作用するような、被検体中で代謝される因子は、病態生理的状態に特有の炭水化物フィンガープリントパターンから非病態生理学状態に特有の遺伝子発現パターンへの変化を誘導することによって、それ自身を明示し得る。従って、本明細書中で開示される炭水化物フィンガープリントは、特定の被検体に適切な推定治療因子または推定予防因子が選択されることを可能にする。
【0164】
特定の被検体に適する因子を同定するために、この被検体からの試験生物学的サンプルは治療因子に曝され、そして、1つ以上の炭水化物ポリマーの炭水化物フィンガープリントが、決定される。いくつかの実施形態において、試験生物学的サンプルは、特定の細胞型(例えば、肝細胞または含脂肪細胞)を含む。他の実施形態において、この因子は、最初に細胞抽出物(例えば、脂肪細胞抽出物)と混合され、この細胞抽出物は薬物を活性形態に代謝する酵素を含む。次いで、治療因子の活性化形態は、試験生物学的サンプルと混合され得、そして、遺伝子発現が測定され得る。好ましくは、生物学的サンプルは、エキソビボで、因子または活性化形態の因子と接触される。
【0165】
次いで、試験生物学的サンプル中の炭水化物フィンガープリントは、参照生物学的サンプル中の炭水化物ポリマーの炭水化物フィンガープリントと比較される。参照生物学的サンプルは、病理学的状態が公知の細胞集団または組織から、単離される。参照生物学的サンプルが病理学に関連しない場合、試験生物学的サンプルと参照生物学的サンプルとの間の類似炭水化物フィンガープリントプロフィールは、この因子が、被検体中の病態生理学の処置に適していることを、示す。対照的に、試験生物学的サンプル中の配列と参照生物学的サンプル中の配列との間の発現の差異は、因子が被検体中の病態生理学の処置に適していないことを、示す。
【0166】
参照細胞が病理学に関連する場合、試験生物学的サンプルと参照生物学的サンプルとの間の炭水化物ポリマーフィンガープリントパターンの類似性は、因子が被検体中の病態生理学の処置に適していないことを、示す。この場合における遺伝子発現パターンの差異は、この因子が被検体の処置に適していることを、示す。
【0167】
(被検体における炭水化物ポリマーの改変体に関連する病態生理学を処置するための方法および組成物)
処置法(例えば、病態生理学に関する、1つまたは種々の炭水化物ポリマーの発現または活性を調節する因子を被検体に投与することによって、被検体中の炭水化物ポリマーに関連する病態生理学の開始を阻害、予防、または遅延すること)もまた、本発明中に含まれる。用語「調節する」は、炭水化物ポリマーの発現または活性の増加または減少を含むことを意味する。好ましくは、調節が、被検体中の炭水化物ポリマーの発現または活性を病態生理学に羅患されていない患者と類似なまたは同一なレベルまで改変する変質を、生じる。この被検体は、例えば、ヒト、げっ歯類(例えば、マウスもしくはラット、またはイヌもしくはネコ)であり得る。
【0168】
いくつかの実施形態において、因子は、炭水化物ポリマーの有効な形態である。
【0169】
これらの因子、ならびに他のポリペプチド、抗体、アゴニスト、およびアンタゴニストは、治療的に使用される場合、本明細書中で「治療剤」といわれる。治療剤の投与方法としては、以下が含まれるが、これらに限定されない:皮内、筋内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、硬膜外、および経口。本発明の治療は、任意の便利な経路(例えば、注入またはボーラス注入、上皮または粘膜上皮を介した吸入(例えば、口腔粘膜、直腸粘膜および腸粘膜など))によって投与され得、そして、他の生物学的活性因子とともに投与され得る。投与は、全身性または局所性であり得る。さらに、任意の適切な経路(心室注入および鞘内注入を含む)によって、治療を剤中枢神経系投与することは、好都合であり得る。心室注入は、リザーバー(例えば、Ommayaリザーバー)を装着された心室カテーテルによって、容易にされ得る。肺投与はまた、吸入器または噴霧器、およびエアロゾル化剤を用いる処方の使用によって、使用され得る。治療剤を、処置が必要な領域に局所的に投与することもまた、所望され得る;これは、例えば、以下によって達成され得るが、これらに限定されない:手術中の局所注入、局所適用、注入、カテーテル、坐剤、または移植。特定の実施形態において、投与は、悪性腫瘍もしくは悪性新生物、または全新生物組織の部位(または前部位)に直接注入することによるものであり得る。
【0170】
種々の送達システムが公知であり、そして、このシステムを利用して、以下を含む本発明の治療剤を投与し得る:例えば、(i)リポソーム中のカプセル化、微粒子、マイクロカプセル;(ii)治療を発現できる組換え細胞;(iii)レセプター媒介エンドサイトーシス(例えば、WuおよびWu、1987.J Biol Chem 262:4429〜4432参照のこと);(iv)レトロウイルスまたは他のベクターの一部としての治療核酸の構築、など。本発明の1つの実施形態において、治療剤は、小胞(特定のリポソーム中の)中に送達され得る。リポソームにおいて、本発明のタンパク質は、他の薬学的に受容可能なキャリアに加えて、両親媒性因子(例えば、水溶液中で、ミセル、不溶性単分子層、液晶、または葉状層として凝集形態で存在する脂肪)と合わせられる。リポソーム処方に適する脂質としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:モノグリセリド、ジグリセリド、スルファチド、リゾレシチン、リン脂質、サポニン、胆汁酸など。このようなリポソーム処方の調製は、例えば、米国特許第4,837,028号;および同第4,737,323号(全て本明細書中で参考として援用される)中に開示されるように、当業者のレベルの範囲内である。なお別の実施形態において、治療剤は、以下を含む制御された放出システムにおいて、送達され得る:例えば、送達ポンプ(例えば、Saudekら、1989.New Engl J Med 321:574参照のこと)および半透明のポリマー剤(例えば、Howardら、1989.J Neurosurg 71:105参照のこと)。さらに、制御された放出システムは、治療標的(例えば、脳)の近傍に配置され得、従って、わずかな全身用量のみを必要とする。例えば、Goodson、Medical Applications of Controlled Release 1984.(CRC Press、Bocca Raton、FL)を参照のこと。
【0171】
本明細書中で使用する場合、用語「治療的有効量」は、有意な患者の利益(すなわち、関連する医療状態の処置、治療、予防もしくは回復、またはこのような状態の処置率、治療率、予防率または回復率の増加)を示すのに十分な薬学的組成物または薬学的方法の各活性成分の全量を、意味する。個々の活性成分が適用され、単独で投与される場合、この用語は、その成分だけをいう。組み合わせて適用される場合、この用語は、組合せの投与、連続投与または同時投与であろうとなかろうと、治療上の効果を生じる活性成分の合わせた量をいう。
【0172】
特定の障害または状態の処置に有効な本発明の治療の量は、その障害または状態の性質に依存し、そして、当該分野の標準的臨床技術によって、決定され得る。さらに、インビボアッセイは、必要に応じて、最適な投与量範囲の同定を介助するために、使用され得る。処方物において使用される正確な投与量はまた、投与経路および疾患または障害の総体的な重篤度に依存し、そして、医師の判断および各患者の状況に従って、決定されるべきである。最終的に、主治医は個々の患者を処置するための、本発明のタンパク質量を決定する。最初は、主治医は低投与量の本発明のタンパク質を投与し、そして、患者の応答を確認する。より多い投与量の本発明のタンパク質は、最適な治療効果がその患者に対して得られるまで投与され得、その時、投与量はさらに増加されない。しかし、本発明の治療剤の静脈内投与についての適切な投与量範囲は、一般に、体重1kgに対して約20μg〜約500μgの活性化合物である。鼻腔内投与についての適切な投与量の範囲は、一般に、約0.01pg/kg体重〜1mg/kg体重である。有効な投与量は、インビトロまたは動物モデル試験系から誘導される、投与量応答曲線から、推定され得る。坐剤は一般に、0.5重量%〜10重量%の範囲の活性成分を含む;経口処方物は、好ましくは、10%〜95%の活性成分を含む。
【0173】
本発明の薬学的組成物を使用する静脈内治療の継続期間は、処置される疾患の重篤度、および各個々の患者の状態および潜在的に特有な応答に依存して、変化する。本発明のタンパク質についての各適用の継続期間は、12時間〜24時間の範囲内の連続静脈内投与であることが企図される。最終的に、主治医は、本発明の薬学的組成物を使用する静脈内治療の適切な継続期間を決定する。
【0174】
細胞はまた、このような細胞中の所望の効果、または細胞中の所望の活性を増殖するか、または生成するために、本発明の治療因子またはタンパク質の存在下で、エキソビボで培養される。次いで、処置された細胞は、治療の目的のために、インビボへ導入され得る。
【0175】
(炭水化物ポリマーに関連する病態生理学の処置の効率の評価)
本明細書中に開示されるような差次的なフィンガープリントの同定もまた、炭水化物ポリマーに関連する病態生理学の処置の経過の測定を、可能にする。この方法において、試験生物学的サンプルは、炭水化物ポリマーに関連する病態生理学に対する処置を受けている被験体から、提供され得る。所望される場合、試験生物学的サンプルは、処置前、処置中、または処置後の種々の時点にて、被験体から採取され得る。1つ以上の炭水化物ポリマーについての1つ以上の炭水化物フィンガープリントが、決定される。このフィンガープリントは、病態生理学の状態が公知である細胞を含む参照生物学的サンプル由来のフィンガープリントと、比較される。
【0176】
参照生物学的サンプルが、病態生理学が欠如する細胞由来である場合、試験生物学的サンプルと参照生物学的サンプルとの間の炭水化物フィンガープリント中の類似性は、処置が有効であることを示す。しかし、試験集団とこの参照生物学的サンプルにおける炭水化物フィンガープリント中の差異は、処置が有効でない事を示す。
【0177】
「有効」は、処置が被験体中の病態生理学の減少を導くことを、意味する。処置が予防的に適用される場合、「有効」は、この処置が病態生理学を遅延するか、または予防することを意味する。有効性は、特定の病態生理学処置するための、任意の公知の方法に関連して、決定され得る。
【0178】
(フィンガープリントマップ)
所望される場合、フィンガープリントは、実験データから得られたマップに従う炭水化物ポリマーを特徴付けるための系および方法を使用して、同定され得、そして比較され得る。好ましくは、このデータは、炭水化物ポリマーを特徴付けるための実験アッセイの複数の異なる型から、取得される。より好ましくは、このような少なくとも1つのアッセイは、糖類結合因子の炭水化物ポリマーへの結合に関する。次いで、複数の因子による結合マップは、炭水化物ポリマーを少なくとも部分的に特徴付けるために、分析される。炭水化物ポリマーの1つ以上の特色の少なくとも部分的な特徴付けのために、結合マップは、フィンガープリントを形成するために使用され、これはまた、アッセイの他の型からデータを取り入れる。
【0179】
これらの特色は、好ましくは、炭水化物ポリマーサンプルに関するアッセイから取得されたデータのマップから、誘導される。これらのマップは、より好ましくは、複数のレベル(各レベルは、より抽象的な生物学的情報を提供する)にて、分析され得る。最も好ましくは、実験データの新規な型は、データのより複雑な分析を支援するために、各レベルでの分析プロセスに導入され得る。必要に応じておよび最も好ましくは、実験データに適していないようなマップは、各レベルにて除外される。最も好ましくは、連続レベルのデータ分析での組合せ的爆発を避けるために、新規なマップがより高いレベルで導入された新規な実験データから誘導される場合にのみ、新規なマップは、そのレベルにて添加され得る。
【0180】
基本レベルにて、分析された結合データは、炭水化物ポリマーのためのフィンガープリントを決定するために、使用される。このフィンガープリントは、実際は、糖類結合因子による炭水化物ポリマーへの結合の存在の検出についての数値表現である。従って、フィンガープリント自体により、あるレベルにて、炭水化物ポリマーを特徴付ける。
【0181】
次に、フィンガープリントは、必要に応じて、実験データに適する種々の可能なマップを取得するために、内部的に分析される。例えば、モデル糖類結合因子のセットと特異的に結合するレクチンの特定のマップは、炭水化物ポリマーの特定の型または分類の存在を、示し得る。別の特定のマップは、特定の部位に結合するが、実際は結合していないレクチンまたは他の糖類結合因子に関して、偽陰性または「孔」の存在を、示し得る。偽陰性の存在は、糖類「近傍」の特定の型の存在を示し得、この糖類「近傍」は糖類結合因子の結合に影響を与え、その結果、特定の配列が存在したとしても、因子自体のその配列への結合は妨げられる。
【0182】
分析のこのレベルでは、別々で、相互に矛盾する多くのマップが考えられ得る。好ましくは、これらのマップに対するカットオフまたは確率的閾値は、可能な限り多くのマップが考えられるために、低い。次いで、これらのマップは、以下でより詳細に記載するように、好ましくは検査され、必要に応じて、分析の引き続くレベルにおいて排除される。
【0183】
分析の次のレベルでは、アッセイの他の型からの好ましい情報が、取り込まれる。これらのアッセイは、必要に応じて、そして好ましくは、実験上の人為的結果を減少、またはさらに排除するために、フィンガープリントデータに対するものと同一または類似な実験材料を用いて、実施される。さらに、少なくとも類似な実験材料の使用は、実験アッセイの正確な精度ではなく再現性のみを必要とすることで、サンプル炭水化物ポリマーの結果が標準的で既知の炭水化物ポリマーと比較され得る。例えば、このアッセイは、必要に応じて、グルコシダーゼ、還元末端の排除、および炭水化物ポリマーサンプルの他の改変の使用を含む。より好ましくは、以前取得されたマップは、実験データと矛盾するデータとして、このレベルで排除される。
【0184】
次のレベルは、好ましくは、データが外部のデータベースから組み込まれることを可能にし、その結果、必要に応じて、データは異なる実験材料から使用される。このような情報は、糖類、その供給源、および同様に可能な他の情報に組成に関連し得る。例えば、この情報は、この炭水化物サンプルが糖タンパク質の一部であろうとなかろうと、糖類結合因子(例えばサイトカイン)の他の型などの使用を含み得る。例えば、以前の段階から取得されたデータのマップは、明らかに糖類の供給源または組成に適合せず、次いで、これらのマップは排除されるべきである。このようなデータの導入は、好ましくは、既知の炭水化物ポリマーからの情報を用いて、少なくとも部分的に実施される。例えば、未知の糖類は、「EPO様」として分類され得、さらなる実験を導くことを助け得る。
【0185】
分析のさらなるレベルでは、データのマップが変換され、その結果、本来の生データについてのいずれの参考も、排除される。このような変換は、好ましくは、炭水化物ポリマーサンプル内の目的の特性部分を位置付けることによって、実施される。これらの目的の特性部分は、必要に応じて、より大きいポリマー配列内の単糖類の短い配列またはその配列の一部であり得る。このような特性部分の非常に単純な例は、グリコシダーゼ認識部位である。このような特性部分はまた、必要に応じて、「配列に基づく(基づいた)」特性部分として記載され、その時、これらは、少なくとも炭水化物ポリマーの配列の一部として、特徴付けられる。このような特性は、単なる再現性よりも、むしろ、実験データの絶対的正確さを必要とする不利さを有する。しかし、この特性は、かつて記載された外部のデータベースから得られるデータを介して、広範の種々の公知の異なる炭水化物ポリマーを通じて比較可能であるという有点を有する。
【0186】
あるいはおよび/またはさらに、ならびに好ましくは、これらの目的の特性部位は、目的の生物学的機能を有する機能的エピトープ、および/または配列に基づくエピトープに関する。「機能的」エピトープとは、炭水化物ポリマーの実際の配列に関係なく、少なくとも一部の炭水化物ポリマーが特定の機能および/または機能の型に関連しているようであることを、意味する。このような機能的エピトープは、必要に応じて、絶対的正確度よりもむしろ再現性の必要性のみを用いた複数の炭水化物ポリマーに関する同一のアッセイの実施を通じて、位置され得る。もちろん、機能的エピトープはまた、必要に応じて、配列によって特徴付けられ得、その結果、同一のエピトープはまた、必要に応じて、配列に基づくエピトープと機能的エピトープの両方であり得る。
【0187】
あるいはおよび/またはさらに、ならびに好ましくは、これらの目的の特徴部位は、「特徴付けられた」特性に関する。これらの特徴部位は、炭水化物ポリマーの分散した部分である必要は必ずしもないが、むしろ全ポリマーまたはそれらのいくつかの組合せの分類、機能または性質を示す。例えば、このような特徴付けられた特性は、炭水化物ポリマーが「EPO様」であることが決定されることを可能とし得る。この決定は、ポリマー内の特定の機能的エピトープの部位を直ちに生じる必要は必ずしもないが、例えば、炭水化物ポリマーが、このような機能的エピトープが存在する可能性についてさらに試験されるべきであるということの指標を提供し得る。
【0188】
本発明の原理および操作は、図面および添付の説明を参照して、より理解され得る。
【0189】
ここで図面について言及すると、図4は、目的の炭水化物ポリマーについてのフィンガープリントを決定するための生データを取得するために、先に援用されたPCT出願番号PCT/IL00/00256に従った模範的な実験系を示す。示されるように、系10は湿式アレイ12を特徴とし、ここで、実際のアッセイが複数の固定化糖類結合因子を用いて実施される。このような各固定化因子は、前決定されたアレイ部分14に位置し、これは、基質16上の前決定された位置にある。好ましくは、各アレイ部分14は、異なる固定化糖類結合因子を特徴とする。示される複数のアレイ部分14は、湿式アレイ12の全体を含む。従って、各アレイ部分14は、湿式アレイ12上のアドレスである;このアドレスから取得されたデータは、以下でより詳しく記載するように、目的の炭水化物ポリマーについてのフィンガープリントの一部を形成する。
【0190】
次いで、炭水化物ポリマーが1つ以上の固定化された糖類結合因子に特異的に結合可能な条件の下で、炭水化物ポリマーを、湿式アレイ12を用いてインキュベートした。このような特異的結合は、特定のアレイ部分14での炭水化物ポリマーと固定化された糖類結合因子との複合体形成を導く。
【0191】
次いで、複合体の存在を、湿式アレイ12を用いる可溶化された第2の糖類結合因子のインキュベーションにより検出する。可溶化された第2の因子は、検出のための標識を特徴とする。従って、可溶化された因子が、任意の特定のアレイ部分14で複合体に結合した場合、このような複合体の存在は、標識を検出することにより検出され得る。次いで、検出デバイス18は、標識の存在を検出するために使用され、その結果、任意の特定の検出デバイス18の選択は、標識の性質に依存する。例えば、励起されそして蛍光を発するようになる色素のような色素標識は、検出デバイス18のためのカメラまたは他の画像化デバイスを用いて随意的に検出され得る。検出デバイス18は、各アレイ部分14からの標識からのシグナル間を識別可能であり得る。
【0192】
一旦各アレイ部分14からのシグナルが、検出デバイス18によって集められ、電子(デジタル)データに変換されると、得られた生データは、フィンガープリントの各アドレスについての数値が、湿式アレイ12についてのアドレスと一致するように、好ましくはフィンガープリントについて数値に変換される。この変換の過程は、必要に応じてそして好ましくは、コンピュータデバイス22によって操作するためのソフトウェアモジュールとして必要に応じて実行され得る、変換モジュール20によって行われる。次いで、このフィンガープリントデータは、データベース24に好ましくは保存され、より好ましくはコンピュータデバイス22によっても制御される。当然、コンピュータデバイスのネットワークにわたって分散する実装もまた、本発明の範囲内であり得る(示さない)。
【0193】
本発明の好ましい実施形態に従って、糖類結合因子のモデルセットが、このアッセイのために使用される。このモデル因子は、炭水化物ポリマーサンプルの個々の特徴付けを提供するために、好ましくは前もって選択される。例えば、前もってEPOから得られた結果に基づいて炭水化物ポリマーサンプルを特徴付けるために、モデル糖類結合因子は、「EPO様」であるために必要に応じて選択され得る。特に、このような因子のモデルセットは、このような特徴付けを個別に示すデータを提供するために選択されるべきである。この因子は、必要に応じて、そしてより好ましくは、既知の標準的な炭水化物ポリマーに対して、異なる糖類結合因子を用いる実験を行い、次いで炭水化物ポリマーサンプルの特徴付けのために最も有用なデータを提供するそれらの因子を選択することにより選択される。
【0194】
因子のこれらの異なる型のモデルセットの1つの例は、病巣ライブラリーである。病巣ライブラリーの構成要素は、共通のリガンドと結合するか、または別の共通の機能的プロパティーもしくは構造的プロパティーを共有するので、選択される。後者の例としてはEPO、インターフェロンα、CGSFおよびHCGのような糖タンパク質の改変体形態が挙げられる。
【0195】
次に、必要に応じそして好ましくは、炭水化物ポリマーサンプルのフィンガープリントと少なくとも1つの他のフィンガープリントとを比較するための比較方法が実行される。より好ましくは、比較のためのフィンガープリントは、標準的な既知の炭水化物ポリマーから得られるか、あるいは、他のフィンガープリントもまた、必要に応じて別の炭水化物ポリマーサンプルから得られ得る。このような方法の例が、図5に関して記載されている。
【0196】
第1の工程では、比較フィンガープリントを得る。上記に記載されるように、比較フィンガープリントは、好ましくは標準的な既知の炭水化物ポリマーから得られる。しかし、フィンガープリントデータの由来に関わらず、好ましくは比較フィンガープリントデータは、そのデータを得るために使用された少なくとも糖類−結合因子セットを含む、実験条件についての情報を含み、より好ましくは、洗浄条件、インキュベーション条件のストリンジェンシー、可溶化された糖類結合因子の標識の型などについての情報を含む。
【0197】
第2の工程では、フィンガープリントの実際のアドレスを、比較する。必要に応じて比較をアドレス毎に行い、少なくとも1つの比較の肯定的な結果が、正の数値を与えられる。より好ましくは、比較の否定的な結果は、負の数値が与えられる。次いで、第2の工程は、好ましくは比較される全てのアドレスについて繰り返される。
【0198】
第3の工程では、アドレス毎の比較についての全ての数値が、いくつかの関数に基づいて好ましくは類似因子(similarity factor)に変換される。この関数は、必要に応じて単純であり、例えばアドレス毎の比較プロセスからの全ての正の値と負の値を加算するものである。あるいは、そして好ましくは、この結果は、重みがつけられ得る。より好ましくは、この結果は、前に記載された実験条件に由来する解釈用の情報に基づいて重みづけられ得、その結果、例えばより大きな重みが、フィンガープリントの2つのアドレスの間の比較の結果として必要に応じて与えられ、ここでさらなる確実性が、実験結果に対して割り当てられ得る。
【0199】
2つのフィンガープリントを比較するための定量的ツールの例は、必要に応じて、そしてより好ましくは、類似性/非類似性の単なる数値測定とは対照的に、2つ以上のフィンガープリント間の距離を再帰する利点を有する系統的な分析を使用する。生物学的配列(例えば、タンパク質配列またはDNA配列)間の進化的関係を調べるために最初に使用される、系統的分析は、2つ以上の配列間の距離の定量的測定、または2つ以上の配列間の差異の程度を提供する。系統的分析の使用は、本発明の任意であるが好ましい実施形態に対して特に好ましく、この本発明の任意であるが好ましい実施形態において、サンプル炭水化物ポリマーのフィンガープリントは、多数のこのようなフィンガープリントを含むデータベースと比較される。より好ましくは、フィンガープリントデータは、標準的な炭水化物ポリマーのフィンガープリントデータである。いかなる場合においても、本発明のこの好ましい実施形態について、工程3は、異なる関数で置換され、これは必要に応じて、データベース中の各フィンガープリントについて工程2を反復することを必要とする。
【0200】
系統的分析は、長年研究されていて、そして当該分野における周知の話題であるので、多くの異なる方法が当該分野で公知である。さらに、多数の企業が、系統的情報を分析するための多数の製品および有用物を提供している。
【0201】
本発明に従って、必要に応じて、そしてより好ましくは、系統的情報を計算するために以下の関数が使用され、ここで、フィンガープリントの情報は、距離の行列として表現される。これらの距離は、必要に応じて、いくつかの公知の関数(例えば、Hamming関数など)に従って得られる。本発明の好ましい実施形態に従って、距離は、以下のように得られる:
【0202】
【数2】
Figure 0004176467
ここで:
Dは、距離についての表示であり;
Nは、フィンガープリント1およびフィンガープリント2の中のアドレスの数であり;
Cは、フィンガープリントのアドレスiにおいて識別され得る最大のカラー数であり;
Viは、フィンガープリント1のアドレスi中に見出されるカラーがフィンガープリント2中の同じアドレスに存在する場合、1であり、そうでなければ、Viは、0である。
【0203】
先の2つの図は、実験的フィンガープリントデータを得るため、そして2つ以上の炭水化物ポリマー間のフィンガープリントデータを比較するための、いくつかの基礎的なツールを記載する。次の図は、フィンガープリントデータからのより高レベルの情報(例えば、サンプル炭水化物ポリマーを特徴付けるマップなど)を誘導するための方法を記載する。後の各図の方法は、サンプル炭水化物ポリマーのマップまたは他の特徴付け(これは、排除される実験データに適合しない)を獲得し、そしてまた必要に応じて、サンプル炭水化物ポリマーのマップまたは他の特徴付けを可能にする、高レベルの情報を増大させることを可能にする。好ましくは、各高レベルにおいて、さらなる実験データおよび分析を、マップを獲得および調べるためのプロセスに取り込み、可能な限りサンプル炭水化物ポリマーを特徴づけ、そしてまた、個々の実験から誘導され得る有用な情報を拡張する。
【0204】
本発明の好ましい実施形態に従って、サンプル炭水化物ポリマーのフィンガープリントは、図6の方法に関して記載されるように、それ自体内的に分析されて、フィンガープリントデータを拡張する。この例示的な方法に従って、フィンガープリントアドレスは、最初に、再帰的に分析されて、簡単なマップまたはマップフラグメントを見出す。次に、このマップフラグメントは、好ましくは再び再帰的分析を介して、大きなマップに集合される。必要に応じて、そしてより好ましくは、このマップは、QSAR(定量的構造−活性関係)アルゴリズムにおける使用のために、プロパティベクトル、またはプロパティデスクリプターに変換される。これは、フィンガープリントデータを構造プロパティ(すなわち、シアル酸含有量レベル、特定のモノマーまたはダイマーの存在または非存在など)を直接記載する数値のセットに変換する。QSARは次に、必要に応じて分子薬物設計における活性の推定のために使用され得る。
【0205】
図6に関して示されるように、この方法の第1段階において、サンプル炭水化物を特徴付ける第1セットのマップが、好ましくは、必要に応じてフィンガープリントデータの再帰的分析を介して作製される。このような再帰的分析は、必要に応じて単純に、フィンガープリントの各アドレスを工程1における1つ以上の他のアドレスの配列と連続的に組み合わせる形態をとり得る。次に工程2において、このような各組み合わせを分析して、このマップ(またはマップのフラグメント)が内的に整合するか否かを決定する。工程3において、内的に整合することが示されたマップまたはマップのフラグメントを、次の段階の分析のために保持する。
【0206】
この型の分析の例として、マップは、サンプル炭水化物ポリマーが切断剤を用いて最初に消化され、その後の工程において結合剤と反応させる実験から獲得され得る。このようなアッセイは、PCT出願PCT/IL00/00256に関してより詳細に記載される。しかし、簡単な例として、還元末端において標識されるサンプル炭水化物ポリマーを、第1の糖結合剤(これは、必要に応じて、認識配列aを有するグリコシダーゼであり得る)と反応させる。コントロール反応において、標識されたサンプル炭水化物ポリマーを、未処理のままにする。次いでこの反応を、固定された糖結合剤(これは、必要に応じて、認識配列bを有するレクチンであり得る)と独立してさらに反応させる。未結合のサンプル炭水化物ポリマーを洗浄除去した後、検出工程を実施する。標識の存在は、部位bがサンプル炭水化物ポリマー中に存在することを示す。
【0207】
第1の糖結合剤が存在する反応を第1の糖結合剤が存在しない独立したコントロール反応と比較することによって、標識の存在下におけるグルコシダーゼの効果が決定され得る。例えば、標識が、認識配列bを有するレクチンに対する結合後にコントロール反応の中で検出されるが、第1の糖結合剤が認識配列aを有するグリコシダーゼである反応中で検出されない場合、認識部位の配列は、b−a還元末端である。他方、標識がコントロール反応およびグリコシダーゼ反応の両方に存在する場合、これは、認識部位の配列が、a−b還元末端であることを示す。認識部位aは、サンプル炭水化物ポリマーの内側に位置し得ず、すなわち、認識部位aは、糖配列中に存在し得ない。
【0208】
本発明の好ましい実施形態に従って、工程1は、階層的な木(hierarchical tree)の上の節(node)としてフィンガープリントの各アドレスを最初に配置することによって実施される。フィンガープリントアドレスによって示されるデータの型に依存して、このアドレスは、必要に応じて、1つより多くの節の上に現れ得る。好ましくは、この木の階層は、多数のデータカテゴリーに従って構築される。例えば、この木の一部は、必要に応じて、サンプル炭水化物ポリマーに対する糖結合剤の単純な結合を示し得る。次いで、この木のこの部分は、好ましくは、各糖結合剤の特徴付けに従って、例えば、薬剤の型(レクチン、抗体など)に従って、サンプル炭水化物ポリマーに対するその薬剤の効果(結合、切断など)に従って、可溶化された糖結合因子に対する標識の型に従って、構築される。
【0209】
次に、工程2において、この木は、例えば、根の節(root node)として木の各アドレスを使用することによってか、あるいは、木の各節からその木の他の節へと移動することによって再帰的に調べられて、マップまたはマップのフラグメントを確立し得る。この方法の利点は、この木が、生物学的に有用なカテゴリーおよび/またはパラメーターに従って構築される場合、この木の節から構築されるマップは、内的に整合するはずである。このプロセスは、必要に応じて、何回も繰り返され、大きなマップを構築し得る。
【0210】
このような木を構築および調べるための手順の例は、必要に応じて、そして好ましくは、以下のように実施される。レクチンは、必要に応じて、実験アッセイ(例えば、図4に関して記載されるアッセイ)のための糖結合剤として使用され得る。好ましくは、このようなレクチンは、レクチンの対として使用される:炭水化物ポリマーが最初に結合して複合体を形成する、固体支持体の表面上に固定された第1のレクチン;および、複合体への結合のための、第2の可溶化されたレクチン。第2のレクチンは、好ましくは、標識を特徴とし、複合体の存在が検出されることを可能にする。レクチンのこれらの対は、必要に応じて、クラスターアルゴリズムを用いて相関付けられ得、その結果、レクチン対についての結果の間の「関連性」または距離が、炭水化物ポリマーに対するそれらの結合挙動から決定され得る。次いで、このような相互関係は、必要に応じて、木を形成するために使用され得、その結果、この木の各節は、相対的な距離に従って、他の節に対して関連付けられる。あるいは、この相互関係は、必要に応じて、標準的な既知の炭水化物ポリマーに関するレクチンの挙動に従って、木の節を構築するために使用され得る。
【0211】
レクチンが木において系統付けられ得る測定の1つの例は、以前に記載された、Hamming距離、またはJaccard類似性測定である。non−zeroベクトルであるvとvとの間のJaccard類似性測定は、以下:
Jaccard測定=a11/(a11+a01+a10
のように規定され、ここで、aijは、vが値iを有し、vが値jを有する次元の数である。この類似性測定は、レクチン対間の結果の類似性、ならびに異なるフィンガープリント間の結果の類似性を決定するための使用され得る。例えば、木は、必要に応じて、既知の炭水化物ポリマーについての異なるフィンガープリントから構築され得、これは次いで、サンプル炭水化物ポリマーについての結果に対して、その類似性について調べられる。
【0212】
好ましくは、多数の型のフィンガープリントデータが、これらのマップに取り込まれ、必要に応じて、このアッセイが実施される前にサンプル炭水化物ポリマーの改変を含むフィンガープリントデータも含む。例えば、ポリマーは、必要に応じて、分子を切断するためのグリコシダーゼ;還元末端の排除;および必要に応じて標識を有する1つ以上の糖をサンプル炭水化物ポリマーに対して付加するためのグリコシルトランスフェラーゼを用いて、改変され得る。標識を有する糖での改変が、「二重標識」実験に対して特に好ましく、ここで、図4のアッセイの第2の糖結合剤は、第2の標識を有する。従って、2つの標識のマップは、サンプル炭水化物ポリマーの構造に関するさらなる情報を提供する。
【0213】
これら異なる型の実験データが、必要に応じて、サンプル炭水化物ポリマーについての単一フィンガープリントに取り込まれ得るが、このような取り込みは必要とは限らないことに留意するべきである。
【0214】
あるいは、異なる型のデータが、そのポリマーについてのマップを作製するためにフィンガープリントの補助として使用され得る。いかなる場合においても、これら異なる型の実験データは、少なくとも類似の条件を用いて少なくとも類似の実験材料に対して実施された実験アッセイから得られるべきである。より好ましくは、この実験材料および条件は、特に異なるポリマーの間(例えば、標準の既知の炭水化物ポリマーとサンプル炭水化物ポリマーとの間)の比較について、同一である。
【0215】
必要に応じて、そしてより好ましくは、マップは、例えば、QSAR(定量的構造−活性関係)アルゴリズムにおける使用のために、プロパティベクトル、またはプロパティデスクリプターに変換される。各適切なベクトルは、サンプル炭水化物ポリマーの構造的プロパティおよび/またはフィーチャーの定量的な描写である。ベクトル中の各数値は、好ましくはプロパティまたはフィーチャー(例えば、シアル酸含有量レベル、その炭水化物配列中の特定のモノマーまたはダイマーの存在または非存在など)に対応する。このようなプロパティベクトルはまた、必要に応じて、より定性的なプロパティを記載するためのデータを特徴とし得る。
【0216】
変換プロセスは、好ましくは、マップを構築するためにフィンガープリントの多数の数値を関連付けることによって実施される。このような相関は、必要に応じて、フィンガープリントデータを「テンプレート」と比較し、プロパティまたはフィーチャーが存在するか否かを決定することによって実行される。あるいは、プロパティベクトル中の値は、必要に応じて、以下の図7に関してより詳細に記載されるように、他の型の実験からの結果を統合することによって獲得され得る。例えば、プロパティベクトル中の値は、必要に応じて、サンプル炭水化物ポリマーの糖含有量から誘導され得る。
【0217】
このようなさらなる情報によって、多数の局面でのデータの解釈が高められ得る。第1に、必要に応じてこれを使用して、異なる型の実験アッセイ由来の可能性のある部位であると同定された部位から、不可能な認識部位または少なくとも非常に可能性が低い認識部位を排除し得る。例えば、レクチンが糖結合剤として使用されるアッセイについて、多くのレクチンがグルコース(Glc)およびマンノース(Man)の両方に特異的に結合するが、多くのグリカンは、Glcを含まない。従って、これらのレクチンへの結合の存在は、Manのみの存在を示す。
【0218】
さらに、このような情報は、必要に応じて、データ解釈における多義性を示唆し得、そのデータ中に存在しない情報を付加し得る。後者の機能の例は、Kdo(これは、LPS(リポポリ多糖)中の単糖である)の存在の検出であるが、これは、レクチン結合データに従って検出することはできない。このような情報はまた、特定の仮説を確認/却下するための強力な手がかりを示し得る。
【0219】
しかし、このような情報は、単糖組成物に限定されるべきではない。なぜなら、この単糖組成物は、単に非限定的な例示の例として意図されるからである。その代わり、この情報は、必要に応じて、実験アッセイからのデータ;構造情報(例えば、どれくらいの長さの種が、ポリマーの特定の切断によって作製されるか);医薬情報および起源の情報(なぜなら、例えば、哺乳動物炭水化物ポリマーは、植物炭水化物ポリマーよりも単糖組成物により限定され、そして両方とも、細菌炭水化物ポリマーよりも限定されるからである)を含み得る。
【0220】
図7は、外部データベースからのデータを統合することによってフィンガープリントデータを拡張するための、本発明に従う例示的な方法のフローチャートである。「外部データベース」とは、そのデータが、同じ材料に対して実施されていない実験から得られることを意味し、その結果、同じ実験条件がデータセットの両方に対して適切される必要はない。このような情報は、糖の組成、その供給源、および可能性のある他の情報も同様に、関連し得る。
【0221】
例えば、この情報は、サンプル炭水化物が糖タンパク質の一部であるか否か、炭水化物結合剤の他の型(例えば、サイトカイン)の使用などを含み得る。このようなデータの導入は、好ましくは、少なくとも部分的に、例えば、標準の参照炭水化物ポリマーとしての既知の炭水化物ポリマー(例えば、EPO)からの情報を用いて実行される。
【0222】
図7に関して示されるように、工程1において、データは、外部データベースから読み出され、そしてデータのフォーマットが分析される。工程2において、データのフォーマットがそのポリマーの特定の局面を特徴付ける1つ以上の数値を含む場合、これらの値は、必要に応じて、サンプル炭水化物ポリマーについての「フィンガープリント」を作製するために使用される。例えば、アッセイがサンプル炭水化物ポリマーを用いて実施されて、糖含有量を決定する場合、相対量および異なる型の糖の同定が、このようなデータのフィンガープリントに明確に変換される。
【0223】
あるいは、工程3において、データのフォーマットが生の実験結果を含む場合(例えば、グリコシダーゼを用いた炭水化物ポリマーの切断後の、PAGE(ポリアクリルアミドゲル電気泳動)ゲル上のバンドのマップなど)、そのデータは、好ましくは、1つ以上の数値に変換される。例えば、バンドのマップは、特定の分子量でのバンドの存在または非存在を決定し、次いで各分子量において二値(正/負)を用いて「フィンガープリント」を作製することによって、必要に応じて変換され得る。あるいは、フィンガープリントは、必要に応じて、一連の数値としてバンドの一連の分子量を含み得る。PAGEゲルアッセイが、単に非限定的な例として意図され、そして他の型のアッセイデータ(例えば、カラムクロマトグラフィーデータ)もまた、必要に応じて組み込まれ得ることに留意するべきである。
【0224】
データの形式はまた、必要に応じて、2つの異なる型の実験結果を含み得、これらはその後好ましくは相関付けられて、フィンガープリントを形成する。例えば、PAGEゲルアッセイは、種々の型のグリコシルトランスフェラーゼを用いた末端標識または他の末端標識機構の付加によって実施され得る。そしてこのゲルは、2つの型のデータを含む:特定の分子量でのバンドの存在;および特異的な標識バンドの存在。次いで、フィンガープリントは、必要に応じて、数値として(例えば、標識の効果を示すための二値(正/負)を用いたバンドの分子量として)両方の型のデータを示すように作製され得る。
【0225】
好ましくは、これらの外部「フィンガープリント」はまた、サンプル炭水化物ポリマーについてのデータ比較のための参照として、標準的な既知の炭水化物ポリマーについて作製される。このような外部「フィンガープリント」は、必要に応じて、標準的な炭水化物ポリマーに対する特別な実験アッセイの性能によって誘導され得るか、あるいは、既存のデータをフィンガープリント形式に変換することによって誘導され得る。
【0226】
工程4において、これらのフィンガープリントは、好ましくは、サンプル炭水化物ポリマーについて、図6中の以前のレベルから誘導されたマップに対して比較される。これらのマップのいずれかは、さらなるフィンガープリントデータと整合し、これらは必要に応じてかつ好ましくは、除外される。例えば、レクチン結合情報は、単糖Fuc(フコース)が存在しない可能性を示し得る。他方で、このような可能性は、炭水化物ポリマーの単糖組成物(これは、Fucの存在を示し得る)によって直接否定され得る。このような状況において、後者のデータの付加は、必要に応じて、Fucを含まないマップが好ましくはさらなるデータと矛盾するとして除外されるべきであることを示し得る。
【0227】
工程5において、必要に応じてかつより好ましくは、さらなるフィンガープリントデータを使用して、新規マップを作製する。これらの新規マップは、最も好ましくは、図6の方法に従って作製され、この方法は、実験データの供給源にかかわらず、この形式のフィンガープリントデータを用いた使用に適している。
【0228】
新規マップの任意の作製または既存するマップの任意の除外の両方が、炭水化物ポリマーについての確率空間の試験例である。以下に記載される方法とは異なり、これらのマップはなお、必要に応じて、フィンガープリントまたは他の実験データと直接関連し得る。しかし、この確率空間は、他の型の生物学的ポリマー(例えば、DNAなど)についてよりも検索がより困難である。なぜなら、実験データの再現性に対する要求のみで精度に対する要求がないからである。従って、確率空間または組み合わせ空間は、他の型の生物学的ポリマーについて検索することよりもはるかに増大する。
【0229】
図8は、サンプル炭水化物ポリマー内に目的のフィーチャーを配置するための、本発明に従う例示的な方法のフローチャートである。この点において、このマップは、本来の生のデータに対するいかなる参照をももはや含むべきではなく、代わりに配列エレメントを含むべきである。いくつかの生のデータは、いかなる有用な情報も生じ得ない。配列エレメントは、ここで、3次元データベース(これは、3次元(構造)情報の断片を保存している)と比較され得る。
【0230】
このプロセスは、実際に、組み合わせ検索、すなわち、組み合わせ空間における検索である。なぜなら、マップの各々が、炭水化物ポリマーの配列、構造、機能、またはこれらのいくつかの組み合わせを記載する関連するエレメントの可能性のある組み合わせを表すからである。これらのマップは、次に、炭水化物ポリマーの異なるより高いレベルのフィーチャー(これは、そのポリマー内の目的の特定の配列、構造、および/または機能に関連する)について検索するために使用され得る。
【0231】
図8に関して示されるように、工程1において、残ったマップは、必要である場合(この工程は、必要に応じて、マップを作製するプロセスの一部として既に実行されているかもしれない)、高いレベルのフィーチャーに最初に変換される。例えば、このマップは、好ましくは種々の機能的エピトープおよび/または配列ベースのフィーチャーに適合するように変換され、そしてフィーチャーを特徴付ける。この工程は、特に、標準的な参照炭水化物ポリマーに対する先の比較からのデータの存在によって補助される。なぜなら、このような比較は、機能的フィーチャーを配置するために特に有用であるからである。
【0232】
これらの目的のフィーチャーは、必要に応じて、より大きいポリマー配列内の短い配列または単糖配列の一部であり得る。このようなフィーチャーの非常に簡単な例は、グルコシダーゼ認識部位である。このようなフィーチャーはまた、必要に応じて、これらが炭水化物ポリマーの配列の少なくとも一部によって特徴付けられるという点で、「配列ベース」のフィーチャーとして記載され得る。このようなフィーチャーは、単なる再現性よりも、実験データの完全な精度を必要とするという不利な点を有する。しかし、これらは、以前に記載された外部データベースから得られるデータを介して、広範な種々の異なる公知の炭水化物ポリマーに対して比較可能であるという利点を有する。
【0233】
あるいは、および/またはさらに、そして好ましくは、目的のこれらのフィーチャーは、目的の生物学的機能を有する機能的エピトープおよび/または配列ベースのエピトープに関する。「機能的」エピトープとは、炭水化物ポリマーの実際の配列にかかわらず、特定の機能および/または機能の型と関連するようである、炭水化物ポリマーの少なくとも一部を意味する。このような機能的エピトープは、必要に応じて、完全な精度よりも、再現性のみを必要としながら、複数の炭水化物ポリマーに対する同じアッセイの性能を介して位置付けられ得る。当然、この機能的エピトープはまた、必要に応じて、配列によって特徴付けられ得、その結果、同じエピトープが、必要に応じて、配列ベースのエピトープおよび機能的エピトープの両方であり得る。
【0234】
さらにあるいは、および/またはさらに、そして好ましくは、目的のこれらのフィーチャーは、「特徴付け」フィーチャーに関する。これらのフィーチャーは、炭水化物ポリマーの分離した部分である必要はないが、むしろ、ポリマー全体の分類、機能もしくは性質、またはこれらの組み合わせを示す。例えば、このような特徴付けフィーチャーは、炭水化物ポリマーが「EPO様」であることを決定されることを可能にし得る。この決定は、ポリマー内の特定の機能的エピトープの位置をすぐに生じる必要はないが、例えば、その炭水化物ポリマーが、このような機能的エピトープが存在する可能性についてさらに調べられるべきであることの指標を提供し得る。
【0235】
工程2において、これらのより高いレベルの特徴は、内部整合性について比較される。任意の2つのこのような特徴が矛盾するか、または相互排除的である場合、どちらが正しいかを決定することは不可能であるので、必要に応じて、そして好ましくは、このような特徴は両方とも、さらなる考察から除去される。しかし、さらなるデータが利用可能になる場合、例えば前記のように、このデータに従って、これらの特徴の2つに1つが保持され得る。
【0236】
工程3において、これらのより高いレベルの特徴は、このような特徴のデータベースと比較され、このデータベースは、好ましくは、炭水化物ポリマーの構造的要素および/または機能的要素を含む三次元データベースとして実施される。例えば、このような特徴は、目的のエピトープを位置付けるために、必要に応じて用いられ得、次いでこのエピトープは、サンプル炭水化物ポリマーの型または機能に関する情報を提供し得る。
【0237】
本発明は、以下の実施例においてさらに例示され、これらの実施例は、添付の特許請求の範囲を限定しない。
【0238】
(実施例1)
(第1および第2の配列特異性因子として抗体を用いる糖分子分析)
この実施例は、本発明に従う糖分子分析技術をさらに例示する。第1および第2の配列特異性因子として、抗体を用いる。以下の表は、例示目的で示される2つの異なる糖類(HSおよびNS)での反応結果を列挙する。
【0239】
糖類の構造は以下の通りである:
【0240】
【化1】
Figure 0004176467
Figure 0004176467
表2は、糖類と、本質的に配列特異的な第1および第2の因子との、反応結果を列挙し、これらの因子はT抗原、Lewis(Le)、またはLewis抗原(Le)に対する抗体である。本質的に配列特異的な第1の因子をマトリクス(好ましくは、固相微小粒子)に固定する。本質的に配列特異的な第2の因子を、蛍光因子(すなわち、ナイル(nile)赤色または緑色)で標識する。さらに、本質的に配列特異的な第2の因子に対するマーカーとして作用する、ナイル赤色標識または緑色標識と明確に識別可能な標識を用いて、糖類の還元末端を標識する。表2は糖類HSに対する反応を列挙し、それに対し表3は、糖類NSに対する反応を列挙する。
【0241】
【表2】
Figure 0004176467
【0242】
【表3】
Figure 0004176467
まとめると、本質的に配列特異的な第1の因子として示される抗体(列)を用いる場合、糖類HSまたはNS(行)の反応において、ここで以下のシグナルが検出可能である:
【0243】
【表4】
Figure 0004176467
この標識を検出し、各反応についての結果を記録した後、本質的に配列特異的な第3の因子を添加する。この実施例において、本質的に配列特異的な第3の因子での2つの独立した反応を用いる。ここで、糖分子を保有する固相を、α1−2フコシダーゼまたはエキソβガラクトシダーゼ(本質的に配列特異的な第3の因子)のどちらかでの反応のために、アリコートに有利に分割し得る。あるいは、本質的に配列特異的な第1および第2の因子での3組の反応を、実行し得る。
【0244】
【表5】
Figure 0004176467
【0245】
【表6】
Figure 0004176467
【0246】
【表7】
Figure 0004176467
Figure 0004176467
ここで、上に示したように収集されたデータから、糖分子同一性(GMID)カードを作成し得る。このような情報の例を、糖類HSについて表8に、そして糖類NSについて表9に列挙する。
【0247】
【表8】
Figure 0004176467
【0248】
【表9】
Figure 0004176467
本質的に配列特異的な第2および第3の因子の同一性は、このようなデータリストで開示される必要はない。比較目的のために、特定のコード番号(上記の表の1、2または3)が常に試薬の特定の組み合わせを同定することは、十分である。
【0249】
(実施例2)
(還元末端を連続的に標識するためのスキーム)
上記の説明および実施例において示しているように、本発明の方法は、研究される糖の還元末端での標識化を有利に用いる。しかし、この標識化技術は、糖内部の部位に及び得、従って、さらなる情報を提供することによって、本発明の方法に寄与し得る。エンドグリコシダーゼを用いる切断に続く、還元末端の標識化によって、鎖内の糖を標識することが可能であるので、従って、糖鎖内に標識された還元末端を得ることが可能である。この還元末端は、本来の還元末端と比較した場合、第1、第2および第3の、本質的に配列特異的な因子に対する結合部位と本質的により近いので、内部に作製された標識還元末端の使用は、さらなる情報を提供する。さらに、以下にさらに記載される方法に従う、還元末端の連続的な標識によって、研究される糖の鎖上において連続的な順序にある、異なるグリコシダーゼに対する部位を、同定することが可能である。
【0250】
ここで、還元末端の連続的な標識の方法を、以下の工程においてより詳細に記載する。
【0251】
(1.ブロッキング)
還元末端を有する多糖を、NaBH/NaOHを含むpH11.5の溶液中で、インキュベートする。
【0252】
この処理は、還元末端をブロックし、それによってこの多糖はここで、還元末端(RE)を欠く。
【0253】
(2.露出)
工程1の多糖を、エンドグリコシダーゼで処理する。このエンドグリコシダーゼに対する認識部位が多糖内に存在する場合、多糖の切断によって、新しい還元末端が作製される。ここで、この溶液は2つの糖を含む:エンドグリコシダーゼ部位に、新しく露出されたREを有するフラグメント、および、REがブロックされている第2のフラグメント。
【0254】
(3:還元末端の標識化)
この反応は、例えば、2−アミノベンズアミド(Oxford Glycosystems Inc.によって、糖を標識するためのキットの形態で市販されている(1994年カタログ、62頁))を用いて行われ得る。高い水素濃度および高い温度(H+/T)の条件下での反応に続き、還元が完了した後、この混合物は、2つのフラグメント(このうち一方は還元末端において標識されているが、他方は、還元末端がブロックされているという事実に起因して、標識されないままで残る)を含む。
【0255】
還元末端を標識する別の方法は、還元アミノ化である。アリールアミン基を含む蛍光化合物を、還元末端のアルデヒド官能基で反応させる。次いで、得られたCH=N二重結合を、例えば水素化ホウ素ナトリウムを用いて、CH−N単結合へと還元する。この技術は、例えばGlyko,Inc.カタログの8〜13頁(これは、本明細書中に参考として援用される)に記載されるような、Glyko Inc.、Novato、CA、USAから入手可能なFACE(蛍光団補助炭水化物電気泳動)キットの一部である。
【0256】
(4.第2のエンドグリコシダーゼとの反応)
ここで、第2のエンドグリコシダーゼを、糖混合物と反応させ得る。この新しい反応混合物は、ここで3つのフラグメント(インタクトな還元末端を有する1つのフラグメント、2−アミノベンズイミドによって標識された還元末端を有する第2のフラグメント、およびブロックされた還元末端を有する第3のフラグメント)を有する。
【0257】
(実施例3)
(本質的に配列特異的な因子での一連の反応からの構造的情報の誘導)
この実施例は、本発明の方法をさらに例証する(すなわち、上にさらに記載される一連の反応を用いることによる、糖の構造に関連するデータの生成)。この実施例は、さらに、この一連の反応から配列情報が推論され得ることを実証する。
【0258】
いくつかの場合において、用いられる試薬は、公開されたデータ(例えば、カタログから取り出されたデータ)から予測されるとおり、厳密に反応しなくてもよい。例えば、以下にさらに記載されるレクチンDatura stramonium凝集素は、GlcNacに結合するとしてSigmaカタログに挙げられる。しかし、以下でさらに詳述される反応において、DSAは、クマリン120誘導Glc(Glc−AMC)に結合することが示される。これらの化合物の間の、構造的な類似性に起因して、Glc−AMCが全ての目的のためにGlcNacと同様に作用することは明白である。さらに、以下の結果から明白なように、用いられたエンドガラクトシダーゼは、ガラクトース残基でだけではなく、Glc−AMC基を残りの糖と結合させている結合をも、切断する。
【0259】
本発明の実施において用いられる、本質的に配列特異的な因子が、いくつかの場合、公開されている材料(例えば、カタログ)に与えられるこれらの因子の特異性と異なる、優れた特異性を有し得ることは、明白である。このような反応を、公知の構造の糖を用いる本発明の方法を使用することによって、迅速に同定し得る。次いで、見出した結果を、予測した結果と比較し得、そしてその差異は、用いた本質的に配列特異的な因子の、異なる特異性の同定を可能にする。次いで、本質的に配列特異的な因子の優れた特異性における、公表されたデータからのこのような変動を、これらの因子を使用する、未知の糖構造の将来の解析のために保存し得る。
【0260】
以下に、本発明の方法を、末端を標識された五糖ならびに種々のレクチンおよびグリコシダーゼを用いて、例示する。この五糖は、構造Gal−β(1,4)−[Fuc−α(1,3)]−GlcNAc−β(1,3)−Galβ(1,4)−Glcを有する。この五糖は、それぞれ3位および4位でこの五糖に結合する、フコースおよびガラクトースを有する、GlcNAc位で分枝される。この五糖を、その還元末端(Glc)にて、クマリン−120(7−アミノ−4−メチルクマリン、例えば、Sigma(カタログ番号A9891)から入手可能)で標識する。アリールアミン官能基を用いることによる還元末端の標識のために、上記のようにカップリング反応を行い得る。クマリン−120は、312nmで励起される際、青色の蛍光を発する。第1および第2の、本質的に配列特異的な因子として、エンド−β−ガラクトシダーゼ(EG、Boehringer Mannheim)およびエキソ−1,3−フコシダーゼ(FD、New England Biolabs)を用いる。両方の試薬に対する反応条件は、エキソ−1,3−フコシダーゼのためのNEBカタログに記載される通りである。
【0261】
3つの反応を行った。第1の反応は、フコシダーゼ(FD)およびエンドガラクトシダーゼ(EG)を含み、第2の反応はFDのみを含み、そして第3の反応物はEGのみを含んだ。酵素を欠く第4の反応は、コントロールとして役立った。
【0262】
酵素が糖を消化したことを確認するために、薄層クロマトグラフィー(TLC)を用いて、種々の反応系をサイズ分離した。
【0263】
分離の後、TLCプレート上の糖を、このプレートを紫外線に露光することによって、検出し得る。この結果を、以下の図に示す。
【0264】
【化2】
Figure 0004176467
反応4において、グリコシダーゼを添加しなかったので、糖はインタクトであって、そしてプレート上の短い距離しか移動しない。反応2のフラグメントは、2番目の分子量であり、それに対して反応1および反応3のフラグメントは、等分子量であるようである。これらのデータから、糖におけるグリコシダーゼ部位の配列が、FD−EG−還元末端(クマリン標識)であることが結論され得る。
【0265】
ここで、上記の五糖を、さらに上に記載されるような一連の反応によって、試験し得る。第1および第2の、本質的に配列特異的な因子として、レクチンを用いた。レクチン(Anguilla Anguilla凝集素(AAA)(カタログ番号L4141)、Arachis Hypogaea凝集素(PNA)(カタログ番号L0881)、Ricinus communis凝集素(RCAI)(カタログ番号L9138)、Lens Culinaris凝集素(LCA)(カタログ番号L9267)、Arbus Precatorius凝集素(APA)(カタログ番号L9758))は、Sigmaから入手可能である。レクチンはまた、他の企業からも入手可能である。例えば、RCAIはPierce(カタログ番号39913)から得られ得る。レクチンを、ニトロセルロースフィルター上へのブロッティングによって固定する。
【0266】
反応緩衝液は、1mMのCaClおよび1mMのMgClを含む、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)である。レクチンの結合の後、このフィルターを、反応緩衝液中において1%のBSAでブロックした。コントロールとして、レクチンを含まず、かつ固定されたタンパク質として10μgのBSAを含む、反応物を用いた。
【0267】
この反応の結果を、表10に示す。プラスは、312nm蛍光の存在を示し、この蛍光は、クマリン標識還元末端の存在を示す。この表中の数字1〜4は、上で定義されたとおりの反応を示す。
【0268】
【表10】
Figure 0004176467
表10に挙げられた結果(反応物4−コントロール)から、レクチンAAA、PNA、DSAおよびRCA−Iが糖に結合することは、明白である。従って、フコース、Gal(1−3)GlcNAc、GlcNAc、およびガラクトース/GalNAcは、それぞれAAA、PNA、DSAおよびRCA−Iに認識される糖構造であるので、この糖中に存在するはずである。上記のグリコシダーゼ(フコシダーゼおよびエンド−β−ガラクトシダーゼ)が、この糖中の切断配列を認識することはさらに明白である。これらの配列は、それぞれ、Fuc(1−3/1−4)GlcNAcおよびGlcNAcβ(1−3)Galβ(1−3/4)Glc/GlcNAcである。
【0269】
AAA(これは、フコースに結合する)が固定されたレクチンとして用いられる場合、還元末端はいずれかのグリコシダーゼによって切断されるので、両方のグリコシダーゼ部位がフコース糖と還元末端との間に位置することが、さらに推論され得る。一方、DSAとの反応は、DSAが固定された因子として用いられる場合、いずれのグリコシダーゼも還元末端を切断しないので、GlcNAc単糖が、グリコシダーゼ部位と還元末端との間に位置するか、または、Glcがクマリンに直接結合するかの、いずれかの推論を可能にする。
【0270】
さらに、固定された因子としてPNAを用いる反応は、エンド−βガラクトシダーゼを用いた場合(反応物1および反応物3)のみ、還元末端が切断されることを示す。このことは、エンド−βガラクトシダーゼ部位が、PNAのための部位と還元末端との間に位置することを示す。一方、フコシダーゼ部位は、PNA部位と、糖のもう一方の末端との間に位置するはずである。
【0271】
上記のデータを考慮すると、ここで、以下のような糖の配列を提唱することが可能である:
【0272】
【化3】
Figure 0004176467
上記の実験は、本発明の方法が、比較的少ない反応に基づく種々のデータ(配列情報を含む)を与え得ることを、明白に実証する。配列情報における詳細のいくらか(例えば、上記の糖における、フコースとGlcNAcとの間の(1−3)または(1−4)結合)は、完全でなくてもよい。五糖の単糖組成が知られている場合、上記の分析は、この五糖の詳細の全てを与えている。それにも関わらず、単糖組成データの非存在下で得られた情報でさえ、先行技術の方法と比較して非常に正確である。
【0273】
(実施例4)
(部分的かまたは完全な配列情報の誘導)
本発明の方法は、自動化に適する。従って、上記の(例えば、実施例1〜3における)工程を、混合、等分、反応、および検出のための自動システムを用いて行い得る。次いで、このような自動プロセスから得られたデータを、部分的かまたは完全な配列情報へと、マッピング情報を「落とし込む(collapse)」ために、さらに処理し得る。このようなデータ処理のための方法は、以下にさらに詳細に記載される。
【0274】
全てのデータを収集した後、グリコシダーゼの添加の前の反応から得られた検出シグナルと、グリコシダーゼの添加(およびグリコシダーゼとの反応)の後に得られたシグナルとを比較する。グリコシダーゼの反応後に消失するそれらのシグナルを、マークする。このことは、それらのシグナルのリスト(以後、本明細書中で第1リストと呼ばれる)を準備することによって、有利に行われ得る。ここで多糖上の2つの部位のアイデンティティは、それぞれのこのようなデータエントリーについて確立され得る。(必要に応じて仮想的な)アレイにおける位置は、第1の本質的に配列特異的な因子を示す。グリコシダーゼとの反応の前にシグナルが検出された場合、その因子に対する認識部位は、その多糖中に存在するはずである。ここで、シグナル(例えば、第2の本質的に配列特異的な因子と関連するシグナル)の消失は、このグリコシダーゼが、第1および第2の本質的に配列特異的な因子の認識部位の間を切断することを示す。従って、認識部位の配列は、(第1の本質的に配列特異的な因子)−(グリコシダーゼ)−(第2の本質的に配列特異的な因子)である。還元末端に対するシグナルが、グリコシダーゼでの消化の後もまだ存在する場合、還元末端に対する、認識配列の相対的な順序が確立され得る;さもなければ、両方の可能性(a−b−cおよびc−b−a)を考慮しなければならない。例示の目的のために、用語「第1の本質的に配列特異的な因子の認識部位」は、以下で「第1認識部位」と表され、用語「第2の本質的に配列特異的な因子の認識部位」は、「第2認識部位」と表され、そして用語「グリコシダーゼに対する認識部位」は、「グリコシダーゼ」と表される。
【0275】
ここで、上記の型の認識部位のトリプレットの第2のリストを作成することが、可能である(1型のトリプレット):
(第1の認識部位)−(グリコシダーゼ)−(第2の認識部位)。
【0276】
同様に、ここで、全てのシグナルがグリコシダーゼの添加後に残る(必要に応じて仮想的な)アレイ位置に関連する第3のリストを、作成し得る(2型のトリプレット):
(グリコシダーゼ)−(第1認識部位)−(第2認識部位)。
【0277】
明らかに、十分な数のトリプレットが、分子をその配列で規定し、すなわち、見出された全てのトリプレットを含む1つの糖配列のみが存在し得る。分子の長さについての情報が有用可能である場合、より少ない数のトリプレットが、必要とされ得る。必要なトリプレットの数は、その分子の総糖含有量が既知である場合、さらになお小さくなり得る。糖類の分子量および総単糖類含有量の両方は、当業者に周知の先行技術から導かれ得る。
【0278】
配列情報を得る工程(すなわち、認識部位のマップへトリプレットを崩壊する(collapsing)工程)が、以下に記載される。
【0279】
トリプレット認識部位の第2および第3のリストは、同一性(3つの認識部位のうち3つが同一である)、高い類似性(3つの認識部位のうち2つが同一である)、および低い類似性(3つの認識部位のうち1つが同一である)で評価される。例示の目的で、ここでは、多糖類が、例えば、グリカンヘパリンの糖部分のような直鎖の多糖類であると仮定する。
【0280】
次いで、上記の第2のリストおよび第3のリストは、それから一セットのトリプレットのリストを作成するのに使用され、ここでこのリストのセット中の各リストは、同じグリコシダーゼ認識配列を共有するトリプレットを含有する。第2のグリコシダーゼ認識配列を含有する全てのトリプレットと、特定のグリコシダーゼ認識配列を含む全てのトリプレットを比較することで、分子の第1の末端からグリコシダーゼ1まで(フラグメントa)、グリコシダーゼ1からグリコシダーゼ2まで(フラグメントb)、グリコシダーゼ2から分子の第2の末端まで(フラグメントc)の範囲にわたる、4つの領域に多糖類配列を分割することが可能である:
<第1の末端><グリコシダーゼ1><グリコシダーゼ2><第2の末端>。
【0281】
異なるグリコシダーゼ部位を有する、2型のトリプレット内における同一の認識部位であって、これらの認識部位が、それぞれのグリコシダーゼ部位に対して、同じ方向に位置決めされる、同一の認識部位は、その位置に依存して、領域aまたはcのいずれかに位置決めされる候補である。異なるグリコシダーゼ部位を有する2型のトリプレット内における同一の認識部位であって、これらの認識部位が、異なる方向(例えば、還元末端の方向と、他のトリプレットと、非還元末端の方向と)に位置決めされる、同一の認識部位は、領域b(すなわち、2つのグリコシダーゼ部位の間)に位置決めされる候補である。
【0282】
異なるグリコシダーゼ部位を有する1型のトリプレット内の同一の認識部位は、領域a(またはc)における第1の認識部位または第2の認識部位のうちの一方を位置決めするための候補であり、そしてその第1の認識部位または第2の認識部位のうちの他方が、領域c(またはa)に位置決めされる。つまり、第1の認識部位または第2の認識部位のうちの一方が領域aに位置決めされる場合、その第1の認識部位または第2の認識部位の他方が、領域bに位置決めされるべきであり、その逆もあり得る。第1の認識部位または第2の認識部位のいずれも、領域bに位置決めされないかもしれない。
【0283】
異なるグリコシダーゼ部位を有する1型のトリプレット内の同一の認識部位であって、所定の認識部位が、これらのトリプレットのうちの一方において、還元末端の方向に位置決めされ、そしてこれらのトリプレットの他方において、非還元の方向に位置決めされる、同一の認識部位は、領域b内に認識部位を位置決めするための候補である。
【0284】
トリプレット内の多くの認識部位に対する上記の位置関係を確立して、ここで、全ての認識配列は、論理的な推論を用いて特定の順で配列され得る。この段階は、配列マップとして言及される。十分な数の認識配列が配列される場合、糖類の全配列は、そこから導かれ得る。その方法が、糖類の分子量を決定しないので、その鎖長は知られない。従って、様々な認識部位間の重複の程度が不十分である場合、その配列中に、さらなる糖単位が存在し得る領域が存在し得る。そのような糖単位は、これらが、使用された本質的に配列特異性の薬剤のいずれかの認識部位に当てはまらない場合、検出されないかもしれない。しかしながら、この場合、全体的な配列情報はまた、最初に、糖の分子量(これは鎖長を示す)を得、第2に、その総単糖含有量を得ることによって得られ得る。
【0285】
配列マップにおけるギャップを閉じる別の可能性は、実施例2の方法であり、ここで、グリコシダーゼによる連続的な分解が、配列情報を誘導するために使用される。
【0286】
糖類における分枝点の存在は、上記の概要のように、この方法を複雑化し得る。その1つの対策としては、グリコシダーゼを使用して分子の画分を調製し、これらの部分的な構造を分析することが挙げられる。そのような部分構造における分枝の程度は、全体の分子における分枝の程度に比べて明らかに低いものである。加えて、分枝点を特異的に認識する試薬が、使用され得る。そのような試薬の例としては、例えば、上記の実施例1において使用された抗体が挙げられる。これらの各抗体は、少なくとも1つの分枝点を含む糖配列に結合する。さらに、分枝糖構造を認識する特定の酵素およびレクチンが、利用可能である。例えば、酵素プラナーゼ(EC 3.2.1.41)が、分枝構造を認識する。加えて、抗体は、分枝した糖構造を抗原として使用することによって産生され得る。さらに、分枝構造を含む、特定の糖構造に結合するペプチドを産生することが可能である(例えば、Deng SJ,MacKenzie CR,Sadowska J,Michniewicz J,Young NM,Bundle DR,Narang;Selection of antibody single−chain variable fragments with improved carbohydrate binding by phage display.J.Biol.Chem.239,9533−38,1994、参照)。
【0287】
加えて、多くの場合において、既存の糖質の構造の知識は、分枝点の存在を正確に予測する。例えば、N結合型グリカンは、oxford Glycosystems catalogの6ページに列挙されたように、限定された数の構造を有する。これらの構造は、1アンテナ型から5アンテナ型の範囲にある。より複雑化された構造は、さらなる糖残基が付加された、より単純な構造に類似する。従って、1つのアンテナ構造が同定された場合、さらなる残基を同定し、そしてこれらのデータをN結合型グリカン構造のライブラリーと比較することによって、より複雑化された構造における分枝点の全てを簡単に予測することが可能である。
【0288】
さらに、本発明の方法に従って集められたデータを分析することによって、分枝点の存在および位置を論理的に推論することが、しばしば可能である。例えば、aおよびbで示される2つの認識部位が、異なる枝に位置決めされる場合、その部位が還元末端と分枝点との間に位置決めされるグリコシダーゼでの消化は、還元末端マーカーの損失を生じる。しかしながら、認識部位aとbの両方に対するマーカーは、残る。分枝点と認識部位aとの間に位置決めされたグリコシダーゼが使用される場合、認識部位bに対するマーカー、および還元末端マーカーが、切断される。分枝点の可能性を考慮に入れないとすると、認識部位bが、認識部位aと還元末端との間に位置決めされることを示す。しかしながら、認識部位bと分枝点との間に位置決めされたグリコシダーゼが使用される場合、還元末端マーカーおよび認識部位aは、切断される。再び、分枝の可能性を考慮に入れないとすると、これは、認識部位aが、還元末端と認識部位bとの間に位置決めされることを示す。これらの推論は、明らかに互いに不適合であり、そして認識部位aおよびbが2つの異なる分枝に位置決めされることが想定される場合にのみ、解決され得る。その分枝点は、認識部位aおよびbと、第1の上記グリコシダーゼとの間に位置決めされる。使用される他方の上記グリコシダーゼは、各分枝上に、分枝点とそれぞれの認識部位(aまたはb)との間に位置決めされる。
【0289】
従って、本質的に配列特異的な薬剤として、本発明の方法において分枝構造を認識する薬剤を使用する場合、糖分子における分枝点の存在および位置の情報を誘導することは、可能である。次いで、この情報は、その構造の各分枝の配列マップを作成し、分枝構造全体の配列マップを得るために使用され得る。次いで、このような構造におけるギャップは、本発明に従って(すなわち、さらなる反応の使用によって、グリコシダーゼでの消化によって(それにより、ギャップの存在する分子の領域は、本発明の方法に従うさらなる分析のために特異的に単離される)、および上にさらに記載するような連続的なグリコシダーゼ消化によって、非分枝糖類の場合のように閉じられ得る。
【0290】
要約すると、本発明に従って糖類の配列を決定する方法および/または糖類の構造をマッピングするための方法は、以下の工程:
1.1型および2型のトリプレットの回収
2.類似性に従うトリプレットの分類
3.異なるグリコシダーゼ認識部位を有するトリプレットの比較
4.糖類上への発生の順でのトリプレットの配列
5.グリコシダーゼ認識部位の配列
6.トリプレットに対する適合性のチェック
7.単一のファイル順序(single file order)でのグリコシダーゼの認識配列ならびに第1および第2の本質的に配列特異的な薬剤の認識配列
8.多糖配列への認識配列(部位)の翻訳
9.「重複」問題の補正
10.配列の出力
11.全ての有効データに対するチェック
を包含する。
【0291】
上記の工程5が実施された後、グリコシダーゼ部位の予備的な順番がたてられる。工程6において、ここで、これらに基づいた予測がその順番と一致するか否かを各トリプレットに対してチェックする。次いで、そのデータにおける矛盾に基づいて、トリプレットのデータに合う新しいモデルが、作成される。次いで、このモデルが、全てのトリプレットのデータに対して試験される。さらに、そのトリプレットを含有する認識部位に関するさらなる方向的な情報を抽出するために、さらなる反応が実施され得る。
【0292】
上記の工程8(ここで、連続的に配列された認識部位が、実際の単糖単位の配列に翻訳される)の後、この糖配列のモデルが示され得る。そのモデルを試験するために、多くの質問に答える必要がある。第1の質問は、同一の配列マップをなお有する最小配列はどれか、ということである。この段階において、分子量および単糖組成の情報(利用可能である場合)は、考慮されない。このアプローチは、単に、できる限り少ない矛盾で利用可能なデータの全てを援用する、配列の作成に役立つのみである。この観点において、答えるべき第2の質問は、その最小配列が、この点において全ての利用可能なデータ(任意の分子量および単糖成分データを除く)になお一致するか、ということである。答えるべき第3の質問は、確立されたような配列マップに適合する他の配列が存在するか、ということである。肯定する場合、次いで、そのさらなる配列が、以下の質問を使用して試験され得る:各配列モデルが、このトリプレット情報およびさらなる任意のデータ(例えば、分子量、単糖組成、および生物学からの公知の糖構造モデル)とどのように一致するか。
【0293】
最後に、上記の工程1〜10に従って最良であると見出された配列モデルは、次いで、全てのトリプレット、単糖組成、その糖類の分子量および構造組成における先行知識、および生物学的に存在する類似の構造からの予測に対して試験される。このような繰り返し試験によって、利用可能なデータと配列モデルとの間の矛盾が同定され、可能な場合、その配列モデルが、データをより良く示すように適合される。
【0294】
(実施例5)
(乳サンプルの糖分子同定(GMID)分析)
この実施例の目的は、乳サンプルの分析および比較に対するGMID技術の適用を実証することである。
【0295】
A.膜および第一層のレクチン:
本明細書中、以下に記載される実験において使用した支持表面は、ニトロセルロース膜である。この膜を以下のように調製した:
1.ニトロセルロース膜を切り出し、それらの表面を9×6の四角(各四角は、3mm)の配列に区画した。次いで、その膜を吸い取り紙に置き、それぞれの膜の左上の四角をペンでマークした。
2.凍結乾燥されたレクチンを水に再懸濁し、最終濃度を1mg/mlとした。その再懸濁されたレクチン(およびコントロール溶液:5%ウシ血清アルブミン)をボルテックスで撹拌し、そして1μlの各溶液を、以下の典型的なブロットの例示に影をつけることによって示されるように、このブロット上の28個の四角のうちの1つに加えた。
【0296】
【表11】
Figure 0004176467
本実験に使用したレクチンは、表11に列挙される。
【0297】
(表11)
【0298】
【表12】
Figure 0004176467
3.調製されたブロットを90mmのペトリ皿に置いた。
4.そのブロットを、各ペトリ皿に当業者に周知の任意の適切なブロック溶液10ml(例えば、5%のウシ血清アルブミン)を加えることによってブロックした。
5.ブロック溶液中のブロットを含有する皿を、室温で2時間、回転台(50rpm)上で回転させることによって穏やかに撹拌させた(または回転させずに4℃で一晩おく)。
6.次いで、そのブロットを、10mlの洗浄溶液を各ペトリ皿に加えることによって洗浄した。任意の通常利用される緩衝溶液(例えば、リン酸緩衝化生理食塩水)をこの洗浄工程を実施するのに使用し得る。この皿を5分間、穏やかに回転させる(50rpm)ことによって洗浄した。この手順を、古い洗浄溶液を廃棄し、その都度新しい溶液に置き換えて、計3度実施した。
【0299】
B:乳サンプルの添加:
使用した乳サンプルは以下のとおりであった:
1.Ramat haGolan dairies(Israel)製のウシUHTのロングライフ(日持ちする)乳(脂肪分3%)(ロット番号522104);
2.Mechek dairies(Israel)製の低温殺菌されたヤギの乳(ロット番号1および2);
3.2と同じであるが、低温殺菌されていないヤギの乳(ロット番号3および4)
これらの乳サンプルを10%(v/v)に溶解し、約5mlの各サンプルを、別々のブロットに適用した。
【0300】
二連のブロットを、前記の乳サンプルの各々に対して調製した。さらに、さらなるブロット対を、糖を加えずに調製した(ネガティブコントロール)。
【0301】
次いで、そのブロットを1時間撹拌しながら、室温でインキュベートした。
【0302】
C.着色レクチン:
試験される乳の単糖類成分の先行知識から、そして本明細書中下記の実施例7に記載されるアルゴリズムに基づいたコンピュータプログラムの適用によって、以下の着色レクチンを選択した:Con A、VVA。
【0303】
これらの2つのレクチンの混合物を、各着色レクチンの濃度が2mg/mlであるように、洗浄溶液中で調製した。
【0304】
500μlの各レクチン混合物を、上記のように調製されたブロット上でインキュベートした。各ブロットを、520nmでのフルオレセインの蛍光を測定すること、そしてビオチン標識されたレクチンの場合には、HRP−ストレプトアビジン溶液とのビオチンの反応後に生成されたTMBの青色のシグナルを測定することの両方によって読み取った。
【0305】
FITC標識されたレクチンおよびビオチン標識されたレクチンについて得られた結果を、それぞれ表12および表13に示す。これらの表に示される結果は、0〜3のスケールで測定され、ここで、0は、ノイズレベル以下であるシグナルを示し、1〜3の結果は、糖無しのコントロールで得られた結果を差し引いて後のポジティブシグナル(ノイズより上の)を示す。
【0306】
低温殺菌されたヤギの乳(ロット番号1および2)、低温殺菌されていないヤギの乳(ロット番号3および4)およびウシの乳に対するこれらの結果から得られた糖分子同定(GMID)カードを、図1のA〜Eそれぞれに示す。レクチン1〜24の位置は、それぞれのカード1の上部に左から右へ1列に示される。
【0307】
D.結果の解釈:
得られたウシの乳サンプルは、サンプル中の多糖類が、以下に特異的なレクチンに対して陽性の結果を与える糖類を含有することを示すGMIDをもたらした:
a.グルコース/マンノース(ConA、PSAおよびLCA);
b.GluNac(WGAおよびDSA)。
【0308】
低温殺菌されたヤギの乳サンプルは、以下に対して陽性の結果を生じた:
a.グルコース/マンノース(ConA、PSAおよびLCA);
b.GluNac(DSA)。
【0309】
試験されたこれらのロットの間にはレクチンの反応性の差異がないことが観察された。
【0310】
低温殺菌されていないヤギの乳サンプルは、以下に対して陽性反応を示した:
a.グルコース/マンノース(ConA、PSAおよびLCA);
b.GluNac(DSA)。
【0311】
要約すると、ウシの乳は、ウシの乳のみが、WGAと反応したという点でヤギの乳と異なった。低温殺菌されたサンプルにおいてシグナル強度が有意に低いことを除けば、本質的には、低温殺菌されたヤギの乳サンプルと低温殺菌されていないヤギの乳サンプルとの間に差異はなかった。
【0312】
(実施例6)
(リポ多糖類の糖分子同定(GMID)分析)
GMID分析を、Sigma Chemical Co.から入手した5つの異なる細菌性リポ多糖類(St.Louis,Missouri,USA)(LPS#1、7、10、15および16)に対して、本質的に上記の実施例5に記載されたような方法を使用して実施した。使用した着色レクチンは、ECL、WGA、VVAおよびSBAであった。
【0313】
サンプルLPS#1、7、10、15および16について得られたGMIDカードを、図2のA〜Eにそれぞれ示す。この図より、このGMIDカードは、異なるリポ多糖類のそれぞれに固有の「フィンガープリント」を提供し、そして、細菌またはこれらの産物の混合物を含有するサンプル中でこれらの化合物の存在を同定するのに使用され得ることが理解され得る。
【0314】
(実施例7)
(着色レクチンを選択する方法)
多くの因子が、実施例5および6に例示される多糖類分析の方法に使用される着色レクチンを選択する場合に考慮されるべきである。これらの考慮の中でもとりわけ、選択されたレクチンのそれぞれが、識別可能な色または他の検出可能なマーカーを有することが必要であり、そしてレクチン間の相互作用を減少することが必要である。着色マーカー選択に使用するためのアルゴリズムを示したフローチャートを、図3に示す。図3に示されるこのアルゴリズムは、n個の着色レクチン(または他の検出可能なマーカー)の選択101で始まり、この初期選択は、分析される糖類の部分的な単糖組成または完全な単糖組成に関して得られた情報に従って作成される。
【0315】
次の工程102において、選択されたレクチンの色を、選択された色の同一性/非同一性に関してチェックするために試験する。選択した群に同一の色が存在する場合、次いで、そのプロセスは工程103に進み、そうでなければ、工程104に進む。工程103において、非固有の色を有することを見出されたレクチンの1つは、同じ結合カテゴリーに属する(すなわち、同じ単糖への結合特異性を有する)別のレクチンに置き換えられ;工程102に進む。
【0316】
工程104において、このn個の選択されたレクチンは、互いとの、および本明細書中の実施例5に記載された方法の第1の段階で使用された着色されていないレクチンとの、任意の交差反応を検出するために試験される。交差反応が検出された場合、次いでそのプロセスは工程105に進み、そうでなければ工程106に進み、ここで、このアルゴリズムが終了する。
【0317】
工程105において、別のレクチンとの交差反応を検出されたレクチンの1つは、交差反応のないレクチンに置きかえられ、次いで、102に進む。このアルゴリズムは、工程106で終了する。
【0318】
強調される点は、小さいnの値について、そして単純な単糖組成を有する糖類について、上記のアルゴリズムは、操作者自身が選択手順の各工程を通して手動で操作することによって適用され得るということである。あるいは(特にnが大きい数であるかまたは単糖組成がより複雑である場合)、本明細書中の上記のアルゴリズムプロセスは、このプロセスを実行するように設計されたコンピュータプログラムによって実施され得る。
【0319】
上記の実施例は、本明細書中に記載される方法の有用性を立証した。しかしながら、それらは例示のみの目的で加えられている。当業者には、多くの変更が、使用される本質的に配列特異的な薬剤において、反応条件において、固定化の技術において、ならびに配列の標識、反応工程、および検出工程において、全てが、本発明の範囲から逸脱することなくなされ得ることが、明らかである。
【0320】
(他の実施形態)
本発明は、その詳細な説明と関連して記載されるが、前述の説明は、例示を目的とし、そして添付の特許請求の範囲により定義される、本発明の範囲を限定することを意図されないことが理解される。他の局面、利点、および改変は、上記の特許請求の範囲内にある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、均質化されたヤギの乳(AおよびB)、均質化されていないヤギの乳(CおよびD)ならびにウシの乳(E)について得られる糖分子同一性カード(GMID)の例示である。
【図2】 図2は、種々のリポ多糖類サンプルについて得られるGMIDカードの複製物である。カードA〜Eは、LPS#1、7、10、15、および16にそれぞれ対応する。
【図3】 図3は、1セットの着色したレクチンを選択するためのアルゴリズムを例示する高レベルの論理フローチャートである。
【図4】 図4は、本発明について目的の炭水化物ポリマーについてのフィンガープリントを決定するための生データを得るための例示的な実験系を示す。
【図5】 図5は、サンプルの炭水化物ポリマーのフィンガープリントを、少なくとも1つの他のフィンガープリントと比較するための本発明に従う例示的な方法のフローチャートである。
【図6】 図6は、フィンガープリントのデータを伸長するために、サンプルの炭水化物ポリマーのフィンガープリントを内部的に分析するための本発明に従う例示的な方法のフローチャートである。
【図7】 図7は、外部のデータベースからのデータの統合によって、フィンガープリントのデータを伸長するための本発明に従う例示的な方法のフローチャートである。
【図8】 図8は、目的の特徴を、サンプルの炭水化物ポリマー内に位置するための本発明に従う例示的な方法のフローチャートである。

Claims (15)

  1. 糖タンパク質を同定するための方法であって、以下:
    試験糖タンパク質の第1のフィンガープリントを提供する工程であって、該第1のフィンガープリントが、第1の糖タンパク質についての、少なくとも、第1の糖類結合因子、および第2の糖類結合因子に関する結合情報を含む、工程;
    該第1のフィンガープリントと、少なくとも1つの参照フィンガープリントを比較する工程であって、該参照糖タンパク質フィンガープリントが、少なくとも1つの参照糖タンパク質についての、少なくとも、該第1の糖類結合因子、および該第2の結合因子に関する結合情報を含む、工程、
    これによって、該試験糖タンパク質を同定する工程、
    を包含する、方法。
  2. 請求項に記載の方法であって、前記第1のフィンガープリントおよび前記参照フィンガープリントが、少なくとも5つの糖類結合因子に関する情報を包含する、方法。
  3. 請求項に記載の方法であって、前記第1のフィンガープリントが、以下:
    第1の炭水化物ポリマーを含む、第1の糖タンパク質を提供する工程、
    該第1の炭水化物ポリマーと前記第1の糖類結合因子を接触させる工程;
    該第1の炭水化物ポリマーが該第1の糖類結合因子に結合するか否かを決定する工程;
    前記炭水化物ポリマーと前記第2の糖類結合因子を接触させる工程であって、該第2の糖類結合因子が、検出可能な標識を含む、工程;および
    該第1の炭水化物ポリマーが、該第2の糖類結合因子に結合するか否かを決定する工程、
    これによって、該第1の糖タンパク質のフィンガープリントを生成する、工程、
    を包含する方法によって同定される、方法。
  4. 請求項に記載の方法であって、前記参照フィンガープリントが、以下:
    第2の炭水化物ポリマーを含む、第2の糖タンパク質を提供する工程
    前記炭水化物ポリマーと前記第1の糖類結合因子を接触させる工程;
    該第2の炭水化物ポリマーが、該糖類結合因子に結合するか否かを決定する工程;
    該第2の炭水化物ポリマーと前記第2の糖類結合因子を接触させる工程であって、該第2の糖類結合因子が、検出可能な標識を含む、工程;および
    該炭水化物ポリマーが、該第2の糖類結合因子に結合するか否かを決定する工程、
    これによって、該第2の糖タンパク質のフィンガープリントを生成する工程
    を包含する方法によって同定される、方法。
  5. 請求項に記載の方法であって、前記第1の炭水化物ポリマーと少なくとも5つの糖類結合因子を接触させる工程、および、該炭水化物ポリマーが、該少なくとも5つの糖類結合因子の各々に結合するか否かを決定する工程を、さらに包含する、方法。
  6. 請求項に記載の方法であって、前記第1の糖類因子および前記第2の糖類因子の結合が、以下:
    a)表面上の前決定された位置に付着される、少なくとも1つの第1の糖類結合因子を含む該表面を提供する工程;
    b)該第1の糖類結合因子と炭水化物ポリマーとの間での第1の複合体の形成を可能とする条件下で、該表面と該炭水化物ポリマーとを接触させる、工程;
    c)該第1の複合体と前記第2の糖類結合因子との間での第2の複合体の形成を可能とする条件下で、該表面と少なくとも1つの第2の糖類結合因子を接触させる工程;および
    d)該第2の複合体における、該第1の糖類結合因子および該第2の糖類結合因子を同定する工程、
    によって決定される、方法。
  7. 請求項に記載の方法であって、前記第2の糖類結合因子が検出可能な標識をさらに含み、そして、該第2の糖類結合因子が該標識を検出する工程によって同定され、そして、前記第1の糖類結合因子が基質上の該検出された標識の位置を決定する工程によって同定される、方法。
  8. 請求項に記載の方法であって、前記検出可能な標識が、色素生産性標識、放射標識、蛍光標識およびビオチン化標識からなる群から選択される、方法。
  9. 請求項に記載の方法であって、前記表面が、該表面上に付着「された、少なくとも5つの糖類結合因子を含む、方法。
  10. 請求項に記載の方法であって、前記表面が、少なくとも5つの第2の糖類結合因子と接触する、方法。
  11. 請求項に記載の方法であって、前記表面が、少なくとも5つの第2の糖類結合因子と接触する、方法。
  12. 請求項に記載の方法であって、前記第1の糖類結合因子が、レクチン、糖類切断酵素、および糖類に対する抗体からなる群から選択される、方法。
  13. 請求項に記載の方法であって、前記第2の糖類結合因子が、レクチン、多糖類切断酵素、または多糖類修飾酵素および糖類に対する抗体からなる群から選択される、方法。
  14. 請求項に記載の方法であって、前記炭水化物ポリマーが、糖類切断因子によって消化された後に提供される、方法。
  15. 請求項に記載の方法であって、前記炭水化物ポリマーが、前記糖類と前記第2の糖類結合因子を接触させる前に、糖類切断因子によって消化される、方法。
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