JP4175870B2 - 光ファイバグレーティング物理量計測システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ファイバブラッググレーティングからの反射光の中心波長の変化量から物理量を計測する光ファイバグレーティング物理量計測システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、光ファイバグレーティング物理量計測システムとして図22に示すシステムが知られている(例えば、非特許文献1参照。)。
【0003】
この光ファイバグレーティング物理量計測システム1は、光源2に光ファイバ3の一端を接続し、この光ファイバ3に複数のファイバブラッググレーティング(FBG:Fiber bragg grating)4を設けた構成である。この光ファイバ3は、光幹線3aに複数の光分岐器5を設け、各光分岐器5からは光分岐路3bが分岐する。そして、ファイバブラッググレーティング4は各光分岐路3bに設けられる。
【0004】
また、光源2側の光分岐器5aには、反射光用光ファイバ6が接続され、この反射光用光ファイバ6の端部には光検出処理部7が接続される。さらに、この光検出処理部7には信号ケーブル8を介して波長計測部9および物理量変換部10が直列に接続される。
【0005】
光源2から、参照光が出力され光ファイバ3による光幹線3a、光分岐器5および光分岐路3bを経由して各ファイバブラッググレーティング4に照射される。ファイバブラッググレーティング4は温度や歪み等の物理量に依存して変化する特定波長帯のFBG反射光を反射する性質がある。そして、各ファイバブラッググレーティング4は、互いに反射するFBG反射光の特定波長帯が相互に影響しないように異なる特定波長帯となるように構成される。
【0006】
このため、各ファイバブラッググレーティング4からは物理量に応じた波長帯のFBG反射光がそれぞれ反射され、光分岐路3b、光分岐器5および光幹線3aを経由して光源2側の光分岐器5aに到達する。
【0007】
各FBG反射光は、光分岐器5aから光検出処理部7に導かれ、この光検出処理部7において各FBG反射光はそれぞれ受光される。さらに光検出処理部7において各FBG反射光は、波長ごとに走査されて各FBG反射光のスペクトルがそれぞれ得られる。
【0008】
そして、各FBG反射光のスペクトルは、波長計測部9に電気信号として送られ、この波長計測部9においてFBG反射光のスペクトルから重心演算法によりFBG反射光の波長中心値が求められてそれぞれ物理量変換部10に送られる。
【0009】
さらに、物理量変換部10において予め記憶された物理量波長変換テーブルを参照して、各FBG反射光の波長中心値はそれぞれ物理量に変換される。
【0010】
【非特許文献1】
日本原子力学会「2002年春の年会」III−305(2002年3月27日〜29日、神戸商船大学)「ファイバブラッググレーティングセンサを用いた光ファイバ多点センシングシステムの開発」
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
従来の光ファイバグレーティング物理量計測システム1においては、FBG反射光のスペクトルから重心演算法によりFBG反射光の波長中心が計算される。
【0012】
しかし、特に光量が最大となるFBG反射光の波長は、FBG反射光の強度が微弱な場合は、光源ノイズに起因する光量ゆらぎの影響により、物理量が一定であっても経時的に一定とならない。また、SN(Signal to noise)比が小さくなり物理量の計測精度が低下する一方、精度維持のためにはFBG反射光の波長走査ピッチを精密に制御する必要があるため、物理量の計測時間の増加に繋がる。
【0013】
また、各FBG反射光は共通の光幹線3aを経由するため、あるファイバブラッググレーティング4に想定を超える物理量変化および物理量応答が存在すると、そのFBG反射光の波長帯が著しく変化し異常値となって他のFBG反射光に影響を及ぼす恐れがある。
【0014】
さらに、光源2や光幹線3a、光分岐路3b、光分岐器5、5a等の機器に異常がある場合、または健全性を確認するためには、システムを停止し、かつ専用の計測機器を用いて行う必要がある。
【0015】
また、FBG反射光の波長はファイバブラッググレーティング4の温度変化に伴う光幹線3aおよび光分岐路3bの伸縮に依存して変動するため、物理量計測の精度が低下する。
【0016】
また、参照光およびFBG反射光は光分岐器5、5aを通過する際に減衰する。このため、FBG反射光の検出が困難になる一方、光分岐器5,5aの分岐比、各ファイバブラッググレーティング4の反射率、参照光のエネルギ等の条件を調整することが必要となる。
【0017】
本発明はかかる従来の事情に対処するためになされたものであり、参照光をファイバブラッググレーティングに照射して得られたFBG反射光の中心波長を簡易な方法でより精度よく求め、さらにこのFBG反射波長の中心波長を物理量に変換することにより、ファイバブラッググレーティングにおける温度あるいは歪み等の物理量をより高精度で短時間に計測することができる光ファイバグレーティング物理量計測システムを提供することを目的とする。
【0018】
また、本発明の他の目的は、光源や光ファイバ等の光伝送路の異常あるいは、別のファイバブラッググレーティングからのFBG反射光の影響による異常を定常的に監視することができる光ファイバグレーティング物理量計測システムを提供することである。
【0019】
また、本発明の他の目的は、ファイバブラッググレーティングの温度依存性、すなわちFBG反射光の波長の温度変化による変動を補償することができる光ファイバグレーティング物理量計測システムを提供することである。
【0020】
また、本発明の他の目的は、より低出力な参照光の使用が可能で、かつより安価で簡易な装置および処理で短時間に物理量を計測することができる光ファイバグレーティング物理量計測システムを提供することである。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る光ファイバグレーティング物理量計測システムは、上述した目的を達成するために、請求項1に記載したように、参照光を出力する光源に接続されその光路にファイバブラッググレーティングを設けた光ファイバと、この光ファイバにより形成される光路を分岐する反射光分岐器と、この反射光分岐器により分岐された光路の端部に接続され、前記ファイバブラッググレーティングの反射光を受光してスペクトルを求める光検出処理部および前記ファイバブラッググレーティングの反射光のスペクトルに対し所定の波長区間について最小2乗フィッティングを実施して得られたフィッティング曲線の最大値から前記ファイバブラッググレーティングの反射光の波長中心を求める波長中心計測部を設けた物理量計測計とを備え、前記物理量計測計には、積算比算出部と、積算比閾値判定部と、積算比閾値記憶部とが設けられ、前記積算比算出部は、前記光検出処理部が求めた前記ファイバブラッググレーティングの反射光あるいは透過光のスペクトルから2つの閉区間を設定して各閉区間のスペクトル面積比を計算する一方、前記積算比閾値記憶部には前記スペクトル面積比の閾値が記憶され、さらに前記積算比閾値判定部は前記積算比算出部が計算したスペクトル面積比と前記積算比閾値記憶部から読み込んだ前記スペクトル面積比の閾値とを比較して閾値範囲内であるか否かを判定するように構成したことを特徴とするものである。
【0022】
また、本発明に係る光ファイバグレーティング物理量計測システムは、上述した目的を達成するために、請求項5に記載したように、参照光を出力する光源に一端が接続されその光路にファイバブラッググレーティングを設けた光ファイバと、この光ファイバにより形成される光路の他端に接続され、前記ファイバブラッググレーティングの透過光を受光してスペクトルを求める光検出処理部および前記ファイバブラッググレーティングの透過光のスペクトルに対し所定の波長区間について最小2乗フィッティングを実施して得られたフィッティング曲線の最小値から前記ファイバブラッググレーティングの透過光の波長中心を求める波長中心計測部を設けた物理量計測計とを備え、前記物理量計測計には、積算比算出部と、積算比閾値判定部と、積算比閾値記憶部とが設けられ、前記積算比算出部は、前記光検出処理部が求めた前記ファイバブラッググレーティングの反射光あるいは透過光のスペクトルから2つの閉区間を設定して各閉区間のスペクトル面積比を計算する一方、前記積算比閾値記憶部には前記スペクトル面積比の閾値が記憶され、さらに前記積算比閾値判定部は前記積算比算出部が計算したスペクトル面積比と前記積算比閾値記憶部から読み込んだ前記スペクトル面積比の閾値とを比較して閾値範囲内であるか否かを判定するように構成したことを特徴とするものである。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明に係る光ファイバグレーティング物理量計測システムの実施の形態について添付図面を参照して説明する。
【0024】
図1は本発明に係る光ファイバグレーティング物理量計測システムの第1の実施形態を示す構成図である。
【0025】
光ファイバグレーティング物理量計測システム20は、光源21に光ファイバ23の一端を接続し、この光ファイバ23の途中に複数のファイバブラッググレーティング(FBG:Fiber bragg grating)22を設けた構成である。さらに、光ファイバ23には、光源21と光源21側のファイバブラッググレーティング22の間に、反射光分岐器24が設けられ、この反射光分岐器24から分岐された光ファイバ23aの端部に物理量計測計25を接続した構成である。
【0026】
光源21には、任意の波長帯の参照光を波長変更可能に出力することができる光源が使用される。
【0027】
また、物理量計測計25は、光検出処理部26に、データ区間設定部27、波長中心計測部28および物理量変換部29が信号ケーブル30を介して順次直列に接続された構成である。そして、光検出処理部26に光ファイバ23aが接続される。
【0028】
次に光ファイバグレーティング物理量計測システム20の作用を説明する。
【0029】
まず、光源21から所定の波長帯に設定された参照光が出力される。この参照光は、光ファイバ23、反射光分岐器24、光ファイバ23を経由して各ファイバブラッググレーティング22に照射される。
【0030】
ファイバブラッググレーティング22は光ファイバコアにブラッグ回折格子を形成したもので、特定の波長帯の光を反射する性質を有する。ファイバブラッググレーティング22が反射する光の特定波長帯は、温度、応力等の条件により変化する。このため、ファイバブラッググレーティング22に参照光が照射されると、温度、応力等の条件に応じた特定波長帯の光が反射する。
【0031】
尚、各ファイバブラッググレーティング22が反射するFBG反射光の波長帯は、異なる波長帯とされ、各ファイバブラッググレーティング22からのFBG反射光は、互いに干渉しないように設定される。さらに、光源21が出力する参照光の波長帯は着目するファイバブラッググレーティング22が反射するFBG反射光の波長帯に設定される。
【0032】
各ファイバブラッググレーティング22において反射したFBG(ファイバブラッググレーティング)反射光は、再び光ファイバ23を経由して反射光分岐器24にそれぞれ入射される。この反射光分岐器24において各FBG反射光は分岐され、光ファイバ23aを経由して光検出処理部26にそれぞれ導かれる。
【0033】
そして、光検出処理部26により各ファイバブラッググレーティング22からのFBG反射光がそれぞれ受光される。光検出処理部26では、受光した各FBG反射光の特定波長帯の波長中心の変化量がそれぞれ計測される。
【0034】
ここで、ある1つのファイバブラッググレーティング22において、温度、歪等の物理量が変化すると、この物理量の変化の大きさに対比してそのファイバブラッググレーティング22が反射する光の特定波長帯も変化する。そこで、予め物理量とFBG反射光の特定波長帯との関係が分かれば、物理量がある値でのFBG光の特定波長帯を基準として、FBG光の特定波長帯の変化量から換算して物理量を知ることができる。
【0035】
このため、光ファイバグレーティング物理量計測システム20では、FBG光の特定波長帯を計測して、ファイバブラッググレーティング22における温度や歪等の物理量を計測することができる。
【0036】
光検出処理部26はフォトダイオード検出器を具備する。そして、このフォトダイオード検出器で、走査列毎にFBG反射光を検出処理する。さらにFBG反射光は、走査列毎の反射光強度に変換される。
【0037】
この結果、光検出処理部26でFBG反射光の波長に対する反射光強度の分布、すなわちスペクトルが得られる。しかし、ファイバブラッググレーティング22における物理量を計算するためには、FBG反射光のスペクトルを基に、FBG反射光の波長中心を求める必要がある。
【0038】
次に、光検出処理部26において得たFBG反射光のスペクトルからFBG反射光の波長中心を求める方法について説明する。
【0039】
図2は、図1に示す光検出処理部26において得られたFBG反射光のスペクトルからFBG反射光の波長中心を求める方法を説明する概念図である。
【0040】
図2において縦軸は、FBG反射光の相対光強度であり横軸は、FBG反射光の波長を示す。また、○印は、FBG反射光の光強度データを示す。
【0041】
図2のように一般に、FBG反射光の光強度は上に凸である分布となる。尚、FBG反射光の光強度は、実際の光強度とすることもできるが、光強度の傾向を表す分布が得られればよいため、例えば無次元化した光強度のように相対的な光強度を示す分布とされる。
【0042】
光ファイバグレーティング物理量計測システム20では、FBG反射光のスペクトルから最小2乗フィッティングによりフィッティング曲線を得て、さらにこのフィッティング曲線の最大値に対応するFBG反射光の波長が、FBG反射光の波長中心として求められる。ここで、最小2乗フィッティングを行うためには、計算に含めるFBG反射光の波長の範囲を設定する必要がある。
【0043】
そこで、光検出処理部26で得られたFBG反射光のスペクトルは電気信号として信号ケーブル30を介してデータ区間設定部27に送られる。
【0044】
そして、データ区間設定部27において、最小2乗フィッティングを行うための計算に含めるFBG反射光の波長の範囲が設定される。FBG反射光の波長の範囲設定方法は任意であるが、例えば図2に示すように、FBG反射光の光強度の最大値の1/2以上の光強度が得られたFBG反射光の波長を最小2乗フィッティングの計算に含める範囲とすることができる。
【0045】
FBG反射光の波長の範囲が設定されると、この範囲のFBG反射光のスペクトルが、信号ケーブル30を介して波長中心計測部28に電気信号として送られる。そして、波長中心計測部28において範囲設定されたFBG反射光のスペクトルは最小2乗フィッティング処理される。
【0046】
この結果、波長中心計測部28においてFBG反射光のスペクトルのフィッティング曲線が得られる。そして、このフィッティング曲線の最大値に対するFBG反射光の波長が波長中心とされる。
【0047】
ここで、波長中心計測部28において実施する最小2乗フィッティングには高次の多項式を適用する方法と、ガウス分布式を適用する方法とがある。
【0048】
まず、高次の多項式を適用した最小2乗フィッティングによるFBG反射光の波長中心の計算について説明する。
【0049】
図3は、図1に示す光検出処理部26で得られたFBG反射光のスペクトルと波長中心計測部28において2次の多項式を適用して得たフィッティング曲線を示す図である。
【0050】
図3において、縦軸はFBG反射光の相対光量、横軸はFBG反射光の波長(nm)である。◆印はFBG反射光の相対光量の測定値である。実線は、式(1)に示す2次の多項式を適用して相対光量の測定値から得られたフィッティング曲線である。
【0051】
【数1】
である。
【0052】
式(1)において、図3の縦軸はy軸、横軸はx軸に相当する。
【0053】
尚、最小2乗フィッティングの計算に含めるFBG反射光の波長の範囲は、光強度の最大値の1/2以上の光強度が得られたFBG反射光の波長とした。
【0054】
式(1)からFBG反射光の波長中心λc(nm)は、式(2)にように求められる。
【0055】
【数2】
【0056】
図4は、図1に示す波長中心計測部28において20個の被計測系サンプルに対して高次の多項式により最小2乗フィッティングを実施して得たFBG反射光の波長中心の偏差を示す図である。
【0057】
図4において、縦軸はFBG反射光の波長中心の偏差(nm),横軸は被計測系サンプルの番号である。■は2次多項式を用いたときのFBG反射光の波長中心の偏差、◆は4次多項式を用いたときのFBG反射光の波長中心の偏差である。
【0058】
被計測系サンプルのFBG反射光の光強度の計測条件は、ファイバブラッググレーティング22を一定の温度あるいは歪み等の条件を有する環境に敷設して、光検出処理部26におけるFBG反射光の波長走査ピッチを0.03nmとして計測したものである。
【0059】
そして、同様な被計測系サンプルのFBG反射光の光強度の計測を20回実施して、20個のFBG反射光のスペクトルを得る。さらに各スペクトルについて、波長中心計測部28において2次多項式および4次多項式を用いて最小2乗フィッティングを実施して各FBG反射光のそれぞれの波長中心を計算する。この結果、20個のFBG反射光の波長中心が計算により得られる。
【0060】
ここで、ファイバブラッググレーティング22は一定の温度環境に敷設されるため、理想的には20個のFBG反射光の波長中心は一致する。このため、各FBG反射光の波長中心の偏差から、高次の多項式により最小2乗フィッティングを実施して得たFBG反射光の波長中心の精度を把握することができる。
【0061】
図4によれば、各被計測系サンプルの偏差は、2次多項式あるいは4次多項式により最小2乗フィッティングを実施して計算した場合のいずれも、±0.020(nm)の範囲である。よって、高次の多項式を用いた最小2乗フィッティングによるFBG反射光の波長中心の計算では、十分な精度が得られることが分かる。
【0062】
次に、ガウス分布式を適用した最小2乗フィッティングによるFBG反射光の波長中心の計算について説明する。
【0063】
図5は、図1に示す光検出処理部26で得られたFBG反射光のスペクトルと波長中心計測部28においてガウス分布式を適用して得たフィッティング曲線を示す図である。
【0064】
図5において、縦軸はFBG反射光の相対光量、横軸はFBG反射光の波長(nm)である。■印はFBG反射光の相対光量の測定値である。実線は、式(3)に示すガウス分布式を適用して相対光量の測定値から得られたフィッティング曲線である。
【0065】
【数3】
である。
【0066】
式(3)において、図5の縦軸はy軸、横軸はx軸に相当し、mはFBG反射光の相対光量の平均、σはFBG反射光の相対光量の標準偏差である。
【0067】
尚、最小2乗フィッティングの計算に含めるFBG反射光の波長の範囲は、光強度の最大値の1/2以上の光強度が得られたFBG反射光の波長とした。
【0068】
式(3)からFBG反射光の波長中心は、λc=1539.728(nm)となる。FBG反射光の波長中心の計算方法は、式(3)において最大値を求める計算であり詳細は省略する。
【0069】
図6は、図1に示す波長中心計測部28において20個の被計測系サンプルに対してガウス分布式により最小2乗フィッティングを実施して得たFBG反射光の波長中心の偏差を示す図である。
【0070】
図6において、縦軸はFBG反射光の波長中心の偏差(nm),横軸は被計測系サンプルの番号である。◆はガウス分布式を用いたときのFBG反射光の波長中心の偏差である。
【0071】
被計測系サンプルのFBG反射光の光強度の計測条件は、ファイバブラッググレーティング22を一定の温度あるいは歪み等の条件を有する環境に敷設して、光検出処理部26におけるFBG反射光の波長走査ピッチを0.03nmとして計測したものである。
【0072】
そして、同様な被計測系サンプルのFBG反射光の光強度の計測を20回実施して、20個のFBG反射光のスペクトルを得る。さらに各スペクトルについて、波長中心計測部28においてガウス分布式を用いて最小2乗フィッティングを実施して各FBG反射光のそれぞれの波長中心を計算する。この結果、20個のFBG反射光の波長中心が計算により得られる。
【0073】
ここで、ファイバブラッググレーティング22は一定の温度環境に敷設されるため、理想的には20個のFBG反射光の波長中心は一致する。このため、各FBG反射光の波長中心の偏差から、ガウス分布式により最小2乗フィッティングを実施して得たFBG反射光の波長中心の精度を把握することができる。
【0074】
図6によれば、各被計測系サンプルの偏差は、±0.020(nm)の範囲である。よって、ガウス分布式を用いた最小2乗フィッティングによるFBG反射光の波長中心の計算では、十分な精度が得られることが分かる。
【0075】
波長中心計測部28において最小2乗フィッティングによりFBG反射光の波長中心が得られると、このFBG反射光の波長中心の値は電気信号として、信号ケーブル30を介して物理量変換部29に送られる。
【0076】
そして、物理量変換部29において、FBG反射光の波長中心の値は温度あるいは歪み等の物理量に変換される。FBG反射光の波長中心の値から物理量への変換方法としては、計測データを蓄積して参照する方法等の任意の方法が可能であるが、例えば、関数を利用した変換方法がある。
【0077】
図7は、図1に示す物理量変換部29においてFBG反射光の波長中心の値をファイバブラッググレーティング22の温度に変換する際に用いる関数を示す図である。
【0078】
図7において、左の列はファイバブラッググレーティング22の番号FBG(i)(1≦i≦n)を示す。右の列は、i番目のファイバブラッググレーティング22における、FBG反射光の波長中心の値を温度に変換するための関数λi=fi(ti)を示す。ここで、λiは、i番目のファイバブラッググレーティング22におけるFBG反射光の波長中心の値,tiは、i番目のファイバブラッググレーティング22の温度(℃)を示す。
【0079】
図7のように各ファイバブラッググレーティング22に、FBG反射光の波長中心の値を温度に変換するための関数λi=fi(ti)を理論的または実験的に求めることにより、任意のFBG反射光の波長中心の値を連続的に温度に変換することができる。
【0080】
また、FBG反射光の波長中心の値と温度との関係を調べるために必要な実験とデータ蓄積量を低減させることができる。さらに、ファイバブラッググレーティング22の特性の変化あるいは、精度の向上化の際にFBG反射光の波長中心の値とファイバブラッググレーティング22の温度との関係を容易に修正することができる。
【0081】
尚、図7では、FBG反射光の波長中心の値をファイバブラッググレーティング22の温度に変換する関数を示したが、温度に限らず歪み等の他の物理量に変換する関数を求めて、他の物理量に変換するものとしてもよい。
【0082】
すなわち、光ファイバグレーティング物理量計測システム20は、ファイバブラッググレーティング22に参照光を照射し、そのFBG反射光のスペクトルを走査して最小2乗フィッティングによりFBG反射光の波長中心を計算する構成である。そして、得られたFBG反射光の波長中心を所要の物理量に変換して、物理量を計測するシステムである。
【0083】
従来の光ファイバグレーティング物理量計測システム1は、ファイバブラッググレーティング4からのFBG反射光のスペクトルから、重心演算法により波長中心を求めていた。しかし、FBG反射光の光強度が微弱であると、光源ノイズによる光量ゆらぎが顕著化する。そして、FBG反射光のスペクトルが、特に光量の最大値が経時的に一定でなくなるとともに、SN比が小さくなるという問題があった。
【0084】
このため、従来の光ファイバグレーティング物理量計測システム1においては、物理量の計測精度が低下する一方、精度維持のためにはFBG反射光の波長走査ピッチを精密に制御する必要があるため、物理量の計測に長時間を要した。
【0085】
しかし、光ファイバグレーティング物理量計測システム20では、FBGの反射光波長の中心値を最小2乗フィッティングにより容易かつ正確に計算することが可能である。
【0086】
すなわち、光ファイバグレーティング物理量計測システム20では、光量ゆらぎが顕著化してFBG反射光のスペクトル形状が計測毎に一定でなくなっても、最小2乗フィッティングにより得られたフィッティング曲線の最大値はFBG反射光の波長中心値を正確に示す。従って、光ファイバグレーティング物理量計測システム20では、波長中心計測部28においてFBG反射光の波長中心値を細かい走査ピッチで計測制御することなく正確かつ短時間に計算することができる。
【0087】
このため、光ファイバグレーティング物理量計測システム20は、より高精度かつ短時間で容易にファイバブラッググレーティング22における温度、歪み等の物理量を計測することができる。
【0088】
尚、光ファイバグレーティング物理量計測システム20では、データ区間設定部27において、最小2乗フィッティングを行うための計算に含めるFBG反射光の波長の範囲を、FBG反射光のスペクトルに基づいて設定したが、データ区間設定部27を設けずに、予め所定の固定範囲を設定して最小2乗フィッティングを行う構成としてもよい。
【0089】
また、物理量変換部29を設けずに、FBG反射光の波長中心のみを求める構成としてもよい。
【0090】
図8は本発明に係る光ファイバグレーティング物理量計測システムの第2の実施形態を示す構成図である。
【0091】
図8に示された、光ファイバグレーティング物理量計測システム20Aでは、物理量計測計25aの構成が図1に示す第1の実施形態による光ファイバグレーティング物理量計測システム20と相違する。他の構成および作用については図1に示す第1の実施形態による光ファイバグレーティング物理量計測システム20と実質的に異ならないため説明を省略する。
【0092】
光ファイバグレーティング物理量計測システム20Aの物理量計測計25aでは、光検出処理部26に積算比算出部31、積算比閾値判定部32および積算比閾値記憶部33が信号ケーブル30を介して直列に設けられる。
【0093】
ところで、光ファイバグレーティング物理量計測システム20Aにおいて、各ファイバブラッググレーティング22が反射するFBG反射光の波長帯は、異なる波長帯とされ、各ファイバブラッググレーティング22からのFBG反射光は、互いに干渉しないように設定される。
【0094】
通常は、各ファイバブラッググレーティング22からのFBG反射光の物理量変化に対する波長変動量は予め予測あるいは計測により規定される。そして、あるファイバブラッググレーティング22からのFBG反射光は、他のファイバブラッググレーティング22からのFBG反射光の波長が変動しても、重ならないようにされる。すなわち、あるファイバブラッググレーティング22からのFBG反射光の波長と別のファイバブラッググレーティング22からのFBG反射光の波長とには、互いに影響を及ぼさないように一定の間隔が設けられる。
【0095】
しかし、あるファイバブラッググレーティング22における物理量が想定以上に変化して、かつファイバブラッググレーティング22が想定以上の速度で物理量応答をした場合には、そのFBG反射光の波長の変動量が規定よりも大きくなる。
【0096】
そして、規定を超えて変動したFBG反射光の波長は、他のファイバブラッググレーティング22からのFBG反射光の波長に近い波長となり、互いに影響を及ぼす。このため、正常なファイバブラッググレーティング22からのFBG反射光の波長の計測値は、影響を受けた結果、真の値ではなく異常値となり正確な計測値が得られない。
【0097】
このため、着目するファイバブラッググレーティング22からのFBG反射光に、別のファイバブラッググレーティング22からのFBG反射光もしくはFBG透過光が影響を及ぼしているか否かの監視が必要となる。
【0098】
そこで、光ファイバグレーティング物理量計測システム20Aでは、積算比算出部31、積算比閾値判定部32および積算比閾値記憶部33により、他のファイバブラッググレーティング22からのFBG反射光もしくはFBG透過光の影響の有無を監視できるようにしたものである。
【0099】
光ファイバグレーティング物理量計測システム20Aにおける、積算比算出部31、積算比閾値判定部32および積算比閾値記憶部33の、他のファイバブラッググレーティング22からのFBG反射光の影響の監視方法について説明する。
【0100】
図9は、他のファイバブラッググレーティング22からのFBG反射光の影響を受けたFBG反射光のスペクトルの例と、その影響の有無を判定する方法を説明する概念図である。
【0101】
また、図10は、着目するファイバブラッググレーティング22からのFBG反射光が、他のファイバブラッググレーティング22からのFBG反射光に影響を及ぼしているスペクトルの例と、その影響の有無を判定する方法を説明する概念図である。
【0102】
図9および図10において、縦軸は着目するファイバブラッググレーティング22からのFBG反射光の相対光量を、横軸は着目するファイバブラッググレーティング22からのFBG反射光の波長をそれぞれ示す。○印は、標準化されたFBG反射光の相対光量の計測値である。
【0103】
一般に、FBG反射光のスペクトルは図2に示すように、上に凸な傾向となるが他のファイバブラッググレーティング22からのFBG反射光と、着目するファイバブラッググレーティング22からのFBG反射光とが互いに影響を与えるときは図9あるいは図10に示すように複数の極大値を有する傾向となる。
【0104】
また、着目するファイバブラッググレーティング22の手前の参照光の入射方向にある他のファイバブラッググレーティング22からのFBG透過光が着目するファイバブラッググレーティング22に影響を与えたときは図示しないが例えばFBG反射光のスペクトルは一部欠けた形状となる。
【0105】
ここで、FBG反射光のスペクトルの傾向は、FBG反射光の波長形状と波長フィルタに依存するが、FBG反射光の波長形状と波長フィルタの物質特性は、ほぼ不変である。
【0106】
このため、FBG反射光のスペクトルは、何らかの異常が発生しない限り短期的に極端には変化しない。そこで、例えばFBG反射光のスペクトルの最大値を基準として左右の積分区間(図9および図10のA領域およびB領域)を設定する。各積分区間をそれぞれ積算して得た積算比(B/A)、すなわちスペクトル面積比は、スペクトルと同様に、異常が存在しなければ短期的で極端な変化はない。
【0107】
したがって、FBG反射光のスペクトル面積比の変化を監視することで、他のファイバブラッググレーティング22からのFBG反射光の影響の有無を判定することができる。すなわち、FBG反射光のスペクトル面積比の変化量が、基準となる閾値を超えた場合は、例えば他のファイバブラッググレーティング22からのFBG反射光が着目するFBG反射光に重なって影響している恐れがあり、FBG反射光のスペクトル面積比の変化量が基準となる閾値内であれば、他のファイバブラッググレーティング22からのFBG反射光の影響は無視できるものと考えられる。
【0108】
このため、光ファイバグレーティング物理量計測システム20Aでは、積算比算出部31において、定常時における全てのファイバブラッググレーティング22について、スペクトル面積比であるスペクトルの積分区間の積算比が予め求められる。このスペクトルの積算比は標準化されて1とされる。すなわち、標準のスペクトルの積算比と、実際のスペクトルの積算比との差分が、FBG反射光のスペクトルの積算比の変化量となる。
【0109】
そして、光ファイバグレーティング物理量計測システム20Aでは、標準のスペクトルの積算比を1として、実際のスペクトルの積算比との差分が閾値内であるか否かを常時監視する。光ファイバグレーティング物理量計測システム20Aの積算比閾値記憶部33には、全てのファイバブラッググレーティング22について、FBG反射光におけるスペクトルの積算比の変化量の閾値が設定され記憶される。
【0110】
一方、積算比算出部31は、光検出処理部26において検出したFBG反射光について、定常的にスペクトルの標準化した積算比を計算する。そして、積算比算出部31は、スペクトルの標準化した積算比を電気信号として、積算比閾値判定部32に送信する。
【0111】
さらに、積算比閾値判定部32では、積算比閾値記憶部33から当該ファイバブラッググレーティング22の閾値を読み込んで、この閾値と積算比算出部31から送信されたスペクトルの標準化した積算比とを比較して、閾値内であるか否かを判定する。
【0112】
そして、積算比閾値判定部32は、スペクトルの標準化した積算比が、閾値を超えるときは、他のファイバブラッググレーティング22からの影響があると判定する。
【0113】
図9の例では、閾値は1±0.2として積算比閾値記憶部33に記憶される。図9は、着目するFBG反射光の波長帯よりも通常は小さい波長帯を有する他のファイバブラッググレーティング22からのFBG反射光の波長が、異常により大きい波長帯に変動した例である。このため、図9のA領域に極大値が現れ、積算比算出部31において計算したA領域の積算値は、通常の場合よりも大きくなる。この結果、積算比算出部31で計算するスペクトルの積算比B/Aは分母が大きくなり通常の1から0.8未満に変化する。
【0114】
ここで、積算比閾値記憶部33に記憶された閾値は1±0.2であるため、スペクトルの積算比B/Aが0.8未満となると、積算比閾値判定部32は他のファイバブラッググレーティング22からのFBG反射光の影響が存在すると判定する。
【0115】
一方、図10の例では、閾値は1±0.2として積算比閾値記憶部33に記憶される。図10は、着目するFBG反射光の波長帯が異常により大きい波長帯に変動した例である。このため、着目するFBG反射光の波長帯よりも大きい波長帯を有する他のファイバブラッググレーティング22からのFBG反射光に影響を与えている。このため、図10では、B領域に極大値が現れ、積算比算出部31において計算したB領域の積算値は、通常の場合よりも大きくなる。この結果、積算比算出部31で計算するスペクトルの積算比B/Aは分子が大きくなり通常の1から1.2より大きな値に変化する。
【0116】
ここで、積算比閾値記憶部33に記憶された閾値は1±0.2であるため、スペクトルの積算比B/Aが1.2より大きな値となると、積算比閾値判定部32は他のファイバブラッググレーティング22からのFBG反射光の影響が存在すると判定する。
【0117】
すなわち光ファイバグレーティング物理量計測システム20Aでは、積算比算出部31でスペクトルの最大値もしくは最小値を基準に分割した各積算区間の積算比を計算して、この積算比の変化量と、積算比閾値記憶部33に記憶された閾値とを積算比閾値判定部32において比較することにより他のファイバブラッググレーティング22からのFBG反射光あるいはFBG透過光の影響の有無を判定する構成である。
【0118】
光ファイバグレーティング物理量計測システム20Aでは、他のファイバブラッググレーティング22からのFBG反射光あるいはFBG透過光の影響を定常的に監視することが可能である。このため、光ファイバグレーティング物理量計測システム20Aでは、FBG反射光のスペクトルあるいは物理量の計測値の異常を容易に発見することができる。
【0119】
尚、FBG反射光のスペクトル積分区間の設定は、最大値もしくは最小値を基準とするのみならず、任意の波長を基準として任意の区間としてもよい。例えば、所定の波長を基準として積分区間を設定し、各積分区間の積算比(B/A)を1として標準化してもよい。すなわち、FBG反射光のスペクトル面積の重心の位置の変動を監視することができればよい。
【0120】
図11は本発明に係る光ファイバグレーティング物理量計測システムの第3の実施形態を示す構成図である。
【0121】
図11に示された、光ファイバグレーティング物理量計測システム20Bでは、物理量計測計25bの構成が図1に示す第1の実施形態による光ファイバグレーティング物理量計測システム20と相違する。他の構成については図1に示す第1の実施形態による光ファイバグレーティング物理量計測システム20と実質的に異ならないため説明を省略する。
【0122】
光ファイバグレーティング物理量計測システム20Bの物理量計測計25bでは、光検出処理部26に閾値判定部40および閾値記憶部41が信号ケーブル30を介して直列に設けられる。
【0123】
光ファイバグレーティング物理量計測システム20Bの物理量計測計25bにおける閾値判定部40および閾値記憶部41の作用について説明する。
【0124】
ファイバブラッググレーティング22からのFBG反射光の光強度は、光源21が発する参照光の光強度、反射光分岐器24、光ファイバ23、23aにおける光の減衰率、ファイバブラッググレーティング22の反射率等の光伝送に関する条件により決定される。これら光伝送に関する条件は長期的には経年劣化等の影響により変化するが、短期的には、何らかの異常が発生しない限り極端には変化しない。
【0125】
逆に、他のファイバブラッググレーティング22のFBG透過光が着目するファイバブラッググレーティング22に被さったり、光伝送に関わる光学機器に異常があり、光伝送に関する条件が変化すると、ファイバブラッググレーティング22からのFBG反射光の光強度は低下する。
【0126】
そこで、光ファイバグレーティング物理量計測システム20Bでは、ファイバブラッググレーティング22からのFBG反射光の光強度を閾値判定部40および閾値記憶部41で監視することで、他のファイバブラッググレーティング22のFBG透過光の影響あるいは光源21、反射光分岐器24、光ファイバ23、23a等の機器の健全性を定常的に確認することができる。
【0127】
また、図8に示す光ファイバグレーティング物理量計測システム20Aにおいて、異なる2つ以上のFBG反射光が、互いに影響を及ぼしあう場合に、同じ波長において光強度が共に最大値がとなる、すなわち最大値が重なる場合がある。
【0128】
また、その逆に他のファイバブラッググレーティング22のFBG透過光が着目するファイバブラッググレーティング22のFBG反射光に重なると、着目するファイバブラッググレーティング22のFBG反射光の光強度が得られない場合がある。
【0129】
この場合は、スペクトルの積算比の変化量は大きくならないためFBG反射光あるいはFBG透過光の影響の有無が完全には判定できない。
【0130】
しかし、光ファイバグレーティング物理量計測システム20Bでは、ファイバブラッググレーティング22からのFBG反射光の光強度の積算比ではなく、大きさを閾値判定部40および閾値記憶部41で監視する。このため、着目するファイバブラッググレーティング22のFBG反射光が、異なるファイバブラッググレーティング22からのFBG反射光あるいはFBG透過光より影響を受けているにも拘らずスペクトルの傾向が変わらない場合においても、FBG反射光の光強度は変化するため、互いに影響を与えているか否かを監視することができる。
【0131】
光ファイバグレーティング物理量計測システム20Bでは、予め閾値記憶部41に全てのファイバブラッググレーティング22からの定常時におけるFBG反射光の光強度の最大値に対する閾値がそれぞれ記憶される。各FBG反射光の光強度の最大値は標準化され1とされる。同様に閾値も標準化され、最大値1に対する値とされる。
【0132】
一方、光検出処理部26において検出されたFBG反射光のスペクトルは、電気信号として信号ケーブル30を介して閾値判定部40に定常的に送信される。閾値判定部40では、光検出処理部26から入力したFBG反射光のスペクトルが標準化される。さらに、閾値判定部40では、閾値記憶部41からFBG反射光の光強度の最大値に対する標準化された閾値が読み込まれ、標準化されたFBG反射光の光強度の最大値と定常的に比較される。
【0133】
そして、閾値判定部40では、標準化されたFBG反射光の最大値が閾値よりも小さければ、他のファイバブラッググレーティング22のFBG透過光の影響あるいは光伝送に関わる光学機器に異常があると判定し、閾値よりも大きければ、異なるファイバブラッググレーティング22からのFBG反射光の最大値が重なっていると判定することができる。
【0134】
図12は、図11に示す光検出処理部26で得られたFBG反射光の光強度が閾値よりも小さい例を示す概念図であり、図13は、図11に示す光検出処理部26で得られたFBG反射光の光強度が閾値よりも大きい例を示す概念図である。
【0135】
図12および図13において、縦軸はFBG反射光の相対光量を示し、横軸はFBG反射光の波長を示す。○印は、標準化されたFBG反射光の相対光量の計測値である。
【0136】
図12および図13では、閾値記憶部41にはFBG反射光の最大値の閾値として1±0.2が設定されている。このため、FBG反射光の最大値の閾値は0.8から1.2の範囲となる。
【0137】
図12では、標準化されたFBG反射光の最大値が、閾値である0.8よりも小さい値である。このため、閾値判定部40は、他のファイバブラッググレーティング22のFBG透過光の影響あるいは光ファイバグレーティング物理量計測システム20Bのうち光伝送に関わる光学機器に異常があると判定する。
【0138】
一方、図13では、標準化されたFBG反射光の最大値が、閾値である1.2よりも大きい値である。このため、閾値判定部40は、異なるファイバブラッググレーティング22からのFBG反射光の最大値が重なって計測されていると判定する。
【0139】
すなわち、光ファイバグレーティング物理量計測システム20Bでは、予め閾値記憶部41に定常時におけるFBG反射光の光強度の最大値に対する閾値を記憶しておき、さらに、閾値判定部40において、FBG反射光の光強度の最大値と閾値を比較することで、光学機器の異常や異なるFBG反射光の最大値あるいはFBG透過光の最小値の重なった状態での影響の有無を判定する構成である。
【0140】
このため、光ファイバグレーティング物理量計測システム20Bでは、システムを停止することなく定常的に光学機器の健全性を監視することができる。さらに、光学機器についての、健全性の確認専用の計測機器を不要とすることができる。
【0141】
また、光ファイバグレーティング物理量計測システム20Bでは、異なるFBG反射光が最大値が重なる状態で互いに影響を及ぼしあう場合、あるいはFBG透過光の影響を受けた場合についても、その影響の有無を判定し、監視することができる。
【0142】
図14は本発明に係る光ファイバグレーティング物理量計測システムの第4の実施形態を示す構成図である。
【0143】
尚、図1に示す第1の実施形態による光ファイバグレーティング物理量計測システム20と実質的に異ならない部位には同じ符号を付している。
【0144】
光ファイバグレーティング物理量計測システム20Cは、光源21に参照光分岐器24aを介してツリー状に形成された複数の光ファイバ23を設け、各光ファイバ23に複数のファイバブラッググレーティング22を設けた構成である。さらに、光源21側の光分岐器は反射光分岐器24とされ、この反射光分岐器24から分岐した光ファイバ23aは、物理量計測計52に接続される。
【0145】
尚、反射光分岐器24は参照光分岐器24aとは別に設けられる構成としても、互いに兼ねる構成としてもよい。
【0146】
光ファイバ23は、光幹線50に反射光分岐器24と複数の参照光分岐器24aを設け、各参照光分岐器24aあるいは反射光分岐器24から複数の光分岐路51を分岐させた構成である。各光分岐路51中には複数のファイバブラッググレーティング22がそれぞれ設けられる。
【0147】
そして、光源21により各光ファイバ23のファイバブラッググレーティング22に参照光を照射可能で、かつファイバブラッググレーティング22からのFBG反射光を物理量計測計52において受光可能な構成とされる。
【0148】
光源21には、任意の波長帯の参照光を波長変更可能に出力することができる光源が使用される。
【0149】
次に、物理量計測計52の構成について説明する。
【0150】
物理量計測計52は、波長可変フィルタ部53、光検出処理部26、信号制御処理部54、データ処理部55、温度分布計測部56および波長中心計測部57により構成される。
【0151】
反射光分岐器24から物理量計測計52側に分岐した光ファイバ23aは、波長可変フィルタ部53を経由して、光検出処理部26に導かれる。
【0152】
また、光検出処理部26には、信号ケーブル30を介して信号制御処理部54およびデータ処理部55が並列に接続される。このデータ処理部55と信号制御処理部54との間および、信号制御処理部54と波長可変フィルタ部53との間は、信号ケーブル30を介して接続される。
【0153】
また、データ処理部55には別途、信号ケーブル30が設けられ、この信号ケーブル30は2股に分岐してそれぞれ、温度分布計測部56と波長中心計測部57とに接続される。さらに、この温度分布計測部56と波長中心計測部57とは、信号ケーブル30を介して互いに接続される。
【0154】
次に光ファイバグレーティング物理量計測システム20Cの作用を説明する。
【0155】
まず、光源21から着目するファイバブラッググレーティング22のFBG反射光の波長帯に応じて設定された参照光が出力される。この参照光は、光幹線50、反射光分岐器24、光幹線50、参照光分岐器24aおよび光分岐路51を経由して各ファイバブラッググレーティング22に照射される。
【0156】
尚、各ファイバブラッググレーティング22が反射するFBG反射光の波長帯は、異なる波長帯とされ、各ファイバブラッググレーティング22からのFBG反射光は、互いに干渉しないように設定される。
【0157】
各ファイバブラッググレーティング22において反射したFBG反射光は、再び光分岐路51、参照光分岐器24a、光幹線50を経由して反射光分岐器24にそれぞれ入射する。この反射光分岐器24において各FBG反射光は分岐され、光ファイバ23aを経由して波長可変フィルタ部53にそれぞれ導かれる。
【0158】
ところで、一般に光ファイバ23内では、光の散乱が発生して光の損失の原因となる。光ファイバ23内における光の散乱に伴い散乱光が生じる。
【0159】
図15は、光ファイバ23内における散乱光のスペクトルを示す概念図である。
【0160】
図15において、縦軸は散乱光の相対光量、横軸は散乱光の波長を示す。散乱光のスペクトルは、入射光と同じ波長をもつ成分であるレイリ散乱光と入射光と波長が異なる成分であるラマン散乱光とを有する。
【0161】
レイリ散乱光は、通常散乱光の大部分を占め、光ファイバ23の密度のゆらぎにより発生する。
【0162】
一方、ラマン散乱光は、光ファイバ23の分子振動との相互作用により生じる非線形散乱光であり、光ファイバ23分子に運動エネルギを与えて波長が増加したストークス光と、光ファイバ23分子から運動エネルギを得て波長が減少したアンチストークス光とを有する。
【0163】
このため、図15に示すように光ファイバ23内における散乱光のスペクトルは、レイリ散乱光、ストークス光、アンチストークス光の波長における相対光量が極大値を有する傾向となる。中央の極大値はレイリ散乱光によるもので、最大値となりかつ入射光の波長と一致する。
【0164】
すなわち、FBG反射光は実際には光ファイバ23内において光損失し、散乱光が発生する。このため、光ファイバ23内には、参照光、FBG反射光および散乱光が進行する。散乱光は、光ファイバ23内での損失により発生するため、散乱光のエネルギすなわち波長は、光ファイバ23の長さに依存する。このため、散乱光のうちラマン散乱光が発生する割合は、光ファイバ23の温度が変化して、熱膨張あるいは熱収縮により同軸方向の伸縮が発生すると変化する。
【0165】
このため、FBG反射光は、光ファイバ23の温度が一定であれば、光損失量も一定であるため、FBG反射光の波長は光ファイバ23の同一点であれば一定となる。しかし、光ファイバ23の温度に変化がある場合は、光損失量が変化するため、FBG反射光の波長は光ファイバ23の同一点においても変化する。
【0166】
光ファイバ23の温度変化によるFBG反射光の波長の変化量は約0.01nm/℃である。このFBG反射光の波長の変化量0.01nmは、ファイバブラッググレーティング22の歪み計測の場合における換算比により換算すると約10μstrainに相当する。例えば、歪み計測の計測精度が±10μsrainである場合、光ファイバ23の温度変化が1℃以上生ずると歪み計測の計測精度を維持することができない。
【0167】
このため、特に温度以外の物理量を測定する場合には、FBG反射光の温度依存性を補正する必要がある。
【0168】
そこで、OTDR(Optical time domain reflectometer)法により、すなわち、温度依存性の高いラマン散乱光であるストークス光およびアンチストークス光の相対光量を測定し、その変化量からFBG反射光の波長の変化量を求め、補正することができる。
【0169】
そのために、FBG反射光とストークス光およびアンチストークス光をそれぞれ波長弁別して抽出する必要がある。そこで、波長可変フィルタ部53において、FBG反射光とストークス光およびアンチストークス光が選択透過される。この選択透過されたストークス光およびアンチストークス光およびFBG反射光は、光検出処理部26にそれぞれ導かれ受光される。
【0170】
このとき、波長可変フィルタ部53が選択透過する波長帯および光検出処理部26が受光する波長帯は、信号制御処理部54により制御される。すなわち、信号制御処理部54は、ストークス光を選択透過するときには、波長可変フィルタ部53が選択透過する波長帯および光検出処理部26が受光する波長帯をストークス光の波長に制御する。同様に、アンチストークス光を選択透過するときには、波長可変フィルタ部53が選択透過する波長帯および光検出処理部26が受光する波長帯をアンチストークス光の波長に制御する。
【0171】
また、信号制御処理部54は、データ処理部55から送られる波長帯情報を参照して、波長可変フィルタ部53および光検出処理部26を制御する。すなわち、データ処理部55からは、選択すべきファイバブラッググレーティング22に対応したFBG反射光、ストークス光およびアンチストークス光の波長を示す波長帯情報が送られる。
【0172】
そして、信号制御処理部54は、選択すべきファイバブラッググレーティング22に対応したFBG反射光、ストークス光およびアンチストークス光の波長を選択透過して受光するように波長可変フィルタ部53および光検出処理部26を制御する。
【0173】
光検出処理部26は、フォトダイオード検出器を具備する。このフォトダイオード検出器でFBG反射光、ストークス光およびアンチストークス光を検出処理する。そしてFBG反射光のスペクトル、ストークス光およびアンチストークス光の光量がそれぞれ得られる。
【0174】
光検出処理部26で得られたFBG反射光のスペクトル、ストークス光およびアンチストークス光の光量は、データ処理部55に送られる。
【0175】
データ処理部55には、予め全てのファイバブラッググレーティング22と光検出処理部26間の距離、全てのファイバブラッググレーティング22のFBG反射光の波長帯情報が格納される。
【0176】
このため、データ処理部55では、全てのファイバブラッググレーティング22のFBG反射光の波長帯情報に基づいて、いずれのFBG反射光の波長帯にも該当しない波長を知ることができる。ストークス光およびアンチストークス光の波長は、光ファイバの素励起の振動数および参照光の設定波長とから決定される。このため、ストークス光およびアンチストークス光の波長がいずれのFBG反射光の波長帯にも該当しない波長となるように参照光の波長が予め設定され、あるいはいずれのFBG反射光の波長帯にも該当しない波長で発生したストークス光およびアンチストークス光の波長を求めることができる。
【0177】
すなわち、データ処理部55では、全てのファイバブラッググレーティング22のFBG反射光の波長帯情報に基づいて、いずれのFBG反射光の波長帯にも該当しないストークス光およびアンチストークス光の波長である波長帯情報を求めることができる。
【0178】
このFBG反射光、ストークス光およびアンチストークス光の波長帯情報は、データ処理部55に記憶され、信号制御処理部54に送られて波長可変フィルタ部53および光検出処理部26の制御に用いられる。
【0179】
データ処理部55では、光検出処理部26から送られたスペクトルあるいは光量が、FBG反射光、ストークス光あるいはアンチストークス光のいずれのスペクトルあるいは光量であるかをストークス光およびアンチストークス光の波長帯情報を参照して識別する。
【0180】
そして、データ処理部55は、ストークス光およびアンチストークス光の光量を温度分布計測部56に、FBG反射光のスペクトルを波長中心計測部57に送る。
【0181】
温度分布計測部56では、データ処理部55から送られたストークス光とアンチストークス光の相対光量比から着目するファイバブラッググレーティング22近傍の光ファイバ23の長手方向に沿う温度分布が求められる。
【0182】
ここで、光ファイバ23は、光幹線50から複数の光分岐路51が分岐した構成であるため、光検出処理部26から同一の距離となる点が複数個光ファイバ23上に存在する。光幹線50内にはFBG反射光と同一の波長帯の光を含む参照光が通過するため、光幹線50内で参照光の損失により発生したストークス光とアンチストークス光の波長帯は、光分岐路51内で発生したストークス光とアンチストークス光の波長帯と同一となる場合がある。
【0183】
このため、光検出処理部26から同一の距離となる光幹線50および光分岐路51上の点における温度が異なると、光幹線50からのストークス光とアンチストークス光が、着目するファイバブラッググレーティング22近傍の光ファイバ23からのストークス光およびアンチストークス光の光量に影響を及ぼすため、波長弁別ができず温度を正確に計測することができない。
【0184】
そこで、光検出処理部26から同一の距離となる光幹線50および光分岐路51上の点における温度環境を同じ条件にする。
【0185】
図16は、図14に示す光幹線50および光分岐路51の敷設方法を示す説明図である。
【0186】
光源21に接続された光幹線50には反射光分岐器24が設けられ、この反射光分岐器24から分岐した光ファイバ23aの端部には物理量計測計52の波長可変フィルタ部(図示せず)を経由して光検出処理部26が接続される。
【0187】
また、参照光分岐器24aからは光分岐路51が分岐し、この光分岐路51には複数のファイバブラッググレーティング22が設けられる。
【0188】
ここで、光幹線50上の点と光検出処理部26との距離を距離A、光分岐路51上の点と光検出処理部26との距離を距離Bとすると、距離Aと距離Bとが等しくなる点が存在する。
【0189】
そして、光検出処理部26から距離Bとなる位置から一定の間隔で複数の物理量計測対象であるファイバブラッググレーティング22が設けられる光分岐路51に、光幹線50の光検出処理部26から距離Bと等しい距離Aとなる位置から先の部分を、同じ温度条件下に併設する。
【0190】
このため、光幹線50からのストークス光とアンチストークス光との相対光量比は、光分岐路51からのストークス光とアンチストークス光との相対光量比を同一となるため、光検出処理部26により受光するストークス光とアンチストークス光の相対光量比は、光幹線50からのストークス光とアンチストークス光の影響を受けない。
【0191】
すなわち、図16に示す光幹線50および光分岐路51の敷設方法とすることで、着目するファイバブラッググレーティング22近傍の光ファイバ23の正確な温度を計測することが可能となる。
【0192】
温度分布計測部56で求められた、着目するファイバブラッググレーティング22近傍の光ファイバ23の温度分布は、波長中心計測部57に送られる。
【0193】
また、波長中心計測部57では、データ処理部55から送られたFBG反射光のスペクトルから波長中心が求められる。波長中心を求める法は、任意であるが、図1に示す光ファイバグレーティング物理量計測システム20の場合と同様に、最小2乗フィッティングにより得られたフィッティング曲線の最大値もしくは最小値から求めることができる。
【0194】
さらに、波長中心計測部57では、温度分布計測部56から送られた光ファイバ23の温度分布に基づいて、FBG反射光の波長中心を補正する。補正の方法としては、光ファイバ23の温度分布とFBG反射光の波長中心の変動量との関係を調べて、データの蓄積あるいは関数化による方法がある。
【0195】
波長中心計測部57において得られた補正後のFBG反射光の波長中心の値は電気信号として、信号ケーブル30を介して物理量変換部29に送られる。
【0196】
そして、物理量変換部29において、FBG反射光の波長中心の値は温度あるいは歪み等の物理量に変換される。
【0197】
すなわち、光ファイバグレーティング物理量計測システム20Cは、ファイバブラッググレーティング22に参照光を照射し、そのFBG反射光のみならず、光ファイバ23内の光損失に伴い発生したラマン散乱光のスペクトルを波長可変フィルタ部53により選択透過してそれぞれ個別に光検出処理部26で計測するシステムである。
【0198】
そして、計測されたラマン散乱光の光量比に基づいて光ファイバ23の温度分布を温度分布計測部56で求める一方、FBG反射光の波長中心を波長中心計測部57で求め、さらに、光ファイバ23の温度変化に伴うFBG反射光の波長中心の変動を光ファイバ23の温度分布に基づいて補正するシステムである。
【0199】
従来、ファイバブラッググレーティング22の応答には温度依存性があり、光ファイバ23の光軸方向の伸縮に伴いFBG反射光の波長が変化するという課題があった。しかし、温度依存性を低減させるために、ファイバブラッググレーティング22を熱膨張係数の小さい物質で充填固定すると逆に物理量を計測することができない。
【0200】
また、別途温度計測用のファイバブラッググレーティング22を併設することも可能であるが、コスト高になる一方、熱電対や測温抵抗体を併設すると電源や信号ケーブルが必要となり、無電源かつ無誘導である光ファイバセンシングの特徴が活かせなくなる。
【0201】
しかし、光ファイバグレーティング物理量計測システム20Cでは、光ファイバ23内で発生したラマン散乱光のスペクトルを分析することで、他の温度計測系を併設することなくファイバブラッググレーティング22近傍の光ファイバ23の温度分布を計測することができる。
【0202】
このため、光ファイバグレーティング物理量計測システム20Cでは、全てのファイバブラッググレーティング22の温度依存性、すなわちFBG反射光の波長の変動をファイバブラッググレーティング22近傍の光ファイバ23の温度分布に基づいて補正することが可能である。このため、ファイバブラッググレーティング22が設けられる温度条件が変化しても、より正確にファイバブラッググレーティング22により、物理量を計測することができる。
【0203】
また、光ファイバ23が、光幹線50と光分岐路51とに分岐接続された場合でも、ラマン散乱光の戻り時間が同一となる部位を同じ温度条件下に併設することで、光ファイバ23の正確な温度分布を計測することができる。
【0204】
図17は本発明に係る光ファイバグレーティング物理量計測システムの第5の実施形態を示す構成図である。
【0205】
尚、図1に示す第1の実施形態による光ファイバグレーティング物理量計測システム20と実質的に異ならない部位には同じ符号を付している。
【0206】
光ファイバグレーティング物理量計測システム20Dは、光源21に参照光分岐器24aを介してツリー状に形成された複数の光ファイバ23を接続し、これら光ファイバ23に反射光分光器として光サーキュレータ60と複数のファイバブラッググレーティング22とが設けられる構成である。
【0207】
光ファイバ23は、光幹線50から複数の、例えば4つの参照光分岐器24aから光分岐路51を分岐させた構成である。そして光幹線50の一端は、光源21に接続される。この光源21には、任意の波長帯の参照光を波長変更可能に出力することができる光源が使用される。
【0208】
また、各光分岐路51中には光サーキュレータ60と複数のファイバブラッググレーティング22とがそれぞれ設けられる。
【0209】
各光サーキュレータ60は、参照光分岐器24aと参照光分岐器24aに最近傍のファイバブラッググレーティング22との間にそれぞれ設けられる。すなわち、光サーキュレータ60と参照光分岐器24aとの間にはファイバブラッググレーティング22は存在しない。
【0210】
また、各光サーキュレータ60は光分岐路51をさらに別の光分岐路61にそれぞれ分岐する。そして、各光分岐路61は単一の物理量計測計62に導かれる。
【0211】
次に、光サーキュレータ60の機能について説明する。
【0212】
図18は、図17に示す光サーキュレータ60の機能を説明する図である。
【0213】
光サーキュレータ60は、光ファイバ23をT字型に接続した構成である。このT字型の両端に接続される光ファイバ23をX、Y、中央の凸状端に接続される光ファイバ23をZとする。
【0214】
光サーキュレータ60では、入射光はXとされYに向かって光は通過する。一方、Yからの反射光はXに向かって通過せずに、光サーキュレータ60においてZ方向に導かれる。
【0215】
すなわち、光サーキュレータ60は、入射光は通過させるが反射光は分岐する光路に導く機能を有する。
【0216】
光サーキュレータ60のXは参照光分岐器24aを介して光幹線50に、Yはファイバブラッググレーティング22を設けた光分岐路51にそれぞれ接続され、Zは物理量計測計62に導かれる光分岐路61と接続される。
【0217】
次に、物理量計測計62の構成について説明する。
【0218】
図19は、図17に示す物理量計測計62の構成図である。
【0219】
物理量計測計62は、一端が光サーキュレータ60と接続された複数の光分岐路61が分光用光分岐器24bを介して網目状に接続され、他端が光検出処理部26に接続された構成である。図19の例では、4つの光サーキュレータ、4つの分光用光分岐器24b、3つの光検出処理部26a,26b,26cで構成される。尚、光サーキュレータ60の順序および位置は任意である。
【0220】
3つの光検出処理部26のうち1つの光検出処理部26bにはストークス光フィルタ部70が、別の1つの光検出処理部26cにはアンチストークス光フィルタ部71が設けられる。残る1つの光検出処理部26aには、ストークス光フィルタ部70、アンチストークス光フィルタ部71のいずれも設けられない。
【0221】
そして、各光サーキュレータ60からの入射光は、すなわちファイバブラッググレーティング22を設けた光分岐路51からのFBG反射光は、2つの分光用光分岐器24bにより3つの光に分光されるように構成される。そして、分光された3つの光は、ストークス光フィルタ部70を設けた光検出処理部26bと、アンチストークス光フィルタ部71を設けた光検出処理部26cと、ストークス光フィルタ部70およびアンチストークス光フィルタ部71のいずれも設けられない光検出処理部26aとにそれぞれ導かれるように構成される。
【0222】
尚、分光用光分岐器24bは、例えば光分岐比が1:1のものとすると、分岐後の光量が共に同じ光量になるため光路ごとの光量のばらつきを低減させることができる。
【0223】
次に図17に示された光ファイバグレーティング物理量計測システム20Dの作用を説明する。
【0224】
まず、光源21から着目するファイバブラッググレーティング22のFBG反射光の波長帯に応じて設定された参照光が出力される。この参照光は、光幹線50、参照光分岐器24a、光サーキュレータ60および光分岐路51を経由して各ファイバブラッググレーティング22に照射される。
【0225】
尚、各ファイバブラッググレーティング22が反射するFBG反射光の波長帯は、異なる波長帯とされ、各ファイバブラッググレーティング22からのFBG反射光は、互いに干渉しないように設定される。
【0226】
各ファイバブラッググレーティング22において反射したFBG反射光は、再び光分岐路51を経由して、光サーキュレータ60にそれぞれ導かれる。
【0227】
また、各光分岐路51内では、参照光およびFBG反射光の損失に伴う散乱光がそれぞれ発生する。これらの散乱光は、FBG反射光と共に、光分岐路51を経由して、光サーキュレータ60にそれぞれ導かれる。
【0228】
各光サーキュレータ60に導かれたFBG反射光およびラマン散乱光を含んだ戻り光は、物理量計測計62側の光分岐路61にそれぞれ導かれる。さらに、前述の戻り光は、図19に示すように物理量計測計62において2つの分光用光分岐器24bにより3つの光に分光され、ストークス光フィルタ部70を設けた光検出処理部26bと、アンチストークス光フィルタ部71を設けた光検出処理部26cと、ストークス光フィルタ部70およびアンチストークス光フィルタ部71のいずれも設けられない光検出処理部26aとにそれぞれ導かれる。
【0229】
ストークス光フィルタ部70を設けた光検出処理部26bに入射した戻り光からは、ストークス光フィルタ部70によりストークス光のみが選択透過され、光検出処理部26bで受光される。
【0230】
同様に、アンチストークス光フィルタ部71を設けた光検出処理部26cに入射した戻り光は、アンチストークス光フィルタ部71によりアンチストークス光のみが選択透過され、光検出処理部26cで受光される。
【0231】
一方、ストークス光フィルタ部70およびアンチストークス光フィルタ部71のいずれも設けられない光検出処理部26aに入射した戻り光は光検出処理部26aで受光される。すなわち、参照光は着目するファイバブラッググレーティング22の波長帯に可変して光幹線50に出射されるため、FBG反射光を選択透過させる波長フィルタを設けなくてもFBG反射光を光検出処理部26aで受光することができる。
【0232】
そして、各光検出処理部26a,26b,26cにおいて、それぞれ、ストークス光とアンチストークス光の光量、FBG反射光のスペクトルが個別に得られる。
【0233】
さらに、計測したストークス光とアンチストークス光の光量は、図示しない温度分布計測部56に送られ、ストークス光とアンチストークス光の相対光量比から着目するファイバブラッググレーティング22近傍の光ファイバ23の長手方向に沿う温度分布が求められる。
【0234】
一方、FBG反射光のスペクトルは、図示しない波長中心計測部に送られ、FBG反射光の波長中心が求められる。さらに、温度分布計測部で求められた、着目するファイバブラッググレーティング22近傍の光ファイバ23の温度分布に基づいて、波長中心計測部においてFBG反射光の波長中心が補正される。この補正後のFBG反射光の波長中心の値は図示しない物理量変換部に送られ、温度あるいは歪み等の物理量に変換される。
【0235】
すなわち、光ファイバグレーティング物理量計測システム20Dは、光幹線50から複数の参照光分岐器24aでツリー状に光分岐路51が分岐される系において、光サーキュレータ60をファイバブラッググレーティング22により近い光分岐路51上に設けて光検出処理部26a,26b,26cにFBG反射光およびラマン散乱光を含んだ戻り光を導く構成である。
【0236】
このため、前述の戻り光が複数の参照光分岐器24aを経由せずに、必要最小限の分光用光分岐器24bのみを経由するため、戻り光のエネルギの減衰を抑制することができる。したがって、光源21が発生する参照光をより低出力にすることができるため、より安価に物理量計測をすることが可能となる。
【0237】
さらに、光ファイバグレーティング物理量計測システム20Dは、FBG反射光、ストークス光、アンチストークス光をそれぞれ専用の光検出処理部26a,26b,26cに導いて受光して各スペクトルを得るため、FBG反射光、ストークス光、アンチストークス光の選択あるいは識別をすることなく光分岐路51の温度分布測定、FBG反射光の波長中心の温度補償が可能となる。このため、高精度でより簡易かつ安価な設備での物理量計測が可能となる。
【0238】
図20は、図19に示す物理量計測計62の変形例を示す構成図である。
【0239】
物理量計測計62Aは、図19に示す物理量計測計62に対し、光検出処理部26aのおよび分光用光分岐器24bの数が相違する。すなわち、図19に示す物理量計測計62においては、前述の戻り光を単一のFBG反射光受光用の光検出処理部26aに導く構成であるが、物理量計測計62Aは、戻り光を2つのFBG反射光受光用の光検出処理部26a,26aに導く構成である。
【0240】
物理量計測計62Aでは、戻り光は、光サーキュレータ60からFBG反射光受光用の光検出処理部26a,26aに到達するまでに単一の分光用光分岐器24bのみを経由する構成とすることができる。
【0241】
このため、物理量計測計62Aでは、戻り光の減衰を図19に示す物理量計測計62よりもさらに低減させることができ、光源21をより安価で低出力のものにすることができる。
【0242】
物理量計測計62、62Aのように、光サーキュレータ60、分光用光分岐器24b、光検出処理部26a,26b,26cの数は任意である。ストークス光フィルタ部70を設けた光検出処理部26bと、アンチストークス光フィルタ部71を設けた光検出処理部26cと、ストークス光フィルタ部70およびアンチストークス光フィルタ部71のいずれも設けられない光検出処理部26aとが少なくとも1つあればよく、かつ各光サーキュレータ60から入射する戻り光が、分光用光分岐器24bにより分岐あるいは合流されて、ストークス光フィルタ部70を設けた光検出処理部26bと、アンチストークス光フィルタ部71を設けた光検出処理部26cと、ストークス光フィルタ部70およびアンチストークス光フィルタ部71のいずれも設けられない光検出処理部26aに必ず入射する構成であればよい。
【0243】
図21は、本発明に係る光ファイバグレーティング物理量計測システムの第7の実施形態を示す構成図である。
【0244】
光ファイバグレーティング物理量計測システム20Eは、図17に示す光ファイバグレーティング物理量計測システム20Dに対し、複数のファイバブラッググレーティング22を設けた光分岐路51の端部に光検出処理部80を設けた構成と、物理量計測計62、62Aの代わりに散乱光受光計81を設けた構成が相違する。
【0245】
従って、図17示す光ファイバグレーティング物理量計測システム20Dと実質的に異ならない部位には図示せず、または同じ符号を付して説明を省略する。
【0246】
光ファイバグレーティング物理量計測システム20Eでは、複数のファイバブラッググレーティング22を設けた光分岐路51の端部に光検出処理部80が設けられる。すなわち、光分岐路51は、一端が光幹線50に設けられた参照光分岐器24aに接続され、他端が光検出処理部80に接続される。
【0247】
さらに、光分岐路51の参照光分岐器24aと光検出処理部80との間には、複数のファイバブラッググレーティング22が設けられ、さらに参照光分岐器24aに最近傍のファイバブラッググレーティング22と参照光分岐器24aとの間に、光サーキュレータ60が設けられる。
【0248】
光サーキュレータ60から分岐した光分岐路61は、散乱光受光計81に導かれる。
【0249】
散乱光受光計81は、分光用光分岐器24b、ストークス光フィルタ部70、アンチストークス光フィルタ部71および2つの光検出処理部26b,26cで構成される。散乱光受光計81に接続される光分岐路61は分光用光分岐器24bで分岐され、一方にはストークス光フィルタ部70および光検出処理部26bが、他方にはアンチストークス光フィルタ部71および光検出処理部26cがそれぞれ直列に接続される。
【0250】
光ファイバグレーティング物理量計測システム20Eでは、光源21から発生した参照光が光幹線50を通り、参照光分岐器24aから光分岐路51に導かれる。そして、参照光は光分岐路51の各ファイバブラッググレーティング22にそれぞれ照射される。
【0251】
ここで、各ファイバブラッググレーティング22に参照光が照射されると、特定波長のFBG反射光が発生し、それ以外の参照光はそのまま透過する。
【0252】
また、光分岐路51内では散乱光が発生する。
【0253】
FBG反射光は散乱光と共に、参照光と逆方向に光分岐路51を進み、光サーキュレータ60に導かれる。光サーキュレータ60において、FBG反射光および散乱光は、分岐する光分岐路61に導かれ散乱光受光計81に送られる。
【0254】
散乱光受光計81に導かれたFBG反射光および散乱光は、分光用光分岐器24bにおいて分岐されるが、分岐されたFBG反射光および散乱光の一方はストークス光フィルタ部70を経由してストークス光のみが選択透過されて光検出処理部26bに導かれ、他方はアンチストークス光フィルタ部71を経由してアンチストークス光のみが選択透過されて光検出処理部26cに導かれてそれぞれ受光される。
【0255】
そして、ストークス光を受光した光検出処理部26bでは、ストークス光の光量が、アンチストークス光を受光した光検出処理部26cでは、アンチストークス光の光量が得られる。
【0256】
さらに、ストークス光、アンチストークス光のスペクトルは、図示しない温度分布計測部に送られ、ストークス光とアンチストークス光の相対光量比から着目するファイバブラッググレーティング22近傍の光分岐路51の長手方向に沿う温度分布が求められる。
【0257】
一方、各ファイバブラッググレーティング22を透過した各FBG透過光は、光分岐路51を進み、光検出処理部80にそれぞれ導かれる。そして、各FBG透過光は光検出処理部80で受光され、FBG透過光のスペクトルが得られる。
【0258】
そして、FBG透過光のスペクトルは、図示しない波長中心計測部に送られ、FBG反射光のスペクトルの場合と同様な方法で、FBG透過光の波長中心が求められる。ただし、FBG透過光のスペクトルは下に凸となるため、波長中心は最小2乗フィッティング曲線の最小値に基づいて求められる。さらに、図示しない温度分布計測部で求められた、光分岐路51の温度分布に基づいて、波長中心計測部においてFBG透過光の波長中心が補正される。この補正後のFBG透過光の波長中心の値は図示しない物理量変換部に送られ、温度あるいは歪み等の物理量に変換される。
【0259】
すなわち、光ファイバグレーティング物理量計測システム20Eは、光幹線50が複数の参照光分岐器24aで分岐されツリー状に光分岐路51が形成される系において、ファイバブラッググレーティング22で発生するFBG反射光の代わりにFBG透過光を、光検出処理部80で受光してそのスペクトルから物理量を計測するシステムである。
【0260】
さらに、散乱光のうちストークス光、アンチストークス光を光サーキュレータ60から専用の光検出処理部26b,26cに導いて、ストークス光およびアンチストークス光の光量比に基づいて光分岐路51の温度分布を求め、FBG透過光の波長中心を温度補償する構成である。
【0261】
光ファイバグレーティング物理量計測システム20Eでは、FBG反射光の代わりにFBG透過光を、光分岐路51端部に設けた光検出処理部80で受光する構成であり、スペクトルを得るためのFBG透過光は参照光分岐器24aおよび分光用光分岐器24bを経由しない。従って、FBG透過光の減衰量は比較的小さく、FBG透過光のエネルギはFBG反射光のエネルギよりも大きい。
【0262】
一方、ストークス光、アンチストークス光も単一の分光用光分岐器24bのみ経由するため、減衰量を抑制させることができる。
【0263】
このため、光ファイバグレーティング物理量計測システム20Eでは、光源21をより安価で低出力のものにすることが可能となるため、より安価に物理量を計測することができる。
【0264】
尚、各実施形態の光ファイバグレーティング物理量計測システム20、20A、20B、20C、20D、20Eにおいては、ファイバブラッググレーティング22を複数としたが単一のファイバブラッググレーティング22で構成してもよい。
【0265】
また、光源21は任意の波長帯の参照光を波長変更可能に出力することができる光源としたが、代わりに広帯域光源として広範囲の波長の参照光を各ファイバブラッググレーティング22に照射し、さらに光検出処理部に波長可変フィルタを設けて着目するファイバブラッググレーティング22に対応するFBG反射光あるいはFBG透過光を波長可変フィルタで選択透過する構成としてもよい。
【0266】
また、データ区間設定部27、波長中心計測部28あるいは積算比算出部31等の各部は信号ケーブル30を介して電気信号として情報を伝送する方法に限らず、光信号等の処理可能な信号として伝送可能な構成であれば接続形態および位置は任意であり、また個別でなく一体に構成してもよい。
【0267】
また、光源21、光検出処理部26、26a,26b,26c等の構成要素を複数個設けて、並行して個別に物理量を計測する構成としてもよい。さらに、各実施形態の光ファイバグレーティング物理量計測システム20、20A、20B、20C、20D、20Eを複合的に構成してもよい。
【0268】
例えば、積算比算出部31、積算比閾値判定部32および積算比閾値記憶部33に加えて、閾値判定部40と閾値記憶部41とを設ける構成あるいは複数の光分岐路51中にそれぞれ光サーキュレータ60を設け、各光サーキュレータ60から分岐する光分岐路に個別に物理量計測計52、62、62Aを設ける構成としてもよい。
【0269】
【発明の効果】
本発明に係る光ファイバグレーティング物理量計測システムにおいては、参照光をファイバブラッググレーティングに照射して得られたFBG反射光あるいはFBG透過光のスペクトルの、最小2乗フィッティングにより得られたフィッティング曲線からFBG反射光あるいはFBG透過光の波長中心を求め、さらにこのFBG反射光あるいはFBG透過光の波長中心を温度あるいは歪み等の物理量に変換するため、より高精度で短時間に物理量を計測することができる。
【0270】
また、FBG反射光のスペクトルの最大値あるいはスペクトル面積比を分析することで、光源や光ファイバ等の光伝送路の異常あるいは、別のファイバブラッググレーティングからのFBG反射光あるいはFBG透過光の影響の有無を定常的に監視することができるため、計測した物理量の信頼性が向上するとともにシステム異常の監視用の設備を不要とすることができる。
【0271】
また、ファイバブラッググレーティングの温度依存性、すなわちFBG反射光の波長の温度変化による変動を、別途、ラマン散乱光を計測した光ファイバの温度分布情報に基づいて補償することができるため、より高精度で物理量を計測することができる。
【0272】
また、ファイバブラッググレーティング近傍に光検出処理部を設けてFBG反射光およびラマン散乱光を受光するように構成することで、FBG反射光およびラマン散乱光の光量減衰を抑制し、光源がより低出力の安価なものとした装置構成で物理量を計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光ファイバグレーティング物理量計測システムの第1の実施形態を示す構成図。
【図2】図1に示す光検出処理部において得られたFBG反射光のスペクトルからFBG反射光の波長中心を求める方法を説明する概念図。
【図3】図1に示す光検出処理部で得られたFBG反射光のスペクトルと波長中心計測部において2次の多項式を適用して得たフィッティング曲線を示す図。
【図4】図1に示す波長中心計測部において20個の被計測系サンプルに対して高次の多項式により最小2乗フィッティングを実施して得たFBG反射光の波長中心の偏差を示す図。
【図5】図1に示す光検出処理部で得られたFBG反射光のスペクトルと波長中心計測部においてガウス分布式を適用して得たフィッティング曲線を示す図。
【図6】図1に示す波長中心計測部において20個の被計測系サンプルに対してガウス分布式により最小2乗フィッティングを実施して得たFBG反射光の波長中心の偏差を示す図。
【図7】図1に示す物理量変換部においてFBG反射光の波長中心の値をファイバブラッググレーティングの温度に変換する際に用いる関数を示す図。
【図8】本発明に係る光ファイバグレーティング物理量計測システムの第2の実施形態を示す構成図。
【図9】他のファイバブラッググレーティングからのFBG反射光の影響を受けたFBG反射光のスペクトルの例と、その影響の有無を判定する方法を説明する概念図。
【図10】着目するファイバブラッググレーティングからのFBG反射光が、他のファイバブラッググレーティングからのFBG反射光に影響を及ぼしているスペクトルの例と、その影響の有無を判定する方法を説明する概念図。
【図11】本発明に係る光ファイバグレーティング物理量計測システムの第3の実施形態を示す構成図。
【図12】図11に示す光検出処理部で得られたFBG反射光の光強度が閾値よりも小さい例を示す概念図。
【図13】図11に示す光検出処理部で得られたFBG反射光の光強度が閾値よりも大きい例を示す概念図。
【図14】本発明に係る光ファイバグレーティング物理量計測システムの第4の実施形態を示す構成図。
【図15】光ファイバ内における散乱光のスペクトルを示す概念図。
【図16】図14に示す光幹線および光分岐路の敷設方法を示す説明図。
【図17】本発明に係る光ファイバグレーティング物理量計測システムの第5の実施形態を示す構成図。
【図18】図17に示す光サーキュレータの機能を説明する図。
【図19】図17に示す物理量計測計の構成図。
【図20】図19に示す物理量計測計の変形例を示す構成図。
【図21】本発明に係る光ファイバグレーティング物理量計測システムの第7の実施形態を示す構成図。
【図22】従来の光ファイバグレーティング物理量計測システムの構成図。
【符号の説明】
20,20A,20B,20C,20D,20E 光ファイバグレーティング物理量計測システム
21 光源
22 ファイバブラッググレーティング
23,23a 光ファイバ
24 反射光分岐器
24a 参照光分岐器
24b 分光用光分岐器
25,25a,25b 物理量計測計
26,26a,26b,26c 光検出処理部
27 データ区間設定部
28 波長中心計測部
29 物理量変換部
30 信号ケーブル
31 積算比算出部
32 積算比閾値判定部
33 積算比閾値記憶部
40 閾値判定部
41 閾値記憶部
50 光幹線
51 光分岐路
52 物理量計測計
53 波長可変フィルタ部
54 信号制御処理部
55 データ処理部
56 温度分布計測部
57 波長中心計測部
60 光サーキュレータ
61 光分岐路
62,62A 物理量計測計
70 ストークス光フィルタ部
71 アンチストークス光フィルタ部
80 光検出処理部
81 散乱光受光計
Claims (13)
- 参照光を出力する光源に接続されその光路にファイバブラッググレーティングを設けた光ファイバと、
この光ファイバにより形成される光路を分岐する反射光分岐器と、
この反射光分岐器により分岐された光路の端部に接続され、前記ファイバブラッググレーティングの反射光を受光してスペクトルを求める光検出処理部および前記ファイバブラッググレーティングの反射光のスペクトルに対し所定の波長区間について最小2乗フィッティングを実施して得られたフィッティング曲線の最大値から前記ファイバブラッググレーティングの反射光の波長中心を求める波長中心計測部を設けた物理量計測計とを備え、
前記物理量計測計には、積算比算出部と、積算比閾値判定部と、積算比閾値記憶部とが設けられ、
前記積算比算出部は、前記光検出処理部が求めた前記ファイバブラッググレーティングの反射光あるいは透過光のスペクトルから2つの閉区間を設定して各閉区間のスペクトル面積比を計算する一方、前記積算比閾値記憶部には前記スペクトル面積比の閾値が記憶され、さらに前記積算比閾値判定部は前記積算比算出部が計算したスペクトル面積比と前記積算比閾値記憶部から読み込んだ前記スペクトル面積比の閾値とを比較して閾値範囲内であるか否かを判定するように構成したことを特徴とする光ファイバグレーティング物理量計測システム。 - 前記光ファイバは、光幹線から光分岐器を介して光分岐路に分岐するように構成され、この光分岐路に前記ファイバブラッググレーティングを設けたことを特徴とする請求項1記載の光ファイバグレーティング物理量計測システム。
- 前記光ファイバは、光幹線から光分岐器を介して光分岐路に分岐するように構成され、この光分岐路に前記ファイバブラッググレーティングと反射光分岐器とをそれぞれ設けたことを特徴とする請求項1記載の光ファイバグレーティング物理量計測システム。
- 前記光ファイバは、光幹線から複数の光分岐器を介して複数の光分岐路に分岐するように構成され、各光分岐路に前記ファイバブラッググレーティングと反射光分岐器とをそれぞれ設け、各反射光分岐器から分岐する光分岐路を光分岐器により合流あるいは分岐させ、前記ファイバブラッググレーティングの反射光を共通の光検出処理部に導いて受光するように構成したことを特徴とする請求項1記載の光ファイバグレーティング物理量計測システム。
- 参照光を出力する光源に一端が接続されその光路にファイバブラッググレーティングを設けた光ファイバと、
この光ファイバにより形成される光路の他端に接続され、前記ファイバブラッググレーティングの透過光を受光してスペクトルを求める光検出処理部および前記ファイバブラッググレーティングの透過光のスペクトルに対し所定の波長区間について最小2乗フィッティングを実施して得られたフィッティング曲線の最小値から前記ファイバブラッググレーティングの透過光の波長中心を求める波長中心計測部を設けた物理量計測計とを備え、
前記物理量計測計には、積算比算出部と、積算比閾値判定部と、積算比閾値記憶部とが設けられ、
前記積算比算出部は、前記光検出処理部が求めた前記ファイバブラッググレーティングの反射光あるいは透過光のスペクトルから2つの閉区間を設定して各閉区間のスペクトル面積比を計算する一方、前記積算比閾値記憶部には前記スペクトル面積比の閾値が記憶され、さらに前記積算比閾値判定部は前記積算比算出部が計算したスペクトル面積比と前記積算比閾値記憶部から読み込んだ前記スペクトル面積比の閾値とを比較して閾値範囲内であるか否かを判定するように構成したことを特徴とする光ファイバグレーティング物理量計測システム。 - 前記光ファイバは、光幹線から光分岐器を介して光分岐路に分岐するように構成され、この光分岐路の光路中に前記ファイバブラッググレーティングを端部に前記光検出処理部をそれぞれ設けたことを特徴とする請求項5記載の光ファイバグレーティング物理量計測システム。
- 前記光ファイバの光路に反射光分岐器を設け、分岐した光分岐路の端部に、ストークス光フィルタ部を設けた光検出処理部と、アンチストークス光フィルタ部を設けた光検出処理部とを接続し、各光検出処理部はストークス光のスペクトルとアンチストークス光のスペクトルとを個別に求めるように構成したことを特徴とする請求項5記載の光ファイバグレーティング物理量計測システム。
- 前記波長中心計測部は2次以上の多項式を用いて最小2乗フィッティングを実施するように構成したことを特徴とする請求項1または5記載の光ファイバグレーティング物理量計測システム。
- 前記波長中心計測部はガウス分布式を用いて最小2乗フィッティングを実施するように構成したことを特徴とする請求項1または5記載の光ファイバグレーティング物理量計測システム。
- 前記物理量計測計には、閾値判定部と閾値記憶部とが設けられ、この閾値記憶部には前記ファイバブラッググレーティングの反射光のスペクトルの光量の最大値あるいは透過光スペクトルの光量の最小値の閾値が記憶される一方、前記閾値判定部は前記ファイバブラッググレーティングの反射光のスペクトルの光量の最大値あるいは透過光のスペクトルの光量の最小値と閾値とを比較して閾値範囲内であるか否かを判定するように構成したことを特徴とする請求項1または5記載の光ファイバグレーティング物理量計測システム。
- 前記物理量計測計にデータ区間設定部と、物理量変換部とを設け、前記データ区間設定部は前記ファイバブラッググレーティングの反射光のスペクトルから所定の波長区間を設定する一方、前記物理量変換部には前記波長中心計測部で求めた波長中心と物理量との関係を示す関数が保存され、前記物理量変換部はこの関数に基づいて前記ファイバブラッググレーティングの反射光の波長中心を物理量に変換するように構成したことを特徴とする1または5記載の光ファイバグレーティング物理量計測システム。
- 前記光検出処理部は、ストークス光フィルタ部を設けた光検出処理部と、アンチストークス光フィルタ部を設けた光検出処理部と、ストークス光フィルタ部あるいはアンチストークス光フィルタ部のいずれも設けない光検出処理部とで構成され、各光検出処理部は前記ファイバブラッググレーティングの反射光あるいは透過光のスペクトルとストークス光のスペクトルとアンチストークス光のスペクトルとを個別に求めるように構成したことを特徴とする請求項1または5記載の光ファイバグレーティング物理量計測システム。
- 前記物理量計測計には温度分布計測部が設けられる一方、前記光検出処理部は、ストークス光フィルタ部を設けた光検出処理部と、アンチストークス光フィルタ部を設けた光検出処理部と、ストークス光フィルタ部あるいはアンチストークス光フィルタ部のいずれも設けない光検出処理部とで構成され、各光検出処理部は前記ファイバブラッググレーティングの反射光あるいは透過光のスペクトルとストークス光のスペクトルとアンチストークス光のスペクトルとを個別に求め、さらに前記温度分布計測部はストークス光とアンチストークス光のスペクトルを前記光検出処理部から入力し、ストークス光とアンチストークス光の光量比に基づいて、前記光ファイバの長手方向に沿う温度分布を求めるように構成したことを特徴とする請求項1または5記載の光ファイバグレーティング物理量計測システム。
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